JPH06256131A - 光重合性歯科用組成物 - Google Patents

光重合性歯科用組成物

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JPH06256131A
JPH06256131A JP5047991A JP4799193A JPH06256131A JP H06256131 A JPH06256131 A JP H06256131A JP 5047991 A JP5047991 A JP 5047991A JP 4799193 A JP4799193 A JP 4799193A JP H06256131 A JPH06256131 A JP H06256131A
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Koji Nishida
幸二 西田
Junichi Yamauchi
淳一 山内
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくともラジカル重合性単量体、カンファ
ーキノンおよび特定の一般式で示されるアミノベンゾフ
ェノン化合物を含有してなることを特徴とする光重合性
歯科用組成物。 【効果】 本発明の光重合性歯科用組成物は、酸性単量
体を好適に含有させることができ、歯質との接着性、表
面硬化性および硬化深度等の物理的性質に優れるととも
に、色調等の審美性にも優れるものである。従って、コ
ンポジットレジン、小窩裂溝填塞材、コーティング材、
ステイン、接着材、レジンセメント、接着性プライマー
等の各種歯科用材料として、好適に用いることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光重合性の歯科用組成物
に関し、さらに詳しくは、酸性単量体を好適に含有させ
ることができ、特に硬化特性および硬化後の審美性に優
れる光重合性歯科用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】歯科用材
料においては、一般に機械的強度、耐摩耗性、耐水性、
接着性等の物理的性質と、より天然歯に近づけるために
透明性、色調、研磨性等の審美的性質とを兼ね備えるこ
とが重要であるとされている。これらの性質を改善する
目的で、従来より用いられてきたアマルガムの代替材料
として、各種フイラーを重合性単量体等に配合したいわ
ゆるコンポジットレジンの開発が行われている。また、
このようなコンポジットレジン以外に、小窩裂溝填塞
材、コーティング剤、ステイン、接着材、レジンセメン
ト等が存在するが、要求される物性および審美性はコン
ポジットレジンと共通する部分が多い。即ち、小窩裂溝
填塞材、コーティング材、ステインは、表面の未重合層
の厚さが特に重要であるのに対し、接着材、レジンセメ
ントは象牙質等の歯質との接着性が特に重要であるな
ど、各材料で重要な性質は異なるものの、基本的に優れ
た硬化特性がこれら歯科用材料には要求されている。
【0003】これらの歯科用材料のうちコンポジットレ
ジンおよび歯科用接着剤の重合硬化には、従来レドック
ス型重合開始剤が用いられてきたが、最近、光硬化法
(光重合法)が重合反応の容易性等の点から注目されて
いる。このため、光硬化法を適用させるために重合性単
量体を含む組成物中に光重合開始剤を加えることが試み
られるようになってきた。従来の光硬化技術として公知
なものとして、増感剤としてα−ジケトン等を用い、促
進剤としてアミンを用いるもの(例えば特開昭48−4
9875号公報)、増感剤としてベンゾイルアルキルエ
ーテル又はベンジルを用い促進剤として有機過酸化物を
用いるもの(特開昭55−102号公報)、増感剤とし
てα−ジケトンを用い、促進剤として有機過酸化物を用
いるもの(特開昭57−203007号公報)などがあ
る。
【0004】また、光重合開始剤としてα−ジケトン化
合物、および還元剤として下記の一般式に示されるよう
なジアミノベンゾフェノン化合物を含有する光重合性歯
科用組成物(特開昭63−316709号公報)、
【0005】
【化2】
【0006】(式中、R1 〜R4 は同一でも異なってい
てもよく、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であ
り、少なくとも一つはアルキル基である。)
【0007】下記の一般式に示されるような芳香族アミ
ン化合物を含有する光硬化性組成物(特開昭60−71
602号公報)、並びに
【0008】
【化3】
【0009】(式中、R1 は水素原子またはアルキル基
を示し、R2 は水素原子、アルキル基、ヒドロキシアル
キル基またはアリール基を示し、R3 は水素原子、アル
キル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、ヒドロキシ
アルキル基、アリール基または−NR45 を示し、n
は0ないし4の整数を示す。ここで、R4 およびR5
それぞれ水素原子またはアルキル基を示す。)
【0010】下記の一般式に示されるような置換芳香族
アミン類、ベンゾフェノン含有多価ペルオキシエステル
類およびα−ジケトンを含有する光重合開始剤(特開平
4−173804号公報)が知られている。
【0011】
【化4】
【0012】(式中、R1 及びR2 は、同一若しくは異
なる基であって、水素原子又は低級アルキル基を示し、
3 はアルキル基、エステル残基、アシル基又はベンゾ
イル基を示す)
【0013】一方、近年歯科材料分野においては、歯
質、特に象牙質に対して優れた接着性を有した接着剤が
種々開発されており、かかる接着剤の接着性成分として
分子内に酸性基を有する重合性単量体が好適に用いられ
ている。かかる重合性単量体として公知なものに、分子
内にリン酸ジエステル基(特開昭52−113089号
公報)、リン酸モノエステル基(特開昭58−2160
7号公報)、カルボキシル基、酸無水物基(特開昭54
−11149号公報)、酸ハロゲン化物基(特開昭57
−151607号公報)等を有する(メタ)アクリル酸
単量体が知られている。
【0014】従って、このような酸性基を有する重合性
単量体を含有し、かつ光硬化法が好適に行えるような光
重合性歯科用組成物の開発により、歯質に対して優れた
接着性を有するとともに機械的強度、耐摩耗性、耐水性
等の物理的性質に優れた歯科用組成物が得られることが
期待される。
【0015】しかしながら、前記の光重合性歯科用組成
物(特開昭63−316709号公報)では、酸性基を
有する重合性単量体を含有させて酸性度が増すと硬化性
が低下し、硬化時間が遅延したり、硬化後の機械的強度
が不十分となるといった問題が生じる。また、青もしく
は紺色のような呈色・変色が生じ易く、コンポジットレ
ジンやコーティング材のような歯の表面に露出されるよ
うな用途には用い難いといった欠点もあった。
【0016】また、前記の特開昭60−71602号公
報に例示化合物として記載されている4−ジメチルアミ
ノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノ安息香酸(メ
チル、エチルエステル)等は、酸性基を有する重合性単
量体との併用は可能であるものの、未重合層が大きくな
る等の硬化特性が劣るという欠点があった。
【0017】更に、前記の特開平4−173804号公
報に記載された光重合開始剤についても、保存安定性に
問題があり、特に酸性基を有する重合性単量体を含有さ
せると、それがベンゾフェノン含有多価ペルオキシエス
テル類の分解を促進し、極めて保存安定性が悪くなると
いう問題があった。
【0018】本発明の目的は、上記の課題を解決すべ
く、酸性単量体を好適に含有させることができ、歯質と
の接着性、表面硬化性および硬化深度等の物理的性質に
優れるとともに、色調等の審美性にも優れる光重合性歯
科用組成物を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、数あるア
ミノベンゾフェノン化合物中、特定のアミノベンゾフェ
ノン化合物をカンファーキノンと併用することにより、
上記の目的が達成できることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0020】即ち、本発明の要旨は、(1)少なくとも
ラジカル重合性単量体、カンファーキノンおよび下記の
一般式で示されるアミノベンゾフェノン化合物を含有し
てなることを特徴とする光重合性歯科用組成物、
【0021】
【化5】
【0022】(式中、R1 ,R2 は同一もしくは異なっ
て、炭素数1〜3のアルキル基を表す)(2)酸性基を
有する重合性単量体、該単量体の重合体および該単量体
の共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種以上
を含有してなる前記(1)記載の光重合性歯科用組成
物、(3)酸性基を有する重合性単量体がリン酸単量体
である前記(2)記載の光重合性歯科用組成物、並びに
(4)酸性基を含まない親水性単量体及び水を含有して
なる前記(2)または(3)記載の光重合性歯科用組成
物に関する。
【0023】本発明の光重合性歯科用組成物は、少なく
ともラジカル重合性単量体、カンファーキノンおよびア
ミノベンゾフェノン化合物を含有してなることを特徴と
するものである。アミノベンゾフェノン化合物として
は、下記の一般式で示される化合物が用いられる。
【0024】
【化6】
【0025】(式中、R1 ,R2 は同一もしくは異なっ
て、炭素数1〜3のアルキル基を表す)上記の一般式に
おいて、R1 ,R2 で表される炭素数1〜3のアルキル
基としては、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基が挙げられる。このような一般
式で表されるアミノベンゾフェノン化合物としては、例
えば4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジエチル
アミノベンゾフェノン、4−ジプロピルアミノベンゾフ
ェノン、3−ジメチルアミノベンゾフェノン、3−ジエ
チルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノベンゾ
フェノン、2−ジエチルアミノベンゾフェノン等が好適
なものとして挙げられる。これらのアミノベンゾフェノ
ン化合物は、重合促進剤として作用し、単独で又は2種
以上混合して用いられる。アミノベンゾフェノン化合物
の含有量は、ラジカル重合性単量体100重量部に対し
て、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5
重量部である。含有量が0.01重量部未満であると重
合が不十分となり、10重量部を越えると硬化物の物性
を低下させるため好ましくない。
【0026】カンファーキノンは、カンファン−2,3
−ジオン、7,7,1−トリメチルビシクロ〔2.2.
1〕ヘプタン−2,3−ジオンとも呼ばれている化合物
であり、光増感剤もしくは開始剤として作用する。カン
ファーキノンの含有量は、ラジカル重合性単量体100
重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましく
は0.1〜5重量部である。含有量が0.01重量部未
満であると重合が不十分となり、10重量部を越えると
硬化物の物性の低下や着色が大きくなり好ましくない。
【0027】本発明に用いられるラジカル重合性単量体
としては、ラジカル重合性を有する単量体であれば特に
限定されることなく、例えば(メタ)アクリル酸エステ
ル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸エステル、フ
マール酸エステル、酢酸ビニル等のビニルエステル類、
スチレンとその誘導体、アクリロニトリル、アクロレイ
ン等のビニル化合物等の他、いずれのラジカル重合性単
量体をも用いることができる。
【0028】これらのラジカル重合性単量体のうち、な
かでも(メタ)アクリル酸エステル類が、重合性、低毒
性等の点から好ましいが、このような(メタ)アクリル
酸エステル類としては、例えばメチル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグ
リコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−
(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ)フェニル〕プロパン(Bis−GMA)、トリメチ
ロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのうち、2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(HEMA)、Bis−GMA、トリエチレングリコー
ルジメタクリレート(3G)等が好ましい。
【0029】本発明の光重合性歯科用組成物において
は、歯質に対する高い接着性を得るために、酸性基を有
する重合性単量体(以下、「酸性単量体」という)を含
有させることが好ましい。また、さらに同様の目的で、
酸性基を有する重合体および/または共重合体を単独
で、あるいは酸性単量体と併用して用いてもよい。この
ような酸性単量体としては、以下のものが例示される。
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
【化10】
【0034】
【化11】
【0035】
【化12】
【0036】
【化13】
【0037】
【化14】
【0038】これらのうち、歯質や金属との接着性の点
から、化7〜化12に示されるリン酸単量体が好まし
い。
【0039】従来より、一般に酸性単量体をアミン化合
物を用いて重合させた場合、重合性が低下する傾向が見
られる場合があるが、本発明においてはそのような重合
性の低下は見られず、接着性の向上の点から酸性単量体
の添加を好適に行うことができる。
【0040】酸性単量体の含有量は、ラジカル重合性単
量体の総量中、通常0.1〜70重量%、好ましくは1
〜50重量%である。含有量が0.1重量%未満である
と、歯質、金属等との接着性が不十分となり、70重量
%を越えると硬化物の物性低下につながり好ましくな
い。
【0041】また、前記の酸性基を有する重合体または
共重合体としては、上記の単量体を重合または共重合し
て得られるもの等が挙げられ、共重合体の場合、例えば
下記の式のように酸性単量体以外の単量体との共重合体
であってもよい。またこれらの(共)重合体の含有量
は、ラジカル重合性単量体100重量部に対して、通常
50重量部以下である。含有量が50重量部を越えると
組成物の粘度が高くなり好ましくない。
【0042】
【化15】
【0043】本発明の光重合性歯科用組成物は、以上の
ラジカル重合性単量体、カンファーキノンおよびアミノ
ベンゾフェノン化合物を少なくとも含有してなるもので
あるが、該組成物を接着性プライマー等として用いる場
合、酸性単量体および酸性基を有しない親水性単量体を
単量体の主成分として用いることが好ましい。ここで、
親水性単量体とは酸性基を有しない単量体であって、水
酸基、グリコール基等を有するものをいう。
【0044】親水性単量体は、前記の(メタ)アクリル
酸エステル類と一部重複するものであるが、具体的に
は、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HE
MA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリ
レート、グリセリルジ(メタ)アクリレート、ジエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メ
タ)アクリレート、メソエリスリトールモノ(メタ)ア
クリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ
−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン等の水酸基を有し
たものが挙げられる。これらのうち、好ましくはHEM
A、グリセリルモノメタクリレート、1,2−ビス(3
−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)
エタン等が挙げられる。これらの親水性単量体の含有量
は、組成物全量中、通常1〜70重量%、好ましくは5
〜50重量%である。
【0045】また、酸性単量体、親水性単量体に加えて
水を添加することが、歯質接着性を向上する目的から好
ましい。このとき水の含有量は、組成物全量中、通常1
0〜99重量%、好ましくは30〜80重量%である。
さらに、水と同様にエタノール、アセトン等の水溶性溶
媒を加えることができる。
【0046】また、本発明の光重合性歯科用組成物は、
組成物中にフイラー(充填剤)を添加することができ
る。フイラーとしては、例えば石英粉末、アルミナ粉
末、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、フルオロ
アルミノシリケートガラス、硫酸バリウム、酸化チタ
ン、ジルコニア粉末、ガラス粉末、超微粒子シリカおよ
び有機成分と無機成分を含有する有機複合フイラーなど
を用いることができる。かかるガラス粉末としては、シ
リカガラス、ソーダ石灰ケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラ
ス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、アルミナ
ケイ酸ガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケート
ガラス、合成シリカ、チタニウムシリケートガラスなど
が挙げられる。また、ポリメチルメタクリレート、ポリ
スチレン、ポリ塩化ビニル等のポリマー粉末などが必要
に応じて添加される。
【0047】無機充填剤には表面処理をして用いること
が望ましい。表面処理剤としてはγ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシ
シランおよびビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン等
の有機ケイ素化合物が用いられ、シラン化は、通常の方
法により行われる。
【0048】本発明の光重合性歯科用組成物は、必要に
応じて重合禁止剤、着色剤、紫外線吸収剤等を添加する
ことができる。また、該組成物は必要に応じて2分割包
装型として用いてもよい。
【0049】本発明の光重合性歯科用組成物の調製方法
は、特に限定されることなく、常法により行うことがで
きる。また、本発明の光重合性歯科用組成物は、コンポ
ジットレジン、小窩裂溝填塞材、コーティング材、ステ
イン、接着材、レジンセメント等の各種歯科用材料とし
て、好適に用いることができる。このとき、光重合性歯
科用組成物の光硬化方法としては、通常公知の方法が用
いられる。
【0050】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。
【0051】実施例1 Bis−GMAを60重量部、トリエチレングリコール
ジメタクリレート(3G)40重量部、カンファーキノ
ン(CQ)0.5重量部、4−ジメチルアミノベンゾフ
ェノン(DMAB)1.0重量部を混合し、本発明の光
重合性歯科用組成物(組成物1)を調製した。該組成物
を用いて、以下の方法に従って硬化時間、未重合層、硬
化深度を測定した。
【0052】(1)硬化時間の測定 組成物1を約200mg円筒型ガラス製サンプル管(1
ml)に入れ、熱電対を挿入したのち、下方より可視光
照射器ライテルII(ウシオ電機、波長400〜550n
m)で光照射を行い、照射開始から重合熱による発熱ピ
ークまでの時間を測定し硬化時間とした。 (2)未重合層の測定 ガラス板上に内径20mmφ×1mmのステンレス製リ
ングを置き、この中に組成物1を満たした後、可視光線
照射器αライト(モリタ製作所、波長400〜550n
m)で1分間光照射を行った。直ちに試料の重量を秤量
し、その後表層の未重合層をアセトンで除き、再度秤量
して未重合層の重量を求め、組成物1の密度、硬化物の
表面積(100πmm2 )から未重合層の厚さを算出し
た。 (3)硬化深度の測定 4mmφ×12mmの穴が開いたステンレス製割型をカ
バーグラス上に置き、穴の中に組成物1を満たしたのち
下方よりライテルIIで20秒間光照射した。上方より直
径1mmの針を260gの荷重で30秒間かけて挿入
し、光照射面から針の侵入位置までを硬化深度として測
定した。これらの結果を硬化物の色調、総合判定ととも
に表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】表中の略号は、次の内容を示す。 フェニルP:2−メタクリロイルオキシエチルフェニル
リン酸 MDP:10−メタクリロイルオキシジハイドロジエン
ホスフェート 4MET:4−メタクリロイルオキシエトキシカルボニ
ルフタル酸
【0055】比較例1〜4 実施例1において、DMABを用いないか、またはDM
ABの代わりに下記に示すアミン化合物を用いて表1の
組成となるように光重合性歯科用組成物(比較組成物1
〜4)を調製した。これを用いて実施例1と同様にして
測定した結果を表1に併せて示す。
【0056】
【化16】
【0057】実施例2〜5 実施例1と同様にして、さらに酸性単量体を用いて表1
の組成となるように本発明の光重合性歯科用組成物(組
成物2〜5)を調製した。これを用いて実施例1と同様
にして測定した結果を表1に併せて示す。
【0058】比較例5〜14 実施例2〜5において、DMABの代わりに上記のアミ
ン化合物を用いて表1の組成となるように光重合性歯科
用組成物(比較組成物5〜14)を調製した。これを用
いて実施例1と同様にして測定した結果を表1に併せて
示す。
【0059】実施例6〜7 実施例1と同様にして、さらに酸性基を有する共重合体
(下記に示す、ポリマーAまたはポリマーB)を用いて
表1の組成となるように本発明の光重合性歯科用組成物
(組成物6〜7)を調製した。これを用いて実施例1と
同様にして測定した結果を表1に併せて示す。
【0060】
【化17】
【0061】実施例8 実施例1と同様にして、さらに石英フィラーを用いて表
1の組成となるように本発明の光重合性歯科用組成物
(組成物8)を調製した。これを用いて実施例1と同様
にして測定した結果を表1に併せて示す。
【0062】実施例9 Bis−GMAを50重量部、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート(HEMA)35重量部、10−メタクリ
ロイルオキシジハイドロジエンホスフェート(MDP)
15重量部、カンファーキノン(CQ)0.5重量部、
4−ジメチルアミノベンゾフェノン(DMAB)1.0
重量部を混合し、本発明の光重合性歯科用組成物(組成
物9)を調製した。これを40%リン酸水溶液で40秒
間処理した後、水洗し、エアブロー乾燥した。牛歯象牙
質平坦面に直径5mmφの穴の開いた粘着テープを貼付
して接着面積を測定し、この部分に組成物9を薄く均一
に塗布しライテルIIで20秒間光照射した。続いて可視
光硬化型歯科用コンポジットレジンフォトクリアフィル
A(クラレ社製)を築盛し、ガラス板で圧接したのちラ
イテルIIで30秒間光照射した。これに歯科用レジンセ
メント パナビアEX(クラレ社製)を用いてステンレ
ス棒(7mmφ)を突き合わせて接着し、37℃水中に
1日浸漬したのちインストロン万能試験機(インストロ
ン社1175型)を用いて引っ張り試験を行い(クロス
ヘッドスピード2.0mm/min)牛歯象牙質の引っ
張り接着強度を測定した。測定は5回行いその平均値を
接着強度として用いた。結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】実施例10〜11 実施例9において、MDPの代わりにフェニルPまたは
4METを用いる以外は、実施例9と同様にして表2の
組成となるように本発明の光重合性歯科用組成物(組成
物10〜11)を調製した。これを用いて実施例9と同
様にして測定した結果を表2に併せて示す。
【0065】比較例15 実施例9において、MDPを用いない以外は、実施例9
と同様にして表2の組成となるように光重合性歯科用組
成物(比較組成物15)を調製した。これを用いて実施
例9と同様にして測定した結果を表2に併せて示す。
【0066】比較例16 実施例9において、DMABの代わりに前記のアミン化
合物を用いて表2の組成となるように光重合性歯科用組
成物(比較組成物16)を調製した。これを用いて実施
例9と同様にして測定した結果を表2に併せて示す。
【0067】実施例12 実施例9において、さらにコロイダルシリカを添加して
表2の組成となるように本発明の光重合性歯科用組成物
(比較組成物12)を調製した。これを用いて実施例9
と同様にして測定した結果を表2に併せて示す。
【0068】実施例13 2−メタクリロイルオキシエチルフェニルリン酸(フェ
ニルP)15重量部、HEMA35重量部、水50重量
部、カンファーキノン1.0重量部、4−ジメチルアミ
ノベンゾフェノン2.0重量部よりなる本発明の光重合
性歯科用組成物13を調製した。実施例9において、牛
歯象牙質平坦面の前処理(40%リン酸水溶液による4
0秒処理及び水洗、乾燥)の代わりに組成物13を塗布
し、40秒処理したのちエアブローにより乾燥して実施
例9と同様の接着試験を行った。結果を表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】実施例14〜15 実施例13において、フェニルPの代わりにMDPを用
い(実施例14)またはHEMAの代わりにグリセリル
メタクリレート(GM)を用いる(実施例15)以外
は、実施例13と同様にして表3の組成となるように本
発明の光重合性歯科用組成物(組成物14〜15)を調
製した。これを用いて実施例13と同様にして測定した
結果を表3に併せて示す。
【0071】比較例17 実施例13において、フェニルPを用いない以外は、実
施例13と同様にして表3の組成となるように光重合性
歯科用組成物(比較組成物17)を調製した。これを用
いて実施例13と同様にして測定した結果を表3に併せ
て示す。
【0072】比較例18 実施例13において、DMABの代わりに前記のミヒラ
ーケトンを用いて表3の組成となるように光重合性歯科
用組成物(比較組成物18)を調製した。これを用いて
実施例13と同様にして測定した結果を表3に併せて示
す。
【0073】以上の結果より、つぎの点が明確になっ
た。 (1)一般用途の組成において、硬化時間、未重合層
(表面硬化性)、硬化深度につきアミン化合物の良否を
比較すると下記の関係であった。 <酸性単量体なし> 表面硬化性: ミヒラーケトン≫DMAB>EDMA>
DMAEMA 硬化深度: DMAB≒EDMA>ミヒラーケトン>
DMAEMA <リン酸単量体系> 硬化時間: DMAB≪ミヒラーケトン≪DMAEM
A 硬化深度: DMAB≫ミヒラーケトン≫DMAEM
A <カルボン酸単量体系> 表面硬化性: ミヒラーケトン>DMAB>EDMA>
DMAEMA 硬化深度: EDMA≧DMAB>ミヒラーケトン>
DMAEMA
【0074】(2)ボンディング材用途の組成におい
て、リン酸処理牛象牙質接着強度を比較すると下記の関
係であった。 アミン化合物:DMAB>ミヒラーケトン 酸性単量体: MDP≒フェニルP≧4MET≫酸性単
量体なし
【0075】(3)接着プライマー用途の組成におい
て、牛象牙質接着強度を比較すると下記の関係であっ
た。 アミン化合物:DMAB>ミヒラーケトン 酸性単量体: フェニルP≒MDP≫酸性単量体なし 親水性単量体:HEMA≒GM
【0076】これらの関係と色調等を総合的に勘案する
と、一般用途、ボンディング材用途および接着プライマ
ー用途のいずれにおいても、DMABが優れていること
がわかった。また、ボンディング材用途における牛象牙
質接着強度は、酸性単量体との併用により、大幅な上昇
がみられ、さらに、接着プライマー用途における牛象牙
質接着強度は、親水性単量体、水との併用により、大幅
な上昇がみられた。一方、本発明の光重合性歯科用組成
物は、フィラーを含有する場合でも硬化特性および接着
性に優れるものであった。
【0077】
【発明の効果】本発明の光重合性歯科用組成物は、酸性
単量体を好適に含有させることができ、歯質との接着
性、表面硬化性および硬化深度等の物理的性質に優れる
とともに、色調等の審美性にも優れるものである。従っ
て、コンポジットレジン、小窩裂溝填塞材、コーティン
グ材、ステイン、接着材、レジンセメント、接着性プラ
イマー等の各種歯科用材料として、好適に用いることが
できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともラジカル重合性単量体、カン
    ファーキノンおよび下記の一般式で示されるアミノベン
    ゾフェノン化合物を含有してなることを特徴とする光重
    合性歯科用組成物。 【化1】 (式中、R1 ,R2 は同一もしくは異なって、炭素数1
    〜3のアルキル基を表す)
  2. 【請求項2】 酸性基を有する重合性単量体、該単量体
    の重合体および該単量体の共重合体からなる群より選ば
    れる少なくとも一種以上を含有してなる請求項1記載の
    光重合性歯科用組成物。
  3. 【請求項3】 酸性基を有する重合性単量体がリン酸単
    量体である請求項2記載の光重合性歯科用組成物。
  4. 【請求項4】 酸性基を含まない親水性単量体及び水を
    含有してなる請求項2または3記載の光重合性歯科用組
    成物。
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