JPH0378497B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、ブレーキやクラツチ等の装置におけ
る相対的な可動な第１及び第２の部材の間の所定
の間隙を一定に維持するための間隙自己調節装置
を備えるブレーキ装置に関する。

技術的背景 ブレーキの２つの部品の間の間隙を調節するた
めの種々の間隙自己調節機構が知られている。そ
れらの装置のいくつかは複雑であり、デイスクブ
レーキのキヤリパーの中に組み入れることは不適
当である。他の従来の装置は、連続的でなく段階
的な調節を行うようにしたラチエツト機構を備え
ている。そのようなラチエツト機構もブレーキ装
置を複雑なものにする。更にある種のブレーキ特
にデイスクブレーキにおいては、通気と冷却とが
部品間の所定の間隙の大きさに依存しており、従
つて常に一定の間隙を必要とする。

米国特許第3532190号には、自己調節機能を満
たしながら構造を簡単にしたブレーキを設計する
試みがされている。この特許においては、管状の
部材にピンで止められたプランジヤを使用するデ
イスクブレーキのための自動調節器が示されてい
る。管状の部材はブレーキの静止部品内の穴の中
に保持され、一方プランジヤの端部は可動の圧力
プレートに調節されている。プランジヤと管状の
部材との連結はスロツトの中に設けられたピンで
行われる。スロツトの大きさはプランジヤに与え
られる間隙を規定し、従つて間隙の量を修正する
ために行われる調節の量を制限する。更に、この
装置はデイスクの周囲外測に設けられ、従つてキ
ヤリパーの大きさ及び半径方向の寸法が増大す
る。

発明の摘要 本発明は、構造が簡単で、ブレーキ等の装置全
体の寸法を余り大きくすることなく取り付けるこ
とができる、２つの部材間の間隙を一定に保つた
めの間〓自己調節装置を備えるブレーキ装置を提
供することを目的としている。

すなわち、本発明に係るブレーキ装置は、ブレ
ーキの固定部材に設けられた孔の中に設定された
管状の部材と、一端でブレーキの可動部材に固定
されて上記管状部材を貫通して延びており他端に
ヘツド有している棒状部材とを有する間〓自己調
節ブレーキ装置であつて、上記管状の部材が、摩
擦係合状態で上記孔内に取り付けられたバネスリ
ーブと該バネスリーブの一端に係合して同バネス
リーブと上記ヘツドとの間に設定された圧縮可能
な圧縮バネ手段とから構成されており、該圧縮バ
ネ手段は棒状部材のヘツドを上記可動部材から離
す方向へ付勢するように作用して当該ブレーキの
制動が解除された状態では上記可動部材を上記バ
ネスリーブの他端に接触させ、上記可動部材がバ
ネスリーブから所定の間隔だけ離れると上記ヘツ
ドとバネスリーブとの間で実質的に最大限に圧縮
されて、上記所定の距離を越えるとその越えた分
だけバネスリーブを上記可動部材に向けて上記孔
から外方に動かすようにされていることを特徴と
する。

実施例 本発明の実施例を説明する前に、本発明の前提
となる基本的構成を有する間〓自己調整型のデイ
スクブレーキにつき説明する。

すなわち、第１図乃至第３図には、キヤリパブ
ラケツト１２とキヤリパヘツド１４とを有するキ
ヤリパーすなわちデイスクブレーキ１０が示され
ている。キヤリパブラケツト１２及びキヤリパヘ
ツド１４は共に連結されて、空所１６を形成して
いる。

キヤリパブラケツト１２は、２つの平行な円筒
状の穴１８，２０を有しており、この穴は空所１
６に向けて開放されている。また穴１８，２０は
それぞれピストン２２と間隙自己調節装置２４の
一部を収納している。ピストン２２は穴１８から
空所１６へのびており、圧力プレートとしての拡
大部分２６を有している。圧力プレート２６は穴
２０の上にものびており、ネジ穴２８を有してい
る。このネジ穴２８は、穴２０と軸線方向で整合
しており、穴２０に向けて開いている。ネジ穴２
８は穴２０よりも好ましくは小さな直径とされ
る。このネジ穴２８は、間隙自己調節装置２４を
圧力プレート２６に取り付けるために用いられ
る。

圧力プレート２６のピストン２２が突出してい
る面と反対側の面３０は実質的に平面とされ、ピ
ストン２２の軸線に直角にされる。面３２にはブ
レーキパツド３４がつけられている。ブレーキパ
ツド３４と平行で間隙Ｘだけ離れた位置に、回転
ブレーキデイスク３６が設けられている（第１図
には、デイスク３６の半径方向外側部分のみが示
されている）。第２のブレーキパツド３８が、ブ
レーキデイスク３６の反対側の近くに位置決めさ
れ、バツキングプレート４０に取り付けられてい
る。プレート４０は、通常図示しないネジによつ
てキヤリパヘツド１４に取り付けられている。

ピストン２２はまた、密封リング４４が収納さ
れている環状の溝４０を有している。ピストン２
２は、穴１８の左側に形成された圧力チヤンバ４
６内の圧力流体によつて作動される。密封リング
４４は、圧力流体がチヤンバ４６から空所１６に
漏れるのを防ぐ。加圧流体は、図示しない加圧流
体に接続されるパイプによつてチヤンバ４６の中
に供給される。

間隙自己調節装置２４は、ネジ４８を有してお
り、このネジはバネスリーブ５０と同心状にされ
ている。スリーブ５０は、その長さ方向にそつて
のびている細長いスリツトを有する金属チユーブ
とされる。そのようなスリーブはまた、バネピン
またはトーシヨンピンとも呼ばれる。バネスリー
ブ５０は、半径方向で圧縮されてブラケツト１２
の穴２０内につくはめられる。この位置において
スリーブ５０の内径はネジ４８の外径の回りにゆ
るくはまるようにされており、それらの間の環状
の間隙を５１で示しいる。ネジ４８は、ヘツド５
２とシヤンク５４とを有しており、シヤンク５４
は圧力プレート２６のネジ穴２８内にネジ係合さ
れる。ヘツド５２は、穴２０内に位置決めされ、
スリーブ５０の端部に当接するようにされる。圧
力プレート２６の面３２とネジのヘツド５２との
間のシヤンク５４の長さは、スリーブ５０の長さ
よりも長く、その長さの差を第１図乃至第３図に
おいてＡで示している。この間隙Ａは、デイスク
ブレーキ１０の組み立ての前に、所望の長さに設
計される。これを行うには、ネジ４８をスリーブ
５０の中に入れ、それからネジ４８をネジ穴２８
にネジ係合する。間隙Ａは、ネジ４８をネジ穴２
８に入れる深さを変えることによつて調整でき
る。この間隙は、スリーブ５０と圧力プレート２
６との間にフイーラーゲージを設定するかまたは
ネジ４８をネジ穴２８内に完全に入れてから、そ
れを所要の回数だけ回転して外側に戻すことによ
つて設定される。後者の方法は、ネジのピツチが
解つている場合のみ可能である。

間隙自己調節装置２４は、各ブレーキ操作のの
ちに作用してブレーキパツド３４とブレーキデイ
スク３６との間の間隔を一定のＡに保つ。組み立
てる際には、間隙Ｘは、圧力プレート２６がキヤ
リパブラケツト１２から間隙Ａだけ離れた位置に
位置決めされたときに、その間隙Ａよりも大きく
される。ブレーキ２０を始めに操作すると、ピス
トン２２は外側に動いてブレーキバツト３４がブ
レーキデイスク３６に接触するようになる。この
ようになると、ネジのヘツド５２はスリーブ５２
と接触し、該スリーブを第３図に示すように穴２
０の外側に動かす。ブレーキ１０は、スリーブ５
０に加えられる摩擦に打ち勝つに十分なように強
く作動される。スリーブの右側への動きは、ブレ
ーキパツト３４が回転ブレーキデイスク３６にク
ランプするまで続く。この時点において間隙Ａ
は、スリーブ５０の右側の端部と圧力プレート２
６の面３２との間にある（第３図）。ブレーキ１
０が開放されると、ピストン２２、圧力プレート
２６、ブレーキパツド３４としてネジ４８が第２
図に示すように距離Ａだけ左側に動く。さらに圧
力プレート２６が左へ動こうとすると、スリーブ
５０に当接し、このスリーブは圧力プレートの比
較的小さな左へ動こうとする力では動かないの
で、該プレート２６の動きは阻止される。従つ
て、ブレーキ１０が開放された後の状態は第２図
に示すごとくなる。この状態で間隙Ａはブレーキ
パツド３４とブレーキデイスク３６との間にあ
り、また同じ間隙がネジのヘツド５２とスリーブ
５０との間にある。

その後のブレーキ操作においては、圧力プレー
ト２６が動き、それに関連した部材が距離Ａだけ
動く。この場合、スリーブ５０は第２図に示す位
置にとどまる。ブレーキパツド３４がブレーキデ
イスク３６との接触により減りはじめると、これ
らの間の間隙はＡより大きくなる。そのようにな
るとスリーブ５０は、それが動いて第１図に示す
間隙Ｘを第２図に示す距離Ａに減少した時と同様
に、穴２０から外側へ動かされる。従つて間隙自
己調節装置２４は自動的に間隙の自動調節を行
う。

第４図及び第５図には、本発明に係る間〓自己
調整ブレーキの要部である間〓自己調整装置２
４′が示されている。ブレーキとしての基本的構
成は第１図乃至第３図に示したものと同じであ
り、同じ部品には同じ番号を付して示してある。
装置２４′は、圧力プレート２６をその始めの位
置に戻すように付勢するための手段として作用す
るベルビルワツシヤ５６を複数有している。ワツ
シヤ５６はネジのヘツド５２とスリーブ５０との
間で、ネジのシヤンク５４の回りにゆるく設けら
れている。このブレーキは、第１図乃至第３図に
示したものと同様にして組み立てられる。しかし
ワツシヤ５６は、スリーブ５０の前にシヤンク５
４の上に取り付けられる。ネジ４８はそれから圧
力プレート２６の中に形成されたネジ穴にネジ係
合される。ベルビルワツシヤは、好ましくはバネ
鋼によつて作られたラセンバネによつて置き換え
ることができる。

所定の間隔Ａは、ネジ４８をワツシヤ５６が最
大限に圧縮されるまでネジ係合した後、所要の回
数だけ回転してゆるめることによつて得ることが
できる。間隙Ａはまた、それが正確な距離にされ
た時にワツシヤ５６が最大限に圧縮されるように
するフイーラーゲージを使用することによつても
設定することができる。間隙Ａが設定された後、
ネジ４８及びスリーブ５０は穴２０の中に挿入す
ることができ、スリーブ５０の半径方向の力によ
つて所定の位置に摩擦により保持することができ
る。そのように設定すると、ワツシヤ５６は第４
図に示す状態にリラツクスする。しかしワツシヤ
５６の中には好しくはある程度の圧縮力が残され
ており、ブレーキが開放された時に、ネジのヘツ
ド５２とスリーブ５４との間を遊びをなくすこと
ができる。ベルビルワツシヤの替わりにラセンバ
ネを用いる場合にも、それらのバネは開放された
状態において部分的に圧縮されるようにしかつブ
レーキをかけた状態においては完全に圧縮された
状態となるようにしなければならない。

この装置を組み立てた後の最初のブレーキ操作
においては、ブレーキパツド３４とブレーキデイ
スク３６との間の間隙Ｘは、間隙Ａと等しくなる
まで減少されなければならない。ブレーキがかけ
られると、ピストン２０、圧力プレート２６、ブ
レーキパツド３４、及びネジ４８はブレーキデイ
スク３６に向けて右の方へ動く。始めスリーブ５
０は動かないが、ベルビルワツシヤ５６は圧縮さ
れ、最大限に圧縮された状態になる。ワツシヤ５
６が最大限に圧縮されると、間隙Ａがスリーブ５
０と圧力プレート面３２との間に生じるこの状態
で、ブレーキの制動力は圧縮されたワツシヤ５６
を介してスリーブ５０に伝えられる。そこでスリ
ーブ５０は、穴２０から外側に動かされ、ブレー
キパツド３４が第５図に示すように回転ブレーキ
デイスク３６にクランプするようになる。

ブレーキが開放されると、圧力プレート２６及
びそれに付随する部材は、ワツシヤ５６の拡張に
よつて助けられて距離Ａだけ左側へ動く。この動
きは、圧力プレート２６がスリーブ５０の右側の
端部に当接する（第４図）まで続き、それによつ
て間隙Ａブレーキパツド３４とブレーキデイスク
３６との間に生ずる。

圧力プレート２６からのびるネジのジヤンク５
４の長さは、スリーブ５０と部分的に拡張されて
いる状態のワツシヤ５６とを合せた長さに等しく
される。ブレーキをかけられるとワツシヤ５６は
最大限に圧縮され、それによつて間隙Ａがスリー
ブ５０と圧力ブレート２６との間に生じ、かつ圧
力プレート２６とブレーキデイスク３６との間の
間隙はなくなる。従つて、ブレーキがかけられた
状態と開放された状態におけるワツシヤ５６の長
さの差は、ブレーキパツド３４とブレーキデイス
ク３６との間に生ずる間隙Ａに等しい。装置２
４′もまた、ブレーキパツド３４とブレーキデイ
スク３６との間の間隙がＡよりも大きくなるとス
リーブが穴２０の外側に動かされるので、間隙自
己調節装置となつている。

第６図及び第７図には、本発明の他の実施例に
係る間隙自動調節装置２４″が示されている。こ
の装置は両端部がネジ係合されているボルト５８
を含んでいる。ボルト５８は一方の端部のネジ部
分の根元に形成されたフランジ６０を有してお
り、このフランジはボルト５８がネジ穴２８の中
にネジ係合されると圧力プレートとの面３２に当
接する。ボルト５８の他方の端部は、穴２０の中
でナツト６２とネジ係合されている。ナツト６２
とフランジ６０との間には、複数のワツシヤ５６
とスリーブ５０とが設けられている。この実施例
に係る装置は第１の実施例とほぼ同じであるが、
間隙Ａがボルト５８上のナツト６２を調節するこ
とによつて調節される点で異つている。ナツト６
２は、固定のネジヘツドによつて置き換えること
ができる。固定のネジヘツドが使用される時に
は、間隔Ａは、そのヘツドとフランジ６０間の距
離及びスリーブ５０と完全に圧縮された状態での
ワツシヤとを合せた長さとの差によつて決められ
る。そのような差は製造工程によつて作られなけ
ればならない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の前提となる基本的構成を有
する間〓自己調整型のデイスクブレーキを示し、
一番最初のブレーキ操作が行われる前の間〓自己
調整装置の状態を示している。第２図は、ブレー
キが一度かけられ、その後解放された状態での間
〓自己調整装置を示す図である。第３図は、ブレ
ーキがかけられたときの間〓自己調整装置を示す
図である。第４図は、解放された状態での本発明
の第１の実施例に係る間〓自己調整装置を示す図
である。第５図は、ブレーキがかけられた状態で
の間〓自己調整装置を示す図である。第６図は、
第２の実施例に係る間〓自己調整装置で、解放さ
れた状態を示している。第７図は、ブレーキがか
けられた状態での間〓自己調整装置を示してい
る。 １２……固定部材；２０……孔；２６……可動
部材；４８，５８……棒状の部材（ネジ）；５２，
６２……ヘツド；５６……圧縮バネ手段（ワツシ
ヤ）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ブレーキの固定部材１２に設けられた孔２０
   の中に設定された管状の部材と、一端でブレーキ
   の可動部材２６に固定されて上記管状部材を貫通
   して延びており他端にヘツド５２，６２を有して
   いる棒状の部材４８，５８とを有する間〓自己調
   節ブレーキ装置であつて、上記管状の部材が、摩
   擦係合状態で上記孔内に取り付けられたバネスリ
   ーブ５０と該バネスリーブの一端に係合して同バ
   ネスリーブと上記ヘツドとの間に設定された圧縮
   可能な圧縮バネ手段５６とから構成されており、
   該圧縮バネ手段は棒状の部材のヘツド５２，６２
   を上記可動部材２６から離す方向へ付勢するよう
   に作用して当該ブレーキの制動が解除された状態
   では上記可動部材を上記バネスリーブの他端に接
   触させ、上記可動部材がバネスリーブから所定の
   間隔だけで離れると上記ヘツドとバネスリーブと
   の間で実質的に最大限に圧縮されて、上記所定の
   距離を越えるとその越えた分だけバネスリーブを
   上記可動部材に向けて上記孔から外方に動かすよ
   うにされていることを特徴とする間〓自己調節ブ
   レーキ。 ２ 上記圧縮バネ手段５６が複数のベルビルワシ
   ヤを重ねて形成されている特許請求の範囲第１項
   に記載のブレーキ。 ３ 上記棒状部材が上記可動部材にネジ込まれた
   ネジ４８とされている特許請求の範囲第１項若し
   くは第２項に記載のブレーキ。 ４ 上記棒状部材に雄ネジが切られており、上記
   ヘツドが該雄ネジにねじ係合されたナツトとされ
   ている特許請求の範囲第１項ないし第３項のいず
   れかに記載のブレーキ。