JPH0622967B2 - 自動車車体の積層塗膜 - Google Patents

自動車車体の積層塗膜

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JPH0622967B2
JPH0622967B2 JP60293296A JP29329685A JPH0622967B2 JP H0622967 B2 JPH0622967 B2 JP H0622967B2 JP 60293296 A JP60293296 A JP 60293296A JP 29329685 A JP29329685 A JP 29329685A JP H0622967 B2 JPH0622967 B2 JP H0622967B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は自動車車体の積層塗膜に関し、特に、自動車車
体の積層塗膜の最上層塗膜として紫外線硬化型塗料を塗
装して形成される、従来の焼付塗料では得られない改良
された性能を有する塗膜を設けた自動車車体の積層塗膜
に関する。
(従来の技術) 周知のように、自動車塗膜は、一般に、前処理(化成処
理)被膜、下塗塗膜(電着プライマー塗膜)、中塗塗膜及
び上塗塗膜からなる積層塗膜である。この塗膜の表面に
局所的な衝撃が加わった場合、塗膜はチッピングを生
じ、生じた傷は上塗塗膜、中塗塗膜、電着塗膜を通つて
素地金属にまで達し、そして、素地剥離を生じ、著しい
錆を生じるであろう。もしもこのような結果になった場
合、素地金属が腐食老朽化し、品質が低下するばかりで
なく、外観については面品質、光沢等が低下し、上塗特
有の美観も失われる。
このように、自動車車体の塗膜、特に、最上層の塗膜
(以下、トップコートともいう)は、美観の付与と共に、
耐候性等の表面耐久性を付与しなければならないので、
光沢、艶、平滑性、擦り傷性、耐食性、耐候性など各種
の性能に優れた塗膜であることが要求される。しかしな
がら、現在、自動車用トップコートとして主に用いられ
ているのは熱硬化型のアミノ・アルキド樹脂塗料、アミ
ノ・アクリル樹脂塗料、常乾型のポリウレタン樹脂塗料
などであるが、これらはいずれも光沢、平滑性及びその
強度に限界があり、これらの点で更に優れた塗膜を開発
することが望まれている。
(発明が解決しようとする問題点) そこで、本発明者らは優れた自動車トップコートの塗膜
を開発すべく鋭意研究の結果、紫外線硬化型塗料により
形成される塗膜が本発明の目的に適していることを見出
し本発明を完成するに至った。
(問題点を解決するための手段) 本発明の要旨は、電着塗膜、中塗塗膜及び上塗塗膜を順
次形成した自動車車体の積層塗膜において、その最上層
塗膜が、(a)数平均分子量が1,000〜20,000で、分子内に
(メタ)アクリロイル基を2 個以上有する樹脂及び(b)
分子内に(メタ)アクリロイル基を3個以上有するモノマ
ーを重量比で95:5〜5:95の比率で含む紫外線硬化性組成
物より成る紫外線硬化塗膜であることを特徴とする自動
車車体の積層塗膜である。
即ち、従来の熱硬化型塗料は、一般に高分子量の樹脂を
使用しているため粘度が高く、樹脂間の相溶性も十分で
ないため、高光沢で平滑性を有する塗膜を得ることが困
難であった。
これに対して本発明に従えば、低分子量樹脂とモノマー
から構成される紫外線硬化塗料を使用するため、硬化前
は流動性を有し、従って平滑な塗膜となりやすく、また
焼付型塗膜のように加熱硬化工程を要しないため、この
工程での溶剤蒸発に伴う塗膜のわきやピンホールを生じ
ることなく、更に、従来の焼付型塗膜では得られない濡
れ艶感のある高光沢塗膜が得られることが判明した。
特に、本発明では(a)成分の樹脂成分の数平均分子量と
して1,000〜20,000としたことにより、耐水性、耐候
性、耐擦傷性及び塗膜外観のバランスを保った塗膜形成
が可能となる。数平均分子量が1,000未満では、耐水
性、耐候性等の性能が十分に得ることができない。ま
た、数平均分子量が20,000を超えると、塗料粘度が高く
なり、塗装した塗膜の外観が低下する。
また、従来の熱硬化型塗料では高架橋度の塗膜が得にく
いため高硬度の塗膜を得ることが出来ず、特に、特定の
色、例えば黒色や赤色塗膜のように顔料濃度が低い塗膜
の場合は、顔料による塗膜硬度の改良が期待出来ないた
め、洗車機などで傷がつきやすく、商品価値が低下する
という欠点が指摘されている。
これに対して本発明で使用する紫外線硬化型塗料の場合
は、1分子中に含まれる重合性不飽和基の数を調節する
ことにより、架橋密度を自由に調節することができ、従
って所望の高硬度の塗膜を容易に得ることができ、特
に、本発明においては、(a)成分として分子内に(メタ)
アクリロイル基を2個以上有する樹脂と、(b)成分として
分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノ
マーとを組み合わせることによって、硬化性が良好な塗
膜が得られ、耐薬品性、耐水性及び耐擦り傷性の点にお
いて顕著な効果が得られる。
特に、搾り傷性が飛躍的に向上し、スチールウールで擦
っても何ら傷のつかない塗膜を得ることができるのであ
る。
本発明におけるトップコート層である紫外線硬化塗膜を
形成するに使用する紫外線硬化性組成物は、(a)成分と
して数平均分子量が1,000〜20,000で、分子内に(メタ)
アクリロイル基を2個以上有する樹脂、及び(b)成分とし
て分子内に(メタ)アクリロイル基を3個以上有するモノ
マーからなり、これに光増感剤、更に必要に応じて顔
料、添加剤、溶剤などを添加、構成される。
(a)成分の分子内に(メタ)アクリロイル基を2個以上を有
する樹脂としては、分子内に(メタ)アクリロイル基を有
するそれ自体公知の任意の樹脂が使用でき、具体的には
下記のものを例示することができる。
(1)多価アルコールと多塩基酸と水酸基を有する(メタ)
アクリル酸エステルもしくは(メタ)アクリル酸とから合
成される(メタ)アクリロイル基を2個以上有するポリエ
ステル(メタ)アクリレート。
(2)ポリオールと多官能イソシアネートと水酸基を有す
る(メタ)アクリル酸エステルとから合成される(メタ)ア
クリロイル基を2個以上有するポリウレタン(メタ)アク
リレート。
(3)エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸及び/又はカルボ
キシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとから合成
される(メタ)アクリロイル基を2個以上有するエポキシ
(メタ)アクリレート。
(4)(メタ)アクリル酸及び/又はカルボキシル基を有す
る(メタ)アクリル酸エステル及び/又はエチレン性二重
結合を有するカルボン酸を単官能重合性モノマーと共重
合させて得た重合体にエポキシ基を有する(メタ)アクリ
ル酸エステルを反応させて得られる側鎖に(メタ)アクリ
ロイル基を2個以上有するアクリル樹脂。
(5)エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを単
官能重合性モノマーと共重合させて得た重合体に(メタ)
アクリル酸及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)ア
クリル酸エステルを反応させて得られる側鎖に(メタ)ア
クリロイル基を2個以上有するアクリル樹脂。
前記多価アルコールとしては、例えばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプ
ロパン、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
前記多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラクロ
ルフタル酸、テトラブロムフタル酸、ヘキサヒドロフタ
ル酸、ハイミック酸、ヘット酸、コハク酸、マレイン
酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニル
コハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等およびそ
の無水物を挙げることができる。
前記水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとして
は、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシ
ブチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトンと2-ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加生成物、N-
メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
前記ポリオールとしては、例えば前記多価アルコール、
ポリアルキレングリコール(例えばポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール等)、アルキレンオキサイド(例えばエチレン
オキサイド、プロピレンオキサイド)を前記多価アルコ
ールに付加せしめて得られるポリエーテルポリオール、
前記多価アルコールと多塩基酸を反応させて得られるポ
リエステルポリオール、前記水酸基を有する(メタ)アク
リル酸エステルを下記単官能重合性モノマーと共重合さ
せて得られるアクリルポリオール等を挙げることができ
る。
本発明において使用する前記多官能イソシアネートとし
ては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,4-ト
リレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、4,4′-メチレンビス(フェニルイソシアネー
ト)等を挙げることができる。
また上記多官能イソシアネートを過剰量で多価アルコー
ルと付加反応させて得られるイソシアネート類、ビュー
レット構造を有するポリイソシアネート、アロハネート
構造を有するポリイソシアネート等も多官能イソシアネ
ートとして使用することができる。
前記エポキシ化合物としては、例えばエピクロルヒドリ
ンとビスフェノールAの縮重合体を用いることができ、
例えばシェル化学より市販のエピコート828、エピコー
ト1001、エピコート1004等を好適に使用することができ
る。更に、フェノール類とホルムアルデヒドとを酸性又
はアルカリ性の酸触媒下で反応して得られるノボラック
又はレゾールとエピクロルヒドリンとを反応させて得ら
れるエポキシ化合物(例えばダウケミカルより市販のDEN
#431、#438等)、グリコール類とエピクロルヒドリンと
を反応させて得られるエポキシ化合物(例えば共栄社油
脂化学工業(株)より市販のエポライト40E、エポライト4
00E、エポライト1600等)、分子内二重結合を酸化して合
成されるエポキシ化合物(例えばユニオンカーバイドよ
り市販のユノックス#201、#206、#221等)を挙げること
ができる。
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル
としては、例えば前記多塩基酸無水物と前記水酸基を有
する(メタ)アクリル酸エステルの当モル反応生成物を挙
げることができる。
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとし
ては、例えばグリシジル(メタ)アクリレートを挙げるこ
とができる。
前記単官能重合性モノマーとしては、例えばメチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチ
ル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、ラウリル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)ア
クリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;2-ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート類;2-エトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、4-メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコ
キシアルキル(メタ)アクリレート類;2-フェノキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2-ノニルフェノキシエチル(メ
タ)アクリレートなどのアリ-ロキシアルキルアクリレー
ト類;シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルア
クリレート、イソボルニルアクリレートなどのシクロア
ルキルアクリレート類;ジエチルアミノエチル(メタ)ア
クリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;スチ
レン、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドンなどのビニル化
合物等を挙げることができる。
本発明の(b)成分である分子内に(メタ)アクリロイル基
を3個以上有するモノマーとしては、以下の(イ)〜(ホ)
のモノマーや(ロ)〜(ホ)のモノマーを必須として、前記
単官能性重合性モノマー及び(イ)の(メタ)アクリロイル
基が2個のモノマーも用いることができきる。
(イ)(メタ)アクリロイル基が2個のモノマーネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネ
オペンチルグリコールにアルキレンオキサイド(例えば
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド)を4モル付
加させた付加物のジ(メタ)アクリレート;ビスフェノー
ルAにアルキレンオキサイド(例えばエチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド)を4モル付加させた付加物の
ジ(メタ)アクリレート等。
(ロ)(メタ)アクリロイル基が3個のモノマートリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンに
アルキレンオキサイド(例えばエチレンオキサイド、プ
ロピレンオキサイド等)を6モル付加させた付加物のト
リ(メタ)アクリレート、トリアクリロイルオキシエトキ
シイソシアヌレート等 (ハ)(メタ)アクリロイル基が4個のモノマーペンタエリ
スリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リールテトラ(メタ)アクリレート等 (ニ)(メタ)アクリロイル基が5個のモノマージペンタエ
リスリトールペンタ(メタ)アクリレート等 (ホ)(メタ)アクリロイル基が6個のモノマージペンタエ
リスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等 本発明に従って、自動車のトップコートとして、濡れ艶
感のある高光沢塗膜や高硬度塗膜を得るためには、前記
樹脂及び重合性モノマーを組合せて使用すればよいが、
紫外線硬化された塗膜と該塗膜に接する下層の塗膜との
間の密着性や耐候性を考慮した場合、樹脂としては数平
均分子量1,000〜20,000でかつ分子内に(メタ)アクリロ
イル基を2個以上有する樹脂及びモノマーとしては分子
内に(メタ)アクリロイル基を3個以上有するモノマーを
組合せ使用する。特に耐候性を確保するためには、樹脂
として、脂肪族又は脂環式多官能イソシアネートを用い
たウレタンアクリレートを使用するのが望ましい。
(a)成分の数平均分子量が1,000〜20,000でかつ分子内に
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する樹脂と、(b)成分
の(メタ)アクリロイル基を3個以上有するモノマーとの
混合比率は重量比で95:5〜5:95の範囲であり、好ましく
は30:70〜70:30である。
両者の合計量100に対して(a)成分の樹脂の量が95を超え
ると高硬度の塗膜が得られにくくなり、(b)成分の逆に
モノマーが95を超えると紫外線硬化された塗膜と該塗膜
に接する下層の塗膜との間の密着力が低下し、太陽光に
長時間さらした場合に塗膜にクラックを生じたりするお
それがある。
なお、塗膜硬度を実用性能以下に減じない範囲内で前記
単官能重合性モノマー及び二官能重合性モノマーを使用
することが出来る。
本発明に従って紫外線硬化塗膜を得るのに使用すること
ができる増感剤としては、例えばベンゾフェノン、シヒ
ラーケトン、キサントン、チオキサントン、2-クロルチ
オキサントン、ベンジル、2-エチルアンスラキノン、2-
ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-
4′-イソプロピル-2-メチルプロピオフェノン、メチル
ベンゾイルホルメート、ベンゾインメチルエーテル、ベ
ンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチル
エーテル、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、2,2-
ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメチル-2-フェニル
アセトフェノンなどを挙げることができる。
これらの増感剤の使用量には特に制限はないが、一般的
には紫外線硬化成分100重量部に対して0.1〜20重量部、
好ましくは0.5〜10重量部の範囲で使用する。また、必
要に応じて紫外線硬化性を阻害しない範囲で通常の塗料
に使用される顔料(例えば二酸化チタン、シアニンブル
ー、シンカシャレッド等)を使用することができる。さ
らに通常の塗料に使用されるレベリング剤、消泡剤等の
添加剤(例えばシリコーン系やフッ素系界面活性剤)など
も使用することができ、さらに必要に応じて耐候性を改
良するための添加剤、例えばヒンダードアミン系酸化防
止剤及びベンゾフェノン系、サリチル酸系、ベンゾトリ
アゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤を
用いてもよい。
かかる紫外線硬化組成物は必要に応じて通常の有機溶剤
を使用してその粘度を調節し、スプレー塗装により10〜
60μmの膜厚とし紫外線を数秒間照射することにより外
観、硬度に優れた塗膜を得ることができる。
紫外線照射源としては、紫外線による硬化に通常使用さ
れる高圧水銀灯、メタルハライドランプなどを使用する
ことができる。なお、従来の熱硬化型塗料は140℃前後
の温度で20分間程度加熱しないと充分な性能をもつ塗膜
が得られなかったが、本発明に従った塗料の場合には紫
外線を数秒間照射するのみで目的の塗膜を得ることがで
きるため、エネルギー的にも、生産の面でも非常に有利
である。
なお、紫外線硬化型塗料は塗膜の厚み、紫外線照射源と
塗膜の距離などによって硬化の程度にムラが発生するこ
とはよく知られていることであり、また、紫外線硬化塗
料は紫外線が届かない部位、即ち、例えば自動車の内板
部や凹部の影になる部分は硬化しないという欠点をも
つ。この欠点を克服するためには、紫外線ランプの数を
増やしたり、反射板を取りつけるなどの工夫をしてもよ
いが、このような場合には、本発明において使用する紫
外線硬化型塗料にあらかじめ過酸化物を例えば0.5〜5重
量%程度配合しておけば熱で硬化させることも可能であ
る。かかる過酸化物の例としては、ベンゾイルパーオキ
サイド、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることが
でき、例えば100〜150℃で5〜20分間焼付けることによ
り初期の目的を達成することができる。
自動車車体の塗装系は、一般に化成処理、電着、中塗り
及び上塗りの各工程を含み、かつ、この順序に従って行
なわれるが、本発明に係る積層塗膜も、これら従来の塗
装系に従って同じような順序及び手法で形成される。
即ち、化成処理にはリン酸亜鉛処理、リン酸鉄処理等を
適用し、次いで、マレイン化油タイプ、ポリブタジエン
タイブ、ポリエステルタイプ等の電着液を用いて電着を
行ない、得られた塗膜を所定の硬化条件下において硬膜
せしめる。
その後、得られた電着塗膜の上に一般の中塗塗料をスプ
レー塗装して硬化させる。この場合の塗膜厚は一般には
20〜40μmである。この場合、目的に応じて、硬化前に
更に中塗塗料を続けて塗装する方法(ウエツト オン
ウエツト法)も、あるいは中塗塗料を1回塗装して焼付け
た後再び同一又は異種の中塗塗料を塗装して焼付ける方
法(中塗りツウーコート ツウーベーク法)も中塗塗装工
程として適用することができる。これにより得られる塗
膜の膜厚は一般には40〜80μmである。
次いで、必要に応じて中塗塗膜を研磨した後、上塗塗料
により上塗塗膜を形成する。そして、本発明では、該上
塗塗膜の最上層、即ちトップコートとして、紫外線硬化
型上塗塗料を前記したようにして塗装、硬化する。
かくして、得られた自動車車体の積層塗膜は、目的とす
る高光沢で艶があり、平滑性、擦り傷性、耐食性、耐候
性などの優れた性能を有することができるのである。
(実施例) 次に実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、
本発明をこれらの実施例に限定するものでないことはい
うまでもない。
樹脂製造例1 撹拌後、温度計、還流冷却器及び水分離器を備えたコル
ベンに、ネオペンチルグリコール 440.6g(4×1.02モ
ル)、無水テトラヒドロフタル酸456g(3モル)、ジブチ
ルチンオキサイド1.7g及びキシレン25gを仕込み、撹拌
下200℃で6時間加熱して反応せしめ、反応で生じる水を
系外に除去した。得られた縮合物の酸価は3 KOHmg/gで
あった。
この縮合物を50℃に冷却後、イソホロンジイソシアネー
ト444g(2モル)、酢酸ブチル384.1g及びハイドロキノン
0.8gを加え、80℃で撹拌下1時間反応させた。次いで、2
-ヒドロキシエチルアクリレート252.5g(2.2モル)及びハ
イドロキノン0.8gの混合物を80℃で撹拌下1時間にわた
って滴下させ、その後3時間反応を続け、赤外吸収スペ
クトルでNC基の特性吸収が消滅したことを確認した。
得られた反応生成物はアクリロイル基を2個有する理論
分子量1494の樹脂を含む溶液であつた。
樹脂製造例2 撹拌機、温度計、還流冷却器及び滴下ロートを備えたコ
ルベンに、PTMG1000(三洋化成工業(株)製品、ポリテト
ラメチレングリコール、ヒドロキシル価113mgKOH/g)100
2g、イソホロンジイソシアネート444g、酢酸ブチル326g
及びジブチルスズジラウレート1.7gを加え、80℃で1時
間反応させた。その後、ハイドロキノン0.7g及び酢酸ブ
チル100gを加えた。
さらに80℃で撹拌をしながら、2-ヒドロキシエチルアク
リレート255.2g及びハイドロキノン0.7gの混合物を1時
間にわたって滴下した。
その後2時間80℃で撹拌を続け、赤外吸収スペクトルでN
CO基の特性吸収が消滅したことを確認した。
得られた反応生成物は、アクリロイル基を2個有する理
論分子量1676の樹脂を含む溶液であった。
樹脂製造例3 撹拌機、温度計、還流冷却器及び滴下ロートを備えたフ
ラスコにエポトートYD-014(東都化成(株)製品、エピク
ロルヒドリン-ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキ
シ当量950.1g/eq)1919g、トルエン1375g、ハイドロキノ
ン3.4g及びNN-ジメチルアミノエチルメタアクリレート1
0.3gを加え100℃に加熱し、撹拌下、アクリル酸144gを
1時間にわたって滴下した。
その後空気を吹き込みながら、同温度で7時間撹拌を続
けて酸価4mgKOH/gの反応生成物を得た。
得られた反応生成物はアクリロイル基を2個有する理論
分子量2044の樹脂を含む溶液であった。
樹脂製造例4 撹拌機、温度計、還流冷却器及び滴下ロートを備えたコ
ルベンに、キシレン920gを入れ110℃で撹拌下、メチル
メタクリレート400g、n-ブチルアクリレート300g、グリ
シジルメタクリレート300g及びN,N′-アゾビスイソブチ
ロニトリル20gの混合物を3時間にわたって滴下した。
その後110℃で30分間撹拌を続けた後、AIBN 0.3g及びキ
シレン100gの混合物を同温度下撹拌を続けながら30分に
わたって滴下した。その後、同温度下で2時間撹拌を続
けた。
次に80℃まで冷却した後、アクリル酸152.1g、NN-ジメ
チルアミノエチルメタクリレート5.9g、ハイドロキノン
1.2g及びキシレン159gを加え、120℃で空気を溶液に吹
き込みながら、6時間撹拌を続けて、酸価3mgKOH/gの反
応生成物を得た。またゲルパーミエイシヨンクロマトグ
ラフィーによる分子量測定では約10,000の数平均分子量
であった。
実施例1〜4 自動車ボディーを成型後、第1表に示した方法で処理及
び塗装を行ない、黒色に塗装された自動車ボディーを作
成した。
次いで第2表に示した樹脂製造例1〜4で製造した樹脂を
用いて、紫外線硬化組成物を自動車ボディー上にエアー
スプレーで塗装した。
80℃で5分間セッティングした後、周囲をオゾンタイプ
高圧水銀灯(80W/cm)を拡散型燈具に取り付けた4KWの紫
外線照射装置の中をコンベアスピード1m/分で通過させ
紫外線照射を行なった。硬化塗膜の性状は第3表に示し
たように、従来の黒色塗膜にはない濡れ艶感と光沢と硬
度及び耐擦り傷性が得られた。
比較例1 第1表に示した方法で処理した塗装を行なって黒色に塗
装された自動車ボディーを作成した。
実施例5 実施例1と同様の方法で紫外線硬化組成物まで塗装後、5
分間セッティングし、次に130℃で10分間焼付けた。得
られた塗膜性能を第3表に示した。紫外線を照射した時
の性能には及ばないものの、従来の焼付型塗料と同等以
上の性能が得られた。
実施例6〜7及び比較例2〜5 第2表で示す組成の紫外線硬化組成物を第1表に示した方
法で処理及び塗装した自動車ボディー上にエアスプレー
で塗装した。
次に80℃で5分間セッティングした後、周囲をオゾンタ
イプ高圧水銀燈(80W/cm)を拡散型燈具に取り付けた4KW
の紫外線照射装置の中をコンベアスピード1m/分で通過
させて紫外線照射を行つた。
得られた硬化塗膜の性状は第3表に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 4/00 PDU 7921−4J

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電着塗膜、中塗塗膜及び上塗塗膜を順次形
    成した自動車車体の積層塗膜において、その最上層塗膜
    が、(a)数平均分子量が1,000〜20,000で、分子内に(メ
    タ)アクリロイル基を2個以上有する樹脂及び(b)分子内
    に(メタ)アクリロイル基を3個以上有するモノマーを重
    量比で95:5〜5:95の比率で含む紫外線硬化性組成物より
    成る紫外線硬化塗膜であることを特徴とする自動車車体
    の積層塗膜。
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