JPH0625621U - スラストベアリングの組み付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 組み付け面の傷や異物による回転軸の軸心の
倒れを抑え、組み付け精度を向上することが可能な簡易
な構成でなるスラストベアリングの組み付け構造を提供
する。 【構成】 固定側Ａまたは回転側Ｂに当接する平面を形
成した輪状の座板２，３をそれぞれ備えて回転軸Ｃの軸
線方向の力を回転自在に支えるように構成されるスラス
トベアリング１を組み付けてなるスラストベアリングの
組み付け構造において、前記スラストベアリング１の組
み付け姿勢を変えること無く、上記座板２とその対向す
る組み付け面Ｂとの間に所定の空隙４を保持する支持部
３ａを上記座板３の外周縁の近傍に備える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、スラストベアリングの組み付け構造に関し、特に、組み付け面の傷 や異物による回転軸の軸心の倒れを抑え、組み付け精度を向上することが可能な 簡易な構成でなるスラストベアリングの組み付け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

スラストベアリングは、固定側または回転側にそれぞれ当接する平面を形成し た輪状の座板と、この両座板の間に挟まれ、リテーナによって保持された転動部 材とから構成され、固定側と回転側の間に組み付けられて軸線方向の力を回転自 在に支える。

【０００３】 上記ベアリングの両座板は、その当接面の全面において固定側または回転側の 対向面とそれぞれ当接して組み付けられるので、座板に対向する固定側または回 転側の組み付け面の加工精度が組み付け精度に大きく影響し、組み付け面が回転 軸に対する垂直度を満たしていない場合、組み付け表面が荒れている場合または 平面度が悪い場合には、組み付けた時に回転軸の倒れを生じ、または回転軸の組 み付け角度が不安定となって所定の組み付け精度を得ることができない。

【０００４】 したがって、スラストベアリングの両座板に接する面は、回転軸に対する垂直 度と平面度を所定の範囲に満たすべく高精度に加工された上で、ベアリングの組 み付けが行われる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、組み付け面を加工した後の組み付け工程までの間で受ける図３ (ａ)の変形や表面の傷、または図３(ｂ)の異物Ｄの付着等により、ベアリングを 組み付けた場合に回転軸が安定しない問題や、回転軸の倒れによる回転軸の面振 れの問題を回避することができない。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために、組み付け面に対してスラストベアリングの姿勢を 変えること無く、スラストベアリングの座板とその対向する組み付け面との間に 所定の空隙を保持する支持部を上記座板の外周縁の近傍に備えた。

【０００７】

【作用】

スラストベアリングの座板の外周縁の近傍に備えた支持部は対向する組み付け 面から所定の距離をなす空隙を確保し、したがって、この空隙内の組み付け面の 荒れや異物の付着があってもその影響を受けることなく組み付けられ、例え上記 空隙を超える異物が挟まった場合でも、異物から最も遠い支持部を支点としてそ の空隙の高さを超える量に応じて傾斜するので、回転軸線の組み付け時の傾斜角 が最小限に抑えられる。

【０００８】

【実施例】

本考案の実施例を添付図面に基づいて以下に説明する。 図１は考案に係るベアリングの組み付け構造の実施例を示し、(ａ)は組み付け 構成を示す縦断面図、(ｂ)〜(ｆ)は別実施例の要部縦断面図、(ｃ')は(ｃ)の上 面図である。

【０００９】 同図(ａ)のベアリング１は、固定側Ａまたは回転側Ｂに当接する平面を形成し た輪状の座板２，３をそれぞれ備えて回転側Ｂに結着する回転軸Ｃの軸線方向の 力を回転自在に支えるように構成される。

【００１０】 下側の座板２は平板状をなして固定側Ａの組み付け面に当接する。また、上側 の座板３は摺鉢状をなし、その周縁部を支持部３ａとして回転側Ｂの組み付け面 に当接する。この支持部３ａは、座板３の外縁側を回転軸線方向に突出し、ベア リング１の中心軸線を回転側Ｂの組み付け面に対して垂直に保ちつつ、座板３と その対向する組み付け面との間に所定の空隙４を保持する。５はボール、６はリ テーナである。

【００１１】 同図(ｂ)のベアリング１１は、外周に周壁１２ａ，１３ｂを形成した座板１２ ，１３によって構成される。上記座板１３は周壁１３ｂを除いた中心側が摺鉢状 をなし、その周縁部近傍を支持部１３ａとする。この支持部１３ａによって空隙 １４が確保される。

【００１２】 同図(ｃ)のベアリング２１は、リング状の平板をなす座板２２，２３によって 構成される。上記座板２３はその周縁部の近傍に図(ｃ')のハーフパンチによる 奇数の突状の支持部２３ａ…を分周して形成する。この支持部２３ａによって空 隙２４が確保される。

【００１３】 同図(ｄ)のベアリング３１は、リング状の平板をなす座板３２，３３によって 構成される。上記座板３３はその周縁部の近傍に金属製または樹脂製のリングを 同心に当接または接着して支持部３３ａを形成することにより空隙３４が確保さ れる。

【００１４】 同図(ｅ)は、上記座板３３のリングに代えてＬ字状断面のキャップでなる支持 部３３ｂを備え、また、同図（ｆ）は、リング状の塗装によって支持部３３ｃを 形成する。これらの支持部３３ａ，３３ｂ，３３ｃによってそれぞれの空隙３４ が確保される。

【００１５】 上記のごとく構成されたスラストベアリングの作用について以下に説明する。 図２は本考案の実施例に係る作用説明図である。ベアリングが組み付けられた 時に、その座板に設けた支持部によってベアリングの中心軸線を組み付け面に対 して垂直に保ちつつ、座板と組み付け面との間に空隙が確保される。

【００１６】 この空隙に異物等Ｄを挟んだままベアリングが組み付けられた場合に、上記空 隙の高さ以内の異物等は組み付け精度に影響を及ぼすことが無く、また、異物等 Ｄの高さが空隙の高さを超える時は、その超える量に対応して軸線が傾斜される 。

【００１７】 軸線の傾斜角θは、支持部の軸心からの距離をＲ、異物等の軸心からの距離を ｒ、上記超える量をΔｈとすると、 ｔａｎ−１（Δｈ／（ｒ＋Ｒ））で表される。ただし、”ｔａｎ−１”は逆正 接関数を表す。

【００１８】 したがって、異物等による影響を受けること無く、または、その影響を最小限 に抑えて組み付け精度の向上を図ることができる。

【００１９】 以上に説明したベアリングに一体化した実施例の他に、本考案をベアリングの 座板に対向する組み付け面に対して適用しても同様の作用効果を奏し、また、ベ アリングと組み付け面との間の介在物として構成すれば、ベアリングと組み付け 面に手を加えること無く同様の作用効果をなし、さらに、ベアリングの両面に対 して適用すれば、それぞれについて同様の作用効果をなす。

【００２０】

【考案の効果】

以上に説明したごとく本考案によれば、スラストベアリングの姿勢を変えるこ と無く、座板とその対向する付け面との間に所定の空隙を保持する支持部を座板 の外周縁の近傍に備えたので、その空隙内の組み付け面の荒れや異物の付着があ ってもその影響を受けることなく組み付けられ、例え上記空隙の高さを超える異 物が挟まった場合でも、異物から最も遠い支持部を支点としてその空隙を超える 高さだけ傾斜することによって回転軸線の組み付け時の傾斜角が最小限に抑えら れるので、簡易な構成によってその組み付け精度の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】考案に係るスラストベアリングの組み付け構造
の実施例……(ａ)は組み付け構成を示す縦断面図、(ｂ)
〜(ｆ)は別実施例の要部縦断面図、(ｃ')は(ｃ)の上面
図を示す。

【図２】本考案の作用説明図

【図３】従来技術に係るスラストベアリングの組み付け
態様を示す縦断面図

【符号の説明】

１，１１，２１，３１…スラストベアリング、２，１
２，２２，３２…座板、３，１３，２３，３３…座板、
３ａ，１３ａ，２３ａ，３３ａ，３３ｂ，３３ｃ…支持
部、４，１４，２４，３４…空隙、Ａ…固定側、Ｂ…回
転側、Ｃ…回転軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定側または回転側に当接する平面を形
   成した輪状の座板をそれぞれ備えて回転軸の軸線方向の
   力を回転自在に支えるように構成されるスラストベアリ
   ングを組み付けてなるスラストベアリングの組み付け構
   造において、前記座板が当接する組み付け面に対し、ス
   ラストベアリングの姿勢を変えること無く、上記座板と
   その対向する組み付け面との間に所定の空隙を保持する
   支持部を上記座板の外周縁の近傍に備えたことを特徴と
   するスラストベアリングの組み付け構造。