JPH06228741A - 酸化物超電導テープ製造用加熱ヒータおよび酸化物超電導テープの製造方法 - Google Patents

酸化物超電導テープ製造用加熱ヒータおよび酸化物超電導テープの製造方法

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JPH06228741A
JPH06228741A JP5016636A JP1663693A JPH06228741A JP H06228741 A JPH06228741 A JP H06228741A JP 5016636 A JP5016636 A JP 5016636A JP 1663693 A JP1663693 A JP 1663693A JP H06228741 A JPH06228741 A JP H06228741A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸化物超電導体の前駆体薄膜を理想的な温度
で加熱できる加熱ヒータの提供及び良好な臨界電流密度
を示す酸化物超電導テープの製造方法の提供。 【構成】 発熱体とこれを収納するケース体とケース体
上面を覆う熱板とから構成され、熱板の基材摺動部分に
基材幅より狭い開口幅を有する開口部が形成されてなる
加熱ヒータを真空チャンバ内に設置し、加熱ヒータの開
口部上面を通過するようにテープ状の基材を摺動させ基
材を成膜時に望まれる所定の成膜温度に加熱しつつ基材
上面に酸化物超電導層の前駆体薄膜を形成することを特
徴とする。 【効果】 超電導特性の優れた超電導テープを得ること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、数m〜数kmオーダー
の長尺の酸化物超電導テープを製造する方法に用いる加
熱ヒータ及び酸化物超電導テープの製造方法に関するも
ので、この種の超電導テープは、電力輸送用、超電導マ
グネット用、超電導エネルギー貯蔵用などの分野で応用
開発が進められているものである。
【0002】
【従来の技術】酸化物超電導体は、液体窒素温度を超え
る臨界温度を示す優れた超電導体であるが、この酸化物
超電導体を前記のような実用的な超電導体として使用す
るためには、酸化物超電導体の結晶配向性を揃えて臨界
電流密度の高いものを得る必要がある。即ち、酸化物超
電導体は、その結晶構造の特定の方向に電気を流し易
く、特定の方向に電気を流しにくい性質があるために、
できるだけ結晶配向性の良好な酸化物超電導体を製造す
る必要がある。また、酸化物超電導体は、その組成が規
定の組成から多少でも外れたり、微量の不純物を含むよ
うであると、臨界電流密度が低下する傾向がある。
【0003】そこで従来、基板や金属テープなどの基材
上に、結晶配向性が良好で組成が整った酸化物超電導層
を形成するために、種々の手段が試みられている。その
1つの方法として、酸化物超電導体と結晶構造の類似し
たMgO、あるいはSrTiO3なとの単結晶基材を用
い、これらの単結晶基材上にスパッタリングやレーザ蒸
着法などの成膜法により酸化物超電導体の前駆体薄膜を
形成し、これを熱処理して酸化物超電導層を形成する方
法が実施されている。
【0004】前記MgOやSrTiO3などの単結晶材
料の基材上に成膜法により酸化物超電導層を形成するな
らば、基材の結晶に整合するように酸化物超電導層が生
成するので、結晶の配向性を良好にできるとともに薄膜
の組成を揃えることができるので、臨界電流密度の高い
酸化物超電導層を得ることができる。ところが、前述の
実用的な使用目的を考慮して長尺の酸化物超電導体を得
るためには、前記単結晶の基材ではなく、金属製のテー
プ状の基材上に成膜法により酸化物超電導層を形成して
長尺の超電導体を製造する必要がある。そして、このよ
うに長尺テープ状の基材上に酸化物超電導層を形成する
ためには、基材上に酸化物超電導体の前駆体薄膜を加熱
して薄膜の結晶構造を整えるとともに、前駆体薄膜中に
充分な量の酸素を供給する必要がある。
【0005】図4(a)〜図4(c)は、酸化物超伝導
体製造用のスパッタリング装置やレーザ蒸着装置などの
成膜装置に備えられる真空チャンバの内部に設けられ、
前記のようなテープ状の基材と前駆体薄膜を加熱するた
めの従来の加熱ヒータ30の一構造例を示すものであ
る。この加熱ヒータ30は、金属などの熱伝導体からな
るケース体31内部に加熱コイル等からなる発熱体32
を備え、前記ケース体31上面に、インコネル等の耐熱
金属等からなる熱板33が固定されてなり、加熱成膜装
置の真空チャンバの内底部に固定されているものであ
る。そして、上記構成からなる加熱ヒータ30はテープ
状の基材37を前記熱板33の上面に順次送り込み、接
触摺動させることができるように、そしてまた、その上
面から基材37を順次引き取ることができるように、加
熱ヒータ30の両側には図示略のテープ状基材の送出装
置と巻取装置が備えられている。また、加熱ヒータ30
の上方には、スパッタリング装置のターゲットやレーザ
蒸着装置のターゲットが設けられていて、これらのター
ゲットから発生させられた粒子を加熱ヒータ30上の基
材37の上面に順次堆積させて酸化物超電導体の前駆体
薄膜を形成できるようになっている。
【0006】そして、上記構成らかなる加熱ヒータ30
は、その酸化物超電導体の形成を真空チャンバ内部にて
1×10-1から1×101Torr程度の純O2雰囲気中
で行なうため、前記発熱体32の素材としては耐熱性に
優れ、融点の高いPt等が多く用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記構成の装置におい
ては、加熱ヒータ30の上面側で基材37を移動させな
がら基材37の上面に、スパッタやレーザ蒸着により前
駆体薄膜を形成し、同時に加熱ヒータ30により、基材
37と前駆体薄膜とを加熱できるようになっている。し
かしながら、このような加熱ヒータ30で前駆体薄膜の
加熱を行なう際には、上述したように、前記基材37は
加熱ヒータ30の熱板33上面を接触摺動しながら加熱
されるため、前記基材37と熱板33との間で摩擦を生
じ、前記基材37の摺動速度が一定に維持できず、基材
37表面の温度が不均一となってしまう問題があった。
【0008】例えば、上述した加熱ヒータ30の熱板3
3上で基材37を停止させて、この基材37の表面温度
が720℃になるまで加熱した後に、この基材37を1
時間で約200mm程度走行する速さで前記熱板33上
面を移動させながら、前記熱板33中央の基材摺動面に
おける温度変化を放射温度計によって測定したところ、
図5に示すような結果が得られた。
【0009】図5に示すように、前記基材37の表面の
温度は、その摺動開始とともに始めの設定温度の720
℃を境にして、±50℃の変動を示している。そして、
上記のように加熱により得られた酸化物超電導テープの
超電導特性を測定したところ臨界電流密度(Jc)は1
1〜102A/cm2程度の低い値しか得られないもの
であった。
【0010】そしてまた、上記基材37を加熱する加熱
ヒータ30の発熱体32には、Pt等の耐熱性に優れ、
融点の高い素材が用いられるが、前記Ptは、上記のよ
うな減圧酸化雰囲気中で1000℃以上に加熱される
と、Ptの蒸発が誘発され、こうした蒸発により発生し
たPtは、発熱体32を収納したケース体31外壁に付
着して、前記発熱体32とケース体31との絶縁不良を
生じるといった問題を有していた。
【0011】そこで、本発明は前記事情に鑑みてなされ
たものであり、基材上にスパッタリングやレーザ蒸着法
などの成膜法により酸化物超電導体の前駆体薄膜を形成
する際に、成膜された前駆体薄膜全体を一様に理想的な
成膜温度で加熱することができ、かつ減圧酸素雰囲気
中、高温加熱により生じる発熱体構成物質の蒸発を防止
して、この蒸気により生じるケース体との絶縁不良等を
回避するとともに、ケース体内のコンタミネーションを
防止して、発熱体自身の長寿命化を可能とした酸化物超
電導テープ用加熱ヒータを提供し、前駆体薄膜を理想的
な温度で加熱できて良好な臨界電流密度を示す酸化物超
電導テープを得ることができる方法を提供することを目
的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の酸化物
超電導テープ製造用加熱ヒータは、上記課題を解決する
ために、基材上に酸化物超電導層の前駆体を成膜法によ
り形成するための真空チャンバの内部に設けられて上面
を通過するテープ状の基材を加熱する加熱ヒータおい
て、前記加熱ヒータが、発熱体とこれを収納するケース
体と前記ケース体上面を覆う熱板とから構成され、前記
熱板の基材摺動部分に基材幅より狭い開口幅を有する開
口部が形成されてなることを特徴とするものである。
【0013】請求項2に記載の酸化物超電導テープ製造
用加熱ヒータは、上記課題を解決するために、請求項1
に記載の酸化物超電導テープ製造用加熱ヒータの発熱体
に、石英管内に発熱体が封入されてなる赤外線加熱方式
のランプヒータが使用されてなることを特徴とするもの
である。
【0014】請求項3に記載の酸化物超電導テープの製
造方法は、上記課題を解決するために、発熱体とこれを
収納するケース体と前記ケース体上面を覆う熱板とから
構成され、前記熱板の基材摺動部分に基材幅より狭い開
口幅を有する開口部が形成されてなる酸化物超電導テー
プ製造用加熱ヒータを真空チャンバ内に設置し、この加
熱ヒータの開口部上面を通過するようにテープ状の基材
を摺動させて、前記開口部上を摺動する基材を成膜時に
望まれる所定の成膜温度に加熱しつつ、基材上面に酸化
物超電導層の前駆体薄膜を形成することを特徴とするも
のである。
【0015】請求項4に記載の酸化物超電導テープの製
造方法は、上記課題を解決するために、請求項3に記載
の酸化物超電導テープの製造方法における発熱体に、石
英管内に発熱体が封入されてなる赤外線加熱方式のラン
プヒータを使用することを特徴とするものである。
【0016】
【作用】以上説明したように本発明に係る加熱ヒータ
は、発熱体とこれを収納するケース体と前記ケース体上
面を覆う熱板とから構成され、前記熱板の基材摺動部分
に基材幅より狭い開口幅を有する開口部が設けられてな
るものであって、この加熱ヒータの上記開口部上面に、
テープ状の基材を前記熱板の側辺部に接触させつつ摺動
させ、前記発熱体から放射された熱により基材を加熱し
つつ、酸化物超電導体の前駆体薄膜が成膜されることに
より、前記基材は一様にむら無く加熱されて、前駆体に
雰囲気中の酸素を充分に取り込ませることができ、結晶
性の良好な酸化物超電導体の前駆体の生成が可能であ
る。
【0017】また、前記のように基材全体を一様に加熱
することによって基材と前駆体薄膜の間の熱膨張の差異
に起因する熱応力も低減することが可能で、前駆体薄膜
にクラックを生じさせることがない。よって、この前駆
体薄膜を酸素雰囲気中において熱処理するならば、臨界
電流密度の高い超電導特性の優れた酸化物超電導層を備
えた超電導テープを得ることができる。
【0018】またさらに、上記基材が開口部上を上述し
たように摺動する際に、その摺動速度あるいは前記発熱
体の放射熱を調節することで、加熱温度を所望の温度に
自在にコントロールすることができ、前記酸化物超電導
体の前駆体、あるいは基材の組成等を考慮しつつ、その
成膜温度の設定を行なうことが可能である。従って、多
用途に対応した酸化物超電導テープを作製することがで
きる。
【0019】また、上記加熱ヒータの発熱体を石英管内
に封入し、赤外線方式のヒータにすることにより、これ
を減圧酸化雰囲気中で1000℃以上に加熱しても、前
記発熱体を形成するPt等の構成物質の蒸発を防止する
ことができ、ケース体内のコンタミネーションを防止す
ることができるとともに、前記発熱体本体の長寿命化を
図ることができる。
【0020】
【実施例】以下に本発明の酸化物超電導テープ製造用加
熱ヒータ及び酸化物超電導テープの製造方法における一
実施例について説明する。図1(a)は、酸化物超電導
体製造用のレーザ蒸着装置やスパッタリング装置などの
成膜装置の真空チャンバの内部に設置される本発明に係
る加熱ヒータの一例を示している。なお、前記成膜装置
の真空チャンバは真空排気装置に接続されて内部を減圧
雰囲気中にできるようになっているとともに、酸素ガス
供給源に接続されていて減圧雰囲気下に所望量の酸素ガ
スを供給できるようになっている。
【0021】この例の加熱ヒータ1は、横長のもので、
横長のケース体2の内部には石英管3内に発熱体4を真
空封入した赤外線加熱式のランプヒータ5が収納されて
おり、前記ケース体2の上面には、これを覆う2枚の熱
板6a、6bが設けられてなるものである。そして、前
記2枚の熱板6a、6bの間には、テープ状の基材7が
摺動する位置に沿って、テープ幅Hよりやや小さい間隔
を有する開口部8が形成されている。
【0022】前記ランプヒータ5の発熱体4は、タング
ステン(W)等から形成された加熱コイルであり、前記
ケース体2は耐熱性に優れ融点の高いインコネル等から
形成されたものであって、ランプヒータ5が発生させた
熱を上方に均一に放射するものである。また、前記蓋体
6a、6bは前記ケース体2と同素材のインコネルから
形成されたものである。
【0023】そして、上記構成からなる加熱ヒータ1の
熱板6a、6b間に形成された開口部8の上を、前記熱
板6a、6b両者の側辺部にW=5mm程度接触摺動す
るような状態でテープ状の基材7が図1(a)の右側か
ら左側に向けて平行移動されるようになっている。この
基材7が前記熱板6a、6bの両側辺部にて接触する幅
W、Wは、できるだけ少なくして、基材7と熱板6a、
6bとの摩擦を限りなく小さくする必要があるが、前記
基材7上に酸化物超電導体の前駆体薄膜を蒸着させる際
に、前記蒸着物質が前記ランプヒータ5に蒸着されない
程度に、ある程度の接触幅W、Wを保持する必要があ
る。
【0024】前記基材7としては、ハステロイや貴金属
などからなる金属テープを用いても良く、更には、金属
テープの上に中間層としてのYSZ(イットリウム安定
化ジルコニア)層やMgO層などを被覆したものを用い
てもよい。更に、前記基材7の移動機構としては、加熱
ヒータ1の両側方にテープ状の基材7の送出装置が設け
られ、加熱ヒータ1の左側方にテープ状の基材7の巻取
装置が設けられていて、前記送出装置から巻取装置側に
基材7を送り出して移動できるようになっている。
【0025】よって、前記構成の加熱ヒータ1において
は、ランプヒータ5に通電することにより発生した熱
を、ケース体2で上方に均一に放射するとともに、基材
7を前記ケース体2の上面を覆う熱板6a、6bのそれ
ぞれの側辺部に5mm程度接触した状態で、前記開口部
8上を移動させることにより、前記基材7を加熱するも
のである。ここで、前記基材7は、ランプヒータ5より
発生した熱を熱板6a、6bの開口部8より直接受ける
ことができるものであって、さらに、前記基材7が熱板
6a、6bのそれぞれの側辺部に接触摺動することによ
り発生する摩擦は無視できる程度に小さく、基材7の摺
動速度に何等影響するものではないので、前記基材7表
面の温度制御は、前記ランプヒータ5の放射熱及び前記
基材7の摺動速度のコントールにより自由に調製するこ
とができる。
【0026】そこで、上記構成からなる加熱ヒータ1を
用いて、酸化物超電導テープを製造する方法について説
明する。まず、図1に示すように、基材7を加熱ヒータ
1の開口部8上に配し、酸化物超電導体の前駆体を成膜
するのであるが、前記前駆体薄膜を成膜する前に、中間
層として前記基材7上にYSZ(イットリウム安定化ジ
ルコニア)などの多結晶薄膜を形成した場合を例にとっ
て説明する。前記基材7上に、中間層としてのYSZの
多結晶薄膜を形成するためには、YSZのターゲットを
用いてパッタリング装置、あるいはレーザ蒸着装置によ
り前記基材7上に多結晶薄膜を形成する。この多結晶薄
膜の中間層は、それ自身の結晶構造が酸化物超電導体の
結晶構造に類似しているので、結晶整合性を配慮して設
けるとともに、基材7とその上に形成される酸化物超電
導体の前駆体薄膜との元素拡散反応を制御し、基材7と
前駆体薄膜の熱膨張率の差異に起因する熱応力の解消を
狙うためのものである。
【0027】そして、上記のように基材7上にYSZの
多結晶薄膜を形成したならば、この多結晶薄膜上に酸化
物超電導体の前駆体薄膜を形成する。この前駆体薄膜を
多結晶薄膜上に形成するには、図2に示すレーザ蒸着装
置10を使用する。
【0028】このレーザ蒸着装置10は、処理容器11
を有し、この処理容器11の内部の蒸着処理室12に、
基材7とターゲット13を設置できるようになってい
る。即ち、蒸着処理室12の底部には、基台14が設け
られ、この基台14の上部に加熱ヒータ1が設けられ、
その上方において基材7を水平状態で移動できるように
なっているとともに、加熱ヒータ1の斜め上方に支持ホ
ルダ15によって支持されたターゲット13傾斜状態で
設けられている。処理容器11は、排気孔16を介して
図示略の真空排気装置に接続されて内部を減圧できるよ
うになっている。
【0029】前記ターゲット13は、形成しようとする
酸化物超電導薄膜と同等または近似した組成、あるい
は、成膜中に逃避しやすい成分を多く含有させた複合酸
化物の結焼体あるいは酸化物超電導体などの板体からな
っている。前記基台14は加熱ヒータ1を支持するため
のものであり、この加熱ヒータ1は、先の例で説明した
ように、石英管3内に封入された発熱体4と熱板6a、
6bとからなり、前記熱板6a、6bにより開口部8が
形成されてなり、この開口部8上に基材6a、6bを摺
動させることにより、前記基材7を所望の温度に穏やか
に加熱することができるようになっている。
【0030】また、前記加熱ヒータ1の右側には、テー
プ状の基材7を送り出すの送出装置22が設けられてい
て、加熱ヒータ1の左側にはテープ状の基材7の巻取装
置23が設けられており、前記送出装置22から基材7
を加熱ヒータ1の上面側に送り込み、加熱ヒータ1の開
口部8を通過させた後に、巻取装置23で巻取ることが
できることになっている。そして、前記基材7の加熱温
度は、前記発熱体3からの放射熱及び基材の摺動速度に
より適宜調製することができるものである。
【0031】一方、処理容器11の側方には、レーザ発
光装置17と第一反射板18と集光レンズ19と第二反
射鏡20とが設けられ、レーザ発光装置17が発生させ
たレーザビームを処理容器11の側壁に透明窓21を介
してターゲット13に集光照射できるようになってい
る。レーザ発光装置17はターゲット13から構成粒子
をえぐり出すか、蒸発させることができるものであれ
ば、YAGレーサ、CO2レーザ、エキシマレーザなど
のいずれのものを用いても良い。
【0032】以上説明したような図2に示す構成からな
るレーザ蒸着装置17において、送出装置22に多結晶
薄膜を形成した基材7をセットした後、蒸着処理室12
を真空ポンプで減圧する。ここで、蒸着処理室12に酸
素ガスを導入して、蒸着処理室12を酸素雰囲気とす
る。また、送出装置22を作動させて基材7を加熱ヒー
タ1の上方側に順次送り出し、開口部8上を摺動させる
とともに、加熱ヒータ1を作動させて基材7を所望の温
度に加熱する。
【0033】次に、レーザ発光装置17から発生させた
レーザビームを蒸着処理室12のターゲット13に集光
照射する。これによってターゲット13の構成粒子がえ
ぐり出されるか蒸発されて、その粒子が基材7上の多結
晶薄膜上に堆積する。この粒子の堆積は、加熱ヒータ1
の開口部8上の基材7に対して行なわれる。
【0034】前記基材7は、加熱ヒータ1のランプヒー
タ5から放射熱により加熱され、所定の成膜温度に維持
された状態で、前述のように粒子の堆積が行なわれて前
駆体薄膜が形成される。従って、基材7上に堆積された
前駆体薄膜は前述した好適な加熱条件で加熱処理される
ので、成膜後に前駆体薄膜中に雰囲気中の酸素を充分に
取り込ませることができる。また、前述のように基材7
を加熱するならば、むら無く一様に前記基材7を所定の
成膜温度に加熱することができるので、前記基材7と前
駆体の間に生じる熱応力を少なくすることができ、前駆
体薄膜に負荷される熱応力も少なくすることが可能でク
ラックを生じさせることもない。よって、この前駆体薄
膜を熱処理するならば、良好な超電導特性を発揮する超
電導層を備えた酸化物超電導体を製造することができ
る。
【0035】そしてまた、前記加熱ヒータ1に使用した
ランプヒータ5は発熱体4を石英管3内に封入した赤外
線方式のヒータであるために、これを減圧酸化雰囲気中
で1000℃以上に加熱しても、前記発熱体4を構成す
るPt等の構成物質自身の蒸発を防止することができ、
ケース体2内のコンタミネーションを防止することがで
きるとともに、前記発熱体4自身の長寿命化を図ること
ができる。
【0036】そこで、上記のような構成からなる本発明
における加熱ヒータについて、以下のような試験を行な
った。 (試験例)図1(a)〜図1(c)に示すようなインコ
ネルからなるケース体2に収納されたランプヒータ5、
5によりケース体2内を720℃に設定した後、このケ
ース体2を覆うように設けられたインコネルからなる熱
板6a、6bにより形成された開口部8上に基材7を配
して、これを800mm/時間で前記開口部7上を摺動
させ、基材7上面に配置した熱電対で前記基材7の温度
を計測した結果を図3に示す。前記基材7は、長さ1
m、幅5m、厚さ0.1mmのハステロイからなる金属
テープにスパッタリングにより中間層として厚さ0.5
μmのYSZの中間層を形成したものであり、レーザ蒸
着用のターゲットはY1Ba2Cu37-Xなる組成の酸化
物ターゲットを用いたものである。
【0037】図3に示す結果から明らかなように、本発
明による加熱ヒータ1によれば、この開口部8上に基材
7を配し、これをケース体2内に収納されたランプヒー
タ5、5による放射熱により直接加熱することで、前記
基材7を一様にむら無く加熱することができ、所定の温
度に維持することができる。従って、上記のように本発
明の加熱ヒータ1によれば、テープ状の基材7を酸化物
超電導体製造用として理想的な条件に加熱し、その温度
を維持することができるものである。なお、前記基材7
の摺動速度については、200mm/時間から800m
m/時間の各速度について、様々な速度で上記と同様な
試験を行なったが、上記試験例と同様に、基材7は全て
一様にむら無く加熱され、所定の成膜温度に維持するこ
とがてきた。
【0038】そこで、上記のような加熱ヒータ1を用い
た酸化物超電導テープの製造例について、以下に説明す
る。 (製造例)まず、長さ1m、幅5mm、厚さ0.1mm
のハステロイからなる金属テープにスパッタリングによ
り中間層として厚さ0.5μmのYSZを形成した後、図
1(a)〜図1(c)に示すように加熱ヒータ1の開口
部8上に配した。レーザ蒸着用のターゲットはY1Ba2
Cu37-xなる組成の酸化物ターゲットを用いた。
【0039】そして前記基材7を摺動速度200mm/
時間に設定し、前記と同等の条件で加熱ヒータ1による
加熱を行ないつつ、図2に示す装置を用いて、蒸着処理
室12の内部を10-5Torr以下に減圧し、0.2T
orrの酸素ガス雰囲気としてから厚さ1.0μmの酸化
物超電導体の前駆体薄膜を成膜した。次いで、この前駆
体薄膜に760Torrの酸素ガス雰囲気中において7
20℃×2時間の熱処理を施してY1Ba2Cu37-x
る組成の酸化物超電導層を有する超電導テープを得た。
【0040】得られた超電導テープの臨界温度を測定し
たところ、全長1mにわたり、臨界温度(Tc)は88
〜89Kを示し、臨界電流密度(Jc)は1×103〜1
4A/cm2(77K、0ステラ)の高い特性を発揮し
た。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る加熱ヒ
ータは、発熱体とこれを収納するケース体と前記ケース
体上面を覆う熱板とから構成され、前記熱板の基材摺動
部分に基材幅より狭い幅を有する開口部が設けられてな
るものであって、この加熱ヒータの上記開口部上面に、
テープ状の基材を前記蓋体の側辺部に接触させつつ摺動
させ、前記発熱体から放射された熱により基材を加熱し
つつ、酸化物超電導体の前駆体薄膜が成膜されることに
より、前記基材は一様にむら無く加熱されて、前駆体に
雰囲気中の酸素を充分に取り込ませることができ、結晶
性の良好な酸化物超電導体の前駆体の生成が可能であ
る。また、前記のように基材全体を一様に加熱すること
によって基材と前駆体薄膜の間の熱膨張の差異に起因す
る熱応力も低減することが可能で、前駆体薄膜にクラッ
クを生じさせることがない。よって、この前駆体薄膜を
酸素雰囲気中において熱処理するならば、臨界電流密度
の高い超電導特性の優れた酸化物超電導層を備えた超電
導テープを得ることができる。
【0042】またさらに、上記基材が開口部上を上述し
たように摺動する際に、その摺動速度あるいは前記発熱
体の放射熱を調節することで、加熱温度を所望の温度に
自在にコントロールすることができ、前記酸化物超電導
体の前駆体、あるいは基材の組成等を考慮しつつ、その
成膜温度の設定を行なうことが可能である。従って、多
用途に対応した酸化物超電導テープを作製することがで
きる。
【0043】また、上記加熱ヒータの発熱体を石英管内
に封入し、赤外線方式のヒータにすることにより、これ
を減圧酸化雰囲気中で1000℃以上に加熱しても、前
記発熱体を形成するPt等の構成物質の蒸発を防止する
ことができ、ケース体内のコンタミネーションを防止す
ることができるとともに、前記発熱体本体の長寿命化を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、本発明の酸化物超電導テープ製造
用加熱ヒータを示す斜視図である。(b)は、図1
(a)の上面図である。(c)は、図1(a)の側面図
である。
【図2】 図1に示す本発明の酸化物超電導テープ製造
用加熱ヒータを酸化物超電導体製造用のレーザ蒸着装置
やスパッタリング装置などの成膜装置の真空チャンバの
内部に設置された状態の全体図を示す図である。
【図3】 図1に示す本発明の酸化物超電導テープ製造
用加熱ヒータ上に基材を摺動させて基材の加熱温度変化
を測定した試験例の結果を示す図である。
【図4】 (a)は、従来の酸化物超電導テープ製造用
加熱ヒータを示す斜視図である。(b)は、図4(a)
の上面図である。(c)は、図4(a)の側面図であ
る。
【図5】 図4に示す従来の酸化物超電導テープ製造用
加熱ヒータ上に基材を摺動させて基材の加熱温度変化を
測定した測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1、30…酸化物超電導テープ製造用加熱ヒータ 2、
31…ケース体 3…石英管 4、32…発熱体 5…ランプヒータ 6
a、6b…熱板 7、37…基材 8…開口部 10
…レーザ装置 11…処理容器 12…蒸着処理室 1
3…ターゲット 14…基台 15…支持ホルダ 16
…排気孔 17…レーザ蒸着装置 18…第一反射板
19…集光レンズ 20…第二反射鏡 21…透明窓 22…送出装置 23…巻取装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 宰 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に酸化物超電導層の前駆体を成膜
    法により形成するための真空チャンバの内部に設けられ
    て上面を通過するテープ状の基材を加熱する加熱ヒータ
    おいて、 前記加熱ヒータが、発熱体とこれを収納するケース体と
    前記ケース体上面を覆う熱板とから構成され、前記熱板
    の基材摺動部分に基材幅より狭い開口幅を有する開口部
    が形成されてなることを特徴とする酸化物超電導テープ
    製造用ヒータ。
  2. 【請求項2】 発熱体に、石英管内に発熱体が封入され
    てなる赤外線加熱方式のランプヒータが使用されてなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導テープ
    製造用加熱ヒータ。
  3. 【請求項3】 発熱体とこれを収納するケース体と前記
    ケース体上面を覆う熱板とから構成され、前記熱板の基
    材摺動部分に基材幅より狭い開口幅を有する開口部が形
    成されてなる酸化物超電導テープ製造用加熱ヒータを真
    空チャンバ内に設置し、この加熱ヒータの開口部上面を
    通過するようにテープ状の基材を摺動させて、前記開口
    部上を摺動する基材を成膜時に望まれる所定の成膜温度
    に加熱しつつ、基材上面に酸化物超電導層の前駆体薄膜
    を形成することを特徴とする酸化物超電導テープの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 発熱体に、石英管内に発熱体が封入され
    てなる赤外線加熱方式のランプヒータを使用することを
    特徴とする請求項3に記載の酸化物超電導テープの製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003105530A (ja) * 2001-09-27 2003-04-09 Vacuum Products Kk レーザアブレーション装置
JP2005534157A (ja) * 2002-07-26 2005-11-10 メトル、アクサイド、テクナラジズ、インク テープ基板上の超伝導材料のための方法および装置
US8124170B1 (en) 2004-01-23 2012-02-28 Metal Oxide Technologies, Inc Method for forming superconductor material on a tape substrate
KR101238710B1 (ko) * 2011-05-20 2013-03-04 한국과학기술원 초전도체 박막의 제조 방법

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