JPH06248288A - 高度不飽和脂肪酸類を分別回収する方法 - Google Patents
高度不飽和脂肪酸類を分別回収する方法Info
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- JPH06248288A JPH06248288A JP5078474A JP7847493A JPH06248288A JP H06248288 A JPH06248288 A JP H06248288A JP 5078474 A JP5078474 A JP 5078474A JP 7847493 A JP7847493 A JP 7847493A JP H06248288 A JPH06248288 A JP H06248288A
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- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】銀の錯体水溶液から各高度不飽和脂肪酸類を回
収する方法の簡素化、効率化。 【構成】高度不飽和脂肪酸類の含有物を銀塩を含む水性
媒体で接触処理して得られた銀塩−高度不飽和脂肪酸類
の錯体の水溶液から、連続超臨界流体抽出により、精製
された高度不飽和脂肪酸類を分別回収する。超臨界流体
として、二酸化炭素、エタン、エチレン等を用いる。 【効果】精製された高度不飽和脂肪酸類を連続的に、即
ち工業的規模で選択的に分別分離することができる。
収する方法の簡素化、効率化。 【構成】高度不飽和脂肪酸類の含有物を銀塩を含む水性
媒体で接触処理して得られた銀塩−高度不飽和脂肪酸類
の錯体の水溶液から、連続超臨界流体抽出により、精製
された高度不飽和脂肪酸類を分別回収する。超臨界流体
として、二酸化炭素、エタン、エチレン等を用いる。 【効果】精製された高度不飽和脂肪酸類を連続的に、即
ち工業的規模で選択的に分別分離することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エイコサペンタエン
酸、ドコサヘキサエン酸等の不飽和度3以上の高度不飽
和脂肪酸、そのエステル等の高度不飽和脂肪酸類の含有
物、好ましくは魚油エステル、から精製された各高度不
飽和脂肪酸類を分別回収する方法に関する。
酸、ドコサヘキサエン酸等の不飽和度3以上の高度不飽
和脂肪酸、そのエステル等の高度不飽和脂肪酸類の含有
物、好ましくは魚油エステル、から精製された各高度不
飽和脂肪酸類を分別回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、魚介類から得られる中性脂質中に
比較的多量に含まれている高度不飽和脂肪酸、特にエイ
コサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(D
HA)の生理活性作用が広く注目され、それらを医薬
品、健康食品として利用するための高度な分離、精製法
の確立が強く望まれている。しかし、魚介類には中性脂
質の他相当量のリン脂質等の複合脂質が含まれており、
魚介類の種類、漁期、漁場或いは採油方法等種々の要因
によって脂質量、脂質組成、そして全脂質中の中性脂質
の比率が異なり、また中性脂質には、グリセライド(中
性脂肪)を中心にカロチノイト、炭化水素、ステロール
やそのエステル、遊離脂肪酸、有臭成分などが含まれて
おり、魚介類からの高度不飽和脂肪酸類の分離は一般に
困難である。
比較的多量に含まれている高度不飽和脂肪酸、特にエイ
コサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(D
HA)の生理活性作用が広く注目され、それらを医薬
品、健康食品として利用するための高度な分離、精製法
の確立が強く望まれている。しかし、魚介類には中性脂
質の他相当量のリン脂質等の複合脂質が含まれており、
魚介類の種類、漁期、漁場或いは採油方法等種々の要因
によって脂質量、脂質組成、そして全脂質中の中性脂質
の比率が異なり、また中性脂質には、グリセライド(中
性脂肪)を中心にカロチノイト、炭化水素、ステロール
やそのエステル、遊離脂肪酸、有臭成分などが含まれて
おり、魚介類からの高度不飽和脂肪酸類の分離は一般に
困難である。
【0003】高度不飽和脂肪酸類の含有物から高度不飽
和脂肪酸類を選択的に分離する方法として、高度不飽和
性を利用して選択的に水溶性の銀と高度不飽和脂肪酸と
の錯体を形成させ水相に抽出し、その水相から分離する
方法が開発されている(特開平4−103558号公
報、特開平4−159398号公報、特開平4−218
596号公報等参照)。この操作で分離される水性媒体
相には、銀塩−高度不飽和脂肪酸類の錯体が含まれてい
る。この銀との錯体を含む水相から高度不飽和脂肪酸を
回収することは困難なことであり、その回収のために種
々の提案、例えば、当該錯体を解離させるために種々の
錯体解離剤等を用いる(上記特開平4−103558号
公報、特開平4−218596号公報等)或いは有機溶
媒抽出法(上記特開平4−159398号公報)を採用
する、等の提案がなされているが、これらは銀錯体を形
成した高度不飽和脂肪酸から単に高度不飽和脂肪酸を解
離、抽出することであり、特定の高度不飽和脂肪酸を選
択的に分離することは不可能であって、効率的な手段と
は言いがたく工業的操作として採用されるまでには至っ
ていない。
和脂肪酸類を選択的に分離する方法として、高度不飽和
性を利用して選択的に水溶性の銀と高度不飽和脂肪酸と
の錯体を形成させ水相に抽出し、その水相から分離する
方法が開発されている(特開平4−103558号公
報、特開平4−159398号公報、特開平4−218
596号公報等参照)。この操作で分離される水性媒体
相には、銀塩−高度不飽和脂肪酸類の錯体が含まれてい
る。この銀との錯体を含む水相から高度不飽和脂肪酸を
回収することは困難なことであり、その回収のために種
々の提案、例えば、当該錯体を解離させるために種々の
錯体解離剤等を用いる(上記特開平4−103558号
公報、特開平4−218596号公報等)或いは有機溶
媒抽出法(上記特開平4−159398号公報)を採用
する、等の提案がなされているが、これらは銀錯体を形
成した高度不飽和脂肪酸から単に高度不飽和脂肪酸を解
離、抽出することであり、特定の高度不飽和脂肪酸を選
択的に分離することは不可能であって、効率的な手段と
は言いがたく工業的操作として採用されるまでには至っ
ていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高度不飽和
脂肪酸類の含有物から、高度不飽和脂肪酸類のみを銀の
錯体として選択的に分離する本出願前公知の方法におい
てさらに改良されるべき後段工程、即ち得られた銀の錯
体水溶液から各高度不飽和脂肪酸類を回収する方法の簡
素化、効率化を目的とする。
脂肪酸類の含有物から、高度不飽和脂肪酸類のみを銀の
錯体として選択的に分離する本出願前公知の方法におい
てさらに改良されるべき後段工程、即ち得られた銀の錯
体水溶液から各高度不飽和脂肪酸類を回収する方法の簡
素化、効率化を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、当該錯体
を含む水相からの高度不飽和脂肪酸類の回収方法とし
て、超臨界流体抽出法を採用し、精製された高度不飽和
脂肪酸類を選択的かつ効率的に分離できる連続超臨界流
体抽出法を完成した。即ち、本発明は銀塩−高度不飽和
脂肪酸類の錯体の水溶液から、連続超臨界流体抽出によ
り、精製された高度不飽和脂肪酸類を分別回収する。高
度不飽和脂肪酸類の含有物から、高度不飽和脂肪酸類の
みを銀の錯体として選択的に分離する方法は、銀イオン
が脂肪酸の炭素二重結合と錯体を形成することを利用す
るもので、高度不飽和脂肪酸類の含有物を銀イオン含有
水溶液に接触させ、不飽和度の高い脂肪酸エステル(例
えばEPA,DHA等)を銀の錯体として水溶液に分配
させる本出願前公知の方法である。
を含む水相からの高度不飽和脂肪酸類の回収方法とし
て、超臨界流体抽出法を採用し、精製された高度不飽和
脂肪酸類を選択的かつ効率的に分離できる連続超臨界流
体抽出法を完成した。即ち、本発明は銀塩−高度不飽和
脂肪酸類の錯体の水溶液から、連続超臨界流体抽出によ
り、精製された高度不飽和脂肪酸類を分別回収する。高
度不飽和脂肪酸類の含有物から、高度不飽和脂肪酸類の
みを銀の錯体として選択的に分離する方法は、銀イオン
が脂肪酸の炭素二重結合と錯体を形成することを利用す
るもので、高度不飽和脂肪酸類の含有物を銀イオン含有
水溶液に接触させ、不飽和度の高い脂肪酸エステル(例
えばEPA,DHA等)を銀の錯体として水溶液に分配
させる本出願前公知の方法である。
【0006】本発明はその銀の錯体の水溶液を超臨界流
体で抽出する手段を採用する。図1に抽出プロセスを示
す。即ち、抽出剤として二酸化炭素を用いる場合を例に
とれば、二酸化炭素を加圧、加熱して臨界圧力75.2
kg/cm2、臨界温度31.1℃を超える超臨界流体
域にある二酸化炭素にし、この二酸化炭素を銀の錯体の
水溶液と接触させて、特定の高度不飽和脂肪酸類のみを
選択的に二酸化炭素内に抽出する方法を採用する。抽出
圧力は臨界圧力から350Kg/cm2である。なお、
上限は装置製作上のものである。超臨界流体での抽出に
入る前に水溶液に対して不溶な物を除去することが必要
である。
体で抽出する手段を採用する。図1に抽出プロセスを示
す。即ち、抽出剤として二酸化炭素を用いる場合を例に
とれば、二酸化炭素を加圧、加熱して臨界圧力75.2
kg/cm2、臨界温度31.1℃を超える超臨界流体
域にある二酸化炭素にし、この二酸化炭素を銀の錯体の
水溶液と接触させて、特定の高度不飽和脂肪酸類のみを
選択的に二酸化炭素内に抽出する方法を採用する。抽出
圧力は臨界圧力から350Kg/cm2である。なお、
上限は装置製作上のものである。超臨界流体での抽出に
入る前に水溶液に対して不溶な物を除去することが必要
である。
【0007】本発明では、高度不飽和脂肪酸類とは不飽
和度3以上の脂肪酸類を意味する。不飽和度3以上の高
度不飽和脂肪酸としては、α−リノレン酸、アラキドン
酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などを
挙げることができる。したがって、高度不飽和脂肪酸類
は、それら脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、
トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド等のエ
ステル型誘導体、アミド、メチルアミド等のカルボン酸
型誘導体、脂肪族アルコール等を含む。本発明は、上記
不飽和度3以上の高度不飽和脂肪酸を含む原料であれば
何でも使用できる。高度不飽和脂肪酸を含む原料とは、
イワシ、サバ、サンマ、マグロ等の海産魚、オキアミ、
エビ等の甲殻類そのもの、未精製の魚油、動植物油、微
生物由来の脂質等、精製のあらゆる段階のものを原料と
することができる。
和度3以上の脂肪酸類を意味する。不飽和度3以上の高
度不飽和脂肪酸としては、α−リノレン酸、アラキドン
酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などを
挙げることができる。したがって、高度不飽和脂肪酸類
は、それら脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、
トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド等のエ
ステル型誘導体、アミド、メチルアミド等のカルボン酸
型誘導体、脂肪族アルコール等を含む。本発明は、上記
不飽和度3以上の高度不飽和脂肪酸を含む原料であれば
何でも使用できる。高度不飽和脂肪酸を含む原料とは、
イワシ、サバ、サンマ、マグロ等の海産魚、オキアミ、
エビ等の甲殻類そのもの、未精製の魚油、動植物油、微
生物由来の脂質等、精製のあらゆる段階のものを原料と
することができる。
【0008】不飽和結合と錯体を形成し得る本発明の銀
塩としては特に制限はなく、一般的には硝酸銀、過塩素
酸銀、酢酸銀、四ふっ化ほう素酸銀等水吐媒体可溶性の
銀化合物が用いられる。本発明の水性媒体としては水が
好ましく、他にグリセリン、エチレングリコール等の水
酸基を有する化合物、或いはこれらを混合して用いるこ
とができる。高度不飽和脂肪酸類と銀塩とのモル比は
1:100〜100:1の範囲で、銀塩の水性媒体溶液
の濃度は0.1mol/1から飽和状態の範囲で実施で
きる。これ以下の濃度では、錯体が十分に形成されず、
高度不飽和脂肪酸類が水性媒体溶解性とならない。高度
不飽和脂肪酸類の回収率からみて、モル比1:5〜1:
1、濃度1〜20mol/1が好ましい。超臨界流体と
しては二酸化炭素、エタン、エチレン、ペンタン、フロ
ン類などが用いられる。
塩としては特に制限はなく、一般的には硝酸銀、過塩素
酸銀、酢酸銀、四ふっ化ほう素酸銀等水吐媒体可溶性の
銀化合物が用いられる。本発明の水性媒体としては水が
好ましく、他にグリセリン、エチレングリコール等の水
酸基を有する化合物、或いはこれらを混合して用いるこ
とができる。高度不飽和脂肪酸類と銀塩とのモル比は
1:100〜100:1の範囲で、銀塩の水性媒体溶液
の濃度は0.1mol/1から飽和状態の範囲で実施で
きる。これ以下の濃度では、錯体が十分に形成されず、
高度不飽和脂肪酸類が水性媒体溶解性とならない。高度
不飽和脂肪酸類の回収率からみて、モル比1:5〜1:
1、濃度1〜20mol/1が好ましい。超臨界流体と
しては二酸化炭素、エタン、エチレン、ペンタン、フロ
ン類などが用いられる。
【0009】本発明を具体的に説明すると、高度不飽和
脂肪酸類の含有物に不飽和結合と錯体を形成し得る銀塩
の水性媒体溶液を加えて5分〜4時間攪拌することによ
り、水性媒体溶解性の銀塩−高度不飽和脂肪酸類の錯体
を形成させ、高度不飽和脂肪酸類のみを選択的に水性媒
体相に溶かす。反応温度は、下限は液状でありさえすれ
ばよく上限は100℃までで行われるが、高度不飽和脂
肪酸類の安定性、銀塩の水への溶解性、錯体の生成速度
等からみて、室温付近、反応時間10分〜2時間が好ま
しい。また、高度不飽和脂肪酸類の酸化安定性、銀塩の
安定性からみて、本発明は、不活性ガス例えば窒素雰囲
気下、遮光して行うのが望ましい。
脂肪酸類の含有物に不飽和結合と錯体を形成し得る銀塩
の水性媒体溶液を加えて5分〜4時間攪拌することによ
り、水性媒体溶解性の銀塩−高度不飽和脂肪酸類の錯体
を形成させ、高度不飽和脂肪酸類のみを選択的に水性媒
体相に溶かす。反応温度は、下限は液状でありさえすれ
ばよく上限は100℃までで行われるが、高度不飽和脂
肪酸類の安定性、銀塩の水への溶解性、錯体の生成速度
等からみて、室温付近、反応時間10分〜2時間が好ま
しい。また、高度不飽和脂肪酸類の酸化安定性、銀塩の
安定性からみて、本発明は、不活性ガス例えば窒素雰囲
気下、遮光して行うのが望ましい。
【0010】
参考例1 魚油エチルエステルと5M硝酸銀水溶液の分配平衡を、
平衡温度298K、接触させる魚油エステルと硝酸銀水
溶液の体積比を1:2に固定し、硝酸銀濃度を変えて測
定した。その結果、飽和および不飽和度の低い脂肪酸エ
ステルはほとんど硝酸銀水溶液に分配されず、不飽和度
の高い脂肪酸エステルのみが水溶液中に分配した。不飽
和脂肪酸エステル全体の水溶液への溶解度は銀濃度と共
に高くなり、7Mでほぼ一定に達する。5Mの硝酸銀濃
度でも魚油エステル中のEPA−Et・DHA−Etは
ほとんど水相に完全に移行することがわかった。これら
の結果から水溶液の超臨界二酸化炭素抽出を行う際の仕
込条件として、仕込の硝酸銀濃度は5Mを採用した。
平衡温度298K、接触させる魚油エステルと硝酸銀水
溶液の体積比を1:2に固定し、硝酸銀濃度を変えて測
定した。その結果、飽和および不飽和度の低い脂肪酸エ
ステルはほとんど硝酸銀水溶液に分配されず、不飽和度
の高い脂肪酸エステルのみが水溶液中に分配した。不飽
和脂肪酸エステル全体の水溶液への溶解度は銀濃度と共
に高くなり、7Mでほぼ一定に達する。5Mの硝酸銀濃
度でも魚油エステル中のEPA−Et・DHA−Etは
ほとんど水相に完全に移行することがわかった。これら
の結果から水溶液の超臨界二酸化炭素抽出を行う際の仕
込条件として、仕込の硝酸銀濃度は5Mを採用した。
【0011】参考例2 高度不飽和脂肪酸エステルを含む硝酸銀水溶液の超臨界
流体抽出 参考例1に示した前処理をおこなった不飽和脂肪酸エス
テルを含む硝酸銀水溶液を、セミバッチの流通式超臨界
二酸化炭素抽出装置(図1)を用い、操作温度、圧力の
抽出挙動を与える影響を3種類の超臨界流体を用いて調
べた。超臨界流体として、二酸化炭素、エタン、エチレ
ンを用いた。いずれの流体を用いても、不飽和脂肪酸エ
ステルは抽出初期においては抽出速度は速く、その後抽
出速度は減少していくが、最終的には水溶液中の全ての
脂肪酸エステル成分が抽出された。また、水も同時に一
定速度で抽出された。
流体抽出 参考例1に示した前処理をおこなった不飽和脂肪酸エス
テルを含む硝酸銀水溶液を、セミバッチの流通式超臨界
二酸化炭素抽出装置(図1)を用い、操作温度、圧力の
抽出挙動を与える影響を3種類の超臨界流体を用いて調
べた。超臨界流体として、二酸化炭素、エタン、エチレ
ンを用いた。いずれの流体を用いても、不飽和脂肪酸エ
ステルは抽出初期においては抽出速度は速く、その後抽
出速度は減少していくが、最終的には水溶液中の全ての
脂肪酸エステル成分が抽出された。また、水も同時に一
定速度で抽出された。
【0012】図2に、超臨界二酸化炭素を用いたときの
抽出曲線の一例を示す。なお、原子吸光法による測定結
果から抽出物中には銀は含まれず、再利用可能であるこ
とがわかった。抽出挙動の溶媒流速による影響は測定し
た範囲では認められず、抽出は平衡下で行われているこ
とがわかった。
抽出曲線の一例を示す。なお、原子吸光法による測定結
果から抽出物中には銀は含まれず、再利用可能であるこ
とがわかった。抽出挙動の溶媒流速による影響は測定し
た範囲では認められず、抽出は平衡下で行われているこ
とがわかった。
【0013】二酸化炭素を超臨界流体として用いた場合
は、抽出圧力の影響は大きくは見られなかった。また、
圧力一定で温度を変化させた実験では、温度と共に抽出
速度が速くなり、抽出挙動は、二酸化炭素への不飽和脂
肪酸エステルの溶解度よりも水溶液中の錯体平衡に支配
されるものと考察された。図3に示すように、EPA−
Etは抽出初期に純度は60%となり、DHA−Etは
抽出後期に90%以上のものが得られた。
は、抽出圧力の影響は大きくは見られなかった。また、
圧力一定で温度を変化させた実験では、温度と共に抽出
速度が速くなり、抽出挙動は、二酸化炭素への不飽和脂
肪酸エステルの溶解度よりも水溶液中の錯体平衡に支配
されるものと考察された。図3に示すように、EPA−
Etは抽出初期に純度は60%となり、DHA−Etは
抽出後期に90%以上のものが得られた。
【0014】超臨界エタンを用いた場合は、抽出時の組
成変化は二酸化炭素の場合と同様の結果が得られたが、
抽出速度は速く、この抽出系については優れた溶媒であ
ることがわかった。
成変化は二酸化炭素の場合と同様の結果が得られたが、
抽出速度は速く、この抽出系については優れた溶媒であ
ることがわかった。
【0015】超臨界エチレンによる抽出では、温度・圧
力を変化させても抽出速度は二酸化炭素、エタンの時と
比較して非常に速く、成分ごとの抽出速度に差がないた
め、組成の変化はほとんど見られなかった。これはエチ
レンと銀イオンおよび不飽和脂肪酸エステルと銀イオン
の両者の錯体平衡において、前者の安定性が高く、その
結果不飽和脂肪酸は銀塩からはずれ、フリーの脂肪酸エ
ステルが増加しそのまま抽出されたものと考えられる。
図4に3種類の超臨界流体による抽出曲線の比較を示
す。
力を変化させても抽出速度は二酸化炭素、エタンの時と
比較して非常に速く、成分ごとの抽出速度に差がないた
め、組成の変化はほとんど見られなかった。これはエチ
レンと銀イオンおよび不飽和脂肪酸エステルと銀イオン
の両者の錯体平衡において、前者の安定性が高く、その
結果不飽和脂肪酸は銀塩からはずれ、フリーの脂肪酸エ
ステルが増加しそのまま抽出されたものと考えられる。
図4に3種類の超臨界流体による抽出曲線の比較を示
す。
【0016】参考例3 いわし油をエチルエステル化し
た試料を硝酸銀水溶液と体積比1:2で接触させ、25
℃で一晩振盪し、静置後、水溶液中の脂肪酸エステルの
量、組成を測定した。参考例1の分配実験より、5Mの
硝酸銀水溶液を、超臨界抽出の仕込に最適であると考
え、以下、硝酸銀濃度は5Mに固定して抽出を行った。
上記の方法で作成した脂肪酸エステルを含む硝酸銀水溶
液約8gを、セミバッチ式の流通式超臨界二酸化炭素抽
出装置(図1)を用いて、温度(40−60℃)、圧力
(100〜250Kg/cm2)および炭酸ガス流速
(400−800ml/min[STP])一定下で抽
出し、抽出物の経時変化を測定した。抽出は、脂肪酸エ
ステルの収率が95%を超えたときに終了した。抽出物
は脂肪酸エステル、水の混合物であるため、2−プロパ
ノールで希釈し一相にした後、カールフィッシャー水分
計で水量を、抽出物から水量を差し引いて抽出されたエ
ステル量を求め、ガスクロマトグラフでエステルの組成
を分析した。また、抽出物中の銀の有無は、原子吸光法
により、抽出されないことがわかった。
た試料を硝酸銀水溶液と体積比1:2で接触させ、25
℃で一晩振盪し、静置後、水溶液中の脂肪酸エステルの
量、組成を測定した。参考例1の分配実験より、5Mの
硝酸銀水溶液を、超臨界抽出の仕込に最適であると考
え、以下、硝酸銀濃度は5Mに固定して抽出を行った。
上記の方法で作成した脂肪酸エステルを含む硝酸銀水溶
液約8gを、セミバッチ式の流通式超臨界二酸化炭素抽
出装置(図1)を用いて、温度(40−60℃)、圧力
(100〜250Kg/cm2)および炭酸ガス流速
(400−800ml/min[STP])一定下で抽
出し、抽出物の経時変化を測定した。抽出は、脂肪酸エ
ステルの収率が95%を超えたときに終了した。抽出物
は脂肪酸エステル、水の混合物であるため、2−プロパ
ノールで希釈し一相にした後、カールフィッシャー水分
計で水量を、抽出物から水量を差し引いて抽出されたエ
ステル量を求め、ガスクロマトグラフでエステルの組成
を分析した。また、抽出物中の銀の有無は、原子吸光法
により、抽出されないことがわかった。
【0017】
実施例1 参考例3と同様な操作により調整した、いわし油中の高
度不飽和脂肪酸を選択的に溶解した硝酸銀水溶液から、
超臨界二酸化炭素によってDHA−Etの精製を行うた
めに連続超臨界流体抽出を行った。そのプロセスフロー
を図5に示す。プロセスは、原料である魚油エステルを
5M硝酸銀水溶液と混合槽(Mixer)で接触させ、
次に静置槽(Settler)に送り、EPA−Etと
DHA−Etを豊富に含む水相を抽出塔1の塔頂からフ
ィードする。抽出塔1の塔底から超臨界二酸化炭素を導
入し、抽出塔1で向流接触させる。抽出塔1は段数10
段の棚段塔である。塔頂からは、EPA−Et60%以
上の抽出物が得られ、塔底液からはDHA−Et90%
の抽残物が取り出される。抽残物は抽出塔2に送られ、
その塔頂から99%以上のDHA−Et製品を得て、塔
底からほぼ純粋な硝酸銀を回収する。回収した硝酸銀水
溶液は、Mixer(混合槽)に再循環され、使用され
る。抽出塔1において、温度40℃、圧力250Kg/
cm2で、超臨界二酸化炭素流量(S)とフィートされ
る水相(F)の重量比を15とした連続抽出時のガス相
と液相の組成のプロフィールを示した(図6、図7)。
これにより、塔頂から62%のEPA−Etがガス相と
して、また塔底液から90%のDHA−Etが得られる
ことがわかる。
度不飽和脂肪酸を選択的に溶解した硝酸銀水溶液から、
超臨界二酸化炭素によってDHA−Etの精製を行うた
めに連続超臨界流体抽出を行った。そのプロセスフロー
を図5に示す。プロセスは、原料である魚油エステルを
5M硝酸銀水溶液と混合槽(Mixer)で接触させ、
次に静置槽(Settler)に送り、EPA−Etと
DHA−Etを豊富に含む水相を抽出塔1の塔頂からフ
ィードする。抽出塔1の塔底から超臨界二酸化炭素を導
入し、抽出塔1で向流接触させる。抽出塔1は段数10
段の棚段塔である。塔頂からは、EPA−Et60%以
上の抽出物が得られ、塔底液からはDHA−Et90%
の抽残物が取り出される。抽残物は抽出塔2に送られ、
その塔頂から99%以上のDHA−Et製品を得て、塔
底からほぼ純粋な硝酸銀を回収する。回収した硝酸銀水
溶液は、Mixer(混合槽)に再循環され、使用され
る。抽出塔1において、温度40℃、圧力250Kg/
cm2で、超臨界二酸化炭素流量(S)とフィートされ
る水相(F)の重量比を15とした連続抽出時のガス相
と液相の組成のプロフィールを示した(図6、図7)。
これにより、塔頂から62%のEPA−Etがガス相と
して、また塔底液から90%のDHA−Etが得られる
ことがわかる。
【0018】
【発明の効果】本発明は、不飽和結合と錯体を形成し得
る水性媒体溶解性銀塩と高度不飽和脂肪酸類との錯体形
成能を利用し、そしてその錯体の水性媒体溶解性を利用
することにより選択的に高度不飽和脂肪酸類のみを含む
部分を分離したものについて、連続超臨界流体抽出によ
って高度不飽和脂肪酸類を銀から選択的に分離させるこ
とにより、高度不飽和脂肪酸類を連続的に、即ち工業的
規模で選択的に分別分離することができる。
る水性媒体溶解性銀塩と高度不飽和脂肪酸類との錯体形
成能を利用し、そしてその錯体の水性媒体溶解性を利用
することにより選択的に高度不飽和脂肪酸類のみを含む
部分を分離したものについて、連続超臨界流体抽出によ
って高度不飽和脂肪酸類を銀から選択的に分離させるこ
とにより、高度不飽和脂肪酸類を連続的に、即ち工業的
規模で選択的に分別分離することができる。
【図1】セミバッチの流通式超臨界二酸化炭素抽出
【図2】超臨界二酸化炭素(313 K and 2
4.5 MPa)を用いたときの抽出曲線
4.5 MPa)を用いたときの抽出曲線
【図3】超臨界二酸化炭素(313 K and 2
4.5 MPa)を用いて抽出されたPUFAエステル
の濃度変化
4.5 MPa)を用いて抽出されたPUFAエステル
の濃度変化
【図4】超臨界二酸化流体(313 K and 2
4.5 MPa)を用いたPUFAエステルの抽出曲線
4.5 MPa)を用いたPUFAエステルの抽出曲線
【図5】連続分離法フロー
【図6】多段抽出塔1の組成分布(ガス相)
【図7】多段抽出塔1の組成分布(液相)
1 流体相(Extract) 2 水相(Raffinate) 3 混合槽(Mixer) 4 静置槽(Settler) 5 抽出カラム1 6 抽出カラム2
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C11B 7/00 2115−4H (72)発明者 中野 薫 東京都八王子市南大沢2206−4 キナハイ ツ101 (72)発明者 菊地 智 東京都立川市柏町4−65−24
Claims (1)
- 【請求項1】 高度不飽和脂肪酸類の含有物を銀塩を含
む水性媒体で接触処理して得られた銀塩−高度不飽和脂
肪酸類の錯体の水溶液から、連続超臨界流体抽出によ
り、精製された高度不飽和脂肪酸類を分別回収する方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5078474A JPH06248288A (ja) | 1993-02-27 | 1993-02-27 | 高度不飽和脂肪酸類を分別回収する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5078474A JPH06248288A (ja) | 1993-02-27 | 1993-02-27 | 高度不飽和脂肪酸類を分別回収する方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06248288A true JPH06248288A (ja) | 1994-09-06 |
Family
ID=13663021
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5078474A Withdrawn JPH06248288A (ja) | 1993-02-27 | 1993-02-27 | 高度不飽和脂肪酸類を分別回収する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06248288A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016194359A1 (ja) * | 2015-06-01 | 2016-12-08 | 備前化成株式会社 | 高純度・高収率な高度不飽和脂肪酸の製造方法 |
EP3640317A4 (en) * | 2017-06-14 | 2021-03-03 | Nisshin Pharma Inc. | PROCESS FOR PREPARING A COMPOSITION WITH HIGHLY UNSATURATED FATTY ACIDS |
-
1993
- 1993-02-27 JP JP5078474A patent/JPH06248288A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016194359A1 (ja) * | 2015-06-01 | 2016-12-08 | 備前化成株式会社 | 高純度・高収率な高度不飽和脂肪酸の製造方法 |
JPWO2016194359A1 (ja) * | 2015-06-01 | 2017-12-28 | 備前化成株式会社 | 高純度・高収率な高度不飽和脂肪酸の製造方法 |
CN107922307A (zh) * | 2015-06-01 | 2018-04-17 | 备前化成株式会社 | 高纯度、高收率的高度不饱和脂肪酸的生产方法 |
CN107922307B (zh) * | 2015-06-01 | 2021-01-12 | 备前化成株式会社 | 高纯度、高收率的高度不饱和脂肪酸的生产方法 |
EP3640317A4 (en) * | 2017-06-14 | 2021-03-03 | Nisshin Pharma Inc. | PROCESS FOR PREPARING A COMPOSITION WITH HIGHLY UNSATURATED FATTY ACIDS |
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Legal Events
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---|---|---|---|
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