JPH06234267A - ラベル用インクジェット記録シート - Google Patents

ラベル用インクジェット記録シート

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JPH06234267A
JPH06234267A JP50A JP2313393A JPH06234267A JP H06234267 A JPH06234267 A JP H06234267A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 2313393 A JP2313393 A JP 2313393A JP H06234267 A JPH06234267 A JP H06234267A
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進 小川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクジェット記録におけるドットの肥大
化、印字後のシート面のうねりの発生を著しく減少さ
せ、さらにインク吸収性を確保したラベル用インクジェ
ット記録シートを得ること。 【構成】 木材パルプと顔料を主成分とする支持体の片
面に、少なくとも1層以上のインク受理層、他面に粘着
層が設けられたラベル用インクジェット記録シートであ
って、該支持体中の顔料含有量と内部結合強度を特定の
範囲に設定して形成したインクジェット記録シート。好
ましくは、該支持体と粘着層との間に顔料とバインダー
を主成分とする塗層を設けたインクジェット記録シー
ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラベル用インクジェッ
ト記録シートに関するものであり、更に詳しくは、画像
の品位を低下させるシート表面のうねりの発生、インク
の滲み出しに伴うドットの肥大化、インクの吸収性の低
下による地汚れの発生を抑制したラベル用インクジェッ
ト記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の作動
原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録
シートに付着させ、画像・文字などの記録を行なうもの
であるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターン
の融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、
漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置とし
て、種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多
色インクジェット方式により形成される画像は、製版方
式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較し
て、遜色のない記録を得ることが可能である。また、作
成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術による
よりも安価であることからフルカラー画像記録分野にま
で広く応用されつつある。
【0003】さらに、ニーズの多様化に伴って、インク
ジェット記録方式で印字された記録シートが、価格表示
用ラベル、商品表示(バーコード)用ラベル、品質表示
用ラベル、計量表示用ラベル、広告宣伝用ラベル(ステ
ッカー)等のラベル用途として使用することが増加して
いる。特に、バーコード用ラベルでは、インクジェット
シートの高鮮鋭性が活かせるし、広告宣伝用ラベルで
は、鮮鋭性や色彩性に優れていることから良好な画像を
得ることが可能であり、宣伝効果が大きいものとなる。
さらに、パーソナルコンピュータレベルで、鮮鋭性や色
彩性といった画像再現性や色再現性に優れた画像を簡単
に得ることが可能であることもインクジェット記録シー
トが多用される理由でもある。特に、ラベルは、広い範
囲の被着体に良く接着し、貼り付け作業が簡単なため、
多くの分野で使用されており、ラベルの特徴とインクジ
ェット記録シートの良好な画像を得ることが可能である
という特徴を組み合わせた用途が広がりつつある。しか
し、ラベル用途への応用にしても、インクジェット記録
方式の特徴である画像再現性や色再現性に優れていなけ
れば、ラベル用インクジェット記録シートの付加価値は
ない。
【0004】しかし、既存の技術で得られたインクジェ
ット記録シートに、そのまま粘着層を設けると、粘着層
に含まれる溶剤成分が、支持体を介してインク受理層に
浸透することに起因すると考えられる、インクが滲み出
し、ドット径の肥大化に伴う鮮鋭性や色彩性の低下が生
じて画像再現性の悪化が生じる。このことから、インク
受理層の塗被組成物の配合に対する改良が行われている
が、この問題を回避できないのが現状である。また、ド
ットの肥大が生じたり、印字後のインクの浸透に起因す
る支持体の伸縮により、該シート表面にうねりが発生す
ると、広告用に使用される場合には、その目的の宣伝効
果を低減させることとなり、ラベル用途としての価値が
なくなるし、最近、製品管理、物流管理等のバーコード
用に使用される場合には、ドットの肥大は、誤った情報
を記録することになる。特に、近年のビジュアル化によ
り、ドットの肥大化、印字後のうねりの発生、インク吸
収性の低下を回避した画像品質の高いラベル用インクジ
ェット記録シートが望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状に鑑み、本
発明の目的は、画像の品位を低下させるシート表面のう
ねりの発生、インクの滲み出しに伴うドットの肥大化、
インクの吸収性の低下による地汚れの発生を抑制し、良
好な画像品位を有するラベル用インクジェット記録シー
トを得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ラベル用
インクジェット記録シートについて、種々の研究を重ね
た結果、支持体が、木材パルプと顔料を主成分とする場
合には、該シートに粘着層が設けられると、インク受理
層の印字されたドット径の肥大化があり、これは、粘着
層中の成分が支持体を通してインク受理層にまで浸透
し、さらに、該成分が水性インクに対するインク受理層
の受容能力や定着能力を変化させるために、インクの滲
み出しによるドットの肥大化を生じさせていることを見
い出した。粘着層に使用される粘着剤の種類によって異
なるが、該成分とは、溶剤である水、或いは酢酸エチル
やトルエンのような有機溶剤、比較的低分子量の可塑
剤、界面活性剤を指す。このことから、インク受理層と
粘着層の間に、該成分を透過させない成膜性素材からな
るバリアー層を設けること、或いは、該成分を吸着又は
定着させる機能を有する層を設けることによって、ドッ
トの肥大化が回避できると考えられる。
【0007】本発明者等は、鋭意検討の結果、ドットの
肥大化、印字後の該シート表面のうねり、インク吸収性
が、該支持体中の顔料含有量と該支持体の内部結合強度
に関係していることが判った。このことから、本発明者
等は、該バリアー層を設けるのではなく、インク受理層
から浸透するインクと粘着層から浸透する上記の成分を
該支持体で吸着或いは定着させる方法を検討し、該顔料
含有量と該内部結合強度をある特定の範囲にすることに
よって、本発明が完成に至ることを見い出した。即ち、
本発明は、木材パルプと顔料を主成分とする支持体の片
面に少なくとも1層以上のインク受理層、他面に粘着層
を設けたラベル用インクジェット記録シートにおいて、
該支持体中の顔料含有量が、5〜36重量%であり、且
つ該支持体の内部結合強度が、160〜475g/cm
であることを特徴とするラベル用インクジェット記録シ
ートを提供するものである。
【0008】本発明に係る内部結合強度は、Tappi Usef
ul Methods 403 にて測定される木材パルプと顔料を主
成分として構造化する支持体の厚さ方向に於ける強度を
示すパラメータである。該内部結合強度が低いと、支持
体は外から加えられる力に対して変形し易いことを示
し、高いと変形し難いことを意味する。印字後のシート
表面のうねりは、支持体層まで浸透してきたインクによ
る木材パルプの伸縮が起因しており、この伸縮を抑える
こと、即ち内部結合強度を高くすることでこのうねりの
回避が可能であることを見い出した。しかし、内部結合
強度を上げるためには、バインダーや紙力増強剤と呼ば
れるポリアクリルアミド系やポリアクリルアマイド系の
添加剤の増量を必要とするが、このような方法による内
部結合強度の向上にはサイズ性の向上が付随しており、
サイズ性の向上によって、インクの滲みは向上するが、
インクの浸透が遅れて、インクが未乾燥となる問題が生
じ、単に内部結合強度を上げることはできない。
【0009】該内部結合強度は、木材パルプと木材パル
プ及び木材パルプと顔料さらに顔料と顔料が組合わさっ
た支持体の構造で決定される。また、インク浸透に関係
するサイズ性は、浸透してくるインクと支持体との苛電
状態で決定する化学的な側面と毛管浸透で示されるよう
な支持体の空隙で決まる物理的な側面を有している。特
に、内部結合強度とサイズ性は相反する関係で存在して
おり、例えば、支持体中の顔料含有量の増大は、木材パ
ルプと木材パルプとの水素結合によって生じる強度の発
現を低下させるために、内部結合強度を悪化させるが、
顔料と顔料が作る構造により、空隙が増え上記した物理
的な側面による浸透が促進する特徴を持つことになる。
【0010】また、粘着層から浸透する上記の成分が、
支持体を介して、インク受理層まで達すると、支持体の
みならずインク受理層の構造も変化させるために、支持
体やインク受理層のインク吸収性を低下させ、ドットの
肥大や印字後のうねりの発生を生じさせ、このような現
象も内部結合強度を高めると軽減されるが、上述の理由
により、単に内部結合強度を高めただけでは、支持体の
インク吸収性が悪化し、ドットの肥大化の問題が生じ
る。
【0011】このことから、本発明の目的を満足するた
めには、支持体中の顔料含有量と内部結合強度を高く設
定して、インクジェット記録シートを形成すれば良いと
考えられる。しかし、内部結合強度と顔料含有量を高く
しても、印字後のシート表面のうねりは良化するが、印
字後にインクの浸透が遅れてインクが未乾燥となり、地
汚れと呼ばれるインクジェット記録装置内で、搬送装置
と該未乾燥部分が擦れて画像部或いは非画像部を汚す、
地汚れという問題が発生する。
【0012】また、該記録シートの層間強度が低いと、
印字面が剥離して、記録媒体としての機能を失う。ま
た、印字面の剥離までに至らないまでも、高湿度の環境
下では、該記録シートが伸縮し、印字面にうねりを生じ
る場合があり、このようなうねりにも、層間強度が密接
に関係していることが判った。該記録シートの厚さ方向
の剥離強度は、支持体部分が最も弱く、支持体の剥離強
度が、該記録シートの層間強度を決定している。このよ
うな問題を回避するためには、支持体の剥離強度、即
ち、内部結合強度をある特定以上にする必要がある。
【0013】このことから、本発明の目的を満足するた
めには、支持体中の顔料含有量と内部結合強度を高く設
定して、インクジェット記録シートを形成すれば良いと
考えられる。しかし、内部結合強度と顔料含有量を高く
しても、印字後のシート表面のうねりは良化するが、印
字後にインクの浸透が遅れ、地汚れの発生したり、イン
ク浸透の遅れが、インク受理層の面方向に広がる場合に
はドットの肥大化が生じることになるため、内部結合強
度が160〜475g/cm、顔料含有量が5〜36重
量%、好ましくは5〜30重量%の特定の範囲にあると
きのみに、印字後のシート表面のうねりがなく、インク
の滲みも少ない、インク吸収性を確保したインクジェッ
ト記録シートの得られることが判った。
【0014】インク受理層の塗工量は、特に限定される
ものではなく、複数のインク受理層を塗設しても構わな
いが、該塗工量があまり少ないとノンコートタイプイン
クジェット記録シートと同様にインクの吸収性は良いも
のの、画像濃度・色彩性・鮮明性が低く、ドットが鳥の
羽状に広がるフェザリングが発生する。また、あまり塗
工量が多いと塗工又は含浸後の乾燥工程における乾燥負
荷が高まり、塗工又は含浸速度の低下に伴う生産性の低
下ばかりでなく、高負荷での乾燥では、インク受理層を
構成する塗被組成物中のバインダーが、蒸発する溶媒と
共にインク受理層表面に移動して、その表面の空隙量を
低下させるために、記録時に地汚れなどの発生がある。
塗工量の多いインク受理層で生じる問題は、塗被組成物
の濃度や乾燥工程の能力に影響されるが、望ましくは、
インク受理層1層当たり、1〜10g/m2である。
【0015】また、本発明においては、バックコート層
を設けると本発明の効果を高める。本発明に係るバック
コート層とは、支持体と粘着層の間に、顔料とバインダ
ーを主成分とする塗層である。該バックコート層を顔料
とバインダーを主成分とする塗被組成物で構成すると、
該バックコート層は、空隙構造を持つために、粘着層か
ら浸透する上記の成分を吸収或いは定着させることによ
り、支持体を介してインク受理層に浸透する該成分に起
因するドットの肥大化が防止できる。該顔料/該バイン
ダー比率は、100/5以上が好ましく、100/5未
満では、塗層強度が不足して、粘着層と該バックコート
層の界面で剥離の生じる場合がある。バックコート層
は、厚さ基準で塗設することが好ましく、厚さ0.5μ
m以上あれば、粘着層の影響を防ぐ効果が現れる。
【0016】本発明に用いられる支持体は、木材パルプ
と顔料を主成分として構成される。木材パルプとして
は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PG
W、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機
械パルプ、DIP等の古紙パルプ等のパルプを含み、必
要に応じて従来公知の顔料やバインダー及びサイズ剤や
定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等
の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円
網抄紙機、ツインワイヤ抄紙機等の各種装置で支持体の
製造が可能であり、酸性、中性、アルカリ性で抄造でき
る。また、該支持体にそのままインク受理層を設けても
良いし、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレ
スやアンカーコート層を設けた後にインク受理層を設け
ても良い。さらには、該支持体の平坦化をコントロール
する目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフ
トカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。
【0017】本発明に用いられる支持体、インク受理
層、バックコート層には、公知の白色顔料を1種以上用
いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質
炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、
硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭
酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ
土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シ
リカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベー
マイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼ
オライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸
化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチ
ックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、
ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン
樹脂等の有機顔料等が挙げられる。上記の中でもインク
受理層中に主体成分として含有する白色顔料としては多
孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多
孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、
特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好まし
い。また、バックコート層にカール適性を持たせるに
は、顔料として、平板状顔料や加水ハロイサイトが好ま
しい。
【0018】また、インク受理層、バックコート層のバ
インダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、酢
酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロ
ース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変
性ポリビニルアルコール等;無水マレイン酸樹脂、スチ
レン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブ
タジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテック
ス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重
合体又は共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合
体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチ
レン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテック
ス;或いはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官
能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メ
ラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性接
着剤;ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポ
リマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合
成樹脂系接着剤が挙げられ、1種以上で使用される。
【0019】さらに、その他の添加剤として、顔料分散
剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、
発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、染料定着剤、蛍
光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ
剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適
宜配合することもできる。
【0020】本発明の支持体に、インク受理層、バック
コート層を塗工及び含浸する方法は、各種ブレードコー
タ、ロールコータ、エアーナイフコータ、カーテンコー
タ、バーコータ、ロッドブレードコータ、ショートドウ
ェルコータ、サイズプレス等の各種装置をオンマシンあ
るいはオフマシンで用いることができる。また、塗工又
は含浸後には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ス
ーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを
用いて仕上げても良い。
【0021】本発明に係る粘着層は、以下に述べる剥離
紙の剥離剤塗布面に粘着剤を設け、粘着剤面と該記録シ
ートのインク受理層が塗設されていない面を重ねて、プ
レスロール等で圧着する方法が一般に行われるが、該記
録シートに粘着剤を先に塗布して、剥離紙と貼り合わせ
ても良い。該粘着剤には、ゴム系またはアクリル樹脂系
の粘着剤を用いることができる。ゴム系の主原料は天然
ゴムまたはスチレン・ブタジエンラバーであり、天然ゴ
ムでは、ロジン系樹脂や可塑剤なとが添加され、通常ノ
ルマルヘキサンを溶媒として塗工する。また、スチレン
・ブタジエンラバーを主原料とした場合は溶融して塗工
する。アクリル樹脂系においては、2−エチルヘキシル
アクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、アクリル酸、β−ヒドロキシエチルアクリレートな
どのアクリル系モノマーを重合して作る。重合の方法に
より、酢酸エチルやトルエンなどの有機溶媒を用いた
り、界面活性剤を用いて水中で乳化させながら重合した
エマルジョンタイプを用いることができる。
【0022】また、粘着剤の耐熱性や耐溶剤性等の物性
を向上させるために、上記原料に、イソシアネート系、
メラミン系、金属キレート系等の架橋剤を用いて架橋反
応させても良いし、シリカ、カオリン、クレー、炭酸カ
ルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、メラミン樹脂粒子、澱粉粒子等の顔料を添加した
り、水溶性高分子、石油系樹脂、各種パラフィンワック
ス、脂肪酸又はその誘導体、高級アルコール類、金属石
鹸類、シリコーン類、さらには帯電防止剤、増粘剤、分
散剤、防腐剤、酸化防止剤、消泡剤等を添加しても良
い。これらの粘着剤は、ラベル用インクジェット記録シ
ートの使用される用途に合わせた選択をすれば良い。
【0023】該粘着剤を設ける装置には、エアーナイフ
コータ、ブレードコータ、バーコータ、ロールコータの
他、スロットノズル、スロットダイ、ロータリースクリ
ーンプリンタ、グラビアコータ、オフセットグラビアコ
ータ、ホットメルトホイール、スパイラルスプレー等が
あり、粘着剤の種類及び塗布量、塗布した粘着剤にパタ
ーンを付与する必要性など、用途に合った選択を適宜行
えば良い。
【0024】また、剥離紙の基材としては、上質紙、ク
ラフト紙、グラシン紙、プラスチックフィルム等があ
り、これらの基材上に剥離剤として、シリコーン樹脂を
塗布する。紙系基材の場合には、基材に熱可塑性樹脂を
ラミネートし、平滑な面を得た方が剥離性が向上する。
シリコーン樹脂を紙系基材に直接塗布したものはダイレ
クトタイプ、紙基材上に熱可塑性樹脂をラミネートした
後に塗布したものはポリラミタイプ、プラスチックフィ
ルム上に直接塗布したものはフィルムタイプと呼ばれ、
それぞれの中から剥離紙として選択する基準は、インク
ジェット記録装置内で、剥離紙が搬送途中で剥がれるこ
とのない接着力を有すること、自動ラベラーによる貼り
付け時に、該ラベラーの剥離力以下の接着力であること
にある。従って、用途にあった剥離紙の選択をすれば良
く、さらに、カール適性の確保が必要な場合には、シリ
コーン樹脂を塗布した基材の反対面に裏面処理として、
熱可塑性樹脂をラミネートしたり、合成樹脂をコーティ
ングすることが好ましい。また、特殊な用途には、非シ
リコーン系の剥離剤を使用しても構わない。
【0025】本発明で云う水性インクとは、下記の着色
剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反
応性染料或は食品用色素等の水溶性染料が挙げられる。
【0026】インクの溶媒としては、水及び水溶性の各
種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコ
ール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、 sec−ブチルアルコール、
tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭
素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、
ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール
類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等
のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチ
レングリコール、1,2,6 −ヘキサントリオール、チオジ
グリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコ
ール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコー
ル類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテ
ル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多
価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられ
る。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレ
ングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノ
エチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエー
テルが好ましい。その他の添加剤としては、例えば、p
H調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張
力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が挙げら
れる。
【0027】本発明におけるインクジェット記録シート
は、インクジェット記録シートとしての使用に留まら
ず、記録時に液状であるインクを使用するどのような記
録シートとして用いてもかまわない。例えば、熱溶融性
物質、染顔料などを主成分とする熱溶融性インクを樹脂
フィルム、高密度紙、合成紙などの薄い支持体上に塗布
したインクシートを、その裏面より加熱し、インクを溶
融させて転写する熱転写記録用受像シート、熱溶融性イ
ンクを加熱溶融して微小液滴化、飛翔記録するインクジ
ェット記録シート、油溶性染料を溶媒に溶解したインク
を用いたインクジェット記録シート、光重合型モノマー
及び無色または有色の染顔料を内包したマイクロカプセ
ルを用いた感光感圧型ドナーシートに対応する受像シー
トなどが挙げられる。これらの記録シートの共通点は、
記録時にインクが液体状態である点である。液状インク
は、硬化、固化又は定着までに、記録シートのインク受
理層の深さ方向又は水平方向に対して浸透又は拡ってい
く。上述した各種記録シートは、それぞれの方式に応じ
た吸収性を必要とするもので、本発明のインクジェット
記録シートを上述した各種の記録シートとして利用して
も何ら構わない。更に、複写機・プリンター等に広く使
用されている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する
記録シートとして、本発明におけるインクジェット記録
シートを使用しても構わない。
【0028】
【実施例】以下に、本発明の実施例をあげて説明する
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
又、実施例に於いて示す「部」及び「%」は、特に明示
しない限り重量部及び重量%を示す。測定及び評価結果
は、特に明記しない限り、JIS P8111に規定さ
れる環境下で行った。
【0029】実施例1 支持体は、LBKP(濾水度400mlcsf)80部
とNBKP(濾水度450mlcsf)20部から成る
木材パルプ100部に対して、軽質炭酸カルシウム/重
質炭酸カルシウム/タルクの比率が10/10/10の
顔料7部、市販アルキルケテンダイマー0.10部と分
子量500万の市販のカチオン系アクリルアミド0.0
5部を調成後、長網抄紙機で抄造した。次いで、カレン
ダー装置を用いて平坦化して、坪量90g/m2、顔料含
有量5.2%、内部結合強度232g/cmの支持体を
得た。
【0030】インク受理層は、合成非晶質シリカ(ファ
ンシールX37B:徳山曹達株式会社製)100部とポ
リビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)30
部、カチオン性染料定着剤(スミレーズレジン100
1:住友化学工業社製)20部からなる配合を調液し、
固形分濃度13%で、エアーナイフコータにより乾燥塗
工量5g/m2となるように支持体表面に塗工して、スー
パーカレンダー装置により平滑化処理を行った。
【0031】次いで、グラシン紙に市販のシリコーン樹
脂を1.0g/m2となるようにグラビアコータで塗布し
た後、シリコーン樹脂塗布面側に市販の水性アクリル系
エマルジョンタイプ粘着剤を乾燥塗工量20g/m2とな
るように塗布し、該粘着剤塗布面とインク受理層を塗設
した支持体の反対面をプレスロールで貼り合わせて、実
施例1のラベル用インクジェット記録シートを得た。
【0032】実施例2 支持体は実施例1と同じ条件で得た後に、インクライン
ドサイズプレス機を用いて、澱粉(MS3800:日本
食品加工社製)を3g/m2付着させ乾燥した。次いで、
カレンダー装置を用いて平坦化し、内部結合強度472
g/cmの支持体を得た。その後、インク受理層の塗
設、カレンダー処理、粘着層の塗設を実施例1と同じ条
件で順次行い、実施例2のラベル用インクジェット記録
シートを得た。
【0033】実施例3 支持体は、LBKP(濾水度400mlcsf)80部
とNBKP(濾水度450mlcsf)20部から成る
木材パルプ100部に対して、軽質炭酸カルシウム/重
質炭酸カルシウム/タルクの比率が10/10/10の
顔料15部、市販アルキルケテンダイマー0.10部と
分子量500万の市販のカチオン系アクリルアミド0.
05部、市販のカチオン化澱粉1.0部と硫酸バンド
0.5部をを調成後、長網抄紙機で抄造した。次いで、
カレンダー装置を用いて平坦化し、坪量90g/m2、顔
料含有量10.2%、内部結合強度304g/cmの支
持体を得た。その後、インク受理層の塗設、カレンダー
処理、粘着層の塗設を実施例1と同じ条件で順次行い、
実施例3のラベル用インクジェット記録シートを得た。
【0034】実施例4 支持体は、LBKP(濾水度350mlcsf)80部
とNBKP(濾水度400mlcsf)20部から成る
木材パルプ100部に対して、軽質炭酸カルシウム/重
質炭酸カルシウム/タルクの比率が10/10/10の
顔料60部、市販アルキルケテンダイマー0.05部と
分子量700万の市販のカチオン系アクリルアミド0.
05部、市販のカチオン化澱粉1.0部と硫酸バンド
0.5部を調成後、長網抄紙機で抄造した。次いで、カ
レンダー装置を用いて平坦化し、坪量90g/m2、顔料
含有量35.5%、内部結合強度160g/cmの支持
体を得た。その後、インク受理層の塗設、カレンダー処
理、粘着層の塗設を実施例1と同じ条件で順次行い、実
施例4のラベル用インクジェット記録シートを得た。
【0035】実施例5 支持体は実施例4と同じ条件で得た後に、インクライン
ドサイズプレス機を用いて、澱粉(MS3800:日本
食品加工社製)を4g/m2付着させた。次いでカレンダ
ー装置を用いて平坦化し、内部結合強度432g/cm
の支持体を得た。その後、インク受理層の塗設、カレン
ダー処理、粘着層の塗設を実施例1と同じ条件で順次行
い、実施例5のラベル用インクジェット記録シートを得
た。
【0036】実施例6 支持体の抄造、インク受理層の塗設を実施例1と同じ条
件で行った後、インク受理層を塗設した支持体の反対面
に、カオリン(ハイドラスパース:Huber社製)1
00部、ポリビニルアルコール(Rポリマー1130:
クラレ株式会社製)5部、スチレン・ブタジエンラテッ
クス(0693:日本合成ゴム株式会社製)15部から
なる塗被組成物を調液し、固形分濃度35%で、エアー
ナイフコータにより、乾燥塗工量8g/m2となるように
バックコート層を塗設した。次いで、カレンダー処理、
粘着層の塗設を実施例1と同じ条件で行い、実施例6の
ラベル用インクジェット記録シートを得た。
【0037】比較例1 支持体は、LBKP(濾水度400mlcsf)80部
とNBKP(濾水4度50mlcsf)20部から成る
木材パルプ100部に対して、軽質炭酸カルシウム/重
質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の
顔料5部、市販アルキルケテンダイマー0.10部と分
子量200万の市販のカチオン系アクリルアミド0.0
5部を調成後、長網抄紙機で抄造した。次いで、カレン
ダー装置を用いて平坦化し、坪量90g/m2、顔料含有
量3.9%、内部結合強度144g/cmの支持体を得
た。その後、インク受理層の塗設、カレンダー処理、粘
着層の塗設を実施例1と同じ条件で順次行い、比較例1
のラベル用インクジェット記録シートを得た。
【0038】比較例2 支持体は実施例1と同じ条件で得た後に、インクライン
ドサイズプレス機を用いて、澱粉(MS3800:日本
食品加工社製)を5g/m2付着させ乾燥した。次いで、
カレンダー装置を用いて平坦化し、内部結合強度564
g/cmの支持体を得た。その後、インク受理層の塗
設、カレンダー処理、粘着層の塗設を実施例1と同じ条
件で順次行い、比較例2のラベル用インクジェット記録
シートを得た。
【0039】比較例3 支持体は実施例4と同じ条件で得た後に、インクライン
ドサイズプレス機を用いて、澱粉(MS3800:日本
食品加工社製)を6g/m2付着させ乾燥した。次いで、
カレンダー装置を用いて平坦化し、内部結合強度520
g/cmの支持体を得た。その後、インク受理層の塗
設、カレンダー処理、粘着層の塗設を実施例1と同じ条
件で順次行い、比較例3のラベル用インクジェット記録
シートを得た。
【0040】表1に実施例1〜6及び比較例1〜3の評
価結果を示す。尚、顔料含有量、内部結合強度、表1中
の評価は以下の通りに行った。
【0041】1)支持体中の顔料含有量 支持体の絶乾重量W0を秤量し、ルツボに秤量した支持
体を入れ温度550℃で燃焼させて、ルツボ中の残物の
重量Wを秤量後、下記数1で顔料含有量Pを算出した。
単位は[%]である。
【0042】
【数1】P=(W/W0)×100 [%]
【0043】2)支持体の内部結合強度 Tappi Useful Methods 403
で規定される方法に従い、支持体をMD方向に剥離する
ように、Internal Bond Tester
(熊谷理機工業社製)を用いて測定した。尚、測定値の
単位は、g/cmと表記するが、g・cm/cm2と同意である。
【0044】3)ドットの肥大化 インクジェットプリンタ(BJC820J:キヤノン株
式会社製)を用いて、ブラックインクで網点印字し、数
2に示される円相当径[μm]を測定し、ドット径とし
た。ドットの肥大化は、円相当径の値が小さいほど少な
いことを意味する。
【0045】
【数2】HD={(4/π)×A}1/2 ここで、HDは円相当径、πは円周率、Aはドットの印
字面積である。
【0046】4)印字後および高湿度下におけるシート
面のうねり評価 まず、評価用のサンプルは、インクジェットプリンタ
(BJC820J:キヤノン株式会社製)を用いて、シ
アンインクとマゼンタインクで重色ベタ印字を行い、作
成した。印字後のうねり評価は、印字直後にシート面の
うねり状態を下記基準で判定した。高湿度下のうねり
は、重色ベタ印字されたサンプルを温度40℃、湿度9
0%RHの環境に24時間放置した後、下記基準で判定
した。品質上問題とならないのは、A及びBの評価であ
る。 A:うねりは判らず、美観を損なわない。 B:うねりは小さく、美観を損なうことはない。 C:うねりは大きく、美観が損なわれる。
【0047】5)インク吸収性 インクジェットプリンタ(BJC820J:キヤノン株
式会社製)を用いて、シアンインク、マゼンタインク、
イエローインクから成る重色ドットを印字後、すぐに印
字面に白紙を押し当てて、白紙に転写されたインク状態
を目視により下記基準で判定した。インク吸収性が良好
でインクジェット記録装置内で地汚れとならないのは、
A及びBの評価である。 A:インクの転写は確認されない。 B:僅かにインクの転写が確認されるが、実用上問題な
く地汚れにはならない。 C:インクの転写が白紙全面にあり、地汚れとなるレベ
ル。
【0048】
【表1】
【0049】表1の如く、顔料含有量が5〜36重量%
であり、支持体の内部結合強度が160〜475g/c
mの条件を満足する実施例1〜6は、この条件から外れ
る比較例1〜3と比較して、ドット径が小さく、鮮鋭性
に優れた画像を形成できることが示される。また、シー
ト面のうねりの発生も抑制され、インク吸収性の低下に
伴う地汚れの発生も回避されることが示される。特に、
内部結合強度の高い比較例2、3では、顔料含有量にあ
まり関係なくインク吸収性が低下すること、それによっ
て、支持体方向へのインクの浸透が阻害されて、ドット
径が大きくなることが示唆される。
【0050】また、バックコート層を塗設した実施例6
は、実施例1と比較すると、ドット径が小さく、鮮鋭性
の高いラベル用インクジェット記録シートとなることが
示される。さらに、バックコート層により、支持体の伸
縮が抑えられることに起因すると考えられる、高湿度下
におけるシート面のうねりの発生が抑制され、さらに本
発明の効果を高めることが示される。
【0051】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明によれ
ば、画像の品位を低下させるシート表面のうねりの発
生、インクの滲み出しに伴うドットの肥大化、インクの
吸収性の低下による地汚れの発生を抑制し、良好な画像
品位を有するラベル用インクジェット記録シートを得る
ことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材パルプと顔料を主成分とする支持体
    の片面に少なくとも1層以上のインク受理層、他面に粘
    着層を設けたラベル用インクジェット記録シートにおい
    て、該支持体中の顔料含有量が、5〜36重量%であ
    り、且つ該支持体の内部結合強度が、160〜475g
    /cmであることを特徴とするラベル用インクジェット
    記録シート。
  2. 【請求項2】 支持体と粘着層の間に、顔料とバインダ
    ーを主成分とする塗層が塗設されていることを特徴とす
    る請求項1記載のラベル用インクジェット記録シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0673779A1 (en) * 1994-03-04 1995-09-27 Mitsubishi Paper Mills, Ltd. Tack sheet for ink jet recording
JP2003231352A (ja) * 2003-02-25 2003-08-19 Oji Paper Co Ltd インクジェット記録用紙

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0673779A1 (en) * 1994-03-04 1995-09-27 Mitsubishi Paper Mills, Ltd. Tack sheet for ink jet recording
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