JPH06239214A - 制動力制御装置 - Google Patents

制動力制御装置

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JPH06239214A
JPH06239214A JP3068093A JP3068093A JPH06239214A JP H06239214 A JPH06239214 A JP H06239214A JP 3068093 A JP3068093 A JP 3068093A JP 3068093 A JP3068093 A JP 3068093A JP H06239214 A JPH06239214 A JP H06239214A
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wheel
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braking
control
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秀明 井上
Hirotsugu Yamaguchi
博嗣 山口
Shinji Matsumoto
真次 松本
Naoki Maruko
直樹 丸古
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヨーレイト偏差に基づく前輪左右の制動力の
調整による制動力制御を、ドライバにとって操舵フィー
リングが悪化するのを実質的に回避させつつ、実現する
装置を得る。 【構成】 コントロールユニットは、例えばマスターシ
リンダ圧Pm を所定値P m0と比較し、Pm0以上の急制動
時は、前輪の制動力にヨーレイト偏差εに応じて左右差
をつける制御を実行する(104 〜107)。旋回制動時で、
且つ急制動時はドライバは操舵力変動に対しては緩制動
時のようには敏感でなく鈍感となっていることを利用す
る。たとえ事実上左右差発生で操舵力が変動しても操舵
感の悪化と感じにくい。前輪で制動力差をつけない場
合、好ましくは、後輪を制御して車両挙動を安定させる
(111)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制動力制御装置に関
し、特にヨーレイトをフィードバックして制動時の車両
挙動を制御する制動力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両の制動力を制御する装置として、特
開平 2-70561号公報に開示のヨーレイトフィードバック
制動力制御によるものが知られている。開示された技術
によれば、このものでは、ヨーレイト偏差が生じると前
輪左右の制動力がヨーレイト偏差に応じて調整される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記制御は、こうして
制動力差を発生させることとなるが、車両のブレーキシ
ステムへのその導入にあたり、操舵フィーリングに着目
すると、左右輪の差圧により操舵力が変化することのあ
る場合を見い出したものである。
【0004】この点についての考察した結果に基づけ
ば、例えば、操舵方向と同じ側の操舵輪の制動力が、他
側の操舵輪のそれより大きい関係の状態となる制御時
は、操舵力が軽くなり(後記の考察図11参照)、ドライ
バの操舵感は影響を受け、差の大きさ等如何によっては
悪化することがある。
【0005】例えば、ドライ路で緩制動時に、大きなヨ
ーレイト偏差が生じると(従って、上記制御ではその偏
差に応じた左右差が大きくつく場合となるが)、路面状
態が良く、ドライバは余裕を持った制動を行っており、
操舵力変動に対して敏感な(操舵力変動を感じ取る余裕
がある)時に、前輪の制動力に変動が生じるために、操
舵力が大きく変動し、結果として、ドライバにとって操
舵フィーリングが悪化することになる。
【0006】本発明の目的は、従って、ヨーレイト偏差
に基づく制動力制御を行えるとともに、ドライバにとっ
て操舵フィーリングが悪化するというのを実質的に回避
せしむることもでき、しかも、これを容易に実現し得
る、改良された制動力制御装置を提供しようというもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によって、以下の
制動力制御装置が提供される(図1)。ステアリングホ
イールの操舵角を検出する操舵角検出手段と、車両のヨ
ーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、少なくとも
前記操舵角検出手段の操舵角に基づいて車両の目標ヨー
レイトを算出する目標ヨーレイト算出手段と、該目標ヨ
ーレイトと前記ヨーレイト検出手段により検出されるヨ
ーレイトとの偏差を算出するヨーレイト偏差算出手段
と、車両の急制動時或いは緩制動時を判断する制動状態
判断手段と、該制動状態判断手段が急制動時と判断した
とき、前記ヨーレイト偏差に基づいて前輪左右の制動力
を調整する前輪左右制動力調整手段とを具備する制動力
制御装置、及び上記において、前記制動状態判断手段が
緩制動時と判断したときはヨーレイト偏差に基づいて後
輪の制動力を調整する後輪制動力調整手段を具備する制
動力制御装置、及び車輪回転数を検出し、該車輪回転数
信号に基づいて、各輪の制動力を調整するアンチキッド
装置を有し、前記ヨーレイト偏差に基づいて車輪回転数
信号を補正する車輪回転数補正手段を具備し、これによ
るヨーレイト偏差に基づく制動力調整が可能である制動
力制御装置である。また、車輪回転数を検出し、該車輪
回転数信号に基づいて、各輪の制動力を調整するアンチ
スキッド装置を有し、ステアリングホイールの操舵角を
検出する操舵角検出手段と、車両のヨーレイトを検出す
るヨーレイト検出手段と、少なくとも前記操舵角検出手
段の操舵角に基づいて車両の目標ヨーレイトを算出する
目標ヨーレイト算出手段と、該目標ヨーレイトと前記ヨ
ーレイト検出手段により検出されるヨーレイトとの偏差
を算出するヨーレイト偏差算出手段と、いずれかの車輪
の前記アンチスキッド装置の作動の有無を検出するアン
チスキッド作動検出手段と、アンチスキッドが作動して
いるとき前記ヨーレイト偏差に基づいて前輪左右の制動
力を調整する前輪左右制動力調整手段とを具備する制動
力制御装置、及び上記において、アンチスキッドが作動
していないときはヨーレイト偏差に基づいて後輪の制動
力を調整する後輪制動力調整手段を具備する制動力制御
装置、及び前記ヨーレイト偏差に基づいて車輪回転数信
号を補正する車輪回転数補正手段を具備する制動力制御
装置が提供される。
【0008】
【作用】本発明は、ドライバがステアリングホイールを
操作し車両の制御を行っている旋回制動時において、急
制動時は、ドライバは運転操作、車両挙動自体に注力し
ており、操舵力変動に対しては鈍感になっていること
を、また、アンチスキッドが働くときは低μ路の場合か
または高μ路でも急制動を行っている場合であって、こ
の時は、同様にドライバは操舵力変動に対しては鈍感に
なっていることを、利用するものである。制動力制御装
置は、目標ヨーレイト算出手段が少なくともステアリン
グホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段の検出操
舵角に基づいて車両の目標ヨーレイトを算出し、ヨーレ
イト偏差算出手段がかく算出される目標ヨーレイトとヨ
ーレイト検出手段により検出されるヨーレイトとの偏差
を算出するが、請求項1では、制動状態判断手段より、
車両が急制動時と判断されたとき、前輪左右制動力調整
手段が算出ヨーレイト偏差に基づいて前輪左右の制動力
の調整をする。よって、かかる左右制動力調整で操舵輪
である前輪の制動力に対しヨーレイト偏差に応じた制御
がなされることにより操舵力の変動があっても、それを
感じ取りにくくなっている急制動中に前輪左右の制動力
の調整が行われ、ドライバにとって操舵フィーリングが
悪化するというのを実質的に回避せしむることを可能に
しつつ、ヨーレイト偏差に基づく前輪左右制動力制御に
よって適切な車両回頭性、安定性制御を実現することを
可能ならしめる。この場合において、アンチスキッドの
有無は問わない。請求項4では、車輪回転数を検出し、
該車輪回転数信号に基づいて、各輪の制動力を調整する
アンチスキッド装置を有して、アンチスキッド作動検出
手段がいずれかの車輪のアンチスキッド装置の作動の有
無を検出し、前輪左右制動力調整手段はアンチスキッド
が作動しているとき算出ヨーレイト偏差に基づいて前輪
左右の制動力を調整する。これにより、アンチスキッド
が働くときで、低μ路かまたは高μ路でも急制動を行っ
ている場合のいずれもドライバとしては操舵力変動に関
し鈍感になっている場面を効果的に利用でき、同様にし
て、操舵フィーリング悪化と感じることの実質的回避、
及び車両回頭・安定性制御を実現し得てそれらの両立を
図ることを可能ならしめる。かつまた、この場合におい
ては、アンチスキッドも実行される。請求項2及び請求
項5では、夫々、更に上記に加え、前者では車両が緩制
動時のとき、後者ではアンチスキッドが作動していない
とき、後輪の制動力をヨーレイト偏差に基づいて調整し
得、前輪左右の制動力調整による制御がなされない場合
においても、かかる後輪制動力制御をもって車両挙動を
安定させるよう制動力制御をすることを可能ならしめ
る。請求項3と請求項6の場合は、算出ヨーレイト偏差
に基づいて車輪回転数信号を補正することによりヨーレ
イト偏差に基づく制動力調整を実現させることができ
る。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図2は本
発明の制動力制御装置の一実施例の構成を示す。適用す
る車両は、少なくとも前輪の左右の制動力を独立に制御
可能なものであって、本実施例では前輪は左右の制動力
(制御液圧)を独立に、後輪のそれは左右共通に制御を
できるものとする。
【0010】図中、10,11は左右前輪、12,13は左右後
輪を夫々示す。前2輪10,11はステアリングホイール14
により転舵されて車両を操舵し、後2輪12,13はプロペ
ラシャフト16及びディファレンシャルギヤ17を介しエン
ジン駆動されて車両を走行させる。
【0011】ここで、ブレーキシステム系を説明する
に、18はブレーキペダル、19は倍力装置、20はマスター
シリンダで、マスターシリンダ20からの前輪ブレーキ液
圧(制動液圧)系はアクチュエータ22を経て個々に左右
前輪ホイールシリンダ25,26に至らしめ、マスターシリ
ンダ20からの後輪ブレーキ液圧系はアクチュエータ22を
経て左右後輪ホイールシリンダ23,24へ至らしめる。後
輪制動液圧の共通の供給系には、周知のプロポーショニ
ングバルブ(Pバルブ)27を挿入する。
【0012】アクチュエータ22は、各供給系にアンチス
キッド制御(ABS制御)の用にも供することのできる
液圧制御用の電磁弁を備え、これら電磁弁をもってコン
トロールユニット21からの制御信号(指令)に応じ各輪
のホイールシリンダへ向う制動液圧を制御し、ホイール
シリンダ圧の調圧をなす。各電磁弁には、減圧、保圧
(保持)、増圧制御可能なON・OFF制御型の三位置
電磁弁を用いることができ、減圧位置の時対応液圧を減
圧し、保圧位置の時対応液圧を保持し、増圧位置の時対
応液圧を元圧であるマスターシリンダ液圧P m に向け増
圧するものとする。
【0013】コントロールユニット21には、ステアリン
グホイール(ハンドル)14の操舵角(舵角)θを検出す
る舵角センサ15からの信号、プロペラシャフト16の回転
数を検出する後輪回転センサ28からの回転数信号、左前
輪10の回転数を検出する左前輪回転センサ29からの回転
数信号、右前輪11の回転数を検出する右前輪回転センサ
30からの回転数信号、車両の実ヨーレイト(d/dt) φを
検出するヨーレイトセンサ31からの信号等を入力する。
車輪回転センサからの信号はアンチスキッド制御の他、
ヨーレイト目標値設定のため車速を制御パラメータとし
て適用するときのその車体速(推定車速)の演算にも用
いることができる。
【0014】コントロールユニット21にはまた、マスタ
ーシリンダ液圧Pm を検出するマスターシリンダ圧セン
サ35からの信号、各輪のホイールシリンダ10〜13の液圧
WO〜PW3を検出するホイールシリンダ圧センサ36〜39
からの信号が入力される(なお、4輪の圧力検知センサ
に関しては、本例のように後輪側が共通な場合では、セ
ンサ38とセンサ39のいずれか一方(例えば、左後輪ホイ
ールシリンダ圧PW2を検出するセンサ38)で代表させて
もよい)。
【0015】マスターシリンダ圧センサ35は、制動状態
を判断する制動状態判断手段としても機能させる。制動
状態判断手段としては、他にブレーキペダル18自体に設
けた踏圧センサでもよい。
【0016】液圧センサの出力は、センサ35を含めて、
ホイールシリンダ液圧の目標値を設定し実際のホイール
シリンダ液圧をその目標値に一致させるように(該設定
目標値と実ホイールシリンダ液圧値との差が零になるよ
うに)アクチュエータの電磁弁を作動させて制御をする
場合の制御情報として用いられる。
【0017】アンチスキッド制御については、本例で
は、3チャンネルのABSとなるが、ABS制御はブレ
ーキ液圧指令方式をとるものとし、後述の如くかかる方
式では対応チャンネルにつき、何気圧減圧せしむるべき
かの指令が可能である。
【0018】上記コントロールユニット21は、マイクロ
コンピュータを含み、制動時、ヨーレイトをフィードバ
ックしての制動力制御をもって車両挙動制御を行うが、
基本的には、車両の左右の制動力にヨーレイト偏差に応
じ差を生じさせて車両挙動を制御するのはマスターシリ
ンダ圧力が大きい場合とし、従って、本例ではマスター
シリンダ圧が所定値以上のときのみヨーレイト偏差に基
づいて前輪左右の制動力の調整をする。また、コントロ
ールユニット21は、好ましくは、マスターシリンダ圧が
所定値未満のときはヨーレイト偏差に基づいて後輪の制
動力を調整する。好ましくはまた、マスターシリンダ圧
が所定値より小さくとも、低μ路での制動でABSが作
動しているが如き場合、上記の前輪側の制御を行うよう
にすることができる。
【0019】図3,4は、コントロールユニット21内の
マイクロコンピュータにより実行される上記の前輪左右
の制動力の調整及び後輪の制動力の調整のための処理を
含む制御プログラムの一例を示すフローチャートであ
る。本プログラムは一定時間毎に実行される。
【0020】図3において、まず、ステップ100 では、
各センサからの信号に基づき、左前輪、右前輪、後輪の
車輪回転数信号VFL,VFR,VR ,舵角θ,ヨーレイト
(d/dt) φ,マスターシリンダ液圧Pm 、及び各輪のホ
イールシリンダ液圧PW0, W1,PW2, W3を読込む。
【0021】次のステップ101 では、先に触れたABS
制御(ブレーキ液圧指令方式)のための後述のステップ
106 ( 図4)で適用する各輪の減圧量ΔPW0〜PW3を決
定する。即ち、本例では、ABSは何気圧減圧せよとい
う制御態様で指令が可能であり、推定車体速Vcari と各
輪の回転数VFL,VFR,VR との差により、車輪ロック
を防止するための減圧量を本ステップ実行の都度決定し
ていくことになる。車体の速度の推定は、アンチスキッ
ド制御で通常行われている手法により車輪回転数を用い
て擬似車速を演算で求めることによって行うことができ
る。
【0022】次に、ステップ102 で目標ヨーレイト(d/
dt) φM の算出を行う。ここでは、上記ステップ100 で
読み込んだ舵角θから目標ヨーレイト(d/dt)φM を次
式に従って算出するものとする。
【数1】 (d/dt) φM =G・θ・{1/(1+τS )} ----1 ここに、Gは、ステアリングギア比、ヨー慣性モーメン
トなどの車両諸元及び車速等により決定される定数であ
って、1/(1+τS )はG・θの値に1次おくれを加
えることを示す(なお、τは1次のフィルタの時定数、
Sはラプラス演算子を表す)。上記Gを決定するのに用
いる車速値については、前述の車輪回転数を用いて求め
られた推定車体速値Vcari を適用することができる。
【0023】次いで、ステップ103 で目標ヨーレイト
(d/dt) φM と実ヨーレイト(d/dt)φとの偏差とを、
次式
【数2】 ε=(d/dt) φM −(d/dt) φ ----2 により算出する。
【0024】続くステップ104 ( 図4)において、マス
ターシリンダ圧力Pm が所定値Pm0以上か否かを判断
し、その結果、Yesならステップ105 を経てステップ
106 へ処理を進める一方、Noのときは、本プログラム
例ではステップ111 を経てステップ106 へ処理を進め
る。
【0025】続くステップ104 からステップ105 へ進む
ときは、マスターシリンダ圧Pm が所定値Pm0以上に達
するほどにドライバがブレーキペダルを強く踏んでいて
マスターシリンダ圧が大きい場合であり、該ステップ10
5 では、この場合には、前記算出ヨーレイト偏差εを基
に、前輪左右の制動力に差をつけるべく、その左右のホ
イールシリンダ25,26の液圧に対するヨーレイト偏差ε
に応じた減圧量(ヨーレイトフィードバック制御での目
標減圧量)ΔPWO(M),ΔPW1(M) を、次式に従って決定
する。
【0026】
【数3】ΔPWO(M) = K・ε ----3a ΔPW1(M) =−K・ε ----3b ただし、Kは比例定数 なお、左前輪の減圧量ΔPWO(M) 、右前輪の減圧量ΔP
W1(M) の上式による算出の場合は、ヨーレイト偏差εに
対するフィードバック制御方法としては、いわゆる比例
制御方式を用いることとなるが、これに限らず、微分動
作、積分動作のいずれか一方または両方を加えた制御方
法としてもよい。このようにすると、目標ヨーレイトに
対する車両の実ヨーレイト応答性や安定性をより向上で
きる。
【0027】しかして、続くステップ106 では、マスタ
ーシリンダ圧Pm と、ステップ101での減圧量ΔPWO
ΔPW3と、ステップ105 での減圧量より各輪のホイール
シリンダ圧PO 〜P3 の目標圧PO (S) 〜P3 (S)
を次式に従って決定する。
【数4】前輪左 PO (S) =Pm −ΔPWO−ΔPWO(M) ----4a 前輪右 P1 (S) =Pm −ΔPW1−ΔPW1(M) ----4b 後輪左 P2 (S) =Pm −ΔPW2−ΔPW2(M) ----4c 後輪右 P3 (S) =Pm −ΔPW3−ΔPW3(M) ----4d なお、上記式4c,4dの右辺第3項は、処理がステッ
プ111 側を経るとき設定される後輪側についてのヨーレ
イト偏差に応じた減圧量であって、ステップ105 を経る
場合は、それらには値0を適用して、P2 (S) ,P3
(S) 値の算出をする。また、4a〜4dの夫々の右辺
第2項は、ABS制御での減圧量であり、該当するとき
は、それらも加味されて目標ホイールシリンダ圧値PO
(S) 〜P3 (S) の算出がなされる。
【0028】ステップ106 で上述のようにして目標圧を
設定した後、ステップ107 において、各輪のホイールシ
リンダ液圧を夫々目標液圧となるように制動力制御を実
行する。
【0029】一方、上記に対しマスターシリンダ圧Pm
がPm0に満たずに小さいときは、前記ステップ105 の処
理はこれを実行せず(従って、前輪の制動力にヨーレイ
ト偏差εに基づく左右差はつけず)、ステップ111 へ進
んで、ここで、算出ヨーレイト偏差εに応じた後2輪の
ホイールシリンダ23,24の液圧量ΔPW2(M) ,ΔPW3
(M) を、次式に従って決定する。
【数5】 ΔPW2(M) ( =ΔPW3(M) ) =|L・ε| ----5 ただし、Lは比例定数 しかして、前記ステップ106, 107を実行するものであ
る。この場合は、前記式4a,4bの右辺第3項には夫
々値0が設定され、式4c,4dの同3項としてはとも
に式5で算出された|L・ε|値が適用されて、制御が
実行されていくことになる。
【0030】以上のような制御の実行により、マスター
シリンダ圧Pm が所定値Pm0以上の急制動中は前輪の制
動力に左右差はつけられて、これによる回頭・安定性向
上制御が適切に行える上に、緩・急の制動域の全体を通
して、実質的に、操舵フィーリングの悪化が回避され
る。急制動時は、ドライバの感性として操舵力変動に関
して鈍感である。即ち、急制動を行っていると、そのと
きドライバは運転操作、車両挙動自体に注力しており、
操舵輪である前輪左右に、制動力差がヨーレイト偏差に
応じて生成せしめられることが原因で操舵力に変化があ
っても、その操舵力変動に対しては、緩制動時の場合の
ようには敏感ではなく、鈍感になっているのである。従
って、本制御では、このように鈍感になっていることを
巧みに利用し、マスターシリンダ圧P m が所定値Pm0
満の小さな緩制動中は前輪の制動力に操舵力変動の要因
となる左右差をつけることは禁止する一方で、結果的に
ドライバにとって操舵力変動を感じ取りにくくなる急制
動中には上述の前輪側による左右制動力差制御で車両挙
動の制御を行えるようにすることとしたものであり、そ
れらを巧みに両立させることができる。
【0031】更に、本プログラム例の場合は、上記のよ
うに前輪で制動力差をつけない場合は、後輪制動力を制
御して車両挙動を安定させるようヨーレイトフィードバ
ックで制動力制御を行うことができる。即ち、後2輪の
ホイールシリンダ圧を減圧し、制動力を下げることで車
両の安定性を高めることができ(緩制動のときは、一般
に車両はオーバーステア傾向になり、よって、安定方向
の制御は有用である)、従って、かかる後輪側制御も組
み合わせたときは、上記両立を更に高度に実現させるこ
とができる。
【0032】次に、本発明の他の例について説明する。
図5は左右前輪10,11を個々にアンチスキッド制御し、
左右後輪12,13を共通にアンチスキッド制御するように
した例を示す。同様に、前2輪10,11はステアリングホ
イール14により転舵されて車両を操舵し、後2輪12,13
はプロペラシャフト16及びディファレンシャルギヤ17を
介しエンジン駆動されて車両を走行させる。かかる車両
のブレーキシステムでは、ブレーキペダル18の踏込力に
応じたマスターシリンダ20からのマスターシリンダ液圧
m は、コントロールユニット21と共にアンチスキッド
装置を構成するアクチュエータ22に供給する。アクチュ
エータ22はコントロールユニット21による後述の制御下
でアンチスキッド作動時、マスターシリンダ液圧Pm
一方を後輪12,13がロックしないよう調圧しつつ夫々の
ホイールシリンダ23,24に共通の後輪制動液圧(ブレー
キ液圧)として供給し、マスターシリンダ液圧Pm の他
方を前輪10,11がロックしないよう個々に調圧しつつ夫
々のホイールシリンダ25,26に個々の前輪制動液圧(ブ
レーキ液圧)として供給する。同様に、後輪制動液圧の
供給系には周知のプロポーショニングバルブ(Pバル
ブ)27を挿入する。アクチュエータ22は各供給系に液圧
制御用の電磁弁を備え、これら電磁弁をもってコントロ
ールユニット21からの制動液圧制御信号に応じ制動液圧
を個々に制御し、ホイールシリンダ圧の調圧をなす。各
電磁弁は、既知のアンチスキッド制御(ABS制御)用
の減圧、保圧(保持)、増圧制御可能なON・OFF制
御型の三位置電磁弁を使用し、減圧位置の時対応液圧を
減圧し、保圧位置の時対応液圧を保持し、増圧位置の時
対応液圧を元圧であるマスターシリンダ液圧Pm に向け
増圧するものとする。
【0033】コントロールユニット21には、後輪回転セ
ンサ28,左前輪回転センサ29,及び右前輪回転センサ30
からの回転数信号を入力すると共に、舵角センサ15から
の信号、ヨーレイトセンサ31からの信号、マスターシリ
ンダ圧センサ35からの信号等を入力する。
【0034】コントロールユニット21はマイクロコンピ
ュータを含み、基本的には、上記の回転センサからの入
力情報を基にアンチスキッド制御を行う(車輪回転数を
検出し、該車輪回転数信号に基づいて、各輪の制動力を
調整する)が、いずれかの車輪のアンチスキッド装置の
作動の有無を検出し、アンチスキッド装置が作動してい
るときのみヨーレイト偏差に基づいて前輪左右の制動力
を調整する。好ましくは、その場合、本実施例では、ア
ンチスキッド制御に用いる車輪回転数についての、目標
ヨーレイトと実際のヨーレイトとの偏差に応じた補正を
行うことによって、これを行う。アンチスキッド制御に
ついては、本装置では、車輪の回転減速度を制御パラメ
ータとするもので、車輪回転数を検出し、少なくとも車
輪回転数信号から算出される車輪回転減速度と基準回転
減速度との比較に基づいて、各車輪の制動力の調整をす
る方式による。具体的には、車輪回転数によりスリップ
率と車輪回転減速度とを算出してそれらを各基準値と比
較することにより、車輪の制動力を調整するものである
ところ、少なくとも操舵角に基づいて算出される目標ヨ
ーレイトと実際のヨーレイトとの偏差に基づいて、前輪
左右の制動力を調整するべく、車輪回転数信号の方を左
右前輪10,11で各々補正する。即ち、本実施例では、車
輪回転センサ29,30による回転数信号自体を補正する。
【0035】図6に示すものは、かかる制御のための図
5に示した実施例システムでの機能の概要をブロックと
して表したものである。制御装置は、車輪回転数検出手
段40aと、操舵角検出手段40bと、ヨーレイト検出手段
40cと、マスターシリンダ圧力検出手段40dと、目標ヨ
ーレイト算出手段40eと、ヨーレイト偏差算出手段40f
の他、マスターシリンダ圧力検出手段40dの検出マスタ
ーシリンダ圧が大きいときはヨーレイト偏差算出手段40
fの算出ヨーレイト偏差に応じて前輪左右の車輪回転数
信号を補正し、検出マスターシリンダ圧が小さいときは
この補正を行わない車輪回転数信号補正手段40gを含
む。
【0036】各検出手段40a〜40dは、該当するセンサ
及びコントロールユニット21の一部を含んで構成され
る。ここに、マスターシリンダ圧力検出手段40dは、前
記実施例と同様に直接的には踏力を検出する手段として
作用させることができるものであるが、間接的にはこれ
によってABSの作動の有無をみるようにするのに用い
ることができる。もっとも、これに代え、またはこれと
ともにABS作動中かを他の所定パラメータを使用して
判断する手法を用いてもよい。目標ヨーレイト算出手段
40e,ヨーレイト偏差算出手段40f、及び上記車輪回転
数信号補正手段40gは、図5のコントロールユニット21
により構成される。
【0037】上記において、マスターシリンダ圧が小
(緩制動時)で、従ってそれによってはABS非作動と
みなすこととする場合、前輪左右の車輪回転数信号に関
する上記補正は行われない結果、前輪左右制動力の調整
はなされないが、その場合、好ましくは、装置は、その
ようにアンチスキッドが作動していないときは、ヨーレ
イト偏差に基づいて前記実施例と同様、後輪の制動力の
調整をする。かかる後輪制動力の調整については、好ま
しくは、ヨーレイト偏差に基づいて後輪の車輪回転数信
号を補正することによって行う。
【0038】図7,8は図5のコントロールユニット21
内のマイクロコンピュータにより実行される上記の車輪
回転数補正処理を含む制御プログラムの一例を示すフロ
ーチャートである。本プログラムも一定時間毎に実行さ
れる。
【0039】図7において、まず、ステップ200 では、
各センサからの信号に基づき、左前輪、右前輪、後輪の
車輪回転数信号VFL,VFR,VR 及び舵角θ,ヨーレイ
ト(d/dt)φ,マスターシリンダ液圧Pm を読込む。次
に、ステップ201 及び202 において、前記プログラムと
同様、目標ヨーレイト(d/dt)φM ,目標ヨーレイト(d/d
t)φとの偏差εを、夫々前記式1及び2により算出す
る。ヨーレイト偏差εは、後述のステップ205, 214の処
理において、センサで実際に検出されている車輪回転数
の値を該当する輪で補正するのに適用される。
【0040】続くステップ203 で(図8)前記プログラ
ムと同様、マスターシリンダ圧力P m が所定値Pm0以上
か否かを判断する。本プログラム例では、上記判別の結
果、Yes(即ち、Pm 大)なら更にステップ204 によ
るABS作動中か否かの判別を行い、No(即ち、Pm
小)ならステップ211 以降へ処理を進める。
【0041】ステップ204 でのABS作動中かの判断に
ついては、例えば、次のような内容の処理とすることが
できる。即ち、ABS作動開始は、いずれかの車輪の減
速度が所定値(d/dt) V0 以下(例えば、− 1.2G以
下)となったときに作動開始と判断し、また作動終了に
ついては、増圧指令が所定時間(例えば、3秒)連続し
たときにABS作動終了と判断するものとする。しかし
て、ステップ204 の答もYesの場合はステップ205
へ、Noのときはステップ211 へ進む。
【0042】ステップ205 は、アンチスキッドシステム
を利用することによって行うヨーレイト偏差とに基づく
前輪左右の制動力差生成のための演算処理である。
【0043】即ち、ステップ205 では、本ステップ実行
毎、前記ステップ200 で読み込んだ車輪回転数信号の補
正をする。ここでは、下記に基づき、前記ステップ202
にて算出した偏差εに比例定数K1 を乗算した値を、補
正値として左右の前輪の車輪回転数信号VFL,VFRに適
用することによってこれを行う。なお、後輪側は、車輪
回転数信号VR そのままとする。
【数6】VFL←VFL+K1 ・ε ----6a VFR←VFR−K1 ・ε ----6b VR ←VR ----6c 但し、補正後の値は補正前の値を越えないものとする。
これは、回転数が回復したとして液圧が上昇しすぎて新
たなロックを引き起こすことを防ぐためである。なお、
この場合にもABSが作動するからロックには至らない
ため、上記の処理に限らず、補正後の値が補正前の値よ
り大きくなることがあるようにしてもよい。
【0044】次に、ステップ206 では、ステップ205 か
ら進んだ場合は、前輪左右については上記ステップ205
で補正された車輪回転数信号を基にして、また後輪につ
いてはステップ200 で読み込んだ車輪回転数信号を基に
して、各輪毎にスリップ率λ i ,車輪回転減速度(d/d
t) Vi を算出する。
【0045】しかして、ステップ207 において、本ステ
ップ実行毎、上記ステップ206 にて算出されたスリップ
率λi と車輪回転減速度(d/dt) Vi を例えば図9のA
BSの制御表にあてはめて各輪毎にホイールシリンダ圧
力の増圧、保持、減圧を決定し、制動力を調整する。同
図において、夫々設定された基準スリップ率、基準車輪
回転減速度でパターンが定められ、ステップ206 で算出
されたスリップ率λi と車輪回転減速度(d/dt) Vi
その各基準値と比較することにより、かかる制御表の制
御パターンに従って制動力を調整するABS制御が実行
されることになる。即ち、制動時、該当する車輪につ
き、算出した車輪回転減速度(d/dt) Vが基準車輪回転
減速度を越えるとロック傾向とみて対応するホイールシ
リンダ液圧を保持し、なおもロックしそうなら減圧し、
車輪回転数が回復すれば増圧するようスキッドサイクル
繰り返されるように制動力が制御されることになる。
【0046】上述のような制御により、ステップ205 を
経てステップ206, 207の処理が実行されていくときは、
ヨーレイト偏差とが生じると、それに基づき、目標ヨー
レイト(d/dt) φM に対し実ヨーレイト(d/dt) φが下
回っている状態(車両回答性不足で、回頭性を向上させ
るべき状態)、あるいは実ヨーレイト(d/dt) φが上回
っている状態(回頭性過剰で、安定性を向上させるべき
状態)に対応して、前2輪のうち該当する一方の輪側の
車輪回転数信号はセンサ値より小さな値をとるよう補正
をされてその車輪回転減速度が算出され、ABSの制御
表に適用されていく(他方の輪側は、センサ値そのまま
が制御に適用されていく)結果、旋回制動時、前輪の制
動力にヨーレイト偏差に応じた左右差を発生させる状態
でABS制御(ヨーレイトフィードバックABS)が行
われることとなる(図10,11参照)。なお、図10は本制
御により前輪制動力に右左をつける場合の原理説明図
で、前輪ホイールシリンダ圧における斜線の部分に応じ
て左右差がつくことを意味する。このようにして、本プ
ログラム例では、マスターシリンダ圧Pm が所定値Pm0
以上に大きく、ABS作動中のときのみ、前輪左右の制
動力に差をつけ、その左右制動力差による回頭・安定性
向上のための車両挙動制御も行うことができる。
【0047】上記は、次のようなことを意味する。図11
をみると、これは、左切りの場合における制御例で、同
図(a) は右前輪11の制動力が減少して、左回りのモーメ
ントが増加し、ステアリングホイール14を左に切ったと
きの回頭性が増すケースを示し、同図(b) はその逆で左
前輪10の制動力が減少するよう差をつけられて安定方向
の制御となるケースを示すものであるが、前者(a) の如
くに前輪左右制動力差を生じさせるなら、ドライバによ
る左操舵に対し、該制動力差により発生する力は同じ方
向で、操舵力は軽くなるときであり、後者(b) の如くの
関係で制動力差を生じさせるなら、その制動力差により
発生する力は操舵方向に対し逆方向で、その分操舵力は
重くなるときである。
【0048】このように操舵力は変動することとなり、
もし、路面状態が良く、ドライバが余裕を持った制動を
行っていて、操舵力変動を感じ取る余裕があるときに、
ハンドルをにぎっているドライバが上記のような操舵力
の変動に接したなら、ドライバの操舵感はその影響を受
けるところ、ABSが働くときというのは、概ね急制動
を行なっている場合であり、ドライバは運転操作及び車
両挙動自体に注力しており、前記実施例でも触れたよう
に、そのときは操舵力変動に対しては鈍感になっている
ので、このことを利用するようにしたのが本制御であ
る。従って、前記実施例の場合と同様の作用効果が得ら
れるのである。
【0049】図8に戻り、ステップ203 での判断の結
果、マスターシリンダ圧Pm が所定値Pm0より小さいと
きは、ステップ205 によるヨーレイト偏差εに応じての
前輪左右の車輪回転数信号VFL, FRの補正は行わず、
従って、前記実施例と同様、マスターシリンダ圧が小さ
い緩制動中は前輪の制動力に左右差はつけない。これに
より、前記実施例と同様、例えばドライ路(路面状態が
良い)で緩制動時に、たとえ大きなヨーレイト偏差が生
じたとしても、即ち操舵力変動に対して敏感である(操
舵力変動を感じ取る余裕がある)時に大きなヨーレイト
偏差が生じても、操舵輪である前輪の制動力に変動が生
じることはなく、よって操舵力が大きく変動することも
なく、ドライバにとって操舵フィーリングが悪化するこ
ともない。
【0050】本プログラム例では、上記の場合には、直
ちにステップ206 へスキップはせず、ステップ211 〜21
4 を設けてあり、ステップ211 へ進んで、車両の安定性
を高めるべきかどうかを判断する。即ち、目標ヨーレイ
ト(d/dt)φM が実ヨーレイト(d/dt)φより大きければ車
両の回頭性を高めるべきだし、その逆であれば車両の安
定性を高めるべきである。但し、この判断には、舵角θ
の向きを考慮する必要があり、操舵の切り返しが検出さ
れた場合には、判断を逆転させる。
【0051】いずれにせよ、車両の安定性を高めるべき
ときは、ステップ212 にて、続くステップ214 において
後輪の車輪回転数の値(センサ値)をヨーレイト偏差ε
に応じて補正するのに用いる比例定数L1 を決定し、然
らざるときはステップ213 でL1 を値0に設定して、ス
テップ214 へ進む。
【0052】ステップ214 では、下記に基づき、前輪左
右の車輪回転数信号VFL,VFRはセンサ値をそのまま適
用する一方、後輪の車輪回転数信号VR の補正をする。
【数7】VFL←VFL ----7a VFR←VFR ----7b VR ←VR −|L1 ・ε| ----7c しかして、ステップ206, 207を実行するのである。
【0053】以上により、ステップ214 を経てステップ
206, 207の処理が実行されていくときは、ステップ211
での判断に応じ、後輪の車輪回転数信号が|L1 ・ε|
分だけ小さくなるよう補正されて、結果として後輪のホ
イールシリンダ圧を小さくして、車両の安定性を高める
ことができる。即ち、ステップ214 では、後輪の回転数
を小さくする(式7c)。ステップ206 では上記に基づ
き車輪減速度を算出する。ここで、後輪車輪回転数信号
R はステップ214 で小さい値にされているため、ステ
ップ206 で算出される(d/dt)VR は、あたかもロック
しそうな減速度が算出されるので、ステップ207 で減速
度に応じて後輪の減圧が行われるのである。
【0054】このようにして、本プログラム例でも、前
輪で制動力差をつけない場合には、後輪側を制御して車
両挙動を安定させることができ、前記実施例と同様の作
用効果が得られる。
【0055】また、本プログラム例では、マスターシリ
ンダ圧Pm が所定値Pm0以上に大きくても、ABS作動
中かの判別ステップ204 でNoの答が得られるときは、
処理を前記ステップ211 以降へ進めることができ、より
きめ細かく領域を設定して適切な制御を行わせることが
できる。
【0056】更に、前輪左右の制動力の調整(あるいは
後輪制動力の調整)を行うのに、車輪回転数信号の補正
によって行う本例に従えば、以下のような利点も併せ得
られる。
【0057】即ち、ヨーレイト偏差εに基づいて前左右
輪の車輪回転数信号VFL,VFRを補正し、その補正され
た車輪回転数信号に基づいてABS制御を行わせること
ができ、偏差εの発生状態が急激なときにはそれに応じ
て早めにABSを作動させることができる。本実施例で
は、上記した如く、V←V±K1 ・ε(式6a,6b)
にて補正された車輪回転数信号の(d/dt) V値(車輪回
転減速度)を算出することとなるため、(d/dt) V←
(d/dt) V±K1 ・(d/dt) εであるから偏差εの変化
率である(d/dt) εが車輪回転数信号に反映されること
となり、早期に保持領域に入るため、ABS ONの応
答性が向上し、ヨーレイトフィードバックABSにより
前輪制動力に左右差を発生させるようにして旋回制動時
の車両挙動を制御する車両挙動制御の応答性も高まる。
【0058】なお、本制御は、基準車輪回転減速度の値
を単にヨーレイト偏差εで変更する技術とは異なるもの
であるので、これについて付言しておくと、次のようで
ある。即ち、かかる場合は、基準値を(d/dt) Vs とす
ると、これを、
【数8】 (d/dt) Vs ←(d/dt) Vs −K1 ・ε ----8 の如くに変更することになる。一方、本実施例制御で
は、車輪回転数信号V(=VFL,VFR)を補正するのだ
から、例えば、
【数9】V←V−K1 ・ε ----9 ∴(d/dt) V←(d/dt) V−K1 ・(d/dt) ε ----9 である。よって、(d/dt) Vs を上記式8のように(d/
dt) Vs −K1 ・εに変更するのではなく、(d/dt) V
s を(d/dt) Vs −K1 ・(d/dt) εに変更するのに等
しい。従って、(d/dt) εが反映されない式8のような
変更とは、実質的にも同じではない。
【0059】更に、本実施例に従えば、車輪回転数信号
自体を補正し、これがもともと行われる微分演算処理
(ステップ206 における(d/dt) Vi 値算出処理)によ
り(d/dt) Vとされることでヨーレイト偏差εの変化率
(d/dt) εが反映されることになるため、偏差εの発生
状態の急激さをヨーレイトフィードバックABSの作動
に反映させようとするにあたり、プログラム上、新たに
εを微分演算処理して(d/dt) ε値を求める必要がない
ため、演算処理が簡易であるという利点がある。車両挙
動制御が、前述した如くに早期にABSが作動する結
果、応答性良く遅れなく開始され、前輪制動力に左右差
を出すタイミングは早いものとなり、かつ、プログラム
上、別途ヨーレイト偏差ε値を微分演算処理して(d/d
t) ε値を求めることなく、上記を実現できるのであ
る。また、ヨーレイトフィードバックABSにより前輪
制動力に左右差を発生させるようにして旋回制動時の車
両挙動を制御する場合にその車両挙動制御の応答性を高
められると、ヨーレイト偏差εを低減するよう前輪左右
差圧を制御することができ、実際の発生ヨーレイト(d/
dt) φが目標ヨーレイト(d/dt) φM によく追従し目標
値に一致させることができる。
【0060】また、前記実施例との比較でいえば、この
ものの場合は、ホイールシリンダ圧を検出するセンサを
用いたのに対し、本制御では、そのような圧力センサを
用いることもなく、目標圧力を求めないABS装置を利
用して上記のような車両挙動制御を適切に行わせること
ができる。
【0061】更に、本制御によると、低μ路での制動路
の場合だけではなく、スリップ率が初期には小さくと
も、車輪の変動率が大きい(例えば、ドライ路での急制
動)ような場合にも、ヨーレイト偏差の発生状態の急激
さに合わせて早期にABSがONしヨーレイトフィード
バック制御による上記車両挙動制御の作動が遅れなく開
始され、そのような場合の応答性向上の効果もあげられ
る。
【0062】なお、上記では車輪回転数信号自体を補正
することで制動力を調整するようにしたが、これに限ら
ず、例えば、ヨーレイト偏差εの微分値(d/dt) εを別
途算出し、該(d/dt) ε値に基づいて基準車輪減速度
(d/dt) Vs を前輪の左右輪側各々の補正する(後輪制
御を組み合わせるときは、その方も同様な方法で補正を
する)ようにしてもよい。即ち、前輪側なら、
【数10】 (d/dt) Vs ←(d/dt) Vs ±K1 ・(d/dt) ε ----10 で補正して左右の制動力を調整してもよく、この場合
も、(d/dt) εを制御に反映させることができる。
【0063】なお、上記各実施例において、前輪で制動
力差をつけない領域においてなされる後輪側を制御対象
車輪とする車両挙動のための制動力制御は、基本的に
は、マスターシリンダ圧Pm が小さい(Pm <Pm0)緩
制動のときで、安定方向の制御としたが、これは、先に
も触れたように、緩制動のときは一般に車両はオーバー
ステア傾向になることに鑑みたもので、そのため安定方
向の制御のみ行うものとすることとしたものである。
【0064】一般に、低μ路では減速度が出にくいた
め、ドライバはブレーキペダルを強く踏む傾向にあるこ
とから、上記の例でも充分であるが、更に良い制御を望
むなら、低μ路にてマスターシリンダ圧力が小さくても
ABSが作動している場合は既述した前輪制御を行う方
式としてもよい。
【0065】例えば図12のような処理を更に加味し、補
正前の車輪回転数からABSを作動すべきであると判断
された場合は、マスターシリンダ圧Pm が所定値Pm0
り小さくとも前輪左右制動力制御系処理へもどして前輪
による回頭・安定性向上制御を行うようにすることもで
きる。
【0066】ABSが働く時は、低μ路かまたは高μ路
でも急制動を行っている場合であり、いずれもドライバ
は運転操作、車両挙動自体に注力しており、操舵力変動
に対しては鈍感になっていることを利用することが、こ
の場合でもできる。
【0067】上記は、第1実施例では、マスターシリン
ダ圧小でも図4のステップ105 へ戻すようにして実施し
得、上記低μ路での制動に関しての利用態様を実現する
ことができる。
【0068】また、ABSシステムを搭載してあって
も、ABSに関係なく、急制動なら、急制動時は同様に
操舵力変動に関し鈍感であるので、この関係を利用する
態様でも本発明は実施できるものである。
【0069】また、ABSの作動の有無を、間接的に、
マスターシリンダ圧小のときはABS非作動、マスター
シリンダ圧大のときはABS作動とみなすようにして、
簡便な態様で本発明は実施することもできる。もっと
も、これに代え、または第2実施例の如くこれとともに
例えば4輪のうちいずれかに、減圧または保持信号が発
生した時点でABS作動と判断するようにしてもよいの
は勿論である。
【0070】また、車両の制動状態を判断し、急制動時
と判断したときヨーレイト偏差に基づいて前輪左右の制
動力の調整をし、または緩制動時と判断したときは上記
に加えヨーレイト偏差に基づいて後輪の制動力の調整を
する場合において、それらヨーレイト偏差に基づく制動
力調整を、前述で説明した車輪回転数信号補正処理で行
う態様で本発明は実施することができる。この場合にお
いても、当該処理に基づく利点は得られるものである。
【0071】本発明は、上記の各例に限定されない。例
えば、本発明は4チャンネルの制動力制御にも適用でき
る。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、車両の旋回制動時、ド
ライバにとって操舵フィーリングが悪化するというのを
実質的に回避しつつ、ヨーレイト偏差に基づく前輪左右
制動力制御による回頭性、安定性制御を実現することが
できる。また、請求項2,4の発明によれば、これに加
えて、操舵輪の前輪左右の制動力調整がなされないとき
はヨーレイト偏差に基づき後輪制動力の調整を行い、こ
れにより車両挙動を安定させるように制御することがで
き、より適切なものとなる。更に、請求項3,6の発明
によれば、ヨーレイト偏差に基づいて車輪回転数信号を
補正することにより制動力調整をすることができ、アン
チスキッド制御での演算処理を有効に活用して上記を達
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明制御装置の概念図である。
【図2】本発明装置の一実施例を示すシステム図であ
る。
【図3】同例におけるコントロールユニットの制御プロ
グラムの一例を示すものにして、その一部のフローチャ
ートである。
【図4】同じく、他の一部のフローチャートである。
【図5】本発明装置の他の実施例を示すシステム図であ
る。
【図6】同例での制御内容の一例を表す機能ブロック図
である。
【図7】同じく、同例におけるコントロールユニットの
制御プログラムの一例を示すものにして、その一部のフ
ローチャートである。
【図8】同じく、他の一部のフローチャートである。
【図9】車輪回転減速度を制御パラメータとして含むア
ンチスキッドの制御パターンの一例を示す図である。
【図10】車輪回転数信号の補正による前輪左右制動力
差生成の原理説明に供するタイムチャートである。
【図11】前車輪制動力差により発生する操舵力変化の
説明に供する図(考察図)である。
【図12】本発明の更に他の実施例に係る制御プログラ
ムの一部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10,11 前輪 12,13 後輪 14 ステアリングホイール 15 舵角センサ 18 ブレーキペダル 20 マスターシリンダ 21 コントロールユニット 22 アクチュエータ 23〜26 ホイールシリンダ 28 後輪回転センサ 29 左前輪回転センサ 30 右前輪回転センサ 31 ヨーレイトセンサ 32 ブレーキスイッチ 35 マスターシリンダ液圧センサ 36〜39 ホイールシリンダ液圧センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸古 直樹 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリングホイールの操舵角を検出す
    る操舵角検出手段と、 車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、 少なくとも前記操舵角検出手段の操舵角に基づいて車両
    の目標ヨーレイトを算出する目標ヨーレイト算出手段
    と、 該目標ヨーレイトと前記ヨーレイト検出手段により検出
    されるヨーレイトとの偏差を算出するヨーレイト偏差算
    出手段と、 車両の急制動時或いは緩制動時を判断する制動状態判断
    手段と、 該制動状態判断手段が急制動時と判断したとき、前記ヨ
    ーレイト偏差に基づいて前輪左右の制動力を調整する前
    輪左右制動力調整手段とを具備することを特徴とする制
    動両制御装置。
  2. 【請求項2】 前記制動状態判断手段が緩制動時と判断
    したときはヨーレイト偏差に基づいて後輪の制動力を調
    整する後輪制動力調整手段を具備することを特徴とする
    請求項1記載の制動力制御装置。
  3. 【請求項3】 車輪回転数を検出し、該車輪回転数信号
    に基づいて、各輪の制動力を調整するアンチキッド装置
    を有し、 前記ヨーレイト偏差に基づいて車輪回転数信号を補正す
    る車輪回転数補正手段を具備し、これによるヨーレイト
    偏差に基づく制動力調整が可能であることを特徴とする
    請求項1または請求項2記載の制動力制御装置。
  4. 【請求項4】 車輪回転数を検出し、該車輪回転数信号
    に基づいて、各輪の制動力を調整するアンチスキッド装
    置を有し、 ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手
    段と、 車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、 少なくとも前記操舵角検出手段の操舵角に基づいて車両
    の目標ヨーレイトを算出する目標ヨーレイト算出手段
    と、 該目標ヨーレイトと前記ヨーレイト検出手段により検出
    されるヨーレイトとの偏差を算出するヨーレイト偏差算
    出手段と、 いずれかの車輪の前記アンチスキッド装置の作動の有無
    を検出するアンチスキッド作動検出手段と、 アンチスキッドが作動しているとき前記ヨーレイト偏差
    に基づいて前輪左右の制動力を調整する前輪左右制動力
    調整手段とを具備することを特徴とする制動力制御装
    置。
  5. 【請求項5】 アンチスキッドが作動していないときは
    ヨーレイト偏差に基づいて後輪の制動力を調整する後輪
    制動力調整手段を具備することを特徴とする請求項4記
    載の制動力制御装置。
  6. 【請求項6】 前記ヨーレイト偏差に基づいて車輪回転
    数信号を補正する車輪回転数補正手段を具備することを
    特徴とする請求項4または請求項5記載の制動力制御装
    置。
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