JPH0620982B2 - 繊維機械の糸ブレーキ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 （産業上の利用分野） 本発明は、案内ボルトに設けてあった相互に当接するよ
うバネで付勢された２つの制動ディスクを有する、繊維
機械〔特に、平編み機（Flachstrickmaschine ）〕の糸
ブレーキ（Fadenbremse ）に関する。

（従来の技術） 上記の種類の糸ブレーキは公知である。運転中、制動デ
ィスクによって糸を案内ボルトの孔内に保持する。制動
力は、必要に応じて、制動ディスクを相互に押圧せしめ
るバネを調節することにより調節できる。さらに、制動
ディスクは、掃除が容易なように、手操作にて回転させ
ることができる。

糸は、補足操作（例えば、上部制動ディスクの上昇）を
必要とすることなく、糸の走行方向に対して直交するよ
うに、案内ボルトの孔内へ導入できなければならない。
更に、糸は運転中、ブレーキ、すなわち案内ボルトの孔
から不測に逸出してはならない。

（発明が解決しようとする問題点） 従って、本発明の目的は、補足の手操作を要することな
く、糸を走行方向に対して直交するよう保持して導入で
き、しかも、糸が運転中に不測に逸出することのないよ
うな糸ブレーキを提供することにある。

発明の構成 （問題点を解決するための手段） 本発明は上記の目的を達成するために、案内ボルト上に
設けられ、かつバネにて付勢されて相互に当接すること
により前記ボルトの軸線の近傍を通過する糸を挟持し、
この糸の制動を行う一対の制動ディスクを備えるととも
に、両制動ディスクの間で案内ボルトには、糸の通過路
を包囲し糸の張力によって互いに離間した制動ディスク
から糸が不測に外れることを防止するための確保手段を
有してなる繊維機械の糸ブレーキにおいて、前記保持手
段は、制動ディスク内においてボルトの前部及び後部に
対し一体的に形成されて、同前部及び後部を連結する連
結部と、前部及び後部の少なくともいずれかに固定連結
され、前記連結部と対向して糸を通過させる案内空間を
形成する案内部材とを設け、前記連結部及び案内部材の
互いに対向する面には前記両ディスクの当接面に沿う方
向及び両ディスクが離間する方向における糸の移動量を
規制する規制面をそれぞれ設け、さらに連結部及び案内
部材の互いに対向する端部間において案内空間へ糸の通
過を許容する間隙を糸の通過路と離間した位置に形成し
たことによって、達成される。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に説明する。

第１ａ図は、この発明に係る糸ブレーキ１０を示すもの
であって、糸監視装置（図示しない）の壁２８に対し
て、螺着等の方法によって固定した案内ボルト１６上に
は２つの制動ディスク１２，１４が設けてある。

両制動ディスク１２，１４はバネ２４によって相互に押
圧され、バネ力は案内ボルト１６のネジ部に螺着したナ
ット２６によって調節できる。従って、両制動ディスク
１２，１４の制動力は無段階に調節可能である。

案内ボルト１６には、第１ａ図において紙面に垂直に延
び、かつ糸１８を案内する貫通孔２０が設けてある。運
転中、糸１８は公知の方法で、貫通孔２０及び両制動デ
ィスク１２，１４の間を通過する。この際、制動ディス
ク１２，１４の制動力は上述したように、バネ２４及び
ナット２６によって調整できる。

案内ボルト１６の外周面からスリット２２が貫通孔２０
まで延びており、上記貫通孔２０と連通している。スリ
ット２２は、第１ａ図の紙面に垂直に、案内ボルト１６
の厚さ方向にわたって延びている。スリット２２は図示
のように、折曲るように形成され、案内ボルト１６の外
壁から右上方へ延びる部分３０と、この部分３０から左
上方へのび貫通孔２０に接続する部分３２とから成って
いる。スリット２２の湾曲形状によって、突起すなわち
鉤状部３４が形成されている。

糸１８はその飛走方向に対して直交するように保持され
ながら、糸ブレーキ１０へと案内され、両制動ディスク
１２，１４の間に配置される。糸１８は自身の応力（Sp
annung）によって右側の制動ディスク１２を上昇させ、
摺動して自動的にスリット２２の部分３０に進入し、さ
らに、スリット２２の傾斜面４６に沿って上方へ摺動
し、鉤状部３４を越えて貫通孔２０に進入する。このあ
と、糸１８はバネ２４にて制動ディスク１４に対して押
圧されている制動ディスク１２によって前記貫通孔２０
内に保持される。

運転中、制動ブレーキ１２は糸１８の張力によって、バ
ネ２４の力に抗して制動ディスク１４から引離されて
も、スリット２２が湾曲しているので、糸１８がブレー
キ１０から逸出することはない。すなわち、糸１８が応
力を受けている限り、部分３２の傾斜面６６に当接し、
糸１８の応力が減少すると直ちに、糸１８はバネ２４に
よって付勢された制動ディスク１２にて貫通孔２０内に
押しもどされる。

第２ａ，２ｂ図に示す第２の実施例において、案内ボル
ト１６には長さ方向に延びる孔３８が透設され、同孔３
８内にはピン３６が軸線方向へ移動可能な状態で設けて
ある。ピン３６は孔３８内において、同孔３８の閉鎖栓
４２に支持される圧縮バネ４０によって付勢されてい
る。ピン３６の頭部４４は、糸１８の入口をなすスリッ
ト２２内に突出し、スリット２２と孔２０との連通路を
閉鎖している。

ピン３６はその軸線方向の溝（図示しない）内に突出す
る割りピン（Splint（５０によって回転不能に固定され
ている。また、同割りピン５０自体は案内ボルト１６の
直径方向に透設した孔内に保持されている。

前記ピン３６には頭部４４から軸方向に離間した位置に
カラー４８が設けてある。このカラー４８は頭部４４と
同様、割りピン５０に当接するので、ピン３６の軸方向
ストロークは、両方向について割りピン５０によって限
定される。

頭部４４の自由端面は、紙面に垂直な傾斜面５２が形成
され、この傾斜面５２は右下方から左上方へ延びてお
り、従って糸１８の導入方向の力が頭部４４に作用する
と、前記頭部４４はバネ４０の力に抗して第２ａ図の右
方へ摺動する。

前記第１実施例において述べたように、糸１８は糸ブレ
ーキ１０に案内されると、両制動ディスク１２，１４間
の下方スペース（第２ａ図）に配置され、次いで、糸１
８自身の応力によって、両制動ディスク１２，１４の間
を通過してスリット２２内に進入する。続いて糸１８は
頭部４４の傾斜面５２にぶつかって、糸１８の応力によ
って傾斜面５２に力を及ぼす。この力によって頭部４４
及びピン３６はバネ４０の力に抗して孔３８内にもどさ
れ、その結果、スリット２２から同スリット２２と接続
した孔２０に至る通路が開放されて、糸１８はスリット
２２から孔２０に進入し得るようになる。糸１８が孔２
０に入ると直ちに、ピン３６がバネ４０によって、孔２
０とスリット２２との間の通路を閉鎖する閉鎖位置（第
２ａ図）にもどされる。従って、糸１８が孔２０から不
測に逸出することはない。

第３ａ，３ｂ図に示す第３の実施例において、案内ボル
ト１６には孔２０に対して直交する方向に凹部５４が形
成され、同凹部５４内にはボール５８が移動可能に配置
されている。前記凹部５４は孔２０及びスリット２２の
中心面に対称をなすように、案内ボルト１６の糸入口
（スリット２２によって形成されている）とは逆の側か
ら糸入口の直前まで延びて、第３ａ図に示すように、ボ
ール５８の受承手段を形成している。

案内ボルト１６には孔が軸方向に透設され、同孔内には
栓（Stopfen)６４が押入されている。そして、同栓６４
には、スリット２２に対向する端面に円すい形状をなす
窪み、すなわちポケット６２が形成されている。同様に
案内ボルト１６にも、スリット２２の中立面を挟んで、
前記栓６４のポケット６２とは逆の側に、例えば円すい
形状をなすポケット６０が形成されている。

案内ボルト１６の凹部５４は、その直径がボール５８の
直径に等しいか、またはボール５８径よりも幾分大きく
形成されることが望ましく、キャップ、すなわち栓５６
によって外部に対して閉鎖されている。

第１及び第２の実施例の場合と同様、糸１８は糸ブレー
キ１０に案内されて、両制動ディスク１２，１４との間
に配置され、次いで、糸１８自身の応力によって、両制
動ディスク１２，１４の間を通過し、糸入口をなすスリ
ット２２内に進入する。同スリット２２内において、糸
１８はボール５８にぶつかり、糸１８自身の応力によっ
てボール５８を上昇させる。この際、ボール５８はポケ
ット６０または６２内に逃避する。続いて、糸１８はボ
ール５８に沿って摺動し、貫通孔２０に進入する。糸１
８がボール５８から離れると直ちに、前記ボール５８
は、自重により落下して第３ａ図の閉鎖位置にもどる。
これにより、糸入口、すなわちスリット２２が閉鎖され
る。

従って、貫通孔２０から外部への連結路は、ボール５８
によって閉鎖されるので、運転中に糸１８が糸ブレーキ
１０から不測に逸出することはない。

第４図に示す実施例における確保手段について説明す
る。即ち、案内ボルト１６は２つの部分から構成されて
おり、両制動ディスク１２，１４の間には、一方の脚部
９６が案内ボルト１６の部分９４に結合され、かつ他方
の脚部９８が案内ボルト１６の部分１１２に結合され
た、ほぼＵ字形のシャックル（Buegel）８８が設けてあ
る。

案内ボルト１６の両部分９４，１１２は、両脚部９６，
９８に、螺着、溶接等の方法で固着されている。

前記シャックル８８は、２つのノーズ（Nase）９０，９
２を有し、さらにノーズ９０，９２の間は、シャックル
８８から成る開口１１０に糸１８を通すために細い間隙
１１４が形成されている。

図に示すように、糸１８は案内ボルト１６の中心線から
離れた箇所において、糸ブレーキ１０を通過し、糸１８
と制動ディスク１２，１４との間の摩擦によって、回転
トルクが制動ディスク１２，１４に伝達される。従っ
て、両制動ディスク１２，１４が回転し、その結果、以
下に説明するように、クリーニング効果が現れる。

第５図に示す実施例では、糸ブレーキ１０の両制動ディ
スク１２，１４の間に位置する案内ボルト１６の連結部
１００は、ボルトの前部１６ａと後部１６ｂの間に形成
され、案内ボルト１６の長さ方向に延びる中心軸線１０
２に対して離間する方向へずらしてある。この連結部１
００を有する案内ボルト１６は極めて単純な構成である
ため、一体に形成された部品として製作が可能である。
さらに一体に形成されるため、組付けにおいては複数部
品の位置調整あるいは溶接等の煩雑な作業を必要とせず
極めて安価に糸ブレーキを提供できる。

確保手段は、前記連結部１００と案内ボルト１６に（例
えば、連結部１００に直接に）固定した案内部材として
のシャックル１０４とから構成されている。これら連結
部１００とシャックル１０４とに包囲された案内空間と
しての開口１１０内には糸１８が通されている。そし
て、糸１８の移動量は連結部１００及びシャックル１０
４の互いに対向する面にそれぞれ形成した規制面１００
ａ，１０４ａによって規制される。すなわち、糸１８に
かかる大きな張力によって、可動制動ディスク１２が固
定制動ディスク１４から離間したとき、糸１８は両ディ
スク１２，１４の対向当接面１１６に沿う方向又は、両
ディスク１２，１４が離間する方向に移動する。そし
て、糸１８は規制面１００ａ，１０４ａに達すると、以
後の移動が規制面１００ａ，１０４ａにて規制される。
よって、不測の事態が発生しても糸１８が制動ディスク
１０から離脱することはない。

シャックル１０４のノーズ１０６と連結部１００との間
には、同連結部１００とシャックル１０４との間に形成
された開口１１０に糸を通すための狭い間隙１１４が形
成されている。この間隙１１４はボルト１６を軸線１０
２を挟んで糸１８の通過路と反対側に離間した位置に形
成されているため、糸１８が開口１１０から逸出するた
めには軸線１０２を越えて移動し間隙１１４に到達しな
ければならず、糸１８が間隙１１４から逸出して糸ブレ
ーキ１０から外れる可能性は極めて小さいものとなる。

なお、図示のように、糸ブレーキ１０は糸１８が案内ボ
ルト１６の中心軸線１０２の上方を通過するように配置
されている。この場合、糸１８から中心軸線１０２まで
の距離は、数mm（例えば、３〜４mm）であってよい。こ
のように、糸１８の走行時に回転トルクが両制動ディス
ク１２、１４に加えられるため、両制動ディスク１２，
１４が中心軸線１０２を中心として定速で回転する。従
って、糸ブレーキ１０のクリーニング効果が生ずる。

糸１８を中心軸線１０２から離間した位置に保持して、
糸ブレーキ１０を通過させるため、外側案内要素（aeus
sere Fuehrungselemente ）（図示しない）を設けるこ
とが望ましい。両制動ディスク１２，１４を容易に回転
させるため、これら１２，１４を径の小さいボルトに軸
支することが望ましい。さらに、両制動ディスク１２，
１４は比重の小さい材料（例えば、アルミニウム合金）
にて形成するのが望ましい。さらに、両制動ディスク１
２，１４の表面を耐摩耗性材料にて被覆すれば、運動し
ている部分の間の摩擦及び摩耗が減少する。

また、第６図に示すように、両制動ディスク１２，１４
には開口１０８（例えば、角度間隔が１２０゜の３つの
開口）を設けることも可能である。このように構成すれ
ば、前記開口１０８は、ゴミ、毛玉または綿毛を両制動
ディスク１２，１４の間の内部スペースから外部へ排出
するのに役立ち、クリーニング効果が得られるので、糸
ブレーキ１０の清掃作業は通常は不要となる。

発明の効果 以上詳述したように、制動ディスク内においてボルトの
前部又は後部に対し一体的に形成されて、同前部及び後
部を連結する連結部と、前部及び後部の少なくともいず
れかに固定連結され、前記連結部と対向して糸を通過さ
せる案内空間を形成する案内部材とを設け、前記連結部
及び案内部材の互いに対向する面には前記両ディスクの
当接面に沿う方向及び両ディスクが離間する方向におけ
る糸の移動量を規制する規制面をそれぞれ設け、さらに
連結部及び案内部材の互いに対向する端部間において案
内空間へ糸の通過を許容する間隙を糸の通過路と離間し
た位置に形成したことににより、補足の手操作を要する
ことなく、糸を走行方向に対して直交するよう保持して
導入でき、しかも、糸が運転中に不測に逸出することが
ないという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１ａ図は本発明の第１実施例を示す縦断面図、第１ｂ
図は第１ａ図の横断面図、第２ａ図は本発明の第２の実
施例を示す縦断面図、第２ｂ図は第２ａ図の横断面図、
第３ａ図は本発明の第３実施例を示す縦断面図、第３ｂ
図は第３ａ図の横断面図、第４，５図は本発明のさらに
別の実施例を示すそれぞれ横断面図、第６図は制動ディ
スクの平面図である。 １２，１４……制動ディスク、１６……案内ボルト、１
８……糸、２４……バネ、１００……連結部、１００ａ
……規制面、１０４……案内部材としてのシャックル、
１０４ａ……規制面、１１０……案内空間としての開
口、１１６……当接面

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】案内ボルト上に設けられ、かつバネにて付
   勢されて相互に当接することにより前記ボルトの軸線の
   近傍を通過する糸を挟持し、この糸の制動を行う一対の
   制動ディスクを備えるとともに、両制動ディスクの間で
   案内ボルトには、糸の通過路を包囲し糸の張力によって
   互いに離間した制動ディスクから糸が不測に外れること
   を防止するための確保手段を有してなる繊維機械の糸ブ
   レーキにおいて、 前記保持手段は、制動ディスク内においてボルトの前部
   及び後部に対し一体的に形成されて、同前部及び後部を
   連結する連結部と、前部及び後部の少なくともいずれか
   に固定連結され、前記連結部と対向して糸を通過させる
   案内空間を形成する案内部材とを設け、前記連結部及び
   案内部材の互いに対向する面には前記両ディスクの当接
   面に沿う方向及び両ディスクが離間する方向における糸
   の移動量を規制する規制面をそれぞれ設け、さらに連結
   部及び案内部材の互いに対向する端部間において案内空
   間へ糸の通過を許容する間隙を糸の通過路と離間した位
   置に形成したことを特徴とする繊維機械の糸ブレーキ。
2. 【請求項２】前記制動ディスクはゴミ、繊維、綿毛等を
   逸出させるための貫通窓が設けられている特許請求の範
   囲第１項に記載の繊維機械の糸ブレーキ。
3. 【請求項３】前記糸は制動ディスク間において案内ボル
   トの軸線から離間した位置を通過していることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項〜第２項に記載の繊維機械の
   糸ブレーキ。