JPH06255320A - 操縦安定性にすぐれた乗用車用空気入りタイヤ - Google Patents

操縦安定性にすぐれた乗用車用空気入りタイヤ

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JPH06255320A
JPH06255320A JP5047965A JP4796593A JPH06255320A JP H06255320 A JPH06255320 A JP H06255320A JP 5047965 A JP5047965 A JP 5047965A JP 4796593 A JP4796593 A JP 4796593A JP H06255320 A JPH06255320 A JP H06255320A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 タイヤのトレッド部とビード部との間の中間
領域の剛性を高めて操縦安定性の向上をもたらす。 【構成】 カーカス本体部分の外側に配設した少なくと
も一層のショルダー補強層9を、ベルト6の内層側位置
とタイヤ最大幅位置近傍部分との間にわたって配設する
とともに、ショルダー補強層9の、ベルト側端部分との
オーバラップ幅を10〜40mmとし、そのショルダー補強層
9をテキスタイルコードにより形成し、ショルダー補強
層コードとカーカスプライコードとのそれぞれを、ショ
ルダー補強層コードの延在方向とカーカス本体部分プラ
イコードの延在方向、または、ショルダー補強層コード
の延在方向と、カーカス本体部分プライコードの延在方
向と、カーカス巻上げ端部分プライコードの延在方向と
のそれぞれが、ラジアル方向に対して実質的に線対称と
なる相対配置とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、操縦安定性にすぐれ
た乗用車用空気入りタイヤ、とくには、タイヤショルダ
ー部の補強構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】タイヤショルダー部の従来の補強構造と
しては、二枚のカーカスプライからなるカーカスにおい
て、それぞれのカーカスプライのコードを、タイヤ周方
向に対して約75〜85°の角度で延在させて、それらのコ
ードのそれぞれをプライ間で相互に交差させたいわゆる
セミラジアルカーカス構造、タイヤ周方向と実質的に直
交する方向に延びるコードよりなるカーカスプライの一
枚もしくは二枚にて形成したカーカスの巻上げ端部分を
ベルトの側端部分の内層側位置まで延在させた構造など
がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年のタイ
ヤの高性能化に伴って、トレッド部の剛性を高めて路面
グリップ性能の向上をもたらし、さらに、ビード部の剛
性を高めて、旋回および加減速時の応答性の向上を図っ
た場合には、上述したような従来のショルダー部補強構
造では、トレッド部およびビード部の剛性に比して、そ
れらの中間部分の剛性が低くなりすぎることに起因し
て、期待されるほどの応答性をもたらすことができない
という問題があり、このことは、車両の高速旋回走行に
おいてとくに重大であった。
【0004】この発明は、従来技術の有するこのような
問題点を解決することを課題として検討した結果なされ
たものであり、この発明の目的は、トレッド部とビード
部との中間領域の剛性を十分に増加させることによっ
て、タイヤ各部の剛性バランスの向上をもたらして、応
答性、ひいては操縦安定性を大きく高めることができ
る、操縦安定性にすぐれた乗用車用空気入りタイヤを提
供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の、操縦安定性
にすぐれた乗用車空気入りタイヤは、それぞれの側端部
分をビードコアの周りで内側から外側に巻き上げた少な
くとも一枚のカーカスプライからなるカーカスと、高弾
性コードからなるベルト層の二層で形成され、層間でこ
ーどが相互に交差するベルトと、少なくともタイヤショ
ルダー部で、カーカスの本体部分の外側に配設した一層
以上のショルダー補強層とを具えるものであって、前記
ショルダー補強層を、ベルトの内層側位置とタイヤ最大
幅位置近傍部分との間にわたって配設するとともに、シ
ョルダー補強層の、ベルト側端部分とのオーバラップ幅
を10〜40mmとし、そのショルダー補強層をテキスタイル
コードにより形成し、ショルダー補強層コードとカーカ
スプライコードとのそれぞれを、ショルダー補強層コー
ドの延在方向とカーカス本体部分プライコードの延在方
向、または、ショルダー補強層コードの延在方向と、カ
ーカス本体部分プライコードの延在方向と、カーカス巻
上げ端部分プライコードの延在方向とのそれぞれが、ラ
ジアル方向に対して実質的に線対称となる相対配置とし
たものである。
【0006】
【作用】この空気入りタイヤでは、ショルダー補強層
を、ベルトの内層側位置とタイヤ最大幅位置近傍部分と
の間にわたって配設するとともに、ショルダー補強層コ
ードとカーカスプライコードとのそれぞれを、ショルダ
ー補強層コードとカーカス本体部分プライコード、また
は、ショルダー補強層コードと、カーカス本体部分プラ
イコードと、カーカス巻上げ端部分プライコードとのそ
れぞれが、一本のラジアル方向コードに対して実質的に
線対称となる相対配置したことにより、トレッド部とビ
ード部との中間領域のほぼ全体で、とくには、それぞれ
のコードの相互の延在方向との関連において、タイヤへ
の荷重の負荷に対するタイヤ幅方向断面内での、タイヤ
半径方向および幅方向のそれぞれの方向の剛性を、従来
技術のいずれに対しても大きく高めることができるとと
もに、タイヤ周方向の捩れに対する剛性をもまた大きく
高めることができ、併せて、その捩れ剛性の、タイヤの
回転方向による差を十分に取り除くことができる。
【0007】しかも、このタイヤでは、ショルダー補強
層を、ベルトの内層側位置とタイヤ最大幅位置近傍部分
との間にわたって配設することによって、従来品では変
形量の最も多い部分の剛性を高めて、タイヤ全体の剛性
アップ効果を顕著なものとする。
【0008】また、そのショルダー補強層の、ベルト側
端部分とのオーバラップ幅を10〜40mmの範囲とすること
によって、ベルト部とバットレス部の剛性差を小さくし
て耐久上の問題を取除く。
【0009】すなわち、それが10mm未満では、ベルト端
セパレーション、ベルト−カーカス間剥離などが発生す
るおそれが高く、40mmを越えると、剛性のアップ効果が
小さくなる一方、タイヤの軽量化の要求に対して不利と
なる。
【0010】さらにここでは、ショルダー補強層をテキ
スタイルコードにて形成することにより、スチールベル
トなどを使用した場合に発生するベルト端セパレーショ
ンを有効に防止することができる。
【0011】なおここで、カーカスを二枚のカーカスプ
ライで形成して、それぞれのカーカスプライコードを、
タイヤ周方向に対して75〜85°の角度で相互に逆方向に
延在させ、少なくとも一枚のカーカスプライの巻上げ端
部分をショルダー補強層にオーバラップさせるととも
に、その巻上げ端部分のタイヤ半径方向外方端をタイヤ
断面高さの0.2 〜0.7 倍の高さに位置させて、ショルダ
ー補強層コードと、それぞれのカーカスプライの本体部
分コードとのそれぞれで、前述した線対称配置構造をも
たらした場合には、とくには、少なくとも一枚のカーカ
スプライの巻上げ端部分の作用下で、タイヤのビード部
からサイドウォール部にかけての剛性を一層高めること
ができ、これによって、操縦安定性の基準レベルを有効
に向上させることができる。
【0012】ところで、カーカスプライの巻上げ端の高
さを、タイヤ断面高さの0.2 倍未満としたときは、タイ
ヤとしてのカーカス剛性が不足するおそれがあり、0.7
倍を越える値としたときは、剛性ひいては、耐久性への
寄与率が小さくなる一方、重質上の不利が生じる。
【0013】そしてさらに、カーカスを一枚のカーカス
プライで形成して、そのカーカスの本体部分プライコー
ドの、タイヤ周方向に対する角度をおよそ90°とすると
とともに、カーカスの巻上げ端部分プライコードの、本
体部分プライコードとの交角を5〜15°とし、その巻上
げ端部分をショルダー補強層のほぼ全体にオーバラップ
させて、ショルダー補強層コードと、カーカスプライの
本体部分コードおよび巻上げ端部分コードとで線対称配
置構造をもたらした場合には、トレッド部からビード部
に至る各部の剛性をバランスよくマッチングさせ得るこ
とに加え、カーカス枚数を一枚とすることによって、タ
イヤの軽量化、燃料の低燃費化を実現することができ
る。
【0014】
【実施例】以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1(a) は、この発明の一実施例を示す、タイ
ヤ幅方向の略線断面図であり、図中1はトレッド部を、
2は、トレッド部1に連続するそれぞれのサイドウォー
ル部を,、そして3は、各サイドウォール部2に連続す
るビード部をそれぞれ示す。
【0015】この例では、一枚のカーカスプライのそれ
ぞれの側端部分を、ビード部に埋設したビードコア4の
周りで内側から外側に巻上げてカーカス5を形成すると
ともに、このカーカス4のクラウン部の外周側に、高弾
性コードよりなるベルト層6a, 6bの二層で形成したベル
ト6を配設し、それらのベルト層6a, 6bのそれぞれのコ
ードを、層間で相互に交差する方向へ延在させる。
【0016】またここでは、カーカス5の巻上げ端部分
5aを、ベルト6の側端部分の内層側位置まで延在させる
とともに、ビードコア4の外周側位置で、その巻上げ端
部分5aと、カーカス5の本体部分との間にビードフィラ
ー7を配設し、そして、ベルト6の側端部分の外層側に
たとえば、実質的にタイヤ周方向に延在するテキスタイ
ルコードにて形成することができる補助層8の二層を重
ね合わせて配置する。
【0017】そしてさらには、カーカス5の本体部分5b
の外側に、テキスタイルコードよりなる一層のショルダ
ー補強層9を配設し、このショルダー補強層9を、図示
のように、ベルト6の内層側位置と、タイヤの最大幅位
置近傍部分との間で延在させるとともに、そのショルダ
ー補強層9の、ベルト側端部分とのオーバラップ幅を10
〜40mmの範囲とする。なお、ここでのショルダー補強層
9のコード打込密度は、そのショルダー補強層9の配設
領域におけるカーカスプライのそれと実質上同一とし得
ることはもちろん、所要に応じて適宜に変更することも
できる。
【0018】ところで、ここにおける、ショルダー補強
層コードとカーカスプライコードとの延在方向の相対関
係は、たとえば、カーカスプライコードが、図1(a) に
略線側面図で示すように、カーカス本体部分5bではタイ
ヤ周方向に対して90°の角度で延在し、巻上げ端部分5a
では、そのカーカス本体部分5bに対して5〜15°の角度
をなして延在するものとしたときには、ショルダー補強
層9のコードが、カーカス本体部分5bのプライコードに
対して、巻上げ端部分5aのプライコードと線対称に延在
する対称配置構造とする。
【0019】このように構成してなるタイヤによれば、
前述したように、とくには、カーカスプライコードと、
ショルダー補強層コードとの対称配置構造に基づき、タ
イヤのトレッド部とビード部との中間領域のほぼ全体に
わたって、タイヤ幅方向断面内での、半径方向および幅
方向の剛性を十分に高め、また、タイヤ周方向の捩れに
対する剛性をもまた十分に高めることができ、併せて、
タイヤの回転方向による捩れ剛性の差を有効に取除くこ
とができる。しかも、図示のタイヤでは、一枚のカーカ
スプライでカーカスを形成することによって、タイヤの
軽量化、燃費の向上などを実現することもできる。
【0020】また、カーカスプライコードが、カーカス
本体部分5bで、図2に側面図で示すように、たとえば、
タイヤ周方向に対して81°の角度で延在し、そして、巻
上げ端部分5aで、タイヤ周方向に対して反対側へ81°の
角度で延在する場合には、ショルダー補強層9のコード
を、タイヤ周方向と直交する方向に延在させることによ
って対称配置構造をもたらす。
【0021】なおここで、カーカス5を二枚のカーカス
プライで形成し、それらのそれぞれのプライの、カーカ
ス本体部分での圧延方向を、図3に示すように、タイヤ
周方向に対して相互に逆方向に75〜85°の範囲内の同角
度としたときもまた、ショルダー補強層9のコードをタ
イヤ周方向と直交する方向に延在させて、それぞれのコ
ードの対称配置構造をもたらす。
【0022】従ってこの場合には、カーカスプライの巻
上げ端部分は、ここでいうコードの対称配置構造の構成
には寄与しないことになるも、二枚のカーカスプライ
の、少なくとも一枚の巻上げ端部分を、ショルダー補強
層9にオーバラップさせるとともに、その巻上げ端部分
のタイヤ半径方向外方端を、タイヤ断面高さの0.2 〜0.
7 倍の高さに位置させた場合には、前述したように、タ
イヤのビード部からサイドウォール部にかけての剛性を
大きく高めることができる。
【0023】(比較例)以下に発明タイヤと比較タイヤ
とのタイヤ剛性および実車フィーリングに関する比較試
験について説明する。 ◎供試タイヤ サイズが 225/70 R 16 のタイヤ ・発明タイヤ 図1に示すところにおいて、1000d/2 のポリエステルコ
ードからなる一枚のカーカスプライでカーカスを形成
し、カーカスプライコードの打込数を64本/50mm、それ
の、カーカス本体部分および巻上げ端部分でのタイヤ周
方向に対する角度を81°、カーカスの巻上げ端部分とベ
ルトとのオーバラップ幅を20mmとし、ベルトを、タイヤ
周方向に対して23°の角度で延在するスチールコードよ
りなるベルト層の二枚で構成するとともに、それらの両
ベルト層間でコードを相互に交差させ、さらに、ショル
ダー補強層を、1000d/2 のポリエステルコードで形成
し、ここでのコード打込数を63本/50mmとするととも
に、そのショルダー補強層を、ベルトに15mmの幅でオー
バラップする位置からタイヤの最大幅位置に至るまでの
間に配設したもの。 ・比較タイヤ ショルダー補強層を省いた点を除いて発明タイヤと同一
の構成を有するもの。
【0024】◎試験方法 タイヤ剛性については、トレッド部を固定し、タイヤ
に、その軸線方向の力を加えて変形させたときの力を測
定して評価し、また、実車フィーリングは、2000ccの4
WD車にタイヤを装着して、筑波サーキットを走行した
ときのタイム計測および走行フィリーングをもって評価
した。
【0025】◎試験結果 上記試験によれば、タイヤ剛性に関し、発明タイヤでは
比較タイヤに比し、タイヤの半径方向剛性で20%、幅方
向剛性で30%そして、正逆それぞれの回転方向の捩り剛
性でともに15%高くなり、また、実車フィーリングに関
しては、比較タイヤをコントロールとして指数表示する
と、剛性感で135 、応答性で120 となった。なおここで
は、指数値は大きいほどすぐれた結果を示すものとす
る。
【0026】
【発明の効果】上記比較例からも明らかなように、この
発明によれば、とくには、ショルダー補強層および、そ
れとカーカスとの特定の相対関係により、トレッド部と
ビード部との中間領域の剛性を効果的に高めることがで
き、それによって、タイヤの応答性、ひいては操縦安定
性を大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す略線図である。
【図2】他のコード配置例を示す図である。
【図3】さらに他のコード配置例を示す図である。
【符号の説明】
1 トレッド部 2 サイドウォール部 3 ビード部 4 ビードコア 5 カーカス 5a 巻上げ端部分 5b 本体部分 6 ベルト 6a, 6b ベルト層 7 ビードフィラー 8 補助層 9 ショルダー補強層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれの側端部分をビードコアの周り
    で内側から外側に巻き上げた少なくとも一枚のカーカス
    プライからなるカーカスと、高弾性コードからなるベル
    ト層の二層で形成され、層間でコードが相互に交差する
    ベルトと、少なくともタイヤショルダー部で、カーカス
    の本体部分の外側に配設した一層以上のショルダー補強
    層とを具える空気入りラジアルタイヤであって、 前記ショルダー補強層を、ベルトの内層側位置とタイヤ
    最大幅位置近傍部分との間にわたって配設するととも
    に、ショルダー補強層の、ベルト側端部分とのオーバラ
    ップ幅を10〜40mmとし、 そのショルダー補強層をテキスタイルコードにより形成
    し、 ショルダー補強層コードとカーカスプライコードとのそ
    れぞれを、ショルダー補強層コードの延在方向とカーカ
    ス本体部分プライコードの延在方向、または、ショルダ
    ー補強層コードの延在方向と、カーカス本体部分プライ
    コードの延在方向と、カーカス巻上げ端部分プライコー
    ドの延在方向とのそれぞれが、ラジアル方向に対して実
    質的に線対称となる相対配置としたことを特徴とする操
    縦安定性にすぐれた乗用車用空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記カーカスを二枚のカーカスプライで
    形成して、それぞれのカーカスプライコードを、タイヤ
    周方向に対して75〜85°の角度で相互に逆方向に延在さ
    せ、少なくとも一枚のカーカスプライの巻上げ端部分を
    ショルダー補強層にオーバラップさせるとともに、その
    巻上げ端部分のタイヤ半径方向外方端を、タイヤ断面高
    さの0.2 〜0.7 倍の高さに位置させてなる請求項1記載
    の操縦安定性にすぐれた乗用車用空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】 前記カーカスを一枚のカーカスプライで
    形成して、そのカーカスの本体部分プライコードの、タ
    イヤ周方向に対する角度をおよそ90°とするとともに、
    カーカスの巻上げ端部分プライコードの、前記本体部分
    プライコードとの交角を5〜15°とし、そのカーカスの
    巻上げ端部分をショルダー補強層のほぼ全体にオーバラ
    ップさせてなる請求項1記載の操縦安定性にすぐれた乗
    用車用空気入りタイヤ。
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