JPH06256457A - 樹脂および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

樹脂および磁気記録媒体の製造方法

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JPH06256457A
JPH06256457A JP5070717A JP7071793A JPH06256457A JP H06256457 A JPH06256457 A JP H06256457A JP 5070717 A JP5070717 A JP 5070717A JP 7071793 A JP7071793 A JP 7071793A JP H06256457 A JPH06256457 A JP H06256457A
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JP
Japan
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group
resin
magnetic
osir
recording medium
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JP5070717A
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English (en)
Inventor
Shoji Nishihara
昭二 西原
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Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリウレタン樹脂中に水酸基を多数導入する
ことにより、ポリイソシアネート架橋剤との反応性を高
め、以て、耐久性に優れた磁性層をもたらすことのでき
る樹脂および該樹脂を使用した磁気記録媒体を提供す
る。 【構成】 塗布型磁気記録媒体用の結合剤樹脂として、
OSiR3 基(ここで、Rは炭素原子を1〜6個有する
脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素基を示す)を含有
するポリアクリル成分とポリウレタン成分との共重合体
を使用する。OSiR3 基は水分によりOH基に変換さ
れる。このOH基をポリイソシアネート架橋剤と反応さ
せることにより三次元網目構造を有する磁性層を形成で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性粉用の結合剤として
好適な樹脂および該樹脂を磁性粉用結合剤として使用し
た磁気テープおよび磁気ディスクなどの塗布型磁気記録
媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、通常、磁性粉末、結合
剤成分、有機溶剤およびその他の必要成分からなる磁性
塗料をポリエステルフィルムなどの非磁性基体上に塗
布、乾燥して作製される。この際使用される結合剤成分
として、耐摩耗性および強靱性に優れたポリウレタン樹
脂が用いられている。
【0003】しかし、近年の磁気記録媒体の高性能化に
伴い、従来のポリウレタン樹脂を結合剤として使用した
磁気記録媒体では、ヘッド目詰まり、ガイドポール汚れ
などが生じて、走行耐久性に問題が起こるようになっ
た。
【0004】この原因は、従来のポリウレタン樹脂では
ポリイソシアネート架橋剤との反応量が少なく、その結
果、架橋密度が低く、また、未架橋のポリウレタン樹脂
が残存するからであると思われる。
【0005】この問題を解決するために、ポリウレタン
樹脂中にポリイソシアネート架橋剤と反応性の高い水酸
基を導入することが提案されている(例えば、特開昭6
1−48121号公報および同61−92422号公報
参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ポリウレタ
ン樹脂中への水酸基の導入量を然程多くすることができ
ないため、ポリイソシアネート架橋剤は、ポリウレタン
樹脂との反応より、磁性塗料中あるいは空気中の水分と
多く反応する。従って、ポリウレタン樹脂とポリイソシ
アネート架橋剤との架橋反応は未だ十分とは言い難く、
これを用いた磁気記録媒体の耐久性は満足のいくレベル
に達することができない。
【0007】従って、本発明の目的は、ポリウレタン樹
脂中に水酸基を多数導入することにより、ポリイソシア
ネート架橋剤との反応量が増加し、高架橋密度の磁性塗
膜を作製でき、以て、耐久性に優れた磁性層をもたらす
ことのできる樹脂および該樹脂を使用した磁気記録媒体
を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する手段
として、本発明は、OSiR3 基(ここで、Rは炭素原
子を1〜6個有する脂肪族、脂環族または芳香族炭化水
素基を示す)を含有するポリアクリル成分とポリウレタ
ン成分との共重合体からなる樹脂を提供する。
【0009】
【作用】前記樹脂を結合剤とし、これに磁性粉末および
その他の成分を混合し、得られた磁性塗料を非磁性基体
に塗布し、乾燥させて磁性層を形成すると、耐久性に優
れ、最近の高密度化および高信頼性の要求に応えること
のできる塗布型磁気記録媒体が得られる。
【0010】本発明において、結合剤成分として使用す
る、OSiR3 基(式中、Rは前記に定義した通りの基
である)を含有するポリアクリル成分とポリウレタン成
分との共重合体である樹脂は、磁性粉末と混合し、磁性
塗料を作製したときに、OSiR3 基が磁性粉末表面お
よび磁性塗料中の水分と反応してOH基に変換している
ことが発見された。その結果、この樹脂はポリイソシア
ネート架橋剤と十分に反応し、強固な三次元網目構造を
有する磁性塗膜にすることができ、耐久性に優れた磁気
記録媒体が得られることが発見された。
【0011】この一連の反応を式1に示される模式的な
反応式により説明する。
【化1】 化1において、片末端ジオールOSiR3 基含有アクリ
ル樹脂、有機ジイソシアネートおよびポリエステルポリ
オールを重付加反応させて、OSiR3 基含有ポリアク
リル成分とポリウレタン成分とからなる樹脂生成物(1)
を得る。この樹脂(1) を磁性粉と混合し、磁性塗料を作
製すると、樹脂(1) 中のOSiR3 基が磁性粉末表面あ
るいは磁性塗料中の水分と反応し、OSiR3 基はOH
基に変わり、OH基変換樹脂が生成し、生成物(2) が得
られる。この際、OH基変換樹脂中のOH基は、磁性粉
末表面の水分あるいはOH基と水素結合したり、あるい
は磁性塗料中でフリーで存在したりする。この生成物
(2) にポリイソシアネート架橋剤を加え、塗布・乾燥し
て、磁性塗膜を得た。この磁性塗膜は、OH基変換樹脂
のOH基とポリイソシアネートとが十分に架橋反応する
ことにより、三次元網目構造を有する生成物(3) とな
る。
【0012】以下、本発明の内容について更に詳細に説
明する。
【0013】OSiR3 基(式中、Rは前記に定義した
通りの基である)を含有するポリアクリル成分とポリウ
レタン成分との共重合体である樹脂は、OSiR3 基を
含有するポリアクリル成分とポリウレタン成分を含有し
ていればいかなる共重合体であってもよい。このような
共重合体としては、OSiR3 基を含有するポリアクリ
ル成分とポリウレタン成分とのブロック共重合体あるい
はOSiR3 基を含有するポリアクリル成分とポリウレ
タン成分とのグラフト共重合体などが挙げられる。
【0014】これらはいかなる方法により製造されたも
のでも使用できるが、例えば、OSiR3 基を含有する
ポリアクリル成分とポリウレタン成分とのブロック共重
合体の製造方法は、 (a) 片末端にOH基を有するOSiR3 基含有アクリル
樹脂; (b) 有機ジイソシアネート; (c) 鎖延長剤;および、 (d) ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネートな
どの両末端に水酸基を有するポリオール; のうち、少なくとも(a) ,(b) および(d) の成分を反応
させ、必要に応じて更に(c) を反応させることからな
る。ここで、各成分(a) ,(b) ,(c) および(d) の比率
は必要に応じて調節される。これらの各成分としては、
例えば、下記のものが好適に使用される。
【0015】(a) 片末端にOH基を有するOSiR3
含有アクリル樹脂としては、いかなる方法により製造さ
れたものも使用でき、例えば、アクリルモノマーを連鎖
移動剤と共にラジカル重合させるなどの代表的な方法で
製造したものが用いられる。そして、このとき得られる
アクリル樹脂中にOSiR3 基が導入されるように、ア
クリルモノマーと共にOSiR3 基含有モノマーが加え
られる。
【0016】ここで、アクリルモノマーとしては、メチ
ルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメ
タクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタク
リレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタク
リレートおよびアクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらは単独でも、あるいは、二種類以上を適当に組合
わせて併用することもできる。
【0017】また、OSiR3 基含有モノマーとして
は、2−トリメチルシリロキシエチルアクリレート,2
−トリメチルシリロキシエチルメタクリレート,2−ト
リエチルシリロキシエチルアクリレート,2−トリエチ
ルシリロキシエチルメタアクリレート,2−トリプロピ
ルシリロキシエチルアクリレート,2−トリプロピルシ
リロキシエチルメタアクリレート,2−トリ−n−ブチ
ルシリロキシエチルアクリレート,2−トリ−n−ブチ
ルシリロキシエチルメタクリレート,2−t−ブチルジ
メチルシリロキシエチルアクリレート,2−t−ブチル
ジメチルシリロキシエチルメタクリレート,2−トリメ
チルシリロキシプロピルアクリレート,2−トリメチル
シリロキシプロピルメタクリレート,2−トリエチルシ
リロキシプロピルアクリレート,2−トリエチルシリロ
キシプロピルメタクリレート,1−トリメチルシリロキ
シ−1,3−ブタジエン,2−シクロヘキシルジメチル
シリロキシエチルアクリレート,2−シクロヘキシルジ
メチルシリロキシエチルメタクリレート,2−ジシクロ
ヘキシルメチルシリロキシエチルアクリレート,2−ジ
シクロヘキシルメチルシリロキシエチルメタクリレー
ト,2−トリシクロヘキシルシリロキシエチルアクリレ
ート,2−トリシクロヘキシルシリロキシエチルメタク
リレート,2−ジメチルフェニルシリロキシエチルアク
リレート,2−ジメチルフェニルシリロキシエチルメタ
クリレート,2−メチルジフェニルシリロキシエチルア
クリレート,2−メチルジフェニルシリロキシエチルメ
タクリレート,2ートリフェニルシリロキシエチルアク
リレートおよび2ートリフェニルシリロキシエチルメタ
クリレートなどが挙げられる。これらは単独でも、ある
いは、二種類以上を適当に組合わせて併用することもで
きる。
【0018】また、極性基含有モノマーを一緒に使用す
ることもできる。更に、共重合するモノマーとして、ア
クリルモノマー以外のスチレン誘導体などを加えること
ができる。ここで、“片末端にOH基を有するOSiR
3 基含有アクリル樹脂”における「アクリル樹脂」と
は、アクリルモノマーを50wt%以上含有しているもの
を意味する。
【0019】開始剤としては、α,α´−アゾビスイソ
ブチロニトリルなどのアゾ系化合物や過酸化物が用いら
れ、連鎖移動剤としては、メルカプトエタノールなどが
挙げられる。
【0020】(b) 有機ジイソシアネートとしては、トリ
レンジイソシアネート,4,4−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネートおよび
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなど
が好適に使用される。
【0021】(c) 鎖延長剤としては、エチレングリコー
ル,1,3−プロパンジオール,1,4−ブタンジオー
ル,ネオペンチルグリコールなどのジオール類,エチレ
ンジアミン,トリレンジアミンなどのジアミン類,水な
どの非極性基含有成分,2,2−ジメチロールプロピオ
ン酸,ビス(ヒドロキシブチル)−5−スルホイソフタ
ル酸ナトリウム,β−グリセロリン酸ナトリウム,N−
メチルジエタノールアミン,2,3−ジヒドロキシ−1
−プロパンスルホン酸カリウムなどの極性基含有成分な
どが挙げられる。
【0022】(d) ポリオールとしては、ポリプロピレン
グリコール,ポリテトラメチレングリコールなどのポリ
エーテルジオール類,ポリブチレンアジペート,ポリブ
チレンフタレートなどのポリエステルジオール類,ポリ
ε−カプロラクトンなどのポリラクトンジオール類,ポ
リ1,6−ヘキサンカーボネートなどのポリカーボネー
トジオール類などが好適に使用される。
【0023】また、OSiR3 基を含有するポリアクリ
ル成分とポリウレタン成分とのグラフト共重合体の製造
方法は、 (a) 片末端にジオール基を有するOSiR3 基含有アク
リル樹脂; (b) 有機ジイソシアネート; (c) 鎖延長剤;および、 (d) ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネートな
どの両末端に水酸基を有するポリオール; のうち、少なくとも(a) および(b) の成分を反応させ、
必要に応じて更に(c) や(d) の成分を反応させることか
らなる。ここで、各成分(a) ,(b) ,(c) および(d) の
比率は必要に応じて調節される。これらの各成分として
は、例えば、下記のものが好適に使用される。
【0024】(a) 片末端ジオールOSiR3 基含有アク
リル樹脂としては、いかなる方法により製造されたもの
も使用でき、例えば、アクリルモノマーを連鎖移動剤と
共にラジカル重合させるなどの代表的な方法で製造した
ものが用いられる。そして、このとき得られるアクリル
樹脂中にOSiR3 基が導入されるように、アクリルモ
ノマーと共にOSiR3 基含有モノマーが加えられる。
【0025】ここで、アクリルモノマーとしては、メチ
ルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメ
タクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタク
リレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタク
リレートおよびアクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらは単独でも、あるいは、二種類以上を適当に組合
わせて併用することもできる。
【0026】また、OSiR3 基含有モノマーとして
は、2−トリメチルシリロキシエチルアクリレート,2
−トリメチルシリロキシエチルメタクリレート,2−ト
リエチルシリロキシエチルアクリレート,2−トリエチ
ルシリロキシエチルメタアクリレート,2−トリプロピ
ルシリロキシエチルアクリレート,2−トリプロピルシ
リロキシエチルメタアクリレート,2−トリ−n−ブチ
ルシリロキシエチルアクリレート,2−トリ−n−ブチ
ルシリロキシエチルメタクリレート,2−t−ブチルジ
メチルシリロキシエチルアクリレート,2−t−ブチル
ジメチルシリロキシエチルメタクリレート,2−トリメ
チルシリロキシプロピルアクリレート,2−トリメチル
シリロキシプロピルメタクリレート,2−トリエチルシ
リロキシプロピルアクリレート,2−トリエチルシリロ
キシプロピルメタクリレートおよび1−トリメチルシリ
ロキシ−1,3−ブタジエン,2−シクロヘキシルジメ
チルシリロキシエチルアクリレート,2−シクロヘキシ
ルジメチルシリロキシエチルメタクリレート,2−ジシ
クロヘキシルメチルシリロキシエチルアクリレート,2
−ジシクロヘキシルメチルシリロキシエチルメタクリレ
ート,2−トリシクロヘキシルシリロキシエチルアクリ
レート,2−トリシクロヘキシルシリロキシエチルメタ
クリレート,2−ジメチルフェニルシリロキシエチルア
クリレート,2−ジメチルフェニルシリロキシエチルメ
タクリレート,2−メチルジフェニルシリロキシエチル
アクリレート,2−メチルジフェニルシリロキシエチル
メタクリレート,2ートリフェニルシリロキシエチルア
クリレートおよび2ートリフェニルシリロキシエチルメ
タクリレートなどが挙げられる。これらは単独でも、あ
るいは、二種類以上を適当に組合わせて併用することも
できる。
【0027】また、極性基含有モノマーを一緒に使用す
ることもできる。更に、共重合するモノマーとして、ア
クリルモノマー以外のスチレン誘導体などを加えること
ができる。ここで、“片末端にOH基を有するOSiR
3 基含有アクリル樹脂”における「アクリル樹脂」と
は、アクリルモノマーを50wt%以上含有しているもの
を意味する。
【0028】開始剤としては、α,α´−アゾビスイソ
ブチロニトリルなどのアゾ系化合物や過酸化ベンゾイル
などの過酸化物が用いられ、連鎖移動剤としては、チオ
グリセリンなどが挙げられる。
【0029】(b) 有機ジイソシアネートとしては、トリ
レンジイソシアネート,4,4−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネートおよび
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなど
が好適に使用される。
【0030】(c) 鎖延長剤としては、エチレングリコー
ル,1,3−プロパンジオール,1,4−ブタンジオー
ル,ネオペンチルグリコールなどのジオール類,エチレ
ンジアミン,トリレンジアミンなどのジアミン類,水な
どの非極性基含有成分,2,2−ジメチロールプロピオ
ン酸,ビス(ヒドロキシブチル)−5−スルホイソフタ
ル酸ナトリウム,β−グリセロリン酸ナトリウム,N−
メチルジエタノールアミン,2,3−ジヒドロキシ−1
−プロパンスルホン酸カリウムなどの極性基含有成分な
どが挙げられる。
【0031】(d) ポリオールとしては、ポリプロピレン
グリコール,ポリテトラメチレングリコールなどのポリ
エーテルジオール類,ポリブチレンアジペート,ポリブ
チレンフタレートなどのポリエステルジオール類,ポリ
ε−カプロラクトンなどのポリラクトンジオール類,ポ
リ1,6−ヘキサンカーボネートなどのポリカーボネー
トジオール類などが好適に使用される。
【0032】OSiR3 基を含有するポリアクリル成分
とポリウレタン成分との共重合体である樹脂は、アクリ
ル樹脂の含有量が10wt%より少ないと、樹脂中のOS
iR3 基量が少なくなり、ポリイソシアネート架橋剤と
十分に反応しないため、磁性塗膜が強固な三次元網目構
造を有することができなくなる。一方、アクリル樹脂の
含有量が70wt%より多くすると樹脂が脆くなり好まし
くない。従って、アクリル樹脂の含有量を10〜70wt
%の範囲内にするのが好ましく、20〜50wt%の範囲
内が一層好ましい。
【0033】共重合体の数平均分子量が5000より小
さいと機械的特性が低下し、100000より大きくな
ると有機溶剤などに溶解したときの粘度が高く、磁性塗
料化が困難になるため、5000〜100000の範囲
内の数平均分子量を使用することが好ましく、1000
0〜70000の範囲内の数平均分子量を使用すること
が一層好ましい。
【0034】更に、OSiR3 基を含有するポリアクリ
ル成分とポリウレタン成分との共重合体である樹脂に導
入するOSiR3 基の導入量は、0.1ミリモル/gよ
りも少ないとポリイソシアネート架橋剤と十分に反応し
ないため、磁性塗膜が強固な三次元網目構造を有するこ
とができなくなる。従って、OSiR3 基の導入量は
0.1ミリモル/g以上にすることが好ましく、0.5
ミリモル/g以上にすることが一層好ましい。
【0035】OSiR3 基を含有するポリアクリル成分
とポリウレタン成分との共重合体である樹脂のOSiR
3 基のRは炭素原子を1〜6個有する脂肪族、脂環族ま
たは芳香族炭化水素基である。炭素原子数が6個よりも
多いと、OSiR3 基がOH基に変換したときにできる
3 SiOHあるいはR3 SiOSiR3 が磁性塗料中
に残存して、可塑剤的に働き、磁性塗膜の機械的強度を
弱くするなどの欠点が表れてくる。Rは3個とも同一の
炭化水素基であることもできるし、それぞれ異なる炭化
水素基あるいは、2個まで同一で3個目が異なる炭化水
素基であることもできる。特に限定されるわけではない
が、一般的に、Rは脂肪族炭化水素基であることが好ま
しい。
【0036】また、別法として、OSiR3 基を含有す
るポリアクリル成分とポリウレタン成分との共重合体で
ある樹脂を事前に人為的に加水分解してOH基に変換し
たOH基含有ポリアクリル成分とポリウレタン成分との
共重合体である樹脂を結合剤として使用することもでき
る。
【0037】OSiR3 基を含有するポリアクリル成分
とポリウレタン成分との共重合体である樹脂は他の結合
剤樹脂と併用してもよく、例えば、ポリウレタン系樹
脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、セルロース系
樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール
系樹脂、ポリイソシアネートなどの一般に使用される結
合剤樹脂と相溶性よく併用される。
【0038】このようなOSiR3 基を含有するポリア
クリル成分とポリウレタン成分との共重合体である樹脂
を用いる結合剤成分は、磁性粉末に対して10〜35wt
%の範囲内にするのが好ましく、15〜30wt%の範囲
内にするのが一層好ましい。
【0039】この発明の磁気記録媒体を製造するには常
法に準じて行えばよく、例えば、前記のOSiR3 基を
含有するポリアクリル成分とポリウレタン成分との共重
合体である樹脂を、他の結合剤樹脂と併用するか、ある
いは、しないで、磁性粉末、有機溶剤およびその他の添
加剤と共に混合分散して磁性塗料を調製し、この磁性塗
料をポリエステルフィルムなどの基体上に、吹付け、ま
たは、ロール塗りなどの任意の手段で塗布し、乾燥すれ
ばよく、また、基体の両面に磁性層を設けてもよい。こ
のようにバックコート層を設ける場合、このようなOS
iR3 基を含有するポリアクリル成分とポリウレタン成
分との共重合体である樹脂は、バックコート層の結合剤
樹脂としても好適に使用される。
【0040】ここで使用される磁性粉末としては、例え
ば、γ−Fe23 粉末、Fe34 粉末、γ−Fe2
3 とFe34 との中間酸化状態の酸化鉄粉末、Co
含有γ−Fe23 粉末、Co含有Fe34 粉末、C
rO2 粉末の他、Fe粉末、Co粉末、Fe−Ni−C
r合金粉末などの金属粉末およびバリウムフェライト粉
末、窒化鉄のような窒化物系磁性粉末など従来公知の各
種磁性粉末が広く包含される。これらの磁性粉末は、針
状の磁性粉末の場合、その平均粒径(長軸)が通常、
0.2〜1.0μm程度で、その平均軸比(平均長軸径
/平均短軸径)が通常5〜10程度であるのが好まし
く、板状の場合は、その平均長軸径が通常0.07〜
0.3μm程度であるのが好ましい。
【0041】また、有機溶剤としては、メチルイソブチ
ルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢
酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチル
ホルムアミドなど、一般に磁気記録媒体に使用されるも
のが単独もしくは二種以上混合して使用される。
【0042】なお、磁性塗料中には、通常使用されてい
る各種添加剤、例えば、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤、
分散剤などを任意に添加使用することもできる。
【0043】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に例証す
る。
【0044】合成例1 メチルメタクリレート 57重量部 2−トリメチルシリロキシエチルメタクリレート 30重量部 α,α−アゾビスイソブチロニトリル 1重量部 2−メルカプトエタノール 1.6重量部 テトラヒドロフラン 100重量部 この組成物を冷却器を取り付けたフラスコ内に入れ、十
分に窒素置換した後、攪拌しながら60℃で8時間反応
させた。次いで、得られた反応物をトルエン−水系で分
液し、60℃で48時間減圧乾燥させて、片末端OH基
含有OSiR3基含有アクリル樹脂(以下「A1」とい
う)を得た。このようにして得られた片末端OH基含有
OSiR3 基含有アクリル樹脂(A1)はOSiR3
含有量が1.6ミリモル/gで、蒸気圧浸透法による分
子量が5.8×103 であった。
【0045】次に、 ネオペンチルグリコール 8.6 重量部 ポリ1,6−ヘキサンカーボネート 90 重量部 ジオール(数平均分子量1000) 4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート 45 重量部 オクチル酸錫 0.05重量部 シクロヘキサノン 400 重量部 トルエン 100 重量部 からなる組成物を、窒素雰囲気下で80℃で10時間反
応させた後、先に得られた片末端OH基含有アクリル樹
脂A1を60重量部添加して80℃で2時間反応させ
た。このようにして得られたOSiR3 基含有ブロック
共重合体(B1)は、OSiR3 基含有量が0.5ミリ
モル/gで、数平均分子量はGPC測定によるポリスチ
レン換算で4.0×104 であった。
【0046】合成例2 メチルメタクリレート 36重量部 2−トリメチルシリロキシエチルメタクリレート 72重量部 α,α−アゾビスイソブチロニトリル 1重量部 チオグリセリン 1.6重量部 テトラヒドロフラン 100重量部 この組成物を冷却器を取り付けたフラスコ内に入れ、十
分に窒素置換した後、攪拌しながら60℃で8時間反応
させた。次いで、得られた反応物をトルエン−水系で分
液し、60℃で48時間減圧乾燥させて、片末端OH基
含有OSiR3基含有アクリル樹脂(A2)を得た。こ
のようにして得られた片末端ジオールOSiR3 基含有
アクリル樹脂(A2)はOSiR3 基含有量が3.3ミ
リモル/gで、蒸気圧浸透法による分子量が1.5×1
3 であった。
【0047】次に、 片末端ジオールOSiR3 基含有アクリル樹脂A2 60 重量部 ネオペンチルグリコール 8.6 重量部 ポリ1,6−ヘキサンカーボネート 90 重量部 ジオール(数平均分子量1000) 4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート 45 重量部 オクチル酸錫 0.05重量部 シクロヘキサノン 400 重量部 トルエン 100 重量部 からなる組成物を、窒素雰囲気下で80℃で10時間反
応させた。このようにして得られたOSiR3 基含有グ
ラフト共重合体(B2)は、OSiR3 基含有量が1.
1ミリモル/gで、数平均分子量はGPC測定によるポ
リスチレン換算で3.0×104 であった。
【0048】合成例3 合成例1で得られた片末端OH基含有アクリル樹脂(A
1)50重量部をテトラヒドロフラン(THF)500
重量部に溶解し、1wt%の炭酸カリウム−メタノール溶
液を5重量部滴加し、室温で3時間攪拌し、OH基含有
ブロック共重合体(B3)を得た。
【0049】実施例1 α−Fe磁性粉末(保磁力1500Oe, 飽和磁化120emu/g) 300重量部 塩化ビニル系樹脂(日本ゼオン社製,MR−110) 30重量部 OSiR3 基含有ブロック共重合体B1(合成例1) 30重量部 カーボンブラック 8重量部 α−Al23 粉末 20重量部 ミリスチン酸 6重量部 ステアリン酸n−ブチル 8重量部 シクロヘキサノン 395重量部 トルエン 395重量部 からなる組成物をボールミル中で72時間混合分散した
後、三官能性低分子量イソシアネート(日本ポリウレタ
ン社製,コロネートL)を10重量部添加し、サンドグ
ラインダミルで30分間混合分散した。しかるのち、所
定量のシクロヘキサノン/トルエン混合溶剤を加え、固
形分濃度を30wt%に調整して磁性塗料を調製した。こ
の磁性塗料を厚さが7.5μmのポリエステルフィルム
上に、乾燥後の厚さが3μmとなるように塗布、乾燥し
て磁性層を形成し、カレンダー処理後、8mm幅に裁断
して磁気テープを作製した。
【0050】実施例2 実施例1における磁性塗料の組成において使用したOS
iR3 基含有ブロック共重合体B1(合成例1)30重
量部に代えて、OSiR3 基含有グラフト共重合体B2
(合成例2)を30重量部使用した以外は、実施例1と
同様にして磁気テープを作製した。
【0051】実施例3 実施例1における磁性塗料の組成において使用したOS
iR3 基含有ブロック共重合体B1(合成例1)30重
量部に代えて、OH基含有ブロック共重合体B3(合成
例2)を30重量部使用した以外は、実施例1と同様に
して磁気テープを作製した。
【0052】比較例 実施例1における磁性塗料の組成において使用したOS
iR3 基含有ブロック共重合体B1(合成例1)30重
量部に代えて、ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン社
製,N−2301)を30重量部使用した以外は、実施
例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0053】上記の実施例1〜3および比較例で得られ
た各磁気テープについてスチル耐久性を測定した。スチ
ル耐久性は、8mm方式のVTRを使用し、磁気テープ
に7MHz のクロマ信号を一定レベルで記録した後、0
℃で再生したときの出力を測定し、出力が3dB低下す
るまでの時間として測定した。結果を下記の表1に示
す。
【0054】
【表1】
【0055】表1に示された結果から明らかなように、
本発明の実施例で得られた磁気テープのスチル耐久性は
比較例の磁気テープのスチル耐久性よりも著しく優れて
いる。従って、この結果から、本発明によって得られる
OSiR3 基を含有するポリアクリル成分とポリウレタ
ン成分との共重合体である樹脂およびこの樹脂のOSi
3 基をOH基に変換した樹脂を結合剤として用いた磁
気記録媒体は耐久性に優れていることが理解できる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
OSiR3 基含有ポリアクリル成分とポリウレタン成分
との共重合体樹脂を使用し、該OSiR3 基をOH基に
変換することによりポリイソシアネート架橋剤との反応
性を高めることができる。これにより、耐久性に優れた
塗布型磁性層を形成することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 OSiR3 基(ここで、Rは炭素原子を
    1〜6個有する脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素基
    を示す)を含有するポリアクリル成分とポリウレタン成
    分との共重合体であることを特徴とする塗布型磁気記録
    媒体の結合剤用樹脂。
  2. 【請求項2】 OH基を含有するポリアクリル成分とポ
    リウレタン成分との共重合体であることを特徴とする塗
    布型磁気記録媒体の結合剤用樹脂。
  3. 【請求項3】 磁性粉を結合剤に分散し、得られた混合
    物を非磁性基体上に塗布し、乾燥させて磁性層を形成す
    ることからなる塗布型磁気記録媒体の製造方法におい
    て、 前記結合剤がOSiR3 基(ここで、Rは炭素原子を1
    〜6個有する脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素基を
    示す)を含有するポリアクリル成分とポリウレタン成分
    との共重合体樹脂からなり、該結合剤を磁性粉に分散、
    混合させると、前記OSiR3 基が水分と反応してOH
    基に変換され、該OH基とポリイソシアネート架橋剤と
    を反応させることにより三次元網目構造を有する磁性層
    を形成することを特徴とする塗布型磁気記録媒体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 磁性粉を結合剤に分散し、得られた混合
    物を非磁性基体上に塗布し、乾燥させて磁性層を形成す
    ることからなる塗布型磁気記録媒体の製造方法におい
    て、 前記結合剤がOH基を含有するポリアクリル成分とポリ
    ウレタン成分との共重合体樹脂からなり、該OH基とポ
    リイソシアネート架橋剤とを反応させることにより三次
    元網目構造を有する磁性層を形成することを特徴とする
    塗布型磁気記録媒体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014120699A (ja) * 2012-12-19 2014-06-30 Alps Green Devices Co Ltd Fe基軟磁性粉末、前記Fe基軟磁性粉末を用いた複合磁性粉末及び前記複合磁性粉末を用いた圧粉磁心
WO2014103359A1 (ja) 2012-12-26 2014-07-03 株式会社 東芝 映像表示装置及び起動方法

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