JP3742820B2 - 抗菌・消臭材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成品ではなく、純天然の、毒性の心配等のまったくない抗菌性物質が付着された抗菌・消臭材に関する。本発明の抗菌・消臭材は、特に、医療用、業務用などのシーツ、枕カバー、白衣等の衣料等の他、ガーゼ及び包帯などに利用され、これら製品は優れた抗菌性を有するとともに、細菌の繁殖が抑えられるため、優れた消臭性をも備える。
【0002】
【従来の技術】
白衣、包帯等医療用品を中心に抗菌性が付与された繊維製品は数多い。このように繊維製品に抗菌性を付与するには、抗菌性物質を繊維等に保持させるか、繊維等が細菌などの栄養源にならないようにする必要がある。また、製品中に保持された抗菌性物質が洗濯或いは雨水などによって容易に脱落することがなく、製品を使用する間有効に作用することが好ましい。更に、抗菌性物質は人体に対して安全でなければならず、例えば皮膚と接触した場合に、使用された抗菌性物質が皮膚を刺激したり、皮膚病の原因となるようなことがあってはならない。
【0003】
現在、繊維等に使用される抗菌性物質としては、ペンタクロロフェノール等のフェノール系化合物、ナフテン酸銅等の有機銅化合物、トリエチル−n−オクチルスズ等の有機スズ化合物、フェニルマキュリックアセテート等の有機水銀化合物、或いは各種の第4級アンモニウム塩化合物等が使用されている。しかし、これらの中には皮膚への刺激等の問題があるものもあり、また、抗菌性付与の加工を施す場合に、加工剤の組成によっては、何らかのかたちで人体に侵入する恐れもある。そのため、多少なりとも有毒性物質として作用することもあり、抗菌性物質の選択に当たっては、人体の正常機能に対する影響について十分な検討を加える必要があるとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決するものであり、純天然の抗菌性物質を使用した抗菌・消臭材であって、上記各種の合成系の抗菌性物質を使用した繊維等の場合のような、人体に対する毒性等の懸念はまったくない。また、その抗菌性も十分であり、特に医療用品等に好適な抗菌・消臭材を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1発明の抗菌・消臭材は、生コーヒー豆を水によって抽出して得られる抽出物が付着された繊維又は布であることを特徴とする。また、本第2発明の抗黄色ブドウ球菌・消臭材は、生コーヒー豆を水によって抽出して得られる抽出物が付着された繊維又は布であることを特徴とする。
【0006】
上記「繊維」としては、木綿、羊毛、麻、絹等の天然繊維、及びレーヨン、アセテート等のセルロース系繊維、並びにポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等からなる合成繊維などが挙げられる。また、上記「布」としては、通常の織物、編物、或いは不織布の他、モケット、ダブルラッセル、ベロア等の立毛織編物などが挙げられる。尚、この布は素材としての布ばかりではなく、シーツ、枕カバー、白衣、ガーゼ、包帯等の製品或いはそれらの中間製品をも含むものとする。
【0007】
コーヒー豆はコーヒー飲料用として広く栽培されており、一般生活に密着した食品原料である。栽培原地において生産された生コーヒー豆は焙煎用に選別され、その際、多量の選外品が分別、除去される。このような選外品は燃料等として利用されている他は有効な用途がないのが実情であるが、本発明においては、上記「生コーヒー豆」として、この選外品も使用することができる。
【0008】
また、抗菌性物質の繊維又は布への付着量は、繊維又は布100g当たり0.1〜5μg、特に0.5〜1μg程度が好ましい。付着量が0.1μg未満では、得られる繊維又は布或いはそれらによって製造される衣料等の抗菌性及び消臭性が不十分であって好ましくない。また、5μgを越えて付着させるのは技術的にも難しく、抗菌性等のそれ以上の大きな向上も望めないため好ましくない。この付着量が0.5〜1μgの範囲であれば、繊維又は布への付着操作も容易であり、且つ十分な抗菌性及び消臭性を有する繊維又は布を得ることができより好ましい。
【0009】
発明の抗菌・消臭材製造する方法としては、生コーヒー豆を水によって抽出して得られる抽出液、又は該抽出液に含まれる乾燥固形分を含有する水溶液を、繊維又は布と接触させ、該繊維又は布に付着させる方法が挙げられる
【0010】
上記製造方法において、抽出液又は水溶液100重量%に対する乾燥固形分の量比は、0.02〜5重量%程度が好ましい。また、後述する定着剤を併用することが好ましく、この定着剤の、抽出液又は水溶液100重量%に対する量比は、0.05〜20重量%、特に0.1〜10重量%程度が好ましい。尚、上記の生コーヒー豆を「水」によって「抽出」する方法は特に限定されないが、例えば以下のような方法がある。
【0011】
生コーヒー豆と、還流する水とを接触させて抽出する方法は、水以外に特に添加剤等を必要とせず簡便である。生コーヒー豆は原形のままでは抽出効率が低いため、少なくとも平均粒径が1〜7mm、特に3〜5mm程度の粒状とするのが好ましい。還流によって抽出するに要する時間は2〜7時間、特に3〜5時間程度である。還流時間が2時間未満では、有効成分の抽出が不十分となり、また7時間程度の還流でほとんどすべての有効成分が抽出され、それを越えて還流を続ける必要はなく、抽出成分の変質、劣化等もあり得るため好ましくない。
【0012】
尚、生コーヒー豆は、粉砕等した後、これにヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒などを加え、室温或いは必要に応じて加温して数時間攪拌し、油脂成分を十分除去して精製生コーヒー豆としてから還流、抽出に供することが好ましい。また、上記の抽出方法では、還流に際して、生コーヒー豆に対して1:0.05〜0.3程度の量比(重量比)の水酸化カルシウム等の塩基性化合物を添加すれば、有効成分の抽出速度が向上するため好ましい。但し、この場合、抗菌性等の向上はほとんどみられず、更に抽出物中のカルシウム分を、例えばリン酸などを加えて沈殿させ、除去する必要があるため、それらを勘案しながら必要に応じて添加すればよい。
【0013】
また、生コーヒー豆の抽出をタンパク質分解酵素及び/又は繊維素分解酵素の存在下に実施してもよい。この場合、生コーヒー豆或いは前記の精製生コーヒー豆に対して1:3〜8程度の量比の水及び1:0.005〜0.02程度の量比(いずれも重量比)のプロテアーゼ及び/又はセルラーゼを加え、室温或いはそれをやや上回る程度の温度、例えば20〜40℃程度の温度において、10〜30時間、穏やかに攪拌することにより効率よく抽出することができる。
【0014】
更に、生コーヒー豆の抽出を還元性物質の存在下に実施してもよい。この還元性物質としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ソーダ又はL−アスコルビン酸とL−アスコルビン酸ソーダとの溶解体等が好適である。この方法では、生コーヒー豆或いは前記の精製生コーヒー豆に対して1:2〜7程度の量比の水及び1:0.001〜0.01、特に1:0.002〜0.007程度の量比(いずれも重量比)のL−アスコルビン酸等を加え、3〜5時間程度攪拌することにより、容易に効率よく抽出することができる。
【0015】
尚、上記の抽出操作における温度は通常60〜70℃程度である。100〜150℃程度の高温において、熱水によって抽出することもできるが、タンパク質等の不要な成分まで抽出され、これらを濾過等によって分離する面倒な操作が必要となる。また、本来必要な成分のみを純度高く得るためには10〜30℃程度の水によって抽出することが好ましい。しかし、この場合は12〜24時間もの抽出時間が必要となり問題であり、加圧すれば時間の短縮は可能であるが、装置、操作上煩雑となる。
【0016】
生コーヒー豆を水によって抽出した場合、抽出成分はすべて有機物であるが、L−アスコルビン酸等は酸性、中性領域で有機物に対して強力な還元剤として作用する。上記の有機物の1種であるクロロゲン酸及びタンニンは空気或いは水によって極めて酸化され易く、そのため抽出液は褐変する傾向がある。しかし、この抽出方法では、このクロロゲン酸等の酸化がL−アスコルビン酸等によって防止されるため、抽出液は褐変せず、この抽出液又はこの中に含まれる乾燥固形分を含む水溶液を用いて、繊維又は布に抗菌性物質を付着させれば、繊維又は布の変色も防止される。
【0017】
生コーヒー豆からの抽出物の抽出は、以上のような方法によって行うことができるが、この「抽出液」をそのまま、或いは濃縮、希釈等して「乾燥固形分」の濃度を適宜調整して使用することにより、抽出液と繊維又は布とを接触させ、抗菌性物質を繊維又は布に「付着」させることができる。また、抽出液を凍結乾燥又は噴霧乾燥して、一旦、実質的に乾燥固形分のみとした後、この乾燥固形分を再び水に溶解して適宜濃度の「水溶液」とし、この水溶液を使用して付着させることもできる。尚、この抗菌性物質の付着は、具体的には繊維の染色等に利用されているパディング法又はウインス法等によって効率よく実施することができる。
【0018】
また、本発明の抗菌・消臭材製造する方法としては、生コーヒー豆を水によって抽出して得られる抽出液、又は該抽出液に含まれる乾燥固形分を含有する水溶液を、繊維又は布とパディング法によって接触させた後、乾燥し、上記繊維又は布に付着させる方法も挙げられる
【0019】
上記「パディング法」によって、抽出液又は水溶液と、繊維又は布とを接触させる場合、抽出液又は水溶液中の乾燥固形分の濃度は、抽出液又は水溶液100重量%に対して「0.1〜5重量%」、特に0.5〜3.5重量%、更には1〜3重量%程度が好ましい。この濃度が0.1重量%未満では、繊維又は布に抗菌性物質が十分に付着せず、抗菌性等に優れる繊維又は布を得ることができず、5重量%を越える高濃度としても、繊維又は布により以上の抗菌性物質を付着させることはできず好ましくない。
【0020】
パディング処理の後、繊維又は布を「乾燥」して水分を除去することによって、抗菌性物質を含む乾燥固形分を繊維又は布に付着させる。この乾燥の条件は、温度「100〜150℃」及び時間「0.5〜3分」の範囲が好ましく、また、乾燥温度は110〜140℃、時間は1〜2分の範囲がより好ましい。この温度及び時間が上記のより好ましい範囲にあれば、乾燥が効率よく、効果的に実施され、付着力が大きく、優れた抗菌性及び消臭性を有する繊維又は布を得ることができる。
【0021】
尚、上記のように繊維又は布に乾燥固形分を付着させた場合、その付着力は必ずしも十分ではなく、例えば洗濯或いは雨水等によって脱落してしまうことがある。そのため、抽出液又は水溶液には、所定量の乾燥固形分の他に、定着剤を配合することが好ましい。この定着剤は、抽出液又は水溶液100重量%に対して「0.1〜8重量%」、特に0.2〜6重量%、更には0.3〜4重量%程度配合することが好ましい。この配合量が0.1重量%未満では、付着力が十分向上せず、8重量%を越える場合は、付着物中の乾燥固形分の量比が相対的に低下し、十分な量の抗菌性物質が付着しないことがあるため好ましくない。
【0022】
上記の製造方法では、繊維又は布を乾燥して水分を除去した後、「熱処理」することによって、乾燥固形分と混ざり合った状態の定着剤を、繊維又は布に強固に付着させることができる。乾燥の条件は前記の説明と同じであり、熱処理の条件は、温度「120〜170℃」及び時間「40秒〜3分」の範囲が好ましい。また、熱処理温度は130〜160℃、時間は1〜2分の範囲がより好ましく、この温度及び時間が上記のより好ましい範囲にあれば、熱処理が効率よく、効果的に実施され、付着力が大きく向上する。
【0023】
上記「定着剤」としては、澱粉、天然ガム、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース等の天然高分子糊剤、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、スチレン−マレイン酸共重合体等の合成高分子糊剤などの糊剤を使用することができる。また、ポリ酢酸ビニル系、グリオキザール系、ポリアミド系等の樹脂、及びアクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の合成ゴムなど、通常定着剤として使用される樹脂又はゴムのエマルションを用いることもできる。
【0024】
尚、上記のパディング法において、繊維又は布を絞る際の「絞り率」は、「70〜95%」程度が好ましい。この絞り率が70%未満では、後工程の乾燥に多くの時間とエネルギーとを要するため好ましくない。また、絞り率は高いほどよく、95%以上、更には実質100%とするのがより好ましいが、装置上の制約で比較的容易に実施できるのは95%程度が上限となる場合が多い。尚、装置、操作が煩雑にはなるが絞り率を実質100%とすることもできる。
【0025】
更に、本発明の抗菌・消臭材製造する方法としては、生コーヒー豆を水によって抽出して得られる抽出液、又は該抽出液に含まれる乾燥固形分を含有する水溶液を、繊維又は布とウインス法によって接触させた後、乾燥し、上記繊維又は布に付着させる方法も挙げられる
【0026】
上記「ウインス法」には各種の方法があるが、「コールド、バッチ方式」が好適である。また、ウインス法では、繊維又は布を抽出液又は水溶液に「浸漬」することによって、乾燥固形分等の付着がなされるが、その浸漬時間は、「8〜16時間」、特に10〜14時間程度が好ましい。浸漬時間が8時間未満では、乾燥固形分が十分に均一に繊維又は布に付着せず、16時間を越えて浸漬しても、付着量はそれほど増加しない。
【0027】
繊維又は布を抽出液又は水溶液に浸漬させる場合、抽出液又は水溶液中の乾燥固形分の濃度は、抽出液又は水溶液100重量%に対して「0.02〜5重量%」、特に0.02〜2重量%程度が好ましい。この濃度が0.02重量%未満では、繊維又は布に抗菌性物質が十分に付着せず、抗菌性等に優れる繊維又は布を得ることができず、5重量%を越える高濃度としても、繊維又は布により以上の抗菌性物質を付着させることはできず好ましくない。
【0028】
ウインス法の場合もパディング法の場合と同様、抽出液又は水溶液に浸漬した後の繊維又は布を「乾燥」して水分を除去することによって、乾燥固形分を繊維又は布に付着させる。この乾燥の条件は、温度「100〜150℃」及び時間「0.5〜3分」の範囲が好ましく、また、乾燥温度は110〜140℃、時間は40秒〜1分の範囲がより好ましい。この温度及び時間が上記のより好ましい範囲にあれば、乾燥が効率よく、効果的に実施され、付着力が大きく、優れた抗菌性等を有する繊維又は布を得ることができる。
【0029】
また、パディング法の場合と同様、ウインス法においても、定着剤によって付着力を向上させることが好ましい。この定着剤は、抽出液又は水溶液100重量%に対して「0.05〜20重量%」、特に0.05〜10重量%、更には0.08〜5重量%程度配合することが好ましい。この配合量が0.05重量%未満では、付着力が十分向上せず、20重量%を越える場合は、付着物中の抗菌性物質を含む乾燥固形分の量比が相対的に低下し、十分な量の抗菌性物質が付着しないことがある。また、繊維又は布の後加工にも影響を及ぼす恐れがあるため好ましくない。尚、定着剤としてはパディング法の場合と同様の糊剤或いは樹脂、ゴム等を使用することができる。
【0030】
上記の製造方法では、繊維又は布を乾燥して水分を除去した後、「熱処理」することによって、乾燥固形分と混ざり合った状態の定着剤を、繊維又は布に強固に付着させる。乾燥の条件は前記の説明と同じであり、熱処理の条件は、温度「120〜170℃」及び時間「0.5〜3分」の範囲が好ましい。また、この熱処理温度は130〜150℃、時間は0.5〜1分の範囲がより好ましい。この温度及び時間が上記のより好ましい範囲にあれば熱処理が効率よく、効果的に実施され、付着力が大きく向上する。
【0031】
尚、本発明の抗菌・消臭材によって種々のガスを吸着等して、除去し、消臭することができるが、ガスがアンモニア及び炭素数1〜5程度の比較的短鎖のアルキル基を有するアミンである場合に十分な消臭効果が発現される。そのようなアミンとしてはモノメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。また、本発明の抗菌・消臭材は特に炭素数1〜5程度の比較的短鎖のカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸等の場合に特に優れた消臭効果が発揮される。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。
[1]生コーヒー豆の水による抽出
約800mlの水に、生コーヒー豆に対して約0.3〜0.5重量%のL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ソーダ又はこれらの混合物を溶解した水性溶媒によって、粉砕した生コーヒー豆200gを抽出した。抽出は60〜70℃の温度において3〜5時間実施した。得られた抽出液を濾過し、清浄な濾液を濃縮した後、凍結乾燥又は噴霧乾燥によって溶媒を除去し、約45〜50g程度の白色粉末を得た。
【0033】
上記白色粉末の全窒素分析値は2.24〜2.50%であった。また、粉末の分析によって検出された酸成分は、クロロゲン酸、カフェイン酸、クマール酸、フェルラ酸、アミノ酸などであり、その他、カフェイン、タンニン、ペプチドなどが検出された。尚、抽出の温度を100〜150℃の高温とし、熱水による抽出を行ったところ、タンパク質等の目的としない物質までが抽出されたが、これを濾過によって除去することにより、同様の外観の白色粉末が得られた。分析の結果、成分及びその含有量も、上記の40〜45℃の温度範囲において抽出した場合とほぼ同様であった。
【0034】
[2]綿布への抽出液中の乾燥固形分等の付着
(1)パディング法
薬液調合タンクに所定量の水を注入し、この水に上記[1]で得られた白色粉末を水に対して0.1〜1重量%、及び定着剤としてアクリル樹脂等を同じく水に対して0.3〜3重量%加え、この水溶液によって綿布をパディング処理した。絞り率は70〜100%であった。パディング処理の後、綿布を110〜140℃で1〜2分間乾燥して水分を除去し、その後、130〜160℃で1〜2分間熱処理して、上記白色粉末が付着した綿布を得た。
【0035】
(2)ウインス法
バット槽に所定量の水を注入し、この水に上記[1]で得られた白色粉末を水に対して0.05〜1重量%、及び定着剤としてアクリル樹脂等を同じく水に対して0.1〜3重量%加え、この水溶液に綿布を約12時間浸漬する、所謂コールド、バッチ方式によって、粉末と綿布とを接触させた。浸漬の温度は20〜100℃であった。ウインス処理の後、綿布を110〜140℃で40秒〜1分間乾燥して水分を除去し、その後、130〜150℃で0.5〜1分間熱処理して、上記白色粉末が付着した綿布を得た。
【0036】
[3]抗菌性の評価
上記[2](1)のパディング法によって抗菌性物質を含む粉末を付着させた綿布(以下、抗菌性布という。)、及び無加工の綿布(以下、無加工布という。)について、その抗菌性を比較評価した。
【0037】
(1)評価方法
上記の抗菌性布及び無加工布を滅菌処理した後、試験菌〔黄色葡萄状球菌(Staphylococcus aureus IFO 12732)〕のブイヨン懸濁液を注加し、密閉容器中、37℃の温度で18時間培養した後の生菌数を計測し、植菌数に対する増減を比較した。
【0038】
(2)評価結果
植菌数(A)は2.6×10(logA=5.4)であり、培養後の無加工布の生菌数(B)は4.4×10(logB=8.6)、抗菌性布の生菌数(C)の対数値は7.4であった。この結果の通り、無加工布の生菌数の対数値は植菌数の対数値に対して3.2増加しており、一方、抗菌性布の生菌数の対数値は植菌数の対数値に対して2.0の増加であり(無加工布との差は1.2となる。)、抗菌性布の生菌数の増加率が低く、抗菌性を有していることが分かる。
【0039】
尚、この抗菌性布を繰り返し10回洗濯した後、同様にしてその生菌数を計測した。その結果、その対数値は3.3であり、植菌数の対数値に対して2.1減少していた。従って、無加工布との差は5.3と大きくなり、洗濯後の抗菌性布の抗菌性は、洗濯をする前の布の抗菌性を大きく上回っており、非常に優れていることが分かる。
【0040】
また、上記[1]において、生コーヒー豆に代えて緑茶の粉末を使用した他は同様にして抽出粉末を得、この粉末を上記[2](1)の方法によって同様に綿布に付着させ、上記[3](1)の方法によって抗菌性を評価した。その結果、培養後の生菌数は無加工布とほとんど同じであり、抗菌性を有さないことが分かった。更に、焙煎用として選別された生コーヒー豆を常法によって焙煎した後、同様にして抽出し、同様に綿布に付着させ、その抗菌性を評価した。その結果、抗菌性布に比べれば劣るものの、無加工布よりはかなりよい結果となっており、焙煎後のコーヒー豆を使用した場合であっても、所望の抗菌性或いは用途等によっては十分な抗菌性等を有する繊維又は布が得られることが分かった。
【0041】
[4]消臭性の評価
(1)評価方法
検知管法によって評価した。試験条件は下記の通りである。
試料の大きさ:10×20cm
試験容器:容量5リットルのテドラーバッグ
容器内のガス量:3リットル
ガスの初期濃度:アンモニア;400ppm、トリメチルアミン;20ppm、酢酸;30ppm
ガス測定方法;北川式検知管
試験室温度;23℃
【0042】
(2)評価結果
図1に結果を示す。(A)はアンモニア、(B)はトリメチルアミン及び(C)は酢酸の結果である。図中、破線は空試験、実線は洗濯をしない初期の抗菌性布及び一点鎖線は10回洗濯した後の抗菌性布についての結果を表す。尚、図1において、縦軸は濃度比(経時後の濃度を初期濃度で除した値)を、横軸は試験時間を表す。
【0043】
図1(A)によれば、アンモニアでは、試験開始から10分程度経過後に濃度比は0.7〜0.8程度となり、以降2時間経過後の濃度比も0.7程度であり、短時間である程度消臭され、それ以後あまり変化がないことが分かる。尚、洗濯の有無による差はほとんど見られない。また、(B)のトリメチルアミンでは、経時とともに徐々に濃度比が低下していき、120分経過後の濃度比は洗濯前では0.6、洗濯後では0.45程度であり、洗濯の有無による消臭効果の差が見られる。
【0044】
更に、(C)の酢酸では、洗濯の有無にかかわりなく、試験開始から10分程度で既に濃度比は大きく低下しており、30分経過後には濃度比は0.1程度と大きく低下している。この酢酸の場合には特に消臭効果が著しいが、程度の差こそあれ、アンモニア及びトリメチルアミンの場合も、明らかに消臭効果がみられ、本発明の抗菌・消臭性布はこの他各種のガスに対しても消臭効果を有するものと思われる。
【0045】
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、生コーヒー豆の抽出媒体として、水のみではなく、水とエタノールとの任意の割合の混合物等の水性媒体、或いはエタノールなどを使用することもでき、それらを使用した場合も、同様の抗菌性物質及びその他の有機物が抽出され、同様に優れた抗菌性及び消臭性を有する繊維又は布を得ることができる。
【0046】
【発明の効果】
第1発明の抗菌・消臭材は、生コーヒー豆を水によって抽出して得られる抽出物を付着させた、非常に簡易な構成でありながら十分な抗菌性を有し、且つ細菌の繁殖が抑えられるため、優れた消臭性をも併せ有し、白衣、包帯等の原材料として有用である。尚、この抽出物は純天然品であって、安全性も非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 消臭試験に供したガスが(A)アンモニア、(B)トリメチルアミン及び(C)酢酸である場合の、経時とともに濃度比が低下していく様子を表すグラフである。

Claims (2)

  1. 生コーヒー豆を水によって抽出して得られる抽出物が付着された繊維又は布であることを特徴とする抗菌・消臭材。
  2. 生コーヒー豆を水によって抽出して得られる抽出物が付着された繊維又は布であることを特徴とする抗黄色ブドウ球菌・消臭材。
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