JPH06210680A - 合成樹脂製回転機能部品の製造方法 - Google Patents

合成樹脂製回転機能部品の製造方法

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JPH06210680A
JPH06210680A JP15213793A JP15213793A JPH06210680A JP H06210680 A JPH06210680 A JP H06210680A JP 15213793 A JP15213793 A JP 15213793A JP 15213793 A JP15213793 A JP 15213793A JP H06210680 A JPH06210680 A JP H06210680A
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cavity
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molten synthetic
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    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/1703Introducing an auxiliary fluid into the mould
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 真円度が高く、かつ重心と回転中心とがほぼ
一致した回転性能の優れた合成樹脂製回転機能部品の製
造方法をを提供することを目的とする。 【構成】 金型内に形成され、中心に対して同心円状に
配置された少なくとも1つの環状肉厚部を有する回転機
能部品形状をなす成形室に溶融合成樹脂を前記成形室の
前記環状肉厚部に開口されたゲートを通して射出し、前
記環状肉厚部から前記肉厚部に比べて薄い肉厚を持つ領
域に前記溶融合成樹脂を流入させて前記領域に位置する
前記成形室内面と接触する前記溶融合成樹脂部分を固化
されると共に前記固化された合成樹脂部分で前記環状肉
厚部の未固化溶融合成樹脂を分離する工程と、高圧気体
を前記ゲートを通して前記成形室内の前記環状肉厚部の
未固化溶融合成樹脂に注入して前記環状肉厚部に空洞部
を形成した後、前記溶融合成樹脂を固化する工程とをこ
とを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高圧気体注入技術を利
用した合成樹脂製回転機能部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】最近の射出成形技術は、ひけ
・反り等の本質的な欠点を改善するために種々の改良が
なされている。その一つとして金型の成形室(キャビテ
ィ)内に溶融合成樹脂を射出した後、窒素ガス、アルゴ
ンガスなどの不活性の高圧気体を前記キャビティ内の溶
融樹脂に注入し、その内圧によって前記キャビティの金
型面に溶融合成樹脂を押し付け、前記ひけ・反り等の異
常収縮を防止する高圧注入成形方法が開発されている。
このような方法は、大型構造体に応用され、多大な成果
を上げている。
【0003】しかしながら、前記高圧注入成形方法はゲ
ートを通して金型のキャビティ内に注入した気体の流れ
が溶融合成樹脂の温度、その量および粘度、気体注入圧
力およびその量、並びに成形品の肉厚等の不確定な要素
の影響を受けるため、前記気体の前記キャビティ内(溶
融合成樹脂)への注入範囲を安定して特定化させること
が困難になる。このため、前記高圧注入成形方法により
歯車、プーリー等の回転機能部品を製造すると、前記高
圧気体の注入により平面度、円筒度を改善することがで
きるものの、前述したように気体の注入範囲が不確定に
なるため、回転中心と重心とが不一致になって回転機能
に異常をきたす問題を生じる。
【0004】このようなことから、高圧気体のキャビテ
ィ内(溶融合成樹脂)への注入範囲を安定して特定化さ
せるために金型に形成されたキャビティに溶融合成樹脂
を複数のゲートを通して射出し、その後前記溶融合成樹
脂の射出経路を通して高圧気体を前記キャビティ内に注
入することが試みられている。このような方法によれ
ば、1つのゲートを通して高圧気体をキャビティ内に注
入する場合に比べて得られた回転機能部品の真円度を高
めることができるものの、固化過程での外周部および内
周部の収縮を均等に抑制できないため、必ずしも真円度
の高い回転機能部品を得ることが困難であった。本発明
の目的は、真円度が高く、かつ重心と回転中心とがほぼ
一致した回転性能の優れた合成樹脂製回転機能部品の製
造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる合成樹脂
製回転機能部品の製造方法は、金型内に形成され、中心
に対して同心円状に配置された少なくとも1つの環状肉
厚部を有する回転機能部品形状をなす成形室に溶融合成
樹脂を前記成形室の前記環状肉厚部に開口されたゲート
を通して射出し、前記環状肉厚部から前記肉厚部に比べ
て薄い肉厚を持つ領域に前記溶融合成樹脂を流入させて
前記領域に位置する前記成形室内面と接触する前記溶融
合成樹脂部分を固化されると共に前記固化された合成樹
脂部分で前記環状肉厚部の未固化溶融合成樹脂を分離す
る工程と、高圧気体を前記ゲートを通して前記成形室内
の前記環状肉厚部の未固化溶融合成樹脂に注入して前記
環状肉厚部に空洞部を形成した後、前記溶融合成樹脂を
固化する工程とを具備したことを特徴とするものであ
る。
【0006】前記回転機能部品としては、例えば歯車、
プーリー、ローラ等を挙げることができる。前記合成樹
脂としては、射出成形することが可能な合成樹脂であれ
ばいかなるものも用いることができ、例えばポリアセタ
ール、ABS樹脂、ポリアミド樹脂(例えばナイロ
ン)、ポリカーボート、ポリフェニレンエーテル等を挙
げることができる。また、ガラス、カーボンなどの無機
質材料を混合した複合合成樹脂も同様に用いることがで
きる。
【0007】また、本発明に係わる別の合成樹脂製回転
機能部品の製造方法は金型内に形成された回転機能部品
形状をなす成形室に溶融合成樹脂をスプール、前記スプ
ールと連通する複数のランナーおよび前記各ランナーと
連通するゲートを通して射出し、前記射出された溶融合
成樹脂が固化する前に前記成形室に高圧気体を前記溶融
樹脂と同様な射出経路を通して注入して内部に空洞部を
有する合成樹脂製回転機能部品を製造するに際し、前記
スプール、前記ランナーおよび前記ゲートの断面積をそ
れぞれS1 、S2、S3 としたとき、それらの断面積の
関係がS1 ≦S2 ≦S3 を満たすように設定することを
特徴とするものである。
【0008】
【作用】本発明によれば、金型内に形成され、中心に対
して同心円状に配置された少なくとも1つの環状肉厚部
を有する回転機能部品形状をなす成形室に溶融合成樹脂
を前記成形室の前記環状肉厚部に開口されたゲートを通
して射出する。この射出成形により、前記溶融合成樹脂
は前記環状肉厚部から前記肉厚部に比べて薄い肉厚を持
つ領域に前記溶融合成樹脂を流入され、前記領域に位置
する前記成形室内面と接触する前記溶融合成樹脂部分を
固化されると共に前記固化された合成樹脂部分で前記環
状肉厚部の未固化溶融合成樹脂が分離される。つづい
て、高圧気体を前記ゲートを通して前記成形室内の前記
環状肉厚部の未固化溶融合成樹脂に注入することにより
前記環状肉厚部に空洞部が形成されると共に、前記環状
肉厚部の外周側および内周側に位置する前記表層部分、
つまり大部分が固化された溶融合成樹脂部分に圧縮力が
加わる。その結果、成形室内の外周部および内周部に位
置する前記肉厚の薄い領域で溶融合成樹脂が固化され、
収縮しても前記溶融合成樹脂には前記環状肉厚部に注入
されたガスにより均等に圧縮力が加わり、前記収縮力を
相殺する力を付与できる。また、前記ガスの均等に圧縮
力により前記領域の未固化合成樹脂を外周先端および内
周先端まで良好に流入させて固化させることができる。
したがって、前記溶融合成樹脂が前記成形室内で完全に
固化させることにより外周および内周の真円度の高い回
転機能部品を製造することができる。特に、外刃歯車ま
たは内刃歯車のような回転機能部品の製造に適用した場
合には、前記歯を精度よく形成することができる。その
上、回転中心と重心とが一致した良好な回転機能を有す
る合成樹脂製歯車等の回転機能部品を製造することがで
きる。
【0009】また、本発明によれば回転機能部品形状を
なす成形室に溶融合成樹脂をスプール、前記スプールと
連通する複数のランナーおよび前記各ランナーと連通す
るゲートを通して射出し、前記射出された溶融合成樹脂
が固化する前に前記成形室に高圧気体を前記溶融樹脂と
同様な射出経路を通して注入して内部に空洞部を有する
合成樹脂製回転機能部品を製造するに際し、前記スプー
ル、前記ランナーおよび前記ゲートの断面積をそれぞれ
1 、S2 、S3 としたとき、それらの断面積の関係が
1 ≦S2 ≦S3 を満たすように設定することによっ
て、前記成形室に高圧気体を複数のゲートを通して均等
に注入することができる。その結果、前記高圧気体を少
なくとも前記成形室の特定の領域に安定的に流入させる
ことができるため、前記ゲートと同数の空洞部を形成で
きる。したがって、前記溶融合成樹脂を固化することに
より外周および内周の真円度が高く、かつ回転中心と重
心とが一致した良好な回転機能を有する合成樹脂製歯車
等の回転機能部品を製造することができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。 実施例1 図1、図3および図5は、本実施例1の合成樹脂製平歯
車を製造するための工程を示す断面図であり、図2、図
4および図6はそれぞれ図1、図3、図5のA−A線に
沿う断面図である。図中の1は矩形状の固定型、2は矩
形状の可動型である。前記固定型1に前記可動型2を型
締めすることにより、それら型1、2間に平歯車形状の
成形室(キャビティ)3が形成される。前記キャビティ
3は、図1および図2に示すように外周部に配置された
刃形成部4と、前記歯形成部4より内側に同心円状に形
成された第一環状肉厚部5と、中心に配置された円筒状
ボス形成部6と、前記ボス形成部6の外側に同心円状に
形成された第2環状肉厚部7と、前記第1、第2の環状
肉厚部5、7により囲まれた環状肉薄部8とにより構成
されている。
【0011】前記固定型1の前記可動型2と対向する面
の中心には、前記ボス形成部6を形作るための円柱状突
起9が設けられている。前記固定型1には、後述する3
本のノックアウトピンが挿入されるガイド穴10が貫通
して形成されている。
【0012】前記可動型2は、前記固定型1から遠くに
位置する第1型2aおよび前記固定型1側に位置する第
2型2bから形成されている。前記第1型2aには、前
記可動型2の移動方向に沿って貫通された一次スプール
11と、前記スプール11と連通したランナー12とが
設けられている。前記第2型2bには、前記ランナー1
2と連通する2本の二次スプール13と、これらスプー
ル13と一端が連通し、他端が前記固定型1と対向する
面(前記キャビティ3の第1、第2の環状肉厚部7)に
開口したゲート14とが設けられている。前記第2型2
bの前記固定型1と対向する面の中心には、前記突起9
が挿入される円柱溝15が穿設されている。
【0013】穴16を有するガイド部材17は、前記固
定型1の前記可動型2と反対側の面に取り付けられてい
る。前面に例えば3本のノックアウトピン18が120
゜の等周角度で取り付けられた移動部材19は、前記ガ
イド部材17の穴16に進退自在に挿入されている。
【0014】次に、図1〜図6を参照して平歯車の製造
方法を説明する。まず、図1に示すように可動型2を前
進して固定型1に型締めする。つづいて、移動部材19
をガイド部材17の穴16に沿って前記固定型1側に移
動させ、その前面に取り付けた3本のノックアウトピン
18を前記固定型1のガイド穴10の所定位置までそれ
ぞれ挿入することにより成形準備を完了する。
【0015】次いで、190℃で溶融したポリアセター
ルを一次スプール11、ランナー12、2つの二次スプ
ール13および2つのゲート14を通して前記固定型1
と前記可動型2により形成されたキャビティ3内に例え
ば600kg/cm2 の圧力で射出した。この時、図3
および図4に示すように溶融ポリアセタール20は前記
2つのゲート14を通して前記キャビティ3に流入さ
れ、前記各ゲート14に対応して前記キャビティ3に形
成された第1環状肉厚部5から歯形成部4および肉薄部
8にに流れ込み、第2環状肉厚部7から前記肉薄部8お
よびボス形成部6に流れ込む。このような前記溶融ポリ
アセタール20の前記キャビティ3への流入において、
前記肉薄部8、歯形成部4およびボス形成部6に流れ込
んだ溶融ポリアセタール20は比較的短時間で表層が固
化して固化領域201 が形成されると共に前記肉厚部
5、7に流れ込んだ溶融ポリアセタール202 は未固化
の状態が維持される。その結果、前記ゲート14が配置
される前記第1、第2の環状肉厚部5、7に対応する未
固化状態の溶融ポリアセタール202 は実質的に前記肉
薄部8、歯形成部4およびボス形成部6に対応する固化
領域201 によって分離される。
【0016】次いで、図5に示すように高圧窒素ガスを
前記溶融ポリアセタールの射出と同様な経路、つまり前
記一次スプール11から2のゲート14を通して前記キ
ャビティ3内に注入した。この時、前記ゲート14が配
置される前記第1、第2の環状肉厚部5、7に対応する
未固化状態である溶融ポリアセタール202 は実質的に
前記肉薄部8に対応する固化領域201 により分離され
ているため、ほぼ環状の空洞部21がそれぞれ形成され
ると共に前記各空洞部21から前記歯形成部4および前
記ボス形成部6に位置する表層が固化されたポリアセタ
ール20部分に均等な圧縮力がそれぞれ加えられる。そ
の結果、前記歯形成部4および前記ボス形成部6の隅々
までポリアセタールを流入できると共に、前記箇所に位
置する表層が固化されたポリアセタール20部分の固化
に伴う収縮を前記圧縮力により相殺して異常収縮を防止
する。このような高圧窒素ガスの注入後に徐冷すること
によって、図6に示すように前記ガス注入で前記各環状
肉厚部5、7の個所に空洞部21がそれぞれ形成された
平歯車22が製造される。
【0017】次いで、前記可動型2を後退させて型開き
を行った後、移動部材19を固定型1側に移動させ、そ
の3本のノックアウトピン18をさらに移動させてその
先端で前記固定型1に成形された歯車を押し出すことに
より脱型される。
【0018】得られた本実施例1の平歯車22は、図7
の(a)、(b)に示すように中心に位置するボス23
と、外周に位置する歯24と、前記歯24および前記ボ
ス23近傍にそれぞれ形成されたほぼ環状の空洞部21
が同心円状に配置されたフレーム部25とからなる構造
を有する。
【0019】このような平歯車22について真円度検査
装置を用いて外周(歯)の円筒精度を調べた。その結
果、通常の射出成形法により得られた平歯車が50〜1
00μmの誤差が生じるのに対し、本実施例1の平歯車
は50μm以下の精度であることが確認された。また、
回転性能を調べたところ重心がその回転中心にほぼ一致
しているために円滑に回転することが確認された。
【0020】実施例2 図8、図10、図12は、本実施例2の合成樹脂製平歯
車を製造するための工程を示す断面図であり、図9、図
11および図13はそれぞれ図8、図10、図12のA
−A線に沿う断面図である。図中の31は矩形状の固定
型、32は矩形状の可動型である。前記固定型31に前
記可動型32を型締めすることにより、それら型31、
32間に平歯車形状の成形室(キャビティ)33が形成
される。前記キャビティ3は、図8および図9に示すよ
うに外周部に配置された刃形成部34と、中心に配置さ
れた円筒状ボス形成部35と、前記歯形成部34と前記
ボス形成部35との間に同心円状に形成された環状肉厚
部36と、前記歯形成部34と前記環状肉厚部36との
間および前記環状肉厚部36と前記ボス形成部35との
間に囲まれた第1、第2の環状肉薄部37、38とによ
り構成されている。
【0021】前記固定型31の前記可動型32と対向す
る面の中心には、前記ボス形成部35を形作るための円
柱状突起39が設けられている。前記固定型31には、
後述する3本のノックアウトピンが挿入されるガイド穴
40が貫通して形成されている。
【0022】前記可動型32は、前記固定型31から遠
くに位置する第1型32aおよび前記固定型1側に位置
する第2型32bから形成されている。前記第1型32
aには、前記可動型32の移動方向に沿って貫通された
一次スプール41と、前記スプール41と連通したラン
ナー42とが設けられている。前記第2型32bには、
前記ランナー42と連通し、前記第2型32bの中心に
対して180゜の周角度で配置された2本の二次スプー
ル43と、これらスプール43と一端が連通し、他端が
前記固定型1と対向する面(前記キャビティ33の前記
環状肉厚部36)に開口したゲート44とが設けられて
いる。前記第2型32bの前記固定型31と対向する面
の中心には、前記突起39が挿入される円柱溝45が穿
設されている。
【0023】穴46を有するガイド部材47は、前記固
定型31の前記可動型32と反対側の面に取り付けられ
ている。前面に例えば3本のノックアウトピン48が1
20゜の等周角度で取り付けられた移動部材49は、前
記ガイド部材47の穴46に進退自在に挿入されてい
る。
【0024】次に、図8〜図13を参照して平歯車の製
造方法を説明する。まず、図8に示すように可動型32
を前進して固定型31に型締めする。つづいて、移動部
材49をガイド部材47の穴46に沿って前記固定型3
1側に移動させ、その前面に取り付けた3本のノックア
ウトピン48を前記固定型11のガイド穴40の所定位
置までそれぞれ挿入することにより成形準備を完了す
る。
【0025】次いで、190℃で溶融したポリアセター
ルを一次スプール41、ランナー42、2つの二次スプ
ール43および2つのゲート44を通して前記固定型3
1と前記可動型32により形成されたキャビティ33内
に例えば600kg/cm2の圧力で射出した。この
時、図10および図11に示すように溶融ポリアセター
ル50は前記2つのゲート44を通して前記キャビティ
33に流入され、前記各ゲート44と連通する環状肉厚
部36から歯形成部34および第1肉薄部37に流れ込
みと共に第2環状肉薄部38およびボス形成部35に流
れ込む。このような前記溶融ポリアセタール50の前記
キャビティ33への流入において、前記歯形成部34、
前記第1肉薄部37、前記第2環状肉薄部38および前
記ボス形成部35に流れ込んだ溶融ポリアセタール50
は比較的短時間で表層が固化して固化領域501 が形成
されると共に前記肉厚部36に流れ込んだ溶融ポリアセ
タール502 は未固化の状態が維持される。その結果、
前記ゲート44が配置される前記環状肉厚部35に対応
する未固化状態の溶融ポリアセタール502 は実質的に
前記第1、第2の環状肉薄部37、38に対応する固化
領域501 によって分離される。
【0026】次いで、図12に示すように高圧窒素ガス
を前記溶融ポリアセタールの射出と同様な経路、つまり
前記一次スプール41から2のゲート44を通して前記
キャビティ33内に注入した。この時、前記ゲート44
が配置される前記環状肉厚部36に対応する未固化状態
である溶融ポリアセタール502 は実質的に前記第1、
第2の環状肉薄部37、38に対応する固化領域501
により分離されているため、ほぼ環状の空洞部51がそ
れぞれ形成されると共に前記各空洞部51から前記第
1、第2の環状肉薄部37、38を通して前記歯形成部
34および前記ボス形成部35に位置する表層が固化さ
れたポリアセタール50部分に均等な圧縮力がをそれぞ
れ加えられる。その結果、前記歯形成部34および前記
ボス形成部35の隅々までポリアセタールを流入できる
と共に、前記箇所に位置する表層が固化されたポリアセ
タール50部分の固化に伴う収縮を前記圧縮力により相
殺して異常収縮を防止する。このような高圧窒素ガスの
注入後に徐冷することによって、図13に示すように前
記ガス注入で前記環状肉厚部36の個所に空洞部51が
形成された平歯車52が製造される。
【0027】次いで、前記可動型32を後退させて型開
きを行った後、移動部材49を固定型31側に移動さ
せ、その3本のノックアウトピン48をさらに移動させ
てその先端で前記固定型31に成形された歯車を押し出
すことにより脱型される。
【0028】得られた本実施例2の平歯車52は、図1
4の(a)、(b)に示すように中心に位置するボス5
3と、外周に位置する歯54と、前記歯54と前記ボス
53近傍の間に形成されたほぼ環状の空洞部51が同心
円状に配置されたフレーム部55とからなる構造を有す
る。
【0029】このような平歯車52について真円度検査
装置を用いて外周(歯)の円筒精度を調べた。その結
果、通常の射出成形法により得られた平歯車が50〜1
00μmの誤差が生じるのに対し、本実施例2の平歯車
は50μm以下の精度であることが確認された。また、
回転性能を調べたところ重心がその回転中心にほぼ一致
しているために円滑に回転することが確認された。
【0030】実施例3 図15は、本実施例3の合成樹脂製内刃歯車を製造する
ための工程を示す断面図であり、図16は図15のA−
A線に沿う断面図である。図中の61は矩形状の固定
型、62は矩形状の可動型である。前記固定型61には
内刃歯車形状の成形室(キャビティ)63が形成されて
いる。前記キャビティ63は、図16に示すように内周
に刃形成部64が形成されている。
【0031】前記固定型61には、後述する2本のノッ
クアウトピンが挿入されるガイド穴65が貫通して形成
されている。前記可動型62には、前記可動型62の移
動方向に沿って貫通されたスプール66と、前記スプー
ル66と連通し、前記スプール66の軸を中心にして1
80゜の周角度で前記固定型61と当接する面に放射状
に形成された2つのランナー67と、前記各ランナー6
7とそれぞれ一端が連通し、他端が前記固定型61と対
向する面に開口したゲート68とが設けられている。前
記スプール66、前記ランナー67および前記ゲート6
8の断面積をそれぞれS1 、S2 、S3 としたとき、そ
れらの断面積の関係がS1 <S2 <S3を満たすように
設定されている。
【0032】穴69を有するガイド部材70は、前記固
定型61の前記可動型62と反対側の面に取り付けられ
ている。前面に例えば2本のノックアウトピン71が1
80゜の周角度をあけて同心円状に取り付けられた移動
部材72は、前記ガイド部材70の穴69に進退自在に
挿入されている。
【0033】次に、図15および図16を参照して内刃
歯車の製造方法を説明する。まず、図15に示すように
可動型62を前進して固定型61に型締めする。つづい
て、移動部材72をガイド部材70の穴69に沿って前
記固定型61側に移動させ、その前面に取り付けた2本
のノックアウトピン71を前記固定型61のガイド穴6
5の所定位置までそれぞれ挿入することにより成形準備
を完了する。
【0034】次いで、190℃で溶融したポリアセター
ルをスプール66、2つのランナー67、2つのゲート
68を通して前記固定型51に形成されたキャビティ6
3内に例えば800kg/cm2 の圧力で射出した。つ
づいて、前記溶融ポリアセタールが固化する前に高圧窒
素ガスを前記溶融ポリアセタールの射出と同様な経路、
つまり前記スプール66から2つのゲート68を通して
前記キャビティ63内に注入した。この時、前記スプー
ル66、前記ランナー67および前記ゲート68の断面
積をそれぞれS1 、S2 、S3 としたとき、それらの断
面積の関係がS1 <S2 <S3 を満たすように設定され
ているため、前記2つのゲート68から高圧窒素ガスが
前記キャビティ63内の溶融ポリアセタール(図示せ
ず)に均等に注入され、それら溶融ポリアセタールを前
記キャビティ63の固定型61面に押し付け、ひけ・反
り等の異常収縮を防止する。このような高圧窒素ガスの
注入後に徐冷することによって、前記ガス注入によりそ
れぞれ形成された空洞部を有する内刃歯車が製造され
る。
【0035】次いで、前記可動型62を後退させて型開
きを行った後、移動部材72を固定型61側に移動さ
せ、その2本のノックアウトピン71をさらに移動させ
てその先端で前記固定型61に成形された内刃歯車を押
出すことにより脱型される。
【0036】得られた本実施例3の内刃歯車73は、図
17の(a)、(b)に示すように内周に位置する歯7
4と、約160゜の周角度で配置された2つの円弧状空
洞部75を有するフレーム部76とからなる構造を有す
る。このような内刃歯車について真円度検査装置を用い
て内周(歯)の円筒精度を調べた。その結果、通常の射
出成形法により得られた平歯車が50〜100μmの誤
差が生じるのに対し、本実施例3の内刃歯車は50μm
以下の精度であることが確認された。また、回転性能を
調べたところ重心がその回転中心にほぼ一致しているた
めに円滑に回転することが確認された。
【0037】なお、前記実施例1〜3では合成樹脂とし
てポリアセタールを用いて歯車を製造する例について説
明したが、ポリアミド樹脂(例えばナイロン)、ポリカ
ーボート、ポリフェニレンエーテル等の他の合成樹脂を
用いても同様な効果を有する歯車を製造することができ
た。また、前記実施例1〜3では歯車の製造に適用した
例を説明したが、プーリー、ローラのような他の回転機
能部品の製造にも同様に適用することができる。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば真
円度が高く、特に歯車の場合には精度の高い歯を形成す
ることが可能で、かつ重心と回転中心とがほぼ一致した
回転性能の優れた合成樹脂製回転機能部品の製造方法を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の平歯車を製造するための工
程を示す断面図。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】本発明の実施例1の平歯車を製造するための工
程を示す断面図。
【図4】図3のA−A線に沿う断面図。
【図5】本発明の実施例1の平歯車を製造するための工
程を示す断面図。
【図6】図5のA−A線に沿う断面図。
【図7】実施例1により製造された平歯車を示し、
(a)はその正面図、(b)その断面図。
【図8】本発明の実施例2の平歯車を製造するための工
程を示す断面図。
【図9】図8のA−A線に沿う断面図。
【図10】本発明の実施例2の平歯車を製造するための
工程を示す断面図。
【図11】図10のA−A線に沿う断面図。
【図12】本発明の実施例2の平歯車を製造するための
工程を示す断面図。
【図13】図12のA−A線に沿う断面図。
【図14】実施例2により製造された平歯車を示し、
(a)はその正面図、(b)その断面図。
【図15】本発明の実施例3における内刃歯車を製造す
るため用いられる金型を示す断面図。
【図16】図15のA−A線に沿う断面図。
【図17】実施例3により製造された内刃歯車を示し、
(a)はその正面図、(b)その断面図。
【符号の説明】
1、31、61…固定型、2、32、62…可動型、
3、33、63…キャビティ、4、34、54…歯形成
部、5、7、36…肉厚部、8、37、38…肉薄部、
11、13、41、43、66…スプール、12、4
2、67…ランナー、14、44、68…ゲート、1
8、48、71…ノックアウトピン、21、51、75
…空洞部、22、52、3…歯車。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型内に形成され、中心に対して同心円
    状に配置された少なくとも1つの環状肉厚部を有する回
    転機能部品形状をなす成形室に溶融合成樹脂を前記成形
    室の前記環状肉厚部に開口されたゲートを通して射出
    し、前記環状肉厚部から前記肉厚部に比べて薄い肉厚を
    持つ領域に前記溶融合成樹脂を流入させて前記領域に位
    置する前記成形室内面と接触する前記溶融合成樹脂部分
    を固化されると共に前記固化された合成樹脂部分で前記
    環状肉厚部の未固化溶融合成樹脂を分離する工程と、 高圧気体を前記ゲートを通して前記成形室内の前記環状
    肉厚部の未固化溶融合成樹脂に注入して前記環状肉厚部
    に空洞部を形成した後、前記溶融合成樹脂を固化する工
    程とを具備したことを特徴とする合成樹脂製回転機能部
    品の製造方法。
  2. 【請求項2】 金型内に形成された回転機能部品形状を
    なす成形室に溶融合成樹脂をスプール、前記スプールと
    連通する複数のランナーおよび前記各ランナーと連通す
    るゲートを通して射出し、前記射出された溶融合成樹脂
    が固化する前に前記成形室に高圧気体を前記溶融樹脂と
    同様な射出経路を通して注入して内部に空洞部を有する
    合成樹脂製回転機能部品を製造するに際し、 前記スプール、前記ランナーおよび前記ゲートの断面積
    をそれぞれS1 、S2、S3 としたとき、それらの断面
    積の関係がS1 ≦S2 ≦S3 を満たすように設定するこ
    とを特徴とする合成樹脂製回転機能部品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016037911A (ja) * 2014-08-08 2016-03-22 三菱電機株式会社 インペラおよび射出成形金型装置

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