JPH06219992A - 新規な炭酸エステル化合物 - Google Patents

新規な炭酸エステル化合物

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JPH06219992A
JPH06219992A JP5261266A JP26126693A JPH06219992A JP H06219992 A JPH06219992 A JP H06219992A JP 5261266 A JP5261266 A JP 5261266A JP 26126693 A JP26126693 A JP 26126693A JP H06219992 A JPH06219992 A JP H06219992A
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Japan
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carbonate
compound
carbonic acid
solvent
acid ester
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JP5261266A
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English (en)
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Keiichi Yokoyama
恵一 横山
Akio Hibara
昭男 檜原
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 化学的・物理的に安定で、粘度が低く、引火
点が高く、誘電率が高く、有機物を良く溶かすことがで
き、溶媒として有用な新規な炭酸エステル化合物を提供
する。 【構成】 塩基性触媒の存在下、次式で表わされるエス
テル交換反応を行なうことにより、R1CH2O−CO−
OCH21 2CH2OH → R1CH2O−CO−
OCH22[I](式中R1は水素原子、アルキル基又
はハロゲン原子置換アルキル基を表わし、R2はα水素
を持たないアルキル基又は又はハロゲン原子置換アルキ
ル基を表す)、一般式[I]の炭酸エステル化合物を得
る。この炭酸エステル化合物は、有機合成の一般的な溶
媒の他、電池用電解液溶媒等の各種溶剤として使用でき
る。また、有機合成試薬、医農薬、難燃剤、洗浄剤とし
ても用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な非対称炭酸エステ
ル化合物に関し、さらに詳しくは、耐酸化性に優れた溶
剤、有機合成原料或いは医農薬として有用な新規炭酸エ
ステル化合物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】炭酸エ
ステルはR−O−CO−O−R’で表わされる炭酸のジ
エステルで、一般に炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の対
称型鎖状炭酸エステル化合物や炭酸エチレン、炭酸プロ
ピレン等の環状炭酸エステル化合物が知られている。こ
れらの炭酸エステル化合物は薬品化学、農業化学等の特
殊溶剤として、又、染料、植物保護剤、合成樹脂等の出
発物質、中間体また医農薬として利用されている(特開
昭54−125617号公報、特開昭54−63023
号公報等)。また環状炭酸エステルは誘電率が高く無機
物をよく溶かすため、アルカリ金属やアルカリ土類金属
またはその化合物を負極活物質に用いた非水電池の電解
溶媒に用いた例も報告されている。
【0003】一方、フッ素を含有する炭酸エステル化合
物はあまり一般的には知られていないが、合成樹脂の原
料として炭酸ジトリフルオロエチル(米国特許第969
683号)、農薬として炭酸ジヘキサフルオロプロピ
ル、炭酸エチルヘキサフルオロプロピル(米国特許第3
359296号)、難燃剤として炭酸ジパーフルオロフ
ェニル(米国特許第768179号)等の化合物が報告
されている。
【0004】一般に対称型の炭酸エステル化合物は、ホ
スゲンとアルコールとの反応によって合成されるが、非
対称の炭酸エステル化合物は、エステル置換基として2
種のアルコキシ基を導入する必要があり、カルバミン酸
エステルとアルコールとの反応による方法(昭57−2
6645号公報)、クロロギ酸エステルにアルコールを
作用させる方法等が提案されている。
【0005】ところで有機溶媒は有機物を良く溶かすこ
とが基本的に必要な性質ではあるが、それ以外に化学的
・物理的に安定なこと、液体としての温度域が広いこ
と、粘度が低いこと、引火点が高く着火しにくいこと、
また用途によっては誘電率が高いことも重要な性質であ
る。一般にベンゼン、メタノール、アセトン等の有機溶
媒は引火点が低く、引火しやすいのに対し、前述の炭酸
エステル類は引火点が高く、例えば炭酸ジメチルの引火
点22℃、炭酸ジエチルの引火点25℃で、着火しにく
い。また有機物を良く溶かし、化学的・物理的に安定
で、誘電率が高いなど溶媒として優れた特徴がある。こ
のため、炭酸エステルを電池の電解溶媒として用いたも
のが報告されている(特開昭61−64082号公
報)。
【0006】このように炭酸ジメチルや炭酸ジエチルな
どアルキル基が炭素原子と水素原子のみからなり対称型
の炭酸エステルは一般の有機溶媒に比べて優れた性質を
有するが、例えば電池、コンデンサ、また電気化学反応
用電解液の溶媒などの化学的・物理的な安定性や引火点
が高く難燃性であることが求められる用途に対しては、
その性能は十分ではない。また、一般に分子構造が対称
な化合物は結晶化しやすく、例えば炭酸ジメチルの融点
は3〜4℃であり、分子量の割に融点が高く液体として
使用できる温度幅が狭いという難点がある。
【0007】本発明は、新規な非対称の炭酸エステル化
合物を提供することを目的とし、更に本発明の目的は、
化学的・物理的に安定で、誘電率が高く、有機物及び無
機物を良く溶かすことができ、更に引火点が高く融点の
低い溶媒として有用な新規な炭酸エステル化合物を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために鋭意研究した結果、炭酸エステル化合物の少な
くとも一方のアルキル基のβ位置に置換基を導入するこ
とにより、炭酸エステル化合物の化学的安定性が向上
し、且つ引火点が高くなること、また構造を非対称とす
ることにより融点を下げることができることを見出し本
発明に至ったものである。即ち、本発明の非対称炭酸エ
ステル化合物は、一般式[I]で表される炭酸エステル
化合物であり、
【0009】
【化2】
【0010】ここで、式中R1は、水素原子、アルキル
基又はハロゲン原子置換アルキル基を表わし、R2はα
位置に水素を持たないアルキル基又はハロゲン原子置換
アルキル基を表わす。但しR1≠R2とする。R1は、炭
素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子置換アルキル
基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基等及びこれらの水素の一部又は全部がハ
ロゲンで置換されたものが挙げられる。
【0011】R2は、炭素数4〜7のα位置に水素を持
たないアルキル基であることが好ましく、t−ブチル
基、−C(CH2CH33等の分枝状アルキル基が挙げ
られる。またハロゲン原子置換アルキル基は炭素数1〜
4の直鎖状のものが好ましく、そのハロゲン原子として
はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれた1種の原子
が挙げられるが、特にフッ素原子置換アルキル基が好ま
しい。このようなフッ素原子置換アルキル基としてフル
オロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル
基、フルオロブチル基等が挙げられる。ハロゲン原子置
換アルキル基のハロゲン原子置換数は特に限定されない
が、少なくともアルキル基のα位置の水素がハロゲンで
置換されていることが好ましく、例えばトリフルオロメ
チル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチ
ル基、ヘプタフルオロプロピル基が挙げられる。
【0012】一般式[I]で表わされる具体的化合物と
して次のものを例示することができる。炭酸メチルネオ
ペンチル、炭酸メチル2,2,2−トリエチルエチル、
炭酸メチル2,2,2−トリフルオロエチル、炭酸メチ
ル2,2,2−トリクロロエチル、炭酸メチル2,2,
2−トリブロモエチル、炭酸メチル2,2,2−トリヨ
ードエチル、炭酸エチル2,2,2−トリフルオロエチ
ル、炭酸メチル2,2,3,3,3−ペンタフルオロプ
ロピル、炭酸メチル2,2,3,3−テトラフルオロプ
ロピル、炭酸メチル2,2,3,3,4,4,4−ヘプ
タフルオロブチル、炭酸2,2,2−トリフルオロエチ
ル2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル等。
【0013】本発明の炭酸エステル化合物を溶媒として
用いる場合には、R1は水素原子、メチル基(−CH3
又はトリフルオロメチル基(−CF3)であることが好
ましく、R2はt−ブチル基又はトリフルオロメチル基
であることが好ましい。特にR1が水素原子又はメチル
基であり、R2がトリフルオロメチル基であることが好
ましい。
【0014】本発明の炭酸エステル化合物は、化学的に
安定で、特に耐酸化性に優れ、そのままでは水と反応し
たり、空気中に放置しても酸化されることもなく、金属
リチウムと反応しない。またエタノール、エーテル、ア
セトン、トルエンに可溶であるため、種々の反応溶媒や
洗浄溶媒に使用することができる。更に本発明の炭酸エ
ステル化合物は誘電率が高いため、エステル化合物、カ
ルボン酸等の有機物のみならずヘキサフルオロ燐酸、ヘ
キサフルオロアルシン酸、テトラフルオロほう酸、トリ
フルオロメタンスルホン酸、過塩素酸等のリチウム塩等
の金属塩やテトラフルオロほう酸テトラエチルアンモニ
ウム(Et4+BF 4 -)のようなアンモニウム塩をよく
溶かす性質を有している。また本発明の炭酸エステル化
合物は、物理的にも安定で、熱分解しにくく、引火点が
高く難燃性で、電気化学的には酸化、還元を受けにく
い。このため電池やコンデンサ、また電気化学反応等の
電解液の溶媒として使用することができる。
【0015】本発明の炭酸エステル化合物はナトリウム
メトキシド、水酸化ナトリウムなどの塩基性触媒の存在
下で、対応するアルコールと炭酸ジメチルなどの炭酸ジ
アルキルを原料に用いて、次式で示されるエステル交換
反応を行うことによって合成することができる。
【0016】
【化3】
【0017】本発明の炭酸エステル化合物は、上記エス
テル交換反応による製造方法が好適であるが、次式に示
すようにクロロギ酸エステルにアルコールを作用させる
方法、カルバミン酸エステルとアルコールとを反応させ
る方法等によっても製造することもできる。
【0018】
【化4】
【0019】本発明の炭酸エステル化合物は、有機合成
の一般的な溶媒、洗浄溶媒、電気化学的反応、電池等の
電解液溶媒等の各種溶剤として使用できる他に、ハロゲ
ン化アルキル化剤、カルボニル化剤等の有機合成試薬と
して、また医農薬や難燃化剤としても使用することがで
きる。
【0020】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。 実施例1 炭酸メチルネオペンチル([I]式において
1=H、R2=t−ブチル基)の合成 ネオペンチルアルコール500g(5.7mol)、炭
酸ジメチル2070g(23.0mol)の混合溶液に
28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液11gを
加え、100℃に加熱して6時間メタノールを留去し
た。室温まで放冷後、塩化アンモニウム水溶液を加え、
振とうしてナトリウムメトキシドを除いた。有機層を水
洗・乾燥した後、蒸留して炭酸メチルネオペンチル45
0g(収率55%)を無色液体として得た。生成化合物
は図1及び図2に示すIR、NMRの吸収スペクトル及
び質量分析のスペクトル(M/e=146)から構造決
定した。尚、IR及びNMRの吸収ピークは次の通りで
ある。 IR(neat):2958(C-H), 1443, 1372, 1280, 1260, 9
73cm-1 NMR(CDCl3 soln, δppm):0.95(s, 9H, C(CH3)3),
3.78(s, 3H, OCH3), 3.83(s, 2H, OCH2) また、主な物性を表1に示した。 実施例2 炭酸メチル2,2,2−トリフルオロエチル
([I]式においてR1=H、R2=トリフルオロメチ
ル)の合成 10段の蒸留搭を備えた3l容量のフラスコに2,2,
2−トリフルオロエタノール790g(7.9mo
l)、炭酸ジメチル2140g(23.7mol)、お
よび28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液1
5.3gを加えた。フラスコを100℃に加熱し、蒸留
搭からメタノールを留去しながら30時間反応した。室
温まで放冷後、塩化アンモニウム水溶液を加え、振とう
してナトリウムメトキシドを除いた。有機層を水洗・乾
燥した後、蒸留して炭酸メチル2,2,2−トリフルオ
ロエチル410g(収率33%)を無色液体として得
た。尚、生成化合物は図3及び図4に示すIR、NMR
の吸収スペクトル及び質量分析のスペクトル(M/e=
158)から構造決定した。IR及びNMRの吸収ピー
クは次の通りである。 IR(neat):2966(C-H), 1769(C=O), 1448, 1412, 13
17, 1256, 1171, 999, 980, 839, 788, 638, 592cm-1. NMR(CDCl3 soln, δppm):3.86(s, 3H, OCH3), 4.
40(q, 2H, J=9Hz, OCH2CF3). 物性を併せて表1に示した。
【0021】尚、同じ原料を用いて20段の蒸留搭を備
えた5l容量のフラスコを用いて、反応温度を120℃
とし、その他は上記と全く同様に反応させたところ、高
収率で炭酸メチル2,2,2−トリフルオロエチル71
0g(収率57%)を得ることができた。 実施例3 炭酸エチル2,2,2−トリフルオロエチル
([I]式においてR1=メチル、R2=トリフルオロメ
チル)の合成 5l容量のフラスコに2,2,2−トリフルオロエタノ
ール800g(8.0mol)、クロロ炭酸エチル86
7g(8.0mol)およびジエチルエーテル1000
mlを加えた。反応温度が−5℃〜0℃になるようにフ
ラスコを冷却しながら、水酸化カリウム水溶液(29.
5重量%)1500gを6時間で滴下し、その後12時
間室温で撹拌した。エーテル層を分離、水洗、乾燥した
後、蒸留して炭酸エチル2,2,2−トリフルオロエチ
ル960g(収率70%)を無色液体として得た。尚、
生成化合物は図5及び図6に示すIR、NMRの吸収ス
ペクトル及び質量分析のスペクトル(M/e=172)
から構造決定した。IR及びNMRの吸収ピークは次の
通りである。 IR(neat):2982(C-H), 1763(C=0), 1446, 1415, 13
72, 1310, 1246, 1170,1020, 987, 881, 787, 640, 589
cm-1 NMR(CDCl3 soln, δppm):1.35(t, 3H, J=8Hz, OC
H2CH3, 4.27(q, 2H, J=7Hz, OCH2CF3), 4.50(q, 2H, J=
8Hz, OCH2CH3) また、主な物性を表1に示した。 実施例4 炭酸メチル2,2,3,3,3−ペンタフル
オロプロピル([I]式においてR1=H、R2=ペンタ
フルオロエチル)の合成 10段の蒸留搭を備えた500ml容量のフラスコに
2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール10
0g(0.67mol)、炭酸ジメチル180g(2.
0mol)、および28%ナトリウムメトキシド/メタ
ノール溶液1.3gを加えた。フラスコを120℃に加
熱し、蒸留搭からメタノールを留去しながら10時間反
応した。室温まで放冷後、塩化アンモニウム水溶液を加
え、振とうしてナトリウムメトキシドを除いた。有機層
を水洗・乾燥した後、蒸留して炭酸メチル2,2,3,
3,3−ペンタフルオロプロピル71g(収率51%)
を無色液体として得た。尚、生成化合物は図7及び図8
に示すIR、NMRの吸収スペクトル及び質量分析のス
ペクトル(M/e=208)から構造決定した。IR及
びNMRの吸収ピークは次の通りである。 IR(neat):2964(C-H), 1768(C=O), 1447, 1402, 13
77, 1354, 1290, 1203,1155, 1105, 1048, 980, 786, 7
31, 642, 522cm-1 NMR(CDCl3 soln, δppm):3.86(s, 3H, OCH3), 4.
59(t, 2H, J=12.5Hz, OCH2CF2CF3). また、主な物性を表1に示した。 実施例5 炭酸メチル2,2,3,3−テトラフルオロ
プロピル([I]式においてR1=H、R2=1,1,
2,2−テトラフルオロエチル)の合成 10段の蒸留搭を備えた500ml容量のフラスコに
2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール100g
(0.76mol)、炭酸ジメチル205g(2.3m
ol)、および28%ナトリウムメトキシド/メタノー
ル溶液1.4gを加えた。フラスコを120℃に加熱
し、蒸留搭からメタノールを留去しながら10時間反応
した。室温まで放冷後、塩化アンモニウム水溶液を加
え、振とうしてナトリウムメトキシドを除いた。有機層
を水洗・乾燥した後、蒸留して炭酸メチル2,2,3,
3−テトラフルオロプロピル70g(収率49%)を無
色液体として得た。尚、生成化合物はIR、NMRの吸
収スペクトル及び質量分析のスペクトル(M/e=19
0)から構造決定した。図9及び図10に示すIR及び
NMRの吸収ピークは次の通りである。 IR(neat):2964(C-H), 1764(C=O), 1446, 1396, 12
77, 1204, 1106, 994, 834, 787, 662, 580, 534cm-1 NMR(CDCl3 soln, δppm):3.86(s, 3H, OCH3), 4.
53(t, 2H, J=12.5Hz, OCH2CF2CF2H), 5.90(tt, 1H, J=5
3.1Hz, J=4.3Hz, OCH2CF2CF2H) また、主な物性を表1に示した。 実施例6 炭酸2,2,2−トリフルオロエチル2,
2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル([I]式に
おいてR1=トリフルオロメチル、R2=ペンタフルオロ
エチル)の合成 まず、20段の蒸留搭を備えた5l容量のフラスコに
2,2,2−トリフルオロエタノール1000g(1
0.0mol)、炭酸ジメチル1800g(20.0m
ol)、および28%ナトリウムメトキシド/メタノー
ル溶液15.3gを加えた。フラスコを120℃に加熱
し、蒸留搭からメタノールを留去しながら30時間反応
したのち、フラスコを130℃に加熱し、蒸留搭から炭
酸ジメチルを留去しながら40時間反応した。室温まで
放冷後、塩化アンモニウム水溶液を加え、振とうしてナ
トリウムメトキシドを除いた。有機層を水洗・乾燥した
後、蒸留して炭酸ジ2,2,2−トリフルオロエチル4
07g(収率36%)を無色液体として得た。
【0022】次に、10段の蒸留搭を備えた500ml
容量のフラスコに2,2,3,3,3−ペンタフルオロ
プロパノール100g(0.76mol)、炭酸ジ2,
2,2−トリフルオロエチル520g(2.3mo
l)、および28%ナトリウムメトキシド/メタノール
溶液1.4gを加えた。フラスコを120℃に加熱し、
蒸留搭から2,2,2−トリフルオロエタノールを留去
しながら10時間反応した。室温まで放冷後、塩化アン
モニウム水溶液を加え、振とうしてナトリウムメトキシ
ドを除いた。有機層を水洗・乾燥した後、蒸留して炭酸
2,2,2−トリフルオロエチル2,2,3,3,3−
ペンタフルオロプロピル103g(収率40%)を無色
液体として得た。尚、生成化合物はIR、NMRの吸収
スペクトル及び質量分析のスペクトル(M/e=27
6)から構造決定した。図11及び図12に示すIR及
びNMRの吸収ピークは次の通りである。 IR(neat):2980(C-H), 1782(C=O), 1446, 1420, 12
63, 1203, 1109, 991, 841, 781, 641, 522cm-1 NMR(CDCl3 soln, δppm):4.58(q, 2H, J=8Hz, OC
H2CF3), 4.66(t, 2H, J=13Hz, OCH2CF2CF3) また、主な物性を表1に示した。尚、比較例として炭酸
ジメチルの物性を併せて表1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】表1からも明らかなように本発明の炭酸エ
ステル化合物は、沸点が高く融点が低く液体としての温
度域が広く、粘度が低い。従って溶媒としての利用価値
が高いことが示された。 実施例7 耐電圧の測定 実施例1から実施例6で得られた化合物と炭酸プロピレ
ン(PC)との混合溶媒(体積比で1:1)を用いて、
1モルのヘキサフルオロ燐酸リチウム(LiPF6)溶
液を調整した。この溶液について、作用極及び対極にそ
れぞれ白金を用い、参照極に金属リチウムを用いて、ポ
テンショスタット装置で耐電圧を測定した。測定は、3
電極式電圧測定セルに上記溶液を入れポテンショスタッ
トで50mV/秒で電位走引し、分解電流が0.1mA
以上流れなかった範囲を耐電圧とした。測定結果を表2
に示した。炭酸ジメチルとPCとの混合溶媒(比較例)
についても同様に耐電圧を測定し、結果を併せて表2に
示した。
【0025】
【表2】
【0026】本発明の炭酸エステルは表1に示したよう
に誘電率が高く、また表2に示したように耐電圧が高い
ので特に電池用電解液溶媒として好適に適用できること
が示された。 実施例8 引火点の測定 実施例2、実施例3及び実施例6で得られた各化合物及
び実施例2の化合物と炭酸プロピレンとを体積混合率
1:1に混合した溶液の引火点をタグ密閉式(JIS−
K2265)で測定した。比較例として炭酸ジメチル及
び炭酸ジメチルと炭酸プロピレンとを体積混合率1:1
に混合した溶液の引火点を同様に測定した。測定結果を
表3に示した。
【0027】
【表3】
【0028】表からも明らかなように本発明の炭酸エス
テルは引火点が高いので耐酸化性に優れた溶剤として好
適に使用できる。
【0029】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように本発
明によれば、少なくとも一方のアルキル基のα位置の水
素が置換された非対称型の新規な炭酸エステルが提供さ
れる。この新規な炭酸エステルは化学的・物理的に安定
で、粘度が低く、引火点が高く、誘電率が高く、有機物
を良く溶かすことができ、一般の有機溶剤として、特に
電池用電解液溶媒として適用価値が高い。更に本発明の
新規な炭酸エステルは、少なくとも一方のアルキル基に
ハロゲンを含む場合には特に難燃性に優れ、難燃化溶剤
として使用することができる。本発明の新規な炭酸エス
テルは溶媒としての用途の他、有機合成試薬、医農薬、
難燃剤、洗浄剤としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭酸エステルの実施例1の化合物のI
Rスペクトルを示す図。
【図2】本発明の炭酸エステルの実施例1の化合物のN
MRスペクトルを示す図。
【図3】本発明の炭酸エステルの実施例2の化合物のI
Rスペクトルを示す図。
【図4】本発明の炭酸エステルの実施例2の化合物のN
MRスペクトルを示す図。
【図5】本発明の炭酸エステルの実施例3の化合物のI
Rスペクトルを示す図。
【図6】本発明の炭酸エステルの実施例3の化合物のN
MRスペクトルを示す図。
【図7】本発明の炭酸エステルの実施例4の化合物のI
Rスペクトルを示す図。
【図8】本発明の炭酸エステルの実施例4の化合物のN
MRスペクトルを示す図。
【図9】本発明の炭酸エステルの実施例5の化合物のI
Rスペクトルを示す図。
【図10】本発明の炭酸エステルの実施例6の化合物の
NMRスペクトルを示す図。
【図11】本発明の炭酸エステルの実施例7の化合物の
IRスペクトルを示す図。
【図12】本発明の炭酸エステルの実施例8の化合物の
NMRスペクトルを示す図。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式[I]で表される炭酸エステル化合
    物。 【化1】 (式中R1は水素原子、アルキル基又はハロゲン原子置
    換アルキル基を表わし、R2はα位置に水素を持たない
    アルキル基又はハロゲン原子置換アルキル基を表わす。
    但しR1≠R2とする。)
  2. 【請求項2】請求項1記載の炭酸エステル化合物におい
    て、一般式[I]中のR1が水素原子、−CH3及び−C
    3の群から選ばれる基であり、R2が−C(CH33
    −CF3、−CF2CF3及び−CF2CF2Hの群から選
    ばれる基であることを特徴とする炭酸エステル化合物。
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