JPH0622166Y2 - レゾルバ式位置検出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はレゾルバを使用した位置検出装置に関し、特に
レゾルバの温度変化による出力位相の温度ドリフトを補
正し、広域温度範囲にわたって正確な回転子位置の検出
が出来るレゾルバ式位置検出装置に関する。

（従来の技術） 従来、レゾルバを使用した位置検出装置は、第２図に示
す如く、レゾルバ（１）の励磁信号がゼロクロスコンパ
レータ（５′）を介して位相差計数回路（６′）に入
り、前記レゾルバ（１）からの出力信号がローパスフィ
ルタ（４′），ゼロクロスコンパレータ（５″）を介し
て前記位相差計数回路（６′）に入り、この出力信号の
位相と励磁信号位相との位相差を前記位相差計数回路
（６′）で計数することによってレゾルバ回転子位置の
検出を行っていた。

（考案が解決しようとする問題点） しかしこの位置検出装置ではレゾルバ（１）の励磁巻線
インピーダンスが温度変化により大きく変化するため、
励磁電流の位相にも変化が生じる。しかもレゾルバ
（１）の出力電圧位相は励磁電流の位相に左右されるの
で正確な回転子の位置ではなく、励磁巻線(1a),(1b)の
インピーダンス変化による位相ドリフトを含んでしま
う。また同様の現象が出力巻線(1c)に於ても生じる。
尚、出力巻線(1c)に誘起した電圧を無負荷で受信すれば
電流の位相変化は影響しないが、現実にはケーブルに分
布容量が存在するため、出力巻線(1c)のインピーダンス
変化により出力位相が変化してしまうのである。第３図
はケーブルを考慮したレゾルバ（１）の出力巻線(1c)の
等価回路を示し、これに基づいて位相特性を説明する。
出力巻線抵抗をRs，インダクタンスをLs，ケーブルの分
布容量をＣ，励磁角周波数をωとすれば出力巻線(1c)に
誘起された電圧と受信端で受信される電圧との伝達特性
Vi/Voは Vi/Vo＝１／［(1-ω²LsC)+jωCRs］であり、位相特性は
arg Vi/Vo＝−tan^-1ωCRs/(1-ω²LsC)と表わされる。こ
の式から明らかな様にケーブルに分布容量Ｃが存在する
限りレゾルバ出力信号を無負荷で受信したとしても、レ
ゾルバ励磁巻線(1c)のインピーダンス変化により、位相
特性が変化してしまう。すなわち位相に於る温度ドリフ
トを生じる等の問題点があった。

本考案はケーブル自身の持つ分布容量Ｃの存在下に於
て、レゾルバ（１）の温度変化により出力電圧の位相特
性が変化することなく常に正確な回転子位置の検出が出
来るレゾルバ式位置検出装置を提供するにある。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を消去するために本考案は、励磁信号によっ
て駆動される励磁巻線に、励磁電流の検出を行うための
電流検出器を設けると共に、前記電流検出器には、励磁
信号の位相と励磁電流の位相との位相差が計数される位
相差計数回路を接続し、前記レゾルバの温度変化による
出力位相の温度ドリフトを補正するための励磁電流位相
計数値に関連したデータを記憶した記憶部及びそれを処
理するＣＰＵを備え、該ＣＰＵの一端には位相差計数回
路を接続し、他端には記憶部を介して前記位相差計数回
路が接続される構造とする。

（作用） 本考案の作用を説明すれば、先ずレゾルバ励磁回路の一
端、例えば励磁巻線(1a)に電流検出器（３）を直列接続
させ、ローパスフィルタ（４）及びゼロクロスコンパレ
ータ（５）によって励磁電流位相を検出する。この電流
位相と励磁電圧位相との位相差計数により、励磁巻線(1
a)の電流位相変化を知ることができる。これにより出力
電圧位相すなわち回転子位置の検出値に対し、予め記憶
部（７）に記憶してあるデータより出力電圧位相ドリフ
ト分を減算し、温度ドリフトの無い正確な回転子の検出
信号を得る。従って常に正確な回転子の位置を知ること
が出来るのである。また記憶部（７）の作成方法として
は、例えばレゾルバ（１）の回転子を固定した状態に
て、レゾルバ（１）の温度を変化させ、励磁電流の位相
数値に対する出力電圧位相計数値、すなわち出力電圧ド
リフトを記憶させれば良い。例えば出力電圧ドリフトが
第４図に示す如き関係になれば、それを記憶部（７）に
記憶させるのである。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面に基づいて説明すると、
（１）は励磁巻線(1a),(1b)と出力巻線(1c)とから成る
レゾルバである。（２），（２′）は励磁巻線(1a),(1
b)の励磁信号入力側にそれぞれ接続した駆動回路であ
り、駆動回路（２）は励磁巻線(1a)と接続し、駆動回路
（２′）は励磁巻線(1b)と接続する。（３）は励磁巻線
(1a)に設けた電流検出器であり、該電流検出器（３）と
しては抵抗を用い、その抵抗を励磁巻線(1a)に直列接続
させる。（４），（４′）はローパスフィルタであり、
ローパスフィルタ（４）は電流検出器（３）と接続し、
ローパスフィルタ（４′）はレゾルバ（１）の出力側に
接続する。（５），（５′），（５″）はゼロクロスコ
ンパレータであり、ゼロクロスコンパレータ（５）は前
記ローパスフィルタ（４）と接続し、ゼロクロスコンパ
レータ（５′）は前記駆動回路（２）の入力側と接続
し、ゼロクロスコンパレータ（５″）は前記ローパスフ
ィルタ（４′）と接続している。（６），（６′）は位
相差計数回路であり、位相差計数回路（６）はゼロクロ
スコンパレータ（５），（５′）と接続した電流位相用
で、位相差計数回路（６′）はゼロクロスコンパレータ
（５′），（５″）と接続した回転子位相用である。
（７）は電流位相用の位相差計数回路（６）と接続した
記憶部であり、該記憶部（７）としてはＲＯＭを用い、
またこの記憶部（７）にはレゾルバ（１）の温度変化に
よる出力位相の温度ドリフトを補正するための励磁電流
位相計数値に関連したデータを記憶してある。（８）は
出力位相差を計数する位相差計数回路（６）と記憶部
（７）と接続したＣＰＵである。

（考案の効果） 本考案は、励磁電流の検出を行うための電流検出器
（３）を設けたこと、レゾルバ（１）の温度変化による
出力位相の温度ドリフトを補正するための励磁電流位相
計数値に関連したデータを記憶した記憶部（７）を設け
たこと、検出された励磁電流位相及び記憶部（７）のデ
ータ等を基に温度ドリフト補正を行うＣＰＵ（８）を備
えたことにより、ケーブル自身の持つ分布容量Ｃの存在
下であっても、レゾルバ（１）の温度変化により出力電
圧の位相特性が変化することなく常に正確な回転子位置
の検出が出来るのである。また本考案は温度ドリフト対
策としてレゾルバ（１）側の変更及び信号線数の追加等
を行うことなく、従来品に対して、記憶部（７）やＣＰ
Ｕ（８）等の制御側のみで対処出来る。更に励磁巻線(1
a)又は励磁巻線(1b)の電流を検出することにより断線，
短絡の検知も可能となる等の実用的卓効に大なるものが
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る実施例を示すブロック図、第２図
は従来品のブロック図、第３図はレゾルバ出力巻線の等
価回路図、第４図は記憶部に記憶させる出力電圧ドリフ
トの例を示す説明図である。 （１）……レゾルバ、（３）……電流検出器 (1a),(1b)……励磁巻線 （６），（６′）……位相差計数回路 （７）……記憶部、（８）……ＣＰＵ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】レゾルバ（１）の励磁信号の位相と、該レ
   ゾルバ（１）出力信号の位相との位相差を計数してレゾ
   ルバ回転子の回転角度を検出する位置検出装置に於て、
   励磁信号によって駆動される励磁巻線(1a)又は励磁巻線
   (1b)に励磁電流の検出を行うための電流検出器（３）を
   設けると共に、前記電流検出器（３）には、励磁信号の
   位相と励磁電流の位相との位相差が計数される位相差計
   数回路（６）を接続し、前記レゾルバ（１）の温度変化
   による出力位相の温度ドリフトを補正するための励磁電
   流位相計数値に関連したデータを記憶した記憶部（７）
   及びそれを処理するＣＰＵ（８）を備え、該ＣＰＵ
   （８）の一端には出力位相差を計数する位相差計数回路
   （６′）が接続され、他端には前記記憶部（７）を介し
   て前記位相差計数回路（６）が接続されたことを特徴と
   するレゾルバ式位置検出装置。