JPH06245742A - 缶入り飲料 - Google Patents

缶入り飲料

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JPH06245742A
JPH06245742A JP5037108A JP3710893A JPH06245742A JP H06245742 A JPH06245742 A JP H06245742A JP 5037108 A JP5037108 A JP 5037108A JP 3710893 A JP3710893 A JP 3710893A JP H06245742 A JPH06245742 A JP H06245742A
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emulsifier
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亨 森田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 消泡用乳化剤を飲料に添加した後に機械的な
剪断力が加わった場合においても消泡効果を保持するこ
とができ、なおかつ開缶時の缶外への吹き出しを防止す
ることができる缶入り飲料を提供する。 【構成】 消泡用乳化剤と分散用乳化剤とを含有し、分
散用乳化剤は、HLB値が10以上の分散乳化剤1種以
上とHLB値が10未満の分散乳化剤1種以上とを含有
する。また、消泡用乳化剤を飲料に対して0.001〜
0.060重量%含有し、分散用乳化剤を飲料に対して
0.0005〜0.010重量%含有し、これらの含有
量の合計が0.0015〜0.070重量%である。ま
た、分散用乳化剤はHLB値が10以上の分散乳化剤1
種以上の含有量の合計を、HLB値が10未満の分散乳
化剤に対して10〜90重量%とし、残部をHLB値が
10未満の分散乳化剤1種以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は缶入り飲料に関し、特に
飲料に添加した後に機械的な剪断力が加わった場合にお
いても消泡効果を保持し、なおかつ開缶時の缶外への吹
き出しを防止することができる缶入り飲料に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来から、オレンジジュースやリンゴジ
ュース等の果汁飲料、コーヒー飲料、紅茶やウーロン茶
等の茶類、スポーツドリンク等の非炭酸性の易泡性飲料
が缶入りで販売されている。これらの缶入り飲料は、通
常、店頭もしくは自動販売機等により、冷却または加温
されて販売されている。缶の材質は、スチールまたはア
ルミ缶がほとんどであり、一部にはビン、プラスチック
缶等も用いられている。上下の蓋と缶胴の3部分で構成
された通常の3ピーススチール缶を用いた缶入り飲料の
場合には、缶胴の板厚が厚く、中が陰圧になっても缶胴
の強度が十分大きいためにへこみ等が発生し難い。これ
に対し、缶胴と上蓋の2部分で構成された2ピースアル
ミ缶、2ピーススチール缶の場合には、コーラやビール
に見られるように、薄肉化された缶胴のへこみを防止す
るために、缶内に窒素を充填することにより該缶内を陽
圧にして販売されている。
【0003】このように、2ピース陽圧缶を用いた缶入
り飲料の場合、消費者が開缶前に缶を振盪したり、ある
いは、自動販売機からの取り出し時や運搬時において缶
が振盪された場合に、缶内のヘッドスペースに相当量の
泡が発生し、開缶と同時に泡が飛沫となって当該缶の開
口部から外方へ噴き出すこととなり、消費者に不快感を
与えるという問題がある。特に、従来よりオレンジジュ
ース等の果汁飲料やミルクコーヒー等では、内容物を均
一に分散させる必要があることから、開缶時によく振盪
するようにとの表示があるものも多く、消費者の習慣に
なっている場合もあり、問題となることが多い。したが
って、オレンジジュース等の果汁飲料やミルクコーヒー
等においては、開缶時の噴き出しが2ピースアルミ缶を
採用する際のネックになっている。そこで、開缶時の噴
き出しを防止するために、飲料に消泡効果のある乳化剤
を添加することが行なわれており、この消泡用乳化剤に
より当該飲料の発泡性を抑制している。この消泡用乳化
剤においては、その分散状態が消泡効果を左右し、消泡
用乳化剤の粒径が大きい方が消泡効果がある。
【0004】ところで、消泡効果のある乳化剤は親油性
が高いために水系の飲料に対しては分散性が悪く、当該
飲料にこれらの消泡用乳化剤を添加する場合においては
強力な機械撹拌が必要になる。そこで、これらの消泡用
乳化剤の分散性を改良する為に、消泡用乳化剤に親水性
の分散用乳化剤を適量添加することにより、該消泡用乳
化剤を0.3〜10μmの平均粒径のエマルジョンに調
整する事が行われている。このような方法により調整さ
れエマルジョン化された消泡用乳化剤は、若干の機械撹
拌で当該飲料中に充分に分散され、且つ本来の消泡効果
も失われない。上記の消泡用乳化剤としては、例えば、
ショ糖ラウリン酸エステルを主成分とするL−195
(三菱化成食品(株)製)が、また、分散用乳化剤とし
ては、例えば、ショ糖パルミチン酸エステルを主成分と
するP−1670(三菱化成食品(株)製)が好適に用
いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た易泡性飲料を缶や瓶等に充填する製造工程に於いては
該易泡性飲料に種々の機械的な剪断力が加わる工程が多
数あり、このような工程を経る際に、該易泡性飲料中に
分散されエマルジョン化された消泡用乳化剤が0.3μ
m以下の平均粒径のエマルジョンに微分散されてしまう
事がある。この現象は、特に、高圧ホモジナイザー等を
用いるミルクコーヒーやミルクティー等のミルク入り缶
入り飲料の製造工程において顕著に起こる。このように
微分散されてしまった消泡用乳化剤は、粒径が安定せず
に小さくなり、消泡効果が減少してしまうために、易泡
性飲料の発泡性を抑制することができなくなるという問
題があった。
【0006】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであって、消泡用乳化剤を飲料に添加した後に機械的
な剪断力が加わった場合においても消泡効果を保持する
ことができ、なおかつ開缶時の缶外への吹き出しを防止
することができる缶入り飲料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次のような缶入り飲料を採用した。すなわ
ち、請求項1記載の缶入り飲料は、陽圧缶に充填してな
る缶入り飲料であって、消泡用乳化剤と分散用乳化剤と
を含有し、分散用乳化剤は、HLB値が10以上の分散
乳化剤1種以上と、HLB値が10未満の分散乳化剤1
種以上とを含有することを特徴としている。
【0008】また、請求項2記載の缶入り飲料は、請求
項1記載の缶入り飲料において、前記消泡用乳化剤を、
飲料に対して0.001〜0.060重量%含有し、前
記分散用乳化剤を、飲料に対して0.0005〜0.0
10重量%含有し、さらに、前記消泡用乳化剤及び分散
用乳化剤のそれぞれの含有量の合計が0.0015〜
0.070重量%であることを特徴としている。
【0009】また、請求項3記載の缶入り飲料は、請求
項2記載の缶入り飲料において、前記分散用乳化剤は、
HLB値が10以上の分散乳化剤1種以上の含有量の合
計を、HLB値が10未満の分散乳化剤に対して10〜
90重量%とし、残部をHLB値が10未満の分散乳化
剤1種以上としたことを特徴としている。
【0010】ここで、消泡用乳化剤としては、グリセリ
ン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグ
リセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロ
ピレングリコール脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類
の中から消泡性の高いものが選択される。消泡性は添加
される易泡性飲料の種類により異なるために、添加され
る易泡性飲料各々に対して最も消泡効果のある脂肪酸エ
ステルが選択される。
【0011】一方、前記消泡用乳化剤を分散させるため
の分散用乳化剤において、HLB値が10以上の分散乳
化剤としては、P−1670(三菱化成)、P−157
0(三菱化成)、L−1695(三菱化成)、S−16
70(三菱化成)等が、また、HLB値が10未満の分
散乳化剤としては、L−595(三菱化成)、S−57
0(三菱化成)、S−770(三菱化成)、P−170
(三菱化成)等が好適に用いられる。
【0012】また、前記消泡用乳化剤を飲料に対して
0.001〜0.060重量%含有することとした理由
は、含有量が0.001重量%未満では充分な消泡効果
が得られず、また、含有量が0.060重量%を越える
とコストアップになってしまい不適当だからである。ま
た、前記分散用乳化剤を飲料に対して0.0005〜
0.010重量%含有することとした理由は、含有量が
0.0005重量%未満では充分な分散効果が得られ
ず、また、含有量が0.010重量%を越えるとコスト
アップになってしまい不適当だからである。
【0013】さらに、前記分散用乳化剤を、HLB値が
10以上の分散乳化剤1種以上の含有量の合計をHLB
値が10未満の分散乳化剤に対して10〜90重量%と
し、残部をHLB値が10未満の分散乳化剤1種以上と
した理由は、HLB値が10以上の分散乳化剤の含有量
が上記範囲を外れた場合、分散乳化剤を複数種用いるこ
とによる分散効果が小さく、消泡用乳化剤の粒径を安定
化させ消泡効果を維持することができないからである。
【0014】ここでは、前記消泡用乳化剤に、前記HL
B値が10以上の分散乳化剤とHLB値が10未満の分
散乳化剤とを各々所定量添加し、均一に分散された水分
散エマルジョン液とする。この水分散エマルジョン液に
あまり強い剪断力を与えるとこの時点で微粒のエマルジ
ョンが発生してしまうため、0.3〜5μmの平均粒径
に留まるように撹拌力を調整する必要がある。このよう
に調整された水分散エマルジョン液は、水系の食品全般
において容易に分散させることができ、前記水系の食品
全般に添加した後にかなり強力な機械撹拌などの操作を
加えても消泡効果を保持することができ、なおかつ開缶
時の缶外への吹き出しを防止することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例について説明する。
表−1に示す消泡用乳化剤各々所定量に、表−2に示す
組成の分散用乳化剤を各々所定量添加し、均一に分散さ
れた水分散エマルジョン液とし、その後、60℃以上に
おいて熱処理を行い、易泡性飲料にこれらの水分散エマ
ルジョン液(乳化剤)を所定量添加し、4種類(No.
1〜4)の易泡性飲料を作製した。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】また、上記の消泡用乳化剤及び分散用乳化
剤各々の成分は表3の通りである。
【表3】
【0019】次に、前記各飲料を液体窒素滴下法を用い
て250gアルミ陽圧缶に充填した。この場合の充填内
圧は噴き出しに関して最も厳しい条件である2.0kg
/cm2(29℃において)とし、充填後のヘッドスペ
ースは15mmとした。各飲料を充填した後に125
℃、20分の条件においてレトルト処理を施し、その
後、噴き出し量の試験を行い評価した。
【0020】噴き出し量の試験は、振盪機を用いて1
7.8Gの加速度、25cmの振幅で振盪した後、3秒
後に開缶し、開缶時の噴き出し量を測定した。開缶時の
液温は5℃(アイスベンダー相当)、55℃(ホットベ
ンダー相当)の2水準とした。これらの試験結果を表4
に示す。
【0021】
【表4】
【0022】また、前記No.1の水分散エマルジョン
液を、上記実施例と同一条件で複数種類の缶コーヒーに
添加した場合の噴き出し量の試験結果を表5に示す。
【表5】
【0023】一方、従来例として、易泡性飲料に、表6
に示すように、1種類の分散用乳化剤と消泡用乳化剤か
らなる水分散エマルジョン液を上記実施例と同一条件下
で陽圧缶に充填し、噴き出し量の試験を行い評価した。
噴き出し量の試験結果を表7に示す。
【0024】
【表6】
【0025】
【表7】
【0026】これらの表から明かなように、上記実施例
では、従来例と比較して噴き出し量が減少しており、顕
著な添加効果があることがわかる。特に、噴き出し量が
0.2g以下の場合では、ミスト状に飛散するのみで、
手や衣類に飲料が付着することはほとんどなく、使用上
全く問題がない。また、味覚についても従来例と比べて
変わりがなく、使用上全く問題がない。
【0027】以上説明した様に、上記実施例の缶入り飲
料によれば、消泡用乳化剤の粒径を安定化させることが
でき、消泡効果を安定化させることができ、易泡性飲料
を5〜55℃の広範囲の温度領域に渡り安定して発泡性
を抑制することができる。また、上記実施例の缶入り飲
料を通常の内圧において陽圧缶に充填した場合、激しい
震動を与えた後に開缶しても内容物が噴出することはほ
とんどなく、従来陽圧缶に充填することが困難であると
考えられていた各種の飲料を工程や装置等の変更なしに
充填可能とすることができる、という優れた効果が得ら
れる。また、易泡性飲料に本実施例の乳化剤を加えても
味覚にはほとんど悪影響を与えない。
【0028】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の請求項1記
載の缶入り飲料によれば、陽圧缶に充填してなる缶入り
飲料であって、消泡用乳化剤と分散用乳化剤とを含有
し、分散用乳化剤は、HLB値が10以上の分散乳化剤
1種以上と、HLB値が10未満の分散乳化剤1種以上
とを含有することとしたので、消泡用乳化剤の粒径を安
定化させることができ、消泡効果を安定化させることが
でき、易泡性飲料を5〜55℃の広範囲の温度領域に渡
り安定して発泡性を抑制することができる。
【0029】また、上記発明の缶入り飲料を通常の内圧
において陽圧缶に充填した場合、激しい震動を与えた後
に開缶しても内容物が噴出することはほとんどなく、従
来陽圧缶に充填することが困難であると考えられていた
各種の飲料を工程や装置等の変更なしに充填可能とする
ことができる、という優れた効果が得られる。また、易
泡性飲料に前記乳化剤を加えても味覚にはほとんど悪影
響を与えない。
【0030】また、請求項2記載の缶入り飲料によれ
ば、請求項1記載の缶入り飲料において、前記消泡用乳
化剤を、飲料に対して0.001〜0.060重量%含
有し、前記分散用乳化剤を、飲料に対して0.0005
〜0.010重量%含有し、さらに、前記消泡用乳化剤
及び分散用乳化剤のそれぞれの含有量の合計を0.00
15〜0.070重量%としたので、少量の乳化剤を添
加するだけで充分な消泡効果を得ることができ、コスト
アップになることもない。
【0031】また、請求項3記載の缶入り飲料によれ
ば、請求項2記載の缶入り飲料において、前記分散用乳
化剤を、HLB値が10以上の分散乳化剤1種以上の含
有量の合計を、HLB値が10未満の分散乳化剤に対し
て10〜90重量%とし、残部をHLB値が10未満の
分散乳化剤1種以上としたので、分散乳化剤を複数種用
いることにより分散効果が向上し、消泡用乳化剤の粒径
を効果的に安定化させることができ、消泡効果をさらに
安定化させることができ、易泡性飲料を5〜55℃の広
範囲の温度領域に渡り安定して発泡性を抑制することが
できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽圧缶に充填してなる缶入り飲料であっ
    て、 消泡用乳化剤と分散用乳化剤とを含有し、 分散用乳化剤は、HLB値が10以上の分散乳化剤1種
    以上と、HLB値が10未満の分散乳化剤1種以上とを
    含有することを特徴とする缶入り飲料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の缶入り飲料において、 前記消泡用乳化剤を、飲料に対して0.001〜0.0
    60重量%含有し、 前記分散用乳化剤を、飲料に対して0.0005〜0.
    010重量%含有し、 さらに、前記消泡用乳化剤及び分散用乳化剤のそれぞれ
    の含有量の合計が0.0015〜0.070重量%であ
    ることを特徴とする缶入り飲料。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の缶入り飲料において、 前記分散用乳化剤は、HLB値が10以上の分散乳化剤
    1種以上の含有量の合計を、HLB値が10未満の分散
    乳化剤に対して10〜90重量%とし、残部をHLB値
    が10未満の分散乳化剤1種以上としたことを特徴とす
    る缶入り飲料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004049813A1 (ja) * 2002-12-03 2004-06-17 Mitsubishi Chemical Corporation ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する乳飲料
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