JPH0624838A - アルミナ−クロミア焼結体 - Google Patents

アルミナ−クロミア焼結体

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Publication number
JPH0624838A
JPH0624838A JP4094827A JP9482792A JPH0624838A JP H0624838 A JPH0624838 A JP H0624838A JP 4094827 A JP4094827 A JP 4094827A JP 9482792 A JP9482792 A JP 9482792A JP H0624838 A JPH0624838 A JP H0624838A
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JP
Japan
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zirconia
matrix
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phase
alumina
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Withdrawn
Application number
JP4094827A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Ouchi
龍哉 大内
Mitsuo Sugawara
光男 菅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kurosaki Refractories Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Kurosaki Refractories Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Kurosaki Refractories Co Ltd, Nippon Steel Corp filed Critical Kurosaki Refractories Co Ltd
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い耐熱衝撃性と共に高い耐摩耗性をも兼ね
備えた緻密質焼結体の提供。 【構成】イットリアを2〜4モル%含有する正方晶ジル
コニアを分散してなるアルミナ−クロミア質の連続相と
その中に分散する凝集粒とからなり、連続相が制御され
た微細なクラックを含み、分散する凝集粒が主として単
斜晶からなるジルコニアを含有しており、連続相と凝集
粒との均一混合物からなる凝集体である。凝集粒の分散
量が全量に対して15〜35容量%で、マトリックス中
の部分安定化の正方晶ジルコニアの量が0.5〜6.0
重量%が好ましく、例えば、製銑関係としては高炉羽口
並びに羽口スリーブ、朝顔部、シャフト、脱硫用混銑車
の湯当たり、スラグライン用等の用途に適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱衝撃抵抗性,耐磨
耗性に優れた緻密で高強度なアルミナ−クロミア焼結体
とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼業をはじめ各種窯炉に使用する耐火
物は、急激な温度変動に耐えるための熱衝撃抵抗性が、
また強度、耐磨耗性と耐食性の観点から緻密性が要求さ
れる。
【0003】高い緻密性を有する耐火物としては、電鋳
耐火物が良く知られており、低気孔率で高強度という特
性をもっているため優れた耐食性を有する。ところが、
加熱冷却の繰り返しに対する耐熱衝撃性に弱い欠点があ
り、熱的変化の激しい個所には適応できず、極めて制限
された部分にしか使用されていない。
【0004】また、耐熱衝撃性の点から言えば、耐火物
内に微細な亀裂が多数存在するものが耐熱衝撃性に優れ
ていることは公知であり、製造段階で骨材やマトリック
スの化学組成、粒度構成、成形、焼成条件等の製造条件
を調整して微細な制御された亀裂を耐火物内に形成させ
る方法が採られてきた。
【0005】さらに、耐摩耗性の点から言えば、使用す
る骨材の硬度が影響すると同時に、粒度、気孔率、結合
剤等が影響し、硬度の高い炭化珪素れんがや組織的に微
細な電鋳耐火物が優れたいることが知られている。
【0006】従来の耐火物は、このように、亀裂の形成
により耐熱衝撃性を改善し、高硬度骨材を含有させた組
織的構成より耐摩耗性の向上は見られたが、見掛け気孔
率が10%台と高く、そのため耐食性は緻密質れんがに
比べ格段に劣っている。
【0007】一方、耐食性の点から言ってファインセラ
ミックス或いは電鋳耐火物は緻密であり、熱変動のない
部位での使用においては、優れた特性を発揮するが、使
用環境が熱変動を伴う個所である場合は耐熱衝撃性に劣
り、熱衝撃により破壊に至るという欠点がある。
【0008】このため、ファインセラミックスにマイク
ロクラックを形成させることによる耐熱衝撃性の向上の
試みが、特公昭59−25748号公報に開示されてい
る。同公報には、粒度2〜15μmの未安定ジルコニア
粒を分散させたセラミックスの焼成の際の降温時に、ジ
ルコニアの正方晶から斜方晶への変態時膨張によってセ
ラミックス焼結体内にマイクロクラックを生成させた焼
結体は、破壊靱性値の向上が認められると記載されてい
る。
【0009】この方法は、未安定ジルコニア粒子1個1
個を均一に分散させ、ジルコニア粒子の結晶変態によ
り、セラミックスマトリックスにマイクロクラックを生
じさせるものであるため、変態膨張量が未安定ジルコニ
アという物質に固有の現象であり、変態膨張量の制御は
きわめて困難である。
【0010】ただ変態膨張による発生応力制御方法とし
て、未安定ジルコニアの添加量、ジルコニア粒子径の選
択及び焼成条件を制御によって行なう方法がある。
【0011】しかしながら、ジルコニアの添加量が少量
の場合、発生するマイクロクラックは非常に小さく、且
つその分布もジルコニア粒周辺に限定される。また、添
加量が多い場合、発生するクラックそのものの数が多数
となり、クラックの数値が発生しやすく、焼成体にヒビ
が発生し、使用に耐えない場合があり、その調整は難し
い。一般に、未安定ジルコニアを分散したアルミナ焼結
体の耐熱衝撃性はJIS−R1601に準拠した曲げサ
ンプルを使用した水中落下法による熱衝撃試験法では5
0〜150℃程度であるとされており、耐熱衝撃性の大
幅な向上とは言い難い。
【0012】また、添加する未安定ジルコニア粒径が大
きくなるとともに、強度は大幅に低下することが、NILS
CLAUSSEN,JORG STEEB and REINER F.PABST "Effect of
Induced Microcracking on the fracture Toughness o
f Ceramics" Ceramic Bulletin, Vol.56, No.6 559-562
(1977) に報告されている。このことからも、ジルコニ
ア焼結体を製造するに当たり、適度なマイクロクラック
を有する焼結体を得るための最適焼成温度領域並びに最
適添加量は極めて限定されたものとなり、焼成温度が高
すぎたり添加量が多すぎた場合は焼結体そのものに大き
なヒビが入る。
【0013】また、焼成温度が低すぎる場合は十分緻密
な焼結体が得られず、その耐食性、耐摩耗性は低く、ま
た、焼結体のもつ強度のバラツキも大きい。
【0014】このように緻密質焼結体においては、その
耐熱衝撃性は、従来の耐火物が有している耐熱衝撃性に
比べてまだ劣る状態であり、強度や耐摩耗性の点でも満
足のいくものではなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ように従来困難であった高い耐熱衝撃性と共に高い耐摩
耗性をも兼ね備えた緻密質焼結体を提供することにあ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明のアルミナ−クロ
ミア焼結体は、イットリアを2〜4モル%含有する主と
して正方晶のジルコニアを分散してなるアルミナ−クロ
ミア質のマトリックス連続相(以下マトリックスとい
う)とその中に分散する第2相凝集粒(以下凝集粒とい
う)とからなり、マトリックスが制御された微細なクラ
ックを含み、分散する凝集粒が主として単斜晶のジルコ
ニアを含有しているこれらマトリックスと凝集粒との均
一混合物からなる焼結体である。
【0017】マトリックスは、酸化アルミニウム37〜
98重量%、酸化クロム1〜57重量%、それに、イッ
トリアを2〜4モル%含有する主として正方晶のジルコ
ニアを6重量%以下分散させて得られる。
【0018】マトリックス中に分散される凝集粒は、第
三成分であるイットリアを2〜4モル%含有する正方晶
のジルコニアを除くアルミナ−クロミア質の同一物と単
斜晶のジルコニアで構成され、アルミナ−クロミア質に
対する未安定ジルコニアの量を5〜99容量%とし、均
一に分散されている。
【0019】さらに、分散された凝集粒の大きさは10
〜200μmであり、マトリックスに占める凝集粒の割
合が10〜35容量%であり、凝集粒内の主として単斜
晶のジルコニアの粒度は0.3〜20μmで、凝集粒内
の主として単斜晶のジルコニアの割合は5〜99容量%
であるのがよい。
【0020】この焼結体は大きさが10〜200μmで
ある凝集粒をマトリックスに対してその凝集粒が10〜
35容量%となるように混合調製し、この混合物を所望
の形状に生成した後、1500℃以上の温度で焼結する
ことにより得られる。
【0021】その製造に際しては、マトリックスとジル
コニアに富む第2相凝集粒は通常のスプレードライヤー
で造粒される。造粒はスプレードライヤーに準じる造粒
法によってもよく、例えば、ヘンシェルミキサー、スパ
ルタンリューザー、フィルタープレスした坏土を乾燥
後、解砕フルイ分けした顆粒でもよい。その混合方法は
V型ミキサー、オムニミキサー等により均一に混合され
るものである。次に、この混合された粉末を通常の成形
機にて成形後、得られた素地を電気炉、もしくはガス炉
等で1500℃以上で焼成することにより得られる。
【0022】また、マトリックスの調製に際しては特に
顆粒にする必要はなく、非常に細かな一次粒子の混合物
でもかまわないが、ジルコニアに富む第2相の凝集粒が
マトリックスに均一に分散されることが必要である。
【0023】
【作用】本発明の耐熱衝撃性、耐摩耗性に優れた緻密な
アルミナ−クロミア焼結体の高い耐熱衝撃抵抗性は、第
一に制御された適切なサイズのマイクロクラックによる
クラックブランチング効果と、第二に単斜晶ジルコニア
に富む凝集粒でのジルコニア変態による応力誘起変態、
さらには第三として凝集粒境界でのクラック偏向により
達成される。
【0024】第一の制御された適切なサイズのマイクロ
クラックとは、クラック幅3〜20μm程度のものであ
り、このクラックが適切に分布することで、クラックが
進展する場合にクラックブランチングが生じ、クラック
の破壊エネルギーを吸収分散、クラックの進展が阻止さ
れる。
【0025】第二の単斜晶ジルコニアに富む凝集粒での
ジルコニア変態による応力誘起変態においては、単斜晶
ジルコニアが内在されている凝集粒内にクラックが進入
した場合、凝集粒内でジルコニアの変態膨張による破壊
エネルギーの吸収と、凝集粒内部に発生している圧縮応
力によりクラック先端に圧縮力が作用し、クラックの進
展が阻害される。
【0026】第三の凝集粒境界でのクラック偏向におい
ては、凝集粒と連続相境界部には引張り応力が作用し、
この境界にクラックが達すると、クラックは境界の接線
方向に偏向され、その結果、クラックの進展が阻害され
る。
【0027】本発明による焼結体の優れた耐摩耗性は、
連続相であるマトリックス組織を微細化し、硬度を上げ
ることにより得られる。
【0028】マトリックスは、アルミナとクロミアから
なる固溶体であり、耐食性の観点から粗粒化していた
が、耐摩耗性の向上目的にマトリックスを強化させるた
め具体的には、マトリックスに主として正方晶のジルコ
ニアを6重量%以下添加し、マトリックスの粒成長を抑
制、組織を微細化緻密化させ、強度、硬度を向上させる
もので、硬度は約倍となる。
【0029】本発明の焼結体を従来の粗粒マトリックス
からなる焼結体を比較すると、従来品では摺動摩耗試験
後の組織観察から粒界破壊が発生し、粒界から粒子が剥
離した粒子欠損跡が認められ、耐摩耗性の点では問題が
ある。これに対し、本発明は、摩耗メカニズムは従来品
と同じだが、粒径を細かくしたこと及び硬度が従来品の
約倍であることから抵抗性が高く、極めて優れた耐摩耗
性を示す。また、焼成体内部に凝集粒が多量に存在して
いることも耐摩耗性に作用する。
【0030】このように優れた高い耐熱衝撃性及び耐摩
耗性を有し、且つ気孔率が3%未満という緻密な焼結体
は、クラックサイズをさらに精密に制御することが可能
な方法によって製造される。すなわち、焼成途中で変態
膨張する単斜晶のジルコニアを均一に分散するのではな
く、凝集粒の形態で添加することで得られる。
【0031】この凝集粒は、酸化アルミニウムと酸化ク
ロムと主として単斜晶のジルコニアで構成され、単斜晶
ジルコニアの量を5〜99容量%とし、均一に分散され
ている。
【0032】凝集粒の変態膨張量は、凝集粒内の単斜晶
ジルコニア添加量にほぼ比例することにより、凝集粒の
膨張量を制御可能とする。
【0033】また、凝集粒粒径とマトリックス内に添加
する凝集粒の添加量を制御することによりマトリックス
内部に発生させるクラックのサイズと量と分布を任意に
制御可能とする。
【0034】従来マイクロクラックを発生させる方法と
しては、特公昭59−25748号公報で公知である
が、この方法ではマイクロクラックは単斜晶のジルコニ
ア粒子一個1個を均一に分散させ、ジルコニア粒子の結
晶変態によりマトリックスにマイクロクラックを生じさ
せる。しかしながら、この方法では、変態膨張量が単斜
晶のジルコニアという物質に固有であり、変態膨張量の
制御は任意にはできない。
【0035】そのため、変態膨張による発生応力制御方
法としては、単斜晶のジルコニアの添加量、ジルコニア
粒子径の選択及び焼成条件により制御がなされている。
この場合、ジルコニアの添加量が少量の場合、発生する
マイクロクラックは非常に小さく、且つその分布もジル
コニア粒周辺に限定される。また、添加量が多い場合、
発生するクラックそのものの数が多数となり、クラック
の連結が発生しやすく、焼結体にヒビが発生し、使用に
耐えない場合がある。したがって、従来の方法では製造
に当たっての制御幅が小さいことが欠点であり、大きな
サイズの満足いく焼結体を得ることは困難であった。
【0036】これに対し本発明は、このクラックサイズ
の制御をさらに精密に制御できるもので、焼成途中で変
態制御する単斜晶のジルコニアを均一に分散するのでは
なく、凝集粒の形態で添加する。
【0037】凝集粒の変態膨張量は、凝集粒内の単斜晶
のジルコニア添加量にほぼ比例することにより、凝集粒
の膨張量を制御可能とする。
【0038】さらに、凝集粒内部の単斜晶のジルコニア
粒子そのものの粒子サイズを制御することによっても、
マトリックスに発生するクラックの制御が可能である。
この凝集粒の膨張量を任意に制御し、且つマトリックス
に均一に分散するものである。
【0039】第2相の凝集粒の大きさが10μm以下で
あると、凝集粒は個々のジルコニアと大差なく、その効
果は公知のジルコニア分散強化セラミックスと大差ない
結果となる。また、第2相凝集粒が200μm以上とな
ると、凝集粒の変態膨張量が大きくなり、マトリックス
に発生するクラック幅が大きく、且つクラック密度が少
なくなるため、本発明による効果が得られないので、第
2相凝集粒の大きさを10〜200μmであるのが望ま
しい。
【0040】次に第2相凝集粒内の単斜晶のジルコニア
粒度は0.3μm以下であると、室温でも正方晶の形態
で存在する量が多くなり、正方晶への変態膨張が起こら
ず、本発明の効果が得られない。粒度が20μm以上と
なると、その膨張量が大きくなり、発生するクラック幅
が広く、且つクラック本数が少なくなり、本発明による
効果が得られず、また、場合によっては焼結体にヒビが
発生し、良好な焼結体が得られなくなるため、本発明で
は単斜晶のジルコニアの粒度は0.3〜20μmである
のが望ましい。
【0041】単斜晶のジルコニアが均一に分散されたマ
トリックスの粒子は、単斜晶のジルコニアを添加しない
場合に比べて粒子が均一で且つ細かくなる。これは分散
された単斜晶のジルコニアがマトリックス結晶発達を阻
害する効果をもつことに起因する。
【0042】マトリックス粒子が均一で細かい場合、破
壊により内在するマイクロクラックが進展するのに際
し、クラックブランチングとジルコニア応力誘起変態の
みしか期待し得ない。
【0043】本発明の場合、単斜晶のジルコニアは第2
相凝集粒内に集中され、マトリックスには10〜200
μmのサイズで分散させた第2相凝集粒があるため、凝
集粒以外のマトリックスの結晶粒子は、本来の粒径まで
成長可能である。本発明は、材料に硬度(強度)を付与
させるために、マトリックスに第三成分としてイットリ
アを2〜4モル%を含む正方晶のジルコニアを添加、組
織を緻密化し微細化して硬度向上を狙うものである。こ
の結果として、摩耗抵抗性も向上する。
【0044】凝集粒内部は結晶粒が非常に細かで且つ圧
縮応力が作用しているため、凝集粒内部に進入したクラ
ックは内部の圧縮応力のため、クラック先端に圧縮応力
が作用し、その進展速度が阻害される。
【0045】これは、ジルコニアを均一に分散したタイ
プでもその効果は認められるが、本発明では凝集粒内部
での単斜晶ジルコニア量が均一分散のものに比べて多量
のため、その効果が顕著になる。
【0046】単斜晶ジルコニアとマトリックス周辺には
引張り応力が作用し、進展クラックはこの応力場に達す
ると、亀裂が偏向する。一方、本発明での凝集粒はその
サイズが10〜200μmと大きいために亀裂偏向も大
きく、偏向によるクラック進展エネルギー消費も大き
く、クラック進展効果が大となる。
【0047】
【実施例】
実施例1 マトリックス材料として、平均粒径0.4μmの酸化ア
ルミニウム47wt%、平均粒径0.3μmの酸化クロ
ム47wt%と、第三成分として平均粒径0.6μmの
部分安定化ジルコニアを6wt%、焼結助剤として酸化
チタニウム又は滑石粉末と有機バインダーと精製水を加
え、ボールミルで24時間予備混合した後、アトライタ
ーにて3時間混合分散処理し、得られたスラリーを噴霧
乾燥機により造粒し、マトリックス顆粒粉末を得た。平
均粒径は50μmであった。
【0048】次に、第2相凝集粒として第三成分を除く
マトリックス材料と同一原料、同一配合組成を有するも
の100容量%に対して、平均粒径2μmの単斜晶の化
ジルコニアを外掛け量で50容量%添加してなる粉末を
秤量、混合し、所定量の有機バインダーと精製水を加
え、ボールミルで24時間予備混合した後、アトライタ
ーにて3時間混合分散処理し、得られたスラリーを噴霧
乾燥機により混合し、第2相用の顆粒粉体すなわち凝集
粒を得た。この粒径は平均で50μmであった。
【0049】次に、マトリックス顆粒と第2相顆粒を表
1に示す配合割合(容量割合)のものをV型ミキサーに
て一定時間混合し、混合粉末とした。
【0050】この混合された粉体を一軸成形機にて1.
4トン/cm2 の圧力で120角×12mmt形状に成
形した。比較のためにジルコニアに富む第2相を添加し
ないマトリックス単味だけの素地も成形した。
【0051】得られた素地を電気炉で大気中雰囲気下1
650℃で2時間保持して焼成した。
【0052】焼結体はアルキメデス法により、嵩密度並
びに見掛け気孔率を測定した。また、常温曲げ強度をJ
IS−R1601法に準拠して測定した。熱衝撃抵抗性
はJIS−R1601に準拠する曲げサンプルを所定の
温度で1時間保持し、水中へ急速に落下し、その後乾燥
した試料の曲げ強度を測定し、常温での曲げ強度と比較
し、急激に強度変化が生じた保持温度と水温の差をΔT
(℃)と定義し、そのΔTが高いものほど熱衝撃抵抗性
が良好と見なした。以上の素地の焼成結果及び焼成体の
特性評価を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】なお、表中での使用の焼成結果の符号は、
〇印が良好な焼結体が得られたことを示す。
【0055】また、得られた焼結体の切断面を研磨し、
カーボン蒸着処理したものを走査型電子顕微鏡により観
察し、マトリックスの粒子径を測定した。
【0056】表1の結果から、本発明による実施符号4
〜8(マトリックス組織を微細化)が、マトリックスに
ジルコニアを含まない比較例1に比べ、ΔTは維持した
ままで硬度が倍以上に改善されていることが判る。
【0057】実施符号3の添加量では第2相はマトリッ
クス粒界に均一に析出しており、マイクロクラックの発
生は認められなかった。符号4あたりから第2相凝集粒
が不均一に現れ、それに伴いマイクロクラックも析出し
始め、このためΔTも高くなった。ビッカース硬度も比
較例1に比べ倍以上の値を推移している。
【0058】この実施例から、ジルコニアに富む第2相
の添加量は、全量に対して15〜35容量%が好ましい
ことがわかる。
【0059】実施例2 マトリックスに第三成分として添加する部分安定化ジル
コニアの添加量の影響について検討を行った。
【0060】マトリックスとして、平均粒径0.4μm
の酸化アルミニウム、平均粒径0.3μmの酸化クロム
に平均粒径0.6μmの部分安定化ジルコニアを各々3
wt%、1.2wt%、0.6wt%添加した3つの系
に、それぞれ助剤として酸化チタニウムまたは滑石粉末
と有機バインダーと精製水を加え、ボールミルで24時
間予備混合した後、アトライターにて3時間混合分散処
理し、得られたスラリーを噴霧乾燥機により造粒し、マ
イクロクラック顆粒粉末を得た。平均粒径は50μmで
あった。
【0061】次に、第2相凝集粒として実施例1で得ら
れたものを使用した。また、成形、焼成についても実施
例1と同一方法にて実施した。この方法で得られた焼結
体特性を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】表2の結果から、マトリックスへの第三成
分の添加量を減少させても、耐熱衝撃性は実施例1とほ
ぼ同じであることから、少ない添加量でも効果があるこ
とが判る。
【0064】実施符号9,11,13の場合、同じ量の
第2相を含む実施符号3と比較すると、符号3が実施例
1であるように第2相がマトリックス粒界に均一に析出
し、マイクロクラックが発生しないのに対し、第2相凝
集体が不均一に析出し、それに伴いマイクロクラックの
発生が認められ、耐熱衝撃性の改善が確認できた。
【0065】以上から、本発明ではマトリックスに添加
する第三成分である部分安定化ジルコニアの量が0.5
〜6.0重量%が好ましいことがわかる。
【0066】実施例3 本発明を公知のジルコニア分散強化セラミックスと比較
した。
【0067】比較例として、特公昭59−25748号
公報に開示された事項に準拠し、アルミナ−クロミアを
マトリックスとした粉体を作製した。マトリックスとし
て平均粒径0.4μmの酸化アルミニウム50重量%、
平均粒径0.3μmの酸化クロム50重量%と焼結助剤
として酸化チタニウムと滑石を外掛け+1.0重量%か
らなる粉末に、実施例1で用いた平均粒径2μmの単斜
晶のジルコニアを表3に示す割合(容量%)で秤量し、
所定量の有機バインダーと精製水を加え、ボールミルで
24時間予備混合した後、アトライターにて3時間混合
分散処理し、得られたスラリーを噴霧乾燥機により造粒
し、マトリックス顆粒粉末を得た。成形、焼成は実施例
1と同一方法にて実施した。
【0068】この方法で得られた焼結体の特性を表3に
示す。また、得られた焼結体の切断面を研磨し、カーボ
ン蒸着処理したものを走査型電子顕微鏡により観察し、
マトリックスの粒子径を測定した。
【0069】
【表3】
【0070】微細構造を走査型電子顕微鏡で観察したと
ころ、実施符号15,16ではマトリックスが非常に微
細になっており、単斜晶のジルコニアが均一に分散して
いた。
【0071】本発明にかかる表1の4,7のマトリック
スもほぼ同じ細かな粒径をも、マトリックスの中には約
35〜40μm程度の単斜晶のジルコニアに富む第2相
の凝集相が均一に分散しており、第2相は約5μm程度
の微細マトリックスと単斜晶のジルコニアとからなって
いた。
【0072】ここで、実施例1での実施符号4、7の焼
結体中に占める単斜晶のジルコニアの容量%は、各々
5,10容量%である。したがって、比較例15と本発
明4、比較例16と本発明7はジルコニアの分散状態は
全く異なるが、焼結体中に占める単斜晶のジルコニアの
容量%は同一である。
【0073】表3の結果から、特公昭59−25748
号公報に準拠した比較例15,16では、単斜晶のジル
コニアの均一分散により耐熱衝撃抵抗性は改善されてい
るが、その効果は本発明ほど顕著でないことが明らかで
ある。
【0074】実施例4 耐摩耗性の試験を実施例1の表1に示す実施番号6〜8
と比較例として同じく1と、非酸化物系のBN複合体を
用いて実施した。
【0075】試験方法はピンオンディスク方式の摺動摩
耗試験で、詳細条件はディスク(φ60×10mm)の
中心から約25mmの点に試料ピン(3×4×20m
m)を荷重1kgで押し付ける。このピンは破損を防ぐ
ために先端のコーナー部をC2の面取り加工し、ピン試
験片として使用、モーター、変速機を通してディスクを
一定速度で回転させることにより、摺動試験を行った。
【0076】なお、摩耗量は試料ピンの減少した長さ
(mm)から、摩擦係数はピン取付けアームがロードセ
ルを押し付ける力から測定した。ディスクにはヒーター
が内蔵され、試料ピンと接触する表面の温度が室温と1
000℃の場合の摩耗量(mm)及び摩擦係数を求め
た。室温での試験結果を表4に、1000℃での結果を
表5に示す。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】表4及び表5から、本発明品は常温及び高
温でも、比較例に比べて非常に優れた耐摩耗性を示し、
且つ摩擦係数も当初から低い値で安定していることが判
る。特に、非酸化物系のBN複合体に対しても非常に優
れた特性を示した。
【0080】実施符号6〜8,1について評価後の組織
観察から摺動面において粒界破壊が発生し、粒界から粒
子が剥離した粒子欠損跡が認められたが、実施符号6〜
8については、マトリックス粒径を実施符号1よりも細
かくしたこと、及び硬度も約倍であることから、摩耗メ
カニズムは同じでも抵抗性が高く、極めて優れた耐摩耗
性を示したと考えられる。
【0081】以上のように、本発明による焼結体は常温
及び高温時においても非常に良好な耐摩耗特性をもつこ
とが判る。
【0082】実施例5 添付各図は、本発明の焼結体の組織の説明図である。
【0083】図1はEPMA組成像を示し、図2はSE
M組織写真を示す。それぞれ、表1の実施番号8の本発
明に係るアルミナ−クロミア焼結体(a)と、比較例と
しての表1の実施番号1(b)についての説明である。
【0084】図1のEPMA組成像において1はマイク
ロクラックであり、第2相凝集粒の変態膨張量によりマ
トリックス中に発生し制御可能であり、2はポアー(気
孔)、3は第2相で第2相中の白色個所がジルコニア、
その他の部分はマトリックスである。
【0085】次に、図2は、3が第2相、4,5がマト
リックスを示す。本発明8の場合、マトリックスに第三
成分として部分安定化ジルコニアを6重量%以下添加
し、マトリックスの粒成長を抑制、マトリックス組織を
微細化、緻密化させたもので、実際改良前の組織と比較
してマトリックス粒径が25〜40μmから5〜10μ
mとかなり細かくなっていることが判る。この結果、従
来の耐熱衝撃性に加え、強度、硬度、耐摩耗性を向上さ
せることができた。
【0086】実施例6 本実施例では第2相内のジルコニア添加量についての確
認を行なった。
【0087】未安定ジルコニアは実施例1で使用した同
一物を使用し、第2相凝集粒内でのマトリックスと未安
定ジルコニアの添加割合(容量%)を表6に示す割合で
実施。例1に示した顆粒製造工程と同一方法にて第2相
凝集粒を製造した。マトリックス組成は実施例1と同一
である。
【0088】得られた顆粒の平均粒径は約50μmであ
った。得られた未安定ジルコニア添加量が異なる各種第
2相凝集粒とマトリックス顆粒とを表7〜表12に示す
割合にて混合し、実施例1と同一方法にて評価しその結
果を同じ表内に記載した。
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【0091】
【表8】
【0092】
【表9】
【0093】
【表10】
【0094】
【表11】
【0095】
【表12】
【0096】表7の結果から、第2相凝集粒内の未安定
ジルコニアが99容量%の場合その最適な添加量は3〜
20容量%であることがわかる。
【0097】表8〜表10の結果から、第2相凝集内の
未安定ジルコニアが65容量%の場合はその最適な添加
量は10〜20容量%、同じく第2相凝集内の未安定ジ
ルコニアが50容量%の場合最適な添加量は15〜30
容量%、第2相凝集粒内の未安定ジルコニアが33容量
%の場合その最適な添加量は15〜35容量%であるこ
とがわかる。
【0098】また表11の結果より、第2相凝集粒内の
未安定ジルコニアが5容量%の場合はその最適な添加量
は40〜50容量%であることがわかる。
【0099】しかし表12の結果から、第2相凝集粒内
の未安定ジルコニアの量が3容量%の場合、マトリック
ス顆粒と第2相凝集粒の混合割合をいかように変化させ
ても耐熱衝撃持性の改善は認められない。すなわち上記
結果から第2相凝集粒内の未安定ジルコニアが5容量%
未満となると本発明の効果は認められない。従って本発
明では第2相凝集粒内の未安定ジルコニアの割合は5〜
99容量%と規定するものである。
【0100】また、第2相凝集粒の添加量は第2相凝集
粒内の未安定ジルコニア量が変化するとともに第2相凝
集粒の最適な添加割合は変化するが、第2相凝集粒内の
未安定ジルコニア添加量が5〜99容量の場合、第2相
凝集粒の最適添加量は3〜70容量%であることがわか
る。
【0101】
【発明の効果】本発明によって以下の効果を奏する。 (1)マトリックス組織を微細化、緻密化処理し、かつ
マトリックス内部のマイクロクラック発生量とその分布
及びサイズを任意に制御し得ることから、熱衝撃抵抗
性、摩耗抵抗性を有するアルミナ−クロミア焼結体が得
られた。
【0102】(2)緻密で耐熱衝撃性に優れ、且つ耐摩
耗特性、耐食性にも優れているので、その利用される用
途は広く、例えば、製銑関係としては高炉羽口並びに羽
口スリーブ、朝顔部、シャフト、脱硫用混銑車の湯当た
り、スラグライン用等の用途に適している。また、製鋼
関係としてはAOD、CLV、Q−BOP等羽口を有す
る特殊精錬炉の鋼浴部、羽口、羽口受け等、転炉出鋼及
び主損傷個所、電気炉のホットスポット、各種スライデ
ィングノズル用プレート及び上下部ノズル、DH,RH
炉の内張り吸い上げ管、鍋のノズル受け、浸漬ノズル、
タンディッシュ炉の湯当たり、ノズル、浸漬ノズル、ガ
ス吹き込み用ランスノズル並びに先端部、ポーラスプラ
グ、ガス吹き込みれんが、均等炉用、加熱炉のスキッド
レール、ビームボタン、圧延ロール、ガラス溶解炉、コ
ークス炉、保護管、各種焼成用棚板及び治具、エレクト
ロニクス用治具、原子炉用材料等の耐熱耐食構造部材と
しての用途に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アルミナ−クロミア焼結体(a)と、比較例
(b)についてのEPMA組織像とその説明図である。
【図2】 アルミナ−クロミア焼結体(a)と、比較例
(b)についてのSEM組織像とその説明図である。
【符号の説明】
1 マイクロクラック 2 ポアー(気孔) 3 第2相 4,5 マトリックス

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イットリアを2〜4モル%含有する主と
    して正方晶のジルコニアを分散してなるアルミナ−クロ
    ミア質のマトリックス連続相とその中に分散する第2相
    凝集粒とからなり、分散する凝集粒が主として単斜晶の
    ジルコニアを含有しているアルミナ−クロミア焼結体。
JP4094827A 1992-03-21 1992-03-21 アルミナ−クロミア焼結体 Withdrawn JPH0624838A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2560737A (en) * 2017-03-22 2018-09-26 Hybrid Manufacturing Tech Limited A machine tool

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