JPH06257000A - 防眩性と耐食性を兼ね備えた外装用ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
防眩性と耐食性を兼ね備えた外装用ステンレス鋼板の製造方法Info
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- JPH06257000A JPH06257000A JP4356893A JP4356893A JPH06257000A JP H06257000 A JPH06257000 A JP H06257000A JP 4356893 A JP4356893 A JP 4356893A JP 4356893 A JP4356893 A JP 4356893A JP H06257000 A JPH06257000 A JP H06257000A
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- Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】耐食性、防眩性に優れた低白色度のステンレス
鋼板の製造方法を提供する。 【構成】重量%で、C:0.020%以下、Cr:1
7.0〜35.0%、Mo:0.5〜4.0%、Si:
0.05〜1.0%、Mn:0.05〜0.5%、A
l:0.005 〜0.2%、残部Feおよびその他不可避的
不純物からなり、鋼板の表面粗さ(Ra)が0.5〜1
0.0μm の冷延鋼板を光輝焼鈍したあと、400℃未
満に再加熱し、次いで、中性塩溶液中で電解を行うかま
たは硫酸若しくは塩酸溶液に浸漬し、その後、硝酸と弗
酸の混酸溶液に浸漬する、硝酸溶液に浸漬するかあるい
は同溶液中で電解を行う、または硝酸と弗酸の混酸溶液
に浸漬した後硝酸溶液に浸漬若しくは同溶液中で電解を
行う、のうちのいずれかの処理を行う。
鋼板の製造方法を提供する。 【構成】重量%で、C:0.020%以下、Cr:1
7.0〜35.0%、Mo:0.5〜4.0%、Si:
0.05〜1.0%、Mn:0.05〜0.5%、A
l:0.005 〜0.2%、残部Feおよびその他不可避的
不純物からなり、鋼板の表面粗さ(Ra)が0.5〜1
0.0μm の冷延鋼板を光輝焼鈍したあと、400℃未
満に再加熱し、次いで、中性塩溶液中で電解を行うかま
たは硫酸若しくは塩酸溶液に浸漬し、その後、硝酸と弗
酸の混酸溶液に浸漬する、硝酸溶液に浸漬するかあるい
は同溶液中で電解を行う、または硝酸と弗酸の混酸溶液
に浸漬した後硝酸溶液に浸漬若しくは同溶液中で電解を
行う、のうちのいずれかの処理を行う。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビルの外装建材や建物
の屋根材などに用いられる防眩性と耐食性を兼ね備えた
ステンレス鋼板の製造方法に関するものである。
の屋根材などに用いられる防眩性と耐食性を兼ね備えた
ステンレス鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼板を屋根などの外装材に用
いる場合、耐食性に加えて、防眩性およびステンレス鋼
特有の色調が要求される。防眩性は鋼板表面に大きな凹
凸をつけて光の反射率を低減することが有効である。鋼
板表面の凹凸は表面に凹凸の加工を行ったダルロールを
用いた圧延により、ロール表面を鋼板表面へ転写させる
ことによりつけられる。
いる場合、耐食性に加えて、防眩性およびステンレス鋼
特有の色調が要求される。防眩性は鋼板表面に大きな凹
凸をつけて光の反射率を低減することが有効である。鋼
板表面の凹凸は表面に凹凸の加工を行ったダルロールを
用いた圧延により、ロール表面を鋼板表面へ転写させる
ことによりつけられる。
【0003】ステンレス鋼板の表面色調(白色度)は焼
鈍工程を焼鈍・酸洗(AP)工程にするのか、光輝焼鈍
(BA)工程にするのかで決まることが知られている。
AP工程では白く仕上がり、白色度は高くなる傾向があ
る。一方、BA工程では、AP工程のように酸洗(P)
工程がないため、AP工程に比べて白色度が低くなり、
金属特有の色調をもつ。従来のダル仕上げステンレス
は、特開昭63−49305号公報の例に示されるよう
に、BA鋼板として屋根材等の外装材に仕上げられてい
るが、耐食性がAP工程材に比べて劣るという欠点があ
る。
鈍工程を焼鈍・酸洗(AP)工程にするのか、光輝焼鈍
(BA)工程にするのかで決まることが知られている。
AP工程では白く仕上がり、白色度は高くなる傾向があ
る。一方、BA工程では、AP工程のように酸洗(P)
工程がないため、AP工程に比べて白色度が低くなり、
金属特有の色調をもつ。従来のダル仕上げステンレス
は、特開昭63−49305号公報の例に示されるよう
に、BA鋼板として屋根材等の外装材に仕上げられてい
るが、耐食性がAP工程材に比べて劣るという欠点があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ダル圧延後、BA工程
を経た鋼板は白っぽさが低減しているため、金属光沢を
保ちながら防眩性にも優れるという特徴を持つ。しか
し、この工程を経た鋼板の耐食性はダル圧延後AP工程
を経た鋼板に比較して劣るという問題がある。
を経た鋼板は白っぽさが低減しているため、金属光沢を
保ちながら防眩性にも優れるという特徴を持つ。しか
し、この工程を経た鋼板の耐食性はダル圧延後AP工程
を経た鋼板に比較して劣るという問題がある。
【0005】本発明は、前記問題点を解決した、防眩性
と耐食性を兼ね備えた低白色度のステンレス鋼板の製造
方法を提供することを目的とする。
と耐食性を兼ね備えた低白色度のステンレス鋼板の製造
方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、防眩性、
耐食性および白色度に及ぼすダル圧延材の製造プロセス
の影響を調査した結果、次の知見を得た。
耐食性および白色度に及ぼすダル圧延材の製造プロセス
の影響を調査した結果、次の知見を得た。
【0007】防眩性は適正粗度のダル加工で付与できる
ものの、ダル加工のままでは耐食性が低下すること、ダ
ル圧延後通常の焼鈍(燃焼ガス雰囲気)をしてアルカリ
溶融塩中に浸漬して、その後硝酸+弗酸の混酸(以後、
硝弗酸と記す)で酸洗した鋼板は、耐食性は確保される
が白色度が高すぎることや、焼鈍時の酸化スケールの生
成とアルカリ溶融塩中の化学反応が不均一になり、色調
にむらができることなど、防眩性、耐食性に優れた低白
色度のステンレス鋼板を得ることは極めてむずかしい。
ものの、ダル加工のままでは耐食性が低下すること、ダ
ル圧延後通常の焼鈍(燃焼ガス雰囲気)をしてアルカリ
溶融塩中に浸漬して、その後硝酸+弗酸の混酸(以後、
硝弗酸と記す)で酸洗した鋼板は、耐食性は確保される
が白色度が高すぎることや、焼鈍時の酸化スケールの生
成とアルカリ溶融塩中の化学反応が不均一になり、色調
にむらができることなど、防眩性、耐食性に優れた低白
色度のステンレス鋼板を得ることは極めてむずかしい。
【0008】防眩性は結晶粒単位の表面粗さでは付与す
ることができず、表面粗さ(Ra)が0.5〜10μm
であることが必要であり、また長期の大気曝露下におけ
る耐食性および色調にも影響することがわかった。その
ためには、焼鈍前にダルロールで1パス以上の圧延を行
って適正な表面粗度に調整することが必要である。
ることができず、表面粗さ(Ra)が0.5〜10μm
であることが必要であり、また長期の大気曝露下におけ
る耐食性および色調にも影響することがわかった。その
ためには、焼鈍前にダルロールで1パス以上の圧延を行
って適正な表面粗度に調整することが必要である。
【0009】さらに、ダル加工と耐食性の関係を明確に
するために、ダル圧延後の鋼板表面を詳細に調査した結
果、ダル加工のままでは鋼板表面に加工時に形成された
倒れ込みやダルロール表面の凸部と接し、面圧の高い状
態で圧延された強加工部分が存在し、これら表面の加工
組織が耐食性に影響していることがわかった。
するために、ダル圧延後の鋼板表面を詳細に調査した結
果、ダル加工のままでは鋼板表面に加工時に形成された
倒れ込みやダルロール表面の凸部と接し、面圧の高い状
態で圧延された強加工部分が存在し、これら表面の加工
組織が耐食性に影響していることがわかった。
【0010】本発明のように光輝焼鈍したものはダル圧
延状態が維持されており、そのためステンレス鋼特有の
色調となっている。前記光輝焼鈍鋼板にさらに特定温度
範囲内で加熱を制御した後、本発明に従う溶液中での電
解、酸洗を行うことにより、防眩性、白色度、耐食性の
いずれもが満たされることを見出した。
延状態が維持されており、そのためステンレス鋼特有の
色調となっている。前記光輝焼鈍鋼板にさらに特定温度
範囲内で加熱を制御した後、本発明に従う溶液中での電
解、酸洗を行うことにより、防眩性、白色度、耐食性の
いずれもが満たされることを見出した。
【0011】すなわち、本発明は、重量%で、C:0.
020%以下、Cr:17.0〜35.0%、Mo:
0.5〜4.0%、Si:0.05〜1.0%、Mn:
0.05〜0.5%、Al:0.005 〜0.2%、残部F
eおよびその他不可避的不純物からなり、鋼板の表面粗
さ(Ra)が0.5〜10.0μm の冷延鋼板を光輝焼
鈍したあと、400℃未満に再加熱し、次いで、中性塩
溶液中で電解を行うかまたは硫酸若しくは塩酸溶液に浸
漬し、その後、硝酸と弗酸の混酸溶液に浸漬する、硝酸
溶液に浸漬するかあるいは同溶液中で電解を行う、また
は硝酸と弗酸の混酸溶液に浸漬した後硝酸溶液に浸漬若
しくは同溶液中で電解を行う、のうちのいずれかの処理
を行うことを特徴とする、防眩性と耐食性を兼ね備えた
外装用ステンレス鋼板の製造方法を提供するものであ
る。
020%以下、Cr:17.0〜35.0%、Mo:
0.5〜4.0%、Si:0.05〜1.0%、Mn:
0.05〜0.5%、Al:0.005 〜0.2%、残部F
eおよびその他不可避的不純物からなり、鋼板の表面粗
さ(Ra)が0.5〜10.0μm の冷延鋼板を光輝焼
鈍したあと、400℃未満に再加熱し、次いで、中性塩
溶液中で電解を行うかまたは硫酸若しくは塩酸溶液に浸
漬し、その後、硝酸と弗酸の混酸溶液に浸漬する、硝酸
溶液に浸漬するかあるいは同溶液中で電解を行う、また
は硝酸と弗酸の混酸溶液に浸漬した後硝酸溶液に浸漬若
しくは同溶液中で電解を行う、のうちのいずれかの処理
を行うことを特徴とする、防眩性と耐食性を兼ね備えた
外装用ステンレス鋼板の製造方法を提供するものであ
る。
【0012】さらに、重量%でNb:0.1〜0.5
%、Ti:0.1〜0.5%およびV:0.05〜0.
5%から選ばれた一種以上の元素を含有するステンレス
鋼板を用いると、さらにCr+3Mo:20〜40%で
あるステンレス鋼板を用いると耐食性、防眩性および色
調に優れた屋根等の外装用ステンレス鋼板を製造するの
に有利である。
%、Ti:0.1〜0.5%およびV:0.05〜0.
5%から選ばれた一種以上の元素を含有するステンレス
鋼板を用いると、さらにCr+3Mo:20〜40%で
あるステンレス鋼板を用いると耐食性、防眩性および色
調に優れた屋根等の外装用ステンレス鋼板を製造するの
に有利である。
【0013】
【作用】次に、本発明で用いるステンレス鋼の成分の限
定理由について述べる。組成はすべてwt%である。
定理由について述べる。組成はすべてwt%である。
【0014】C:0.02%より多いと製造中の熱処理
でCrと結合してCr炭化物を形成し、そのため、耐食
性が低下する。したがって、C量は0.02%以下に限
定した。
でCrと結合してCr炭化物を形成し、そのため、耐食
性が低下する。したがって、C量は0.02%以下に限
定した。
【0015】Cr:耐食性を付与するための必須成分で
あるが、17%より少ないと、長期の大気中の曝露で発
銹する。一方、35%を超えると、延性および靱性が著
しく低下して、薄板への製造性を著しく阻害する。した
がって、Crの含有量を17〜35%に限定した。
あるが、17%より少ないと、長期の大気中の曝露で発
銹する。一方、35%を超えると、延性および靱性が著
しく低下して、薄板への製造性を著しく阻害する。した
がって、Crの含有量を17〜35%に限定した。
【0016】Mo:耐孔食性向上に効果があるが、0.
5%より少ないと大気中曝露における孔食発生傾向が高
くなる。一方、4.0%を超えると熱間加工性が著しく
低下する。したがって、Moの含有量を0.5〜4.0
%に限定した。
5%より少ないと大気中曝露における孔食発生傾向が高
くなる。一方、4.0%を超えると熱間加工性が著しく
低下する。したがって、Moの含有量を0.5〜4.0
%に限定した。
【0017】ここで、CrとMoの含有量は、(Cr+
3Mo)で表される指標が20〜40%であることが好
ましい。
3Mo)で表される指標が20〜40%であることが好
ましい。
【0018】Si:脱酸剤として添加するが、0.05
%未満では効果が小さく、1.0%を超えると機械的性
質に悪影響を及ぼす。従って、Siの添加量は0.05
〜1.0%に限定した。
%未満では効果が小さく、1.0%を超えると機械的性
質に悪影響を及ぼす。従って、Siの添加量は0.05
〜1.0%に限定した。
【0019】Mn:0.5%を超えると耐食性が低下す
る。一方、0.05%未満とすると経済性が損なわれ
る。そこで、Mnの添加量を0.05〜0.5%に限定
した。
る。一方、0.05%未満とすると経済性が損なわれ
る。そこで、Mnの添加量を0.05〜0.5%に限定
した。
【0020】Al:脱酸剤として添加するが、0.005 %
未満では効果が小さく、0.2%を超えると機械的性質
に悪影響を及ぼす。したがって、Alの添加量を0.005
〜0.2%に限定した。
未満では効果が小さく、0.2%を超えると機械的性質
に悪影響を及ぼす。したがって、Alの添加量を0.005
〜0.2%に限定した。
【0021】また、Crの耐食性向上効果を確保するた
めに、Nb、TiおよびVの添加が有効であり、本発明
においてはNb、TiおよびVの添加量を以下のように
限定した。
めに、Nb、TiおよびVの添加が有効であり、本発明
においてはNb、TiおよびVの添加量を以下のように
限定した。
【0022】Nb:Cと結合して炭化物を作り、粒界へ
のCr炭化物の析出を抑制し、耐食性向上に有効な元素
である、0.1%より少ないとCr炭化物の生成を抑制
する効果が小さく、0.5%より多いと靱性を低下させ
る。したがって、Nbの含有量は0.1〜0.5%に限
定した。
のCr炭化物の析出を抑制し、耐食性向上に有効な元素
である、0.1%より少ないとCr炭化物の生成を抑制
する効果が小さく、0.5%より多いと靱性を低下させ
る。したがって、Nbの含有量は0.1〜0.5%に限
定した。
【0023】Ti:Cと結合して炭化物を作り、粒界へ
のCr炭化物の析出を抑制し、耐食性向上に有効な元素
である。0.1%より少ないとCr炭化物の生成を抑制
する効果が小さく、0.5%より多いと靱性を低下させ
る。したがって、Tiの含有量は0.1〜0.5%に限
定した。
のCr炭化物の析出を抑制し、耐食性向上に有効な元素
である。0.1%より少ないとCr炭化物の生成を抑制
する効果が小さく、0.5%より多いと靱性を低下させ
る。したがって、Tiの含有量は0.1〜0.5%に限
定した。
【0024】V:Cと結合して炭化物を作り、粒界への
Cr炭化物の析出を抑制し、耐食性向上に有効な元素で
ある。0.05%より少ないとCr炭化物の生成を抑制
する効果が小さく、0.5%より多いと靱性を低下させ
る。したがって、Vの含有量は0.05〜0.5%に限
定した。
Cr炭化物の析出を抑制し、耐食性向上に有効な元素で
ある。0.05%より少ないとCr炭化物の生成を抑制
する効果が小さく、0.5%より多いと靱性を低下させ
る。したがって、Vの含有量は0.05〜0.5%に限
定した。
【0025】以上の化学組成をもつステンレス鋼板を特
定表面粗さにダル加工することが耐食性と防眩性を付与
するのに必要である。ダル加工による表面粗さ(Ra)
が0.5μm より小さい場合には、太陽光線の入射角度
が60°より小さいと眩しさを感じてしまう。一方、表
面粗さが10.0μm を超えると大気曝露中に大気に浮
遊する汚染物質がたまり、耐食性が極端に低下する。し
たがって、表面粗さは0.5〜10.0μm に限定し
た。
定表面粗さにダル加工することが耐食性と防眩性を付与
するのに必要である。ダル加工による表面粗さ(Ra)
が0.5μm より小さい場合には、太陽光線の入射角度
が60°より小さいと眩しさを感じてしまう。一方、表
面粗さが10.0μm を超えると大気曝露中に大気に浮
遊する汚染物質がたまり、耐食性が極端に低下する。し
たがって、表面粗さは0.5〜10.0μm に限定し
た。
【0026】以上説明した成分および表面性状を有する
ステンレス鋼について、本発明では下記の処理を施すこ
とにより、防眩性および耐食性を兼ね備えた外装用ステ
ンレス鋼を製造する。
ステンレス鋼について、本発明では下記の処理を施すこ
とにより、防眩性および耐食性を兼ね備えた外装用ステ
ンレス鋼を製造する。
【0027】上記ステンレス鋼にまず光輝焼鈍(BA)
を施す。光輝焼鈍はダル加工面の金属光沢および延性を
回復させるために行うものであり、アンモニア分解ガ
ス、純水素あるいは水素+窒素雰囲気中で露点−40℃
以下、950〜1050℃で処理するのがよい。
を施す。光輝焼鈍はダル加工面の金属光沢および延性を
回復させるために行うものであり、アンモニア分解ガ
ス、純水素あるいは水素+窒素雰囲気中で露点−40℃
以下、950〜1050℃で処理するのがよい。
【0028】本発明では、光輝焼鈍後に、400℃未満
の酸化性雰囲気中で再加熱処理を行った後、電解処理お
よび酸洗、あるいは酸洗のみを行い、ダル加工時に生じ
た倒れ込み部を除去する。なお、倒れ込みとはダル加工
面の凹部上にオーバーハング状に張り出した部分をい
う。
の酸化性雰囲気中で再加熱処理を行った後、電解処理お
よび酸洗、あるいは酸洗のみを行い、ダル加工時に生じ
た倒れ込み部を除去する。なお、倒れ込みとはダル加工
面の凹部上にオーバーハング状に張り出した部分をい
う。
【0029】光輝焼鈍において確保したダル加工面の金
属光沢を再加熱および電解・酸洗工程においても消失さ
せないために、条件を設定した。
属光沢を再加熱および電解・酸洗工程においても消失さ
せないために、条件を設定した。
【0030】光輝焼鈍後に行う再加熱処理は、後続の電
解処理・酸洗による倒れ込み部除去を促進させる効果が
あるが、400℃以上での加熱は経済的に不利となるの
で、400℃未満に限定する。400℃未満の再加熱
は、ダル加工面の金属光沢を消失させないという条件に
も適合する。なお、400℃未満には常温(室温)も含
まれる。したがって、「400℃未満の再加熱」には、
実際上、常温に放置して積極的な加熱を行わない場合も
含まれる。
解処理・酸洗による倒れ込み部除去を促進させる効果が
あるが、400℃以上での加熱は経済的に不利となるの
で、400℃未満に限定する。400℃未満の再加熱
は、ダル加工面の金属光沢を消失させないという条件に
も適合する。なお、400℃未満には常温(室温)も含
まれる。したがって、「400℃未満の再加熱」には、
実際上、常温に放置して積極的な加熱を行わない場合も
含まれる。
【0031】次いで、中性塩溶液中で電解、または硫酸
若しくは塩酸溶液への浸漬により、倒れ込み部を溶解除
去する。中性塩としては硫酸ソーダなどを好適に用いる
ことができ、濃度は10〜30%、液温は室温〜90℃
が好適である。電解条件は1〜20A/dm2 の電流密
度で5〜120秒の電解時間とするのが好ましい。一
方、硫酸溶液への浸漬の場合は5〜25%の濃度、60
〜80℃の液温、10秒〜30分間の浸漬時間が好まし
く、塩酸溶液への浸漬の場合は5〜25%の濃度、50
〜80℃の液温、10秒〜30分間の浸漬時間が好まし
い。
若しくは塩酸溶液への浸漬により、倒れ込み部を溶解除
去する。中性塩としては硫酸ソーダなどを好適に用いる
ことができ、濃度は10〜30%、液温は室温〜90℃
が好適である。電解条件は1〜20A/dm2 の電流密
度で5〜120秒の電解時間とするのが好ましい。一
方、硫酸溶液への浸漬の場合は5〜25%の濃度、60
〜80℃の液温、10秒〜30分間の浸漬時間が好まし
く、塩酸溶液への浸漬の場合は5〜25%の濃度、50
〜80℃の液温、10秒〜30分間の浸漬時間が好まし
い。
【0032】続いて、(1)硝弗酸溶液への浸漬、
(2)硝酸溶液への浸漬または同溶液中での電解処理、
(3)硝弗酸溶液への浸漬と、それに引き続いて行う硝
酸溶液への浸漬または同溶液中での電解処理、のなかの
いずれかの方法によって不動態化を行う。混酸(硝弗
酸)への浸漬の場合は濃度5〜25%、液温40〜80
℃が好ましく、硝酸への浸漬の場合は濃度5〜20%、
液温30〜70℃が好ましく、硝酸溶液中の電解条件は
電流密度1〜20A/dm2 、電解時間1〜30秒とす
るのが好ましい。
(2)硝酸溶液への浸漬または同溶液中での電解処理、
(3)硝弗酸溶液への浸漬と、それに引き続いて行う硝
酸溶液への浸漬または同溶液中での電解処理、のなかの
いずれかの方法によって不動態化を行う。混酸(硝弗
酸)への浸漬の場合は濃度5〜25%、液温40〜80
℃が好ましく、硝酸への浸漬の場合は濃度5〜20%、
液温30〜70℃が好ましく、硝酸溶液中の電解条件は
電流密度1〜20A/dm2 、電解時間1〜30秒とす
るのが好ましい。
【0033】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 (実施例)表1に示す化学組成の鋼を溶解し、熱間圧延
により、4mmの板厚の鋼板とした。なお表1中No.
8およびNo.9の鋼は熱間圧延時に割れを発生したた
め、以降の工程を進めることができなかった。1000
℃×10minの加熱後急冷の熱処理を施したのち、酸
洗および研磨により酸化スケールを除去した。これら鋼
板を1.0mmまで冷間圧延して、最終パスは表面粗さ
(Ra)が4〜20μmのダルロールで圧延した。
明する。 (実施例)表1に示す化学組成の鋼を溶解し、熱間圧延
により、4mmの板厚の鋼板とした。なお表1中No.
8およびNo.9の鋼は熱間圧延時に割れを発生したた
め、以降の工程を進めることができなかった。1000
℃×10minの加熱後急冷の熱処理を施したのち、酸
洗および研磨により酸化スケールを除去した。これら鋼
板を1.0mmまで冷間圧延して、最終パスは表面粗さ
(Ra)が4〜20μmのダルロールで圧延した。
【0034】このようにダル加工された鋼板は表2に示
すようにして処理された。光輝焼鈍は露点−45℃のア
ンモニア分解ガス雰囲気で1000℃の熱処理とし、再
加熱は大気雰囲気中で処理した。中性塩水溶液中の電解
は20%濃度のNa2 SO4水溶液、液温80℃、電流
密度15A/dm2 、電解時間30秒の条件とした。硫
酸溶液浸漬および塩酸溶液浸漬はそれぞれ濃度20%、
液温80℃、浸漬時間60秒の時間とした。硝弗酸浸漬
は濃度20%(硝酸:弗酸=2:1)、液温60℃、浸
漬時間60秒の条件とした。硝酸溶液への浸漬あるいは
同溶液中での電解は濃度10%、液温55℃とし、浸漬
の場合は浸漬時間30秒とし、電解の場合は電流密度1
0A/dm2 、電解時間4秒の条件とした。条件Iは条
件A〜Hでの光輝焼鈍の代わりに1000℃、60秒の
LPG燃焼雰囲気で焼鈍後、400℃のアルカリ溶融塩
(NaOH+NaNO3 )に浸漬し、濃度20%、80
℃の硫酸、次いで20%の硝弗酸(硝酸:弗酸=2:
1、液温60℃)にそれぞれ60秒、60秒浸漬した。
得られた各鋼板について、光沢度、白色度、孔食電位を
測定した。その結果を表3に示す。
すようにして処理された。光輝焼鈍は露点−45℃のア
ンモニア分解ガス雰囲気で1000℃の熱処理とし、再
加熱は大気雰囲気中で処理した。中性塩水溶液中の電解
は20%濃度のNa2 SO4水溶液、液温80℃、電流
密度15A/dm2 、電解時間30秒の条件とした。硫
酸溶液浸漬および塩酸溶液浸漬はそれぞれ濃度20%、
液温80℃、浸漬時間60秒の時間とした。硝弗酸浸漬
は濃度20%(硝酸:弗酸=2:1)、液温60℃、浸
漬時間60秒の条件とした。硝酸溶液への浸漬あるいは
同溶液中での電解は濃度10%、液温55℃とし、浸漬
の場合は浸漬時間30秒とし、電解の場合は電流密度1
0A/dm2 、電解時間4秒の条件とした。条件Iは条
件A〜Hでの光輝焼鈍の代わりに1000℃、60秒の
LPG燃焼雰囲気で焼鈍後、400℃のアルカリ溶融塩
(NaOH+NaNO3 )に浸漬し、濃度20%、80
℃の硫酸、次いで20%の硝弗酸(硝酸:弗酸=2:
1、液温60℃)にそれぞれ60秒、60秒浸漬した。
得られた各鋼板について、光沢度、白色度、孔食電位を
測定した。その結果を表3に示す。
【0035】表3から明らかなように、本発明による鋼
板は耐食性、防眩性に優れ、色調はダル加工後光輝焼鈍
した鋼板とほぼ同等であることがわかる。
板は耐食性、防眩性に優れ、色調はダル加工後光輝焼鈍
した鋼板とほぼ同等であることがわかる。
【0036】なお、光沢度は光沢計を用い、入射角20
°の条件により測定した。また、白色度は測色色差計を
用いてL,a,bを測定し、ハンター式 W(Lab)=100−[(100−L)2 +a2 +b
2 ]1/2 により算出した。
°の条件により測定した。また、白色度は測色色差計を
用いてL,a,bを測定し、ハンター式 W(Lab)=100−[(100−L)2 +a2 +b
2 ]1/2 により算出した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】本発明はステンレス鋼の化学組成をある
特定範囲に限定して、大気中の曝露における長期にわた
る耐食性を確保し、防眩性付与のためのダル加工による
耐食性の低下を、光輝焼鈍とそれに続く400℃未満で
の再加熱、さらには中性塩溶液中の電解および酸洗条件
を工夫することにより回避して、耐食性と防眩性に優れ
た低白色度のステンレス鋼板を得ることができるという
効果を奏する。
特定範囲に限定して、大気中の曝露における長期にわた
る耐食性を確保し、防眩性付与のためのダル加工による
耐食性の低下を、光輝焼鈍とそれに続く400℃未満で
の再加熱、さらには中性塩溶液中の電解および酸洗条件
を工夫することにより回避して、耐食性と防眩性に優れ
た低白色度のステンレス鋼板を得ることができるという
効果を奏する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23G 1/08 9351−4K
Claims (3)
- 【請求項1】重量%で、C:0.020%以下、Cr:
17.0〜35.0%、Mo:0.5〜4.0%、S
i:0.05〜1.0%、Mn:0.05〜0.5%、
Al:0.005 〜0.2%、残部Feおよびその他不可避
的不純物からなり、鋼板の表面粗さ(Ra)が0.5〜
10.0μm の冷延鋼板を光輝焼鈍したあと、400℃
未満に再加熱し、次いで、中性塩溶液中で電解を行うか
または硫酸若しくは塩酸溶液に浸漬し、その後、硝酸と
弗酸の混酸溶液に浸漬する、硝酸溶液に浸漬するかある
いは同溶液中で電解を行う、または硝酸と弗酸の混酸溶
液に浸漬した後硝酸溶液に浸漬若しくは同溶液中で電解
を行う、のうちのいずれかの処理を行うことを特徴とす
る、防眩性と耐食性を兼ね備えた外装用ステンレス鋼板
の製造方法。 - 【請求項2】成分組成としてさらに、重量%でNb:
0.1〜0.5%、Ti:0.1〜0.5%およびV:
0.05〜0.5%から選ばれた一種以上の元素を含有
する、請求項1に記載の防眩性と耐食性を兼ね備えた外
装用ステンレス鋼板の製造方法。 - 【請求項3】前記成分組成において、Cr+3Moが2
0〜40重量%である請求項1または2に記載の防眩性
と耐食性を兼ね備えた外装用ステンレス鋼板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4356893A JP2702371B2 (ja) | 1993-03-04 | 1993-03-04 | 防眩性と耐食性を兼ね備えた外装用ステンレス鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4356893A JP2702371B2 (ja) | 1993-03-04 | 1993-03-04 | 防眩性と耐食性を兼ね備えた外装用ステンレス鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06257000A true JPH06257000A (ja) | 1994-09-13 |
JP2702371B2 JP2702371B2 (ja) | 1998-01-21 |
Family
ID=12667355
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4356893A Expired - Fee Related JP2702371B2 (ja) | 1993-03-04 | 1993-03-04 | 防眩性と耐食性を兼ね備えた外装用ステンレス鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2702371B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1101840A1 (de) * | 1999-11-18 | 2001-05-23 | Andritz AG | Verfahren zur Herstellung von Edelstahlbändern mit verbesserten Oberflächeneigenschaften |
KR100720278B1 (ko) * | 2005-12-26 | 2007-05-22 | 주식회사 포스코 | Nb첨가 고 Cr 페라이트계 안정화 스테인리스강의 고속산세방법 |
KR101145601B1 (ko) * | 2005-10-27 | 2012-05-15 | 주식회사 포스코 | 오스테나이트계 스테인레스강의 고속산세방법 |
JP2015145531A (ja) * | 2014-02-04 | 2015-08-13 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 研磨後の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
-
1993
- 1993-03-04 JP JP4356893A patent/JP2702371B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1101840A1 (de) * | 1999-11-18 | 2001-05-23 | Andritz AG | Verfahren zur Herstellung von Edelstahlbändern mit verbesserten Oberflächeneigenschaften |
JP2001192900A (ja) * | 1999-11-18 | 2001-07-17 | Andritz Ag | 改良された表面性状を有するステンレススチールストリップを製造する方法 |
KR101145601B1 (ko) * | 2005-10-27 | 2012-05-15 | 주식회사 포스코 | 오스테나이트계 스테인레스강의 고속산세방법 |
KR100720278B1 (ko) * | 2005-12-26 | 2007-05-22 | 주식회사 포스코 | Nb첨가 고 Cr 페라이트계 안정화 스테인리스강의 고속산세방법 |
JP2015145531A (ja) * | 2014-02-04 | 2015-08-13 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 研磨後の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2702371B2 (ja) | 1998-01-21 |
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