JPH06222180A - 原子炉格納容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】鉄骨梁と鉄筋コンクリートスラブを組合わせた
薄い軽量のダイヤフラムフロア構造とし、ドライウェル
やサプレッションプールの空間確保と、仮設支持鉄骨梁
等を不要として他の地域での並行作業が可能な原子炉格
納容器を提供する。 【構成】原子炉圧力容器３とこれを支持する基礎台２を
収容すると共に内部を上下を区分してドライウェル４お
よびサプレッションプール５を形成するダイヤフラムフ
ロア16，22，24を備えた原子炉格納容器15，21，23にお
いて、前記ダイヤフラムフロア16，22，24が原子炉格納
容器３および原子炉圧力容器の基礎台２で支持されて両
者間に掛渡した鉄骨梁19とこの上部に形成した鉄筋９と
コンクリート11によるスラブで構成したことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は沸騰水型原子炉の格納容
器に係り、特にダイヤフラムフロアの強度向上と建設作
業量の削減をした原子炉格納容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の沸騰水型原子炉におけるコンクリ
ート製原子炉格納容器は図６の縦断面図に示すように、
鉄筋コンクリート製の原子炉格納容器１の内部中央には
鋼鉄基礎台２の上に原子炉圧力容器３が設置されてお
り、この鋼鉄基礎台２と原子炉圧力容器３の空間を上下
にドライウェル４とサプレッションプール５に区画する
鉄筋コンクリートスラブによるダイヤフラムフロア６が
構築されている。

【０００３】このダイヤフラムフロア６は構築に際し
て、図７の要部拡大縦断面図に示すように、先ず原子炉
格納容器１の建設時において鋼鉄基礎台２の上端外周と
原子炉格納容器１の内周の間に仮設支持鉄骨梁７を配設
し、これを支柱８により支持する。次に前記仮設支持鉄
骨梁７の上面に鉄筋９とスタッド10を配設した後に、コ
ンクリート11を厚く打設して鉄筋コンクリートスラブに
よるダイヤフラムフロア６を構築し、単独で原子炉格納
容器１と鋼鉄基礎台２により剛接支持する構造としてい
る。

【０００４】なお、原子炉格納容器１の内側にはライナ
プレート12が張付してあり、このライナプレート12の内
外にはライナ内側シヤプレート13とライナ外側シヤプレ
ート14が設置してある。また打設したコンクリート11の
養生期間が終了すると、前記仮設支持鉄骨梁７および支
柱８を撤去して建設作業が完了する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ダイヤフラムフロア６
の建設工程においては、ダイヤフラムフロア６構築前に
仮設支持鉄骨梁７および支柱８を配設して、これにより
コンクリート11の打設等の構築中のダイヤフラムフロア
６を支持しており、コンクリートの養生期間の終了を待
って仮設支持鉄骨梁７等の撤去を行こなっていた。

【０００６】しかしながら、ダイヤフラムフロア６の下
部に位置するサプレッションプール５内における配管お
よび、その他の設備工事は、前記ダイヤフラムフロア６
における仮設支持鉄骨梁７等の配設が作業の障害とな
り、これらが撤去された後でなければ作業が開始できな
かった。さらに、仮設支持鉄骨梁７等の撤去について
も、各種部材を搬出可能な大きさに分断する必要があ
り、多大な作業量と期間を伴うばかりでなく、多量の仮
設資材を必要とする問題があった。

【０００７】また鉄筋コンクリートスラブによるダイヤ
フラムフロア６は、その強度確保の点から十分な厚さが
要求され、このためにドライウェル４あるいはサプレッ
ションプール５の高さが低くなり、夫々の空間が狭くな
る他に重量が増大するという支障があった。

【０００８】本発明の目的とするところは、鉄骨梁と鉄
筋コンクリートスラブを組合わせた薄く軽量のダイヤフ
ラムフロア構造とし、ドライウェルやサプレッションプ
ールの空間確保と、仮設支持鉄骨梁等を不要として他の
地域での並行作業が可能な原子炉格納容器を提供するこ
とにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】原子炉圧力容器とこれを
支持する基礎台を収容すると共に内部を上下を区分して
ドライウェルおよびサプレッションプールを形成するダ
イヤフラムフロアを備えた原子炉格納容器において、前
記ダイヤフラムフロアが原子炉格納容器および原子炉圧
力容器の基礎台で支持されて両者間に掛渡した鉄骨梁と
この上部に形成した鉄筋コンクリートスラブで構成した
ことを特徴とする。

【００１０】

【作用】本発明の原子炉格納容器は、原子炉格納容器お
よび原子炉圧力容器の基礎台間に掛け渡して支持された
鉄骨梁の上部に配筋してコンクリートを打設して形成し
た鉄筋コンクリートスラブによりダイヤフラムフロアが
構成されるため、鉄骨梁および鉄筋コンクリートスラブ
は原子炉格納容器および基礎台間で互いに剛接され、仮
設支持鉄骨梁等を使用せずに堅固なダイヤフラムフロア
が構築できる。

【００１１】これによりダイヤフラムフロアの厚さを薄
く、かつ軽量化できるため、原子炉格納容器内に形成す
るドライウェルおよびサプレッションプール空間が広く
得られると共に、ダイヤフラムフロアの構築に際して仮
設支持鉄骨梁等が不要のため他の地域での並行作業に支
障を与えない。

【００１２】

【実施例】本発明の一実施例を図面を参照して説明す
る。なお、上記した従来技術と同じ構成部分については
同一符号を付して詳細な説明を省略する。図１は要部拡
大縦断面図で、図２は要部拡大一部切断平面図、図３は
図１におけるＡ−Ａ矢視図を示す。

【００１３】原子炉格納容器15の内部をドライウェル４
とサプレッションプール５に区画するダイヤフラムフロ
ア16は、原子炉格納容器15の内周でライナプレート12に
配設したライナ内側シヤプレート13の鉄骨梁支持部材18
と鋼鉄基礎台２の上端外周との間に渡した鉄骨梁19と、
この上面に敷設したシールプレート20上にコンクリート
11を打設した鉄骨鉄筋コンクリートスラブによる構成と
している。

【００１４】原子炉格納容器15におけるダイヤフラムフ
ロア16の構築は、先ず鋼鉄基礎台２の上端外周の複数箇
所にスタッド10とボルト17を植設すると共に、対峙する
コンクリート製の原子炉格納容器15の内周でライナプレ
ート12に溶接して配設した複数のライナ内側シヤプレー
ト13等に鉄骨梁支持部材18を溶接して配置する。

【００１５】次に、この鉄骨梁支持部材18と前記鋼鉄基
礎台２の上端外周との間に複数本の鉄骨梁19を放射状に
掛け渡して、鋼鉄基礎台２上端の前記ボルト17により固
定する。さらに、鉄骨梁19の上面にシールプレート20を
敷設して、前記ライナプレート12と鋼鉄基礎台２に溶接
すると共に、前記原子炉格納容器15の外周の複数箇所に
鉄筋９を植設する。

【００１６】この後にシールプレート20上に鉄筋９の配
筋をしてコンクリート11を打設し、養生期間を経過して
ダイヤフラムフロア16が完成する。なお、このダイヤフ
ラムフロア16とシールプレート20の自重、およびダイヤ
フラムフロア16の上面に加わる鉛直荷重は、原子炉格納
容器15のライナープレート12に配設された鉄骨梁支持部
材18と鋼鉄基礎台２のボルト17によって支持された鉄骨
梁19によって受け持つ構造となっている。

【００１７】さらに、ダイヤフラムフロア16とライナー
プレート12の接合部における円周方向せん断力は、鉄骨
梁支持部材18に設けられたライナー内側シアプレート13
により受け持ち、またライナープレート12と原子炉格納
容器15の円周方向せん断力はライナー内側シアプレート
13とライナープレート12を挟んで裏側に設置されたライ
ナー外側シアプレート14により受け持つ構造となってい
る。

【００１８】この一実施例においては、ダイヤフラムフ
ロア16が鉄筋コンクリートと共に鉄骨梁19により構成さ
れた鉄骨、鉄筋コンクリート製スラブで、原子炉格納容
器15および鋼鉄基礎台２に剛接されているため強度が大
であり、従来の鉄筋コンクリート製スラブに比較して厚
さを薄く、重量も軽くすることが可能となり、原子炉格
納容器15の高さを変えずにドライウェル４およびサプレ
ッションプール５の高さを高くしてその空間を広く得る
ことができる。

【００１９】また建設に際して仮設支持鉄骨梁７と支柱
８等の仮設資材および、この仮設と撤去工事が不要とな
ることから、資材と作業工程が削減されると共に、仮設
支持鉄骨梁７と支柱８等が構築中のダイヤフラムフロア
16の下部に配設されないため、サプレッションプール５
等の他の地域における作業に支障を与えず、並行作業が
行えて工程が短縮できる効果がある。

【００２０】図４の要部拡大縦断面図は本発明の他の実
施例を示し、この原子炉格納容器21のダイヤフラムフロ
ア22においては、鉄骨梁19の一端を原子炉格納容器21の
ライナープレート12に直接溶接した構成として、ライナ
ー内側シアプレート13および鉄骨梁支持部材18を不要と
した構造である。従って、この他の実施例においても作
用、効果は上記一実施例と同様のものが得られる。な
お、鉄骨梁19を溶接したライナープレート12の裏面にラ
イナー外側シアプレート14を配置することにより、鉄骨
梁19の支持力が向上する。

【００２１】図５に示す要部拡大縦断面図は本発明のそ
の他の実施例で、この原子炉格納容器23におけるダイヤ
フラムフロア24は、鉄骨梁19の一端を原子炉格納容器23
のライナープレート12に、また他端は鋼鉄基礎台２に直
接溶接して構成されたもので、ライナー内側シアプレー
ト13およびボルト17を不要としている。この構成のもの
も上記一実施例と同様の作用、効果が得られる。

【００２２】なお、上記した本発明に係るダイヤフラム
フロア16，22，24の構成を、鉄骨梁19とシールプレート
20を溶接により固着し、鉄筋コンクリート製スラブ相互
と剛接することにより、さらに堅固なダイヤフラムフロ
ア16，22，24とすることができる。

【００２３】

【発明の効果】以上本発明によれば、原子炉格納容器に
おいて内部を区分してドライウェルとサプレッションプ
ールとするダイヤフラムフロアの厚さが薄くできるの
で、ドライウェルおよびサプレッションプールの空間を
広くすることができる。またダイヤフラムフロアの建設
工程において、仮設支持鉄骨梁等を必要としないため、
資材と仮設および撤去作業が削除され、建設工程および
資材を削減する効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る一実施例の原子炉格納容器のダイ
ヤフラムフロア要部拡大縦断面図。

【図２】本発明に係る一実施例の要部拡大一部切断平面
図。

【図３】図１におけるＡ−Ａ矢視要部拡大図。

【図４】本発明に係る他の実施例の要部拡大縦断面図。

【図５】本発明に係るその他の実施例の要部拡大縦断面
図。

【図６】従来の原子炉格納容器の側断面図。

【図７】従来の原子炉格納容器のダイヤフラムフロア要
部拡大縦断面図。

【符号の説明】

１，15，21，23…原子炉格納容器、２…鋼鉄基礎台、３
…原子炉圧力容器、４…ドライウェル、５…サプレッシ
ョンプール、６，16，22，24…ダイヤフラムフロア、７
…仮設支持鉄骨梁、８…支柱、９…鉄筋、10…スタッ
ド、11…コンクリート、12…ライナープレート、13…ラ
イナー内側シアプレート、14…ライナー外側シアプレー
ト、17…ボルト、18…支持部材、19…鉄骨梁、20…シー
ルプレート。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原子炉圧力容器とこれを支持する基礎台
   を収容すると共に内部を上下を区分してドライウェルお
   よびサプレッションプールを形成するダイヤフラムフロ
   アを備えた原子炉格納容器において、前記ダイヤフラム
   フロアが原子炉格納容器および原子炉圧力容器の基礎台
   で支持されて両者間に掛渡した鉄骨梁とこの上部に形成
   した鉄筋コンクリートスラブで構成したことを特徴とす
   る原子炉格納容器。