JPH0625089A - 3−イソプロペニルペンタン酸誘導体 - Google Patents

3−イソプロペニルペンタン酸誘導体

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JPH0625089A
JPH0625089A JP5760792A JP5760792A JPH0625089A JP H0625089 A JPH0625089 A JP H0625089A JP 5760792 A JP5760792 A JP 5760792A JP 5760792 A JP5760792 A JP 5760792A JP H0625089 A JPH0625089 A JP H0625089A
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JP
Japan
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isopropenyl
acid
solution
formula
compound
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Application number
JP5760792A
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English (en)
Inventor
Kenji Mori
謙治 森
Kunio Fukamatsu
邦夫 深松
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Fuji Yakuhin Kogyo KK
Original Assignee
Fuji Yakuhin Kogyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 一般式 〔式中、Rは、低級アルキル基を表わし、Qは、−CH
O、−CHOH、−CHOR又は−CHXを表
わし、Rはアルキルスルホニル基もしくは(置換)ア
リールスルホニル基を表わし、Xはハロゲンを表わす〕
で表わされる3−イソプロペニルペンタン酸誘導体。 【効果】 グランディソル(シス−2−イソプロペニル
−1−メチルシクロブタンエタノール)製造の中間体と
して重要である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な化学物質、3−
イソプロペニルペンタン酸誘導体に関するものである。
さらに詳しく言えば、本発明は、綿花の栽培に害を及ぼ
すワタミゾウムシを防除するために用いられる有用な物
質であるグランディソルを製造するための中間体物質と
しての新規な3−イソプロペニルペンタン酸誘導体に関
する。
【0002】
【背景技術】綿花の栽培にあたり、その害虫とされてい
るワタミゾウムシ(boll weevil:学名、A
nthonomus grandis)は、綿花栽培地
帯において、その生産上、相当な損害をもたらすものと
して知られているが、その防除手段として用いられるい
わゆる殺虫剤は、他の有益な虫類に対する影響の点や環
境破壊の点からみて解決すべき問題点を数多く有してお
り、その使用は好ましくないものとされている。そのよ
うな観点から、近年、フェロモンの利用が検討されるよ
うになり、フェロモン物質の多量の供給が要請されてい
る。このフェロモン物質の一つとして、グランディソル
が知られている。
【0003】グランディソル(化学名:シス−2−イソ
プロペニル−1−メチルシクロブタンエタノール)は雄
のワタミゾウムシより単離された4成分のフェロモンの
うちの1つであるが〔Science:166巻、10
10頁(1969)およびJ.Org.Chem.36
巻、2616頁(1971)参照〕、このグランディソ
ルについては、これまで、その合成法として、いくつか
のラセミ体合成および光学活性体合成が報告されてい
る。しかしながら、これまで知られている合成方法は、
いずれも、経済的に工業的に行い得るものではなかった
ので、産業上に利用可能な方法として、新規な化学的製
造法の実現が強く望まれていた。
【0004】従来報告されている文献例をあげて言え
ば、例えば、Can.J.Chem.,60,2007
(1982)に記載されている方法がある。この方法
は、中間体としてのシクロブチルラクトンを得るため
に、酵素反応を利用している点において、この方法によ
る工業的規模での合成は到底不可能である。また、例え
ば、J.Org.Chem.51,5226(198
6)に記載されている方法では、中間過程において、光
反応を用いる際、高希釈条件を必要とし、また、光学活
性体を得るための光学分割が、工業的方法においては全
く不適であるため、この方法の工業的規模での実施は、
不可能である。また、Liebigs Ann.Che
m.341(1991)に記載されている方法では、
(−)−カンホノイルクロライドを光学分割剤として用
いて光学分割を行うため、そのような高価な光学分割剤
の使用は、工業的な方法においては、不可能であるた
め、これも不適であるなど、既知のグランディソルの合
成法においては、経済性をもって工業的に実施し得るも
のは未だ存在していない実情にあった。
【0005】本発明者らは、簡易な方法で(+)又は
(−)−グランディソルに導くことができる下記式(V
I−1)で表わされる既知物質に着目し、その光学活性
体である下記式(VI)で表わされる物質の効率的な製
造を目的として新規な光学活性中間体を提供することに
成功した。
【0006】
【化2】 (式中、Rは、低級アルキルである)
【0007】
【発明の開示】本発明は、一般式
【化3】 〔式中、Rは、低級アルキル基を表わし、Qは、−CH
O、−CHOH、−CHOR又は−CHXを表
わし,Rはアルキルスルホニル基もしくは置換又は非
置換のアリールスルホニル基を表わし、Xはハロゲンを
表わす〕で表わされる新規な3−イソプロペニルペンタ
ン酸誘導体を提供するものである。
【0008】本発明は、工業的に安価に入手可能な光学
活性の(R)あるいは(S)−カルボンより文献記載の
方法により容易に合成できる下記一般式(I)の既知化
合物〔W.Roelofsら,J.Chem.Eco
l.4巻、211頁(1978)〕を出発物質として、
(+)あるいは(−)−グランディソルの製造にあたり
重要な中間体となり得る前記式(VI)の化合物を効率
的に製造するための新規な光学活性中間体を提供するも
のである。
【0009】
【化4】 (式中、R、RあるいはRは、それぞれ低級アルキ
ル基を表わす)
【0010】本発明に係る新規な3−イソプロペニルペ
ンタン酸誘導体は、下記の反応式によって合成すること
ができる。
【0011】
【化5】 (式中、R、R又はRは、それぞれ、低級アルキル
基を表わし、Rはアルキルスルホニル基、あるいは、
置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を示
し、Xは、ハロゲンを示す)
【0012】上記反応式により示される新規な3−イソ
プロペニルペンタン酸誘導体の製造につき説明すると、
まず、一般式(I)で表わされる3−イソプロペニル−
5,5−ジアルキルオキシペンタン酸エステルを酢酸、
水の混合溶液中の酸性、加水分解により3−イソプロペ
ニル−5−オキソペンタン酸エステル(II)に変換す
る。この際の反応温度は、20〜100℃、特に50〜
70℃が好ましく、反応時間は、30分〜5時間、特
に、1〜2時間が好ましい。
【0013】かくして得られる3−イソプロペニル−5
−オキソペンタン酸エステル(II)は、通常、アルデ
ヒドを還元してアルコールに変換するのに用いる還元
剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウムを作用させること
により、3−イソプロペニル−5−ヒドロキシペンタン
酸エステル(III)に導くことができる。この場合の
水素化ホウ素ナトリウムの使用量は、1〜5当量、好ま
しくは、1.5〜2当量であり、反応温度は、−30〜
20℃、特に、−20〜0℃が好ましい。用いられる溶
媒の例としては、メタノール、エタノール等の低級アル
コール類等が挙げられる。
【0014】次に、式(III)で表わされる化合物を
スルホン酸ハライド(R′SOX′)と反応させる
が、この反応は、塩基性有機溶媒例えば、ピリジン溶媒
中行なわれ、このスルホン酸ハライドの例としては、p
−トルエンスルホン酸クロリド、ベンゼンスルホン酸ク
ロリド、メタンスルホン酸クロリド等が挙げられ、その
使用量は、1〜2当量が好ましい。反応温度は、0〜2
0℃、反応時間は、10〜24時間が好ましい。
【0015】かくして得られる式(IV)のスルホン酸
エステルは、適当なハロゲン化剤を作用させることによ
り、式(V)で表わされる3−イソプロペニル−5−ハ
ロゲノペンタン酸エステルに変換することができる。ハ
ロゲン化剤としては、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン
化リチウム等が挙げられ、特に、ヨウ化ナトリウムが好
ましい。反応温度は、20〜60℃、反応時間は、5〜
10時間が好ましい。用いられる溶媒としては、アセト
ン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0016】式(IV)及び式(V)で表わされる化合
物は、適当な塩基物質の存在下、環化反応を行うことに
より式(VI)で表わされる2−イソプロペニルシクロ
ブタンカルボン酸エステルに変換することができる。用
いられる塩基物質の例としては、リチウムジイソプロピ
ルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド等が挙
げられ、反応温度は、−70〜0℃、特に、−70〜−
50℃が好ましい。反応時間は、30分〜2時間、用い
られる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエ
ーテルの如き、エーテル系溶媒が好ましい。
【0017】なお、前記反応式中、各化合物の式におけ
る*は(R)又は(S)のいずれかの絶対配置を表わ
す。
【0018】各化合物の絶対配置は、製造の際に用いら
れる出発物質のカルボン(Carvone)の絶対配置
と同一の絶対配置を示す。また、化合物(VI)はジア
ステレオマーの混合物として存在し、(R)−カルボン
を原料とした場合、(1S,2S)体と(1R,2S)
体の混合物、(S)−カルボンを原料とした場合、(1
R,2R)体と(1S,2R)体の混合物である。
【0019】以下に、本発明に係る化合物ならびにその
製造例を実施例として掲げる。
【0020】
【実施例】
(a) (R)−3−イソプロペニル−5,5−ジメト
キシペンタン酸メチルエステルの調製 (R)−カルボンを原料に用い、J.Chem.Eco
l,4巻、211頁(1978年)記載の方法に従い、
(R)−3−イソプロペニル−5,5−ジメトキシペン
タン酸メチルエステルを調製した。
【0021】(1) (R)−(−)−カルボン(α
25=−61.6(neat)〕(100g、0.67
モル)、35%−過酸化水素水(130ml)のメタノ
ール(500ml)溶液に、内温約20℃を保ちなが
ら、6N−水酸化ナトリウム溶液(55ml)を1時間
かかって加え、1.5時間撹拌した後、反応液を水
(1.5リットル)に投入し、次いで、ベンゼンで抽出
した。この抽出液を、5%−亜硫酸水素ナトリウム溶
液、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで
乾燥した。溶媒を留去し、残留分を蒸留して(1R,4
R,6R)−4−イソプロペニル−1−メチル−1,6
−エポキシシクロヘキサン−2−オン(83g、75
%)を得た。
【0022】この得られた化合物(46.6g,0.2
8モル)のテトラヒドロフラン(225ml)溶液に、
30%−過塩素酸溶液(90ml)を加え、50°で5
時間加熱撹拌した。反応液を水(1リットル)に投入
し、塩化メチレンで抽出した。この抽出液を、飽和食塩
水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶
媒を留去し、残留分をシリカゲルクロマト〔n−ヘキサ
ン/酢酸エチル(4/1)〕処理し、(1R,4R,6
S)−4−イソプロペニル−1−メチル−1,6−ジヒ
ドロキシシクロヘキサン−2−オンとその(1S,4
R,6R)−異性体のジアステレオマー混合物(35.
8g、69%)を得た。
【0023】(2) 上記(1)で得られたジアステレ
オマー混合物(35.8g、0.19モル)をベンゼン
(350ml)、メタノール(350ml)に溶かし、
得られた溶液に四酢酸鉛(90%、172g)を内温2
5〜28℃を保ちながら1.5時間で加えた。同温度で
1.5時間撹拌した後、反応液を水(1.5リットル)
に投入し、ベンゼンで抽出した。この抽出液を、水洗
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し
た。
【0024】得られた残留分に、メタノール(140m
l)およびオルトギ酸メチル(140ml)を加え、混
液とし、この混液にp−トルエンスルホン酸(1.0
g)を加え、2時間加熱撹拌した。反応液を、エーテル
で希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水を用いて洗浄した
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去した
後、残留分をシリカゲルクロマト〔n−ヘキサン/酢酸
エチル(10/1)〕で精製することにより、標記化合
物(23.1g、61%)を得た。
【0025】b.p. 80〜82°/3mmHg n 211.4421 〔α〕 21−1.80°(c 1.02,メタノー
ル) IR(film) 1740,1645,895cm
−1 H−NMR(CDCl)δppm 1.60−1.80(m,2H),1.69(s,3
H),2.34−2.48(m,2H),2.55−
2.85(m,1H),3.30(s,3H),3.3
1(s,3H),3.65(s,3H),4.30(d
d,1H,J=6.3,5.2Hz),4.80(br
s,2H) 元素分析値 C1120として 計算値: C 61.09% H 9.32% 分析値: C 61.13% H 9.34%
【0026】(b) (R)−3−イソプロペニル−5
−オキソペンタン酸メチルエステルの製造 (R)−3−イソプロペニル−5,5−ジメトキシペン
タン酸メチルエステル22.2g(0.10モル)を酢
酸と水の2対1混合液に溶解し、1.5時間、60℃で
加熱撹拌した。反応液を冷水にあけ、塩化メチレンで抽
出した。塩化メチレン層を水、飽和重曹水、飽和食塩水
の順序で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。この塩化メチレン層を濾過した後、減圧濃縮し、残
留物をシリカゲルカラムクロマトで精製し標記化合物1
5.7g(収率90%)を得た。
【0027】b.p. 81〜82°/4mmHg n 20 1.4520 〔α〕 20 −6.28°(c 1.02,メタノー
ル) IR(film) 1730,1645,900cm
−1 H−NMR(CDCl)δppm 1.73(s,3H),2.38−2.50(m,2
H),2.55(dd,2H,J=7,2Hz),3.
13(dd,1H,J=14.4,7.0Hz),3.
67(s,3H),4.84(brs,2H),9.6
9(t,1H,J=2Hz) 元素分析値 C14として 計算値: C 63.50% H 8.29% 分析値: C 63.41% H 8.37%
【0028】(c) (R)−3−イソプロペニル−5
−ヒドロキシペンタン酸メチルエステルの製造 上記(b)で得られた(R)−3−イソプロペニル−5
−オキソペンタン酸メチルエステル13.8g(81.
1ミリモル)をメタノール200mlに溶解後、−20
℃に冷却した。この溶液に、水素化ホウ素ナトリウム
1.53gを加え、同温度で1.5時間撹拌した。この
反応液に飽和塩化アンモニウム溶液を加え、塩化メチレ
ンで抽出した。この塩化メチレン層を飽和食塩水で洗浄
した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後、
減圧濃縮し、標記化合物12.7g(収率91%)を得
た。
【0029】IR(film) 3425,1740,
1645,1440,1160,900cm−1 H−NMR(CDCl)δppm 1.54−1.85(m,2H),1.71(s,3
H),2.35−2.50(m,2H),2.55−
2.96(m,1H),3.48−3.76(m,2
H),4.80(brs,2H)
【0030】(d) (R)−3−イソプロペニル−5
−トシルオキシペンタン酸メチルエステルの製造 上記(c)で得られた(R)−3−イソプロペニル−5
−ヒドロキシペンタン酸メチルエステル12.7g(7
3.8ミリモル)をピリジン140mlに溶解し、0℃
に冷却した。p−トルエンスルホニルクロリド21.1
gを少しずつ加え、同温度で18時間撹拌した。反応液
を氷水にあけ、ジエチルエーテルで抽出した。このジエ
チルエーテル層を1N塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水の
順序で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し
た後、減圧濃縮して、残留物をシリカゲルカラムクロマ
トで精製し標記化合物21.3g(収率88%)を得
た。
【0031】IR(film) 1735,1645,
1595,1435,1360,1175,890cm
−1 H−NMR(CDCl)δppm 1.60(s,3H),1.60−1.90(m,2
H),2.27−2.40(m,2H),2.45
(s,3H),2.50−2.85(m,1H),3.
78(s,3H),3.77−4.10(m,2H),
4.67(brs,1H),4.75(brs,1
H),7.34(d,2H,J=8.2Hz),7.7
8(d,2H,J=8.2Hz)
【0032】(e) (R)−3−イソプロペニル−5
−ヨードペンタン酸メチルエステルの製造 上記(d)で得られた(R)−3−イソプロペニル−5
−トシルオキシペンタン酸メチルエステル21.3g
(65.3ミリモル)をアセトン250mlに溶解し、
ヨウ化ナトリウム11.7gを加え、8時間加熱還流し
た。反応液を水にあけ、ジエチルエーテルで抽出した。
このジエチルエーテル層を、10%チオ硫酸ナトリウム
水溶液、飽和食塩水の順序で洗浄した後、無水硫酸ナト
リウムで乾燥し、濾過した後、減圧濃縮し、残留物をシ
リカゲルカラムクロマトで精製し、標記化合物18.0
g(収率98%)を得た。
【0033】b.p. 100〜101°/4mmHg n 19 1.5102 〔α〕 19 +48.4°(c 1.01,メタノー
ル) IR(film) 1740,1645,1435,1
175,900cm−11H−NMR(CDCl)δ
ppm 1.67(t,3H,J=1.2Hz),1.91(d
d,2H,J=14.6,8.0Hz),2.33−
2.48(m,2H),2.56−2.90(m,1
H),3.08(dd,2H,J=14.6,8.0H
z),3.66(s,3H),4.85(brs,2
H) 元素分析値 C15Iとして 計算値: C 38.32% H 5.36% 分析値: C 38.39% H 5.40%
【0034】本発明に係る新規化合物は、前掲の反応式
に示された反応過程の順序にしたがい、各式(II)、
(III)、(IV)又は(V)の化合物は、いずれも
光学活性中間体としての2−イソプロペニル−シクロブ
タンカルボン酸エステル(式VIで表わされている)に
導かれるが、この工程による式VIの化合物の製造例を
以下に示す。
【0035】製造例 (1S,2S)−2−イソプロペ
ニルシクロブタンカルボン酸メチルエステルと(1R,
2S)−イソプロペニルシクロブタンカルボン酸メチル
エステルのジアステレオマー混合物 (1) リチウムジイソプロピルアミドのテトラヒドロ
フラン溶液250ml(n−ブチルリチウムの1.65
モルヘキサン溶液63ml、ジイソプロピルアミン17
mlより調製)を−65℃に冷却し、前記実施例(e)
で得た(R)−3−イソプロペニル−5−ヨードペンタ
ン酸メチルエステル14.7g(52.1ミリモル)と
ヘキサメチルホスホリックトリアミド2.7mlのテト
ラヒドロフラン30ml溶液を滴下した。同温度で1時
間撹拌した後、反応液を、飽和塩化アンモニウム溶液5
00mlにあけ、ジエチルエーテルで抽出した。抽出液
は、5%チオ硫酸ナトリウム溶液、飽和食塩水の順に洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧
濃縮し、得られた残留分をシリカゲルカラムクロマトで
精製した。標記の化合物6.25g(収率78%)を得
た。
【0036】b.p. 63〜64°/10mmHg n 19 1.4534 IR(film) 1740,1650,1440,8
95cm−1 H−NMR(CDCl)δppm 1.67(s,3H),1.73−2.30(m,4
H),2.85−3.35(m,2H),3.63(m
inor)および3.68(major)(each
s,overall 3H),4.63−4.85(2
H) 元素分析値 C14として 計算値: C 70.09% H 9.15% 分析値: C 70.08% H 9.16%
【0037】(2)前記実施例(d)で得た(R)−3
−イソプロペニル−5−トシルオキシペンタン酸メチル
エステル2.02g(6.19ミリモル)を用いて、上
記(1)と同様の操作を行い、標記化合物300mg
(収率31%)を得た。
【0038】得られたものの物性値は上記(1)で得ら
れたものと同一であることが確認された。なお、以下
に、この3−イソプロペニルペンタン酸誘導体より、グ
ランディソルを製造する具体的な製造例を以下に掲げ
る。
【0039】グランディソルの製造例 (1) (1S,2S)−2−イソプロペニル−1−メ
チルシクロブタンカルボン酸メチルエステルとその(1
R,2S)−異性体との混合物の製造 リチウムジイソプロピルアミドのテトラヒドロフラン
(40ml)溶液〔1.6M n−ブチルリチウムヘキ
サン溶液(34ml、56ミリモル)とジイソプロピル
アミン(9.4ml、67ミリモル)から調製〕に対
し、前記の製造例で得られたジアステレオマーの混合物
(3.44g,22.3ミリモル)のテトラヒドロフラ
ン(10ml)溶液を−70℃で10分間で滴下した。
同温度で30分間撹拌後、ヨウ化メチル(3.7ml、
55ミリモル)を15分間で滴下した。同温度で1時間
撹拌後、室温まで戻し、水(100ml)を加え、エー
テルで抽出した。抽出液は、1N−塩酸、5%−チオ硫
酸ナトリウム溶液、飽和食塩水の順に洗浄、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥後、溶媒を濃縮した。残留分をシリカ
ゲルクロマトを行い、引続き蒸留により標記の混合物
3.10g(83%)を得た。この(1S,2S)体と
(1R,2S)体との生成比は、NMRによると82/
18であった。
【0040】b.p. 76〜78℃/17mmHg n 22=1.4509 IR(film) 1735cm−1,1650,14
60,1440,1150,890 H−NMR:δ=1.17(minor)および1.
45(major)(each s,overall
3H),1.65(minor)および1.69(ma
jor)(each brs,overall 3
H),1.60−2.50(m,4H),2.81
(t,J=8.5Hz,1H),3.63(majo
r)および3.70(minor)(each s,o
verall 3H),4.66,4.78および4.
91(each br.s,overall2H) 元素分析値 C1016として 計算値: C 71.39% H 9.59% 分析値: C 71.21% H 9.73%
【0041】(2) (1S,2S)−2−イソプロペ
ニル−1−メチルシクロブタンカルボン酸と(1R,2
S)−異性体の混合物の製造 上記(1)で得られた異性体混合物(1.67g、9.
93ミリモル)のメタノール(50ml)溶液に、2N
−水酸化ナトリウム(25ml)を加え、24時間加熱
還流した。メタノールを留去後、1N−塩酸で酸性化
し、エーテルで抽出した。抽出液は、飽和食塩水で洗
浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を濃縮して、
標記異性体の混合物1.44g(94%)を得た。この
ものはそのまま、次工程に用いた。
【0042】H−NMR:δ=1.20(mino
r)および1.47(major)(each s,o
verall 3H),1.66(minor)および
1.72(major)(each brs,over
all 3H),1.60−2.50(m,4H),
2.87(major)および3.28(minor)
(each t−like m,overall 1
H),4.71,4.83および4.93(each
br.s,overall 2H)
【0043】(3) ヨードラクトン化−還元による
(1S,2S)−2−イソプロペニル−1−メチルシク
ロブタンカルボン酸の調製 前記(2)で得られた異性体混合物(1.42g、9.
21ミリモル)の塩化メチレン(10ml)溶液に重曹
水溶液(2.32g、27.6ミリモル、水40ml)
を加え、氷冷下、25mlの三ヨウ化カリウム溶液(ヨ
ウ素2.1gとヨウ化カリウム4.3gを水25mlに
溶解)を加えた。後、室温で1時間撹拌した。エーテル
で抽出、抽出液を5%−チオ硫酸ナトリウム溶液、飽和
食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマト
〔n−ヘキサン/酢酸エチル(8/1)〕で精製し、ヨ
ードラクトン体2.01g(78%)を得た。
【0044】IR(film) 1770cm−1,1
380,1300,1130 H−NMR:δ=1.43(s,3H),1.54
(s,3H),1.70−2.40(m,4H),2.
60−2.85(m,1H),3.35(s,2H)
【0045】ヨードラクトン体(2.01g、7.18
ミリモル)のエタノール(20ml)溶液に亜鉛末
(2.35g)、飽和塩化アンモニウム(数滴)を加
え、室温で30分間撹拌した。濾過後、濾液を水で希釈
し、1N−塩酸で酸性化した。これをエーテルで抽出、
抽出液は、5%−チオ硫酸ナトリウム溶液、飽和食塩水
の順に洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、標記化合
物(1.08g、98%)を得た。分析用サンプルはn
−ヘキサンから再結により得た。
【0046】m.p. 57〜58℃ 〔α〕 21=−97.5°(c 1.07,n−ヘキ
サン) IR(KBr) 3600〜2200cm−1(bro
ad,COH),1695,1650,1460,1
310,890 H−NMR:δ=1.47(s,3H),1.71
(s,3H),1.75−2.45(m,4H),2.
87(t,1H,J=8.3Hz),4.70(br.
s,1H),4.83(m,1H),9.00(br,
1H) 元素分析値 C14として 計算値: C 70.10% H 9.15% 分析値: C 70.19% H 9.04%
【0047】(4) (1S,2S)−2−イソプロペ
ニル−1−メチルシクロブタンメタノールの製造 水素化アルミニウムリチウム(1.28g、33.7ミ
リモル)の乾燥エーテル(40ml)溶液に氷冷下、上
記(3)で得られた化合物(1.04g、6.74ミリ
モル)の乾燥エーテル(20ml)溶液を滴下した。
後、室温で12時間撹拌後、氷冷下、水(1.3m
l)、15%水酸化ナトリウム(1.3ml)、水(4
ml)をこの順に加え、1.5時間撹拌した。濾過後、
濾液を無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を留去した。
残留分をシリカゲルカラムクロマト〔n−ペンタン/エ
ーテル(6/1)〕で精製し、標記化合物(781m
g、83%)を得た。
【0048】IR(film) 3400cm−1,1
645,1030,890 H−NMR:δ=1.22(s,3H),1.77
(br.s,3H),1.40−2.20(m,5
H),2.64(t,1H,J=8.9Hz),3.4
6(dd,J=11.5,6.4Hz,1H),3.6
3(dd,J=11.5,6.4Hz,1H),4.7
7(m,1H),4.87(m,1H)
【0049】(5) (1S,2S)−2−イソプロペ
ニル−1−メチルシクロブタンメチルp−トルエンスル
ホネートの製造 上記(4)で得られた化合物(1.10g、7.84ミ
リモル)の乾燥ピリジン(20ml)溶液に、氷冷下塩
化p−トルエンスルホニル(3.00g、15.7ミリ
モル)を少しずつ加えた。室温で20時間撹拌した後、
氷水に投入後、エーテルで抽出した。抽出液を、水、1
N−塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水
硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を留去して、残留分をシ
リカゲルカラムクロマト〔n−ペンタン/エーテル(9
/1)〕で精製し、標記化合物(2.29g、99%)
を得た。
【0050】IR(film)1645cm−1,16
00,1360,1190,1100,960 H−NMR:δ=1.19(s,3H),1.62
(br.s,3H),1.45−2.05(m,4
H),2.45(s,3H),2.62(t,J=8.
0Hz,1H),3.81(d,J=9.5Hz,1
H),3.99(d,J=9.5Hz,1H),4.5
7(br.s,1H),4.73(m,1H),7.3
3(d,J=8.4Hz,2H),7.77(d,J=
8.4Hz,2H)
【0051】(6) (1R,2S)−2−イソプロペ
ニル−1−メチルシクロブタンアセトニトリルの製造 上記(5)で得られた化合物(2.29g、7.78ミ
リモル)、シアン化ナトリウム(0.95g、19.4
ミリモル)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(8
ml)、水(0.05ml)の混液を80°で7時間加
熱撹拌した。反応液を水にあけ、n−ペンタンで抽出し
た。抽出液は、水、飽和重曹水、飽和食塩水の順に洗
い、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。
残留分をシリカゲルクロマト〔n−ペンタン/エーテル
(19/1)〕で精製して、標記化合物(917mg、
79%)を得た。
【0052】b.p. 86〜87℃/9mmHg n 21=1.4660 〔α〕 21=+47.0°(c 0.66, n−ヘ
キサン) IR(film) 2260cm−1,1650,14
60,1380,895H−NMR:δ=1.37
(s,3H),1.69(br.s,3H),1.70
−2.10(m,4H),2.11(d,J=17H
z,1H),2.48(d,J=17Hz,1H),
4.71(br.s,1H),4.93(m,1H) 元素分析値 C1015Nとして 計算値: C 80.48% H 10.13%
N 9.39% 分析値: C 80.24% H 10.16%
N 9.45%
【0053】(7) (1R,2S)−2−イソプロペ
ニル−1−メチルシクロブタンエタノール〔(+)−グ
ランディソル〕の製造 上記(6)で得られた化合物(743mg、4.98ミ
リモル)の乾燥n−ペンタン(30ml)溶液に、氷冷
下、水素化ジイソブチルアルミニウム(0.99Mヘキ
サン溶液、7.5ml)を滴下し、後、室温で2時間撹
拌した。反応液に1M−酒石酸水溶液(7.5ml)を
加え、1時間撹拌した。セライト濾過後、濾液をエーテ
ルで抽出した。抽出液は、飽和ロッシェル塩水溶液、飽
和重曹水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥後、溶媒を留去した。残留分を乾燥エーテル
(15ml)で希釈し、氷冷下、水素化アルミニウムリ
チウム(190mg、5.00ミリモル)を少しずつ加
え、室温で2時間撹拌した。後、氷冷下で水(0.2m
l)、15%水酸化ナトリウム(0.2ml)、水
(0.6ml)をこの順に加え、30分間撹拌した。セ
ライト濾過後、濾液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を留去した。残留分をシリカゲルクロマト〔n−ペ
ンタン/エーテル(7/1)〕で精製し、引続き蒸留を
行い、(+)−グランディソル(341mg、44%)
を得た。
【0054】b.p. 94〜95℃/8mmHg n 21=1.4738 〔α〕 21=+20.4°(c 0.60,n−ヘキ
サン) IR(film) 3350cm−1,1645,14
50,1380,1060,890 H−NMR:δ=1.18(s,3H),1.30−
2.10(m,7H),1.68(br.s,3H),
2.55(t,J=8.5Hz,1H),3.50−
3.80(m,2H),4.65(br.s,1H),
4.83(m,1H)13 C−NMR:δ=19.21,23.18,28.
40,29.44,37.11,41.41,52.5
7,60.00,109.8,145.2 GC(PEG−20M,0.25mm×50m,at1
00℃;N,1.0kg/cm):t=10.1
0min(single peak) 元素分析値 C1018Oとして 計算値: C 77.87% H 11.76% 分析値: C 77.61% H 11.88%
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 309/72 7419−4H

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 〔式中、Rは、低級アルキル基を表わし、Qは、−CH
    O、−CHOH、−CHOR又は−CHXを表
    わし、Rはアルキルスルホニル基もしくは置換又は非
    置換のアリールスルホニル基を表わし、Xはハロゲンを
    表わす〕で表わされる3−イソプロペニルペンタン酸誘
    導体。
JP5760792A 1992-01-31 1992-01-31 3−イソプロペニルペンタン酸誘導体 Pending JPH0625089A (ja)

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