JPH06211216A - 飲料抽出用フィルター及びその製法 - Google Patents

飲料抽出用フィルター及びその製法

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JPH06211216A
JPH06211216A JP4271098A JP27109892A JPH06211216A JP H06211216 A JPH06211216 A JP H06211216A JP 4271098 A JP4271098 A JP 4271098A JP 27109892 A JP27109892 A JP 27109892A JP H06211216 A JPH06211216 A JP H06211216A
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JP
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ascorbic acid
filter
solution
trihalomethane
bag
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JP4271098A
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Yoshikazu Suzuki
嘉一 鈴木
Eiji Masuno
栄二 増野
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Yamanaka Industry Co Ltd
Original Assignee
Yamanaka Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】繊維組織にアスコルビン酸類及び/またはその
塩、及び/またはシクロデキストリンを含有せしめてな
るフィルターで、飲料中のトリハロメタンの生成を抑制
・除去し或いはカルキ臭・カビ臭を除去することを特徴
とする飲料等の抽出用フィルター及び、その製法であ
る。 【効果】本発明の飲食物の抽出用フィルターは繊維組織
からなるフィルターに、アスコルビン酸類及び/または
その塩の溶液を含浸後、乾燥したもので、コーヒー、紅
茶、煎茶等を調製するとき、遊離塩素が含まれた水道水
を使用しても、煩雑な操作を要することなくアスコルビ
ン酸等の作用ににより、水道水中の遊離塩素を消失させ
てカルキ臭が無く、またトリハロメタンの生成量も少な
い嗜好性飲料等を得ることが出来る。或いは、繊維組織
にシクロデキストリンを含有させたもので、更に、トリ
ハロメタン及びカビ臭も除去することが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコーヒー、紅茶、煎茶等
を調製するための抽出用フィルターに関するもので、繊
維組織からなるフィルターに、アスコルビン酸等及び/
またはシクロデキストリンを含有させたものである。そ
の作用によって遊離塩素及びカビ臭を有する水道水を使
用しても、遊離塩素を消失させてカルキ臭、カビ臭が無
く、更にトリハロメタンの生成を抑制し或いは除去する
機能を有する、嗜好性飲料等を得ることが出来るフィル
ター及びその製法である。
【0002】
【従来の技術】飲料水として使用される水道水には通常
殺菌及び消毒のため塩素が混入されている。特に水質が
悪化する夏季には塩素の混入量が増加する。水道水中の
遊離塩素の濃度が高くなると、いわゆるカルキ臭が強く
なり、その様な水道水をコーヒーや紅茶、煎茶、ほうじ
茶等各種の茶に使用すると、折角入れたコーヒーや茶の
風味が著しく損なわれる。また水道水中の遊離塩素とコ
ーヒーや茶に含まれる有機物との反応にって、発癌性物
質の疑いがある有害物質のトリハロメタンも生成し、塩
素濃度が高くなる程トリハロメタン生成量も増加する。
従って、飲料等に供される水道水中の遊離塩素の量は、
出来るだけ少なくすることが望ましく、このため、活性
炭等の吸着材を使用した家庭用浄水器が一般に普及しつ
つある。また、水道水中の塩素を物理的に吸着して除去
する方法以外にも、遊離塩素を化学的に中和することに
より、水道水中のカルキ臭を除去しようとする提案も種
々なされている。
【0003】例えば特開昭63-80898号公報には、煎茶、
ウーロン茶、ビタミン C(L-アスコルビン酸)、タンニ
ン酸等の粉末を水溶性の成型剤で造粒し、その造粒物を
水道水中に投入することにより、水道水中のカルキを除
去する技術が開示されている。また、特開平1-281193号
公報には、アスコルビン酸またはその塩を含有した浄水
剤を透水性の不織布に収納した浄水具を作り、その浄水
具を水道水中に浸漬させることにより、水道水のカルキ
臭等を除去する技術が開示されている。更に、特開昭62
-44137号公報には、コーヒー豆からコーヒーエキストラ
クトを溶媒抽出する場合に、抽出溶媒もしくは抽出して
得られた抽出液にL-アスコルビン酸及び炭酸アルカリ金
属塩或いはL-アスコルビン酸アルカリ金属塩を添加する
ことにより、常温で保存する場合コーヒー特有の風味が
長期間保持出来るコーヒーエキストラクトの調製法が開
示されている。
【0004】その他、水道水中には原水中に含まれるフ
ミン質と遊離塩素との反応によって生成した微量のトリ
ハロメタンが含まれ、更にカビ臭を有する場合もあって
浄水の課題になっている。トリハロメタンやカビ臭の除
去には従来から吸着材として主に活性炭を使用した浄水
器が使用されているが、コーヒーや煎茶等のフィルター
に直接適用する試みはなされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】アスコルビン酸または
その塩を使用して水道水中の遊離塩素を中和し、水道水
のカルキ臭を除去する方法は、前記の様に従来から知ら
れている。しかしながら、従来の方法はアスコルビン酸
の粉末を造粒して水道水中に投入したり、アスコルビン
酸またはその塩を含んだ浄水剤を透水性のバッグに入れ
て水道水中に浸漬したり、或いはアスコルビン酸の塩を
直接水中に添加して水を浄化した後コーヒーの抽出に供
したり、或いは、コーヒー豆を抽出して得られた抽出液
に直接アスコルビン酸の塩を添加する等の方法である。
【0006】従って、コーヒー等の抽出をする時にはそ
の都度水道水を必要量容器に取り、浄化処理後その水を
加熱して使用する必要があった。そのため工業的規模で
の実施や営業店での利用は可能であっても、一般家庭に
そのまま適用することは困難である。
【0007】更に、コーヒー豆を水道水で抽出して得ら
れた抽出液にアスコルビン酸の塩を添加する方法では、
抽出時に水道水中の遊離塩素とコーヒー中に含まれる有
機物とが反応してトリハロメタンが生成するため、トリ
ハロメタンの生成を制御する効果は期待できない。
【0008】この発明は、以上のような事情に鑑みてな
されたものであり、コーヒーや茶などの嗜好性飲料等
を、水道水を使用した抽出操作によって得ようとする場
合に、予め水道水を浄化しなくても、水道水を加熱し或
いは場合によっては加熱せずそのまま使用して通常の抽
出操作を行うだけで、水道水中の遊離塩素を消失させる
ことができ、カルキ臭が無く、また、トリハロメタンの
生成量も少ない飲料等を得ることが出来る様な抽出用フ
ィルタ及び抽出用バッグを提供すること、並びに、その
様な抽出用フィルタや抽出用バッグを製造するための新
規な方法を提供することを技術的課題としている。
【0009】更に、水道水にはトリハロメタンが微量含
まれ、またカビ臭を有する場合もしばしばある。これら
はいづれも除去困難な物質であり、特にトリハロメタン
は発癌性物質の疑いもある。従って、新たな生成を抑制
するのみならず、抽出された飲料に含まれているこれら
の有害物質を積極的に除去することも本発明の課題であ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等はこの様な観
点からコーヒー、紅茶、煎茶等を水道水で抽出する際、
アスコルビン酸を共存させた時の遊離塩素の挙動及びト
リハロメタンの生成について検討した。その結果、コー
ヒー等を抽出する際アスコルビン酸を共存させると遊離
塩素を含まない、すなわち、カルキ臭がないコーヒー等
が得られるのみならず、コーヒー液中に生成するトリハ
ロメタンが著しく抑制出来るとの知見を得た。更に、シ
クロデキストリンをフィルターに含有させることによ
り、抽出された飲料中に含まれているトリハロメタン及
びカビ臭が除去出来ることを見出し、これに基づいて本
発明に到達した。
【0011】すなわち、繊維組織にアスコルビン酸類及
び/またはその塩、及び/またはシクロデキストリンを
含有せしめてなるフィルターで、飲料中のトリハロメタ
ンの生成を抑制・除去し或いはカルキ臭・カビ臭を除去
することを特徴とする飲料等の抽出用フィルター及び、
その製法である。
【0012】ここで、フィルターがその内部に例えば、
コーヒー、煎茶等の抽出原料を封入出来る様に製袋した
バッグ、また繊維組織が太さ0.1 デニル以下のメルトブ
ロー繊維からなる不織布であるフィルター、更にアスコ
ルビン酸等を添着する場合の溶媒としては濃度60%以上
のエタノール水溶液を使用することが好ましい。
【0013】飲料等とはコーヒー及び各種の茶、すなわ
ち紅茶(醗酵茶)、ウーロン茶(半醗酵茶)、煎茶等の
緑茶、ほうじ茶、麦茶などの嗜好性飲料が最も多いが、
その他煮干し、だし昆布、鰹節等の調味料、ゲンノショ
ウコ、ドクダミ等の薬草類も含まれる。
【0014】また、抽出用フィルターとは主としてコー
ヒー、煎茶等の抽出原料を封入出来る様に製袋したバッ
グであるが、多人数で使用するための大型バッグ或い
は、フィルタークロスを抽出容器に取り付けて使用する
時のフィルターも含まれている。
【0015】アスコルビン酸類とは、L-アスコルビン酸
の他、それと同様の生化学的効力を有する化合物が使用
可能であり、例えば、6-デオキシアスコルビン酸、L-ラ
マノアスコルビン酸、D-エリソルビン酸(D-イソアスコ
ルビン酸)、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル等
を含み、それらの中適当な1種、或いは2種以上を組み
合わせて使用することが出来る。また、アスコルビン酸
類の塩としては、前記化合物のナトリウム塩やカリウム
塩等のアルカリ金属塩が使用可能である(これらの化合
物を総称して以下アスコルビン酸等と言う)。
【0016】尚、アスコルビン酸はエノール型であり、
ケト型のデヒドロアスコルビン酸と水溶液中で酸化還元
系を形成し、相互に可逆的に変化することが知られてい
る。従って、溶液中ではアスコルビン酸が可逆的に変化
するときの中間体や、アスコルビン酸の酸化還元作用に
より生成した化合物としても存在することが考えられ
る。
【0017】シクロデキストリンとは、D-グルコーズ 6
〜12分子がα-1,4結合によって環状に結合したデキスト
リンである。重合度6のα- デキストリン、重合度7の
β-デキストリン、重合度8のγ- デキストリンの他、
更に重合度が高いδ- デキストリン及びε- デキストリ
ンも知られている。本発明にはこれらの中1種または2
種以上の混合物のいずれも使用することが出来る他、グ
ルコーズ残基からなる側鎖を有するシクロデキストリン
も使用可能である。
【0018】シクロデキストリンは Bacillus macerans
の分泌するアミラーゼにより、デンプンのα-1,4- グ
ルコシド結合を分解すると同時に閉環することによっ
て、α- 、β- 及びγ- デキストリン等の混合物が得ら
れ、これらの化合物のブロムベンゼン、トリクロルエチ
レン、プロパノール等の有機溶媒及び水に対する溶解度
の差を利用して分別される。しかし、混合物のまま使用
される場合も多い。
【0019】シクロデキストリンは特異な王冠状の環状
構造を有し、α- 、β- 及びγ- デキストリンの内径は
それぞれ5〜6Å、7〜8Å、9〜10Åである。この特
異な分子形状に基づいて、その環状構造の内部に他の分
子を取り込んで包接化合物を形成する性質を持ってい
る。この包接化合物において、シクロデキストリンはホ
スト化合物、環状構造の内部に取り込まれる化合物はゲ
スト化合物と呼ばれる。α- 、β- 及びγ- デキストリ
ンによってそれぞれゲスト化合物はことなるが、ゲスト
化合物としてトリハロメタン等の有機塩素化合物、トリ
メチルアミン、水道水のカビ臭の原因となる悪臭物質、
ジオスミン等が挙げられる。従って、飲料等の抽出時フ
ィルターの繊維組織中にシクロデキストリンを含有させ
ることによって、トリハロメタン及びカビ臭を除去する
ことが出来る。しかし、包接化合物の生成はホスト化合
物の特異な環状構造とゲスト化合物の形状がマッチする
ことによって初めて生成するものであるから、選択性が
極めて高くまた生成する時の反応速度も高い。従って、
トリハロメタン等複数の塩素化合物やカビ臭を除去する
場合には、一般に単一のシクロデキストリンよりも、複
数のシクロデキストリンの混合物が好ましい。
【0020】本発明の飲料等の抽出用フィルター及び抽
出用バッグは、繊維組織からなるフィルターの全面にア
スコルビン酸類及び/またはその塩が、それを溶解した
溶液の蒸発残留物の形態で付着してい状態が好ましい。
【0021】本発明の抽出用フィルターや抽出用バッグ
によって、コーヒーや茶などの抽出をする時、水道水が
フィルターの繊維組織に接触すると、先ず繊維に付着さ
れているアスコルビン酸等と水道水中の遊離塩素とが反
応し、還元性物質であるアスコルビン酸等によって酸化
性物質である塩素が中和されて消失する。特に抽出用バ
ッグでは、その内部に封入された焙焼・粉砕コーヒー豆
や茶の葉等の抽出原料は、水道水がフィルターの繊維組
織を透過する間に水道水中の遊離塩素が中和されて消失
し、その後の水と接触することになるためコーヒー豆や
茶の葉等に含まれる有機物と遊離塩素との反応による、
トリハロメタンの生成が抑制されると考えられる。
【0022】また、アスコルビン酸等は、繊維組織中に
溶液の蒸発残留物の形態で付着されているので、単に粉
末状のアスコルビン酸等を繊維組織の表面に吹き付ける
等の方法で付着させた場合とは異なり、運搬中の振動な
どによる衝撃では繊維組織から脱落するおそれがなく、
アスコルビン酸等は繊維組織の内部に安定に保持され
る。
【0023】また、以上の様な抽出用フィルター及び抽
出用バッグを製造する方法として、フィルターの繊維組
織の一部または全部に、アスコルビン酸等を溶媒に溶解
させた溶液を塗布し、もしくは、繊維組織をアスコルビ
ン酸等の溶液中に浸漬させて繊維組織中に溶液を含浸さ
せた後、溶媒を蒸発させてアスコルビン酸等の固形物を
繊維の表面に付着させる様にして調製される。
【0024】アスコルビン酸等を付着させる時に使用す
る溶液の溶媒は特に限定しないが、エタノール水溶液が
適当で、またエタノール水溶液の濃度は60%以上が好ま
しい。
【0025】また、溶媒としてエタノール水溶液(エタ
ノール濃度100 %のときはエタノール単体)を使用する
ときは、溶媒を極めて短時間に乾燥させることが出来る
メリットがある。
【0026】繊維組織に含浸された溶媒の蒸発・乾燥に
時間がかかる場合、繊維組織が湿ったままでロールに巻
き取ると、保存中にカビ等の微生物が発生して使用不能
になったり、或いは、繊維組織が完全に乾燥する迄拡げ
て乾燥させるためには大きなスペースが必要になる。し
かし、エタノール水溶液を使用すればこれらの問題点が
容易に解消される。しかもエタノールは殺菌効果を有す
るため、フィルターの繊維組織にエタノール水溶液を塗
布し或いは繊維組織をエタノール水溶液に含浸させたと
きには、同時に繊維組織が殺菌され黴の発生を防止出来
るメリットもある。
【0027】本発明のフィルターの繊維組織には、太さ
0.1 デニル以下のメルトブロー繊維の不織布を含んでい
ることが好ましい。太さ0.1 デニル以下、すなわち極細
のメルトブロー繊維の不織布は微粒子の漏出防止や油脂
の吸着除去性に優れ、且つ圧損失も低く濾過速度が早
い。
【0028】メルトブロー繊維は、熱可塑性ポリマーか
らなる超極細短繊維である。熱可塑性ポリマーとして
は、ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリエステルを
使用することが好ましく、それらの中、ポリエチレンま
たはポリプロピレンがより好ましい。また、この繊維の
単糸の太さは、好ましくは0.1 デニル以下、より好まし
くは0.01〜0.08デニル、更に好ましくは0.04〜0.05デニ
ルである。
【0029】極細のメルトブロー繊維の不織布は、特に
コーヒーの抽出に適しているが、他の嗜好性飲料、だし
パック等のろ過性も優れている。しかし、メルトブロー
繊維の不織布は極めて薄いため、スパンボンド等他の不
織布或いは織物等その他の繊維組織と積層して使用する
ことが好ましい。また、繊維として活性炭繊維を混入さ
せてもよい。
【0030】その他の繊維組織の素材や構成は特に限定
されず、広範囲の材料を使用することが出来る。すなわ
ち、素材としては、有機合成繊維或いは天然または半合
成セルローズ系繊維等の中適当なものを選択し、それら
のうちの1種類の繊維を単独で、或いは2種類以上の繊
維を混合して使用することが出来る。また、素材の組織
としては、乾式または湿式の不織布、織物或いは編物の
何れでもよく、また、それらのうちの2種以上のものを
積層して使用してもよい。尚、ここで不織布には紙も含
まれている。
【0031】次に、フィルターの繊維組織にアスコルビ
ン酸等を付着させるには、アスコルビン酸等を溶解した
溶液を使用する必要がある。すなわち、溶液を繊維組織
からなるフィルターの一部または全面に塗布するか、或
いはその溶液中にフィルターを浸漬させることにより、
フィルターの繊維組織に溶液を含浸させた後、溶媒を蒸
発させてアスコルビン酸等を繊維組織に付着して保持さ
せる必要がある。
【0032】アスコルビン酸等の溶解に使用する溶媒と
しては、例えば、水、アルコールまたはアルコール水溶
液等が使用出来る。アルコールとしてはエタノールが好
適であるが、その他食品に添加可能で殺菌性を有する1
価又は多価のアルコール、例えばイソプロパノール、プ
ロピレングリコール等も使用可能である。
【0033】図4は濃度が異なるエタノール水溶液に、
アスコルビン酸を溶解させた飽和溶液をフィルターに含
浸させ乾燥した時の、乾燥時間と未蒸発溶媒残存率との
関係を示したもである。各溶液はそれぞれフィルター
(不織布) 0.1gに対てし、0.1mlの割合で滴下し、溶液
が含浸された不織布を温度25℃の空気中で乾燥させたも
である。
【0034】図から分かる様に、アスコルビン酸の水溶
液を含浸させた不織布では、30分間乾燥させても溶媒が
一部蒸発するのみであるのに対し、アスコルビン酸のエ
タノール(100%)溶液を含浸させた不織布では、僅か4
分間でほぼ乾燥が終了した。また、エタノール濃度90%
の水溶液にアスコルビン酸を溶解させた溶液を含浸させ
た不織布は、約15分間でほぼ乾燥が終了した。
【0035】前記の様に、アスコルビン酸等を溶解させ
る溶媒として水を用いたときは、溶液を含浸させたフィ
ルターの乾燥に長い時間を要することが分かる。このた
めフィルターに水溶液を含浸させた後、短時間でフィル
ターをロールに巻き取ると、フィルターが充分に乾燥せ
ず、保存中に黴等の微生物が繁殖して使用不能になるこ
とがある。一方、フィルター中の水が完全に蒸発するま
で拡げて放置するためには大きなスペースが必要にな
り、作業能率を阻害する。また、フィルターに水溶液を
含浸させた後、ヒーター、熱風などによりフィルターを
100 ℃以上に強熱して瞬時に乾燥させた場合には、アス
コルビン酸等が分解してフィルターが褐色に変色するこ
とがある。これらの点より、アスコルビン酸等の溶媒に
は、エタノール或いはエタノール水溶液が適している。
尚、エタノールはフィルター中に残存しても衛生上無害
であり、また、殺菌効果は濃度60〜80%溶液で最大とな
り、その効果も期待することが出来る。
【0036】図5は、エタノール−水溶液におけるエタ
ノール濃度とアスコルビン酸の溶解量との関係を示した
ものである。アスコルビン酸の溶解度が最も高いのは、
エタノールの濃度が0%、すなわち水であり、エタノー
ル濃度が高くなるに従って溶解度が減少し、エタノール
100 %の時は溶解度が2%に低下する。フィルターに付
着させるアスコルビン酸の量は多いほど好ましく、従っ
て、フィルタ素材に含浸させる溶液中のアスコルビン酸
の溶解度は高い程好ましい。
【0037】図6は、水溶液中に含まれるアスコルビン
酸量が遊離塩素の中和量より少ない系とアスコルビン酸
量が中和量より多い系とで、トリハロメタンの生成抑制
効果を比較したものである。アスコルビン酸量が少ない
系は、水中の遊離塩素を中和するための必要量の半分を
水に溶解したものであり、アスコルビン酸が多い系は遊
離塩素中和量の2倍のアスコルビン酸を水に溶解したも
ので、いずれも80℃で10分間加熱した時のトリハロメタ
ンの濃度をJIS-K 0125に規定された方法で定量したもで
ある (トリハロメタンの定量法は以下もこの方法によっ
た)。
【0038】図6から分かる様に、アスコルビン酸含有
量が多い系では、トリハロメタンの生成量が少ないが、
アスコルビン酸含有量が少ない系では、遊離塩素濃度が
高くなると、多量のトリハロメタンが生成することが分
かる。従って、フィルターへのアスコルビン酸の付着量
は、水中の遊離塩素を中和するための必要量より過剰に
加えることが好ましい。例えば、0.5ppmの遊離塩素を含
む水道水150ml に対して1 個のティーバッグを使用する
場合には、ティーバッグには0.18mg(化学当量)以上の
アスコルビン酸を付着させておくことが好ましい。
【0039】図4に示した溶液含浸後のフィルターの乾
燥速度を考慮すると、エタノール水溶液のエタノール濃
度を60%以上とすることが好ましい。また、図5に示し
た結果より、濃度60%のエタノール水溶液のアスコルビ
ン酸の飽和溶解度は約16%であるから、溶媒として濃度
60%以上のエタノール水溶液を使用してもフィルターに
充分な量のアスコルビン酸を付着させることが可能であ
る。従って、エタノール水溶液の濃度は60%以上が好ま
しく、更に、溶液含浸後のフィルターの乾燥速度と溶液
中のアスコルビン酸溶解量との両方を考慮すれば、濃度
は80〜90%がより好ましい。
【0040】溶媒として濃度60%のエタノール水溶液を
使用して、フィルターへアスコルビン酸を付着させるに
は、先ず、溶媒に飽和量のアスコルビン酸を溶解させ、
その飽和混合液を不織布等のフィルターに噴霧もしくは
塗布して含浸させる。含浸後フィルター表面からエタノ
ール分が直ちに蒸発し、フィルター中の残存液量は最初
の40%以下に激減するので、フィルターをロール状に巻
き取る前に、フィルター中の残存液をヒーター等により
容易に加熱除去することが出来る。これにより、アスコ
ルビン酸が全面に強固に付着されたフィルターが得られ
る。
【0041】また、エタノールをそのまま溶媒として使
用する場合は、飽和量のアスコルビン酸を溶解させた溶
液をそのまま不織布等のフィルタ素材に塗布してもよい
が、アスコルビン酸飽和溶液にアスコルビン酸の微結晶
を混入させて懸濁液を調製して、フィルターに塗布する
のが好ましい。この様にするとフィルタ素材を乾燥させ
たときに、溶液中に懸濁していた微結晶が、乾燥に伴っ
て新たに析出した微結晶によってフィルター中の繊維組
織に強固に付着されるため、アスコルビン酸の付着量を
増加させることが出来る。
【0042】図1は、エタノール濃度90%の水溶液を溶
媒とし、飽和量のアスコルビン酸を溶解させて、メルト
ブロー繊維で作られた不織布にアスコルビン酸を付着さ
せた時の、メルトブロー繊維にアスコルビン酸の粒子が
付着している状態を示す走査型電子顕微鏡写真(300
倍) である。この写真より、不織布表面からの液体の蒸
発速度が大きいため、アスコルビン酸の微結晶がフィル
ム状に繊維表面に強固に付着していることが分かる。
【0043】また、図2は、水に飽和量のアスコルビン
酸を溶解させた水溶液を使用して、前記と同様な不織布
にアスコルビン酸を付着させた時の走査型電子顕微鏡写
真(300 倍) である。この写真により、不織布の乾燥に
多くの時間を要するためその乾燥過程でアスコルビン酸
の結晶が成長して、アスコルビン酸が結晶状態で繊維に
絡まりながら付着していることが分かる。
【0044】尚、図3は、単にアスコルビン酸の粉末を
前記と同様の不織布の表面に吹き付けて添着させた時
の、走査型電子顕微鏡写真(300 倍) である。この写真
より、アスコルビン酸の粉末が脱落し易い形態で繊維表
面に付着していることが分かる。従って、この付着方法
では運搬中の振動等による衝撃によってアスコルビン酸
の粉末がフィルターから脱落するおそれがある。
【0045】前記の様に本発明において、シクロデキス
トリンは単一の化合物よりも複数のシクロデキストリン
の混合物が好ましい。ここで、α- シクロデキストリン
及びγ- シクロデキストリンは水中への溶解度が高く、
β- シクロデキストリンは常温における溶解度は低いが
高温ではかなり高くなる。従って、トリハロメタン、カ
ビ臭の原因となる物質と包接化合物を形成しても、飲料
と共に人体に入ることになって除去の目的が達成出来な
いので、シクロデキストリンはフィルターの繊維組織に
固定して保持する必要がある。
【0046】シクロデキストリンを繊維組織に固定させ
る方法としては、親水性はあるが水に溶解しないポリマ
ーであるキトサン、チューインガムベースとして使用さ
れるエステルガムまたは酢酸ビニル樹脂等と混練して繊
維組織に含浸させるか、または側鎖を有するシクロデキ
ストリンをキトサンに結合させてフィルターに塗布する
方法等がある。或いはまた、繊維組織に熱可塑性ポリマ
ーの繊維、例えばポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊
維を含む場合には超音波照射或いはその他の加熱手段に
より表面を溶融状態にしてシクロデキストリン粉末を融
着して固定することも出来る。更に、繊維組織中に予め
活性炭繊維を混入させシクロデキストリン水溶液中か
ら、活性炭のミクロポアーにシクロデキストリン分子を
吸着して保持させてもよい。更にまた、熱可塑性繊維の
紡糸工程で混入させる方法、或いはゼオライト、シリカ
ゲル等の粉末と混合して繊維組織に付着させることも可
能である。
【0047】フィルターにはアスコルビン酸等のみ、或
いはシクロデキストリンのみを含有させて使用してもよ
く、また両者を含有させてもよい。
【0048】前記の様な方法で得られたフィルターを裁
断し、所定の形状に製袋することにより大型の抽出用フ
ィルターが得られる。または、前記のフィルターを裁断
して小袋状に製袋することにより抽出用バッグが得ら
れ、その内部に抽出原料が封入されて最終製品になる。
【0049】本発明の抽出用フィルターや抽出用バッグ
を使用し、抽出溶媒として水道水を用いコーヒーや煎茶
等の抽出を行う時、水道水中に通常0.3 〜0.5ppm程度は
含まれている遊離塩素が、フィルターに付着しているア
スコルビン酸等によって中和されて消失する。この結
果、水道水のカルキ臭が完全に除去されてコーヒー等の
風味が良くなり、また、コーヒー豆や茶の葉などから液
中へ滲出してくる有機物と遊離塩素との反応によるトリ
ハロメタンの生成も抑制される。
【0050】アスコルビン酸等をフィルターの繊維組織
に付着させて保持することにより、格別な操作を必要と
することなくカルキ臭のみならず、トリハロメタンの生
成も抑制されたコーヒーや煎茶等が得られることが、本
願発明の最も大きな特徴である。
【0051】更に、コーヒーや茶の抽出成分、特に親水
性物質に対するアスコルビン酸等(親水性)の酸化防止
作用により、コーヒーや茶の味がまろやかになり、ま
た、溶液が緩やかな還元状態に保たれるため、酸化によ
る味の劣化や変色が防止される。その他、アスコルビン
酸等は液中に低濃度で存在すると爽やかな淡い酸味を呈
するため、コーヒー等の味と複合して風味をよくする効
果も認められる。
【0052】コーヒーや茶などの抽出する場合、通常は
80℃以上の熱湯を使用するが、アスコルビン酸の効果に
対する加熱の影響について検討した結果を図7に示す。
図7から分かるように、遊離塩素を50ppm 含んだ水をそ
のまま加熱すると、温度が上昇するに従ってトリハロメ
タンの生成量が増大する。一方、遊離塩素の含有量50pp
m の水にアスコルビン酸を加えて500ppmとした水を加熱
した場合には、温度がが上昇してもトリハロメタンの生
成量は殆ど増加しないことが分かる。従って、アスコル
ビン酸を含む水を90℃程度に加熱しても、アスコルビン
酸による遊離塩素の中和作用は損なわれず、コーヒーや
茶等の抽出に熱湯を使用しても、アスコルビン酸の作用
は阻害されない。
【0053】コーヒー、茶等を水道水で抽出する時、本
発明の抽出用フィルターや抽出用バッグを使用すれば、
水道水に遊離塩素が含まれていても、予め浄化する必要
がなく遊離塩素を消失させて、カルキ臭が無く、またト
リハロメタンの生成量も少ない飲料物を得ることが出来
る。従って、一般家庭でも容易に風味が優れた嗜好性飲
料を作ることが出来る。
【0054】また、本発明方法によって得られた抽出用
フィルターまたはバッグは、アスコルビン酸等の粉末を
単にフィルターの表面に付着させたものとは異なり、フ
ィルターの繊維組織の内部に強固に付着されて保持され
ているため、運搬中の振動等の衝撃によっても脱落のお
それがない。
【0055】更に、本発明の抽出用フィルター及びバッ
グを作る時、アスコルビン酸等の溶媒としてエタノール
水溶液を使用すると、アスコルビン酸等の添着後フィル
ターの乾燥時間を大幅に短縮出来るので、乾燥のために
大きなスペースを必要とせず、また保存中に黴等の微生
物が発生してフィルターを損なうおそれがない。
【0056】また、フィルターの繊維組織中にシクロデ
キストリンが含有されている場合には、クロロホルム、
ジクロルモノブロムメタン等トリハロメタン、その他の
有機塩素化合物、水道水中のカビ臭、ジオスミン、トリ
メチルアミン等の悪臭物質を包接化合物を形成して除去
するため、風味がよく衛生上有害な物質を含まない飲料
を得ることが出来る。
【0057】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明について更に具
体的に説明する。
【0058】(実施例1、比較例1)抽出用バッグを次
の様にして製袋した。フィルターの繊維組織としてポリ
プロピレンメルトブロー繊維で作られた不織布を使用し
た。エタノールと水との混合割合が9:1であるエタノ
ール水溶液にアスコルビン酸を2.5 %の濃度になるよう
に溶解させた溶液を調製し、その溶液を前記のフィルタ
ー素材に、フィルター素材1cm2 当たり0.2 μl(1個の
抽出用バッグの表面積は約200cm2であるので、1個の抽
出用バッグ当たり約0.02ml) をコーティングローラーに
よって塗布した後自然乾燥させた。これによって、抽出
用バッグ1個当たり約1mgのアスコルビン酸が付着した
フィルターが得られた。
【0059】次にこれを裁断し小袋状に形成して抽出用
バッグを作成した。尚、0.5ppmの遊離塩素を含む水道水
200ml に1個のティーバッグを使用するとすると、遊離
塩素の中和に必要なアスコルビン酸の量は0.24mgであ
り、前記抽出用バッグには、化学当量の約4倍のアスコ
ルビン酸が付着していることになる。
【0060】上記の抽出用バッグの内部に焙焼・粉砕し
たコーヒー豆を封入し、水道水を加熱して沸騰させた熱
湯中にバッグを浸し、熱湯中で1分間バッグを軽く振り
ながらコーヒーの抽出を行なった後、コーヒー液中のト
リハロメタンの濃度を測定した。また、比較例1とし
て、アスコルビン酸を含まない従来の抽出用バッグを使
用し、同様の操作を行った後、コーヒー液中のトリハロ
メタンの濃度を測定した。この実験で使用した水道水に
は、0.5 ppm の遊離塩素が含まれていた。また、沸騰後
の水道水中には、27 ppb のトリハロメタンが含有され
ていた。
【0061】実験の結果、この発明に係る抽出用バッグ
を使用したときは、コーヒー液中のトリハロメタンの濃
度が60 ppb であり、一方、従来の抽出用バッグを使用
したときはトリハロメタンの濃度が93 ppbであった。こ
の結果より、本発明の抽出用バッグを使用したときに
は、トリハロメタンの生成抑制効果のあることが確認さ
れた。
【0062】(実施例2〜5、比較例2〜5)実験例1
で使用した抽出用バッグと同じものを使用し、焙焼・粉
砕したコーヒー豆(実施例2)、紅茶(実施例3)、ほ
うじ茶(実施例4)及び煎茶(実施例5)をそれぞれ別
々に抽出用バッグの内部に封入し、水道水を80℃に加熱
した加熱水中に各バッグを3分間浸して抽出した後、得
られた各抽出液の色の経時変化を調べた。また、比較例
として、アスコルビン酸を付着させていない従来の抽出
用バッグを使用し、同様の操作を行った後(比較例2〜
5)、各抽出液の色の経時変化を調べた。使用した水道
水中には0.5ppmの遊離塩素が含まれていた。
【0063】測定は抽出液を80℃の温度に所定時間保持
した後、測色色差計を使用して行った。その結果を表1
に示す。表1中の数値は、L 、a 、b 表色系における色
差で色の知覚的な相違を定量的に表したものである。
【0064】
【表1】
【0065】表1から分かるように、コーヒー、紅茶及
びほうじ茶は、アスコルビン酸を付着させた抽出用バッ
グを使用したものの方が、従来の抽出用バッグを使用し
たものに比べて、抽出液における色の経時変化が少な
く、この発明に係る抽出用バッグを使用したときには,
抽出液の変化を防止する効果のあることが確認された。
一方、煎茶はアスコルビン酸を付着させた抽出用バッグ
を使用したものと従来の抽出用バッグを使用したものと
で、変色の程度に殆ど差が無かった。但し、アスコルビ
ン酸付着バッグを使用した時には、色相がお茶として好
ましい黄緑色への変化であるのに対し、アスコルビン酸
を付着していない従来のバッグを使用したときには、色
相がお茶として好ましくない褐色方向への変化であっ
た。
【0066】この結果、煎茶についても、本発明の抽出
用バッグを使用したときには、抽出液の変色に対して効
果のあることが確認された。
【0067】(実施例6、比較例6)キトサンを5%酢
酸溶液に溶解して濃度1%の溶液を調製した。更にシク
ロデキストリン〔日研科学(株)製、イソエリート40P
(α- 、β- 、γ- シクロデキストリンの含有比率、3:
4:1)〕1%を加えて、液中に分散させた。
【0068】太さ0.05デニルのポリプロピレンメルトブ
ロー繊維からなる不織布のフィルターシートに分散液を
塗布した後、酢酸臭がなくなる迄熱風乾燥した。この様
にして得られたフィルターシートを製袋して焙焼・粉砕
したコーヒーを封入し、80℃に加熱した僅かにカビ臭が
ある、遊離塩素含有量0.5 PPM の水道水でコーヒーを抽
出した。
【0069】得られたコーヒー液にはカビ臭は全くな
く、またトリハロメタン含有量は32 ppbであった (実施
例6) 。比較のためシクロデキストリン分散液を塗布し
ない他同一の条件で作成したコーヒーバッグで同じ条件
でコーヒー液を調製した。僅かにカビ臭が感じられ、ト
リハロメタン含有量は95 ppbであった (比較例6) 。
【0070】(実施例7、比較例7)太さ0.04デニルの
ポリエチレンメルトブロー繊維からなる不織布のフィル
ターシートに、超音波を照射して表面を一部溶融させ、
実施例6で使用したシクロデキストリンを乳鉢で微粉砕
した粉末を、不織布に対して1%程度フィルター表面に
エアーブローして、繊維に融着させ更に暫く超音波を照
射して固着させた。この様にして得られたフィルターシ
ートを製袋して茶碗1杯分ぐらいの煎茶の葉を封入し、
70℃に加熱した僅かにカビ臭がある、遊離塩素含有量0.
3 ppm の水道水で煎茶を入れた。
【0071】得られた煎茶はカビ臭が全くなく、またト
リハロメタン含有量は27 ppbであった (実施例7) 。比
較のため、シクロデキストリン粉末を塗布しない他同一
の条件で作成した煎茶バッグで、同じ条件で煎茶を調製
した。僅かにカビ臭が感じられ、トリハロメタン含有量
は78 ppb であった (比較例7) 。
【0072】(実施例8、比較例8)太さ0.04デニルの
ポリエチレンメルトブロー繊維からなる不織布と、比表
面積2000 m2/g 、太さ3デニルの活性炭繊維を10%混入
した、太さ2デニルスパンボンド不織布を積層したフィ
ルターシートを、シクロデキストリン〔日研科学 (株)
製、イソエリート40L(α- 、β- 、γ- シクロデキスト
リンの含有比率、3:4:1)〕の1%溶液に浸漬してシクロ
デキストリンをフィルターシートに対して1%吸着させ
た後乾燥した。この様にして得られたフィルターシート
を製袋して紅茶を茶碗1杯分ぐらいの封入し、70℃に加
熱した僅かにカビ臭がある、遊離塩素含有量0.3 PPM の
水道水で煎茶を入れた。
【0073】得られた紅茶はカビ臭が全くなく、またト
リハロメタン含有量は30 ppbであった (実施例8) 。比
較のため、シクロデキストリン粉末を塗布しない他同一
の条件で作成した紅茶バッグで、同じ条件で紅茶を調製
した。僅かにカビ臭が感じられ、トリハロメタン含有量
は82 ppb であった (比較例8) 。
【0074】
【発明の効果】本発明の飲食物の抽出用フィルターは繊
維組織からなるフィルターに、アスコルビン酸類及び/
またはその塩の溶液を含浸後、乾燥したもので、コーヒ
ー、紅茶、煎茶等を調製するとき、遊離塩素が含まれた
水道水を使用しても、煩雑な操作を要することなくアス
コルビン酸等の作用ににより、水道水中の遊離塩素を消
失させてカルキ臭が無く、またトリハロメタンの生成量
も少ない嗜好性飲料等を得ることが出来る。或いは、繊
維組織にシクロデキストリンを含有させたもので、更
に、トリハロメタン及びカビ臭も除去することが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】アスコルビン酸をエタノール水溶液に溶解させ
た溶液を不織布に含浸させた後乾燥した時の、アスコル
ビン酸粒子がメルトブロー繊維に付着している状態を示
す走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】アスコルビン酸水溶液を不織布に含浸させた後
乾燥したときの、アスコルビン酸粒子がメルトブロー繊
維に付着している状態を示す走査型電子顕微鏡写真であ
る。
【図3】アスコルビン酸の粉末を直接不織布の表面に吹
き付けて添着させたときの、アスコルビン酸粒子がメル
トブロー繊維に付着している状態を示す走査型電子顕微
鏡写真である。
【図4】各種濃度のエタノール水溶液にアスコルビン酸
を溶解させ、その溶液をフィルターに含浸させた後乾燥
させたときの、乾燥時間と含浸した溶媒の残存率との関
係を示したもである。
【符号の説明】
1 水溶液 2 60%エタノール水溶液 3 80%エタノール水溶液 4 90%エタノール水溶液 5 100%エタノール水溶液
【図5】エタノール水溶液のエタノール濃度とアスコル
ビン酸の飽和溶解度との関係を示したものである。
【図6】水溶液中に含まれるアスコルビン酸の量が少な
い系及び多い系における、トリハロメタン生成の抑制効
果を比較したものである。
【符号の説明】
6 アスコルビン酸含有量が少ない系 7 アスコルビン酸含有量が多い系
【図7】アスコルビン酸の濃度及び温度がトリハロメタ
ン生成に及ぼす影響を示したものである。
【符号の説明】
8 アスコルビン無添加 9 アスコルビン酸添加(濃度500 ppm)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】アスコルビン酸をエタノール水溶液に溶解させ
た溶液を不織布に含浸させた後乾燥した時の、アスコル
ビン酸粒子がメルトブロー繊維に付着している状態にお
けるアスコルビン酸粒子の構造を示す走査型電子顕微鏡
写真である。
【図2】アスコルビン酸水溶液を不織布に含浸させた後
乾燥したときの、アスコルビン酸粒子がメルトブロー繊
維に付着している状態におけるアスコルビン酸粒子の構
造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】アスコルビン酸の粉末を直接不織布の表面に吹
き付けて添着させたときの、アスコルビン酸粒子がメル
トブロー繊維に付着している状態におけるアスコルビン
酸粒子の構造を示すを示す走査型電子顕微鏡写真であ
る。
【図4】各種濃度のエタノール水溶液にアスコルビン酸
を溶解させ、その溶液をフィルターに含浸させた後乾燥
させたときの、乾燥時間と含浸した溶媒の残存率との関
係を示したもである。
【符号の説明】 1 水溶液 2 60%エタノール水溶液 3 80%エタノール水溶液 4 90%エタノール水溶液 5 100%エタノール水溶液
【図5】エタノール水溶液のエタノール濃度とアスコル
ビン酸の飽和溶解度との関係を示したものである。
【図6】水溶液中に含まれるアスコルビン酸の量が少な
い系及び多い系における、トリハロメタン生成の抑制効
果を比較したものである。
【符号の説明】 6 アスコルビン酸含有量が少ない系 7 アスコルビン酸含有量が多い系
【図7】アスコルビン酸の濃度及び温度がトリハロメタ
ン生成に及ぼす影響を示したものである。
【符号の説明】 8 アスコルビン酸無添加 9 アスコルビン酸添加(濃度500ppm)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維組織にアスコルビン酸類及び/また
    はその塩、及び/またはシクロデキストリンを含有せし
    めてなるフィルターで、飲料中のトリハロメタンの生成
    を抑制・除去し、或いはカルキ臭・カビ臭を除去するこ
    とを特徴とする飲料等の抽出用フィルター。
  2. 【請求項2】 繊維組織にアスコルビン酸類及び/また
    はその塩の溶液を塗布し、或いは溶液中に浸漬せしめた
    後乾燥せしめたフィルターで、飲料にカルキ臭が無く、
    更にトリハロメタンの生成も抑制し得ることを特徴とす
    る飲料等の抽出用フィルターの製法。
  3. 【請求項3】 アスコルビン酸類及び/またはその塩の
    溶媒が濃度60%以上のエタノール水溶液である請求項2
    記載の、飲料等の抽出用フィルター及びバッグの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 繊維組織が太さ0.1 デニル以下のメルト
    ブロー繊維の不織布を含む請求項1ないし3項記載の飲
    料等の抽出用フィルター及びその製法。
  5. 【請求項5】 フィルターが袋状でその内部に抽出原料
    を封入出来る様に製袋されてなる、請求項1〜4項記載
    の飲料等の抽出用フィルター及びその製法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6228410B1 (en) * 1999-01-28 2001-05-08 Gerry W. Zajac Method and apparatus for extending the freshness of coffee and indicating its freshness
JP2018099032A (ja) * 2016-12-19 2018-06-28 花王株式会社 コーヒー抽出液の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6228410B1 (en) * 1999-01-28 2001-05-08 Gerry W. Zajac Method and apparatus for extending the freshness of coffee and indicating its freshness
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