JPH06255118A - インクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】記録用紙５の幅検知手段などの余分な機構を必
要とせずに、プラテン面２１上の記録用紙５が通過して
いない部分にインクを吐出する際の該インクによるプラ
テン面２１および記録用紙５の汚れを防止する。 【構成】記録用紙５を記録ヘッド１と対面する位置に案
内保持するためのプラテン６に、記録ヘッド１からプラ
テン面２１に向けて吐出されるインクを除去するための
スリット２２およびインク吸収体２３から成るインク除
去手段を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は記録手段から被記録材へ
インクを吐出して記録を行なうインクジェット記録装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】プリンター、複写機、ファクシミリ等の
機能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワー
ドプロセッサ等を含む複合機やワークステーションの出
力機器として用いられる記録装置は、画像情報に基づい
て用紙やプラスチック薄板（ＯＨＰなど）等の被記録材
（記録媒体）に画像（文字や記号なども含む）を記録し
ていくように構成されている。前記記録装置は、使用す
る記録手段の記録方式により、インクジェット式、ワイ
ヤドット式、感熱式、熱転写式、レーザービーム式等に
分けることができる。

【０００３】被記録材の搬送方向（副走査方向）と交叉
する方向に主走査する記録方式を採るシリアルタイプの
記録装置においては、被記録材を所定の記録位置にセッ
トした後、被記録材に沿って移動（主走査）するキャリ
ッジ上に搭載した記録手段（記録ヘッド）によって画像
（文字や記号等を含む）を記録し、１行分の記録を終了
した後に所定量の紙送り（副走査）を行ない、その後に
次の行の画像を記録（主走査）するという動作を繰り返
すことにより、被記録材の所望範囲に画像が記録され
る。一方、被記録材を搬送方向に送る副走査のみで記録
するラインタイプの記録装置においては、被記録材を所
定の記録位置にセットし、一括して１行分の記録を連続
的に行ないながら所定量の紙送り（ピッチ送り）を行な
い、被記録材の全体に画像が記録される。

【０００４】そのうち、インクジェット式（インクジェ
ット記録装置）は、記録手段（記録ヘッド）から被記録
材にインクを吐出して記録を行なうものであり、記録手
段のコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で
記録することができ、普通紙に特別の処理を必要とせず
に記録することができ、ランニングコストが安く、ノン
インパクト方式であるため騒音が少なく、しかも、多色
のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易であ
るなどの利点を有している。

【０００５】特に、熱エネルギーを利用してインクを吐
出するインクジェット式の記録手段（記録ヘッド）は、
エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロ
セスを経て、基板上に製膜された電気熱変換体、電極、
液路壁、天板などを形成することにより、高密度の液路
配置（吐出口配置）を有するものを容易に製造すること
ができ、一層のコンパクト化を図ることができる。ま
た、ＩＣ技術やマイクロ加工技術の長所を活用すること
により、記録手段の長尺化や面状化（２次元化）が容易
であり、記録手段のフルマルチ化および高密度実装化も
容易である。

【０００６】また、記録装置においては、記録ヘッドと
対向する位置（記録位置）で被記録材を裏面から保持す
るためのプラテンを配置することが行なわれている。こ
のプラテンは、通常、使用される最大幅の被記録材の全
幅をカバーする長さを有する平板部材あるいはローラ部
材で形成されている。

【０００７】ところで、従来のインクジェット記録装置
においては、上記プラテンの被記録材が通過していない
部分に、記録ヘッド１のインク吐出口から吐出されたイ
ンクが付着することがあり、そのため、付着インクが乾
かぬ間に、次の被記録材がプラテン表面のインク付着部
分を通過するように送給されると、被記録材の先端部分
あるいは裏面にプラテン上のインクが付着し、該被記録
材を汚してしまうことがあった。

【０００８】このような不都合を解消する一手段とし
て、プラテン上の被記録材が通過していない部分ではイ
ンクを吐出させないように制御することが考えられる。
このような制御を行なうためには、被記録材の幅を検知
することが必要になる。そこで、シリアルタイプのイン
クジェット記録装置においては、例えば、プラテンの被
記録材保持面（プラテン面）を黒く塗装するとともに、
記録ヘッドを搭載して往復移動するキャリッジの該プラ
テン面と対向する部分に光透過型センサ等の表面色検知
手段を設け、黒色のプラテン面と白色の被記録材表面と
を区別することにより該被記録材の幅を検知し、該プラ
テン上の被記録材が通過していない部分にはインクを吐
出させないように構成することが提案されている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなインクジェット記録装置においては、被記録材を送
給する時に該被記録材の幅を検知するために、キャリッ
ジ（記録ヘッド）を被記録材の幅以上にわたって移動さ
せ、次いで該キャリッジを元の位置に戻すという動作
（以下、この動作を被記録材の幅検知動作と称す）が必
要になり、このような被記録材の幅検知動作は被記録材
を送給した後でかつ記録開始の前に行われることから、
該被記録材の幅検知動作に要する時間だけ記録開始時間
が遅れてしまうという不都合がある。

【００１０】また、前記被記録材の幅検知動作を行なう
ためにはプラテンの表面を黒く塗装するなどの表面処理
が必要であるが、その場合、塗装面から成るプラテン面
には塗装むらなどによる凹凸があってはならず、かつ被
記録材の幅検知を正確に行なうためには塗装面の傷や剥
離なども厳しく管理する必要があり、これらのためにプ
ラテンの生産性が低下するという不都合もある。

【００１１】本発明はこのような技術的課題に鑑みてな
されたものであり、本発明の目的は、簡単な構成で、プ
ラテン面の被記録材が通過していない部分にインクが吐
出された場合でも該プラテン面へのインク付着を無くす
ことができ、被記録材の幅検知などの余分な動作を必要
とせずに、送給される被記録材のインク汚れを確実に防
止することが可能なインクジェット記録装置を提供する
ことである。

【００１２】

【課題解決のための手段】請求項１の発明は、記録手段
から被記録材へインクを吐出して記録を行なうインクジ
ェット記録装置において、被記録材を記録位置に保持す
るするためのプラテンに、記録手段から吐出されたイン
クをプラテン面から除去するためのインク除去手段を設
ける構成とすることにより、上記目的を達成するもので
ある。

【００１３】請求項２〜請求項５の発明は、上記構成に
加えて、前記インク除去手段は前記記録手段が走査する
領域に配設されたインク吸収体である構成、前記インク
吸収体は前記プラテンに形成されたスリットの記録手段
とは反対側に設けられている構成、前記インク吸収体は
前記プラテンに着脱自在に設けられている構成、あるい
は前記インク吸収体は前記プラテンに形成されかつ斜行
した樋を有する溝内の最も下流側に設けられている構成
とすることにより、一層効率よく上記目的を達成するも
のである。

【００１４】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図１は本発明を適用したインクジェット記録装置
の一実施例の要部構成を示す斜視図である。図１におい
て、記録ヘッド（記録手段）１はキャリッジ２に搭載さ
れており、該キャリッジ２は装置本体に取り付けられた
案内軸３に沿って移動自在に案内支持されている。前記
キャリッジ２は、不図示のキャリッジ駆動モータの正逆
回転駆動により、不図示のプーリおよびタイミングベル
トなどから成る伝動機構を介して、前記案内軸３に沿っ
て往復移動させられる。

【００１５】前記記録ヘッド１に対しては、装置本体側
に装着されたインクカートリッジ４からインクチューブ
（不図示）等を介してインクが供給される。そして、キ
ャリッジ２の移動（主走査）に同期して記録ヘッド１か
ら被記録材５へインクを吐出することにより記録が行わ
れ、１行（１ライン）分の記録が終了すると、被記録材
５を所定量だけ紙送り（副走査）した後、次の行の記録
を行なう。以下、紙送りと記録を繰り返すことにより、
被記録材５の全体の記録が行われる。

【００１６】前記記録ヘッド（記録手段）１は、熱エネ
ルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録
手段であって、熱エネルギーを発生するための電気熱変
換体を備えたものである。また、前記記録ヘッド１は、
前記電気熱変換体によって印加される熱エネルギーによ
り生じる膜沸騰により気泡の成長、収縮によって生じる
圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させ、記
録を行なうものである。

【００１７】図２は前記記録ヘッド１のインク吐出部の
構造を模式的に示す部分斜視図である。図２において、
被記録材５と所定の隙間（例えば、約0.5 〜2.0 ミリ程
度)をおいて対面する吐出口面８１には、所定のピッチ
で複数の吐出口８２が形成され、共通液室８３と各吐出
口８２とを連通する各液路８４の壁面に沿ってインク吐
出用のエネルギーを発生するための電気熱変換体（発熱
抵抗体など）８５が配設されている。本実施例において
は、記録ヘッド１は、前記吐出口８２がキャリッジ２の
走査方向（移動方向）と交叉する方向に並ぶような位置
関係で、該キャリッジ２に搭載されている。こうして、
画像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱変換
体８５を駆動（通電）して、液路８４内のインクを膜沸
騰させ、その時に発生する圧力によって吐出口８２から
インクを吐出させる記録ヘッド（記録手段）１が構成さ
れている。

【００１８】図３は図１の記録装置の被記録材搬送機構
（紙送り機構）の部分の縦断面図である。図１および図
３において、上部ガイド１０および下部ガイド１１の間
から給紙される被記録材５は、フィードローラ（紙送り
ローラ）７とピンチローラ８との間に導かれる。この被
記録材５は、前記フィードローラ７を所定量回転させる
ことにより記録開始位置（頭出し位置）にセットされ
る。そして、記録ヘッド１による記録動作と、フィード
ローラ（紙送りローラ）７による紙送り動作とを繰り返
すことにより、被記録材５の全面に対する記録が行われ
る。前記被記録材５の紙送り（搬送）動作は、前記フィ
ードローラ７とこれに圧接して従動するピンチローラ８
による摩擦搬送力によって行われる。図示の例では、前
記ピンチローラ８は、ステンレス板等で形成されたピン
チローラホルダ９の弾性力によりフィードローラ８に圧
接される。

【００１９】前記記録ヘッド１の吐出口面８１と所定間
隔をおいて対向する位置には、被記録材５を所定の記録
位置に保持するためのプラテン６が配置されている。す
なわち、記録ヘッド１と対向する記録領域に供給される
被記録材７は、板状のプラテン６により、その記録面が
記録ヘッド１の吐出口面８１と所定間隔をおいて対向す
る記録位置に保持される。

【００２０】前記上部ガイド１０の上面にはガイドレー
ル１０Ａが設けられ、キャリッジ２の下面側にはこのガ
イドレール１０Ａに沿って摺動可能な板ばね２Ａが設け
られている。この板ばね２Ａのばね力によりキャリッジ
２をプラテン６に向けて付勢し、キャリッジ２の一部を
該プラテン６の前面に設けられたシート押さえ板１３に
摺動自在に当接させることによって、記録ヘッド１の吐
出口面８１と被記録材５との間に所定の間隔を保つよう
になっている。なお、キャリッジ２の一部が当接するシ
ート押さえ板１３の部位は、シート押さえ板１３のフィ
ードローラ７が接触する部分の裏側近傍であり、被記録
材５の通過によってシート押さえ板１３がその厚み分だ
け後退するとキャリッジ２も同様に後退する。したがっ
て、紙厚に関係なく、記録ヘッド１と被記録材５との間
隔を所定の値に保つことができ、高品位の記録画像を形
成することができる。

【００２１】図３において、前記プラテン６は約３０度
の角度で後反り方向に傾斜しているため、前記フィード
ローラ７とピンチローラ８とにより該プラテン６に沿っ
て搬送される被記録材５は、記録結果を見易い姿勢で搬
送されることになる。記録された被記録材５は、プラテ
ン６の上部に配設された排出ローラ１２とこれに圧接す
る拍車１２Ｂとの間に挟持され、前記フィードローラ７
と同期回転する排出ローラ１２によりスタッカ部１４に
排出される。

【００２２】図１および図３において、前記プラテン６
には、記録ヘッド１から吐出されたインクをプラテン面
（プラテン６の被記録材保持面）から除去するためのイ
ンク除去手段、すなわち、被記録材５が通過していない
部分でインクを吐出する場合でも、上記プラテン面にイ
ンクが付着することを防止することが可能なインク付着
防止手段が設けられている。

【００２３】図４は上記インク除去手段を有するプラテ
ン６の第１実施例を示す斜視図であり、図５は図４中の
線５−５に沿った断面図である。図４および図５におい
て、板状のプラテン６のプラテン面（被記録材保持面）
２１には横方向に延びるスリット２２が形成され、該ス
リット２２の背部には接着等によりインク吸収体２３が
固着されている。前記プラテン６はそのプラテン面２１
が記録ヘッド１の吐出口面８１と対向するように配設さ
れ、さらに、前記スリット２２は記録ヘッド１の吐出口
面８１と対向する位置に形成されている。そして、前記
スリット２２はプラテン６の略全幅（横方向全長）にわ
たって形成されている。前記インク吸収体２３は、多孔
質材等のインク吸収性に優れた部材で形成されている。

【００２４】図４および図５の第１実施例によれば、被
記録材５が通過していない部分で記録ヘッド１からイン
クを吐出する場合でも、吐出されたインクを前記スリッ
ト２２の背部に設けたインク吸収体２３によって吸収す
ることができ、これによって、プラテン６のプラテン面
２１からインクを除去することができ、該プラテン面２
１へのインク付着を防止することができる。

【００２５】図６はインク除去手段を有するプラテン６
の第２実施例を示す斜視図である。図４の第１実施例で
はスリット２２を横方向に１本だけ連続的に形成した
が、本実施例（図６）では、スリット２２が断続的（図
示の例では２箇所）に形成されている。すなわち、前記
スリット２２は、被記録材５が常に通過する範囲を避け
て、その両側の所定範囲に形成してもよい。そして、こ
の場合も、スリット２２の背部にはインク吸収体２３が
固着されている。図６の第２実施例によれば、図４およ
び図５の第１実施例の場合と同様の効果が得られるとと
もに、スリット２２を連続的に設ける場合に比べてプラ
テン６の強度および剛性を向上させ得るという効果が得
られる。

【００２６】図７はインク除去手段を有するプラテン６
の第３実施例の断面図であり、本実施例は、図４の第１
実施例および図６の第２実施例におけるインク吸収体２
３をローラ状のインク吸収体２３Ａとし、該インク吸収
体２３Ａを軸心２４を中心に回転可能に支持したもので
あり、その他の部分では前述の実施例と実質上同じ構成
をしている。図７の第３実施例によれば、回転可能なロ
ーラ状のインク吸収体２３Ａを使用するので、前述の実
施例に比べ、インク除去手段におけるインク吸収能力を
さらに向上させ得るという効果がある。なお、上記ロー
ラ状のインク吸収体２３Ａの回転は、例えば被記録材５
の紙送り動作あるいはキャリッジ２の移動と連動させて
行なうことができる。また、このインク吸収体２３Ａの
断面形状は、円形に限られるものではなく、多角形やそ
の他の形状にしてもよい。

【００２７】図８はインク除去手段を有するプラテン６
の第４実施例の斜視図であり、図９は図８中の線９−９
に沿った断面図である。本実施例では、プラテン面２１
から突出しない状態で、前記スリット２２内にインク吸
収体２３Ｂを嵌め込むことにより、インク除去手段が構
成されている。その他の構成は前述の第１実施例（図
４）の場合と実質上同じである。図８および図９の第４
実施例によれば、接着等の固着を用いずにインク吸収体
２３Ｂを保持することができ、量産面やコスト面におい
て有利である。また、前方より嵌め込む方式を採れば、
インク吸収体２３Ｂを容易に交換することができる。

【００２８】図１０はインク除去手段を有するプラテン
６の第５実施例の斜視図であり、図１１は図１０中の線
１１−１１に沿った断面図である。本実施例では、凹溝
状のスリット２２Ａを有するホルダ２５を用意し、該ス
リット２２Ａ内にインク吸収体２３Ｃを嵌め込み（充填
し）、このホルダ２５をプラテン６に形成した開口部２
６に着脱可能に装着する構成が採られている。この場
合、前記ホルダ２５およびインク吸収体２３Ｃはプラテ
ン面２１から突出しないように装着される。このように
インク吸収体２３Ｃとプラテン６との間にホルダ２５を
設けることにより、インク除去手段の交換を一層簡単に
行なうことができる。この場合、ホルダ２５の両端部に
取り出し用の爪部２７（図１０）を設けることによっ
て、インク除去手段の交換をさらに簡単にすることがで
きる。

【００２９】図１２はインク除去手段を有するプラテン
６の第６実施例の斜視図であり、図１３は図１２中の線
１３−１３に沿った断面図である。本実施例では、板状
のプラテン６のプラテン面２１に直接的（一体）に溝状
のスリット２２Ｂを形成し、該スリット２２Ｂ内にイン
ク吸収体２３Ｄを装着することにより、インク除去手段
が構成されている。この場合、前記インク吸収体２３Ｄ
はプラテン面２１から突出しないように装着される。な
お、前記スリット２２Ｂ内全体に前記インク吸収体２３
Ｄを充填させてもよいが、図示のようにスリット２２Ｂ
の下半部のみにインク吸収体２３Ｄを配設し、吐出され
たインクをスリット２２Ｂの内面で受け、流れ落ちるイ
ンクを該インク吸収体２３Ｄで吸収するように構成して
もよい。このような構成によれば、溝状のスリット２２
Ｂに対するインク吸収体２３Ｄの体積を小さくすること
ができ、その分コストダウンを図ることができる。

【００３０】図１４はインク除去手段を有するプラテン
６の第７実施例の斜視図であり、図１５は図１４中の線
１５−１５に沿った断面図である。本実施例でも、第６
実施例の場合と同様、板状のプラテン６のプラテン面２
１に直接的（一体）に溝状のスリット２２Ｃを形成し、
該スリット２２Ｃ内にインク吸収体２３Ｅを装着するこ
とにより、インク除去手段が構成されている。ただし、
本実施例においては、スリット２２Ｃの突き当たり面
（スリット深さとなる奥の面）がプラテン面２１に対し
て傾斜しており、さらに、プラテン面２１自体が垂直線
に対して約３０度（図１５）の角度で傾斜している。

【００３１】そのため、スリット２２Ｃ内に吐出された
インクは、該スリット２２Ｃの最も低い所、すなわち本
実施例では、図１４中の左端部でかつ図１５中の左端部
（最奥部）の位置へ流れ込むことになる。したがって、
スリット２２Ｃ内のこの最も低い所にインク吸収体２３
Ｅを配設すれば充分であり、本実施例では、この最も低
い所にインク吸収体２３Ｅを配設することにより、イン
ク除去手段が構成されている。なお、この場合のインク
吸収体２３Ｅの形状、大きさ、具体的な位置などは適宜
選択することができる。

【００３２】図１６はインク除去手段を有するプラテン
６の第８実施例の斜視図であり、図１７は図１６中の線
１７−１７に沿った断面図である。本実施例では、板状
のプラテン６のプラテン面２１の記録位置に溝状のスリ
ット２２Ｄを形成するとともに、該スリット２２Ｄの奥
（内部）に上下方向に傾斜した樋２８を形成し、該樋２
８の最も低い所にインク吸収体２３Ｆを配設することに
より、インク除去手段が構成されている。図示の例で
は、前記樋２８はその中央部が最も低くなるように傾斜
しており、したがってその中央部に前記インク吸収体２
３Ｆが配設されている。

【００３３】図１６および図１７の構成によれば、記録
ヘッド１からのインクはスリット２２Ｄ内に吐出され、
この吐出されたインクは前記樋２８内に流れ落ち、さら
に、該樋２８の最も低い所（本実施例ではプラテン６の
略中央部）へ流れ込むことになる。そして、この最も低
い所に配設されたインク吸収体２３Ｆに吸収されて除去
されることになる。なお、この場合のインク吸収体２３
Ｆの形状、大きさ、具体的な位置などは適宜選択するこ
とができる。

【００３４】以上説明した各実施例によれば、プラテン
６の記録ヘッド１と対向する位置にインク除去手段を設
けたので、プラテン６上でインク吐出を行なう場合で
も、該プラテン６のプラテン面２１のインク汚れを無く
すことができ、それによって、該プラテン面２１上に保
持される被記録材５のインク汚れを防止することができ
る。また、インク除去手段をプラテン６自体に設けるの
で、被記録材５の幅を検知してインク吐出時期を制御す
るなどの余分の機構を必要とせず、記録装置の機構の簡
略化とコストダウンを図ることができる。さらに、記録
開始前における被記録材５の幅検知動作が無くなるの
で、その分記録開始時間の遅れを無くして記録時間の短
縮を図ることもできる。

【００３５】また、インクジェット記録装置では、記録
領域外に記録ヘッド１の吐出口面８１を覆うためのキャ
ップ３０（図１）を配設し、記録途中においても、吐出
不良を防止するためにキャリッジ２を該キャップ３０の
位置まで移動させ、そこでインク吐出（空吐出）を行な
う回復処理が採られている。その場合、上記実施例によ
れば、プラテン６上の被記録材５が無い（通過しない）
部分で空吐出を行なうことができるので、キャリッジ２
をわざわざキャップ３０まで移動させる必要がなく、し
たがって、キャリッジ２の移動距離を短縮することによ
り記録時間の短縮あるいは記録開始時期の遅れ防止を図
ることもできる。

【００３６】なお、上記実施例では、記録手段を主走査
方向に移動させるシリアル記録方式の場合を例に挙げて
説明したが、本発明は、被記録材の全幅または一部をカ
バーする長さのライン記録手段を用いて副走査のみで記
録するライン記録方式の場合にも、同様に適用すること
ができ、同様の効果を達成し得るものである。さらに、
異なる色で記録する複数の記録手段を用いるカラー記
録、あるいは同一色彩で異なる濃度で記録する複数の記
録手段を用いる階調記録、さらにはこれらを組み合わせ
た記録の場合など、記録手段の構造や数に関係なく同様
に適用することができ、同様の効果を達成し得るもので
ある。

【００３７】また、前述の実施例では、記録ヘッドおよ
びインクカートリッジを別体にし、これらをインクチュ
ーブ等で接続する場合を示したが、本発明は、記録ヘッ
ドとインクタンクを一体化したヘッドカートリッジを使
用するインクジェット記録装置など、記録ヘッドとイン
クタンクの形態および配置にも関係なく広く適用するこ
とができ、同様の作用効果が得られるものである。

【００３８】なお、上記実施例では、記録手段とインク
タンクを一体化したヘッドカートリッジを用いる場合を
例に挙げて説明したが、本発明は、交換可能またはイン
ク充填式（パーマネント式）のヘッドカートリッジの
他、記録手段とインクタンクを別体にし、これらをイン
ク供給チューブ等で接続したものなど、記録手段および
インクタンクの構成がどのような場合でも、同様に適用
することができ、同様の効果を達成し得るものである。

【００３９】なお、本発明は、インクジェット記録装置
であれば、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を
用いる記録手段（記録ヘッド）を使用するものに適用で
きるが、中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出
する方式のインクジェット記録装置において優れた効果
をもたらすものである。かかる方式によれば、記録の高
密度化、高精細化が達成できるからである。

【００４０】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書、同第４７４０
７９６号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうのが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体（インク）
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録手段（記録ヘッド）の熱作用面に膜
沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一に対応し液
体（インク）内の気泡を形成出来るので有効である。

【００４１】この気泡の成長、収縮により吐出用開口を
介して液体（インク）を吐出させて、少なくとも一つの
滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即
時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性
に優れた液体（インク）の吐出が達成でき、より好まし
い。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第４
４６３３５９号明細書、同第４３４５２６２号明細書に
記載されているようなものが適している。尚、上記熱作
用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第４３１３１
２４号明細書に記載されている条件を採用すると、更に
優れた記録を行なうことができる。

【００４２】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成（直線状液流路又は直角液流路）の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第４５５８３３３号明細書、米国特許第４
４５９６００号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭５９年第１２３６７０号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭５９年第１３８４６１号公報に基づいた
構成としても本発明は有効である。すなわち、記録ヘッ
ドの形態がどのようなものであっても、本発明によれ
ば、記録を確実に効率よく行なうことができるようにな
るからである。

【００４３】さらに、前述のように、記録装置が記録で
きる被記録材（記録媒体）の最大幅に対応した長さを有
するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても、本発明
は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、
複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす
構成や、一体的に形成された１個の記録ヘッドとしての
構成のいずれでもよい。加えて、上例のようなシリアル
タイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、
あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気
的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交
換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッ
ド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。

【００４４】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる記録ヘッドに対しての回復手段または予備的な補
助手段等を付加することは、本発明の効果を一層安定で
きるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれ
ば、記録ヘッドに対しての、前述のようなキャッピング
手段、クリーニング手段、吸引回復手段の他に、加圧式
の回復手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別
の吐出を行なう予備吐出モードを行なうことも安定した
記録を行なうために有効である。

【００４５】また、前述したように、搭載される記録ヘ
ッドの種類ないし個数についても、例えば、単色のイン
クに対応して１個のみが設けられたものの他、記録色や
濃度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けら
れるものであってもよい。すなわち、例えば、記録装置
の記録モードとしては、黒色等の主流色のみの記録モー
ドだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数
個の組み合わせによるか、いずれでもよいが、異なる色
の複色カラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも
一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。

【００４６】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するもの、あるいは、インクジェット方式で
は、インク自体を３０℃以上７０℃以下の範囲内で温度
調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように
温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付
与時にインクが液状をなすものであればよい。加えて、
積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態か
ら液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめ
ることで防止するか、または、インクの蒸発防止を目的
として放置状態で固化するインクを用いるかして、いず
れにしても、熱エネルギーの記録信号に応じた付与によ
ってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、
記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等
のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質の
インクを使用する場合も本発明は適用可能である。

【００４７】このような場合のインクは、特開昭５４−
５６８４７号公報あるいは特開昭６０−７１２６０号公
報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔
に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変
換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明
においては、上述した各インクに対して最も有効なもの
は、上述した膜沸騰方式を実行するものである。

【００４８】さらに加えて、本発明によるインクジェッ
ト記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理
機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ
等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有す
るファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよ
い。

【００４９】

【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、請求項
１の発明によれば、記録手段から被記録材へインクを吐
出して記録を行なうインクジェット記録装置において、
被記録材を記録位置に保持するするためのプラテンに、
記録手段から吐出されたインクをプラテン面から除去す
るためのインク除去手段を設ける構成としたので、簡単
な構成で、プラテン面の被記録材が通過していない部分
にインクが吐出された場合でも該プラテン面へのインク
付着を無くすことができ、被記録材の幅検知などの余分
な動作を必要とせずに、送給される被記録材のインク汚
れを確実に防止することが可能なインクジェット記録装
置が提供される。

【００５０】請求項２〜請求項５の発明によれば、上記
構成に加えて、前記インク除去手段は前記記録手段が走
査する領域に配設されたインク吸収体である構成、前記
インク吸収体は前記プラテンに形成されたスリットの記
録手段とは反対側に設けられている構成、前記インク吸
収体は前記プラテンに着脱自在に設けられている構成、
あるいは前記インク吸収体は前記プラテンに形成されか
つ斜行した樋を有する溝内の最も下流側に設けられてい
る構成としたので、簡単な構成で、一層効率よく、プラ
テン面の被記録材が通過していない部分にインクが吐出
された場合でも該プラテン面へのインク付着を無くすこ
とができ、被記録材の幅検知などの余分な動作を必要と
せずに、送給される被記録材のインク汚れを確実に防止
することが可能なインクジェット記録装置が提供され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したインクジェット記録装置の一
実施例の要部構成を示す斜視図である。

【図２】図１中の記録手段のインク吐出部の構造を模式
的に示す部分斜視図である。

【図３】図１のインクジェット記録装置の要部構成を示
す縦断面図である。

【図４】本発明を適用したインクジェット記録装置のプ
ラテンのインク除去手段の第１実施例を示す斜視図であ
る。

【図５】図４のインク除去手段を示す縦断面図である。

【図６】本発明を適用したインクジェット記録装置のプ
ラテンのインク除去手段の第２実施例を示す斜視図であ
る。

【図７】本発明を適用したインクジェット記録装置のプ
ラテンのインク除去手段の第３実施例を示す縦断面図で
ある。

【図８】本発明を適用したインクジェット記録装置のプ
ラテンのインク除去手段の第４実施例を示す斜視図であ
る。

【図９】図８のインク除去手段を示す縦断面図である。

【図１０】本発明を適用したインクジェット記録装置の
プラテンのインク除去手段の第５実施例を示す斜視図で
ある。

【図１１】図１０のインク除去手段を示す縦断面図であ
る。

【図１２】本発明を適用したインクジェット記録装置の
プラテンのインク除去手段の第６実施例を示す斜視図で
ある。

【図１３】図１２のインク除去手段を示す縦断面図であ
る。

【図１４】本発明を適用したインクジェット記録装置の
プラテンのインク除去手段の第７実施例を示す斜視図で
ある。

【図１５】図１４のインク除去手段を示す縦断面図であ
る。

【図１６】本発明を適用したインクジェット記録装置の
プラテンのインク除去手段の第８実施例を示す斜視図で
ある。

【図１７】図１６のインク除去手段を示す縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 記録手段（記録ヘッド） ２ キャリッジ ３ 案内軸 ４ インクカートリッジ ５ 被記録材 ６ プラテン ７ フィードローラ １２ 排出ローラ １３ シート押さえ板 ２１ プラテン面 ２２ スリット ２３ インク吸収体 ２８ 樋 ３０ キャップ ８１ 吐出口面 ８２ 吐出口 ８４ 液路 ８５ 電気熱変換体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ４１Ｊ 29/17 9113−2Ｃ Ｂ４１Ｊ 29/00 Ｋ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 記録手段から被記録材へインクを吐出
   して記録を行なうインクジェット記録装置において、被
   記録材を記録位置に保持するするためのプラテンに、記
   録手段から吐出されたインクをプラテン面から除去する
   ためのインク除去手段を設けることを特徴とするインク
   ジェット記録装置。
2. 【請求項２】 前記インク除去手段は、前記記録手段
   が走査する領域に配設されたインク吸収体であることを
   特徴とする請求項１のインクジェット記録装置。
3. 【請求項３】 前記インク吸収体は、前記プラテンに
   形成されたスリットの記録手段とは反対側に設けられて
   いることを特徴とする請求項２のインクジェット記録装
   置。
4. 【請求項４】 前記インク吸収体は、前記プラテンに
   着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項２の
   インクジェット記録装置。
5. 【請求項５】 前記インク吸収体は、前記プラテンに
   形成されかつ斜行した樋を有する溝内の最も下流側に設
   けられていることを特徴とする請求項２のインクジェッ
   ト記録装置。
6. 【請求項６】 前記記録手段が、インクを吐出するた
   めに利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体を
   備えているインクジェット記録手段であることを特徴と
   する請求項１のインクジェット記録装置。
7. 【請求項７】 前記記録手段が、前記電気熱変換体が
   発生する熱エネルギーによりインクに生じる膜沸騰を利
   用して、吐出口よりインクを吐出させることを特徴とす
   る請求項６のインクジェット記録装置。