JPH06225554A - 超音波モータ及び超音波搬送装置 - Google Patents

超音波モータ及び超音波搬送装置

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Publication number
JPH06225554A
JPH06225554A JP5010726A JP1072693A JPH06225554A JP H06225554 A JPH06225554 A JP H06225554A JP 5010726 A JP5010726 A JP 5010726A JP 1072693 A JP1072693 A JP 1072693A JP H06225554 A JPH06225554 A JP H06225554A
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JP
Japan
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elastic body
energy conversion
mechanical energy
electro
shaped
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Withdrawn
Application number
JP5010726A
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English (en)
Inventor
Takahiro Oda
高広 小田
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Delivering By Means Of Belts And Rollers (AREA)
  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】発生するトルクを大きくすることができ、回転
を安定させることができる超音波モータ及び超音波搬送
装置を提供する。 【構成】一端が支持された板形状弾性体51と、該板形
状弾性体51に連結された円筒形状弾性体52を有し、
連結部に固定された電気−機械エネルギ変換素子に、同
じ周波数で設定された角度だけ位相が異なる二つの交流
電圧が印加される。両弾性体51,52が撓(たわ)み
振動し、該円筒形状弾性体52の自由端に圧接させられ
た駆動ローラが回転する。該駆動ローラから円筒形状弾
性体52に加えられる力は、電気−機械エネルギ変換素
子によって受けられるため、回転振動や楕円(だえん)
振動の共振周波数及び振幅が変動することがなく、駆動
ローラが発生するトルクを大きくすることができる。そ
して、該回転ローラが回転することによってシート状搬
送物が搬送される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動現金取扱機、電
話、自動切符発行機等で使用されるカード、又はプリン
タ、ファクシミリ、複写機等で使用される紙、フィルム
等を搬送するための超音波モータ及び超音波搬送装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動現金取扱機、電話、自動切符
発行機等で使用されるカード、又はプリンタ、ファクシ
ミリ、複写機等で使用される紙、フィルム等(以下、
「シート状搬送物」という。)を搬送するために、超音
波モータが使用されていて、金属角柱から成る角柱振動
子を共振周波数で屈曲振動させ、該角柱振動子の両端に
配設されたカップ状回転ローラを回転させてシート状搬
送物を搬送するようになっている(特開平1−2746
74号公報参照)。
【0003】図2は従来の超音波モータに使用される圧
電振動子の斜視図である。図において、100は圧電振
動子であり、該圧電振動子100はほぼ正方形の断面を
有する金属角柱101を有しており、該金属角柱101
の隣接する二つの面に圧電セラミックス薄板102a,
102bが接着される。該圧電セラミックス薄板102
a,102bは、厚さ方向に分極されるとともに裏表両
面に図示しない電極が形成される。そして、該電極を介
して圧電セラミックス薄板102a,102bに対しあ
らかじめ設定した方法によって交流電圧を加えると、電
界が発生して前記圧電セラミックス薄板102a,10
2bが伸縮振動する。この場合、前記金属角柱101は
ほぼ正方形の断面を有するため、互いに直角な方向にほ
ぼ同じ共振周波数で屈曲振動する。
【0004】そして、前記圧電セラミックス薄板102
a,102bに対し、それぞれの周波数が金属角柱10
1の共振周波数に等しく、位相が90〔°〕異なる交流
電圧を印加すると、金属角柱101の両端は回転振動又
は楕円(だえん)振動する。前記金属角柱101の両端
には円板103a,103bが装着され、更に金属角柱
101に発生する屈曲振動の節に支持ピン104a,1
04bが設けられ、該支持ピン104a,104bによ
って金属角柱101は安定して支持される。
【0005】図3は従来の超音波モータの斜視図であ
る。図において、100は圧電振動子、101は金属角
柱、103bは円板、104a,104bは支持ピンで
ある。前記金属角柱101の両端に装着された円板10
3a(図2),103bの外周に、円板103a,10
3bの外径よりわずかに大きい内径を有するカップ状回
転ローラ201a,201bが配設される。したがっ
て、前記金属角柱101の両端が回転振動又は楕円振動
すると、円板103a,103bはカップ状回転ローラ
201a,201bと接触し、該カップ状回転ローラ2
01a,201bを摩擦力で回転させる。なお、該カッ
プ状回転ローラ201a,201bは、軸受202a,
202bによって回転自在に支持される。
【0006】図4は従来の超音波搬送装置の斜視図であ
る。図において、100は圧電振動子、101は金属角
柱、104a,104bは支持ピン、201a,201
bはカップ状回転ローラ、202a,202bは軸受で
ある。前記カップ状回転ローラ201a,201bに対
して圧接するように補助ローラ301a,301bが配
設され、該補助ローラ301a,301bを軸受302
a,302bが回転自在に支持する。また、前記補助ロ
ーラ301a,301bは互いに軸303によって連結
される。
【0007】そして、前記金属角柱101の両端が回転
振動又は楕円振動すると、前記カップ状回転ローラ20
1a,201bが回転し、補助ローラ301a,301
bが従動して回転する。したがって、該カップ状回転ロ
ーラ201a,201bと補助ローラ303a,303
b間に図示しないシート状搬送物を挿入すると、該シー
ト状搬送物を容易に搬送することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の超音波モータ及び超音波搬送装置においては、シー
ト状搬送物を搬送する間に、前記カップ状回転ローラ2
01a,201bが円板103a,103bを押圧する
ことによって金属角柱101に加えられる力の方向と、
圧電セラミックス薄板102a,102bが伸縮するこ
とによって金属角柱101に加えられる力の方向が一致
しないため、金属角柱101に加えられる力を圧電セラ
ミックス薄板102a,102bの伸縮振動によって受
けることができない。したがって、カップ状回転ローラ
201a,201bが円板103a,103bを押圧す
る力が大きくなると、金属角柱101の曲げ剛性に影響
が与えられ、回転振動又は楕円振動の共振周波数及び振
幅が変動し、発生するトルクを大きくすることができな
くなってしまう。
【0009】さらに、前記金属角柱101とカップ状回
転ローラ201a,201bが別々に支持されるため、
超音波モータ及び超音波搬送装置を各種装置へ実装する
時の位置合せが困難となり、カップ状回転ローラ201
a,201bの回転にむらが生じてしまう。本発明は、
前記従来の超音波モータ及び超音波搬送装置の問題点を
解決して、発生するトルクを大きくすることができ、回
転を安定させることができる超音波モータ及び超音波搬
送装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の超
音波モータにおいては、一端が支持された板形状弾性体
と、該板形状弾性体の他端に連結された円筒形状弾性体
を有し、前記板形状弾性体と円筒形状弾性体の連結部に
電気−機械エネルギ変換素子が固定される。該電気−機
械エネルギ変換素子には、同じ周波数で設定された角度
だけ位相が異なる二つの交流電圧が印加される。そし
て、前記円筒形状弾性体の自由端に駆動ローラが圧接さ
せられ、該駆動ローラは前記自由端に発生する振動によ
って回転する。
【0011】また、前記電気−機械エネルギ変換素子
を、複数の板状の電気−機械エネルギ変換素子を積層し
た積層型電気−機械エネルギ変換素子で構成することが
できる。この場合、少なくとも一つの板状の電気−機械
エネルギ変換素子が出力する電圧が検出され、検出され
た電圧に対応して前記交流電圧が制御される。そして、
前記構成の超音波モータを二つ使用して超音波搬送装置
が構成される。
【0012】そのため、第1の超音波モータと、該第1
の超音波モータと並列に配設された第2の超音波モータ
が設けられ、該第1、第2の超音波モータ間に補助ロー
ラが配設される。そして、該補助ローラ及び駆動ローラ
は、シート状搬送物を挟持して搬送することができる位
置に設定される。
【0013】また、他の超音波モータにおいては、一端
が支持された板形状弾性体と、該板形状弾性体の他端に
連結された段付円柱形状弾性体を有し、該段付円柱形状
弾性体における設定された位置に電気−機械エネルギ変
換素子が固定される。該前記電気−機械エネルギ変換素
子には、同じ周波数で設定された角度だけ位相が異なる
二つの交流電圧が印加される。そして、前記段付円柱形
状弾性体の自由端に駆動ローラが圧接させられ、該駆動
ローラは前記自由端に発生する振動によって回転する。
【0014】
【作用】本発明によれば、前記のように超音波モータ
は、一端が支持された板形状弾性体と、該板形状弾性体
の他端に連結された円筒形状弾性体を有し、前記板形状
弾性体と円筒形状弾性体の連結部に電気−機械エネルギ
変換素子が固定される。該電気−機械エネルギ変換素子
に、同じ周波数で設定された角度だけ位相が異なる二つ
の交流電圧が印加されると、前記板形状弾性体と円筒形
状弾性体が撓(たわ)み振動し、該円筒形状弾性体の自
由端は回転振動又は楕円振動する。そして、円筒形状弾
性体の自由端に駆動ローラが圧接させられるため、該駆
動ローラは前記自由端の回転振動又は楕円振動によって
回転する。この場合、前記駆動ローラから円筒形状弾性
体に加えられる力は、電気−機械エネルギ変換素子によ
って受けられる。
【0015】また、前記電気−機械エネルギ変換素子
を、複数の板状の電気−機械エネルギ変換素子を積層し
た積層型電気−機械エネルギ変換素子で構成することが
できる。この場合、少なくとも一つの板状の電気−機械
エネルギ変換素子が出力する電圧を検出し、検出した電
圧によって円筒形状弾性体の振動状態が分かる。この振
動状態に対応して前記交流電圧を制御し、駆動ローラの
回転を安定させることができる。
【0016】そして、前記構成の超音波モータを二つ使
用して超音波搬送装置が構成される。そのため、第1の
超音波モータと、該第1の超音波モータと並列に配設さ
れた第2の超音波モータが設けられ、該第1、第2の超
音波モータ間に補助ローラが配設される。
【0017】そして、該補助ローラ及び駆動ローラは、
シート状搬送物を挟持して搬送することができる位置に
設定するため、シート状搬送物は1枚ずつ分離させられ
る。また、他の超音波モータにおいては、一端が支持さ
れた板形状弾性体と、該板形状弾性体の他端に連結され
た段付円柱形状弾性体を有し、該段付円柱形状弾性体に
おける設定された位置に電気−機械エネルギ変換素子が
固定される。該電気−機械エネルギ変換素子に、同じ周
波数で設定された角度だけ位相が異なる二つの交流電圧
が印加されると、前記板形状弾性体と段付円柱形状弾性
体が撓み振動し、該段付円柱形状弾性体の自由端は回転
振動又は楕円振動する。そして、段付円柱形状弾性体の
自由端に駆動ローラが圧接させられるため、該駆動ロー
ラは前記自由端の回転振動又は楕円振動によって回転す
る。この場合、前記駆動ローラから段付円柱形状弾性体
に加えられる力は、電気−機械エネルギ変換素子によっ
て受けられる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施例を
示す超音波モータに使用されるL字型振動子の概略図で
ある。図の(a)はL字型振動子の斜視図、(b)はL
字型振動子の側面図、(c)はL字型振動子の第1の振
動モードを示す図、(d)は第2の振動モードを示す図
である。
【0019】図において、50はL字型振動子であり、
該L字型振動子50は金属製の板形状弾性体51と金属
製の円筒形状弾性体52を連結し、連結部に積層型電気
−機械エネルギ変換素子54を配設し、支持シャフト5
3によってそれぞれを締め付け接着することにより形成
される。前記積層型電気−機械エネルギ変換素子54
は、中央に図示しない穴が形成され、厚さ方向において
分割され分極された複数の円板状の電気−機械エネルギ
変換素子を重ねて形成される。
【0020】前記支持シャフト53の締付部53bと円
筒形状弾性体52の内周面にねじが形成されており、締
付け及び接着の作業を容易にしている。そして、積層型
電気−機械エネルギ変換素子54に図示しないリード端
子を介して交流電圧を印加することによってL字型振動
子50は振動する。すなわち、該L字型振動子50の支
持部51aを図示しない超音波搬送装置の本体に固定
し、積層型電気−機械エネルギ変換素子54に交流電圧
を印加すると、L字型振動子50は図の(c)及び
(d)に示す二つの振動モードで振動する。図の(c)
の第1の振動モードにおいては、板形状弾性体51と円
筒形状弾性体52の連結部に節55が形成され、板形状
弾性体51と円筒形状弾性体52がx−y平面内で撓み
振動し、円筒形状弾性体52に節56aが形成される。
なお、57は前記支持部51aの支点である。
【0021】一方、図の(d)の第2の振動モードにお
いては、円筒形状弾性体52がy−z平面内で撓み振動
し、板形状弾性体51がx軸回りにねじり振動する。こ
の場合、前記円筒形状弾性体52には(c)の節56a
の位置と一致するか十分近接した位置に節56bが形成
される。なお、図の(d)の節55はねじり振動と撓み
振動の境界点になり、第2の振動モードにおいては不動
である。そして、(c)と(d)の各振動モードにおけ
る撓み振動の共振周波数を一致させるか十分近接させ、
節56a,56bの位置を一致させるか十分近接させ、
位相を90〔°〕異ならせることによって、L字型振動
子50の先端部52bを回転振動又は楕円振動させるこ
とができる。
【0022】そして、先端部52bの回転振動又は楕円
振動をしやすくするために、円筒形状弾性体52の節5
6a,56bの位置と一致させるか十分近接した位置に
切欠部52aが形成される。また、L字型振動子50の
内部には、後述する駆動ローラを支持するための支持シ
ャフト53が配設される。該支持シャフト53は締付部
53bと駆動ローラ支持部53aの断面積を変化させる
ことによって段付シャフト構造を有しており、L字型振
動子50の先端部52bと駆動ローラ支持部53aは互
いに位相差を形成して回転振動又は楕円振動するように
なっている。この時の位相差は、駆動ローラが先端部5
2bから回転振動又は楕円振動を受けたときに発生する
摩擦力に影響を与え、駆動ローラの回転効率を変動させ
る。なお、位相が180〔°〕異なる時に駆動ローラの
回転効率が最も高くなる。そこで、位相が180〔°〕
異なるように、支持シャフト53の段形状、寸法及び材
質が設定される。
【0023】図5は本発明の第1の実施例における積層
型電気−機械エネルギ変換素子の概略図、図6は本発明
の第1の実施例における積層型電気−機械エネルギ変換
素子の作動原理図である。図5の(a)は積層型電気−
機械エネルギ変換素子の斜視図、(b)は電気−機械エ
ネルギ変換素子の斜視図である。図において、積層型電
気−機械エネルギ変換素子54は、5枚の円板状の電気
−機械エネルギ変換素子59と6枚の電極板60a〜6
0fを交互に積層して構成されている。各電極板60a
〜60fは円筒形状弾性体52(図1)又は板形状弾性
体51と同様な弾性材料から成り、外周の対称位置に2
本の電極片を有する。そして、各電極板60a〜60f
の2本の電極片を使用し、各電気−機械エネルギ変換素
子59を図の(a)のように容易に位置決めして重ね合
わせることができる。また、電極板60a〜60fの電
極片は図6で示すようにリード線の役割を果たす。
【0024】前記電気−機械エネルギ変換素子59は、
素子本体59a、半円形電極膜61a,61b及び円形
電極膜62から成る。前記素子本体59aは、半円形電
極膜61aと半円形電極膜61bによって厚さ方向にお
いて分割され分極されており、半円形電極膜61aの表
面極性を正とすると、半円形電極膜61bの表面極性は
負となる。なお、円形電極膜62は、前記半円形電極膜
61a,61bの共通電極となり、図6で示すように積
層型電気−機械エネルギ変換素子54のグランド端子と
して使用される。
【0025】そして、円形電極膜62をグランド端子と
して、半円形電極膜61a,61bに直流電圧を印加す
ると、半円形電極膜61a側の素子本体59aはy軸の
方向に伸びるかy軸の正方向に撓み、一方の半円形電極
膜61b側の素子本体59aはy軸の方向に縮むかy軸
の負方向に撓む。なお、前記素子本体59aは印加され
る直流電圧の大きさに比例して変形する。
【0026】これに対して、電気−機械エネルギ変換素
子59に交流電圧を印加すると、半円形電極膜61a側
の素子本体59aと半円形電極膜61b側の素子本体5
9aは、それぞれ位相を180〔°〕異ならせて振動す
る。すなわち、半円形電極膜61a,61bを包む程度
の大きさの平板状弾性体をy軸の方向から素子本体59
aに接触させると、平板状弾性体はx−y平面内でギャ
ップ63と一致するか十分近接した位置を振動の節とし
て撓み振動する。また、電気−機械エネルギ変換素子5
9と同じ直径の円柱形状又は円筒形状の弾性体をy軸の
方向から素子本体59aに接触させると、弾性体はx−
y平面内でy軸を振動の中心軸として撓み振動する。
【0027】なお、半円形電極膜61a,61bのギャ
ップ63は図5の(a)のように電気−機械エネルギ変
換素子59を重ね合わせるときの分割方向の目印とな
り、積層型電気−機械エネルギ変換素子54を効率良く
組み付けることが可能となる。前記積層型電気−機械エ
ネルギ変換素子54は、電気−機械エネルギ変換素子5
9を重ね合わせるときの分割方向及び役割から三つの積
層部S1 〜S3 に分けられる。積層部S1 においては、
ギャップ63がz軸の方向に位置するように二つの電気
−機械エネルギ変換素子59の各半円形電極膜61a,
61bを電極板60bに接触させている。一方、積層部
2 においては、ギャップ63が積層部S1 のギャップ
63に対してy軸回りに位相を90〔°〕異ならせた方
向に位置するように、二つの電気−機械エネルギ変換素
子59の各半円形電極膜61a,61bを電極板60d
に接触させている。そして、積層部S3 においては、ギ
ャップ63が積層部S1 のギャップ63と同じ方向に位
置するように一つの電気−機械エネルギ変換素子59の
半円形電極膜61a,61bを電極板60fに接触させ
ている。そして、各電極板60a,60c,60eは接
地される。
【0028】該積層型電気−機械エネルギ変換素子54
を振動させる場合、各電極板60a〜60fを図6に示
すように配線する。すなわち、電極板60a,60c,
60eを接地し、電極板60bを介して電源64から積
層部S1 に交流電圧を印加し、電極板60dを介して電
源65から積層部S2 に交流電圧を印加する。その結
果、積層部S1 においては電源64からの交流電圧によ
ってx−y平面内でy軸を振動の中心軸として撓み振動
し、積層部S2 においては電源65からの交流電圧によ
ってx−z平面内でy軸を振動の中心軸として撓み振動
する。この時、積層部S1 ,S2 で発生する二つの撓み
振動の位相を90〔°〕異ならせて合成すると、積層型
電気−機械エネルギ変換素子54は回転振動又は楕円振
動する。そのため、電源64,65から同一の周波数の
交流電圧を互いに位相を90〔°〕異ならせて印加す
る。そして、回転振動又は楕円振動の振幅は電源64,
65からの交流電圧の大きさ、位相差、周波数等によっ
て制御することができる。
【0029】また、前記電極板60fに接続された端子
66からは、回転振動又は楕円振動が積層部S3 へ与え
る応力の大きさに比例した電圧が出力されるため、端子
66を図示しない制御回路に接続して前記電圧を検出
し、積層部S3 を積層型電気−機械エネルギ変換素子5
4の振動状態を検出する素子として使用することができ
る。この場合、検出された電圧に基づいて積層型電気−
機械エネルギ変換素子54を制御することができ、L字
型振動子50を安定して振動させることが可能となる。
なお、前記端子66を図示しない切換スイッチを介して
前記制御回路及び他の電源に接続し、切換スイッチを切
り換えることによって積層部S3 を駆動用として使用し
たり、L字型振動子50の振動状態の検出用として使用
することができる。
【0030】ところで、前記積層型電気−機械エネルギ
変換素子54が図1の(a)及び(b)で示すようにL
字型振動子50に配設されると、積層部S1 の励振によ
って(c)の第1の振動モードが形成され、積層部S2
の励振によって(d)の第2の振動モードが形成され
る。この時、積層部S1 ,S2 に印加される交流電圧の
周波数を(c)及び(d)の各振動モードの共振周波数
と一致させるか十分近接させ、位相を90〔°〕異なら
せることによって、積層型電気−機械エネルギ変換素子
54の振幅が増幅させられて円筒形状弾性体52の先端
部52bが回転振動又は楕円振動する。
【0031】なお、前記積層型電気−機械エネルギ変換
素子54をL字型振動子50に配設する際に、電極板6
0aと円筒形状弾性体52間、及び電極板60fと板形
状弾性体51間は絶縁される。図7は本発明の第1の実
施例を示す超音波モータの断面図である。図において、
50はL字型振動子、51は板形状弾性体、51aは支
持部、52は円筒形状弾性体、52aは切欠部、52b
は先端部、53は支持シャフト、53aは駆動ローラ支
持部、53bは締付部、54は積層型電気−機械エネル
ギ変換素子、68は駆動ローラ、69は軸受、70はス
プリング、72は締付ナットである。
【0032】前記支持シャフト53の駆動ローラ支持部
53aに、駆動ローラ68を軸受69を介して回転自在
に支持し、駆動ローラ68と軸受69間に配設されたス
プリング70を使用して駆動ローラ68を円筒形状弾性
体52の先端部52bに圧接する。すなわち、前記L字
型振動子50においては、回転自在に支持された駆動ロ
ーラ68を円筒形状弾性体52の先端部52bに圧接さ
せ、該駆動ローラ68からトルクを得るようになってお
り、圧接力はL字型の超音波モータのトルクと関係し、
締付ナット72によって調整することができる。
【0033】前記駆動ローラ68は先端部52bの回転
振動又は楕円振動を受け、発生する摩擦力によってトル
クを得て、摩擦力が発生する方向に回転する。なお、本
実施例においては、円筒形状弾性体52の中心軸と駆動
ローラ68の回転軸を一致させて一体構造としている
が、一致させずに駆動ローラ68の回転軸をL字型振動
子50の外部に設けることもできる。
【0034】本実施例では、高摩擦係数を有し、かつ、
耐摩耗性の高い材料の膜が先端部52b又は駆動ローラ
68の表面に付着又は接着される。なお、高摩擦係数を
有し、かつ、耐摩耗性の高い材料で円筒形状弾性体52
又は駆動ローラ68自体を形成することもできる。ま
た、先端部52bの回転振動又は楕円振動を駆動ローラ
68に伝達させるために、先端部52b及び駆動ローラ
68の表面に幾何学的な面加工を施し、それぞれを噛合
させることもできる。
【0035】次に、前記構成のL字型の超音波モータを
超音波搬送装置に適用した本発明の第2の実施例につい
て説明する。図8は本発明の第2の実施例を示す超音波
搬送装置の斜視図である。図において、33は補助ロー
ラ、34はローラ、35は軸受、36は回転軸、37は
シート状搬送物、50はL字型振動子、51は板形状弾
性体、51aは支持部、52は円筒形状弾性体、54は
積層型電気−機械エネルギ変換素子、72は締付ナッ
ト、74は膜である。
【0036】前記補助ローラ33は、円筒形のローラ3
4を軸受35の外周に接着して形成され、該軸受35の
内周に配設された回転軸36によって回転自在に支持さ
れる。そして、駆動ローラ68と補助ローラ33間にカ
ード、紙、フィルム等のシート状搬送物37を挟むこと
によって容易にx軸の方向に該シート状搬送物37を搬
送することができる。この時、L字型振動子50には、
補助ローラ33からの圧接力又はシート状搬送物37の
厚さの変化によって発生するz軸の方向の反力が駆動ロ
ーラ68を介して加えられるが、これらの力を積層型電
気−機械エネルギ変換素子54の撓み振動によって受け
ることができるため、駆動ローラ68が発生するトルク
を大きくすることができる。なお、前記補助ローラ33
をz軸の方向に自由度を持つように支持することによっ
て、シート状搬送物37の厚さの変化に対応させること
ができる。
【0037】また、前記駆動ローラ68が矢印方向に回
転する場合には、シート状搬送物37は矢印方向に搬送
される。また、駆動ローラ68の外周面には、高摩擦係
数を有し、かつ、耐摩耗性の高い材料の膜74が付着又
は接着される。なお、高摩擦係数を有し、かつ、耐摩耗
性の高い材料で駆動ローラ68自体を形成することもで
きる。
【0038】なお、駆動ローラ68と補助ローラ33
間、又は駆動ローラ68の外周面に設けられた膜74と
補助ローラ33間にある程度のギャップを設けることに
よって、L字型の超音波モータを長時間駆動しない場合
に補助ローラ33、ローラ34及び駆動ローラ68が塑
性的に変形するのを防止することができる。さらに、超
音波モータと駆動源が異なるアクチュエータにより前記
ギャップを制御することによって、薄いシート状搬送物
37が搬送できなくなるのを防止することができる。ま
た、補助ローラ33を駆動ローラ68に圧接する機構
に、駆動源が異なるアクチュエータを使用した場合に
も、同様の効果を得ることができるとともに、シート状
搬送物37の厚さの変化による摩擦力の変動を補正する
ことができ、安定した搬送が可能になる。
【0039】また、シート状搬送物37の幅(y軸の方
向の長さ)が円筒形状弾性体52の長さの2倍よりも広
い場合には、図8と同様の構成の超音波モータをy軸の
方向の2箇所に配設し、各超音波モータを同期させて駆
動するとよい。この場合、各駆動ローラ68の回転数又
は回転方向を変化させることによって、シート状搬送物
37のy軸の方向への並進蛇行及びz軸回りの回転蛇行
を補正することができる。
【0040】また、前記補助ローラ33に代えて、超音
波モータのz軸の方向にもう一つの超音波モータを圧接
するとともに、二つの駆動ローラ68とシート状搬送物
37間に発生する摩擦力の方向が一致するように、それ
ぞれの超音波モータを駆動することによって、図8に示
す超音波モータと同様の効果を得ることができる。この
場合、各駆動ローラ68の回転数又は回転方向を変化さ
せることによってシート状搬送物37の搬送方向を制御
することができる。
【0041】ここで、上側の駆動ローラ68の回転数を
1 とし、下側の駆動ローラ68の回転数をN2 とす
る。そして、上側の駆動ローラ68の回転方向をy軸に
関して左回り(又は右回り)とし、下側の駆動ローラ6
8を右回り(又は左回り)とした場合、シート状搬送物
37は N1 >N2 のとき、x軸の正(又は負)方向でかつz軸の負方向に
搬送され、逆に N1 <N2 のときは、x軸の正(又は負)方向でかつz軸の正方向
に搬送される。また、回転数N1 と回転数N2 の値が一
致するか十分近接した場合には、シート状搬送物37は
x軸の正(又は負)方向でかつほとんど水平に搬送され
る。
【0042】次に、上側及び下側の両駆動ローラ68の
回転方向を同じにすると、シート状搬送物37との間で
発生する摩擦力が逆方向となるため、重なり合った状態
で挿入された2枚のシート状搬送物37のそれぞれをx
軸の正方向及び負方向に搬送し、互いを分離することが
できる。また、一方の超音波モータの支持部51aを固
定し、他方の超音波モータの支持部51aをy軸を中心
として回転自在に支持することによって、シート状搬送
物37の厚さの変化に対応させることができる。この場
合、他方の超音波モータの支持部51aを回転自在に支
持する部分に超音波モータと駆動源が異なるアクチュエ
ータを使用することによって、シート状搬送物37の厚
さの変化による摩擦力の変動を補正することができる。
また、支持部51aを回転自在に支持する部分に回転角
を検出する手段を設けることによって、シート状搬送物
37の厚さを検出することができ、シート状搬送物37
の厚さの変化による摩擦力の変動又は重送に対応するこ
とができる。すなわち、前記アクチュエータを制御して
超音波モータの回転角を変化させることによって摩擦力
の変動を補正することができ、二つの駆動ローラ68の
回転方向を制御することによって重送を防止することが
できる。
【0043】次に、本発明の第3の実施例について説明
する。図9は本発明の第3の実施例を示す超音波搬送装
置の斜視図、図10は本発明の第3の実施例を示す超音
波搬送装置における要部拡大図である。図において、3
7はシート状搬送物、68は駆動ローラ、79は段付ロ
ーラ、80は呼込ローラ、81はベルト、82は分離ロ
ーラ、83は支持シャフト、85は錘(おもり)であ
る。
【0044】この場合、L字型の超音波モータを二つ使
用してシート分離機構を構成している。そのため、二つ
の超音波モータを並列に配設し、各駆動ローラ68の外
周面に段付ローラ79を取り付ける。該段付ローラ79
と呼込ローラ80間にベルト81が架設され、L字型の
超音波モータが発生したトルクが呼込ローラ80に伝達
されるようになっている。
【0045】一方、分離ローラ82は一方向回転クラッ
チを介して支持シャフト83に取り付けられ、y軸の回
りを左方向にのみ回転することができる。また、段付ロ
ーラ79、ベルト81及び分離ローラ82の外周面に
は、高摩擦係数を有し、かつ、耐摩耗性の高い材料が付
着又は接着されており、それぞれの摩擦係数を順に
μ1,μ2 ,μ3 としたとき、 μ1 =μ2 <μ3 となるように設定される。
【0046】そして、前記分離ローラ82は一対の段付
ローラ79の間に配置され、分離ローラ82の幅k2
各段付ローラ79間のギャップk1 は k1 <k2 となるように設定される。なお、分離ローラ82と各段
付ローラ79の回転軸間距離k3 は、シート状搬送物3
7の厚さの変化に対応して自動又は手動によって調整す
ることができる。
【0047】前記構成の超音波搬送装置において、積層
状態のシート状搬送物37はL字型の超音波モータによ
って走行させられるベルト81の摩擦力を受けてx軸の
負方向に搬送される。この時の摩擦力は、積層されたシ
ート状搬送物37の最上位に乗せた錘85とシート状搬
送物37の自重によって発生する。その後、前記積層状
態のシート状搬送物37は、分離ローラ82、段付ロー
ラ79及びベルト81がz軸の方向に形成する段付ギャ
ップによって1枚のシート状搬送物37として分離さ
れ、段付ローラ79及び分離ローラ82によって挟持さ
れ搬送される。
【0048】なお、前記段付ギャップにおいて、2枚以
上の重なり合ったシート状搬送物37が入り込まないよ
うに回転軸間距離k3 が設定され、段付ギャップに入り
込んだシート状搬送物37は図10に示すように変形
し、x軸の負方向に搬送される。また、前記段付ギャッ
プに2枚のシート状搬送物37が入り込んだ場合は、下
側のシート状搬送物37は段付ローラ79とベルト81
からx軸の負方向に摩擦力を受けて搬送されるが、上側
のシート状搬送物37は分離ローラ82と接触するため
負荷を受け、段付ギャップを通過することはできない。
なお、分離ローラ82又は段付ローラ79の端面に面取
加工を施した場合でも、同様の効果を得ることができ
る。
【0049】さらに、L字型の超音波モータをシート状
搬送物37と同じ形状及び寸法を有するテーブル上に配
設し、駆動ローラ68が発生するトルクによってテーブ
ル上に載置したシート状搬送物37をテーブルごと搬送
させることができる。次に、傘型の超音波モータについ
て説明する。図11は本発明の第4の実施例を示す超音
波モータに使用される傘型振動子の概略図である。図の
(a)は傘型振動子の斜視図、(b)は傘型振動子の側
面図、(c)は傘型振動子の第1の振動モードを示す
図、(d)は第2の振動モードを示す図である。
【0050】図において、87は傘型振動子であり、該
傘型振動子87は段付円柱形状弾性体88と板形状弾性
体51をナット89で連結したL字形状弾性体90を有
し、積層型電気−機械エネルギ変換素子54を介して円
筒形状弾性体52を段付円柱形状弾性体88に締め付け
接着することによって形成される。そのため、前記段付
円柱形状弾性体88の締付部88bと円筒形状弾性体5
2の内周面にねじが形成されており、締付け及び接着の
作業を容易にしている。そして、積層型電気−機械エネ
ルギ変換素子54に図示しないリード端子を介して交流
電圧を印加することによって傘型振動子87は振動す
る。
【0051】すなわち、前記L字形状弾性体90の支持
部51aを図示しない超音波搬送装置の本体に固定し、
積層型電気−機械エネルギ変換素子54に交流電圧を印
加すると、傘型振動子87は、図の(c)及び(d)に
示す二つの振動モードで振動する。図の(c)の第1の
振動モードにおいては、板形状弾性体51と段付円柱形
状弾性体88の連結部に節55が形成され、板形状弾性
体51と段付円柱形状弾性体88がx−y平面内で撓み
振動し、段付円柱形状弾性体88に節56aが形成され
る。なお、57は前記支持部51aの支点である。
【0052】一方、図の(d)の第2の振動モードにお
いては、段付円柱形状弾性体88がy−z平面内で撓み
振動し、板形状弾性体51がx軸回りにねじり振動す
る。この場合、前記段付円柱形状弾性体88には(c)
の節56aの位置と一致するか十分近接した位置に節5
6bが形成される。なお、図の(d)の節55はねじり
振動と撓み振動の境界点になり、第2の振動モードにお
いては不動である。そして、(c)と(d)の各振動モ
ードにおける撓み振動の共振周波数を一致させるか十分
近接させ、節56a,56bの位置を一致させるか十分
近接させ、位相を90〔°〕異ならせることによって、
傘型振動子87の自由端を回転振動又は楕円振動させる
ことができる。
【0053】前記傘型振動子87においては、積層型電
気−機械エネルギ変換素子54を段付円柱形状弾性体8
8の振動の節56a,56bと一致するか十分近接した
位置に配設し、段付円柱形状弾性体88の締付部88b
のねじを使用して、円筒形状弾性体52を積層型電気−
機械エネルギ変換素子54に圧接するとともに、前記L
字形状弾性体90、積層型電気−機械エネルギ変換素子
54及び円筒形状弾性体52を接着し、一体構造として
いる。このようにして、円筒形状弾性体52の自由端
は、段付円柱形状弾性体88の自由端に発生する回転振
動又は楕円振動を受けて同じように回転振動又は楕円振
動する。
【0054】なお、前記円筒形状弾性体52の自由端の
回転振動又は楕円振動の振幅を増幅させるために、円筒
形状弾性体52に切欠部52aを形成するとともに、段
付円柱形状弾性体88の締付部88bと駆動ローラ支持
部88aの断面積を異ならせている。したがって、円筒
形状弾性体52の自由端の回転振動又は楕円振動と、段
付円柱形状弾性体88と板形状弾性体51の連結部の近
傍の振動には位相差が形成される。この時の位相差は、
後述する駆動ローラ68が円筒形状弾性体52の自由端
からの回転振動又は楕円振動を受けたときに発生する摩
擦力に影響を与え、駆動ローラ68の回転効率を変動さ
せる。なお、位相が180〔°〕異なる時駆動ローラ6
8の回転効率が最も高くなる。そこで、位相が180
〔°〕異なるように、段付円柱形状弾性体88の段形
状、寸法及び材質と、円筒形状弾性体52の切欠部52
aの寸法が設定される。
【0055】なお、前記傘型振動子87に使用される積
層型電気−機械エネルギ変換素子54は、図5及び6に
説明したものと同じ構造を有するとともに、同じ作用が
得られるので説明を省略する。ところで、前記積層型電
気−機械エネルギ変換素子54が図11の(a)及び
(b)で示すように傘型振動子87に配設されると、積
層部S1 (図5)の励振によって(c)の第1の振動モ
ードが形成され、積層部S2 の励振によって(d)の第
2の振動モードが形成される。この時、積層部S1 ,S
2 に印加される交流電圧の周波数を(c)及び(d)の
各振動モードの共振周波数と一致させるか十分近接さ
せ、位相を90〔°〕異ならせることによって、積層型
電気−機械エネルギ変換素子54の振幅が増幅させられ
て円筒形状弾性体52の自由端が回転振動又は楕円振動
する。
【0056】図12は本発明の第4の実施例を示す超音
波モータの断面図である。図において、51は板形状弾
性体、51aは支持部、52は円筒形状弾性体、52a
は切欠部、54は積層型電気−機械エネルギ変換素子、
68は駆動ローラ、69は軸受、70はスプリング、8
8は段付円柱形状弾性体、88aは駆動ローラ支持部、
88bは締付部、89はナットである。
【0057】前記段付円柱形状弾性体88の駆動ローラ
支持部88aに、駆動ローラ68を軸受69を介して回
転自在に支持し、駆動ローラ68と軸受69間に配設さ
れたスプリング70を使用して駆動ローラ68を円筒形
状弾性体52の自由端に圧接する。すなわち、前記傘型
振動子87においては、回転自在に支持された駆動ロー
ラ68を円筒形状弾性体52の自由端に圧接させ、該駆
動ローラ68からトルクを得るようになっており、圧接
力は傘型の超音波モータのトルクと関係し、ナット89
によって調整することができる。
【0058】前記駆動ローラ68は円筒形状弾性体52
の自由端の回転振動又は楕円振動を受け、発生する摩擦
力によってトルクを得て、摩擦力が発生する方向に回転
する。なお、本実施例においては、段付円柱形状弾性体
88によって駆動ローラ68の回転軸を構成している
が、一致させずに駆動ローラ68の回転軸を傘型振動子
87の外部に設けることもできる。
【0059】本実施例では、高摩擦係数を有し、かつ、
耐摩耗性の高い材料の膜が円筒形状弾性体52の自由端
又は駆動ローラ68の表面に付着又は接着される。な
お、高摩擦係数を有し、かつ、耐摩耗性の高い材料で円
筒形状弾性体52又は駆動ローラ68自体を形成するこ
ともできる。また、円筒形状弾性体52の自由端の回転
振動又は楕円振動を駆動ローラ68に伝達させるため
に、前記自由端及び駆動ローラ68の表面に幾何学的な
面加工を施し、それぞれを噛合させることもできる。
【0060】次に、前記構成の傘型の超音波モータを超
音波搬送装置に適用した本発明の第5の実施例について
説明する。図13は本発明の第5の実施例を示す超音波
搬送装置の斜視図である。図において、33は補助ロー
ラ、34はローラ、35は軸受、36は回転軸、37は
シート状搬送物、51は板形状弾性体、51aは支持
部、52は円筒形状弾性体、52aは切欠部、54は積
層型電気−機械エネルギ変換素子、74は膜、87は傘
型振動子、88は段付円柱形状弾性体である。
【0061】前記補助ローラ33は、円筒形のローラ3
4を軸受35の外周に接着して形成され、該軸受35の
内周に配設された回転軸36によって回転自在に支持さ
れる。そして、駆動ローラ68(図12)と補助ローラ
33間にカード、紙、フィルム等のシート状搬送物37
を挟むことによって容易にx軸の方向に該シート状搬送
物37を搬送することができる。この時、傘型振動子8
7には、補助ローラ33からの圧接力又はシート状搬送
物37の厚さの変化によって発生するz軸の方向の反力
が駆動ローラ68を介して加えられるが、これらの力を
積層型電気−機械エネルギ変換素子54の撓み振動によ
って受けることができるため、駆動ローラ68が発生す
るトルクを大きくすることができる。なお、前記補助ロ
ーラ33をz軸の方向に自由度を持つように支持するこ
とによって、シート状搬送物37の厚さの変化に対応さ
せることができる。
【0062】また、前記駆動ローラ68が矢印方向に回
転する場合には、シート状搬送物37は矢印方向に搬送
される。また、駆動ローラ68の外周面には、高摩擦係
数を有し、かつ、耐摩耗性の高い材料の膜74が付着又
は接着される。なお、高摩擦係数を有し、かつ、耐摩耗
性の高い材料で駆動ローラ68自体を形成することもで
きる。
【0063】なお、駆動ローラ68と補助ローラ33
間、又は駆動ローラ68の外周面に設けられた膜74と
補助ローラ33間にある程度のギャップを設けることに
よって、傘型の超音波モータを長時間駆動しない場合に
補助ローラ33、ローラ34又は駆動ローラ68が塑性
的に変形するのを防止することができる。さらに、超音
波モータと駆動源が異なるアクチュエータにより前記ギ
ャップを制御することによって、薄いシート状搬送物3
7が搬送できなくなるのを防止することができる。ま
た、補助ローラ33を駆動ローラ68に圧接する機構
に、駆動源が異なるアクチュエータを使用した場合に
も、同様の効果を得ることができるとともに、シート状
搬送物37の厚さの変化による摩擦力の変動を補正する
ことができ、安定した搬送が可能になる。
【0064】また、シート状搬送物37の幅(y軸の方
向の長さ)が段付円柱形状弾性体88の長さの2倍より
も広い場合には、図13と同様の構成の超音波モータを
y軸の方向の2箇所に並列に設置し、各超音波モータを
同期させて駆動するとよい。この場合、それぞれの駆動
ローラ68の回転数又は回転方向を変化させることによ
って、シート状搬送物37のy軸の方向への並進蛇行及
びz軸回りの回転蛇行を補正することができる。
【0065】また、前記補助ローラ33に代えて、超音
波モータのz軸の方向にもう一つの超音波モータを圧接
するとともに、二つの駆動ローラ68とシート状搬送物
37間に発生する摩擦力の方向が一致するように、それ
ぞれの超音波モータを駆動することによって、図13に
示す超音波モータと同様の効果を得ることができる。こ
の場合、各駆動ローラ68の回転数又は回転方向を変化
させることによってシート状搬送物37の搬送方向を制
御することができる。
【0066】ここで、上側の駆動ローラ68の回転数を
1 とし、下側の駆動ローラ68の回転数をN2 とす
る。そして、上側の駆動ローラ68の回転方向をy軸に
関して左回り(又は右回り)とし、下側の駆動ローラ6
8を右回り(又は左回り)とした場合、シート状搬送物
37は N1 >N2 のとき、x軸の正(又は負)方向でかつz軸の負方向に
搬送され、逆に N1 <N2 のときは、x軸の正(又は負)方向でかつz軸の正方向
に搬送される。また、回転数N1 と回転数N2 の値が一
致するか十分近接した場合には、シート状搬送物37は
x軸の正(又は負)方向でかつほとんど水平に搬送され
る。
【0067】次に、上側及び下側の両駆動ローラ68の
回転方向を同じにすると、シート状搬送物37との間で
発生する摩擦力が逆方向となるため、重なり合った状態
で挿入された2枚のシート状搬送物37のそれぞれをx
軸の正方向及び負方向に搬送し、互いを分離することが
できる。また、一方の超音波モータの支持部51aを固
定し、他方の超音波モータの支持部51aをy軸を中心
として回転自在に支持することによって、シート状搬送
物37の厚さの変化に対応させることができる。この場
合、他方の超音波モータの支持部51aを回転自在に支
持する部分に超音波モータと駆動源が異なるアクチュエ
ータを使用することによって、シート状搬送物37の厚
さの変化による摩擦力の変動を補正することができる。
また、支持部51aを回転自在に支持する部分に回転角
を検出する手段を設けることによって、シート状搬送物
37の厚さを検出することができ、シート状搬送物37
の厚さの変化による摩擦力の変動又は重送に対応するこ
とができる。すなわち、前記アクチュエータを制御して
超音波モータの回転角を変化させることによって摩擦力
の変動を補正することができ、二つの駆動ローラ68の
回転方向を制御することによって重送を防止することが
できる。
【0068】さらに、傘型の超音波モータをシート状搬
送物37と同じ形状及び寸法を有するテーブル上に配設
し、駆動ローラ68が発生するトルクによってテーブル
上に載置したシート状搬送物37をテーブルごと搬送さ
せることができる。なお、本発明は前記実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形す
ることが可能であり、これらを本発明の範囲から排除す
るものではない。
【0069】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、一端が支持された板形状弾性体と、該板形状弾性
体の他端に連結された円筒形状弾性体を有し、前記板形
状弾性体と円筒形状弾性体の連結部に電気−機械エネル
ギ変換素子が固定される。該電気−機械エネルギ変換素
子に、同じ周波数で設定された角度だけ位相が異なる二
つの交流電圧が印加されると、前記板形状弾性体と円筒
形状弾性体が撓み振動し、該円筒形状弾性体の自由端に
圧接させられた駆動ローラが回転する。
【0070】この場合、該駆動ローラから円筒形状弾性
体に加えられる力は、電気−機械エネルギ変換素子によ
って受けられるため、回転振動や楕円振動の共振周波数
及び振幅が変動することがなく、駆動ローラが発生する
トルクを大きくすることができる。また、前記電気−機
械エネルギ変換素子を、複数の板状の電気−機械エネル
ギ変換素子を積層した積層型電気−機械エネルギ変換素
子で構成することができる。この場合、少なくとも一つ
の板状の電気−機械エネルギ変換素子が出力する電圧を
検出し、検出した電圧によって円筒形状弾性体の振動状
態が分かる。この振動状態に対応して前記交流電圧を制
御し、駆動ローラの回転を安定させることができる。
【0071】そして、前記構成の超音波モータを二つ使
用して超音波搬送装置が構成される。そのため、第1の
超音波モータと、該第1の超音波モータと並列に配設さ
れた第2の超音波モータが設けられ、該第1、第2の超
音波モータ間に補助ローラが配設される。
【0072】そして、該補助ローラ及び駆動ローラは、
シート状搬送物を挟持して搬送することができる位置に
設定するため、シート状搬送物は1枚ずつ分離させられ
る。また、他の超音波モータにおいては、一端が支持さ
れた板形状弾性体と、該板形状弾性体の他端に連結され
た段付円柱形状弾性体を有し、該段付円柱形状弾性体に
おける設定された位置に電気−機械エネルギ変換素子が
固定される。該電気−機械エネルギ変換素子に、同じ周
波数で設定された角度だけ位相が異なる二つの交流電圧
が印加されると、前記板形状弾性体と段付円柱形状弾性
体が撓み振動し、該段付円柱形状弾性体の自由端に圧接
させられた駆動ローラが回転する。この場合、該駆動ロ
ーラから段付円柱形状弾性体に加えられる力は、電気−
機械エネルギ変換素子によって受けられるため、回転振
動や楕円振動の共振周波数及び振幅が変動することがな
く、駆動ローラが発生するトルクを大きくすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す超音波モータに使
用されるL字型振動子の概略図である。
【図2】従来の超音波モータに使用される圧電振動子の
斜視図である。
【図3】従来の超音波モータの斜視図である。
【図4】従来の超音波搬送装置の斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施例における積層型電気−機
械エネルギ変換素子の概略図である。
【図6】本発明の第1の実施例における積層型電気−機
械エネルギ変換素子の作動原理図である。
【図7】本発明の第1の実施例を示す超音波モータの断
面図である。
【図8】本発明の第2の実施例を示す超音波搬送装置の
斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施例を示す超音波搬送装置の
斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施例を示す超音波搬送装置
における要部拡大図である。
【図11】本発明の第4の実施例を示す超音波モータに
使用される傘型振動子の概略図である。
【図12】本発明の第4の実施例を示す超音波モータの
断面図である。
【図13】本発明の第5の実施例を示す超音波搬送装置
の斜視図である。
【符号の説明】
33 補助ローラ 34 ローラ 37 シート状搬送物 51 板形状弾性体 52 円筒形状弾性体 54 積層型電気−機械エネルギ変換素子 59 電気−機械エネルギ変換素子 68 駆動ローラ 81 ベルト 88 段付円筒形状弾性体 90 L字形状弾性体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)一端が支持された板形状弾性体
    と、 (b)該板形状弾性体の他端に連結された円筒形状弾性
    体と、 (c)前記板形状弾性体と円筒形状弾性体の連結部に固
    定された電気−機械エネルギ変換素子と、 (d)同じ周波数で設定された角度だけ位相が異なる二
    つの交流電圧を前記電気−機械エネルギ変換素子に印加
    する手段と、 (e)前記円筒形状弾性体の自由端に圧接させられ、該
    自由端に発生する振動によって回転する駆動ローラを有
    することを特徴とする超音波モータ。
  2. 【請求項2】 (a)前記電気−機械エネルギ変換素子
    は、複数の板状の電気−機械エネルギ変換素子を積層し
    た積層型電気−機械エネルギ変換素子であり、 (b)少なくとも一つの板状の電気−機械エネルギ変換
    素子が出力する電圧を検出する手段と、 (c)検出した電圧に対応して前記交流電圧を制御する
    手段を有する請求項1に記載の超音波モータ。
  3. 【請求項3】 (a)第1の超音波モータと、 (b)該第1の超音波モータと並列に配設された第2の
    超音波モータと、 (c)前記第1、第2の超音波モータ間に配設された補
    助ローラを有し、 (d)前記第1、第2の超音波モータは、一端が支持さ
    れた板形状弾性体と、該板形状弾性体の他端に固定され
    た円筒形状弾性体と、前記板形状弾性体と円筒形状弾性
    体の連結部に固定された電気−機械エネルギ変換素子
    と、同じ周波数で設定された角度だけ位相が異なる二つ
    の交流電圧を前記電気−機械エネルギ変換素子に印加す
    る手段と、前記円筒形状弾性体の自由端に圧接させら
    れ、該自由端に発生する振動によって回転する駆動ロー
    ラをそれぞれ備えるとともに、 (e)前記補助ローラ及び駆動ローラは、シート状搬送
    物を挟持して搬送することができる位置に設定したこと
    を特徴とする超音波搬送装置。
  4. 【請求項4】 (a)一端が支持された板形状弾性体
    と、 (b)該板形状弾性体の他端に連結された段付円柱形状
    弾性体と、 (c)該段付円柱形状弾性体における設定された位置に
    固定された電気−機械エネルギ変換素子と、 (d)同じ周波数で設定された角度だけ位相が異なる二
    つの交流電圧を前記電気−機械エネルギ変換素子に印加
    する手段と、 (e)前記段付円柱形状弾性体の自由端に圧接させら
    れ、該自由端に発生する振動によって回転する駆動ロー
    ラを有することを特徴とする超音波モータ。
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