JP2556759Y2 - 片当り防止型ジヤーナル軸受

Info

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は回転機械全般の軸受に適
用される片当り防止型ジヤーナル軸受に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】図５は従来のティルティングパッド型ジ
ヤーナル軸受を示す構成図である。回転軸０１はその外
周に配置された複数箇のティルティングパッド０２によ
り支えられ、各ティルティングパッド０２はその外周に
位置する軸受ハウジング０３に収められる。

【０００３】軸受使用中には回転軸０１とティルティン
グパッド０２の間に潤滑油が有り、回転軸０１の重量は
潤滑油を通し、間接的に支えられる。

【０００４】一方、ティルティングパッド０２と軸受ハ
ウジング０３の間には潤滑油が有ることが多いものの、
ティルティングパッド０２自体が回転しないことから金
属接触となる。

【０００５】この場合、ティルティングパッド０２が自
由に回転軸０１に馴むように軸中心と平行を保ちながら
倒れる設計するのが一般的である。そのため、ティルテ
ィングパッド０２と軸受ハウジング０３は線接触をして
いる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
例においては、（１）回転軸が軸受径に比べて長い場合、ジヤーナル軸
受の片方の軸受隙間が小さくなり、焼き付いたり、きず
が付くことが多い。

【０００７】（２）片持ち式ロータの場合、ロータの傾
きによる起動時の軸受焼き付きや、運転中の振動による
片当りによる焼き付きを生ずる。

【０００８】（３）軸受の軸方向の両側で温度差が大き
い場合、軸受の両側の伸び差のため、同心度が変化し、
ロータが片当りし、軸受パッドが焼き付く。等の欠点が
ある。

【０００９】これらの対策として軸受ハウジング自体が
傾くことで傾きを補正するスヘリカル軸受を採用する場
合と、軸受パッドの背面全面をロータ軸方向及び周方向
両方向に曲率を設けるダブルティルティング軸受を採用
する場合がある。

【００１０】しかしながら、いずれの方法も構造が複雑
で、高コストである。

【００１１】ダブルティルティング軸受の場合、軸受パ
ッドの厚さ方向が全て曲面で設定されるので、品質確認
が難しくなる。

【００１２】また軸方向に大きな曲率を設けるために、
軸受パッドのロータ軸方向の変形が大きくなり、さらに
は軸受パッド背面と軸受ハウジング内面は点接触になる
ことから高負荷対応が難しい。

【００１３】本考案は、上記欠点を解消せんがためのも
のであり、軸受部の焼付防止と、きず付き防止を目的と
するものである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本考案は前記従来の課題
を解決したもので、ティルティングパッド型軸受で、軸
受パッドの背面の一方のみにパッド幅の５０％未満の逃
がしを設けた片当り防止型ジヤーナル軸受である。

【００１５】即ち、本考案ではティルティングパッド背
面の軸方向の片方のみに逃がしを設けることにより、回
転軸が傾いてもティルティングパッドが回転軸の中心線
と同じ方向に傾き、追従できるようにした軸受である。

【００１６】

【作用】従来のティルティングパッド軸受では設計の容
易性・組立時の品質管理の容易性からパッド背面を円筒
面で構成することが多い。

【００１７】本考案のティルティングパッド構造では、
その優位性を残し、軸方向に傾き可能となる。しかも、
軸受ハウジングとの接触部に線接触部を残すため、許容
軸受荷重は従来品と同等として取り扱えるのである。

【００１８】

【実施例】図１，図２は本考案の第１実施例であり、構
成図を示す。また図３はその作動状態図である。１は回
転軸、２はティルティングパッド、３は軸受ハウジン
グ、４はティルティングパッド２に設けた逃がしであ
る。

【００１９】図１において示すように、ティルティング
パッド２の背面の一方を球面にすることにより、片当り
防止の逃がし４を設ける。図２にその立体図を示す。具
体的には逃がし４のための寸法をａ＞ｂとする。

【００２０】こうすることによって従来式の円筒型パッ
ドの利点を具備した片当り防止パッド２が構成でき、テ
ィルティングパッド２は負荷を受けた場合、逃がし４を
設けた方向に傾くことができる。、

【００２１】図４は本考案の第２実施例を示す。図４で
は、ティルティングパッド背面の球面の代りに部分的面
取り５を設けて傾けるように改良している。

【００２２】従来品の背面は円筒面で構成されているの
で、背面の一方に面取りを行うことで簡単に傾けるよう
に改良できる。

【００２３】第１実施例，第２実施例のいずれの場合に
も、球面加工長さ及び面取り長さは、軸方向幅（長さ）
の５０％未満にすることが重要である。

【００２４】

【考案の効果】本考案は従来のティルティングパッド軸
受の特徴を残しながら、組立時の寸法管理（品質管理）
を容易にし、ティルティングパッドが軸方向に傾くこと
を可能にしている。

【００２５】図３は本考案の作用図であり、図に示され
るように回転軸が傾いた場合、負荷を受けもつティルテ
ィングパッドのみが傾き、反対側のティルティングパッ
ドは傾くことなく組立時の状態で作動する。

【００２６】結果として、軸受として重要な負荷パッド
は片当りすることなく、回転軸と平行になり、軸を支え
る。傾かないパッドは回転軸との隙間が少なくなり、そ
の部分のバネ定数が上昇し、回転軸の安定性に役立つ効
果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例の断面図である。

【図２】図１のティルティングパッドの斜視図である。

【図３】本考案の作動状態を示す断面図である。

【図４】本考案の第２実施例の断面図である。

【図５】従来のティルティングパッド型ジヤーナル軸受
の断面図である。

【符号の説明】

１回転軸２ティルティングパッド３軸受ハウジング４逃がし５部分的面取り

(57)【実用新案登録請求の範囲】