JPH06255312A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ

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JPH06255312A
JPH06255312A JP5048322A JP4832293A JPH06255312A JP H06255312 A JPH06255312 A JP H06255312A JP 5048322 A JP5048322 A JP 5048322A JP 4832293 A JP4832293 A JP 4832293A JP H06255312 A JPH06255312 A JP H06255312A
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英二 五十嵐
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今宮  督
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 単線スチールワイヤコードを用いて空気入り
ラジアルタイヤの大幅な軽量化を図ると共に、タイヤの
耐水接着性を向上させ、高速耐久性を改良する。 【構成】 トレッドのカーカス層外周側にスチールコー
ドを含む少なくとも一層のベルト層を配置すると共に、
トレッド表面に溝を設けた空気入りラジアルタイヤにお
いて、前記スチールコードをスパイラル状に型付けし、
かつ、表面にブラスメッキ層を設け、そのブラスメッキ
層の表面に全メッキ量に対し2〜12重量%のNiを含有
させた3元素合金層を形成した単線スチールワイヤから
構成し、該単線ワイヤの直径d、単線のスパイラルの直
径D、単線のスパイラルのピッチ長P及びスパイラル形
状を特定するパラメーターF=(D−d)/Pを、それ
ぞれ、以下の通りにする。 0.28(mm)≦d≦0.50(mm) P≧ 9.1d−1.55 0.00
25≦F≦0.05

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スチールコードからな
るベルト層を用いて軽量化を図ると共に、高速耐久性を
改良した空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】最近の地球環境汚染及び将来の石油資源
の枯渇の問題から車両の低燃費化が強く要望されるよう
になり、その一環として空気入りラジアルタイヤの軽量
化は大きな技術的課題の一つとして注目を集めている。
スチールコードは他の有機繊維コードに比べて引張強度
や引張弾性率が著しく優れているため、空気入りラジア
ルタイヤのベルト層に使用されているが、その比重が非
常に大きいために軽量化の障害になっていた。しかしな
がら、現存の有機繊維コードにはスチールコード並みの
タイヤ性能を発揮できるものがないため、当面はスチー
ルコードに依存せざるを得ないのが実情である。
【0003】スチールコードの使用を前提にして軽量化
を達成する対策としては、ワイヤ使用量の低減及びトレ
ッドゴム量の低減(ゴムゲージの低減)が考えられる。
その手段の一つとして、複数のワイヤを撚り線にしてい
たスチールコードを、単線ワイヤだけで構成することが
提案できる。このように単線ワイヤのコードにすれば、
撚り線に比べて同一ワイヤ断面積でのコード径をコンパ
クトにすることができ、それによってトレッド表面に設
けた溝の溝底から最もトレッド表面に近い位置のスチー
ルコード表面までの距離、即ちトレッドの溝下ゲージ
(ゴムゲージ)やベルト層のコード間ゲージ(ゴムゲー
ジ)を小さくできるため、ゴム量を減らしてタイヤの軽
量化を可能にするのである。しかも、単線ワイヤではワ
イヤ回りをゴムが完全に覆うので、吸水による腐蝕疲労
性や接着性低下に対する耐久性を良好にすることができ
る。
【0004】しかしながら、このような特長を有する単
線ワイヤのコードも、撚りがないため剛直であり、その
ため繰り返し荷重による曲げ変形や圧縮変形に対する耐
久性が小さいという欠点がある。そして、この耐久性不
足が従来の撚り線コード使用のタイヤに比べワイヤ折れ
が多発してベルト耐久性低下の原因になるという問題が
あった。
【0005】一方、空気入りラジアルタイヤのトレッド
ゴム量を低減する方法は、タイヤの軽量化を可能にする
有効な手段であるのみならず、高速回転(走行)時の遠
心力を低減するため高速耐久性を向上する効果を奏す
る。しかし、トレッドゴム量を低減すると、前記したト
レッドの溝下ゲージを薄くすることを余儀なくされる。
通常、溝下ゲージは 3.0〜4.5mm の範囲であるが、これ
を 3.0mmよりも薄くすると、路面上の水分が溝下ゴム層
を拡散浸透してスチールコードに到達し易くなるため、
スチールコードゴムの耐水接着性が低下し、ベルト層の
セパレーションが発生し易くなるという問題がある。し
かも、前記溝底には走行中に大きな歪みが集中し、スチ
ールコードベルト層を吸湿状態で繰り返し屈曲させるた
め、コード折れが生じ易くなり高速耐久性が低下すると
いう問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、単線ワイヤコードの使用によりゴムゲージを低減さ
せることによって撚り線コードを使用した場合に比べて
軽量化すると共に、溝下ゲージを低減させることによっ
てトレッドゴム量の低減により軽量化を図り、しかも耐
水接着性、ひいては高速耐久性を改良した空気入りラジ
アルタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、トレッ
ドのカーカス層外周側にスチールコードを含む少なくと
も一層のベルト層を配置すると共に、トレッド表面に溝
を設けた空気入りラジアルタイヤにおいて、前記スチー
ルコードをスパイラル状に型付けし、かつ、表面にブラ
スメッキ層を設け、そのブラスメッキ層の表面に全メッ
キ量に対し2〜12重量%のNiを含有させた3元素合金
層を形成した単線スチールワイヤから構成し、該単線ワ
イヤの直径d、単線のスパイラルの直径D、単線のスパ
イラルのピッチ長P及びスパイラル形状を特定するパラ
メーターF=(D−d)/Pが、それぞれ 0.28(mm)≦d≦0.50(mm) P≧ 9.1d−1.55 0.0025≦F≦0.05 とした空気入りラジアルタイヤによって前記目的を達成
することができる。
【0008】以下、本発明を更に詳しく説明する。本発
明によれば、空気入りラジアルタイヤにスチールコード
として用いる単線スチールワイヤ(素線)にブラスメッ
キを施すと共に、そのブラスメッキ層の表面に特定量の
Niを含有させた3元素合金層を形成せしめる。これに
よって単線スチールコードの耐水接着性を向上させるこ
とができるため、トレッド表面の溝の溝下ゲージを従来
の 3.0〜4.5mm よりも小さい 1.0mm〜3.0mm としてタイ
ヤを軽量化しても、溝底に対応する部分でコード折れを
生じ難くなり、タイヤの高速耐久性を向上させることが
できる。
【0009】本発明に用いる前記単線のスチールワイヤ
は、まず、亜鉛の含有量が例えば60〜70重量%のブラ
ス、即ち、銅と亜鉛との混合物を拡散メッキ法によりメ
ッキした後、その上にNiをメッキすることにより製造
することができる。上記ブラスにはα相とβ相の合金相
があるが、α相はフェースセンターキュービック(FaceC
entered Cubic, 以下FCC と略す) 構造を形成するため
β相に比べて加工性が優れている。このようなα相は拡
散を十分に行うことにより形成される。一方、Niも F
CC構造であるため、上記α相のブラスメッキと混合する
と全体が均一な FCC構造となり加工性がよい。このた
め、3元素合金層をスチールワイヤの表面に形成するに
は、一旦、α相のブラスを形成し、酸化膜を除去してN
iを付着させ、ワイヤ伸線時の熱によりα相のブラスに
Niを拡散混合させるのがよい。従来の空気入りタイヤ
のスチールコードに使用されているスチールワイヤ(例
えば特開昭55− 50486号公報、特開昭55−105548号公報
参照)のように、上記銅、亜鉛及びNiの3元素の混合
物をメッキしたのでは、ブラスがα相以外の変形し難い
中間層を生成するので加工性に劣る。
【0010】本発明に使用する単線スチールワイヤから
構成されるスチールコードは、図4の全Ni量12%のブ
ラスメッキ層を形成したスチールワイヤの表面から2500
オングストロームの領域におけるNi、銅、亜鉛の量的
分布の例に示すように、その表面から50〜 200オングス
トロームの領域でNiの量が多くなっている。
【0011】図5は、前記したように単線スチールワイ
ヤの表面にブラスメッキを施し、さらにそのブラスメッ
キ層の表面にNiリッチな3元素合金層を形成した場
合、その3元素合金層中のNi含有量とスチールワイヤ
のゴム付量(下記の測定法による)との関係を示したも
のである。図5中の実線Aは、試料を70℃の温水中に2
週間浸漬した後に測定したときのゴム付量(耐水接着
性)を表し、破線Bは、4週間浸漬した後に測定したと
きのゴム付量(耐水接着性)を表す。この図5から、N
i含有量が2重量%以上であればゴム付量(耐水接着
性)は良好になるが、さらに4重量%以上になれば、い
ずれの条件においてもゴム付量(耐水接着性)は90%以
上を示すようになることがわかる。また、Ni含有量
は、12重量%より多くしてもゴム付量(耐水接着性)は
それ以上向上しないで飽和する。従って、本発明におい
ては単線スチールワイヤ表面の3元素合金層中のNi含
量を2〜12重量%、好ましくは4〜12重量%とする。こ
の量が2重量%未満では接着性改善効果が低く、吸湿疲
労折れ現象が生じるおそれがあり、逆に12重量%を超え
ると伸線性が低下して、疲労折れ現象が生じるおそれが
ある。
【0012】なお、上記スチールコードの耐水接着性は
次の方法により評価した。耐水接着性の評価方法 :単線スチールワイヤを未加硫ゴ
ム中に埋設し、加硫した後、70℃の温水中に2週間及び
4週間浸漬した後、埋設ゴム中からスチールワイヤを引
き抜き、表面に付着したゴムの付量(%)を測定した。
ゴム付量が多いものほど耐水接着性に優れている。
【0013】このようなスチールワイヤは、公知の伸線
加工により得ることができる。例えば、鋼材を熱間圧延
した後必要に応じて冷却し、得られた線材にCu、次い
でZnの順にメッキし、通電、高周波、流動床等により
加熱してCu−Zn合金のブラスメッキ層を形成した後
加熱により生じた表面の酸化物を除去する。次にNiメ
ッキを施した後伸線加工し、伸線時の発熱を利用して前
記ブラスメッキの表面層に拡散させてNi、Cu及びZ
nからなる3元素合金層を形成させることにより製作す
ることができる。
【0014】このブラスメッキ層の表面に、Niメッキ
を施したスチールワイヤは、その直径を0.28〜0.50mmφ
の範囲になるように伸線加工して3元素合金層メッキの
単線スチールコードにする。スチールワイヤの直径を上
記範囲とすることにより、スチールコードベルト層とし
ての屈曲疲労性を十分なものにすることができる。
【0015】本発明によれば、空気入りラジアルタイヤ
にスチールコードとして用いる前記3元素合金層被覆単
線スチールワイヤをスパイラル状に型付けすることによ
って、単線ワイヤ自体の剛直性を和らげ、繰り返し曲げ
変形や圧縮変形に対して優れたワイヤ耐久性(ベルト耐
久性)を示すようにした。しかし、この単線ワイヤの型
付けが大きすぎても、引張弾性率の低下によってタイヤ
のコーナリングパワー(操縦安定性)を低下させる。単
線ワイヤの直径d、そのスパイラル直径D及びスパイラ
ルピッチ長Pから特定されるパラメーターFを、上記の
ように0.0025〜0.05の範囲にすることによって、上記両
特性を調和させることができる。
【0016】以下、図面を参照して本発明の構成につい
て具体的に説明する。図1において、1はトレッド部、
2はカーカス層で、左右一対のビードコア5の周りにタ
イヤ内側から外側に折り返され巻き上げられている。こ
のカーカス層2のタイヤ周方向E,E’に対するコード
角度は実質的に90度になっている。トレッド部1のカー
カス層2の外周側には、図2のように補強用のスチール
コードとしてスパイラル状の単線ワイヤ40が埋設された
2層の内側ベルト層4と外側(最外側)ベルト層4’が
それぞれタイヤ全周にわたって配置されている。これら
ベルト層4,4’のタイヤ周方向E,E’に対するコー
ド角度は5〜40度で、かつ互いに交差している。トレッ
ド部1の表面には、タイヤ周方向E,E’に延びる主溝
6と、これに対して交差する副溝7とが設けられてい
る。
【0017】本発明において、ベルト層を補強する単線
ワイヤは、図3に示すようなスパイラル状に型付けされ
ている。即ち、直径dの単線ワイヤ40が、その直径dよ
りも大きなスパイラル直径Dとスパイラルピッチ長Pを
以て型付けされている。スパイラル直径Dとは、ワイヤ
長手方向に対する直交面に投影されたスパイラル形状の
外周円に相当しており、これを図2では破線で示してい
る。なお、このスパイラル直径Dは他の要件を満たす限
り、小さい方が好ましく、一方上限については、特に限
定はないが、コートゲージの低減及びタイヤ軽量化の目
的からすれば代替する撚り線コードのコード径より小さ
いことが好ましく、例えば1×2×0.28のコードを代替
する場合は1×2×0.28のコード径である0.56mm未満が
好ましい。
【0018】このように単線ワイヤがスパイラル状に型
付けされていることによって、その剛直性が緩和され、
ストレートな単線ワイヤに比べて引張弾性率が低下す
る。そのため、撚り線コードではない単線ワイヤであっ
ても、繰り返し曲げ荷重や圧縮荷重に対する耐久性(耐
疲労性)が向上し、ベルト層にしたときの耐久性を撚り
線コード使い並み、又はそれ以上に向上させることがで
きる。しかし、この単線ワイヤの型付けの度合があまり
大きすぎると、引張弾性率の低下が著しくなるため、ベ
ルト層にしたときの横剛性が低下する。それによってコ
ーナリングパワーが低下してしまうため、撚り線コード
使い並みの操縦安定性を維持することは困難になる。
【0019】単線ワイヤに型付けされたスパイラル形状
は、スパイラル円内において空間が形成される量(D−
d)と、スパイラルのピッチ長Pとの2要素によって特
徴づけることができるが、本発明のように上記(D−
d)とPの比からなるパラメーターF=(D−d)/P
を以て表せば、上述したワイヤの耐疲労性や引張弾性率
との相関性をより明確にすることができ、延いてはベル
ト層の耐久性やコーナリングパワー(操縦安定性)との
相関性を明確にする。本発明において、このパラメータ
ーFは0.0025〜0.05の範囲にする。
【0020】第1表は、単線ワイヤが有するスパイラル
形状のパラメーターFと、下記の測定条件により実施し
た繰り返し曲げ荷重に対する耐疲労性との関係を示す。
この表1の結果から明らかなように、単線ワイヤに対し
てパラメーターF=0.0025のスパイラル状の型付けをす
れば、ストレートの単線ワイヤ(F=0)に比べて耐疲
労性効果を顕すことができるのがわかる。さらにF=0.
04以上にすれば、ほとんどワイヤ折れが認められなくな
る。
【0021】耐疲労性測定法:図6に示すように、1本
の単線ワイヤ40を12.5mm×12.5mm×20.0mmの寸法のゴム
ブロック60に埋設し、その両端に、12.5mm×12.5mm×1
5.0mmの真鍮製支持ブロック70を、単線ワイヤ40の両端
が支持ブロック70に連結されるように接着して測定用サ
ンプルSを作製する。これらサンプルSを10個用意し、
図7に示すように、一対の回転板T,T’の間に取りつ
けると共に両回転軸U,U’の延長線が角度θをなすよ
うにセットして、1回転毎に最大 1.5%の伸長と最大
1.5%の圧縮の歪みがゴムブロック60に加わるようにす
る。このようにセットした両回転板T,T’を 400万回
回転させた後、各サンプルS中の単線ワイヤ40の折れの
有無を調べ、折れた本数を 100分率で表示した。
【0022】
【表1】
【0023】一方、図8は単線ワイヤが有するスパイラ
ル形状のパラメーターFと引張弾性率との関係を示した
ものである。この図8から、パラメーターFを大きくす
るほど引張弾性率が低下していくことがわかる。単線ワ
イヤが有すべき引張弾性率としては、ベルト層に基づく
コーナリングパワーとの関係から、少なくとも 1.5×10
4kgf/mm2は必要であるので、パラメーターF=0.05を上
限とすべきことがわかる。
【0024】さらに、本発明において、単線ワイヤ直径
dとスパイラルのピッチ長Pは、それぞれ 0.28(mm)≦d≦0.50(mm) P≧ 9.1d−1.55(mm) の範囲に設定する必要がある。単線ワイヤの直径dを0.
28mm以上にすることにより単線ワイヤの強度・剛性の低
下を抑制すると共に、直径dを0.50mm以下にし、ピッチ
長Pを 9.1d−1.55(mm)以上にすることにより単線ワイ
ヤの耐疲労性をより一層向上するようにしている。ピッ
チ長Pの上限については特に限定はなく、一般には10mm
以下が好ましい。特に単線ワイヤの表面に前記3元素合
金層を設けることにより、より大きいピッチ長でも耐疲
労性の低下を抑えることができる。なお、Pの値が 9.1
d−1.55(mm)未満になると過度の曲げ加工により耐疲労
性が低下するので好ましくない。
【0025】本発明では、前述したように、ベルト層を
構成するスチールコードとして表面が特定の3元素合金
層で覆われた単線ワイヤを使用するので、その周囲がコ
ートゴムで完全に被覆され、耐水接着性、耐錆性に優れ
たものにすることができる。また、単線ワイヤであるた
め、撚り線コードに比べて同一ワイヤ断面積にしたとき
のコード径を小さくすることができるから、トレッドに
形成した主溝6の溝底から最外側のベルト層4’の単線
ワイヤ40までの溝下ゲージt(図2参照)を小さくする
ことができ、それによってゴム量を低減し、軽量化する
ことが可能になる。同様の理由から、内側ベルト層4と
外側ベルト層4’を構成する単線ワイヤ40のスパイラル
径Dの間隔a(コード間ゲージ)も小さくすることがで
きるのでさらに軽量化することもできる。また、コード
間ゲージaの縮小によって層間剪断力を大きくするた
め、コーナリングパワーも増大させることができる。
【0026】本発明においては、上述の効果によって得
られる溝下ゲージtを 1.0〜3.0mmの範囲にすることが
できる。なお、溝下ゲージtを 1.0mm未満にしようとす
ると、ゴム層の単線ワイヤに対する保護効果が不十分と
なって耐疲労性に劣るようになり、余り大きくしたので
はタイヤの軽量化を達成することができない。また、コ
ード間ゲージaは、乗用車用ラジアルタイヤでは0.15〜
0.8mm 、トラック、バス等の重荷重用ラジアルタイヤで
は 0.4〜1.2mm の範囲にすることができる。本発明は主
として乗用車用空気入りラジアルタイヤに適用する場合
に好適であるが、トラック、バス用などの他の用途の空
気入りタイヤにも適用可能である。
【0027】
【実施例】以下、実施例に従って、本発明を更に詳しく
説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定する
ものでないことは言うまでもない。タイヤサイズを 175
/70R13、カーカスコードをポリエステル繊維コード15
00D/2、内側ベルト層の幅を120mm 、外側ベルト層の
幅を110mm 、コード間ゲージaを0.60mmとし、内側ベル
ト層と外側ベルト層のスチールコードを単線ワイヤから
構成すると共に、タイヤ周方向に対する角度を20°とし
て互いに交差させる点をそれぞれ共通とした。単線ワイ
ヤは予め表面に常法によりCu/Znのブラスメッキを
施し、その上に第2表に示す量のニッケルをメッキし
た。第2表に示す通り、単線ワイヤの直径d(mm)、スパ
イラルのピッチ長P(mm)、パラメーターFメッキ層中の
Ni量(重量%)、エンド(本/50mm)数及び溝下ゲー
ジt(mm)を、それぞれ異にする比較例1〜9、実施例
(本発明タイヤ)1〜11の20種類のラジアルタイヤを製
作した。
【0028】更に比較のため、直径d=0.28mmの素線ワ
イヤ2本を、コード構造1×2の撚り線にしたスチール
コードを、49本/50mm幅のエンド数でベルト層を構成し
た以外は、比較タイヤ1と同一構成の従来タイヤ(対照
例)を製作した。これら21種類のラジアルタイヤについ
て、下記方法によりコーナリングパワー、吸湿後のドラ
ム試験による高速耐久性とスラローム耐久性(ベルト耐
久性)及び軽量化指数を評価した。その結果を第2表に
示す。
【0029】コーナリングパワー:試験タイヤを空気圧
200kPa(2.0kgf/cm2)で13×5−Jのリムにリム組みし、
直径1707.6mmのドラム上を、2942N(300kgf/cm2)の荷重
を負荷して10km/hr の速度で走行し、スリップ角右1°
のときの横力とスリップ角左1°のときの横力との絶対
値の平均をそれぞれ測定した。従来タイヤの測定値を基
準(100) とする指数で表示した。この指数値が大きいほ
どCPが大きく、操縦安定性が優れている。
【0030】軽量化指数:従来タイヤのタイヤ重量を基
準(100) としたときの各タイヤの重量減少の比率を%で
表示した。従来タイヤの測定値を基準(100) とする指数
で表示した。この指数値が小さいほど軽量であることを
示す。
【0031】高速耐久性:試験タイヤを空気圧220kPa
(2.2kgf/cm2)で13×5−Jのリムにリム組みし、70℃×
98%RHの雰囲気中に45日間放置することにより調湿した
後、直径1707.6mmのドラム上を、4119N(420kgf/cm2)の
荷重を負荷して81km/hr の速度で2時間走行させた後12
1km/hrに速度を増加し、以降、30分間経過毎に走行速度
を8km/hr ずつ増加させて走行を続けるとき、タイヤに
故障が発生したときの走行速度を以て評価した。なお、
速度が185km/hrに達し、それを30分間続行しても故障が
発生しなかったときは、それを以て試験終了とした。従
来タイヤの測定値を基準(100)とする指数で表示した。
この指数値が大きいほど高速耐久性が優れている。
【0032】スラローム耐久性:試験タイヤを空気圧17
0kPa(1.7kgf/cm2)で13×5−Jのリムにリム組みし、高
速耐久性と同様にして調湿した後、直径1707.6mmのドラ
ム上をスリップ角0±5°、荷重3432N(350kgf)±2157
N(220kgf)の変動条件下に、荷重とスリップ角を0.067h
z の矩形波で変動させて300km 走行させた。走行後に試
験タイヤを切開しベルトコードの折れの有無を調べて評
価した。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】第2表の結果から明らかなように、単線ワ
イヤ直径dを変化された実施例1〜2及び比較例1〜2
では、dが0.28mm未満ではエンド数が密で、高速耐久性
が不十分であり、ベルトコードの折れも認められ(比較
例1)、逆に0.50mmを超えると、高速耐久性が不十分で
あり、ベルトコードの折れも認められる(比較例2)。
これに対し、0.28〜0.50mmの範囲内では良好な結果が得
られた(実施例1及び2)。
【0036】単線スパイラルのピッチ長Pを変化させた
実施例3〜4及び比較例3では、Pが 9.1d−1.55=1.
635mm より小さいと、耐疲労性が低下してベルトコード
の折れが認められるのに対し(比較例3)、本発明の範
囲内である実施例3及び4では良好な結果が得られた。
【0037】単線スパイラルのパラメーターFを変化さ
せた実施例5〜6及び比較例4〜5では、F値が0.0025
未満の比較例4では耐疲労性が不十分でベルトコードの
折れが生じ、逆に0.05を超えると弾性率が低下するため
コーナリングパワーが低下する(比較例5)。これに対
し、本発明の範囲内である実施例5及び6では良好な結
果が得られた。
【0038】単線スパイラルワイヤのNiメッキ量を変
化させた実施例7〜9及び比較例6〜8では、Ni含量
が2重量%未満の比較例6では接着性改善効果が十分で
ないためベルトコードが吸湿疲労折れを起こし、逆に12
重量%を超えると伸線性が低下するためベルトコードの
疲労折れを生ずる(比較例7)。これに対し、本発明の
範囲内の実施例7〜9では良好な結果が得られた。
【0039】実施例10〜11は溝下ゲージを変化させた場
合であるが、実施例10及び11のいずれも良好な結果が得
られた。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、ベルト層のスチールコ
ードをNiを含む3元素合金層で表面を被覆した単線ス
パイラルワイヤで構成することによって軽量化を可能に
し、しかも、そのスパイラル形状を特定するパラメータ
ーFを一定の範囲にすることによって、単線ワイヤが本
来有する剛直性を緩和させて、良好な耐疲労性を保有さ
せ、しかも過度に柔軟化させないため、操縦安定性の低
下を抑制することができる。また、表面にNiを含む3
元素合金層を被覆することによって、特に溝下ゲージを
特に少なくした場合に問題となる、より過酷な吸湿条件
下でのタイヤ耐久性を効果的に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である乗用車用空気入りラジ
アルタイヤを一部切り欠いて示す要部斜視断面図であ
る。
【図2】図1のタイヤの要部を拡大して示す断面図であ
る。
【図3】本発明に使用されるスパイラル状に型付けした
単線ワイヤの1例を示す側面図である。
【図4】全Ni量12%のブラスメッキ層を形成したスチ
ールワイヤの表面から2500オングストロームまでの領域
におけるNi、銅及び亜鉛の量の変化(分布)を示すグ
ラフである。
【図5】スチールワイヤのブラスメッキ層表面の3元素
合金層のNi含有量とゴム付量との関係を示すグラフで
ある。
【図6】単線ワイヤの耐疲労性を測定するためのサンプ
ルの形状を示す斜視図である。
【図7】単線ワイヤの耐疲労性測定装置の概略を説明す
る図である。
【図8】単線ワイヤのパラメーターFと引張弾性率との
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…トレッド部 2…カーカス層 4…内側ベルト層 4’…外側(最外側)ベルト層 6…主溝 7…副溝 40…単線ワイヤ d…単線ワイヤ直径 D…スパイラル直径 P…スパイラルピッチ長

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トレッドのカーカス層外周側にスチール
    コードを含む少なくとも一層のベルト層を配置すると共
    に、トレッド表面に溝を設けた空気入りラジアルタイヤ
    において、前記スチールコードをスパイラル状に型付け
    し、かつ、表面にブラスメッキ層を設け、そのブラスメ
    ッキ層の表面に全メッキ量に対し2〜12重量%のNiを
    含有させた3元素合金層を形成した単線スチールワイヤ
    から構成し、該単線ワイヤの直径d、単線のスパイラル
    の直径D、単線のスパイラルのピッチ長P及びスパイラ
    ル形状を特定するパラメーターF=(D−d)/Pを、
    それぞれ 0.28(mm)≦d≦0.50(mm) P≧ 9.1d−1.55 0.0025≦F≦0.05 とした空気入りラジアルタイヤ。
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