JPH06248403A - 高耐食性・高強度ジルコニウム合金材の製造法 - Google Patents
高耐食性・高強度ジルコニウム合金材の製造法Info
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- JPH06248403A JPH06248403A JP6320393A JP6320393A JPH06248403A JP H06248403 A JPH06248403 A JP H06248403A JP 6320393 A JP6320393 A JP 6320393A JP 6320393 A JP6320393 A JP 6320393A JP H06248403 A JPH06248403 A JP H06248403A
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- zirconium alloy
- alloy material
- annealing
- corrosion resistance
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 420℃×105kgf/cm2 のオ−トクレ−ブ
試験”での360日間の腐食増量が600mg/dm2を下回
り、かつ385℃における耐力も38kgf/mm2 を凌ぐ優
れた耐食性と高強度を備え、今後の原子力用途としても
十分に満足できるジルコニウム合金材を安定提供できる
手段を確立する。 【構成】 "溶体化処理(β焼入れ処理)", "熱間加
工", "焼鈍と冷間加工の繰り返し”及び“最終焼鈍”な
る工程に従ってZr−Sn−Fe−Cr系のジルコニウム合金材
を製造するに当り、溶体化処理時における300℃まで
の冷却速度を40〜400℃/sに調整すると共に、熱間
加工に際しての加熱温度を700〜800℃に、そして
加熱時間を1分〜3時間とし、更に少なくとも最終焼鈍
の1つ前の焼鈍は500〜600℃で行う。
試験”での360日間の腐食増量が600mg/dm2を下回
り、かつ385℃における耐力も38kgf/mm2 を凌ぐ優
れた耐食性と高強度を備え、今後の原子力用途としても
十分に満足できるジルコニウム合金材を安定提供できる
手段を確立する。 【構成】 "溶体化処理(β焼入れ処理)", "熱間加
工", "焼鈍と冷間加工の繰り返し”及び“最終焼鈍”な
る工程に従ってZr−Sn−Fe−Cr系のジルコニウム合金材
を製造するに当り、溶体化処理時における300℃まで
の冷却速度を40〜400℃/sに調整すると共に、熱間
加工に際しての加熱温度を700〜800℃に、そして
加熱時間を1分〜3時間とし、更に少なくとも最終焼鈍
の1つ前の焼鈍は500〜600℃で行う。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、優れた耐食性と高強
度を示し原子力用途として好適なジルコニウム合金材の
製造方法に関するものである。
度を示し原子力用途として好適なジルコニウム合金材の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】ジルコニウム系材料は耐食性,
耐熱性が良好であることに加えて熱中性子吸収断面積が
小さく、そのため主として原子炉用向けに開発されてき
た材料であり、現在では「ジルカロイ−4〔商品名〕」
と呼ばれるZr−Sn−Fe−Cr系合金(JISH4751のZr
TN804D相当材)がPWR用(例えば燃料被覆管,
シンブル管,ウォ−タ−チュ−ブ等)の材料として欠か
せないものとなっている。
耐熱性が良好であることに加えて熱中性子吸収断面積が
小さく、そのため主として原子炉用向けに開発されてき
た材料であり、現在では「ジルカロイ−4〔商品名〕」
と呼ばれるZr−Sn−Fe−Cr系合金(JISH4751のZr
TN804D相当材)がPWR用(例えば燃料被覆管,
シンブル管,ウォ−タ−チュ−ブ等)の材料として欠か
せないものとなっている。
【0003】しかし、近年、原子炉においては燃料の更
なる高燃焼度化,運転サイクルのより長期化が推進され
ているが、そのため原子力用ジルコニウム合金材に対し
ても“中性子照射下で高温高圧水により長時間曝されて
も異常な酸化皮膜が形成されることのない一段と高いレ
ベルの耐食性”や“高温高圧下においても著しい変形を
起こすことがないより高い強度”の付与が望まれてい
る。
なる高燃焼度化,運転サイクルのより長期化が推進され
ているが、そのため原子力用ジルコニウム合金材に対し
ても“中性子照射下で高温高圧水により長時間曝されて
も異常な酸化皮膜が形成されることのない一段と高いレ
ベルの耐食性”や“高温高圧下においても著しい変形を
起こすことがないより高い強度”の付与が望まれてい
る。
【0004】ところで、上述のようなZr−Sn−Fe−Cr系
ジルコニウム合金材は、溶解に次いでα又はβ鍛造した
素材から "溶体化処理(β焼入れ処理)",“熱間加工
(熱間押出し)",“焼鈍と冷間加工の繰り返し(数
回)”及び“比較的低温での最終焼鈍”なる工程で製造
されるのが一般的であり、その際、溶体化処理はβ域に
保持した後300℃までを約30℃/s程度の冷却速度で
急冷する条件にて実施され、熱間加工は約650℃に加
熱してから、最終焼鈍以外の焼鈍は550〜700℃の
温度で、また最終焼鈍は450〜480℃の温度でそれ
ぞれ行われている。
ジルコニウム合金材は、溶解に次いでα又はβ鍛造した
素材から "溶体化処理(β焼入れ処理)",“熱間加工
(熱間押出し)",“焼鈍と冷間加工の繰り返し(数
回)”及び“比較的低温での最終焼鈍”なる工程で製造
されるのが一般的であり、その際、溶体化処理はβ域に
保持した後300℃までを約30℃/s程度の冷却速度で
急冷する条件にて実施され、熱間加工は約650℃に加
熱してから、最終焼鈍以外の焼鈍は550〜700℃の
温度で、また最終焼鈍は450〜480℃の温度でそれ
ぞれ行われている。
【0005】そして、このようにして製造されたZr−Sn
−Fe−Cr系ジルコニウム合金材は、“420℃×105
kgf/cm2 のオ−トクレ−ブ試験”での360日間の腐食
増量が約600mg/dm2,385℃における耐力が約38
kgf/mm2 という性能を有していた。この性能は現行の使
用条件下では十分な値である。しかしながら、前述した
ように、今後に予定されている燃料の高燃焼度化,運転
サイクルの長期化計画に対応しよとすると、装置材料の
面からも耐食性や強度の更に優れたものが必要であると
考えられた訳である。
−Fe−Cr系ジルコニウム合金材は、“420℃×105
kgf/cm2 のオ−トクレ−ブ試験”での360日間の腐食
増量が約600mg/dm2,385℃における耐力が約38
kgf/mm2 という性能を有していた。この性能は現行の使
用条件下では十分な値である。しかしながら、前述した
ように、今後に予定されている燃料の高燃焼度化,運転
サイクルの長期化計画に対応しよとすると、装置材料の
面からも耐食性や強度の更に優れたものが必要であると
考えられた訳である。
【0006】もっとも、これまでにも、ジルコニウム合
金の耐食性向上に溶体化処理(β焼入れ処理)後に高い
温度の熱履歴を与えるのが効果的であることは知られて
いたが、この方法によると材料強度が低下してしまうと
いう問題があった。
金の耐食性向上に溶体化処理(β焼入れ処理)後に高い
温度の熱履歴を与えるのが効果的であることは知られて
いたが、この方法によると材料強度が低下してしまうと
いう問題があった。
【0007】このようなことから、本発明が目的とした
のは、現行材以上に優れた耐食性と強度を備え、しかも
“耐食性−強度のバランス”の点でも良好なジルコニウ
ム合金材を安定して提供できる手段を確立することであ
った。
のは、現行材以上に優れた耐食性と強度を備え、しかも
“耐食性−強度のバランス”の点でも良好なジルコニウ
ム合金材を安定して提供できる手段を確立することであ
った。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は上
記目的を達成すべく鋭意研究を重ねたところ、次のよう
な新しい知見を得ることができた。
記目的を達成すべく鋭意研究を重ねたところ、次のよう
な新しい知見を得ることができた。
【0009】即ち、Zr−Sn−Fe−Cr系ジルコニウム合金
を通常の如く "溶体化処理", "熱間加工", "焼鈍と冷間
加工の繰り返し”及び“最終焼鈍”なる工程によって処
理する際、熱間加工時の加熱温度を700〜800℃と
高い値とすることにより所望する耐食性を確保すること
ができる。しかし、この方法によると材料強度が若干低
下してしまう。しかるに、その前の工程である溶体化処
理において、その冷却速度を特に40℃/s以上にしてβ
焼入れの高速化を図ると共に、最終焼鈍以外の焼鈍、中
でも最終焼鈍の1つ前の焼鈍の温度を多少低めにして処
理を行うと、熱間加工時の加熱温度を700〜800℃
とした場合にも高い強度を確保することが可能になり、
耐食性及び強度が共に高いジルコニウム合金材が実現さ
れる。
を通常の如く "溶体化処理", "熱間加工", "焼鈍と冷間
加工の繰り返し”及び“最終焼鈍”なる工程によって処
理する際、熱間加工時の加熱温度を700〜800℃と
高い値とすることにより所望する耐食性を確保すること
ができる。しかし、この方法によると材料強度が若干低
下してしまう。しかるに、その前の工程である溶体化処
理において、その冷却速度を特に40℃/s以上にしてβ
焼入れの高速化を図ると共に、最終焼鈍以外の焼鈍、中
でも最終焼鈍の1つ前の焼鈍の温度を多少低めにして処
理を行うと、熱間加工時の加熱温度を700〜800℃
とした場合にも高い強度を確保することが可能になり、
耐食性及び強度が共に高いジルコニウム合金材が実現さ
れる。
【0010】本発明は、上記知見事項等を基にした更な
る検討の結果完成されたもので、「 "溶体化処理", "熱
間加工", "焼鈍と冷間加工の繰り返し”及び“最終焼
鈍”なる工程に従ってZr−Sn−Fe−Cr系のジルコニウム
合金材を製造するに当り、 溶体化処理時における300
℃までの冷却速度を40〜400℃/sに調整すると共
に、 熱間加工に際しての加熱温度を700〜800℃、
そして加熱時間を1分〜3時間とし、 更に少なくとも最
終焼鈍の1つ前の焼鈍は500〜600℃で行うことに
よって、 “420℃×105kgf/cm2 のオ−トクレ−ブ
試験”での360日間の腐食増量が600mg/dm2を下回
り、 かつ385℃における耐力も38kgf/mm2 を凌ぐ優
れた耐食性と高強度をバランス良く兼備したジルコニウ
ム合金材を得られるようにした点」に大きな特徴を有し
ている。
る検討の結果完成されたもので、「 "溶体化処理", "熱
間加工", "焼鈍と冷間加工の繰り返し”及び“最終焼
鈍”なる工程に従ってZr−Sn−Fe−Cr系のジルコニウム
合金材を製造するに当り、 溶体化処理時における300
℃までの冷却速度を40〜400℃/sに調整すると共
に、 熱間加工に際しての加熱温度を700〜800℃、
そして加熱時間を1分〜3時間とし、 更に少なくとも最
終焼鈍の1つ前の焼鈍は500〜600℃で行うことに
よって、 “420℃×105kgf/cm2 のオ−トクレ−ブ
試験”での360日間の腐食増量が600mg/dm2を下回
り、 かつ385℃における耐力も38kgf/mm2 を凌ぐ優
れた耐食性と高強度をバランス良く兼備したジルコニウ
ム合金材を得られるようにした点」に大きな特徴を有し
ている。
【0011】ここで、適用されるZr−Sn−Fe−Cr系ジル
コニウム合金としては、原子力関係の用途をも勘案する
と、Sn:0.5 〜2.0 %(以降、 成分割合を表す%は重量
%とする),Fe:0.05〜0.30%並びにCr:0.05〜0.30%
を含有して、残部が実質的にZrから成るものが良い。
コニウム合金としては、原子力関係の用途をも勘案する
と、Sn:0.5 〜2.0 %(以降、 成分割合を表す%は重量
%とする),Fe:0.05〜0.30%並びにCr:0.05〜0.30%
を含有して、残部が実質的にZrから成るものが良い。
【0012】なお、上記特定組成のジルコニウム合金
は、次の理由で成分調整がされたものである。 Sn: 下限値未満では十分な耐食性,強度が得られず、
一方、上限値を超えるとかえって耐食性が著しく劣化す
る。 Fe及びCr: Fe,Crは耐食性を著しく向上する成分であ
るが、下限値未満ではその効果が小さく、一方、Fe及び
Crは室温での固溶限が小さいために上限値を超える量を
添加すると加工性を著しく劣化するZr(Fe,Cr)2系の金属
間化合物が増加してしまう。
は、次の理由で成分調整がされたものである。 Sn: 下限値未満では十分な耐食性,強度が得られず、
一方、上限値を超えるとかえって耐食性が著しく劣化す
る。 Fe及びCr: Fe,Crは耐食性を著しく向上する成分であ
るが、下限値未満ではその効果が小さく、一方、Fe及び
Crは室温での固溶限が小さいために上限値を超える量を
添加すると加工性を著しく劣化するZr(Fe,Cr)2系の金属
間化合物が増加してしまう。
【0013】続いて、本発明においてジルコニウム合金
材の製造条件を前記の如くに限定した理由を、その作用
と共に説明する。
材の製造条件を前記の如くに限定した理由を、その作用
と共に説明する。
A) 溶体化処理(β焼入れ処理)での冷却速度 本発明では、熱間加工の加熱温度を高くすることによっ
て得られるジルコニウム合金材の耐食性向上を図るが、
熱間加工の加熱温度を高くすると材料の強度低下が起き
る。しかし、その前の工程である溶体化処理時の冷却速
度を速くすることによって焼入れ組織をより微細にする
と共に、焼鈍温度を低くして再結晶組織の粗大化を防止
し、得られるジルコニウム合金材の結晶粒を微細なもの
にした場合には、耐食性改善効果を維持したままで強度
をも向上することができる。
て得られるジルコニウム合金材の耐食性向上を図るが、
熱間加工の加熱温度を高くすると材料の強度低下が起き
る。しかし、その前の工程である溶体化処理時の冷却速
度を速くすることによって焼入れ組織をより微細にする
と共に、焼鈍温度を低くして再結晶組織の粗大化を防止
し、得られるジルコニウム合金材の結晶粒を微細なもの
にした場合には、耐食性改善効果を維持したままで強度
をも向上することができる。
【0014】ただ、溶体化処理時の冷却速度が40℃/s
よりも遅いとβ粒が粗大化して強度の向上が望めず、一
方、400℃/sを超える冷却速度を達成するためには冷
却に特別な装置が必要となる上、強度への寄与も平衡し
てしまうことから、前記冷却速度を40〜400℃/sと
限定した。また、この急冷処理は300℃までの温度範
囲に適用すれば十分で、それよりも低い温度域まで急冷
しても効果に格別な差異はない。
よりも遅いとβ粒が粗大化して強度の向上が望めず、一
方、400℃/sを超える冷却速度を達成するためには冷
却に特別な装置が必要となる上、強度への寄与も平衡し
てしまうことから、前記冷却速度を40〜400℃/sと
限定した。また、この急冷処理は300℃までの温度範
囲に適用すれば十分で、それよりも低い温度域まで急冷
しても効果に格別な差異はない。
【0015】B) 熱間加工に際しての加熱条件 上述したように、熱間加工時に高温加熱を行うとジルコ
ニウム合金材の耐食性を向上することができる。なお、
ジルコニウム合金材では、その製造工程全体における総
入熱量を大きくしてやると金属間化合物が成長して耐食
性が向上する傾向を見せる。しかし、この金属間化合物
の成長は焼鈍時よりも熱間加工時の方が著しく、そのた
め特に熱間加工に際しての加熱温度を高くすることで耐
食性は非常に効果的に向上する。
ニウム合金材の耐食性を向上することができる。なお、
ジルコニウム合金材では、その製造工程全体における総
入熱量を大きくしてやると金属間化合物が成長して耐食
性が向上する傾向を見せる。しかし、この金属間化合物
の成長は焼鈍時よりも熱間加工時の方が著しく、そのた
め特に熱間加工に際しての加熱温度を高くすることで耐
食性は非常に効果的に向上する。
【0016】しかしながら、熱間加工に際しての加熱温
度が700℃未満であったり加熱時間が1分未満である
と入熱量が不十分となり、所望する耐食性向上効果が得
られない。また、3時間を超える加熱を行ってもその効
果は平衡してしまう。一方、800℃を超える温度に加
熱するとα+βの2相域に入ってしまい、α相以外の相
(β相)が出現して耐食性向上の効果が得られない。従
って、熱間加工に際しての加熱温度は700〜800℃
と定め、加熱時間は1分〜3時間に限定した。
度が700℃未満であったり加熱時間が1分未満である
と入熱量が不十分となり、所望する耐食性向上効果が得
られない。また、3時間を超える加熱を行ってもその効
果は平衡してしまう。一方、800℃を超える温度に加
熱するとα+βの2相域に入ってしまい、α相以外の相
(β相)が出現して耐食性向上の効果が得られない。従
って、熱間加工に際しての加熱温度は700〜800℃
と定め、加熱時間は1分〜3時間に限定した。
【0017】C) 焼鈍温度 ジルコニウム合金の熱間加工加熱温度を高くすると耐食
性は向上するが強度低下を招くので、本発明では、溶体
化処理(β焼入れ処理)時の冷却速度を速くすると同時
に、少なくとも最終焼鈍の1つ前の焼鈍、望ましくは最
終焼鈍以外の全ての焼鈍の温度を従来より相対的に低く
することによってこれに対処する。
性は向上するが強度低下を招くので、本発明では、溶体
化処理(β焼入れ処理)時の冷却速度を速くすると同時
に、少なくとも最終焼鈍の1つ前の焼鈍、望ましくは最
終焼鈍以外の全ての焼鈍の温度を従来より相対的に低く
することによってこれに対処する。
【0018】即ち、既に述べたように、溶体化処理時の
冷却速度を速くし焼鈍の温度を低くすることによりジル
コニウム合金材の強度が向上するのは、結晶粒が微細化
されるためにもたらされる効果によるもので、冷却速度
を速くすることにより焼入れ組織が微細化され、焼鈍温
度を低くすることによって再結晶組織の粗大化が防止さ
れて微細粒合金材が得られる。
冷却速度を速くし焼鈍の温度を低くすることによりジル
コニウム合金材の強度が向上するのは、結晶粒が微細化
されるためにもたらされる効果によるもので、冷却速度
を速くすることにより焼入れ組織が微細化され、焼鈍温
度を低くすることによって再結晶組織の粗大化が防止さ
れて微細粒合金材が得られる。
【0019】ただ、少なくとも最終焼鈍の1つ前の焼鈍
の温度が500℃未満であると再結晶が不十分となり、
一方、その温度が600℃を超えると再結晶粒が粗大化
して強度の向上が望めないことから、前記焼鈍温度を5
00〜600℃と定めた。なお、焼鈍温度を下げること
により入熱量は低下するが、熱間加工時の加熱温度の高
温化により耐食性は十分向上するので特に問題とならな
い。
の温度が500℃未満であると再結晶が不十分となり、
一方、その温度が600℃を超えると再結晶粒が粗大化
して強度の向上が望めないことから、前記焼鈍温度を5
00〜600℃と定めた。なお、焼鈍温度を下げること
により入熱量は低下するが、熱間加工時の加熱温度の高
温化により耐食性は十分向上するので特に問題とならな
い。
【0020】以下、本発明を実施例によって説明する。
〈実施例1〉まず、常法により、Sn:1.35%,Fe:0.200
%,Cr:0.110%,N:0.003%,Si:0.010 %,C:0.010
%及びO:0.125%を含み、残部がZr並びに不可避不純物
から成るジルコニウム合金を溶製後、これを鍛造してジ
ルコニウム合金材の製造素材を調整した。
%,Cr:0.110%,N:0.003%,Si:0.010 %,C:0.010
%及びO:0.125%を含み、残部がZr並びに不可避不純物
から成るジルコニウム合金を溶製後、これを鍛造してジ
ルコニウム合金材の製造素材を調整した。
【0021】次いで、これを「溶体化処理→熱間圧延→
焼鈍→冷間圧延→最終焼鈍」なる工程で処理し、ジルコ
ニウム合金材を製造した。なお、上記処理の条件は表1
に示した通りであった。
焼鈍→冷間圧延→最終焼鈍」なる工程で処理し、ジルコ
ニウム合金材を製造した。なお、上記処理の条件は表1
に示した通りであった。
【0022】
【表1】
【0023】次に、このようにして得られたジルコニウ
ム合金材につき、420℃×105kgf/cm2 の加熱加圧
水蒸気中で360日間保持する腐食試験を行って耐食性
を評価すると共に、385℃引張試験により強度の測定
も行った。その結果を整理して図1に示す。
ム合金材につき、420℃×105kgf/cm2 の加熱加圧
水蒸気中で360日間保持する腐食試験を行って耐食性
を評価すると共に、385℃引張試験により強度の測定
も行った。その結果を整理して図1に示す。
【0024】図1に示される結果からも明らかなよう
に、溶体化処理時の冷却速度を速くした場合には耐食性
をあまり変化させずに強度を向上することができること
を確認できる。
に、溶体化処理時の冷却速度を速くした場合には耐食性
をあまり変化させずに強度を向上することができること
を確認できる。
【0025】〈実施例2〉実施例1におけるのと同じ成
分組成のジルコニウム合金を溶製後、これを鍛造してジ
ルコニウム合金材の製造素材を調整した。
分組成のジルコニウム合金を溶製後、これを鍛造してジ
ルコニウム合金材の製造素材を調整した。
【0026】次いで、これを「溶体化処理→熱間圧延→
焼鈍→冷間圧延→最終焼鈍」なる工程で処理し、ジルコ
ニウム合金材を製造した。なお、上記処理の条件は表2
に示した通りであった。
焼鈍→冷間圧延→最終焼鈍」なる工程で処理し、ジルコ
ニウム合金材を製造した。なお、上記処理の条件は表2
に示した通りであった。
【0027】
【表2】
【0028】次に、このようにして得られたジルコニウ
ム合金材につき、420℃×105kgf/cm2 の加熱加圧
水蒸気中で360日間保持する腐食試験を行って耐食性
を評価すると共に、385℃引張試験により強度の測定
も行った。その結果を整理して図2に示す。
ム合金材につき、420℃×105kgf/cm2 の加熱加圧
水蒸気中で360日間保持する腐食試験を行って耐食性
を評価すると共に、385℃引張試験により強度の測定
も行った。その結果を整理して図2に示す。
【0029】図2に示される結果からも明らかなよう
に、熱間加工時の加熱温度を高温化することにより、そ
の後の焼鈍温度にあまり依存せずに耐食性を大幅に向上
できると共に、強度の低下は少ないことが分かる。
に、熱間加工時の加熱温度を高温化することにより、そ
の後の焼鈍温度にあまり依存せずに耐食性を大幅に向上
できると共に、強度の低下は少ないことが分かる。
【0030】
【効果の総括】以上に説明した如く、本発明によれば、
従来材よりも更に優れる耐食性,強度を備えたZr−Sn−
Fe−Cr系ジルコニウム合金材を安定して製造することが
でき、今後に予定される原子力燃料の高燃焼度化や運転
サイクルの長期化等に十分対応することが可能となるな
ど、産業上極めて有用な効果がもたらされる。
従来材よりも更に優れる耐食性,強度を備えたZr−Sn−
Fe−Cr系ジルコニウム合金材を安定して製造することが
でき、今後に予定される原子力燃料の高燃焼度化や運転
サイクルの長期化等に十分対応することが可能となるな
ど、産業上極めて有用な効果がもたらされる。
【図1】「溶体化処理時の冷却速度の変化に伴うジルコ
ニウム合金材の耐食性及び強度の変化」の調査結果を示
したグラフである。
ニウム合金材の耐食性及び強度の変化」の調査結果を示
したグラフである。
【図2】「途中焼鈍温度の変化に伴うジルコニウム合金
材の耐食性及び強度の変化」の調査結果を示したグラフ
である。
材の耐食性及び強度の変化」の調査結果を示したグラフ
である。
Claims (1)
- 【請求項1】 "溶体化処理", "熱間加工", "焼鈍と冷
間加工の繰り返し”及び“最終焼鈍”なる工程に従って
Zr−Sn−Fe−Cr系のジルコニウム合金材を製造するに当
り、溶体化処理時での300℃までの冷却速度を40〜
400℃/sに調整すると共に、熱間加工に際しての加熱
温度を700〜800℃、そして加熱時間を1分〜3時
間とし、更に、少なくとも最終焼鈍の1つ前の焼鈍は5
00〜600℃で行うことを特徴とする、高耐食性・高
強度ジルコニウム合金材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6320393A JPH06248403A (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 高耐食性・高強度ジルコニウム合金材の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6320393A JPH06248403A (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 高耐食性・高強度ジルコニウム合金材の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06248403A true JPH06248403A (ja) | 1994-09-06 |
Family
ID=13222421
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6320393A Pending JPH06248403A (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 高耐食性・高強度ジルコニウム合金材の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06248403A (ja) |
-
1993
- 1993-02-26 JP JP6320393A patent/JPH06248403A/ja active Pending
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