JP3780902B2 - 陽圧缶入り飲料の製造方法および陽圧缶入り飲料製造装置 - Google Patents

陽圧缶入り飲料の製造方法および陽圧缶入り飲料製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は振盪による起泡や開缶時の噴出などを防止するため飲料用消泡剤が添加される陽圧缶入り飲料の製造方法および陽圧缶入り飲料製造装置に関し、消泡効果を向上し、添加量を減少できるようにした陽圧缶入り飲料の製造方法および陽圧缶入り飲料製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、密閉容器入り飲料として各種缶入り飲料が店頭、または自動販売機などで販売されている。缶入り飲料の容器である缶には、主としてスチール缶またはアルミニウム缶が用いられている。それらの中では、上下の蓋と缶胴との3部品で構成された3ピーススチール缶は、缶胴の板厚が大きく、機械的強度が十分に大きいので、缶内が陰圧であっても缶胴で凹みなどが発生しにくい。このように缶内の圧力が陰圧である缶は、一般に陰圧缶といわれている。
また、缶胴と上蓋の2部品で構成されている2ピースアルミニウム缶や2ピーススチール缶は、薄肉化された缶胴に凹みが発生するのを防止するために、缶内に窒素ガスや炭酸ガスを充填することにより該缶内の圧力は陽圧に調整されている。このように缶内の圧力が陽圧である缶は、一般に陽圧缶といわれている。
これらの缶のなかでは、近年、缶に要するコストの削減や省資源の観点から、陽圧缶に対する需要が高くなってきている。
【0003】
このような缶に充填される缶入り飲料のうち、ミルクコーヒーやミルクティーなどに代表される易泡性飲料が充填されたものは、消費者が開缶前に振盪したり、自動販売機からの取り出し時や運搬時に振盪されたりした場合、缶内のヘッドスペースに相当量の泡が発生し、この泡が開缶と同時に飛沫となって缶の開口部から外部に噴出し、消費者の手や衣服を汚すおそれがある。
特に、コーヒーなどが充填された缶入り飲料では、その内容物を均一に分散させるために開缶前に振盪することが消費者の習慣になっていることがあるため、問題となることが多い。このように易泡性飲料においては、開缶時の噴出が、陽圧缶を採用する際の大きな障害となっている。
【0004】
そこで、開缶時の噴出を防止するために、飲料用消泡剤を飲料に添加することが一般に行われている。
【0005】
ところで、飲料用消泡剤を飲料に添加した場合、消泡は、一般に飲料用消泡剤の泡膜表面への吸着、侵入、拡張および破泡の4つの過程を経て起こると考えられている。従って、飲料用消泡剤には、泡膜表面に迅速に吸着し、泡膜内に容易に侵入するだけの粒子径、および界面張力が低い親油性成分が必要とされる。
【0006】
そこで、かかる観点から、親水性の分散用乳化剤と、HLB値が7以下の親油性の消泡用乳化剤とを用いてエマルションを調製し、得られたエマルションを飲料用消泡剤として用いて、陽圧缶入り飲料を製造することが提案されている(特開平6−217715号公報、特開平8−70827号公報)。このようなエマルションにおいて、エマルション粒子の平均粒子径は、数〜20μmとされている。
【0007】
前記飲料用消泡剤は、前記消泡用乳化剤を核とし、その表面に前記分散用乳化剤が覆われたエマルション粒子を含有するため、泡膜表面に迅速に吸着できる。また、前記エマルション粒子は、その平均粒子径が数〜20μmであるので、泡膜内に容易に侵入し、さらに核にある消泡用乳化剤が泡膜を拡張するので、破泡させるという性質を呈する。
【0008】
しかしながら、陽圧缶入り飲料を製造する工程には、一般に機械的な剪断力が該易泡性飲料に加わる工程が存在している。図3に、従来の陽圧缶入り飲料製造装置の一例を示す。
図3において、符号1は、調合タンクである。調合タンク1には、ミルク、フレーバーなどの原料を投入するための投入口2と、調合された原料を混合する攪拌機3が設けられている。調合タンク1内で調合された調合液4は、ポンプ5により調整タンク6に送られるようになっている。さらに、調整タンク6に送られた調合液7は、ポンプ8により高圧ホモジナイザー11に送られ、そこで均質化されて飲料となるようになっている。前記均質化された飲料は、充填装置21に送られ、陽圧にて缶に充填されることにより、陽圧缶入り飲料22が得られるようになっている。
【0009】
このような陽圧缶入り飲料製造装置においては、前記飲料用消泡剤31は、消泡剤タンク32から、前記調合タンク1に投入されて、他の原料とともに攪拌され、混合されるようになっている。
このため、飲料用消泡剤31に含まれるエマルション粒子の平均粒子径が、消泡効果が高いとされる数〜20μmに調整されていたとしても、これらの工程を経ている間に、平均粒子径が1μm以下の微小な粒子に破壊されることがある。特に、高圧ホモジナイザー11を用いるミルクコーヒーなどの乳成分入りの飲料の製造工程においては、高圧ホモジナイザー11により10〜100GPa程度の高圧が飲料用消泡剤に掛かるので、このような粒子破壊が顕著に起こる。
【0010】
エマルション粒子がこのように破壊され微小化された場合、飲料用消泡剤31の消泡効果が著しく低下し、開缶時の噴出を効果的に防止することができないという欠点がある。この消泡効果の低下は、高圧ホモジナイザー11による処理の際の圧力に比例して起こる。
このように飲料用消泡剤31の消泡効果が低下すると、十分な消泡効果を得るために飲料用消泡剤31を増量する必要があるが、特に、風味の薄い飲料種の場合、飲料の風味が損なわれるおそれがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、陽圧缶入り飲料に添加した後に、不必要な機械的な剪断力を加えることなく陽圧缶入り飲料を製造しても、飲料用消泡剤の凝集や分離が起こらず、飲料の風味が損なわれず、しかも、十分な消泡効果を発現し、開缶時の内容物の噴出を効果的に防止することができる陽圧缶入り飲料の製造方法および陽圧缶入り飲料製造装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の陽圧缶入り飲料の製造方法は、乳成分を含有する調合液を均質化処理して得られる飲料に飲料用消泡剤を添加し、前記飲料用消泡剤は、消泡用乳化剤と極性分散媒を含有する混合液を、膜乳化装置に通して得られるエマルションであって、前記エマルションに含まれるエマルション粒子の平均粒子径が1〜10μmであることを特徴とするものである。請求項2に記載したように、前記エマルション粒子の粒子径分布において、粒子径が1〜10μmの範囲内にあるエマルション粒子の全粒子数に占める割合が個数基準で90%以上であることにより、前記飲料用消泡剤の消泡効果を極めて高くすることができる。請求項3記載の陽圧缶入り飲料製造装置は、乳成分を含有する調合液を均質化して飲料を得るための高圧ホモジナイザーと、前記飲料に飲料用消泡剤を添加するための消泡剤添加装置と、膜乳化装置とを有し、前記消泡剤添加装置には、消泡用乳化剤と極性分散媒を含有する混合液を膜乳化装置を通じて得られるエマルションからなる飲料用消泡剤が送り込まれるとともに、前記消泡剤添加装置が、前記高圧ホモジナイザーより後工程に置かれていることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。図1は、本実施の形態の陽圧缶入り飲料製造装置を説明する概略図である。
【0014】
図1において、符号1は、調合タンクである。調合タンク1には、ミルク、フレーバーなどの原料を投入するための投入口2と、調合された原料を混合する攪拌機3が設けられている。調合タンク1内で調合された調合液4は、ポンプ5により調整タンク6に送られるようになっている。さらに調整タンク6に送られた調合液7は、ポンプ8により高圧ホモジナイザー11に送られ、そこで均質化されて飲料となるようになっている。前記均質化された飲料は、消泡剤添加装置34に送られるようになっている。
【0015】
前記消泡剤添加装置34には、消泡剤タンク32から膜乳化装置33を通じて調製された飲料用消泡剤31が送り込まれ、これを飲料に添加できるようになっている。飲料用消泡剤31を添加された飲料は、充填装置21に送られて缶に充填され、陽圧缶入り飲料22となるようになっている。
すなわち、本実施形態の陽圧缶入り飲料製造装置は、乳成分を含有する調合液7を均質化して飲料を得るための高圧ホモジナイザー11と、前記飲料に飲料用消泡剤31を添加するための消泡剤添加装置34とを有し、前記消泡剤添加装置34が、前記高圧ホモジナイザー11より、後工程に置かれているものである。
【0016】
このような構成にすることにより、高圧ホモジナイザー11にて均質化された飲料に飲料用消泡剤31を添加した後、不必要な機械的な剪断力を加えることなく陽圧缶入り飲料22を製造することができるので、飲料用消泡剤31中のエマルション粒子が剪断力により微細化させられることがなく、その消泡効果を高く維持することができる。
【0017】
前記飲料用消泡剤31としては、消泡用乳化剤と極性分散媒を含有する混合液を、膜乳化装置33に通して得られるエマルションであって、前記エマルションに含まれるエマルション粒子の平均粒子径が1〜10μmであるものが好適に使用できる。
【0018】
前記消泡用乳化剤としては、公知のものが使用可能であり、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステルから消泡性の高いものが選択される。特に、HLB値(親水性―親油性バランス)が7以下であるものが好ましい。
【0019】
前記極性分散媒としては、水、エタノール、液糖等が好適に用いられるが、必要に応じてこれら2種あるいは3種以上を所望の比率で混合した混合溶液としてもかまわない。極性分散媒の量は、特に限定がないが、消泡用乳化剤100重量部に対して、例えば、200〜2000重量部程度、特に、400〜1000重量部程度であることが好ましい。
【0020】
前記消泡用乳化剤と前記極性分散媒を含有する混合液には、前記消泡用乳化剤を前記極性分散媒に十分に分散させるため、分散用乳化剤を添加することができる。前記分散用乳化剤としては、例えば、HLB値が10以上のショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステルを用いることができる。また2種類以上の分散用乳化剤を混合して用いてもよい。
【0021】
前記分散用乳化剤を添加する場合は、この分散用乳化剤の添加量は、前記消泡用乳化剤100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内にするのが好ましい。前記分散用乳化剤の添加量が0.1重量部未満では、エマルションの安定性が低く、前記消泡用乳化剤が分離し、沈降または浮遊してしまうおそれがあり、また、添加量が20重量部を越えると、剪断力が加わった場合にエマルションが過度に微細化されて消泡効果が弱くなるおそれがある。
【0022】
前記消泡用乳化剤と前記極性分散媒を含有する混合液を、上述のように膜乳化装置33にて乳化することによって飲料用消泡剤31が調整されるが、膜乳化装置33に供される前に、予備乳化させておくのが好ましい。
予備乳化を行うことによって、前記消泡用乳化剤が分離しにくくなり、膜乳化の効果を向上させることができる。予備乳化は、ハンドミキサー、スターラー、超音波乳化などの通常用いられる装置により行うことができる。
【0023】
予備乳化後のエマルション粒子の平均粒子径は、例えば、10〜20μmとなるようにするのが好ましい。前記平均粒子径が10μm未満では、膜乳化によってエマルション粒子が過度に微細化されるおそれがあり、20μmを超えると、前記混合液中、前記消泡用乳化剤が沈降または浮遊して、後述する膜乳化装置33の多孔質膜を通過しにくくなるので、膜乳化の効率が低下する。
【0024】
前記膜乳化装置33とは、膜乳化技術を用いて乳化を行う装置である。
前記膜乳化技術とは、所定の孔径を有する多数の貫通孔が形成された多孔質膜を介して、分散質を分散媒中に圧入させ、分散させることにより、連続的に粒子径分布の幅が狭いエマルションを生成する技術である。
【0025】
図2に、前記膜乳化技術におけるエマルション粒子の生成の様子を示す。図2(a)に示すように、分散質の液滴51は、図2における左方から加圧されることにより、多孔質膜52に押し付けられる。前記液滴51が、多孔質膜52上に形成された貫通孔53の一つに接すると、液滴51の一部が貫通孔53内に押し込まれる。さらに、図2(b)に示すように、前記液滴51の一部が貫通孔53を通過すると、液滴51の先端は表面張力により球状になり、球状部54が形成される。液滴51がさらに圧入させられて、前記球状部54の径が大きくなり、表面張力の限界点に達すると、図2(c)に示すように、球状部54は表面張力により、液滴51から離脱し、エマルション粒子55となって、分散媒中に分散させられる。
【0026】
このように、分散質の液滴51は、多孔質膜52を通過する際に微細化され、分散媒中に分散させられる。このとき、エマルション粒子55の粒子径は、前記多孔質膜52の貫通孔53の孔径により規定されるので、粒子径分布の幅が狭く、均質性の極めて高いエマルションが得られる。
【0027】
前記膜乳化装置33としては、上述のような多孔質膜52をパイプ状に成形してカラム中に備えた膜モジュールを有する公知のものが利用可能である。例えば、分散媒を循環させるための循環径路中に膜モジュールを設け、多孔質膜52を通じて分散相を分散媒中に分散させるもの、また、分散媒を配送するための配管の途中に膜モジュールを設け、多孔質膜52を通じて分散相を分散媒中に分散させるもの等が考えられる。
【0028】
また、上述のように、膜乳化の前に予備乳化を行う場合は、前記膜乳化装置33として、モノポンプと、膜モジュールとを組み合わせたものを用いることができる。
このような膜乳化装置33を消泡剤タンク32と消泡剤添加装置34との間にインラインにて取り付けることにより、予備乳化された混合液をモノポンプから送出する際に、膜モジュールを通過させて膜乳化し、さらに次の工程に送ることができるので、製造工程の省力化が図られる。
前記膜乳化装置33に用いられる多孔質膜52は、公知のものであり、例えば、焼結ガラス膜、アルミナセラミックス膜、ガラス質ミクロ多孔質膜などが用いられる。これらの多孔質膜52は、通常、0.05〜20μmの任意の孔径で製造可能であり、目的とするエマルション粒子の平均粒子径に応じて、適宜の孔径の多孔質膜52を使用できる。
【0029】
前記エマルション粒子の平均粒子径は、1〜10μmの範囲内とするのが好ましく、特に、4.5〜9μmの範囲内とするのが好ましい。
前記平均粒子径が1μm未満では、消泡効果が減少するので好ましくなく、10μmを超えると、また消泡用乳化剤が凝集して飲料中に遊離、浮遊し、飲料中での異物感を生ずるおそれがあり、好ましくない。
さらに、前記エマルション粒子の粒子径分布において、粒子径が1〜10μmの範囲内にあるエマルション粒子の全粒子数に占める割合が個数基準で90%以上であることにより、過度に微細化され消泡効果を失ったエマルション粒子が極めて少ないものとなるので、消泡効果が極めて高いものとすることができ、また、飲料用消泡剤31の添加量を減少させることができるので、風味への悪影響も少ない。
前記エマルション粒子の粒子径分布は、例えば、レーザー回折式粒子径分布測定装置などにより、容易に測定することができる。
【0030】
このようにして調整された飲料用消泡剤31を易泡性の飲料に添加するわけであるが、分散性に優れたエマルションにしてあるため、単に飲料に添加し緩く攪拌するだけで容易に分散させることができる。エマルション粒子の粒子径分布の幅が狭く、消泡効果の高い範囲内に収められているので、エマルションの安定性が高く、消泡効果にも優れたものとなる。
【0031】
これらの飲料に添加される飲料用消泡剤31の量は、該飲料用消泡剤31の組成や飲料の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、飲料100重量部に対して、十分な消泡効果を発現させる観点から、0.005重量部以上、好ましくは0.01重量部以上とすることが望ましく、また飲料の風味に悪影響を与えないようにする観点から、0.1重量部以下、好ましくは0.05重量部以下であることが望ましい。
【0032】
前記消泡剤添加装置34としては、飲料用消泡剤31を添加し、混合できるものならば、いずれの装置も使用可能であり、例えば、種々のミキサーやスターラーが使用可能であるが、不必要な機械的な剪断力を与えないものが好ましい。特に、スタティックミキサーは、外部から仕事を与えることなく、飲料自身の流動による運動エネルギーを利用して攪拌、混合するものであるので、飲料用消泡剤31に機械的な剪断力をほとんど与えることがなくなり、特に好適である。
【0033】
このように、前記飲料用消泡剤31を添加された飲料は、充填装置21を用いて、従来と同じ方法で陽圧缶に充填され、陽圧缶入り飲料22とされる。
この陽圧缶入り飲料22に用いられる陽圧缶とは、特に限定がないが、缶内に例えば窒素ガスや炭酸ガス等を充填し、缶内圧が常圧よりも高いものをいう。かかる陽圧缶内の圧力は、通常、0.2〜2.0kgf/cm2、好ましくは、0.6〜1.4kgf/cm2程度であることが望ましい。また、陽圧缶は、前記したように、例えば、缶胴と上蓋の2部品で構成されている2ピースアルミ缶や2ピーススチール缶などを好適に使用することができる。
【0034】
飲料中には充填後レトルト殺菌が必要な物も多いが、これも通常通り行っても何等差し支えはない。レトルト処理は飲料種によって殺菌条件は異なるが、前記飲料用消泡剤31は、いずれも熱安定性に優れているため、例えば125℃、60分の熱処理を加えても、その消泡作用はほとんど変化することはない。
【0035】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0036】
[実施例1〜4]
まず、表1に示す量の分散用乳化剤を極性分散媒に添加し、分散させた溶液を75℃に加熱し、これに、表1に示す消泡用乳化剤を75℃に加熱溶融させたもの20重量部を添加し、次いで、ホモミキサー(特殊機工(株)製)にて回転数2000rpmで乳化し、次いで、室温まで冷却することにより、エマルション粒子の平均粒子径が10〜15μmのエマルションを得た。
【0037】
極性分散媒が10重量%エタノール水溶液である実施例4のものは、最初に極性分散媒として水を用い、表1に示す量の分散用乳化剤を極性分散媒に添加し、分散させた溶液を75℃に加熱し、これに、表1に示す消泡用乳化剤を75℃に加熱溶融させたもの20重量部を添加し、次いで室温まで冷却後、所定の量の99%エタノールを添加し、次いで、ホモミキサー(特殊機工(株)製)にて回転数2000rpmで乳化し、次いで、室温まで冷却することにより、エマルション粒子の平均粒子径が10〜15μmのエマルションを得た。
【0038】
さらに、前記エマルションに、0.1〜8kgf/cm2の圧力を掛けて膜乳化装置に通し、飲料用乳化剤を得た。この膜乳化装置は、外径35〜37mm、長さ500mmのパイプ状のガラス多孔質膜を備えるものであり、前記ガラス多孔質膜の平均孔径は1〜10μmであった。
【0039】
次に、前記飲料用消泡剤を、市販のミルクコーヒー飲料に、各飲料用消泡剤の濃度が1000ppmとなるように添加し、スタティックミキサーにて混合し、次いで250ml容の2ピースアルミニウム缶内に充填し、さらに121℃で30分間レトルト処理を施し、陽圧缶入り飲料を得た。なお、充填内圧は1.2kgf/cm2 とし、充填後のヘッドスペースは15mmとした。
【0040】
[比較例1〜4]
表1に示す量の分散用乳化剤を極性分散媒に添加し、分散させた溶液を75℃に加熱した後、これに、表1に示す消泡用乳化剤を75℃に加熱溶融させたもの20重量部を添加し、次いで、ホモミキサー(特殊機工(株)製)にて回転数2000rpmで乳化し、次いで室温まで冷却することにより、エマルション粒子の平均粒子径が10〜15μmの飲料用消泡剤を得た。
【0041】
極性分散媒が10重量%エタノール水溶液である比較例1〜2のものは、最初に極性分散媒として水を用い、表1に示す量の分散用乳化剤を極性分散媒に添加し、分散させた溶液を75℃に加熱した後、これに、表1に示す消泡用乳化剤を75℃に加熱溶融させたもの20重量部を添加し、室温まで冷却した後、所定の量の99%エタノールを添加し、次いで、ホモミキサー(特殊機工(株)製)にて回転数2000rpmで乳化し、次いで、室温まで冷却することにより、エマルション粒子の平均粒子径が10〜15μmの飲料用消泡剤を得た。
【0042】
次に、得られた飲料用消泡剤を、市販のミルクコーヒー飲料に、各飲料用消泡剤の濃度が1000ppmとなるように添加し、撹拌した後、処理圧力を200kgf/cm2 とし、処理温度を65℃とした高圧ホモジナイザーを通過させ、次いで250ml容の2ピースアルミニウム缶内に充填し、さらに121℃で30分間レトルト処理を施し、陽圧缶入り飲料を得た。なお、充填内圧は1.2kgf/cm2 とし、充填後のヘッドスペースは15mmとした。
【0043】
各実施例および各比較例で使用した消泡用乳化剤および分散用乳化剤は、以下のとおりである。
【0044】
[消泡用乳化剤]
S−170:低HLBショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学(株)製、商品名:リョートーシュガーエステルS−170、HLB値1、融点60℃)
63T:トリステアリン酸ソルビタン(太陽化学(株)製、商品名:サンソフト63T、HLB値2.3、融点60℃)
【0045】
[分散用乳化剤]
S−1670:高HLBショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学(株)製、商品名:リョートーシュガーエステルS−1670、HLB値16)
A−171E:ポリグリセリンオレイン酸エステル(太陽化学(株)製、商品名:サンソフトA−171E、HLB値13)
【0046】
また、参考のため、飲料用消泡剤をまったく添加していないミルクコーヒー飲料を前記比較例と同様に高圧ホモジナイザー処理、充填、レトルト処理を施したものを作製し、これを従来の陽圧缶入り飲料(以下、従来例という)とした。
【0047】
[噴出量試験]
次に、得られた陽圧缶入り飲料を用いて、開缶時の噴出量を以下の方法に従って測定した。
陽圧缶入り飲料内の飲料用消泡剤を、ホットベンダーに相当する55℃に加温した。次いで、振盪機を用いて17.8Gの加速度で10回振盪した。振盪から3秒間経過後に開缶して、開缶前後の缶重量の変化量を測定し、これを開缶時の噴出量とした。
この噴出量試験の結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003780902
【0049】
表1に示された結果から明らかなように、55℃における噴出量は、実施例の1〜4で得られた陽圧缶入り飲料ではいずれも300mg以下であるのに対し、比較例1〜4で得られた陽圧缶入り飲料では400〜450mgと多く、また、従来例の陽圧缶入り飲料では620mgと非常に多くなっていることがわかる。
【0050】
噴出量が300mg以下の場合、飲料が缶内からミスト状に飛散するのみで、手や衣類に飲料が付着することはほとんどないことから、実施例1〜4で得られた陽圧缶入り飲料は、手や衣類に付着するおそれがほとんどなく、消泡効果に非常に優れたものであることがわかる。
また、実施例1〜4で得られた陽圧缶入り飲料内の飲料の風味を調べたが、従来例の飲料と比べて差異が認められず、実使用上まったく問題が認められなかった。
【0051】
以上の結果から、実施例1〜4で得られた陽圧缶入り飲料は、比較例1〜4および従来例のものと対比して、非常に優れた消泡効果を発現するものであることがわかる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の陽圧缶入り飲料の製造方法によれば、飲料用消泡剤は、乳成分を含有する調合液を均質化処理して得られる飲料に添加されるので、高圧ホモジナイザーのような強い機械的な剪断力によるエマルション粒子の破壊が起こらず、高い消泡効果が得られる。従って、陽圧缶入り飲料を振盪直後に開缶しても、その内容物の缶外への噴出は効果的に抑止される。
前記飲料用消泡剤として、消泡用乳化剤と極性分散媒を含有する混合液を、膜乳化装置に通して得られるエマルションであって、前記エマルションに含まれるエマルション粒子の平均粒子径が1〜10μmであるものを用いることにより、高い消泡効果が得られるとともに、飲料中に異物感を生ずるおそれが防がれる。さらに、前記エマルション粒子の粒子径分布において、粒子径が1〜10μmの範囲内にあるエマルション粒子の全粒子数に占める割合が個数基準で90%以上であることにより、飲料用消泡剤31の添加量が少なくできるので、風味への影響が少なくなる。
本発明の陽圧缶入り飲料製造装置は、上述のような優れた陽圧缶入り飲料を製造するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の陽圧缶入り飲料製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】 膜乳化の状況を説明する図である。
【図3】 従来の陽圧缶入り飲料製造装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
4…調合液、11…高圧ホモジナイザー、22…陽圧缶入り飲料、31…飲料用消泡剤、33…膜乳化装置、34…消泡剤添加装置。

Claims (3)

  1. 乳成分を含有する調合液を均質化処理して得られる飲料に飲料用消泡剤を添加し、前記飲料用消泡剤は、消泡用乳化剤と極性分散媒を含有する混合液を、膜乳化装置に通して得られるエマルションであって、前記エマルションに含まれるエマルション粒子の平均粒子径が1〜10μmであることを特徴とする陽圧缶入り飲料の製造方法。
  2. 前記エマルション粒子の粒子径分布において、粒子径が1〜10μmの範囲内にあるエマルション粒子の全粒子数に占める割合が個数基準で90%以上であることを特徴とする請求項1記載の陽圧缶入り飲料の製造方法。
  3. 乳成分を含有する調合液を均質化して飲料を得るための高圧ホモジナイザーと、前記飲料に飲料用消泡剤を添加するための消泡剤添加装置と、膜乳化装置とを有し、
    前記消泡剤添加装置には、消泡用乳化剤と極性分散媒を含有する混合液を膜乳化装置を通じて得られるエマルションからなる飲料用消泡剤が送り込まれるとともに、前記消泡剤添加装置が、前記高圧ホモジナイザーより後工程に置かれていることを特徴とする陽圧缶入り飲料製造装置。
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