JPH0623453Y2 - 車両におけるガラス板下辺部の取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、ウインドシールドガラス等のガラス板を、
接着性シール剤を介してボデーに貼り付けた車両におけ
るガラス板下辺部の取付構造に関する。

（従来の技術とその課題） 近年、車両用ワイパのピボットをウインドシールドガラ
スに貫通配置したワンボックスカーが提案されており、
この種のワンボックスカーの一例を第５図に示す。同図
に示すように、このワンボックスカー１は、ボデーパネ
ル２に接着剤によりウインドシールドガラス３が貼り付
けられ、このウインドシールドガラス３の下辺部に設け
られたワイパピボット挿通用切欠４にワイパピボット５
が貫通して取付けられている。

ところで、このようなワンボックスカー１では、ウイン
ドシールドガラス３をボデーパネル２へ接着剤により貼
り付けるにあたり、接着剤が硬化するまでの間、ウイン
ドシールドガラス３が自重により下方へ位置ずれするの
を規制するためにストッパが設けられる。このストッパ
はボデーパネル２のウインドシールドガラス３の下辺に
対応する位置にビス等の固着具により取付けられ、その
ストッパの一部でウインドシールドガラス３の下端部を
係止できるように構成される。

しかしながら、そのような構造では、ボデーパネル２に
上記ストッパを取付けるためのビス穴等の固着具挿通穴
を形成する必要があり、ウインドシールドガラス３の下
端部とボデーパネル２との隙間を通った雨水等が上記固
着具挿通穴を介して車内に浸入したり、ビス等の固着具
周辺にさびが発生したりするという問題があった。

（考案の目的） この考案は、上記従来技術の問題を解消し、車内に水が
浸入せず、しかもさびも発生しないガラス板下辺部の取
付構造を提供することを目的とする。

（目的を達成するための手段） この考案は、ガラス板の下辺部と対応するボデーパネル
の縁部領域を車内側に凹ませてガラス板取付領域を形成
し、断面概略Ｌ字状のストッパを、その縦片が横片より
も下方に位置するようにしながら、その横片を貫通する
固着具により前記ガラス板取付領域に取付け、ガラス板
の下端部を前記ストッパの縦片に係止させながら、前記
ガラス板をの裏面下部に沿って配設された接着性シール
剤により前記ガラス板取付領域へ貼り付けた車両におけ
るガラス板下辺部の取付構造であって、上記目的を達成
するため、前記接着性シール剤を前記ストッパの縦片と
前記固着具との間に通している。

（実施例） 第１図はこの考案の一実施例であるガラス板下辺部の取
付構造が適用された車両の前部斜視図である。同図に示
すように、車両の前部ボデーパネル６に接着剤を介して
貼り付けられるウインドシールドガラス７には、その下
辺部に２個のワイパピボット挿通用切欠７ａ，７ｂが形
成され、更にこれらワイパピボット挿通用切欠７ａ，７
ａを含めてウインドシールドガラス７の下端部とボデー
パネル６との隙間を隠蔽するために、その隙間にモール
部材８が取付けられる。そして、ウインドシールドガラ
ス７をボデーパネル６に貼り付けるに当たり、接着剤が
硬化するまでの間、ウインドシールドガラス７が自重に
より下方へ位置ずれするのを規制するために、ウインド
シールドガラス７の下辺部の裏面側における２ケ所にこ
の考案の一実施例であるガラス板下辺部の取付構造Ａ，
Ａが適用される。

第２図はこの考案の一実施例であるガラス板下辺部の取
付構造Ａを示す断面図であって、第１図のII-II線に沿
った断面に相当する。同図に示すように、ボデーパネル
６の縁部領域が車内側へ凹陥形成されてガラス板取付領
域６ａが形成され、このガラス板取付領域６ａに略Ｚ状
のストッパ９が設けられる。

第３図はストッパ９の斜視図、第４図は第３図のストッ
パ９を反転させた斜視図である。両図に示すように、ス
トッパ９は、横片１０，縦片１１およびモール取付片１
２とで構成されており、モール取付片１２にはモール取
付穴１２ａが形成される。また、横片１０の先端には、
ポリアミド等の樹脂で構成される取付部材１３が取付け
られる。取付部材１３には、その上面側にねじ取付凹部
１３ａが形成されるとともに、ねじ取付凹部１３ａの底
部から取付部材１３の裏面にかけてねじ穴１３ｂが形成
される。一方、第４図に示すように取付部材１３の裏面
側における上記ねじ穴１３ｂの周縁部には２本の係合片
１３ｃ，１３ｃが対向するように突設されており、ねじ
１４等の固着具（第２図参照）を取付部材１３の上面側
よりねじ穴１３ｂに螺合してねじ１４の挿入側端部を係
合片１３ｃ，１３ｃ間に圧入させると、そのねじ１４の
挿入側端部で係合片１３ｃ，１３ｃが外側へ押し広げら
れるように構成されている。

一方、第２図に示すように、ガラス板取付領域６ａには
上記ストッパ９の取付部材１３に対応してストッパ取付
穴６ｂが形成される。そして、ストッパ９のモール取付
片１２を横片１０よりも下方に位置させながら、ストッ
パ９の横片１０の裏面側に両面粘着テープ１４ａを配
し、更に取付部材１３の係合片１３ｃ，１３ｃをガラス
板取付領域６ａのストッパ取付穴６ｂへ臨ませ、取付部
材１３を車外側から車内側へ押し込む。これにより、ま
ず取付部材１３の係合片１３ｃ，１３ｃが内側へ撓みな
がらストッパ取付穴６ｂを通り抜ける。その後、ねじ１
４を取付部材１３の上面側よりねじ穴１３ｂへ螺合させ
ることにより、前述したように係合片１３ｃ，１３ｃが
外側へ押し広げられ、ガラス板取付領域６ａの車内側に
おけるストッパ取付穴６ｂの内周縁部領域に係合される
とともに、横片１０の裏面とガラス板取付領域６ａとが
両面粘着テープ１４ａにより密着されてストッパ９の取
付けが図られる。

また、ウインドシールドガラス７の取付けは、第２図に
示すように、ウインドシールドガラス７の下端部をスト
ッパ９の縦片１１に係止させウインドシールドガラス７
の下方への位置ずれを防止しながら、ウインドシールド
ガラス７をその裏面下部に配設された接着剤１５により
ガラス板取付領域へ貼り付けることにより行なわれる。
この場合、接着剤１５はウインドシールドガラス７の裏
面下部に沿って配設されるとともに、ストッパ９の縦片
１１と取付部材１３との間を通過するように配設され
る。更に、取付部材１３側へ接着剤１５が流動しないよ
うに、接着剤１５の取付部材１３側にはウインドシール
ドガラス７の裏面部に沿ってゴム製ダム部材１６が配設
される。なお、接着剤１５とゴム製ダム部材１６とで接
着性シール剤１７が構成されている。

一方、モール部材８には、その裏面側に上記ストッパ９
のモール取付片１２のモール取付穴１２ａと対応して係
合片８ａが突設されるとともに、係合片８ａの先端に抜
止部８ｂが形成されており、係合片８ａをストッパ９の
モール取付片１２へ係合することによりモール部材８が
取付けられる。すなわち、モール部材８をウインドシー
ルドガラス７の下端部からボデーパネル６に掛け渡すよ
うに車外側に配置するとともに、モール部材８の係合片
８ａを、ガラス板取付領域６ａに取付けられたストッパ
９のモール取付穴１２ａに位置合せした状態で、モール
部材８を車内側へ押し込む。これにより、係合片８ａの
抜止部８ｂが内側に撓みながらモール取付穴１２ａを通
り抜けた後、抜止部８ｂが弾性復元されてモール取付片
１２の車内側におけるモール取付穴１２ａの内周縁部領
域に係止され、こうしてモール部材８の取付けが図られ
る。

このガラス板下辺部の取付構造によれば、ストッパ９の
縦片１１と取付部材１３との間を通過するように接着性
シール部材１７が配設されているため、ウインドシール
ドガラス７の下端部とボデーパネル２との隙間から侵入
した雨水がストッパ９の上面を伝って取付部材１３へ向
かおうとしても、接着性シール剤１７により確実にせき
止められる。更に、ストッパ９の横片１２とガラス板取
付領域６ａとが両面粘着テープ１４ａにより密着されて
いるため、雨水がストッパ９の下面を伝って取付部材１
３へ向かおうとしても、横片１２とガラス板取付領域６
ａとの間に配された両面粘着テープ１４ａによりその浸
入が確実にせき止められる。したがって雨水が、取付部
材１３に対応してガラス板取付領域６ａに形成されたス
トッパ取付穴６ｂより車内に浸入することはなく、スト
ッパ取付穴６ｂの周辺領域でのさびの発生も防止され
る。

また、ストッパ９の取付部材１３の厚さを所定値に設定
して、ウインドシールドガラス７の裏面を取付部材１３
に係止させるようにすれば、ウインドシールドガラス７
をボデーパネル６に取付けるにあたって、ウインドシー
ルドガラス７の厚み方向の位置決めも図られる。

なお、上記実施例においては、ストッパ９にモール取付
片１２が形成されて断面形状が概略Ｚ状に仕上げられて
いるが、モール取付片１２は必ずしも設ける必要はな
い。すなわち、この考案のストッパは横片１０と縦片１
１とで構成される断面概略Ｌ字状の形状が含まれていれ
ばよい。

（考案の効果） 以上のように、この考案の車両におけるガラス板下辺部
の取付構造によれば、ガラス板貼り付け用の接着性シー
ル剤を、ガラス板下端部係止用のストッパ縦片と、その
ストッパの横片に貫通した固着具との間に通過させてい
るために、ガラス板下端部とボデーとの隙間より侵入し
た雨水は、接着性シール剤によりせき止められて固着具
まで至ることはなく、その固着具取付位置からの雨水の
車内への浸入が防止されるとともに、固着具の周辺領域
にさびが発生することもないという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例のガラス板下辺部の取付構
造が適用された車両の前部斜視図、第２図は第１図のII
-II線断面図、第３図はストッパの斜視図、第４図は第
３図のストッパを反転させた斜視図、第５図はワンボッ
クスカーの前部斜視図である。 ６……ボデーパネル、６ａ……ガラス板取付領域、 ７……ウインドシールドガラス、 ９……ストッパ、１１……縦片、 １２……横片、１４……ねじ、 １７……接着性シール剤、 Ａ……ガラス板下辺部の取付構造

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ガラス板の下辺部と対応するボデーパネル
   の縁部領域を車内側に凹ませてガラス板取付領域を形成
   し、断面概略Ｌ字状のストッパを、その縦片が横片より
   も下方に位置するようにしながら、その横片を貫通する
   固着具により前記ガラス板取付領域に取付け、ガラス板
   の下端部を前記ストッパの縦片に係止させながら、前記
   ガラス板をその裏面下部に沿って配設された接着性シー
   ル剤により前記ガラス板取付領域へ貼り付けた車両にお
   いて、 前記接着性シール剤を前記ストッパの縦片と前記固着具
   との間に通したことを特徴とするガラス板下辺部の取付
   構造。