JPH06254878A - 木材の表面塗装方法 - Google Patents

木材の表面塗装方法

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JPH06254878A
JPH06254878A JP9483093A JP9483093A JPH06254878A JP H06254878 A JPH06254878 A JP H06254878A JP 9483093 A JP9483093 A JP 9483093A JP 9483093 A JP9483093 A JP 9483093A JP H06254878 A JPH06254878 A JP H06254878A
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paint
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Yoshio Akagawa
義夫 赤川
Yoshiaki Mino
善昭 三野
Masao Adachi
正男 足立
Takeshi Nishibatake
健 西畠
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高度な技術を要することなく木材の表面を美
しく表面仕上げする。作業環境を改善する。合成樹脂塗
料の使用効率を高くする。 【構成】 木材を、塗装面に所定の成形隙間ができる成
形室に仮止めする。型締めした金型の成形室に、加熱し
ないで硬化し、かつ加熱しないて液状ないしペースト状
である合成樹脂塗料を注入する。金型を型締めし、注入
した合成樹脂塗料を木材の表面に密着する状態で硬化さ
せる。合成樹脂塗料を硬化させた後、脱型して表面に合
成樹脂塗料を塗布した木工製品を取り出す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、木材の表面塗装方法
に関する。ただし、本明細書において木材は、仏壇に使
用されるものを除き、仏壇以外の全ての商品に使用され
る木材を意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】木材は、プラスチックや金属では実現で
きない天然物に独得の風格、とくに自然の木は独得の木
目模様をしている。自然の木目模様が生かされて、種々
の用途に多く使用されている。たとえば、机、家具、台
所で使用される棚や扉、あるいは電気製品のボックス、
ピアノやオルガン等の楽器、車のダッシュボード等に使
用される。木材の美しい自然の木目を生かし、また、い
つまでも綺麗な木目とするために、ほとんど例外なく表
面を塗装している。美しい表面塗装は、木材をさらに美
しく仕上げることができる。いかにして美しい表面塗装
をするかは、高級な木材製品には極めて大切である。表
面塗装が綺麗でないと、商品価値は著しく低下する。
【0003】綺麗な表面塗装をするために、合成樹脂塗
料がスプレーされる。スプレーする方法が、刷毛塗りよ
りも綺麗に塗装できるからである。スプレー塗装に使用
される合成樹脂塗料は液状である。液状の合成樹脂塗料
は、スプレーガンを使用して、木材の表面に塗布され
る。木材表面に塗布された霧状の合成樹脂塗料は、木材
表面に付着して平滑面となり、硬化して木材の表面を綺
麗に塗装する。木工製品はほとんど例外なくこの方法で
表面塗装している。
【0004】しかしながら、この方法で木材表面を綺麗
に表面処理するには、著しく手間がかかる。また、美し
く塗装するためには、極めて高度な技術と、長い熟練
と、慎重なスプレー作業と、厳しい環境とが要求され
る。さらに、スプレー塗装に手間がかかるばかりでな
く、塗装面をペーパーで磨いて綺麗に修正するのに、さ
らに手間がかかる。ペーパーでの研磨は、スプレー塗装
の数倍の手間がかかる。とくに、立体的な凹凸面のある
木工製品の表面塗装は、ペーパーでの研磨に著しく手間
がかかる。それは、凹凸面を何回もペーパーで擦って平
滑面に修正し、さらに何回も繰り返し塗装するからであ
る。さらに困ったことに、ペーパーでの磨き工程は、自
動化がほとんど不可能である。磨いた製品の表面を目で
観察し、研磨する位置や程度を調整するからである。こ
のため、ペーパーでの磨き工程は、人手にたよらざるを
得ない。さらに、ペーパーで磨くと、木材表面の凹凸面
に設けた出隅や入り隅をくっきりと綺麗に仕上げること
が極めて難しい。出隅はペーパーで擦と角が磨かれて丸
くなり、入り隅はスプレーする塗料によって丸くなる。
このため、何回も繰り返し、ペーパー磨きとスプレー塗
装とを繰り返すと、凹凸面はくっきりと美しい立体模様
に仕上げるのが難しくなる。
【0005】さらにまた、高級なスプレー塗装には極め
て厳しい環境が要求され、このことが、作業者の健康状
態に悪影響をおよぼし、若い作業者に嫌われる原因とな
っている。スプレー塗装の環境を厳しくするのは、塗装
面に塵等の異物が付着するのを防止するためである。ス
プレー塗装するときに、塗装面に塵等が付着すると、凹
凸面となって綺麗な表面処理とすることができず、製品
の商品価値を著しく低下させる。塵の付着を皆無にする
ためには、密閉された室内で塗装することが要求され
る。密閉室は、塵の侵入を阻止るために、十分に換気す
ることが難しく、塗料の臭いが充満して作業環境を著し
く悪くしている。このため、木材の表面処理は商品価値
を決定する極めて重大な工程であるが、作業環境が悪く
極めて多労働であるために、若い人材の確保が極めて難
しくなっている。ほとんどの工場で最も問題の多い工程
となっているのが実状である。
【0006】さらに、木材の塗装は、スプレーする塗料
の使用効率が極めて低い欠点がある。塗料の使用効率
は、スプレーする木材の形状によって異なる。平均して
約20%といわれる。静電塗装は塗料の使用効率を改善
できる。しかしながら、静電塗装によっても、塗料の使
用効率はたかだか約30%である。スプレーした塗料
は、70〜80%が有効に使用されずに廃棄される。有
効利用されない塗料は、塗装室の壁等に付着する。付着
した塗料は剥離するのにも手間がかかる。このため、利
用されない塗料は、廃棄するのにも手間がかかってい
る。塗料を廃棄するために、ほとんどの工場は、壁等か
ら剥離しした塗料を焼却する。このように、スプレーさ
れる合成樹脂塗料は、わずか1/4〜1/5しか使用さ
れず、ほとんどが手間をかけて廃棄しているのが実状で
ある。
【0007】塗装しないで表面処理できる木工製品は、
合成樹脂を成形して解消できる。このことを実現する方
法は、たとえば、実公昭49−28823号公報に記載
される。この公報には、熱可塑性の合成樹脂を立体形状
に成形して扉の板材を製造する方法が記載される。全体
を合成樹脂で成形した扉は、蝶番等をネジ止できない。
ネジ止するために、合成樹脂に木片をインサート成形し
ている。この方法は、扉を能率よく多量生産できる。し
かしながら、実際には、この方法で製造した木工製品
は、いわゆる「合成樹脂成形品の安物」のイメージを払
拭できない。このため、合成樹脂成形品では、高級な風
格の木工製品とすることができない。この木工製品は、
木がもつ独得の雰囲気がなく、従来から多用されている
木製木工製品の代用とはならない。インサートする木材
を大きくして、木材の表面に合成樹脂を成形することが
できるなら、安物のイメージを払拭できる。しかしなが
ら、従来の方法では大きな木材をインサートすることは
できない。それは、合成樹脂に、加熱して軟化する熱可
塑性の合成樹脂を使用するので、合成樹脂の熱で木材が
著しく変形してしまうからである。
【0008】さらに、実開昭56−130490号公報
にも木工製品の製造方法が記載される。この公報に記載
される方法は、合成樹脂のイメージをなくして、木材と
同じ外観とするために、小片状の木片を使用して、これ
を合成樹脂バインダーで立体的な板状に成形している。
成形した板材の表面には、唐木等を薄くスライスした突
板を接着して表面仕上げしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この方法は、表面を木
目模様とすることができる。しかしながら、この方法
は、従来の木材と同じように、板材の表面に突板を接着
した後、スプレー塗装する等の方法で表面仕上げする必
要がある。すなわち、木材片を凹凸状に成形した板材は
そのままでは表面処理されず、木製の板材と同じ工程で
表面仕上げする必要がある。表面仕上げは、突板等を接
着した板材の表面に、表面仕上げ塗料を密着するための
下地塗料を数回塗布し、塗装の毎にペーパーで凹凸面を
綺麗に磨き、さらに、その表面に表面仕上げ塗料を複数
回吹き付けて塗装し、塗装する毎にペーパーで凹凸面を
平滑面に仕上げる必要がある。この表面処理工程におい
て、ペーパーによる表面磨きに著しく手間がかかる。そ
れは、表面が凹凸状である板材は研磨装置を使用して自
動的に能率よく研磨できず、作業者が手作業で1枚づつ
仕上げるからである。このため、立体的な凹凸のある板
材は、表面仕上げに著しく手間がかかり、また、この工
程の作業環境は極めて悪く、表面仕上げのコストを高騰
させる原因となっている。
【0010】さらにまた、手作業で研磨して鏡面状に仕
上げるので、個人差によって、仕上げの美しさに差がで
きる欠点がある。特に、凹凸面を綺麗に仕上げるには、
熟練者が丁寧に研磨する必要がある。このことは、さら
に研磨工程の人件費を高騰して、木工製品の製造コスト
を高くする。
【0011】この発明は、さらに、この欠点を解決する
ことを目的に開発されたもので、この発明の重要な目的
は、木材を簡単かつ容易に、しかも能率よく綺麗に表面
仕上げできる木材の表面塗装方法を提供するにある。ま
た、この発明の他の重要な目的は、作業環境を改善し
て、綺麗に表面処理できる木材の表面塗装方法を提供す
るにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の木材の表面塗
装方法は、前述の目的を達成するために下記の方法で木
工製品を表面塗装する。木材の表面塗装方法は、木材の
表面に、透明ないし半透明の合成樹脂塗料を付着して木
材の表面を塗装するもので、下記の工程で表面に合成樹
脂塗料を付着することを特徴する。
【0013】(a) 木材1を、塗装面に所定の成形隙
間4Aができる成形室4に仮止めする工程。本発明の表
面塗装方法は、木材1を天然の木材に特定しない。木材
1は、天然の木材を小さく裁断し、または粉砕してバイ
ンダーで成形した木材も含む広い意味に使用する。 (b) 型締めした金型3の成形室4に、外部から加熱
しないで硬化し、また、加熱しないで液状ないしペース
ト状である合成樹脂塗料を注入する工程。加熱しないで
硬化する合成樹脂塗料には、ポリエステル系、ウレタン
系、エポキシ系の塗料が使用できる。ポリエステル系の
合成樹脂塗料は、硬化剤を添加して成形室4に注入す
る。ウレタン系とエポキシ系の合成樹脂塗料は2液を混
合して成形室4に注入する。本発明の方法は、加熱しな
いでも硬化する合成樹脂塗料を使用するが、この塗料は
木材に悪影響を与えない温度に加熱して硬化させること
もできるのは言うまでもない。
【0014】(c) 金型3を型締めし、注入した合成
樹脂塗料を木材1の表面に密着する状態で硬化させる工
程。 (d) 合成樹脂塗料を硬化させた後、脱型して表面に
合成樹脂塗料を塗布した木工製品を取り出す工程。
【0015】本発明の表面塗装方法に使用する木材1
は、平面状のもの、立体的な凹凸面を有するものを使用
することができる。また、木材1の表面を、合成樹脂塗
料で立体的な凹凸面に表面仕上げすることもできる。
【0016】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。但し、以下に示す実施例は、この発明の技術思
想を具体化するための方法を例示するものであって、こ
の発明の方法は、使用部品の材質や形状を下記のものに
特定するものでない。この発明の方法は、特許請求の範
囲を逸脱しない範囲において変更を加えることができ
る。
【0017】更に、この明細書は、特許請求の範囲が理
解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号
を、「特許請求の範囲の欄」、「従来の課題を解決する
為の手段の欄」および「作用の欄」に示される部材に付
記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、
実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0018】図1はシステムキッチンの扉の正面図、図
2は図1に示す扉のA−A線断面図を示している。これ
等の図に示す扉は、方形状の木材の周縁に額縁6を固定
してる。この扉は、下記の方法で、額縁6に固定する木
材を表面塗装する。
【0019】図2に示す扉は、板状の木材1の周縁に額
縁6を固定している。木材1は、図2の断面図に示すよ
うに、板材の周縁を、NC切削装置で切削して除去し、
中央に凸部を設けた凹凸状としている。また、図2に示
す木材1は、平面状の板材の表面に、NC切削装置で周
縁を湾曲する形状に加工した別の木板を接着して、凹凸
状に加工することもできる。木材1には、好ましくは天
然の単板を使用する。ただ、木材1には、単板に代わっ
てベニヤ板も使用できる。また、木材を小さく裁断して
板状にプレス成形した木材も使用できる。木材1は、表
面に直接塗装することもできる。ただ、木材1の表面
に、突板等の表面シートを接着してその上を表面塗装す
ることもできる。さらに、木材1をNC切削装置等で凹
凸状に切削加工した後、表面に木目を印刷し、あるいは
手書きして装飾することもできる。
【0020】天然の木材でない木材1は、天然の木材を
小片状に裁断し、あるいは、粉状に粉砕し、あるいは繊
維状に加工し、これを合成樹脂バインダーに混合して、
加圧成形して成形する。成形するときに、表面を凹凸状
とする板状に成形することもできる。凹凸状の木材1
は、表面に高級木材の突板を接着して装飾することがで
きる。
【0021】以上の工程で製造された木材1に下地塗料
を塗布する。下地塗料には、木材1とプラスチック塗装
膜2の両方に相性がよくて、強固に接着するもの、例え
ばウレタン系の合成樹脂塗料であるシーラーを使用す
る。下地塗料は、スプレーして木材1の表面に塗装す
る。従来の塗装方法は、シーラーを塗布した後、ペーパ
ーで磨いて表面を平滑に仕上げる必要があった。それは
下地塗料に凹凸があると、その表面に塗布するプラスチ
ック塗装膜2にも凹凸ができるからである。本発明の塗
装方法は、下地塗料の表面を、ペーパーで磨く作業を皆
無にでき、あるいは簡単にできる。下地塗料の表面に凹
凸があっても、プラスチック塗装膜2の表面には凹凸が
できないからである。ただ、下地塗料に極めて大きい凹
凸がある場合、下地塗料の表面を簡単に磨いて凹凸面を
少なくしてプラスチック塗装膜2を成形するのがよい。
ウレタン系のシーラーを塗布した木材1は、200時間
以内、好ましくは100時間以内にプラスチック塗装膜
2を成形する。ウレタン系のシーラーは、塗布して一定
の時間は水酸基があり、これがポリエステル樹脂と反応
してよく密着する性質があるからである。シーラーの水
酸基は、空気中の水分と反応して炭酸ガスとアミンとに
なる。このため、シーラーを塗布して時間が経過する
と、下地塗料とプラスチック塗装膜2との接着強度が低
下する。ウレタン系のシーラー代わって、木材1とプラ
スチック塗装膜2の両方に接着できる全てのものを使用
できる。
【0022】下地塗料を塗布した木材1を、図3に示す
ように、金型3の成形室4に仮り止めして、金型3を型
締めする。木材1を挟着して金型3の成形室4に仮止め
するために、成形室4の周縁に段差部9を設けている。
段差部9に木材1の周縁を嵌入し、木材1を移動できな
い状態として仮止めする。段差部9に嵌入して木材1を
仮止めする金型3は、木材1を移動できない状態で確実
に定位置に仮止めできる特長がある。図示しないが、金
型3は、段差部9によらず、木材1を挟着する凸起を設
け、凸起で木材1を挟着して仮止めすることもできる。
【0023】木材1を仮止めする金型3は、木材1の塗
装面に成形隙間4Aのある成形室4を有する。図3と図
4に示す金型3の成形隙間4Aは、木材1の表面に、一
定の膜圧でプラスチック塗装膜2を形成する。したがっ
て、成形隙間4Aは木材1の表面に一定の隙間ができる
形状となっている。成形室4には、図5に示すように、
未硬化の合成樹脂塗料を注入するために供給孔5を開口
している。さらに、成形室4は、供給孔5から合成樹脂
塗料を注入するときに、内部の空気を排気するための排
気孔7を設けている。排気孔7は成形室4の上部に連結
して設けられている。
【0024】金型3を型締めした状態で、液状ないしペ
ースト状の合成樹脂塗料を供給孔5から成形室4に注入
する。合成樹脂塗料は、射出成形のように高圧で成形室
4に注入する必要はない。合成樹脂塗料は、成形室4に
隙間なく注入できる程度の圧力で注入する。
【0025】合成樹脂塗料は、外部から加熱しないで硬
化し、また、加熱しないで液状ないしペースト状となっ
てるいるものを使用する。外部から加熱して硬化させる
合成樹脂塗料は、硬化するときの熱で木材を変形、変
質、あるいは割れを発生させる。このタイプの合成樹脂
塗料として、ポリエステル樹脂が最適である。ポリエス
テル樹脂は、不飽和ポリエステル中の不飽和結合と共重
合することのできるモノマー(例えばスチレン)に溶解
した液状樹脂となっている。ポリエステル樹脂は、重合
反応して硬化する。アミノ樹脂やフェノール樹脂のよう
に、硬化するときに水分等の揮発物を遊離しない。ま
た、ポリエステル樹脂は、溶剤を添加しないで液状にで
きる。このため、硬化するときの体積減少を少なくでき
る。また、ポリエステル樹脂を塗布して成形したプラス
チック塗装膜2は、塗膜強度が強靱で木材表面を強靱に
保護できる特長がある。ポリエステル樹脂は、硬化剤を
添加混合して、成形室4に注入する。硬化剤は、過酸化
物でコバルトを酸化させ、このときの反応熱エネルギー
でポリエステルポリオールを硬化反応させる。したがっ
て、この合成樹脂塗料は、外部から加熱しないで硬化で
きる。したがって、硬化するときの熱で木材1を変質さ
せることがない。
【0026】加熱しないで硬化する液状ないしペースト
状の合成樹脂塗料には、ポリエステル樹脂に代わって、
ウレタン系、エポキシ系の合成樹脂塗料も使用できる。
ウレタン系とエポキシ系の合成樹脂塗料は2液性で、2
液を混練りして成形室4に注入する。混合して注入され
たウレタン系の合成樹脂塗料は、成形室4で架橋反応し
て硬化する。エポキシ系の合成樹脂塗料も成形室4で重
合反応して硬化する。
【0027】合成樹脂塗料は、成形室4で硬化するとき
に多少は体積収縮する。注入した合成樹脂塗料の体積が
収縮すると、プラスチック塗装膜2の表面が成形室4の
内面から離されて硬化することになる。この状態になる
と、プラスチック塗装膜2の表面に微細な凹部ができ
る。したがって、プラスチック塗装膜2の表面を、平滑
な鏡面に仕上げることができない。この現象はプラスチ
ック塗装膜2の膜厚を厚くすると甚だしくなる。厚いプ
ラスチック塗装膜2は、合成樹脂塗料の使用量が多くな
るからである。多量の合成樹脂塗料を使用すると、体積
減少する割合が同じであっても、減少する体積の総量は
大きくなる。このため、プラスチック塗装膜2の表面の
凹部が深くなる。
【0028】図3に示す金型3は、この欠点を解消する
ために、二つの金型3の間にゴム状弾性体8を挟着して
いる。ゴム状弾性体8は、図5に示すように、成形室4
の周縁に配設して金型3に固定している。ゴム状弾性体
8の段差部9に木材1を仮止する方法は、表面にプラス
チック塗装膜2を成形した木材1を簡単に金型3から脱
型できる特長がある。木材1を脱型するときに、ゴム状
弾性体8が変形でき、また、プラスチック塗装膜2がゴ
ム状弾性体8に強固に接着しないからである。ゴム状弾
性体8はふたつの金型3に挟着されて固定される。
【0029】ゴム状弾性体8は、金型3を押圧する圧力
を変更して、成形室4の体積を減少する。二つの金型3
を型締めする圧力が低いとき、図3に示すように、ゴム
状弾性体8は厚くなって成形室4の体積は大きくなる。
二つの金型3を、図3の矢印で示す方向に強く押圧する
と、図4に示すように、ゴム状弾性体8は薄く押し潰さ
れて、成形室4の容積が小さくなる。成形室4の容積が
小さくなると、硬化して体積が減少する合成樹脂塗料を
成形室4の内面に密着できる。
【0030】この構造の金型3は、下記の状態で使用す
る。 木材1を仮止めして合成樹脂塗料を成形室4に注入
するとき、金型3の押圧力を弱くする。この状態で、ゴ
ム状弾性体8は厚く、成形室4の体積は大きい。この状
態で、成形室4に合成樹脂塗料を注入する。合成樹脂塗
料は、成形室4に隙間なく充満させる。 その後、一定時間はそのままの状態として、注入し
た合成樹脂塗料を硬化反応させる。 合成樹脂塗料の硬化反応が進行し、これがゲル化し
て体積が減少し始めると、図3の矢印で示す方向に金型
3の押圧力を強くする。そうすると、図4に示すよう
に、ゴム状弾性体8は薄く押し潰される。金型3を押圧
する圧力は、排気孔7から所定量の合成樹脂塗料が押し
出されるように調整する。いいかえると、体積が減少し
始める状態になった合成樹脂塗料を排気孔7から押し出
すことによって、成形室4の内面に密着させる。したが
って、合成樹脂塗料は、硬化して体積減少しても、成形
室4の体積も小さくなるので、成形室4の内面に密着し
て硬化する。
【0031】 ゴム状弾性体8を多少薄く押し潰す状
態に金型3を保持し、この状態で合成樹脂塗料を硬化さ
せる。合成樹脂塗料が硬化すると、脱型して金型3から
木工製品を去り出す。
【0032】このようにして、木材1の表面に密着して
プラスチック塗装膜2を成形する。プラスチック塗装膜
2の厚さは、通常0.2〜5mm、好ましくは0.4〜
3mmの範囲に調整される。表面に突板を接着した板材
は、プラスチック塗装膜2を0.5〜4mmとして多少
厚くするのがよい。プラスチック塗装膜2は、図3に示
すように、一般的には、木材1の表面に均一な膜厚に設
けられる。
【0033】本発明の木材の表面塗装方法は、図6に示
すように、平面状の木材1の表面に凹凸のあるプラスチ
ック塗装膜2を塗布することもできる。この場合、図6
に示すように、成形隙間4Aの厚さが部分的に異なる金
型3を使用する。このようにして、プラスチック塗装膜
2を成形すると、木材1を平面状として、表面を立体的
な凹凸模様で装飾できる特長がある。
【0034】また、成形室4に注入する合成樹脂塗料
は、顔料や染料を混合して、プラスチック塗装膜2を着
色することもできる。着色したプラスチック塗装膜2
は、木材1表面の木目模様を美しく着色する。とくに、
プラスチック塗装膜2で着色することによって、板材を
色合わせした状態で均一色に着色することもできる。
【0035】本発明の木材の表面塗装方法は、加熱しな
いで硬化し、また加熱しないで液状ないしペースト状で
ある合成樹脂塗料を成形室4に注入してプラスチック塗
装膜2で表面塗装する。したがって、本発明の表面塗装
方法は、金型3を加熱する必要がない。ただ、注入する
合成樹脂塗料を硬化させる条件を夏期と冬期とで同じよ
うに調整し、また、硬化時間を短縮するために金型3を
多少加温することもできるのは言うまでもない。金型3
を加熱する場合、金型3の加熱温度は、20〜70℃、
好ましくは25〜50℃の範囲に設定する。
【0036】
【発明の効果】この発明の木材の表面塗装方法は、従来
の方法を卓越する下記の画期的な特長を実現する。 木工製品を、高度な技術を必要とせず、簡単かつ容
易に、しかも、能率よく綺麗に表面塗装できる。それ
は、平面状あるいは凹凸状に加工した木材を、金型の成
形室に仮止めし、木材の表面に合成樹脂を加圧して一定
の厚さのプラスチック塗装膜を形成できるからである。
この方法は、金型成形室の表面状態が、プラスチック塗
装膜の表面状態を決定する。従来のように塗装技術がプ
ラスチック塗装膜の表面状態を決定するものでない。金
型の成形室は、極めて綺麗に表面仕上げすることができ
る。たとえば、成形室の内面を鏡面仕上げすることによ
って、プラスチック塗装膜の表面も鏡面仕上げすること
ができる。とくに、本発明の表面塗装方法は、表面に付
着する塵等の異物によって、表面が凹凸になることもな
い。それは、成形工程において塵等の異物をプラスチッ
ク塗装膜の内部に埋設できるからである。従来の合成樹
脂塗料をスプレー塗装する方法では、木材の表面に異物
が付着しても、あるいは塗布する方法ではプラスチック
塗装膜の表面に異物が付着しても、表面に凸起ができ、
綺麗な表面状態に仕上げるこができない。しかしなが
ら、本発明の方法は、異物をプラスチック塗装膜に埋設
して、極めて綺麗な鏡面に仕上げることができる。
【0037】 ペーパーを使用して塗装面を研磨する
工程を極減できる。それは、成形された成形室によって
プラスチック塗装膜が、成形された状態で鏡面仕上げで
きるからである。従来のスプレーガンを使用して塗装す
る方法は、ガンを使用して合成樹脂塗料をスプレーして
硬化させた後、表面をペーパーで研磨して鏡面状に仕上
げる必要があった。この作業は著しく多労働で、しかも
粉塵が飛散する極めて悪い作業環境である。本発明の方
法は、研磨して鏡面に仕上げる必要がなく、この工程を
著しく省力化できる特長がある。
【0038】 作業環境を著しく改善できる。金型の
成形室に合成樹脂を注入して成形する方法は、従来のス
プレーガンを使用して塗装する方法とは比較にならない
ほど、優れた作業環境にできる。従来の方法で木工製品
を塗装すると、その作業環境は、製造工場においてもっ
とも厳しい環境となる。それは、スプレーガンから噴射
した塗料やその気化物質が空気中を浮遊するからであ
る。作業者は、空気中を浮遊する物質を吸引する。マス
ク等を使用しても、浮遊物質の吸引を皆無にすることは
極めて難しい。作業者は塗料の臭いが充満する室内で作
業する必要がある。さらに、塗装面に塵等の異物が付着
しないように、完全に密閉された室内で作業することが
要求される。このことは、空気の換気を十分にすること
が難しく、浮遊物質を迅速に排気することを阻害して作
業環境を悪化させる。これに対して、本発明の表面塗装
方法は、成形室の内部で合成樹脂を硬化させ、空気中に
飛散するのを防止できる。また、塵が付着するのを防止
するために、室内を密閉する必要もない。閉鎖された成
形室に注入される合成樹脂塗料は、室内に飛散すること
がない。ここのため、塗装工程における作業環境を著し
く改善して、快適に作業できる特長がある。
【0039】 塗料の使用効率を飛躍的に改善でき
る。従来のスプレーガンによる塗装方法は、塗料を空気
中に飛散させて木材の表面に付着させる。本発明の表面
塗装方法は、成形室に合成樹脂塗料を注入してプラスチ
ック塗装膜を形成する。この方法は、成形室に注入する
全ての合成樹脂塗料を有効に使用できる。スプレーガン
を使用する表面塗装方法は、塗料の使用効率が約20%
である。本発明の方法は、塗料の使用効率を80%以上
とすることも可能で、実質的に使用する塗料を1/4に
極減して同じ膜厚の表面塗装材を形成することができ
る。このことは、塗料コストを低減できることに加え
て、塗装に使用されなかった塗料の廃棄処理も簡素化で
きる。スプレーガンを使用する塗装方法は、使用されな
い塗料を剥し、これを焼却する必要があり、廃棄処理に
手間と費用がかかる。ところが、本発明の表面塗装方法
は、使用されない塗料の量を極減できることに加えて、
廃棄される塗料が木材に連結される状態で硬化している
ので、簡単に廃棄できる。
【0040】 木工製品の狂いや割れを阻止する状態
で表面塗装できる。成形室に仮止された木材は、歪や割
れを補修する形状に保持できる。この状態で、表面にプ
ラスチック塗装膜を被覆すると、表面のプラスチック塗
装膜が木材を補強する状態で硬化する。とくに、本発明
の表面塗装方法は、プラスチック塗装膜を厚くでき、ま
た、塗料の使用効率が極めて高いので、塗装コストを高
くすることなく、表面に厚いプラスチック塗装膜を形成
できる。厚いプラスチック塗装膜は、木材表面を強靱に
補強して、歪や割れを防止する。
【0041】 厚いプラスチック塗装膜を成形して、
補修を簡単にできる。従来のスプレーガンによる塗装方
法は、厚いプラスチック塗装膜を成形するために、何回
もスプレー塗装する必要がある。1回に塗布できる膜厚
に制限を受けるからである。1回に厚く塗装すると、塗
料がながれて綺麗な平面状に塗装できない。本発明の表
面塗装方法は、1回で成形するプラスチック塗装膜の膜
厚に制限を受けない。それは、成形室に合成樹脂塗料を
注入して硬化させるからである。厚いプラスチック塗装
膜は、表面に傷が付いても、表面を研磨して簡単に補修
できる。
【0042】 さらに、本発明の木材の表面塗装方法
は、塗装工程で表面に立体的な凹凸模様を設けることが
可能である。スプレーガンによる従来の塗装方法は、表
面に凹凸模様を形成するためには木材に凹凸模様を形成
する必要がある。このため、凹凸模様の木工製品は、木
材の製造に手間がかかる。本発明の表面塗装方法は、成
形室の内面に凹凸模様のある金型を使用して、プラスチ
ック塗装膜の表面を立体的な凹凸模様に成形できる。さ
らに、成形室で成形した立体的な凹凸模様は、金型によ
って極めて綺麗にできる特長がある。木材に立体模様を
形成して、その上に塗料をスプレーする従来の塗装方法
は、塗料が硬化した後にプラスチック塗装膜をペーパー
で研磨する必要がある。ペーパーで研磨すると、凹凸模
様の隅角が変形して、くっきりとした綺麗な模様とする
ことができなくなる。本発明の表面塗装方法は、ペーパ
ー仕上げを必要とせず、簡単に綺麗な立体模様とするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例にかかる方法で表面処理する
扉の正面図。
【図2】図1に示す扉の断面図
【図3】図2に示す扉の表面にプラスチック塗装膜を成
形する金型の断面図だ
【図4】図3に示す金型のゴム状弾性体を薄く押し潰し
た状態を示す断面図
【図5】図3に示す金型を開いた状態を示す平面図
【図6】本発明の他の方法で木材表面を塗装する金型を
示す断面図
【符号の説明】
1 木材 2 プラスチック塗装膜 3 金型 4 成形室 4A 成形隙間 5 供給孔 6 額縁 7 排気孔 8 ゴム状弾性体 9 段差部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 木材の表面塗装方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、木材の表面塗装方法
に関する。ただし、本明細書において木材は、仏壇に使
用されるものを除き、仏壇以外の全ての商品に使用され
る木材を意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】木材は、プラスチックや金属では実現で
きない天然物に独得の風格、とくに自然の木は独得の木
目模様をしている。自然の木目模様が生かされて、種々
の用途に多く使用されている。たとえば、机、家具、台
所で使用される棚や扉、あるいは電気製品のボックス、
ピアノやオルガン等の楽器、車のダッシュボード等に使
用される。木材の美しい自然の木目を生かし、また、い
つまでも綺麗な木目とするために、ほとんど例外なく表
面を塗装している。美しい表面塗装は、木材をさらに美
しく仕上げることができる。いかにして美しい表面塗装
をするかは、高級な木製品は極めて大切である。表
面塗装が綺麗でないと、商品価値は著しく低下する。
【0003】綺麗な表面塗装をするために、合成樹脂塗
料がスプレーされる。スプレーする方法が、刷毛塗りよ
りも綺麗に塗装できるからである。スプレー塗装に使用
される合成樹脂塗料は液状である。液状の合成樹脂塗料
は、スプレーガンを使用して、木材の表面に塗布され
る。木材表面に塗布された霧状の合成樹脂塗料は、木材
表面に付着して平滑面となり、硬化して木材の表面を綺
麗に塗装する。木工製品はほとんど例外なくこの方法で
表面塗装している。
【0004】しかしながら、この方法で木材表面を綺麗
に表面処理するには、著しく手間がかかる。また、美し
く塗装するためには、極めて高度な技術と、長い熟練
と、慎重なスプレー作業と、厳しい環境とが要求され
る。さらに、スプレー塗装に手間がかかるばかりでな
く、塗装面をペーパーで磨いて綺麗に修正するのに、さ
らに手間がかかる。ペーパーでの研磨は、スプレー塗装
の数倍の手間がかかる。とくに、立体的な凹凸面のある
木工製品の表面塗装は、ペーパーでの研磨に著しく手間
がかかる。それは、凹凸面を何回もペーパーで擦って平
滑面に修正し、さらに何回も繰り返し塗装するからであ
る。さらに困ったことに、ペーパーでの磨き工程は、自
動化がほとんど不可能である。磨いた製品の表面を目で
観察し、研磨する位置や程度を調整するからである。こ
のため、ペーパーでの磨き工程は、人手にたよらざるを
得ない。さらに、ペーパーで磨くと、木材表面の凹凸面
に設けた出隅や入り隅をくっきりと綺麗に仕上げること
が極めて難しい。出隅はペーパーで擦と角が磨かれて丸
くなり、入り隅はスプレーする塗料によって丸くなる。
このため、何回も繰り返し、ペーパー磨きとスプレー塗
装とを繰り返すと、凹凸面くっきりと美しい立体模様
に仕上げるのが難しくなる。
【0005】さらにまた、高級なスプレー塗装には極め
て厳しい環境が要求され、このことが、作業者の健康状
態に悪影響をおよぼし、若い作業者に嫌われる原因とな
っている。スプレー塗装の環境を厳しくするのは、塗装
面に塵等の異物が付着するのを防止するためである。ス
プレー塗装するときに、塗装面に塵等が付着すると、凹
凸面となって綺麗な表面処理とすることができず、製品
の商品価値を著しく低下させる。塵の付着を皆無にする
ためには、密閉された室内で塗装することが要求され
る。密閉室は、塵の侵入を阻止るために、十分に換気す
ることが難しく、塗料の臭いが充満して作業環境を著し
く悪くしている。このため、木材の表面処理は商品価値
を決定する極めて重大な工程であるが、作業環境が悪く
極めて多労働であるために、若い人材の確保が極めて難
しくなっている。ほとんどの工場で最も問題の多い工程
となっているのが実状である。
【0006】さらに、木材の塗装は、スプレーする塗料
の使用効率が極めて低い欠点がある。塗料の使用効率
は、スプレーする木材の形状によって異なる。平均して
約20%といわれる。静電塗装は塗料の使用効率を改善
できる。しかしながら、静電塗装によっても、塗料の使
用効率はたかだか約30%である。スプレーした塗料
は、70〜80%が有効に使用されずに廃棄される。有
効利用されない塗料は、塗装室の壁等に付着する。付着
した塗料は剥離するのにも手間がかかる。このため、利
用されない塗料は、廃棄するのにも手間がかかってい
る。塗料を廃棄するために、ほとんどの工場は、壁等か
ら剥離しした塗料を焼却する。このように、スプレーさ
れる合成樹脂塗料は、わずか1/4〜1/5しか使用さ
れず、ほとんどが手間をかけて廃棄しているのが実状で
ある。
【0007】塗装しないで表面処理できる木工製品は、
合成樹脂を成形して解消できる。このことを実現する方
法は、たとえば、実公昭49−28823号公報に記載
される。この公報には、熱可塑性の合成樹脂を立体形状
に成形して扉の板材を製造する方法が記載される。全体
を合成樹脂で成形した扉は、蝶番等をネジ止できない。
ネジ止するために、合成樹脂に木片をインサート成形し
ている。この方法は、扉を能率よく多量生産できる。し
かしながら、実際には、この方法で製造した木工製品
は、いわゆる「合成樹脂成形品の安物」のイメージを払
拭できない。このため、合成樹脂成形品では、高級な風
格の木工製品とすることができない。この木工製品は、
木がもつ独得の雰囲気がなく、従来から多用されている
木製木工製品の代用とはならない。インサートする木材
を大きくして、木材の表面に合成樹脂を成形することが
できるなら、安物のイメージを払拭できる。しかしなが
ら、従来の方法では大きな木材をインサートすることは
できない。それは、合成樹脂に、加熱して軟化する熱可
塑性の合成樹脂を使用するので、合成樹脂の熱で木材が
著しく変形してしまうからである。
【0008】さらに、実開昭56−130490号公報
にも木工製品の製造方法が記載される。この公報に記載
される方法は、合成樹脂のイメージをなくして、木材と
同じ外観とするために、小片状の木片を使用して、これ
を合成樹脂バインダーで立体的な板状に成形している。
成形した板材の表面には、唐木等を薄くスライスした突
板を接着して表面仕上げしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この方法は、表面を木
目模様とすることができる。しかしながら、この方法
は、従来の木材と同じように、板材の表面に突板を接着
した後、スプレー塗装する等の方法で表面仕上げする必
要がある。すなわち、木材片を凹凸状に成形した板材は
そのままでは表面処理されず、木製の板材と同じ工程で
表面仕上げする必要がある。表面仕上げは、突板等を接
着した板材の表面に、表面仕上げ塗料を密着するための
下地塗料を数回塗布し、塗装の毎にペーパーで凹凸面を
綺麗に磨き、さらに、その表面に表面仕上げ塗料を複数
回吹き付けて塗装し、塗装する毎にペーパーで凹凸面を
平滑面に仕上げる必要がある。この表面処理工程におい
て、ペーパーによる表面磨きに著しく手間がかかる。そ
れは、表面が凹凸状である板材は研磨装置を使用して自
動的に能率よく研磨できず、作業者が手作業で1枚づつ
仕上げるからである。このため、立体的な凹凸のある板
材は、表面仕上げに著しく手間がかかり、また、この工
程の作業環境は極めて悪く、表面仕上げのコストを高騰
させる原因となっている。
【0010】さらにまた、手作業で研磨して鏡面状に仕
上げるので、個人差によって、仕上げの美しさに差がで
きる欠点がある。特に、凹凸面を綺麗に仕上げるには、
熟練者が丁寧に研磨する必要がある。このことは、さら
に研磨工程の人件費を高騰して、木工製品の製造コスト
を高くする。
【0011】この発明は、さらに、この欠点を解決する
ことを目的に開発されたもので、この発明の重要な目的
は、木材を簡単かつ容易に、しかも能率よく綺麗に表面
仕上げできる木材の表面塗装方法を提供するにある。ま
た、この発明の他の重要な目的は、作業環境を改善し
て、綺麗に表面処理できる木材の表面塗装方法を提供す
るにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の木材の表面塗
装方法は、前述の目的を達成するために下記の方法で木
工製品を表面塗装する。木材の表面塗装方法は、木材の
表面に、透明ないし半透明の合成樹脂塗料を付着して木
材の表面を塗装するもので、下記の工程で表面に合成樹
脂塗料を付着することを特徴する。
【0013】(a) 木材1を、塗装面に所定の成形隙
間4Aができる成形室4に仮止めする工程。本発明の表
面塗装方法は、木材1を天然の木材に特定しない。木材
1は、天然の木材を小さく裁断し、または粉砕してバイ
ンダーで成形した木材も含む広い意味に使用する。 (b) 型締めした金型3の成形室4に、外部から加熱
しないで硬化し、また、加熱しないで液状ないしペース
ト状である合成樹脂塗料を注入する工程。加熱しないで
硬化する合成樹脂塗料には、ポリエステル系、ウレタン
系、エポキシ系の塗料が使用できる。ポリエステル系の
合成樹脂塗料は、硬化剤を添加して成形室4に注入す
る。ウレタン系とエポキシ系の合成樹脂塗料は2液を混
合して成形室4に注入する。本発明の方法は、加熱しな
いでも硬化する合成樹脂塗料を使用するが、この塗料は
木材に悪影響を与えない温度に加熱して硬化させること
もできるのは言うまでもない。
【0014】(c) 金型3を型締めし、注入した合成
樹脂塗料を木材1の表面に密着する状態で硬化させる工
程。 (d) 合成樹脂塗料を硬化させた後、脱型して表面に
合成樹脂塗料を塗布した木工製品を取り出す工程。
【0015】本発明の表面塗装方法に使用する木材1
は、平面状のもの、立体的な凹凸面を有するものを使用
することができる。また、木材1の表面を、合成樹脂塗
料で立体的な凹凸面に表面仕上げすることもできる。
【0016】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。但し、以下に示す実施例は、この発明の技術思
想を具体化するための方法を例示するものであって、こ
の発明の方法は、使用部品の材質や形状を下記のものに
特定するものでない。この発明の方法は、特許請求の範
囲を逸脱しない範囲において変更を加えることができ
る。
【0017】更に、この明細書は、特許請求の範囲が理
解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号
を、「特許請求の範囲の欄」、「従来の課題を解決する
為の手段の欄」および「作用の欄」に示される部材に付
記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、
実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0018】図1はシステムキッチンの扉の正面図、図
2は図1に示す扉のA−A線断面図を示している。これ
等の図に示す扉は、方形状の木材の周縁に額縁6を
定している。この扉は、下記の方法で、額縁6に固定す
る木材を表面塗装する。
【0019】図2に示す扉は、板状の木材1の周縁に額
縁6を固定している。木材1は、図2の断面図に示すよ
うに、板材の周縁を、NC切削装置で切削して除去し、
中央に凸部を設けた凹凸状としている。また、図2に示
す木材1は、平面状の板材の表面に、NC切削装置で周
縁を湾曲する形状に加工した別の木板を接着して、凹凸
状に加工することもできる。木材1には、好ましくは天
然の単板を使用する。ただ、木材1には、単板に代わっ
てベニヤ板も使用できる。また、木材を小さく裁断して
板状にプレス成形した木材も使用できる。木材1は、表
面に直接塗装することもできる。ただ、木材1の表面
に、突板等の表面シートを接着してその上を表面塗装す
ることもできる。さらに、木材1をNC切削装置等で凹
凸状に切削加工した後、表面に木目を印刷し、あるいは
手書きして装飾することもできる。
【0020】天然の木材でない木材1は、天然の木材を
小片状に裁断し、あるいは、粉状に粉砕し、あるいは繊
維状に加工し、これを合成樹脂バインダーに混合して、
加圧成形して成形する。成形するときに、表面を凹凸状
とする板状に成形することもできる。凹凸状の木材1
は、表面に高級木材の突板を接着して装飾することがで
きる。
【0021】以上の工程で製造された木材1に下地塗料
を塗布する。下地塗料には、木材1とプラスチック塗装
膜2の両方に相性がよくて、強固に接着するもの、例え
ばウレタン系の合成樹脂塗料であるシーラーを使用す
る。下地塗料は、スプレーして木材1の表面に塗装す
る。従来の塗装方法は、シーラーを塗布した後、ペーパ
ーで磨いて表面を平滑に仕上げる必要があった。それは
下地塗料に凹凸があると、その表面に塗布するプラスチ
ック塗装膜2にも凹凸ができるからである。本発明の塗
装方法は、下地塗料の表面を、ペーパーで磨く作業を皆
無にでき、あるいは簡単にできる。下地塗料の表面に凹
凸があっても、プラスチック塗装膜2の表面には凹凸が
できないからである。ただ、下地塗料に極めて大きい凹
凸がある場合、下地塗料の表面を簡単に磨いて凹凸面を
少なくしてプラスチック塗装膜2を成形するのがよい。
ウレタン系のシーラーを塗布した木材1は、200時間
以内、好ましくは100時間以内にプラスチック塗装膜
2を成形する。ウレタン系のシーラーは、塗布して一定
の時間は水酸基があり、これがポリエステル樹脂と反応
してよく密着する性質があるからである。シーラーの水
酸基は、空気中の水分と反応して炭酸ガスとアミンとに
なる。このため、シーラーを塗布して時間が経過する
と、下地塗料とプラスチック塗装膜2との接着強度が低
下する。ウレタン系のシーラー代わって、木材1とプラ
スチック塗装膜2の両方に接着できる全てのものを使用
できる。
【0022】下地塗料を塗布した木材1を、図3に示す
ように、金型3の成形室4に仮り止めして、金型3を型
締めする。木材1を挟着して金型3の成形室4に仮止め
するために、成形室4の周縁に段差部9を設けている。
段差部9に木材1の周縁を嵌入し、木材1を移動できな
い状態として仮止めする。段差部9に嵌入して木材1を
仮止めする金型3は、木材1を移動できない状態で確実
に定位置に仮止めできる特長がある。図示しないが、
型は段差部によらず、木材を挟着する凸起を設け、凸
起で木材を挟着して仮止めすることもできる。
【0023】木材1を仮止めする金型3は、木材1の塗
装面に成形隙間4Aのある成形室4を有する。図3と図
4に示す金型3の成形隙間4Aは、木材1の表面に、一
定の膜圧でプラスチック塗装膜2を形成する。したがっ
て、成形隙間4Aは木材1の表面に一定の隙間ができる
形状となっている。成形室4には、図5に示すように、
未硬化の合成樹脂塗料を注入するために供給孔5を開口
している。さらに、成形室4は、供給孔5から合成樹脂
塗料を注入するときに、内部の空気を排気するための排
気孔7を設けている。排気孔7は成形室4の上部に連結
して設けられている。
【0024】金型3を型締めした状態で、液状ないしペ
ースト状の合成樹脂塗料を供給孔5から成形室4に注入
する。合成樹脂塗料は、射出成形のように高圧で成形室
4に注入する必要はない。合成樹脂塗料は、成形室4に
隙間なく注入できる程度の圧力で注入する。
【0025】合成樹脂塗料は、外部から加熱しないで硬
化し、また、加熱しないで液状ないしペースト状となっ
てるいるものを使用する。外部から加熱して硬化させる
合成樹脂塗料は、硬化するときの熱で木材を変形、変
質、あるいは割れを発生させる。このタイプの合成樹脂
塗料として、ポリエステル樹脂が最適である。ポリエス
テル樹脂は、不飽和ポリエステル中の不飽和結合と共重
合することのできるモノマー(例えばスチレン)に溶解
した液状樹脂となっている。ポリエステル樹脂は、重合
反応して硬化する。アミノ樹脂やフェノール樹脂のよう
に、硬化するときに水分等の揮発物を遊離しない。ま
た、ポリエステル樹脂は、溶剤を添加しないで液状にで
きる。このため、硬化するときの体積減少を少なくでき
る。また、ポリエステル樹脂を塗布して成形したプラス
チック塗装膜2は、塗膜強度が強靱で木材表面を強靱
に保護できる特長がある。ポリエステル樹脂は、硬化剤
を添加混合して、成形室4に注入する。硬化剤は、過酸
化物でコバルトを酸化させ、このときの反応熱エネルギ
ーでポリエステルポリオールを硬化反応させる。したが
って、この合成樹脂塗料は、外部から加熱しないで硬化
できる。したがって、硬化するときの熱で木材1を変質
させることがない。
【0026】加熱しないで硬化する液状ないしペースト
状の合成樹脂塗料には、ポリエステル樹脂に代わって、
ウレタン系、エポキシ系の合成樹脂塗料も使用できる。
ウレタン系とエポキシ系の合成樹脂塗料は2液性で、2
液を混練りして成形室4に注入する。混合して注入され
たウレタン系の合成樹脂塗料は、成形室4で架橋反応し
て硬化する。エポキシ系の合成樹脂塗料も成形室4で重
合反応して硬化する。
【0027】合成樹脂塗料は、成形室4で硬化するとき
に多少は体積収縮する。注入した合成樹脂塗料の体積が
収縮すると、プラスチック塗装膜2の表面が成形室4の
内面から離されて硬化することになる。この状態になる
と、プラスチック塗装膜2の表面に微細な凹部ができ
る。したがって、プラスチック塗装膜2の表面を、平滑
な鏡面に仕上げることができない。この現象はプラスチ
ック塗装膜2の膜厚を厚くすると甚だしくなる。厚いプ
ラスチック塗装膜2は、合成樹脂塗料の使用量が多くな
るからである。多量の合成樹脂塗料を使用すると、体積
減少する割合が同じであっても、減少する体積の総量は
大きくなる。このため、プラスチック塗装膜2の表面の
凹部が深くなる。
【0028】図3に示す金型3は、この欠点を解消する
ために、二つの金型3の間にゴム状弾性体8を挟着して
いる。ゴム状弾性体8は、図5に示すように、成形室4
の周縁に配設して金型3に固定している。ゴム状弾性体
8の段差部9に木材1を仮止する方法は、表面にプラス
チック塗装膜2を成形した木材1を簡単に金型3から脱
型できる特長がある。木材1を脱型するときに、ゴム状
弾性体8が変形でき、また、プラスチック塗装膜2がゴ
ム状弾性体8に強固に接着しないからである。ゴム状弾
性体8はふたつの金型3に挟着されて固定される。
【0029】ゴム状弾性体8は、金型3を押圧する圧力
を変更して、成形室4の体積を減少する。二つの金型3
を型締めする圧力が低いとき、図3に示すように、ゴム
状弾性体8は厚くなって成形室4の体積は大きくなる。
二つの金型3を、図3の矢印で示す方向に強く押圧する
と、図4に示すように、ゴム状弾性体8は薄く押し潰さ
れて、成形室4の容積が小さくなる。成形室4の容積が
小さくなると、硬化して体積が減少する合成樹脂塗料を
成形室4の内面に密着できる。
【0030】この構造の金型3は、下記の状態で使用す
る。 木材1を仮止めして合成樹脂塗料を成形室4に注入
するとき、金型3の押圧力を弱くする。この状態で、ゴ
ム状弾性体8は厚く、成形室4の体積は大きい。この状
態で、成形室4に合成樹脂塗料を注入する。合成樹脂塗
料は、成形室4に隙間なく充満させる。 その後、一定時間はそのままの状態として、注入し
た合成樹脂塗料を硬化反応させる。 合成樹脂塗料の硬化反応が進行し、これがゲル化し
て体積が減少し始めると、図3の矢印で示す方向に金型
3の押圧力を強くする。そうすると、図4に示すよう
に、ゴム状弾性体8は薄く押し潰される。金型3を押圧
する圧力は、排気孔7から所定量の合成樹脂塗料が押し
出されるように調整する。いいかえると、体積が減少し
始める状態になった合成樹脂塗料を排気孔7から押し出
すことによって、成形室4の内面に密着させる。したが
って、合成樹脂塗料は、硬化して体積減少しても、成形
室4の体積も小さくなるので、成形室4の内面に密着し
て硬化する。
【0031】 ゴム状弾性体8を多少薄く押し潰す状
態に金型3を保持し、この状態で合成樹脂塗料を硬化さ
せる。合成樹脂塗料が硬化すると、脱型して金型3から
木工製品をり出す。
【0032】このようにして、木材1の表面に密着して
プラスチック塗装膜2を成形する。プラスチック塗装膜
2の厚さは、通常0.2〜5mm、好ましくは0.4〜
3mmの範囲に調整される。表面に突板を接着した板材
は、プラスチック塗装膜2を0.5〜4mmとして多少
厚くするのがよい。プラスチック塗装膜2は、図3に示
すように、一般的には、木材1の表面に均一な膜厚に設
けられる。
【0033】本発明の木材の表面塗装方法は、図6に示
すように、平面状の木材1の表面に凹凸のあるプラスチ
ック塗装膜2を塗布することもできる。この場合、図6
に示すように、成形隙間4Aの厚さが部分的に異なる金
型3を使用する。このようにして、プラスチック塗装膜
2を成形すると、木材1を平面状として、表面を立体的
な凹凸模様で装飾できる特長がある。
【0034】また、成形室4に注入する合成樹脂塗料
は、顔料や染料を混合して、プラスチック塗装膜2を着
色することもできる。着色したプラスチック塗装膜2
は、木材1表面の木目模様を美しく着色する。とくに、
プラスチック塗装膜2で着色することによって、板材を
色合わせした状態で均一色に着色することもできる。
【0035】本発明の木材の表面塗装方法は、加熱しな
いで硬化し、また加熱しないで液状ないしペースト状で
ある合成樹脂塗料を成形室4に注入してプラスチック塗
装膜2で表面塗装する。したがって、本発明の表面塗装
方法は、金型3を加熱する必要がない。ただ、注入する
合成樹脂塗料を硬化させる条件を夏期と冬期とで同じよ
うに調整し、また、硬化時間を短縮するために金型3を
多少加温することもできるのは言うまでもない。金型3
を加熱する場合、金型3の加熱温度は、20〜70℃、
好ましくは25〜50℃の範囲に設定する。
【0036】
【発明の効果】この発明の木材の表面塗装方法は、従来
の方法を卓越する下記の画期的な特長を実現する。 木工製品を、高度な技術を必要とせず、簡単かつ容
易に、しかも、能率よく綺麗に表面塗装できる。それ
は、平面状あるいは凹凸状に加工した木材を、金型の成
形室に仮止めし、木材の表面に合成樹脂を加圧して一定
の厚さのプラスチック塗装膜を形成できるからである。
この方法は、金型成形室の表面状態が、プラスチック塗
装膜の表面状態を決定する。従来のように塗装技術がプ
ラスチック塗装膜の表面状態を決定するものでない。金
型の成形室は、極めて綺麗に表面仕上げすることができ
る。たとえば、成形室の内面を鏡面仕上げすることによ
って、プラスチック塗装膜の表面も鏡面仕上げすること
ができる。とくに、本発明の表面塗装方法は、表面に付
着する塵等の異物によって、表面が凹凸になることもな
い。それは、成形工程において塵等の異物をプラスチッ
ク塗装膜の内部に埋設できるからである。従来の合成樹
脂塗料をスプレー塗装する方法では、木材の表面に異物
が付着しても、あるいは塗布する方法ではプラスチック
塗装膜の表面に異物が付着しても、表面に凸起ができ、
綺麗な表面状態に仕上げるこができない。しかしなが
ら、本発明の方法は、異物をプラスチック塗装膜に埋設
して、極めて綺麗な鏡面に仕上げることができる。
【0037】 ペーパーを使用して塗装面を研磨する
工程を極減できる。それは、成形された成形室によって
プラスチック塗装膜が、成形された状態で鏡面仕上げで
きるからである。従来のスプレーガンを使用して塗装す
る方法は、ガンを使用して合成樹脂塗料をスプレーして
硬化させた後、表面をペーパーで研磨して鏡面状に仕上
げる必要があった。この作業は著しく多労働で、しかも
粉塵が飛散する極めて悪い作業環境である。本発明の方
法は、研磨して鏡面に仕上げる必要がなく、この工程を
著しく省力化できる特長がある。
【0038】 作業環境を著しく改善できる。金型の
成形室に合成樹脂を注入して成形する方法は、従来のス
プレーガンを使用して塗装する方法とは比較にならない
ほど、優れた作業環境にできる。従来の方法で木工製品
を塗装すると、その作業環境は、製造工場においてもっ
とも厳しい環境となる。それは、スプレーガンから噴射
した塗料やその気化物質が空気中を浮遊するからであ
る。作業者は、空気中を浮遊する物質を吸引する。マス
ク等を使用しても、浮遊物質の吸引を皆無にすることは
極めて難しい。作業者は塗料の臭いが充満する室内で作
業する必要がある。さらに、塗装面に塵等の異物が付着
しないように、完全に密閉された室内で作業することが
要求される。このことは、空気の換気を十分にすること
が難しく、浮遊物質を迅速に排気することを阻害して作
業環境を悪化させる。これに対して、本発明の表面塗装
方法は、成形室の内部で合成樹脂を硬化させ、空気中に
飛散するのを防止できる。また、塵が付着するのを防止
するために、室内を密閉する必要もない。閉鎖された成
形室に注入される合成樹脂塗料は、室内に飛散すること
がない。このため、塗装工程における作業環境を著しく
改善して、快適に作業できる特長がある。
【0039】 塗料の使用効率を飛躍的に改善でき
る。従来のスプレーガンによる塗装方法は、塗料を空気
中に飛散させて木材の表面に付着させる。本発明の表面
塗装方法は、成形室に合成樹脂塗料を注入してプラスチ
ック塗装膜を形成する。この方法は、成形室に注入する
全ての合成樹脂塗料を有効に使用できる。スプレーガン
を使用する表面塗装方法は、塗料の使用効率が約20%
である。本発明の方法は、塗料の使用効率を80%以上
とすることも可能で、実質的に使用する塗料を1/4に
極減して同じ膜厚の表面塗装材を形成することができ
る。このことは、塗料コストを低減できることに加え
て、塗装に使用されなかった塗料の廃棄処理も簡素化で
きる。スプレーガンを使用する塗装方法は、使用されな
い塗料を剥し、これを焼却する必要があり、廃棄処理に
手間と費用がかかる。ところが、本発明の表面塗装方法
は、使用されない塗料の量を極減できることに加えて、
廃棄される塗料が木材に連結される状態で硬化している
ので、簡単に廃棄できる。
【0040】 木工製品の狂いや割れを阻止する状態
で表面塗装できる。成形室に仮止された木材は、歪や割
れを補修する形状に保持できる。この状態で、表面にプ
ラスチック塗装膜を被覆すると、表面のプラスチック塗
装膜が木材を補強する状態で硬化する。とくに、本発明
の表面塗装方法は、プラスチック塗装膜を厚くでき、ま
た、塗料の使用効率が極めて高いので、塗装コストを高
くすることなく、表面に厚いプラスチック塗装膜を形成
できる。厚いプラスチック塗装膜は、木材表面を強靱に
補強して、歪や割れを防止する。
【0041】 厚いプラスチック塗装膜を成形して、
補修を簡単にできる。従来のスプレーガンによる塗装方
法は、厚いプラスチック塗装膜を成形するために、何回
もスプレー塗装する必要がある。1回に塗布できる膜厚
に制限を受けるからである。1回に厚く塗装すると、塗
料がながれて綺麗な平面状に塗装できない。本発明の表
面塗装方法は、1回で成形するプラスチック塗装膜の膜
厚に制限を受けない。それは、成形室に合成樹脂塗料を
注入して硬化させるからである。厚いプラスチック塗装
膜は、表面に傷が付いても、表面を研磨して簡単に補修
できる。
【0042】 さらに、本発明の木材の表面塗装方法
は、塗装工程で表面に立体的な凹凸模様を設けることが
可能である。スプレーガンによる従来の塗装方法は、表
面に凹凸模様を形成するためには木材に凹凸模様を形成
する必要がある。このため、凹凸模様の木工製品は、木
材の製造に手間がかかる。本発明の表面塗装方法は、成
形室の内面に凹凸模様のある金型を使用して、プラスチ
ック塗装膜の表面を立体的な凹凸模様に成形できる。さ
らに、成形室で成形した立体的な凹凸模様は、金型によ
って極めて綺麗にできる特長がある。木材に立体模様を
形成して、その上に塗料をスプレーする従来の塗装方法
は、塗料が硬化した後にプラスチック塗装膜をペーパー
で研磨する必要がある。ペーパーで研磨すると、凹凸模
様の隅角が変形して、くっきりとした綺麗な模様とする
ことができなくなる。本発明の表面塗装方法は、ペーパ
ー仕上げを必要とせず、簡単に綺麗な立体模様とするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例にかかる方法で表面処理する
扉の正面
【図2】図1に示す扉のA−A線断面図
【図3】図2に示す扉の表面にプラスチック塗装膜を成
形する金型の断面図
【図4】図3に示す金型のゴム状弾性体を薄く押し潰し
た状態を示す断面図
【図5】図3に示す金型を開いた状態を示す平面図
【図6】本発明の他の方法で木材表面を塗装する金型を
示す断面図
【符号の説明】 1 木材 2 プラスチック塗装膜 3 金型 4 成形室 4A 成形隙間 5 供給孔 6 額縁 7 排気孔 8 ゴム状弾性体 9 段差部
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材(1)の表面に、透明ないし半透明の
    合成樹脂塗料を付着して木材(1)の表面を塗装する木材
    の表面塗装方法において、下記の工程で表面に合成樹脂
    塗料を付着することを特徴する木材の表面塗装方法。 (a) 木材(1)を、塗装面に所定の成形隙間(4A)がで
    きる成形室(4)に仮止めする工程。 (b) 型締めした金型(3)の成形室(4)に、外部から加
    熱しないで硬化し、かつ、加熱しないで液状ないしペー
    スト状をしている合成樹脂塗料を注入する工程。 (c) 金型(3)を型締め状態に保持して、注入した合
    成樹脂塗料が木材(1)の表面に密着する状態で硬化する
    工程。 (d) 合成樹脂塗料を硬化させた後、脱型して表面に
    合成樹脂塗料を塗布した木工製品を取り出す工程。
  2. 【請求項2】 立体的な凹凸面を有する木材(1)を使用
    する請求項1記載の木材の表面塗装方法。
  3. 【請求項3】 立体的な凹凸面の成形隙間を有する金型
    を使用し、木材(1)の表面を凹凸模様の合成樹脂塗料で
    塗装することを特徴とする請求項1記載の木材の表面塗
    装方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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