JPH06259811A - 光ディスク用オーバーコート膜、光ディスクとその製造方法 - Google Patents

光ディスク用オーバーコート膜、光ディスクとその製造方法

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JPH06259811A
JPH06259811A JP5075428A JP7542893A JPH06259811A JP H06259811 A JPH06259811 A JP H06259811A JP 5075428 A JP5075428 A JP 5075428A JP 7542893 A JP7542893 A JP 7542893A JP H06259811 A JPH06259811 A JP H06259811A
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JP
Japan
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layer
film
recording
dielectric
overcoat
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JP5075428A
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English (en)
Inventor
Akira Kawabuchi
晃 川淵
Hiroyuki Yokoyama
宏幸 横山
Yuji Takatsuka
裕二 高塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Daicel Corp
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光ディスクの保護膜が損傷しても、低摩擦力
と高い耐久性とを併せもつオーバーコート膜と交換し、
磁気ヘッド及び記録膜の損傷を抑制する。 【構成】 光ディスクは、基板1、記録膜2およびオー
バーコート膜8とを備えている。前記記録膜2は、基板
1をエッチングし、直流スパッタリング法により形成さ
れた誘電体干渉層3と、光磁気記録層4、第1の誘電体
保護層5及び反射層6と、この反射層6を保護するため
の第2の誘電体層7とで構成される。前記オーバーコー
ト膜8は、前記記録膜2に対して密着かつ剥離可能な接
着層9と、この接着層に形成された樹脂層10と、この
樹脂層に形成され、摩擦抵抗を低減するための第3の誘
電体層11とで構成されている。オーバーコート膜8の
厚みは、例えば、3〜10μm程度である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種情報の記録再生に
有用な光ディスク、特に情報をダイレクトオーバーライ
トできる磁界変調光磁気ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスクのなかで、磁界変調光磁気デ
ィスクは、レーザー光などの光ビームの照射下で磁界を
反転させることにより、数値、文書、映像、音楽などの
各種情報をダイレクトオーバーライトできるとともに、
高密度に情報を記録でき、情報の追記記録などが簡便か
つ迅速に行えるなどの数多くの利点を有する。
【0003】このような磁界変調磁気ディスクは、図2
に示されるように、ガラスやプラスチックなどの透明基
板11と、この透明基板11に順次形成された誘電体干
渉層12、光磁気記録膜13、誘電体保護膜14、反射
膜15およびオーバーコート樹脂膜16とを備えてい
る。
【0004】このような光磁気ディスクを用いて情報を
記録する場合には、上記光磁気ディスクに対して光ビー
ムを照射することにより、光磁気記録膜13の一部が熱
せられて磁化が消失するキュリー温度近傍になったとこ
ろで、磁気ヘッドにより情報信号に応じてバイアス磁界
の向きを反転させ、光磁気記録膜13にバイアス磁界の
向きに磁化された記録マークを形成することにより行な
われる。
【0005】前記バイアス磁界を発生させる磁気ヘッド
としては、磁界や磁界強度の変調速度を大きくするた
め、浮上ヘッドが用いられることが多い。
【0006】このような浮上磁気ヘッドを用いると、磁
気ディスクなどと同じくディスクの回転時には、磁気ヘ
ッドがオーバーコート樹脂膜16の表面から浮上し、デ
ィスク静止時には磁気ヘッドがオーバーコート樹脂膜1
6の表面と接触する。このような方式は、コンタクト・
スタート・アンド・ストップ(contact start and sto
p、以下、単にCSSと称する)方式と称されている。
【0007】CSS方式では、磁気ヘッドがオーバーコ
ート樹脂膜から浮上するまで間、摩擦抵抗が大きいと、
光磁気ディスクの駆動系に大きな負担が作用するため、
摩擦抵抗を低くする必要がある。そのため、従来の磁界
変調光磁気ディスクのオーバーコート樹脂膜には、摩擦
力を低減するため、表面を平滑にするなどの種々の方法
が試みられ、摩擦抵抗の小さな磁界変調光磁気ディスク
が得られている。
【0008】一方、磁界変調光磁気ディスクでは、ディ
スクと磁気ヘッドの距離が小さいため、オーバーコート
樹脂膜と磁気ヘッドとが接触し、オーバーコート樹脂膜
に傷が生成する。特にCSS方式では、オーバーコート
樹脂膜と磁気ヘッドとが接触することを前提としている
ため、オバーコート樹脂膜に傷が生成し易い。さらに、
樹脂製のオーバーコート膜は硬度に限界があるため、傷
の発生を完全に防止することは困難である。そして、オ
ーバーコート樹脂膜表面に生成した傷は、摩擦力を増大
させると共に、記録膜の耐久性を低下させる。
【0009】そこで、オーバーコート樹脂膜に硬質の粒
子を含有させ、硬度を高めることが提案されている。例
えば、特開平3−62338号公報には、光ディスクの
記録膜を保護するため、紫外線硬化型樹脂と強磁性体粒
子などの微粒子とを含むオーバーコート用塗布液を塗布
し、紫外線を照射し、オーバーコート層の表面に0.1
〜0.5μmの凹凸を形成することが提案されている。
【0010】しかし、オーバーコート膜の硬度を粒子に
より高めると、磁気ヘッドが傷付き易くなる。そのた
め、オーバーコート膜により、光磁気ディスクと磁気ヘ
ッドとの双方を保護することは極めて困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、光ディスクの保護膜が損傷したとしても、交換する
ことにより、オーバーコート膜を常に損傷のない状態に
保つことができる光ディスク用オーバーコート膜を提供
することにある。
【0012】また、本発明の他の目的は、低い摩擦抵抗
と高い耐久性とを併せもち、光ディスクの記録膜に対し
て密着性を有するとともに、磁気ヘッド及び記録膜を損
傷させることのない光ディスク用オーバーコート膜を提
供することにある。
【0013】本発明のさらに他の目的は、磁気ヘッド及
び記録膜の損傷を抑制でき、高い耐摩耗性及び耐久性を
有する光ディスクとその製造方法を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、オーバー
コート膜、特にCSS方式が採用される光ディスクのオ
ーバーコート膜の損傷を完全に防止することが極めて困
難であることに着目し、鋭意検討の結果、オーバーコー
ト膜を交換可能な膜とすることにより、オーバーコート
膜を常に損傷の少ない状態に保つことができること、オ
ーバーコート膜を交換するという新たな発想に基づい
て、光ディスクの基板上に特定の層を形成すると、耐摩
耗性及び耐久性が高く、摩擦抵抗が小さくなることを見
いだし、本発明を完成した。
【0015】すなわち、本発明の光ディスク用オーバー
コート膜は、光ディスクの記録膜を保護するオーバーコ
ート膜であって、前記記録膜に対して密着かつ剥離可能
な接着層を有している。
【0016】また、本発明の光ディスクは、光ディスク
の記録膜にオーバーコート膜が形成された光ディスクで
あって、オーバーコート膜が、前記記録膜に対して密着
かつ剥離可能な接着層と、この接着層に形成された樹脂
層と、この樹脂層に形成された700オングストローム
以上の誘電体層とで構成されている。
【0017】さらに、本発明の方法では、基板に、記録
膜と剥離可能なオーバーコート膜とを形成して光ディス
クを製造する方法であって、前記基板をエッチングし、
直流スパッタリング法により、記録膜のうち基板と接す
る層を形成し、光ディスクを製造する。
【0018】以下、必要に応じて添付図面を参照しつつ
本発明を詳細に説明する。
【0019】図1は本発明の光ディスクの一例を示す概
略分解断面図である。
【0020】前記光ディスクは、透明基板1と記録膜2
とオーバーコート膜8とで構成されている。前記透明基
板は、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メ
チルなどのアクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、
エポキシ樹脂、ポリオレフィンなどのポリマーやガラス
などで形成できる。この基板には、スパイラル状又は同
心円状のグルーブや、アドレス情報、同期情報などのフ
ォーマットを表すためのピットを形成してもよい。
【0021】本発明は、種々の記録膜を備えた光ディス
ク、例えば、基板上に反射層と誘電体層などで構成され
た記録膜を備えた追記型光ディスクなどにも適用できる
が、前記CSS方式が採用される書換え型光磁気ディス
クに好適に適用される。
【0022】光磁気ディスクにおいて、前記記録膜2
は、少なくとも光磁気記録膜を含んでいる。前記光磁気
ディスクの記録膜は、例えば、(1)光磁気記録層、
(2)光磁気記録層と反射層、(3)誘電体層と光磁気
記録層と反射層などで構成することができるが、透明基
板1上に順次形成された干渉層(誘電体層)、光磁気記
録層、保護層(誘電体層)および反射層を含んでいるの
が好ましい。
【0023】この例では、前記記録膜2は、光磁気効果
を高めるための誘電体干渉層3と、この誘電体干渉層上
に形成され、磁化容易軸が膜面に対して垂直な光磁気記
録層4と、この光磁気記録層上に形成され、前記光磁気
記録層4を保護するための第1の誘電体保護層5と、こ
の誘電体保護膜上に形成され光ビームを反射するための
反射層6を備えている。
【0024】誘電体干渉層3と第1の誘電体保護層5
は、透明な誘電体材料、例えば、SiNx 、AlN、S
iO2 、SiO、Ta2 5 、Al2 3 、SiAl
N、SiAlONなどで形成できる。なお、これらの層
を構成する誘電体材料は同一又は異なっていてもよい。
誘電体干渉層の厚みは、例えば、300〜3000オン
グストローム程度に形成でき、500〜1500オンス
トローム程度が繁用される。また、誘電体保護層の厚み
は、例えば、100〜1000オングストローム程度に
形成でき、100〜600オングストローム程度が繁用
される。
【0025】光磁気記録層4は、種々の光磁気材料、例
えば、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、デ
ィスプロシウム(Dy)などの希土類元素と、鉄(F
e)やコバルト(Co)などの遷移金属元素との非晶質
合金で形成できる。このような非晶質合金としては、例
えば、前記希土類元素と遷移金属元素との2元系合金;
GdTbFe、TbFeCo、TbDyFe、DyFe
Coなどの3元系合金;GdTbFeCo、TbDyF
eCo、GdDyFeCoなどの4元系合金などが挙げ
られる。また、耐環境劣化性を向上させるため、例え
ば、4原子%以下程度のCrやTiなどを添加してもよ
い。光磁気記録層の厚みは、例えば、100〜1500
オングストローム程度に形成でき、150〜500オン
グストローム程度の厚みが繁用される。
【0026】反射層6は、例えば、Al、Au、Cuな
どの金属;これらの金属とCr、Tiなどとの合金で形
成することができる。反射層の厚みは、例えば、200
〜1000オングストローム程度に形成でき、300〜
700オングストローム程度が繁用される。
【0027】誘電体干渉層3、光磁気記録層4、第1の
誘電体保護層5および反射層6は、慣用の薄膜形成法、
例えば、物理的蒸着法(PVD法)、化学的気相成長法
(CVD法)、メッキ法により形成することができる。
前記物理的蒸着法には、真空蒸着法などの熱蒸着法、自
己スパッタリング、反応性スパッタリング、グロー放電
スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、イオン
ビームスパッタリングなどのスパッタリング法、イオン
プレーティング法などが含まれる。化学的気相成長法に
は、大気圧CVD法、減圧CVD法、プラズマCVD法
などが含まれる。メッキ法は、電解又は無電解メッキ法
のいずれであってもよい。好ましい方法には、物理的蒸
着法、化学的気相成長法が含まれる。
【0028】なお、一般に光磁気ディスクでは、透明基
板と誘電体干渉層との密着力か小さいため、オーバーコ
ート膜を剥離すると、誘電体干渉層も透明基板から剥離
する場合がある。そこで、透明基板と誘電体干渉層との
密着性を向上させる方法として、透明基板上をスパッタ
エッチング(逆スパッタリング)したり、イオンビーム
エッチングした後、誘電体干渉層を形成することが知ら
れている。このような方法では、基板と誘電体干渉層と
の密着力を或る程度高めることができる。しかし、この
ような方法でも、粘着テープ(セロテープR )で剥離試
験を行うと、殆どの場合、基板と誘電体干渉層との間で
剥離する。
【0029】基板と誘電体干渉層との密着力を高めるた
めには、基板をエッチングし、直流(DC)スパッタリ
ング法により誘電体干渉層を形成するのが有用である。
基板のエッチングは、慣用の方法、例えば、酸やアルカ
リなどによる化学的エッチング法、基板をターゲットと
する逆スパッタリング、イオンビームエッチングなどの
物理的又は物理化学的エッチング法により行なうことが
できる。好ましいエッチング法には、逆スパッタリン
グ、イオンビームエッチングなどの物理的又は物理化学
的エッチング法が含まれる。基板をエッチングした後、
直流スパッタリング法により誘電体干渉層を形成する
と、セロテープでの剥離試験でも、基板と誘電体干渉層
との間の剥離が生じない。なお、基板をエッチングしな
い場合には、耐環境劣化試験直後において基板と誘電体
干渉層との密着性が低下する。
【0030】スパッタエッチングやイオンビームエッチ
ングは、必要に応じて酸素、二酸化炭素、窒素、アルゴ
ン、水素、アンモニア、メタンなどのガスの存在下で行
なってもよい。また、エッチング速度を高めるため、酸
素などの反応性ガスとアルゴンなどの不活性ガスとの混
合ガスを用いてもよい。スパッタエッチングなどによる
エッチングは、例えば、10秒〜30分、好ましくは1
〜15分程度行なうことができる。
【0031】また、前記オーバーコート膜8を剥離する
と、反射層6の表面が露呈し、損傷したり酸化される。
また、このことに起因して光磁気記録層の酸化や傷の生
成をもたらす場合があり、記録再生時のエラーが増大す
る虞がある。
【0032】そのため、記録膜2の反射層6を保護する
のが有用である。反射層6の保護方法としては、添加元
素の量を増加させることにより、記録感度を低下させる
ことなく膜厚を1000オングストローム程度まで厚く
できることを利用して、反射層の膜厚を厚くする方法、
オーバーコート膜を複数層とする方法などであってもよ
い。なお、通常、反射層の膜厚を1000オングストロ
ーム程度としても、保護効果が小さく、1000オング
ストロームを越えると記録感度が低下する傾向を示す場
合が多い。また、オーバーコート層を2層などの複数層
で構成すると、反射層に対する保護効果は高いものの、
膜厚が大きくなるとともに、表面に数μm程度の凹凸が
生成し易くなる。
【0033】前記反射層6を保護するため、記録膜2
は、反射層6上に第2の誘電体層7を備えているのが好
ましい。この第2の誘電体層7の厚みは、反射層6を保
護でき、かつ記録感度が低下しない範囲で選択でき、通
常、300〜1500オングストローム、好ましくは4
00〜1000オングストローム程度である。このよう
な膜厚の誘電体層7を形成すると、誘電体層7の表面に
手が触れたり、付着した唾液などを拭き取った後、耐環
境劣化試験を行っても、記録再生時のエラーが増加しな
い。なお、第2の誘電体層7は、前記薄膜形成法と同様
にして、前記例示の誘電体材料で形成できる。
【0034】前記記録膜2を保護するため、前記第2の
誘電体層7を介して、前記反射層6上に形成されたオー
バーコート層8は、前記誘電体層7に対して密着しかつ
剥離可能な接着層9と、この接着層に形成された樹脂層
10と、この樹脂層に形成された第3の誘電体層11と
で構成されている。
【0035】なお、磁界変調光磁気ディスクのオーバー
コート膜において、磁気ヘッドと光磁気記録層の間隔が
小さい程、光磁気記録層上の磁界強度が大きくなるため
オーバーコート膜の膜厚は薄い方が好ましい。一方、光
磁気ディスクの記録膜を保護するためにはオーバーコー
ト膜の膜厚は厚い方が好ましい。そのため、オーバーコ
ート膜の膜厚は、磁界強度及び保護効果に応じて選択で
きるが、3〜10μm好ましくは4〜7μm程度であ
る。上記オーバーコート膜の膜厚が3μm未満である
と、オーバーコート膜の強度及び交換性が低下し、10
μmを越えると、情報の記録再生においてノイズが増大
し易くなる。
【0036】前記接着層9は、慣用の粘着剤、例えば、
天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブテ
ン、クロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレ
ン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、
アクリルゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ウレタ
ンゴムなどの合成ゴム系の接着剤が使用できる。接着層
は、軟化剤、可塑剤、粘着付与剤などの粘着力調整剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤などの劣化防止剤などの種々
の添加剤を含んでいてもよい。
【0037】接着層の接着強度は、密着力及び剥離性を
損わない範囲で選択でき、例えば、15mm幅当りの剥
離強度0.3〜2.0kg/cm2 、好ましくは0.6
〜1.5kg/cm2 程度である。
【0038】接着層の厚みは、接着性及び剥離性を確保
できる範囲で選択でき、例えば、0.1〜6μm、好ま
しくは1〜5μm程度である。
【0039】前記樹脂層10は、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)
などのオレフィン系ポリマー、ポリ酢酸ビニル、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、アクリル系
ポリマー、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリカ
ーボネート、ビニルアルコール系ポリマー、ポリビニア
セタール、セルロースなどの熱可塑性ポリマー;熱可塑
性エラストマー;ポリウレタン、ジアリルフタレートな
どの熱硬化性ポリマーなどで形成できる。樹脂層は上記
ポリマーのフィルムで構成してもよい。樹脂層の厚み
は、例えば、1〜6μm、好ましくは2〜5μm程度で
ある。
【0040】前記オーバーコート膜をポリマーのみで構
成すると、静止摩擦力が大きく、傷が生成し易く耐久性
も劣る。そこで、樹脂層10に第3の誘電体層11を形
成し、表面の硬度及び耐久性を向上させ、摩擦抵抗を小
さくするのが有用である。
【0041】前記第3の誘電体層11の厚みは、誘電体
材料の種類などに応じて、表面硬度及び耐久性を損わな
い範囲で適当に選択でき、SiNx からなる誘電体層の
場合、例えば700オングストローム以上、好ましくは
700〜2000オングストローム、さらに好ましくは
800〜1500オングストローム程度である。700
オングストローム以上の誘電体層を形成すると、長期間
に亘り小さな摩擦抵抗を維持でき、耐久性が向上すると
共に、磁気ヘッドの損傷も抑制できる。
【0042】なお、誘電体層11は、前記薄膜形成法と
同様にして、前記例示の誘電体材料で形成できる。ま
た、前記誘電体層11の表面には、磁気ヘッドの吸着を
防止するため、凹凸、好ましくは1μm未満の凹凸を形
成し、粗面としてもよい。粗面を有する誘電体層は、前
記逆スパッタリング法、イオンビームエッチング法など
により、誘電体層の表面をエッチングすることにより形
成できる。
【0043】前記第3の誘電体層11表面の動摩擦抵抗
は、下記の条件でCSS操作を10000サイクル繰返
したとき、磁気ヘッドが受ける動摩擦力10g以下、好
ましくは5g以下、さらに好ましくは1〜5g程度であ
る。なお、上記動摩擦力の値は、磁気ヘッドの大きさ5
mm×5mm、ヘッド圧9g、ディスクの半径位置30
mmにおいて、光磁気ディスクを載せたスピンドルモー
ターのオン、オフ操作により、静止状態から回転数36
00rpmまで4秒間で加速し、3600rpmで2秒
間回転した後、減速して4秒間で静止し、静止時間2秒
とするCCS操作を1サイクルとし、この操作を1万サ
イクル繰返したときの値である。
【0044】前記のような小さな動摩擦抵抗を有する第
3の誘電体層11を形成すると、オーバーコート膜が1
万サイクル以上のCSS操作に耐えるので、通常、1枚
当りのCSSサイクル数が10万サイクル程度である光
磁気ディスクにおいて、オーバーコート膜の交換回数を
10回以下とすることができる。
【0045】前記オーバーコート膜8が形成された光デ
ィスクは、例えば、慣用のコーティング法により、光デ
ィスクの記録膜2に、接着層9及び樹脂層10を形成
し、前記薄膜形成法により、誘電体材料からなる誘電体
層11を形成することにより得てもよい。好ましい方法
は、光ディスクに、交換可能なオーバーコート膜の接着
層をラミネートする方法が含まれる。
【0046】交換可能なオーバーコート膜は、例えば、
スピンコーティングやスプレーコーティング、ロールコ
ーティングなどのコーティング法により、シリコーンな
どで処理された離型シートやフィルムに接着剤と樹脂と
を順次塗布して接着層と樹脂層とを形成し、前記薄膜形
成法により誘電体層を形成することにより得てもよい。
なお、前記樹脂層は、プラズマ重合法などの有機薄膜形
成法により形成してもよい。
【0047】簡便な方法には、所定の膜厚の樹脂からな
るフィルムの一方の面に、第3の誘電体層を形成し、他
方の面に接着剤を塗布する方法が含まれる。なお、接着
層への塵芥の付着を防止するため、接着層には、シリコ
ーンなどで処理された離型シートやフィルムを積層して
もよい。
【0048】オーバーコート膜は、加圧ローラなどの圧
着手段により、光ディスクの記録膜に圧着することによ
りラミネートできる。また、光ディスクからのオーバー
コート膜の剥離は、オーバーコート膜と光ディスクの記
録膜との間に剥離開始端を形成して剥離してもよいが、
接着層と記録膜との密着強度よりも大きな接着強度を有
する接着剤をテープなどの引剥がし手段の端部に付着さ
せ、接着剤とオーバーコート膜の端部とを接着させ、前
記引剥がし手段を利用してオーバーコート膜を剥離させ
ることができる。
【0049】
【発明の効果】本発明のオーバーコート膜は、光ディス
クの記録膜に対して密着かつ剥離可能な接着層を有し、
かつ交換可能であるため、オーバーコート膜が損傷した
としても、オーバーコート膜を常に損傷の少ない状態に
保つことができる。また、接着層、樹脂層及び誘電体層
を備えたオーバーコート膜は、低い摩擦抵抗と高い耐久
性とを併せもち、光ディスクの記録膜に対する保護効果
が高く、磁気ヘッドの損傷も抑制する。
【0050】本発明の光ディスクは、接着層と樹脂層と
誘電体層とで構成されたオーバーコート膜を備えている
ので、磁気ヘッド及び記録膜の損傷を抑制でき、耐摩耗
性及び耐久性に優れている。
【0051】さらに、本発明の方法によれば、基板をエ
ッチングし、直流スパッタリング法により、記録膜のう
ち基板と接する層を形成するので、オーバーコート層を
剥離可能としても、基板と記録膜との剥離を防止できる
と共に、磁気ヘッド及び記録膜の損傷を抑制でき、耐摩
耗性及び耐久性に優れる光ディスクを製造できる。
【0052】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。
【0053】実施例1 3.5インチφのポリカーボネート製の透明基板を、A
rガス圧0.45Pa、RFパワー400Wの条件で、
5分間逆スパッタリングした後、DC反応性スパッタリ
ング法により、Siをターゲットとしてスパッタリング
し、1200オングストロームのSiNx からなる誘電
体干渉層を形成し、スパッタリング法により、250オ
ングストロームのTbFeCoからなる光磁気記録層、
300オングストロームのSiNx からなる第1の誘電
体保護膜、500オングストロームのAlTiからなる
反射層、600オングストロームのTa2 5 からなる
第2の誘電体層を順次形成した。
【0054】また、交換可能なオーバーコート膜は、厚
み3μmのアクリル系ポリマーの樹脂膜の一方の面に、
スパッタリング法により、1000オングストロームの
SiNx からなる第3の誘電体層を形成し、前記樹脂膜
の他方の面に、合成ゴム接着剤を塗布し、厚み3μmの
接着層を形成することにより作製した。
【0055】そして、オーバーコート膜の接着層を第2
の誘電体層(Ta2 5 )上に気泡が混入しないように
してラミネートし、光磁気ディスクを作製した。
【0056】実施例2 オーバーコート膜の第3の誘電体層(SiNx )の膜厚
を800オングストロームとする以外、実施例1と同様
にして光磁気ディスクを作製した。
【0057】実施例3 ポリカーボネート製の透明基板を、逆スパッタリングに
代えて、Arイオンビーム法により、加速電圧566
V、イオン電流100mAの条件で3分間エッチングす
る以外、実施例1と同様にして光磁気ディスクを作製し
た。
【0058】比較例1 オーバーコート膜に第3の誘電体層を形成することな
く、実施例1と同様にして、光磁気ディスクを作製し
た。
【0059】比較例2 反射層上に第2の誘電体層を形成することなく、実施例
1と同様にして、光磁気ディスクを作製した。
【0060】比較例3 誘電体干渉膜を、ガス圧0.2Pa、RFパワー1.5
kw、Ar/N2 流量比10/6の条件でRFスパッタ
リング法により形成する以外、実施例1と同様にして光
磁気ディスクを作製した。
【0061】比較例4 3.5インチφのポリカーボネート製の透明基板に、反
応性スパッタリング法により、Siをターゲットとして
スパッタリングし、1200オングストロームのSiN
x からなる誘電体干渉層を形成し、スパッタリング法に
より、250オングストロームのTbFeCoからなる
光磁気記録層、300オングストロームのSiNx から
なる第1の誘電体保護層、500オングストロームのA
lTiからなる反射層を順次形成した。この反射層上に
紫外線硬化型樹脂(大日本インキ(株)製、SD−30
1)を滴下してスピンコートし、紫外線を照射して厚み
7μmのオーバーコート膜を形成した。
【0062】これらの実施例および比較例で得られた光
磁気ディスクの性能を次のようにして評価した。
【0063】(1)摩擦抵抗試験 実施例1〜3、比較例1及び4で得られた光磁気ディス
クのオーバーコート膜の性能を評価するため、光磁気デ
ィスクを載せたスピンドルのモーターを周期的にオン、
オフし、磁気ヘッドが受ける動摩擦抵抗を測定すること
により、CSS操作のサイクル数と摩擦抵抗との関係を
調べた。
【0064】動摩擦抵抗は、磁気ヘッドの大きさ5mm
×5mm、ヘッド圧9g、ディスクの半径位置30mm
において、静止状態から回転数3600rpmまで4秒
間で加速し、3600rpmで2秒間回転した後、減速
して4秒間で静止し、静止時間2秒とするCCS操作を
1サイクルとし、この操作を1万サイクル繰返すことに
より測定した。
【0065】図3に結果を示す。なお、実施例1〜3で
得られた光磁気ディスクの動摩擦抵抗は、殆ど同じであ
ったため、実施例1の結果だけを図3に示す。
【0066】図3から明らかなように、実施例1〜3の
光磁気ディスクの摩擦抵抗は小さく、CSSのサイクル
数が増加しても、9000サイクル程度までは摩擦抵抗
の増加が殆ど認められず、10000サイクルでも、摩
擦抵抗が著しく小さく5g以下であった。これに対し
て、比較例1及び比較例4の光磁気ディスクは、初期の
摩擦抵抗も大きく、7000サイクル程度から急激に増
加して10000サイクルでは22g程度まで増加し
た。
【0067】(2)耐環境試験 実施例1〜3、比較例2の光磁気ディスクにおいて、交
換可能なオーバーコート膜を剥離し、光磁気ディスクの
記録膜側の表面に、指紋、唾液、純水や食塩水の水滴を
付けて1時間放置し、乾いた布でそれらを拭き取った
後、交換可能なオーバーコート膜をラミネートし、温度
80℃、湿度80%、200時間の条件で劣化促進試験
を行った。劣化促進試験の後、光磁気ディスクを目視に
て観察し、以下の基準で耐環境性を評価した。結果を表
1に示す。
【0068】○:変化無し △:一部にピンホール又は10μm以下の酸化部位が発
生 ×:全体にピンホール又は10μm以上の酸化部位が発
【0069】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1〜3の光磁気ディス
クは、オーバーコート膜の交換に伴なって環境が変化し
ても性能が劣化することがない。
【0070】(3)オーバーコート膜の交換性 実施例1〜3および比較例3の光磁気ディスクにおい
て、オーバーコート膜の外周端部の一部に、テープの端
部に付着させた瞬間接着剤を接着し、テープを上方に引
張ることにより、オーバーコート膜を剥離し、次いで、
新たなオーバーコート膜を記録膜にラミネートする操作
を繰返し、オーバーコート膜の交換性を調べた。
【0071】その結果、実施例1〜3の光磁気ディスク
では、オーバーコート膜を10回交換しても、オーバー
コート膜の交換に耐え得る密着性を有しており、基板と
誘電体干渉層との間に剥離が観察されなかった。これに
対して、比較例3の光磁気ディスクでは、オーバーコー
ト膜を一度剥離したところ、略ディスク全体に亘り、誘
電体干渉層が基板から剥離した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の光ディスクの一例を示す概略分
解断面図である。
【図2】図2は従来の光磁気ディスクを示す概略断面図
である。
【図3】図3は実施例および比較例における結果を示す
グラフである。
【符号の説明】
1…基板 2…記録膜 3…誘電体干渉層 4…光磁気記録層 5…第1の誘電体保護層 6…反射層 7…第2の誘電体層 8…オーバーコート膜 9…接着層 10…樹脂層 11…第3の誘電体層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 宏幸 兵庫県姫路市網干区新在家1239 ダイセル 化学工業株式会社内 (72)発明者 高塚 裕二 兵庫県姫路市網干区新在家1239 ダイセル 化学工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ディスクの記録膜を保護するオーバー
    コート膜であって、前記記録膜に対して密着かつ剥離可
    能な接着層を有するオーバーコート膜。
  2. 【請求項2】 オーバーコート膜が、記録膜から剥離可
    能な接着層と、この接着層に形成された樹脂層と、この
    樹脂層に形成された誘電体層とで構成されている請求項
    1記載のオーバーコート膜。
  3. 【請求項3】 膜厚が3〜10μmである請求項1又は
    2記載のオーバーコート膜。
  4. 【請求項4】 光ディスクの記録膜にオーバーコート膜
    が形成された光ディスクであって、オーバーコート膜
    が、前記記録膜に対して密着かつ剥離可能な接着層と、
    この接着層に形成された樹脂層と、この樹脂層に形成さ
    れた誘電体層とで構成されている光ディスク。
  5. 【請求項5】 透明基板上に形成された記録膜が、少な
    くとも誘電体干渉層、光磁気記録層、誘電体保護層およ
    び反射層を備えている請求項4記載の光ディスク。
  6. 【請求項6】 反射層とオーバーコート膜との間に誘電
    体層が介在する請求項5記載の光ディスク。
  7. 【請求項7】 基板に、記録膜と剥離可能なオーバーコ
    ート膜とを形成して光ディスクを製造する方法であっ
    て、前記基板をエッチングし、直流スパッタリング法に
    より、記録膜のうち基板と接する層を形成する光ディス
    クの製造方法。
  8. 【請求項8】 基板をエッチングし、直流スパッタリン
    グ法により誘電体干渉層を形成し、光磁気記録層、誘電
    体保護層、反射層および剥離可能なオーバーコート膜を
    順次形成する請求項7記載の光ディスクの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001086648A1 (fr) * 2000-04-25 2001-11-15 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Procede de fabrication de substrat de disque, procede et dispositif de fabrication de disque optique
KR100700519B1 (ko) * 2001-05-04 2007-03-28 엘지전자 주식회사 근접장용 광자기 기록매체 및 그 제조방법

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