JPH06256545A - ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法

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JPH06256545A
JPH06256545A JP5043953A JP4395393A JPH06256545A JP H06256545 A JPH06256545 A JP H06256545A JP 5043953 A JP5043953 A JP 5043953A JP 4395393 A JP4395393 A JP 4395393A JP H06256545 A JPH06256545 A JP H06256545A
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film
cooling roll
metal
salt
polyamide
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JP5043953A
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English (en)
Inventor
Kazuhisa Miyashita
和久 宮下
Masashi Hasegawa
雅士 長谷川
Masayoshi Katsura
昌義 桂
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Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸素ガスバリヤ性、耐屈曲ピンホール性、強
靱性に優れ、酸素による内容物の変質を嫌う食品、医療
品、及び薬品等の包装用フィルムに適するポリアミド系
樹脂フィルムを、能率的に製造する方法を提供する。 【構成】 ポリアミド系樹脂フィルムを製造するにあた
り、原料のポリアミド系樹脂として、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、アルミニウム族元素または遷移金属の
少なくとも1種から選ばれた金属のハロゲン化物、イオ
ウ酸素酸塩、燐酸素酸塩、水酸化物、有機カルボン酸塩
または有機スルホン酸塩の少なくとも1種からなる金属
塩が金属成分として30ppm以下に制限されたものを
使用し、フィルム状に溶融押出し、次いで該溶融押出フ
ィルムを回転冷却ロールに静電気的に密着させ、急冷固
化させながら引き取ることを特徴とするポリアミド系樹
脂フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸素ガスバリヤ性、耐
屈曲ピンホール性、強靱性に優れ、酸素による内容物の
変質を嫌う食品、医療品、及び薬品等の包装用フィルム
に適するポリアミド系樹脂フィルムを、能率的に製造す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリアミド系樹脂は、強靱な
性質のために、未延伸フィルム、延伸フィルム、単独フ
ィルムまたは多層フィルムとして、種々の食品包装用途
に利用されてきている。ポリアミド系樹脂フィルムの製
造方法としては、通常、インフレーション法やTダイ法
による溶融押出法が行なわれている。Tダイ法により、
ポリアミド系樹脂フィルムを製造する際には、Tダイよ
り押し出された溶融フィルムは、まず回転冷却ロールに
キャストされる。この時、フィルムを回転冷却ロールへ
均一に密着させるために、エアーナイフでフィルムに空
気を吹き付ける方法(以下「エアーナイフ法」と呼
ぶ)、高圧電極より溶融フィルムに電荷を負荷し、フィ
ルムをロールに静電気的に密着させる方法(以下「静電
密着法」と呼ぶ)などが行なわれている。しかし、これ
らのエアーナイフ法や静電密着法によるキャスティング
においても、引取速度または製膜速度が速くなると、回
転冷却ロールの回転により発生した随伴流のためにこの
ロールとフィルムとの間に空気が巻き込まれて、均一な
フィルムが得られなくなるという問題がある。
【0003】本発明者らの実験によれば、一般的な静電
密着法、例えば、特公昭37ー6142号公報に記載の
方法で、ナイロン6フィルムの製膜を行なっても、厚み
等が均一で平滑美麗なフィルムが得られる製膜速度は、
25m/分程度が限度であり、これを越える速度では、
ピニングバブルといわれる密着不良現象が生じて、完全
に密着急冷された均質なフィルムを得ることができなか
った。この様な25m/分程度の製膜速度では、フィル
ムの生産性が低くコスト高となって、工業的に許容され
るものではない。
【0004】このような問題に対処するための方策とし
て、種々の提案がなされている。例えば、金属製回転冷
却ロールの表面に電気絶縁性被膜を設けて、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂フィ
ルムから回転冷却ロールへの電荷漏洩を少なくして、密
着力を増す方法(例えば、特公昭48ー14784、特
公昭48ー29311、特開昭61ー95925号公報
参照)や、ストリーマコロナ状態のコロナ放電を行ない
つつフィルムに高電流を付与し、帯電量を増すことによ
りフィルムの密着力を増す方法(特公昭59ー2327
0号公報参照)などである。
【0005】しかしながら、従来のストリーマコロナ状
態のコロナ放電を行なう方法(特公昭59ー23270
号公報参照)では、ストリーマコロナ状態のコロナ放電
を発生させるために、高電流を必要とするので、感電の
危険があり、作業の安全性に大きな問題がある。更に、
この場合には針状電極を用いるので、電極の構造上、溶
融したフィルムから発生するモノマー、オリゴマーなど
の昇華物が電極に付着堆積し易く、安定したコロナ放電
を維持するには電極の頻繁な掃除、又は交換が必要なた
めに、長期間にわたって連続的な操業を行なうことがで
きない。また、付着堆積した昇華物による電極の針先端
の汚染の結果、コロナの発生が不均一になってフィルム
に密着不良部分が生じたり、堆積した昇華物がフィルム
上に落下して製品フィルムを汚すばかりでなく、次の延
伸工程においてフィルム破断の原因となるという問題が
ある。このような問題を回避するには、頻繁に電極を掃
除しなくてはならないので、生産性が低下すると共に、
更には針状電極が長時間の使用により針先が微妙に消耗
して、フィルム幅方向に一列として用いる多数の針の高
さが不揃いとなって、フィルム幅方向に均一なコロナ放
電ができなくなり、密着不良発生の原因となるなど、電
極の精度管理が非常に難しいという新たな問題が生起す
る。
【0006】他方、従来の回転冷却ロールの表面に電気
絶縁性被膜を設ける方法(特開昭61ー95925号公
報など参照)は、体積抵抗の小さいフィルムの静電密着
法において、電荷の漏洩を少なくするという意味では合
理的である。しかしながら、上記提案の技術を実施して
も、製膜速度が必ずしも改善されないことがあった。即
ち、回転冷却ロールの表面に電気絶縁性被膜を設ける方
法であっても、ポリアミド系樹脂の溶融時の電気抵抗が
大きい場合、負荷された電荷が溶融した樹脂から逃げて
しまうために、結果として製膜速度が低下するという問
題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実状に
鑑み、回転冷却ロールとの静電密着性に優れ、製膜速度
が速く、フイルムを能率的に製造する方法を提供するこ
とを目的とし、種々検討を重ねた結果、本発明を完成す
るに至ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリアミド系
樹脂フィルムを製造するにあたり、原料のポリアミド系
樹脂として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミ
ニウム族元素または遷移金属の少なくとも1種から選ば
れた金属のハロゲン化物、イオウ酸素酸塩、燐酸素酸
塩、水酸化物、有機カルボン酸塩または有機スルホン酸
塩の少なくとも1種からなる金属塩が金属成分として3
0ppm以下に制限されたものを使用し、フィルム状に
溶融押出し、次いで該溶融押出フィルムを回転冷却ロー
ルに静電気的に密着させ、急冷固化させながら引き取る
ことを特徴とするポリアミド系樹脂フィルムの製造方法
に関するものである。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
らの実験によると、原料のポリアミド系樹脂に、後述す
る特定の化合物の金属塩を、金属成分として30ppm
以下に制限されたものを使用すると、回転冷却ロールと
の静電密着性に優れ、製膜速度が速く、フィルムを能率
的に製造し得ることを見いだした。
【0010】本発明においてポリアミド系樹脂とは、主
にアミド結合よりなる主鎖を持つものをいう。具体的に
は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロ
ン46のような脂肪族系ポリアミド、MXーナイロンの
ような芳香族環を含有する脂肪族系ポリアミド、芳香族
系ポリアミド等または、これらの共重合ポリアミド、ま
たはこれらの樹脂混合物が挙げられる。
【0011】上記のポリアミド系樹脂原料の具体例とし
ては、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ラウリ
ルラクタム、αーピロリドン、αーピペリドンのような
ラクタム類、6ーアミノカプロン酸、7ーアミノヘプタ
ン酸、9ーアミノノナン酸、11ーアミノウンデカン酸
のようなωーアミノ酸類、または二塩基酸とジアミンと
のナイロン塩が使用される。
【0012】そして、全記の二塩基酸としては、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ
オン酸、ドデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、ヘキサ
デカンジオン酸、ヘキサデセンジオン酸、オクタデカン
ジオン酸、オクタデセンジオン酸、エイコサジオン酸、
エイコセンジオン酸、オクタデセンジオン酸、ドコサン
ジオン酸、2,2,4ートリメチルアジピン酸のような
脂肪族カルボン酸、1、4ーシクロヘキサンジカルボン
酸のような脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、フタル酸のような芳香族ジカルボン酸、キシリ
レンジカルボン酸のような芳香族環を含有する脂肪族ジ
カルボン酸等が挙げられ、ジアミンとしては、エチレン
ジアミン、トリメチレンジアミン、テトレメチレンジア
ミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウ
ンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ト
リデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミ
ン、オクタデカメチレンジアミン、2,2,4(または
2,4,4)ートリメチルヘキサメチレンジアミンのよ
うな脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチル
シクロヘキサンジアミン、ビスー(4,4’アミノシク
ロヘキシル)メタンのような脂環式ジアミン、キシリレ
ンジアミンのような芳香族環を含有する脂肪族ジアミン
が挙げられる。
【0013】本発明において、上記原料のポリアミド系
樹脂に含まれる特定の化合物の金属塩は、金属成分とし
て30ppm以下に制限されたものであり、言い換えれ
ば、金属成分として30ppm以下であれば、含有され
ていてもよいものである。前記の特定の化合物の金属塩
とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム
族元素または遷移金属の少なくとも一種から選ばれた金
属のハロゲン化物、イオウ酸素酸塩、燐酸素酸塩、水酸
化物、有機カルボン酸塩または有機スルホン酸塩の少な
くとも1種からなる金属塩を指す。具体例としては、塩
化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化マグ
ネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、臭化ナ
トリウム、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化マグネシ
ウム、臭化カルシウム、よう化ナトリウム、よう化リチ
ウム、よう化カリウム、よう化マグネシウム、よう化カ
ルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸カリウ
ム、硫酸マグネシウム、燐酸ナトリウム、燐酸リチウ
ム、燐酸カリウム、亜燐酸ナトリウム、亜燐酸リチウ
ム、亜燐酸カリウム、亜燐酸マグネシウム、亜燐酸カル
シウム、次亜燐酸ナトリウム、次亜燐酸リチウム、次亜
燐酸カリウム、次亜燐酸マグネシウム、次亜燐酸カルシ
ウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリ
ウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウ
ム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オ
レイン酸リチウム、オレイン酸カリウム、酢酸ナトリウ
ム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、
酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸リチウ
ム、安息香酸カリウム、安息香酸マグネシウム、安息香
酸カルシウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ラウリ
ルスルホン酸リチウム、ラウリルスルホン酸カリウム、
ラウリルスルホン酸マグネシウム、ラウリルスルホン酸
カルシウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼン
スルホン酸リチウム、ベンゼンスルホン酸カリウム等が
挙げられる。この他、5ーナトリウムスルホイソフタル
酸のような、金属塩基を含有したアミド結合形成可能な
化合物を添加してポリアミド鎖に、直接金属塩基を結合
させたものであってもよい。但し、溶融時の樹脂電気特
性に大きな影響を与えない珪素酸塩、例えば、カオリ
ン、タルク、サイロイドのようなフィラーは、本発明に
おける金属塩に含まれない。
【0014】本発明のフィルム製造用原料ポリアミド系
樹脂として、前記化合物の金属塩が微量含有されている
場合、これら化合物の金属塩が金属成分として30pp
m以下に制限したものを用いることが必要である。金属
成分の量を制限する方法としては、原料ポリアミド系樹
脂の製造の際に金属塩を減らして製造する方法、製造の
過程、または製造後に抽出操作によって取り除く方法、
等いずれであってもよい。最終的に溶融押出されるポリ
アミド系樹脂に含まれる金属塩は、金属成分として、3
0ppm以下であればよい。混合樹脂を用いる場合は、
溶融押出される2種類以上の混合樹脂の合計量の金属塩
が、金属成分として30ppm以下であることが必要で
ある。ポリアミド系樹脂に含まれる金属塩が、金属成分
として30ppm以下である樹脂の場合、30ppmを
越えるポリアミド系樹脂に比べ、回転冷却ロールへの溶
融樹脂の静電気的密着性が向上されるのである。
【0015】本発明におけるポリアミド系樹脂に含まれ
る化合物の金属塩の金属成分は、ポリアミド系樹脂を硝
酸と硫酸との混合液中で、マイクロウェーブを用いて湿
式灰化した灰分を水で希釈して、原子吸光法で測定する
ことができる。なお、前記原料ポリアミド系樹脂には、
フィルムの物性に悪影響を与えない種類および範囲内
で、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、フィラー、ブロッ
キング防止剤、安定剤、染料、顔料、無機質微粒子等の
各種添加剤や、他の熱可塑性樹脂等を添加することがで
きる。
【0016】本発明方法に従ってフィルムを製造するに
は、Tダイからフィルム状に溶融押出し、次いで該溶融
押出フィルムを回転冷却ロールに密着させる。溶融押出
フィルムを静電気的に回転冷却ロールに密着させる方法
としては、高圧荷電電極を溶融押出フィルムに近づけて
電荷を付与する方法、回転冷却ロールを絶縁体で被覆
し、高圧荷電電極と逆の電荷を回転冷却ロールに負荷さ
せ、高圧荷電電極を溶融押出フィルムに近づけて電荷を
付与する方法等が有効であるが、これら例示された方法
に限定されるものではない。
【0017】本発明方法に従ってフィルムを製造する場
合において、未延伸フィルムの引取速度は、特に限定さ
れるものではない。引取速度を速くすると、回転冷却ロ
ールと溶融押出フィルムとの間に空気が巻き込まれ、均
一な未延伸フィルムが得られなくなる。例えば、前記化
合物の金属塩を金属成分として200ppm程度含有す
るポリメタキシリレンアジパミド樹脂を、静電密着法に
より絶縁体で被覆した回転冷却ロールに引き取る場合、
最高引取速度が通常20〜30m/分であるのに対し、
前記化合物の金属塩を金属成分として30ppm以下の
ものを原料として使用する場合は、この引取速度以上に
おいても回転冷却ロールと溶融押出フィルム間への空気
の巻き込みが防止され、均一な厚みの未延伸フィルムが
能率的に得られる。
【0018】本発明方法に従って製造されたポリアミド
系樹脂フィルムは、回転冷却ロールによって急冷固化し
た後、そのまま未延伸フィルムとして巻取ロールに巻き
取ったり、この未延伸フィルムを引き続きロール式延伸
機に移送して縦方向に延伸して一軸延伸フィルムとした
り、更にはこの縦方向に延伸したフィルムの両端部をテ
ンタークリップで保持し横方向に延伸して二軸延伸フィ
ルムとしたり、または未延伸フィルムをテンターオーブ
ン内で縦横同時に二軸方向に延伸して二軸延伸フィルム
とする、等に活用される。
【0019】ポリアミド系樹脂フィルムは、未延伸であ
っても食品などの包装に使用できるが、該未延伸フィル
ムを更に、少なくとも一方向に1.1倍以上、好ましく
は、縦横の二軸方向に各々、2.5〜5倍に延伸した二
軸延伸フィルムにすると、更に機械的強度や透明性、酸
素ガスバリヤ性が向上され、各種包装フィルムとして好
適である。延伸方法としては、ロール式一軸延伸方法、
逐次二軸延伸方法、同時二軸延伸方法等、従来公知の方
法を採用することができる。
【0020】本発明における製造方法により製造された
ポリアミド系樹脂フィルムの用途としては、未延伸フィ
ルムはスライスハム等の包装に、また一軸延伸フィルム
は円筒状のハム等の包装に、更に二軸延伸フィルムは、
ハム包装、スープ包装等の食品の包装等に使用できる。
本発明におけるフィルムの製造方法により製造されるフ
ィルムは、2種類以上のポリアミド系樹脂を使用した多
層フィルムであってもよい。この多層フィルムを製造す
る場合には、共押出法が採用できる。その場合は、原料
ポリアミド系樹脂を別々の押出機により溶融し、Tダイ
内で多層に積層し、押出された溶融多層押出フィルムを
回転冷却ロールに静電気的に密着させ、急冷固化させな
がら引き取る方法によればよい。多層フィルムの場合に
は、回転冷却ロールに静電気的に密着する面の原料樹脂
に含まれる金属塩が、金属成分として30ppmであれ
ばよい。
【0021】
【実施例】以下、本発明の内容および効果を実施例によ
り更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えな
い限り以下の例に限定されるものではない。なお、実施
例および比較例で使用したポリアミド系樹脂の金属成分
の含有量は、硝酸と硫酸との混合液中で、マイクロウェ
ーブを用いて湿式灰化した灰分を水で希釈して、原子吸
光法で測定したものである。
【0022】実施例1 ポリカプロラクタム 三菱化成(株)製のノバミッド1022であり、金属成
分としてはフィラー以外は検出されなかった。 ポリメタキシリレンアジパミド 攪拌機、分縮器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入
管を備えた内容積300リットルのオートクレーブに、
精秤したアジピン酸73.1Kgと、次亜燐酸ナトリウム
(1水和塩)5gを仕込み、充分窒素置換し、さらに少
量の窒素気流下に160℃で均一に溶解した。これに、
メタキシリレンジアミン61.3Kgを攪拌下に5時間を
要して滴下した。この間、オートクレーブ内温を、連続
的に223℃まで上昇させた。引き続き、メタキシリレ
ンジアミン6.8Kgを、攪拌下2時間を要して連続的に
滴下した。この間、反応温度を、223℃から243℃
に連続的に昇温させた。メタキシリレンジアミンの滴下
とともに留出する水は、分縮器及び冷却器を通して反応
系外に除いた。メタキシリレンジアミン滴下終了後、内
温を260℃まで昇温し、4時間反応を継続した。反応
の全過程で、生成するオリゴマーまたはポリアミドが固
化、析出する現象は全く認められず、終始均一な溶融状
態を保った。これをストランドとして抜き出してペレッ
ト化、乾燥した。得られたポリメタキシリレンアジパミ
ド中の金属成分は、ナトリウムが約9ppmであった。
【0023】ポリカプロラクタム及びポリメタキシリレ
ンアジパミドを、重量比3:2の割合で混合し、65mm
φの押出機を用いて溶融し、混合樹脂をTダイより27
0℃でフィルム状に押出し、30℃の冷却水を通水した
回転冷却ロールによって急冷した。この際、80μm径
のタングステンワイヤーに負の直流高電圧を印加し、溶
融押出フィルム表面に近付け、溶融押出フィルムを回転
冷却ロールに密着させた後、回転冷却ロールの引取速度
を徐々に増速していった。この増速過程で、引取速度が
50m/分に達するまで、溶融押出フィルムと回転冷却
ロールとの間に空気の巻き込みが起こらず、厚み斑の少
ない透明な未延伸フイルムが得られた。
【0024】この未延伸フィルムを、60℃の条件下で
ロール式延伸機にて縦方向に3倍延伸し、ついでこのフ
イルムの両端部をテンタークリップで保持し、テンター
オーブン内で110℃の条件下で横方向に3倍に延伸し
た後、205℃で6秒間の熱処理を行った。熱処理を行
った後のフイルムは、クリップで把持したフイルム両耳
部分を切りとりスクラップとし、製品フイルム部分はワ
インダーに巻き取り、厚さが約15μmのポリアミド系
樹脂二軸延伸フイルムを得た。得られた二軸延伸フィル
ムは透明で、厚み斑の少ないものだった。
【0025】実施例2 ポリヘキサメチレンアジパミドA 500リットルのオートクレーブに、ヘキサメチレンア
ジパミドの50%水溶液300Kgと次亜燐酸ナトリウム
(1水和塩)10.5gを仕込み、充分窒素置換し、1
3Kg/cm3の一定圧力下で270℃まで昇温し、4時間
反応後、減圧して常圧に戻した後、400torrまで減圧
し、さらに2.5時間保持した。その後、復圧し、スト
ランドとして抜き出した。抜き出したストランドをチッ
プ状にカットした後、乾燥した。得られたポリヘキサメ
チレンレンアジパミドA中の金属成分は、ナトリウムが
約20ppmであった。
【0026】このペレットを65mmφの押出機を用いて
溶融し、Tダイより270℃でフィルム状に押出し、3
0℃の冷却水を通水した回転冷却ロールによって急冷し
た。この際、80μm径のタングステンワイヤーに負の
直流高電圧を印加し、溶融押出フィルム表面に近付け、
溶融押出フィルムを回転冷却ロールに密着させた後、回
転冷却ロールの引取速度を徐々に増速していった。この
増速過程で、引取速度が45m/分に達するまで、溶融
押出フィルムと回転冷却ロール間に空気の巻き込みが起
こらなかった。得られた未延伸フィルムは透明で、厚み
斑の少ないものだった。
【0027】実施例3 実施例1の記載の例において、ポリカプロラクタムおよ
びポリメタキシリレンアジパミドを、65mmφ押出機2
台を使用して別々に溶融させ、一方の押出機の溶融樹脂
を2つに分割して、共押出Tダイに導き、このTダイ内
で積層させて2種3層構造の積層フイルムとして押出
し、30℃の冷却水を通水した回転冷却ロールによって
急冷した。この際、次ぎに80μm径のタングステンワ
イヤーに負の直流高電圧を印加し、溶融押出フィルム表
面に近付け、溶融押出フィルムを回転冷却ロールに密着
させた後、回転冷却ロールの引取速度を徐々に増速して
いった。この増速過程で、引取速度が50m/分に達す
るまで、溶融押出フィルムと回転冷却ロール間に空気の
巻き込みが起こらなかった。得られた未延伸フィルム
は、両外層が各約50μmのポリカプロラクタム、中間
層が約36μmのポリメタキシリレンアジパミドよりな
る構造の透明で、厚み斑の少ないものだった。
【0028】比較例1 実施例1の記載の例において、ポリメタキシリレンアジ
パミドの代わりに、三菱ガス化学(株)製MXーナイロ
ン6007(金属成分の量は、ナトリウムを約200p
pm含有)を用いて、同例におけると同様に、回転冷却
ロールの引取速度を徐々に増速していった。この増速過
程で、引取速度が25/m分以上になると、溶融押出フ
ィルムと回転冷却ロールとの間に空気の巻き込みが起こ
り、厚み斑のないポリアミド系樹脂フィルムが得られな
かった。
【0029】比較例2 ポリヘキサメチレンアジパミドB 500リットルのオートクレーブに、ヘキサメチレンア
ジパミドの50%水溶液300Kgと次亜燐酸ナトリウム
(1水和塩)50gを仕込み、充分窒素置換し、13Kg
/cm3の一定圧力下で270℃まで昇温し、4時間反応
後、減圧して常圧に戻した後、400torrまで減圧し、
さらに2.5時間保持した。その後、復圧し、ストラン
ドとして抜き出した。抜き出したストランドをチップ状
にカットした後、乾燥した。得られたポリメタキシリレ
ンアジパミドB中の金属成分は、ナトリウムが約100
ppmであった。
【0030】このペレットを65mmφの押出機を用いて
溶融し、Tダイより270℃でフィルム状に押出し、3
0℃の冷却水を通水した回転冷却ロールによって急冷し
た。この際、80μm径のタングステンワイヤーに負の
直流高電圧を印加し、溶融押出フィルム表面に近付け、
溶融押出フィルムを回転冷却ロールに密着さた後、回転
冷却ロールの引取速度を徐々に増速していった。この増
速過程で、引取速度が25m/分以上になると、溶融押
出フィルムと回転冷却ロールとの間に空気の巻き込みが
起こり、厚み斑のないポリアミド系樹脂フィルムが得ら
れなかった。
【0031】
【発明の効果】本発明に係るポリアミド系フィルムの製
造方法によると、回転冷却ロールとの静電密着性に優
れ、製膜速度が速く、フイルムを能率的に製造できると
いう特別に顕著な効果を奏し、その産業上の利用価値は
極めて大である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド系樹脂フィルムを製造するに
    あたり、原料のポリアミド系樹脂として、アルカリ金
    属、アルカリ土類金属、アルミニウム族元素または遷移
    金属の少なくとも1種から選ばれた金属のハロゲン化
    物、イオウ酸素酸塩、燐酸素酸塩、水酸化物、有機カル
    ボン酸塩または有機スルホン酸塩の少なくとも1種から
    なる金属塩が金属成分として30ppm以下に制限され
    たものを使用し、フィルム状に溶融押出し、次いで該溶
    融押出フィルムを回転冷却ロールに静電気的に密着さ
    せ、急冷固化させながら引き取ることを特徴とするポリ
    アミド系樹脂フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009119881A (ja) * 2009-03-09 2009-06-04 Yoshino Kogyosho Co Ltd ホログラム転写シート

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