JPH062220A - 芯鞘型複合繊維 - Google Patents

芯鞘型複合繊維

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JPH062220A
JPH062220A JP4185901A JP18590192A JPH062220A JP H062220 A JPH062220 A JP H062220A JP 4185901 A JP4185901 A JP 4185901A JP 18590192 A JP18590192 A JP 18590192A JP H062220 A JPH062220 A JP H062220A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 弾性特性、耐剥離性に優れた芯鞘型複合繊維
を提供することである。 【構成】 水添率80%以上のイソプレン重合体ブロッ
クBとスチレン重合体ブロックAとよりなり、該ブロッ
クAが10〜50重量%を占めるブロック共重合体を芯
成分とし、該ブロック共重合体との溶解性パラメーター
の差が1以上の繊維形成性熱可塑性重合体を鞘成分と
し、かつ、オレフィン系化合物が芯成分または鞘成分に
20重量%(対繊維重量)以下含まれている芯鞘型複合
繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐剥離性、弾性特性に
優れた芯鞘型複合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、従来から衣料用
途、産資用途、インテリア用途等に広く用いられてい
る。しかしながら、最近はポリエステル繊維の用途の急
速な拡大に伴い、用途によっては従来のポリエステル繊
維では十分に満足のいく繊維製品が得られないのが現状
である。例えば、ポリエステル繊維を用いて布帛を製造
した場合、布帛の構造や繊維素材の改良によってある程
度の伸縮性を付与することが可能であるが、これらの布
帛に良好な弾性特性、例えば、弾性回復性を付与するこ
とは極めて困難であった。良好な弾性特性を有するゴム
などのエラストマーを繊維素材として使用してこのよう
な欠点を補うことが試みられてきたが、ゴムのようなエ
ラストマーを繊維化することは極めて困難であり、仮に
紡糸できても巻取などで繊維同志が完全に膠着してしま
い、また、膠着防止のために繊維表面に油剤等を付与し
ても十分に膠着を防止できないばかりか、染料が抜けや
すく染色耐久性が劣るため実用には供し得ないという問
題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、弾性
特性、耐剥離性に優れた芯鞘型複合繊維を提供すること
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、二種の
熱可塑性重合体が繊維の全長に亘って芯鞘型に配された
複合繊維において、芯成分を構成する熱可塑性重合体
は、水添率80%以上の共役ジエン系重合体ブロックB
と芳香族ビニル重合体ブロックAとよりなり、該ブロッ
クAが10〜50重量%を占めるブロック共重合体であ
り、鞘成分は該ブロック共重合体との溶解性パラメータ
ーの差が1以上の繊維形成性熱可塑性重合体であり、か
つ、オレフィン系化合物が芯成分または鞘成分に20重
量%以下の割合で含まれていることを特徴とする芯鞘型
複合繊維であり、また二種の熱可塑性重合体が繊維の全
長に亘って芯鞘型に配された複合繊維において、芯成分
を構成する熱可塑性重合体は、水添率80%以上の共役
ジエン系重合体ブロックBと芳香族ビニル重合体ブロッ
クAとよりなり、該ブロックAが10〜50重量%を占
めるブロック共重合体であり、鞘成分は溶解性パラメー
ター(SP値)が7〜9の繊維形成性熱可塑性重合体で
あることを特徴とする芯鞘型複合繊維である。尚、本発
明において、溶解性パラメーター(SP値)とは、P.
A.J.Small,J.Appl.Chem.,3,
71,(1953)に記載された方法によって求められ
るものである。
【0005】本発明の芯鞘型複合繊維において芯成分を
構成するブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主
体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体
とする重合体ブロックBよりなるブロック共重合体を水
素添加し、共役ジエンに基づく脂肪族二重結合の80%
以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以
上を飽和結合としたものであり、好ましくは、数平均分
子量が30000〜200000のブロック共重合体で
ある。水素添加率(水添率)が80%未満の場合は、溶
融紡糸時に熱劣化を生じやすくなり、また、得られる繊
維の耐候性も劣るので好ましくない。
【0006】重合体ブロックAを構成する芳香族ビニル
化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3
−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロ
ヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル
−4ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレ
ン等があるが、最も好ましいのはスチレンである。芳香
族ビニル重合体ブロックAの一つのブロックは4000
〜50000の数平均分子量、特に5000〜4000
0の数平均分子量を持つことが好ましく、このブロック
長が小さいとポリマーの凝集力が低下し、ゴム様の伸縮
性が不十分となり目的とする繊維化が困難になりがちで
ある。一方、ブロック長が長すぎるとブロック共重合体
の溶融粘度が高くなり過ぎ熱可塑性が損なわれ紡糸が困
難となりやすい。そしてブロックAの含量は10〜50
重量%、好ましくは10〜50%の範囲である。スチレ
ンの含量が10%未満では成形性、耐熱性が劣り、一
方、ブロックAの含量が50重量%を越えると伸縮性、
柔軟性が低下し本発明の目的を達成できない。
【0007】また、本発明において用いられるブロック
共重合体のブロックBとしては、1,3−ブタジエン、
イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン等で構成され
るブロックがあるが、本発明においてはイソプレン又は
イソプレン−ブタジエンを併用するのが好ましい。イソ
プレンからなるブロックは、重合条件等によって1,4
結合主体のものとなったり、1,2結合や3,4結合が
多くなったりするが、本発明においては、耐熱性の点か
ら1,4結合が70%以上のイソプレンブロックである
ことが望まれる。また、イソプレン−ブタジエンを併用
する場合のブロックBの形態としてはランダム、ブロッ
ク又はテーパードのいずれでもよい。また、ブロックB
の選択は、本発明の複合繊維を構成するもう一方の成分
との接着性を考慮することが好ましく、例えば、他の熱
可塑性重合体としてポリエチレンとしてポリエチレンを
選ぶ場合は、ブタジエンを20重量%以上含むイソプレ
ン−ブタジエン混合系のブロックBを使用することが好
ましく、また、ポリプロピレンである場合は、ブタジエ
ンが10重量%以下のイソプレン−ブタジエン混合系と
するか又はイソプレン単独のブロックBとするのが好ま
しい。また、ブロックBの一つの数平均分子量は100
00〜150000程度、特に15000〜13000
0程度が好ましく、この範囲外では製糸性に劣るものと
なりやすい。
【0008】本発明におけるブロック共重合体のブロッ
ク形態は、A(BA)n,(AB)nで示される。ここ
でAは芳香族ビニルモノマーからなるブロック、Bは共
役ジエン系モノマー、例えば、イソプレン又はイソプレ
ン−ブタジエンからなるブロックを示し、nは1以上の
整数である。この内A−B−Aの形態のものが最も好ま
しく用いられる。これらのブロックAとブロックBから
なる共重合体は公知の方法で製造することが可能であ
り、例えば、特公昭40−23798号公報に記載され
た方法でもよく、n−ブチルリチウム等のリチウム系触
媒等を用いて不活性溶媒中で上記のビニル芳香族化合物
と共役ジエン化合物から合成することが可能である。そ
してブロック共重合体を水素添加する方法としては、公
知の方法、例えば、特公昭42−8704号公報、特公
昭43−6636号公報等に記載された方法で行うこと
ができるが上記したように水素添加率を80%以上とす
る方法であれば特に限定されるものではない。
【0009】本発明の芯鞘型複合繊維を構成する鞘成分
は、上記ブロック共重合体との溶解性パラメーター(S
P値)の差が1以上の繊維形成性熱可塑性重合体である
かまたは溶解性パラメーター(SP値)が7〜9の繊維
形成性熱可塑性重合体であり、特に、前者の重合体を鞘
成分に使用する場合、芯成分と鞘成分に剥離が生じない
ように20重量%以下のオレフィン系化合物を含有させ
ておく必要がある。該オレフィン系化合物は上記したブ
ロック共重合体(芯成分)に含有されていてもよく、ま
た芯鞘両成分に含有されていてもよいが、オレフィン系
化合物の繊維表面へのマイグレーションや耐熱性等の点
からブロック共重合体(芯成分)に含有されていたほう
がより好ましい。なお、後者の重合体を使用する場合に
おいてもオレフィン系化合物を用いてもよいが、概して
芯成分と鞘成分との親和性が良好であるのでかかる化合
物を用いなくてもすむことがある。前者の熱可塑性重合
体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレートおよびこれらに、例えば、イソフタル
酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシ
エトキシ安息香酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、アジピン酸、セバチン酸、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸のような芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボ
ン酸やプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジ
エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロ
ヘキサン1,4ジメタノール、ビスフェノールA、ビス
フェノールS等の第3成分を共重合したポリエステル、
ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド等が例示さ
れ、また、後者の熱可塑性重合体としてはポリプロピレ
ン、ポリエチレン、エチレン−プロピレンブロック共重
合体等のポリオレフィンが例示される。オレフィン系化
合物としては、芯成分と鞘成分との親和性を向上するこ
とのできる化合物であれば基本的に限定されることはな
く、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン、これらのブロック共重合体、αオレフィンとアクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸などからなる共重合
体、該共重合体を金属化合物で中和した化合物(アイオ
ノマー)等のオレフィン系の重合体が挙げられ、鞘成分
の重合体の種類により適宜選択すればよいが、例えば、
ポリエステルを鞘成分とするときは、オレフィン系化合
物としてナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛等
の金属イオンで中和されたアイオノマーなどを選択する
ことが望ましい。また、オレフィン系化合物の配合量は
繊維全体に対して20重量%以下、特に好ましくは3重
量%〜10重量%であることが好ましく、過剰に配合さ
れていると剥離防止の効果は飽和し、逆に紡糸性や繊維
の色調などに悪影響を及ぼすものである。配合量の下限
は鞘成分と選択するオレフィン系化合物の組合わせによ
り異なるので一概にいえないが、ポリエステルを鞘成分
とする場合は約3重量%以上のオレフィン系化合物を用
いることが好ましい。
【0010】また、本発明の芯鞘型複合繊維における芯
成分と鞘成分との重量比(芯/鞘)は80/20〜20
/80であることが好ましく、ブロック共重合体が80
重量%を越えると紡糸、延伸等の工程性が著しく悪化す
る。一方、該重合体が20重量%未満では弾性が十分に
得られなくなる。従って、これらの重量比は70/30
〜40/60である事が望ましい。本発明の複合繊維
は、通常の芯鞘型複合繊維の溶融紡糸装置を使用して紡
糸することが可能である。芯鞘形態としては単芯または
多芯であってもよい。また、繊維の断面形状は円形、楕
円形、ドッグボーン、三〜八角形、マルチローバル、T
字形等の各種異形断面でもよく、単糸デニールは特に限
定されず目的とする製品に合わせて選択すればよく、一
般的には約1〜50デニール、好ましくは約1.5〜3
0デニールである。また、本発明の複合繊維には、必要
に応じて各種の添加剤を配合してもよい。例えば、触
媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、抗菌剤、消臭剤、蛍
光増白剤、艶消し剤、着色剤、光沢改良剤、制電剤、芳
香剤、無機微粒子等が含まれていてもよい。
【0011】このようにして得られる本発明の芯鞘型複
合繊維は、優れた弾性特性を有し、種々の用途展開が可
能であり、短繊維や長繊維として織物、編物、不織布等
の布帛を構成し、例えば、スポーツ衣料、ストッキン
グ、ソックス、包帯、パップ剤基布、パイル製品等の繊
維製品として有用であり、また、該繊維を詰綿として用
いてウレタンフォーム代替の堅綿等の詰物製品としても
好適である。特に、本発明の複合繊維をパイル糸に使用
したパイル製品は、以下の実施例においてみられるよう
にパイルのへたり率が3%以下の優れた耐へたり性を有
する製品が得られる。
【0012】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが本発明は何等これらに限定されるものではない。な
お、実施例中の毛倒れ性試験は以下のようにして行っ
た。毛倒れ性試験;パイル糸に本発明の複合繊維を用い
たパイル布帛を準備し、パイルの高さを測定しL0とす
る。このパイル布帛に40g/m↑2の荷重をかけ、8
0℃で2時間放置し、除重した後のパイル高さを測定し
これをL1とするとき、下記式によりへたり率を求め
る。 へたり率(%)={(L0−L1)/L0}×100
【0013】実施例1 ブロック共重合体として、スチレンブロックAの含有量
が30重量%でイソプレンブロックの1,4結合含有量
が95%、水素添加率98%のブロックBで構成される
溶解性パラメーターが8.1で285℃における溶融粘
度が500ポイズである数平均分子量50000のAB
Aトリブロック型の重合体を用い、これに対して、三井
・デュポンポリケミカル社製のアイオノマー「ハイミラ
ン」を5重量%配合しこれを芯成分とした。一方、極限
粘度〔η〕が0.63dl/g、溶解性パラメーターが
10.8のポリエチレンテレフタレートを鞘成分として
用い、従来の複合溶融紡糸装置によって丸断面口金孔か
ら285℃で複合比率50:50の同心円型として60
0g/分の吐出量、1000m/分の速度で巻取り未延
伸糸を得た。この未延伸糸を集束後、延伸倍率3倍、延
伸温度75℃で延伸し、緊張熱処理温度180℃で熱処
理を行い、押込み式捲縮装置で機械捲縮を付与した後、
51mmに切断して単糸デニール2drの短繊維を得た。
この繊維を用いて通常の紡績方式で綿番手20/2の紡
績糸を得た。この紡績糸を観察したところ芯成分と鞘成
分との剥離は全く認められなかった。次いで、この紡績
糸を染色し、二重織機を用いてパイル目付が320g/
m↑2、パイル高さが4mmのモケットを作成し、このモ
ケット地を用いてパイルの毛倒れ性試験を行った。その
結果、本発明の複合繊維を用いたパイルはへたり率が3
%であり優れた物であった。
【0014】実施例2 芯/鞘比率を70/30とし、オレフィン系化合物の含
有量を10重量%とすること以外は実施例1と同様にし
て短繊維を製造し、モケットを作成し実施例1と同様に
して評価を行った。このモケットのパイルのへたり率は
2%であり、極めて良好な弾性特性を有していた。
【0015】実施例3 鞘成分として溶解性パラメーターが8.5のポリプロピ
レンを用い、芯成分として実施例1で使用したトリブロ
ック重合体のみを用いて実施例1と同様にして繊維化を
行い、得られた繊維からモケットを作成したところ実施
例1と同程度の優れた耐毛倒れ性を有していた。
【0016】比較例1 オレフィン系化合物を添加しないこと以外は実施例1と
同じ条件で短繊維を製造し紡績に供したが、カード工程
において多くの繊維の芯成分と鞘成分が剥離を生じ、紡
績性が不良であり得られた紡績糸は、極めて品質の悪い
ものであった。
【0017】比較例2 芯成分としてブロック共重合体の水添率が50%の共重
合体を使用すること以外は、実施例1と同様にして短繊
維を製造し、該短繊維からモケットを作成したが、該短
繊維は繊維化の際の着色が激しく、経時的劣化が目立つ
ものであり実用的なモケットは得られなかった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二種の熱可塑性重合体が繊維の全長に亘
    って芯鞘型に配された複合繊維において、芯成分を構成
    する熱可塑性重合体は、水添率80%以上の共役ジエン
    系重合体ブロックBと芳香族ビニル重合体ブロックAと
    よりなり、該ブロックAが10〜50重量%を占めるブ
    ロック共重合体であり、鞘成分は該ブロック共重合体と
    の溶解性パラメーターの差が1以上の繊維形成性熱可塑
    性重合体であり、かつ、オレフィン系化合物が芯成分ま
    たは鞘成分に20重量%(対繊維重量)以下の割合で含
    まれていることを特徴とする芯鞘型複合繊維。
  2. 【請求項2】 二種の熱可塑性重合体が繊維の全長に亘
    って芯鞘型に配された複合繊維において、芯成分を構成
    する熱可塑性重合体は、水添率80%以上の共役ジエン
    系重合体ブロックBと芳香族ビニル重合体ブロックAと
    よりなり、該ブロックAが10〜50重量%を占めるブ
    ロック共重合体であり、鞘成分は溶解性パラメーター
    (SP値)が7〜9の繊維形成性熱可塑性重合体である
    ことを特徴とする芯鞘型複合繊維。
  3. 【請求項3】 芯成分と鞘成分の複合比率(芯/鞘)が
    20/80〜80/20である請求項1または2に記載
    の芯鞘型複合繊維。
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