JPH06208934A - 電解コンデンサ駆動用電解質 - Google Patents

電解コンデンサ駆動用電解質

Info

Publication number
JPH06208934A
JPH06208934A JP5241757A JP24175793A JPH06208934A JP H06208934 A JPH06208934 A JP H06208934A JP 5241757 A JP5241757 A JP 5241757A JP 24175793 A JP24175793 A JP 24175793A JP H06208934 A JPH06208934 A JP H06208934A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrolyte
electrolytic capacitor
driving
quaternary ammonium
organic solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP5241757A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3070813B2 (ja
Inventor
Teruhisa Kanbara
輝壽 神原
Yuichiro Tsubaki
雄一郎 椿
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP5241757A priority Critical patent/JP3070813B2/ja
Publication of JPH06208934A publication Critical patent/JPH06208934A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3070813B2 publication Critical patent/JP3070813B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高耐電圧かつ低インピーダンスの電解コンデ
ンサを提供する。 【構成】 有機溶媒、カルボン酸アンモニウム、および
硼酸四級アンモニウムとリン酸四級アンモニウムよりな
る群から選んだ少なくとも一種よりなる電解コンデンサ
駆動用電解質。さらに、ポリエーテルポリオールを基本
骨格とし、ポリエーテル部分がオキシエチレンとオキシ
プロピレンのランダムコポリマーである高分子化合物を
含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解コンデンサ駆動用
電解質に関し、更に詳しくは、特定のアンモニウム塩を
含有し、低インピーダンスでありかつ耐電圧特性の向上
した電解コンデンサを与える電解コンデンサ駆動用電解
質、およびそのような電解質を用いた電解コンデンサに
関するするものである。
【0002】
【従来の技術】従来、300V以上の耐電圧を有する高
電圧用電解コンデンサの駆動用電解質は、エチレングリ
コールを主とする溶媒と、カルボン酸塩類を主とし、少
量の硼酸及び硼酸アンモニウムを添加した溶質とから構
成されている。また、50V以下の低電圧用電解コンデ
ンサの駆動用電解質は、γーブチロラクトンなどの高誘
電率の極性有機溶媒と、有機アンモニウム塩を主とし、
少量の硼酸、リン酸及び硼酸アンモニウムを添加した溶
質とから構成されている。また、電解コンデンサは、酸
化アルミニウム等の酸化物からなる誘電体を設けた陽極
と、電気伝導性陰極と、両電極間に介在させた電解質と
から構成されている。そして、電解質には、前述のよう
に、エチレングリコールやγーブチロラクトン等の高沸
点有機溶媒にアンモニウム塩を溶解した有機電解質など
が用いられている。
【0003】これら液体電解質を使用したコンデンサ
は、漏液や電解質の蒸発散逸のおそれがあるところか
ら、液体電解質に代わり、シロキサン−アルキレンオキ
サイド・コポリマーとポリエチレンオキサイドの混合物
よりなるポリマーを母材にし、これにアルカリ金属塩を
溶解したイオン伝導性高分子電解質を用いることで電解
コンデンサ素子を固体化しようとする提案がなされてい
る。しかしながら、アルカリ金属を可動イオンとするイ
オン伝導性高分子電解質を電解質として用いた電解コン
デンサは、アルカリ金属イオンが電解コンデンサの誘電
体中に拡散し、これにより誘電体の誘電率が低下し、最
終的には電気的に短絡するという問題を有していた。
【0004】このような課題を解決するため、電解質の
可動イオンとして、アンモニウムイオンを用いることが
考えられる。しかしながら、一般的に、アンモニウム塩
を溶解したイオン伝導性高分子電解質は、イオン伝導度
が極めて低いことが従来より知られている。電解コンデ
ンサの電解質は、コンデンサのインピーダンスとして作
用し、電解質のイオン伝導度があまり小さいとコンデン
サのインピーダンスが大きくなり、実用上使用すること
は困難である。このような観点から、本発明者らは、ポ
リマー母材とアンモニウム塩及び可塑剤(有機溶媒)の
検討により実用性の高い高分子電解質を用いた電解コン
デンサを提案した
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の高電圧用電解質
を用いると、火花発生電圧が500V以上と高くなるも
のの、電解質の電気伝導度が1×10ー3S/cm程度と
低く、このためコンデンサとしてのインピーダンスが高
くなるという課題を有していた。一方、従来低電圧用電
解質は、1×10ー2S/cmと高い電気伝導度を有する
ためコンデンサのインピーダンスは低くなるものの、火
花発生電圧が100V程度以下と低いことが問題であっ
た。また、耐電圧向上のための添加剤である硼酸、リン
酸及び硼酸アンモニウムは、極性有機溶媒に溶けにく
く、そのためこれらの添加剤を高い電気伝導度を有する
低電圧用電解質へ添加しても、その火花発生電圧は、こ
れらの添加により高電圧用電解質の火花発生電圧にまで
達するには至っていない。つまり、従来アルミ電解コン
デンサのインピーダンスと耐電圧は相反関係にあり、低
インピーダンスかつ高耐電圧という双方の特性を同時に
維持することが困難であった。また、上記提案の高分子
電解質による電解コンデンサは、高分子電解質を構成す
るアンモニウム塩及び極性有機溶媒の量により、インピ
ーダンスと耐電圧は相反関係にあり、低インピーダンス
かつ高耐電圧という双方の特性を同時に維持することが
困難であった。
【0006】従って、本発明は、低インピーダンスで、
かつ耐電圧の高い電解コンデンサを与える電解コンデン
サ駆動用電解質を提供することを目的とする。本発明
は、また、低インピーダンスで、かつ耐電圧の高い電解
コンデンサを与える電解コンデンサ駆動用高分子電解質
を提供することを目的とする。さらに、本発明は、高電
圧用電解コンデンサの耐電圧をさらに向上するとともに
インピーダンスを大幅に低下することを目的とする。ま
た、本発明は、低電圧用電解コンデンサの耐電圧を大幅
に向上するとともにインピーダンスを低下することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電解コンデンサ
駆動用電解質は、有機溶媒と、少なくとも1つのカルボ
ン酸アンモニウムと、硼酸四級アンモニウムとリン酸四
級アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも1
つの溶質とを含むことを特徴とする。また、本発明の電
解コンデンサ駆動用電解質は、有機溶媒と少なくとも1
つのカルボン酸四級アンモニウムとを含むものである。
【0008】さらに、本発明の電解コンデンサ駆動用電
解質は、有機溶媒と、少なくとも1つのカルボン酸アン
モニウムと、硼酸四級アンモニウムとリン酸四級アンモ
ニウムよりなる群から選択される少なくとも1つの溶質
と、式Iで示されるポリエーテルポリオールを基本骨格
としポリエーテル部分がオキシエチレンとオキシプロピ
レンのランダムコポリマーである高分子化合物とを含む
ことを特徴とする。
【0009】
【化3】
【0010】式I中、l1、l2、l3、m1、m2、m3
1、n2、n3は正の整数であり、2≦(l1+m1)×
1≦50、2≦(l2+m2)×n2≦50、2≦(l3
+m3)×n 3≦50である。またR1、R2、R3は各々
独立に水素原子、場合により互いに同一または異なるイ
ソシアナート残基またはアクリル残基で置換されていて
よく、その場合イソシアナート残基またはアクリル残基
はその末端が三次元的にリンクされていてもよい。
【0011】また、本発明の電解コンデンサ駆動用電解
質は、有機溶媒と、少なくとも1つのカルボン酸四級ア
ンモニウムと、前記の式Iで示されるポリエーテルポリ
オールを基本骨格としポリエーテル部分がオキシエチレ
ンとオキシプロピレンのランダムコポリマーである高分
子化合物とを含むものである。本発明の電解コンデンサ
は、酸化アルミニウムよりなる誘電体を有する陽極、電
気伝導性陰極、および両電極間に介在するイオン透過性
セパレータと電解質からなり、電解質には前記の各種電
解質が用いられる。
【0012】ここで、電解質を構成する有機溶媒は、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール;ポリエチレングリコールジメチルエーテ
ル、ポリプロピレンレングリコールジメチルエーテル、
ポリブチレンレングリコールジメチルエーテルなどのポ
リアルキレングリコールジメチルエーテル;γ−ブチロ
ラクトン、プロピレンカーボネイト、エチレンカーボネ
イト、スルホラン、炭酸ジメチル、ジメチルエタンより
なる群から選ばれる少なくとも1種の極性有機溶媒が好
ましい。
【0013】また、硼酸四級アンモニウムは、硼酸テト
ラメチルアンモニウム、硼酸テトラエチルアンモニウ
ム、硼酸テトラプロピルアンモニウム、硼酸テトラブチ
ルアンモニウムなどのアルキル基の炭素数が1ー4の硼
酸テトラアルキルアンモニウムが好ましい。さらに、リ
ン酸四級アンモニウムは、リン酸テトラメチルアンモニ
ウム、リン酸テトラエチルアンモニウム、リン酸テトラ
プロピルアンモニウム、リン酸テトラブチルアンモニウ
ムなどのアルキル基の炭素数が1ー4のリン酸テトラア
ルキルアンモニウムが好ましい。
【0014】これら硼酸テトラアルキルアンモニウムお
よびリン酸テトラアルキルアンモニウムにおける四級ア
ンモニウム基の結合数は、通常1または2である。硼酸
四級アンモニウムおよびリン酸四級アンモニウムの例と
しては式R4NH2BO 3、R4NH2PO4、[R4N]2
BO3および[R4N]2HPO4でそれぞれ表される硼酸
二水素テトラアルキルアンモニウム、リン酸二水素テト
ラアルキルアンモニウム、硼酸水素二テトラアルキルア
ンモニウムおよびリン酸水素二テトラアルキルアンモニ
ウム(Rは炭素数1−4のアルキル基)がある。また、
前記の硼酸アンモニウムおよび/またはリン酸アンモニ
ウムとともにも溶質として用いられるカルボン酸アンモ
ニウムは、アジピン酸アンモニウム、アゼライン酸アン
モニウム、安息香酸アンモニウムが特に好ましい例であ
る。これら溶質の電解質中における適当な濃度は、カル
ボン酸アンモニウムが5−20重量%、硼酸四級アンモ
ニウムおよびリン酸四級アンモニウムが1−20重量%
であり、両者合わせて6−30重量%である。
【0015】カルボン酸四級アンモニウムは、アジピン
酸、安息香酸、アゼラン酸およびデカンジカルボン酸の
四級アンモニウム塩(アルキル基の炭素数は1−4)が
好ましい例である。カルボン酸四級アンモニウムの電解
質中の好ましい濃度は5−20重量%である。さらに、
他の溶質を1−20重量%加えてもよく、その場合両者
合わせた濃度は6−30重量%が好ましい。
【0016】前記の電解質に式Iで表される高分子化合
物を加える場合、高分子化合物量は全電解質、すなわち
高分子化合物、有機溶媒および溶質の合計に対して5−
80重量%が適当である。
【0017】
【作用】本発明者らは、前述の硼酸4級アンモニウムお
よびリン酸四級アンモニウムは、化学的安定性に優れる
とともに、γーブチロラクトンやエチレングリコールな
どの前記有機溶媒に対する溶解性を有し、これをカルボ
ン酸アンモニウムとともに一定量以上添加すると、高い
伝導性を有したまま耐電圧が著しく向上することを見い
だした。更に、前記アンモニウム塩のうち結晶水を有す
るものはこの効果が著しいことも見いだした。また、ポ
リエーテルポリオールを基本骨格としポリエーテル部分
がオキシエチレンとオキシプロピレンのランダムコポリ
マーである高分子化合物を添加すると、耐電圧をさらに
向上することができる。
【0018】硼酸4級アンモニウムおよびリン酸四級ア
ンモニウムは、コンデンサ駆動用電解質の添加剤として
耐電圧を向上する効果を有するが、そのメカニズムは異
なっている。すなわち、リン酸四級アンモニウムを電解
質に添加すると、コンデンサの誘電体の酸化アルミニウ
ムAl23と反応してAl2-xx3(0<x≦0.
3)の皮膜を生成し、これによって耐電圧が向上する。
カルボン酸四級アンモニウムは、硼酸四級アンモニウム
やリン酸四級アンモニウムと異なり、それ単独を溶質と
することにより、低インピーダンスで高耐電圧の電解質
を与える。
【0019】
【実施例】図1は、本発明の一実施例に用いたアルミ電
解コンデンサ素子の縦断面図である。以下に、本発明の
好ましい実施例を比較例とともに詳しく説明する。
【0020】[実施例1]表1に示した組成の電解コン
デンサ駆動用電解質を作製し、これを定格電圧35V、
容量56μFのアルミ電解コンデンサ素子に含浸する。
コンデンサ素子は、表面を陽極酸化したアルミニウム箔
からなる陽極とアルミニウム箔からなる陰極と両電極を
隔離するセパレータとを渦巻き状に捲回したもので、こ
の素子を金属ケースに挿入し、減圧下で前記電解質を注
入してコンデンサを構成する。各電解質を用いたコンデ
ンサの特性を表2に示す。なお、表1中、PEOーPP
Oとは、前記の式Iにおいて、R1、R2、R3がイソシ
アナート残基であり、その末端は三次元的にリンクされ
てはいない。また、(l1+m1)×n1、(l2+m2
×n2および(l3+m3)×n3はそれぞれ25である。
本実施例で用いたポリエチレングリコールは、−(OC2
4)−のユニット数1−6のポリエチレングリコールの
混合物である。また、火花発生電圧は、コンデンサ素子
の陽極側を正にして陽・陰極間に1.2mAの定電流を
流したとき、陽・陰極間でスパークを発生する直前の陽
・陰極間の電圧を表わす。漏れ電流は、コンデンサ素子
の陽極側を正にして陽・陰極間に前記火花発生電圧を印
加し5分経過後に陽・陰極間に流れた漏れ電流を表わ
す。また、インピーダンスは、20℃、120Hzにお
いて測定した値である。表2より、本発明の電解質を用
いることにより、火花発生電圧が著しく向上することが
わかる。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】[実施例2]表3に示した組成の電解コン
デンサ駆動用電解液を作製し、実施例1と同様にして定
格電圧35V、容量56μFのアルミ電解コンデンサを
構成する。各電解質を用いたコンデンサの特性を表4に
示す。なお、本表中、PEOーPPOとは、前記の式I
において、R1、R2、R3がイソシアナート残基であ
り、その末端は三次元的にリンクされてはいない。ま
た、(l1+m1)×n1、(l2+m2)×n2および(l
3+m3)×n3はそれぞれ25である。ポリエチレング
リコールは、実施例1で用いたのと同じ混合物である。
表4より本発明の電解質を用いることにより、火花発
生電圧が著しく向上することがわかる。
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】[実施例3]表5に示した組成の電解コン
デンサ駆動用電解液を作製し、実施例1と同様にして定
格電圧450V、容量15μFのアルミ電解コンデンサ
構成する。各電解質を用いたコンデンサの特性を表6に
示す。なお、本表中、PEOーPPOとは、前記の式I
において、R1、R2、R3がイソシアナート残基であ
り、その末端は三次元的にリンクされてはいない。ま
た、(l1+m1)×n1、(l2+m2)×n2および(l
3+m3)×n3はそれぞれ25である。表6より、本発
明の電解質を用いることにより、高耐電圧、低インピー
ダンス化が図られることがわかる。
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】[実施例4]図1は、本実施例の電解コン
デンサの構成を示す断面図である。1は厚さ0.1m
m、大きさ2.5cm×5cmのアルミニウム箔で作ら
れた電極であり、その片面には陽極用コネクタ2をスポ
ット溶接してある。この電極の両面に、エッチングによ
り、直径約1ー5ミクロンの孔を形成させた後、これを
90℃の温度に保たれたホウ酸水溶液(濃度80g/
l)に浸し、100mAの電流で15分間陽極酸化する
ことにより、酸化アルミニウムにより構成される誘電体
層3を形成する。4は厚さ0.1mm、大きさ2.5c
m×5cmのアルミニウム箔で作られた電極であり、そ
の片面に陰極用コネクタ5をスポット溶接してある。こ
の電極の表面にもエッチングにより、直径約1ー5ミク
ロンの孔が形成してある。6は両電極間に介在させた高
分子電解質を含むポリプロピレンよりなるセパレータで
ある。
【0030】次に、式Iにおいて(l1+m1)×n1
(l2+m2)×n2および(l3+m3)×n 3がそれぞれ
25で示される構造を有する高分子化合物の末端基
1、R2、R3をイソシアネート化したポリマー母剤1
0g、ボロジサリチル酸アンモニウム2.4g、組成式
[(C254N]2HBO3・H2Oで表される硼酸二テ
トラエチルアンモニウム1水和物1.2g,及び溶媒と
してジエチレングリコール10g、希釈剤としてnーブ
タノン20gを攪拌混合することにより、高分子電解質
の原液を作成する。ひき続き、これをポリプロピレンよ
りなる空孔率50%、厚さ0.1mm、大きさ3cm×
4cmのセパレータに含浸させた後、このセパレータを
前記陽極の誘電体面3及び2枚の前記陰極のアルミニウ
ム面4の間に圧着し、温度30℃,湿度60%の空気中
で12時間保存することにより、前記ポリマー母材の末
端基を架橋させて電解質原液を硬化させ、高分子電解質
層6を形成することで有効面積20cm2の本実施例の
アルミ電解コンデンサAを作成する。
【0031】次に、これに対する比較例として、前記高
分子電解質の構成要素である硼酸テトラエチルアンモニ
ウム1水和物を添加せずに作成した高分子電解質を用い
てアルミ電解コンデンサBを作成する。比較例のアルミ
電解コンデンサBの作成方法及び構成材料は、前記硼酸
テトラエチルアンモニウム1水和物を添加しないこと以
外は全て実施例のアルミ電解コンデンサAと同一であ
る。
【0032】以上の方法で作成した実施例の電解コンデ
ンサA及び比較例の電解コンデンサBについて、20
℃、120Hzにおけるインピーダンス、静電容量、t
anδ、等価直列抵抗、火花発生電圧及び漏れ電流の測
定を行い、その結果を表7に示す。なお、火花発生電圧
は、陽極側コネクタ2を正に、負極側コネクタ5を負と
し1.2mAの電流を陽・陰極間に通電したとき、火花
を発生する直前コネクタ2及び5の間の電圧を表す。ま
た、漏れ電流は、それぞれの素子に火花発生電圧を陽極
側コネクタ2を正に、負極側コネクタ5を負として印加
し、5分後の電流値を測定したものである。
【0033】
【表7】
【0034】表7に示した評価の結果、実施例のコンデ
ンサAは、比較例のコンデンサBにくらべ、火花発生電
圧が著しく向上し、また漏れ電流が大きく減少している
ことがわかる。これは、高分子電解質に対する硼酸テト
ラエチルアンモニウム1水和物の添加が、陽極誘電体層
の自己修復機能を向上したことによるものと考えられ
る。なお、実施例では高分子電解質を作成する際、溶媒
にジエチレングリコールを用いたが、エチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリメチレングリコール
ジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエ
ーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテルを
用いても、同様の効果が得られる。更に、本実施例で
は、末端基をイソシアネート化したポリマー母剤を用い
たが、末端基をアクリル化したものに電子線照射を行う
ことにより架橋、硬化しても同様の効果を得られる。
【0035】[実施例5]実施例4では、高分子電解質
への硼酸テトラエチルアンモニウム1水和物の添加の効
果を示したが、他の4級アンモニウム塩についても、同
様の効果を得られる。本実施例では、高分子電解質の構
成材料以外は全て実施例4と同一とし、異なる高分子電
解質を構成要素として作成したコンデンサの例を示す。
その電解質の構成を表8に、コンデンサの実施例4と同
一条件下で測定したインピーダンスおよび火花発生電圧
を表9にそれぞれ示す。表8ではコンデンサAの作成に
用いた高分子電解質のポリマー母剤10gに対する溶
媒、塩の構成重量比を示している。ポリプロピレングリ
コールジメチルエーテルは、−(OC36)−のユニット
数が1−6のポリプロピレングリコールジメチルエーテ
ルの混合物である。また、ポリエチレングリコールは実
施例1で用いたのと同じ混合物である。
【0036】
【表8】
【0037】
【表9】
【0038】この結果より、本発明による特定の電解質
がアルミ電解コンデンサの低インピーダンス化及び高耐
電圧化の双方に有効であることがわかる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、高耐電圧かつ低インピ
ーダンスの電解コンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に用いたアルミ電解コンデン
サ素子の縦断面略図である。
【符号の説明】
1 陽極 2 陽極用コネクター 3 誘電体層 4 陰極 5 陰極用コネクター 6 セパレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平4−259570 (32)優先日 平4(1992)9月29日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶媒と、少なくとも1つのカルボン
    酸アンモニウムと、硼酸四級アンモニウムとリン酸四級
    アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも1つ
    の溶質とを含む電解コンデンサ駆動用電解質。
  2. 【請求項2】 有機溶媒と、少なくとも1つのカルボン
    酸四級アンモニウムとを含む電解コンデンサ駆動用電解
    質。
  3. 【請求項3】 有機溶媒と、少なくとも1つのカルボン
    酸アンモニウムと、硼酸四級アンモニウムとリン酸四級
    アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも1つ
    の溶質と、以下の式で示されるポリエーテルポリオール
    を基本骨格としポリエーテル部分がオキシエチレンとオ
    キシプロピレンのランダムコポリマーである高分子化合
    物とを含む電解コンデンサ駆動用電解質。 【化1】 (式中11、12、13、m1、m2、m3、n1、n2、n3
    は正の整数であり、2≦(11+m1)×n1≦50、2
    ≦(12+m2)×n2≦50、2≦(13+m3)×n3
    50である。また、R1、R2、R3は各々独立に水素原
    子、場合により互いに同一または異なるイソシアナート
    残基またはアクリル残基で置換されていてよく、その場
    合イソシアナート残基またはアクリル残基はその末端が
    三次元的にリンクされていてもよい。)
  4. 【請求項4】 有機溶媒と、少なくとも1つのカルボン
    酸アンモニウムと、以下の式で示されるポリエーテルポ
    リオールを基本骨格としポリエーテル部分がオキシエチ
    レンとオキシプロピレンのランダムコポリマーである高
    分子化合物とを含む電解コンデンサ駆動用電解質。 【化2】 (式中11、12、13、m1、m2、m3、n1、n2、n3
    は正の整数であり、2≦(11+m1)×n1≦50、2
    ≦(12+m2)×n2≦50、2≦(13+m3)×n3
    50である。また、R1、R2、R3は各々独立に水素原
    子、場合により互いに同一または異なるイソシアナート
    残基またはアクリル残基で置換されていてよく、その場
    合イソシアナート残基またはアクリル残基はその末端が
    三次元的にリンクされていてもよい。)
  5. 【請求項5】 硼酸四級アンモニウムが、硼酸四級アル
    キルアンモニウム(ただし、アルキル基の炭素数は1−
    4)である請求項1または3記載の電解コンデンサ駆動
    用電解質。
  6. 【請求項6】 リン酸四級アンモニウムが、リン酸四級
    アルキルアンモニウム(ただし、アルキル基の炭素数は
    1−4)である請求項1または3記載の電解コンデンサ
    駆動用電解質。
  7. 【請求項7】 カルボン酸アンモニウムが、アジピン
    酸、アゼライン酸および安息香酸よりなる群から選択さ
    れる酸のアンモニウム塩である請求項1または3記載の
    電解コンデンサ駆動用電解質。
  8. 【請求項8】 カルボン酸四級アンモニウムが、アジピ
    ン酸、安息香酸、アゼライン酸およびデカンジカルボン
    酸よりなる群から選択される酸の四級アルキルアンモニ
    ウム塩(ただし、アルキル基の炭素数は1−4)である
    請求項2または4記載の電解コンデンサ駆動用電解質。
  9. 【請求項9】 酸化アルミニウムよりなる誘電体を有す
    る陽極、電気伝導性陰極、および両極間に介在するイオ
    ン透過性セパレータと電解質からなり、前記電解質が、
    請求項1から8のいずれかに記載の電解質である電解コ
    ンデンサ。
JP5241757A 1992-09-29 1993-09-28 電解コンデンサ駆動用電解質 Expired - Fee Related JP3070813B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5241757A JP3070813B2 (ja) 1992-09-29 1993-09-28 電解コンデンサ駆動用電解質

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-259567 1992-09-29
JP4-259570 1992-09-29
JP4-259569 1992-09-29
JP25956892 1992-09-29
JP25956992 1992-09-29
JP25957092 1992-09-29
JP25956792 1992-09-29
JP4-259568 1992-09-29
JP5241757A JP3070813B2 (ja) 1992-09-29 1993-09-28 電解コンデンサ駆動用電解質

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06208934A true JPH06208934A (ja) 1994-07-26
JP3070813B2 JP3070813B2 (ja) 2000-07-31

Family

ID=27530061

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5241757A Expired - Fee Related JP3070813B2 (ja) 1992-09-29 1993-09-28 電解コンデンサ駆動用電解質

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3070813B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1070044A (ja) * 1996-08-27 1998-03-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電解コンデンサ駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ
JPH10106892A (ja) * 1996-09-30 1998-04-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電解コンデンサ駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ
WO2006040939A1 (ja) * 2004-10-12 2006-04-20 Mitsubishi Chemical Corporation 電解液とこれを用いた酸化物皮膜の形成方法、積層体及びその製造方法、並びに金属酸化物膜
JP2012028753A (ja) * 2010-06-24 2012-02-09 Nof Corp 電解コンデンサ用電解液
WO2016143535A1 (ja) * 2015-03-11 2016-09-15 三洋化成工業株式会社 アルミニウム電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いたアルミニウム電解コンデンサ
JP2017069549A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 三洋化成工業株式会社 ハイブリッド型電解コンデンサ用電解液
JP2017103449A (ja) * 2015-11-25 2017-06-08 三洋化成工業株式会社 電解コンデンサ用電解液

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1070044A (ja) * 1996-08-27 1998-03-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電解コンデンサ駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ
JPH10106892A (ja) * 1996-09-30 1998-04-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電解コンデンサ駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ
WO2006040939A1 (ja) * 2004-10-12 2006-04-20 Mitsubishi Chemical Corporation 電解液とこれを用いた酸化物皮膜の形成方法、積層体及びその製造方法、並びに金属酸化物膜
US7906004B2 (en) 2004-10-12 2011-03-15 Mitsubishi Chemical Corporation Method of forming oxide film by anodically oxidizing in an electrolyte solution
JP2012028753A (ja) * 2010-06-24 2012-02-09 Nof Corp 電解コンデンサ用電解液
WO2016143535A1 (ja) * 2015-03-11 2016-09-15 三洋化成工業株式会社 アルミニウム電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いたアルミニウム電解コンデンサ
JPWO2016143535A1 (ja) * 2015-03-11 2017-04-27 三洋化成工業株式会社 アルミニウム電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いたアルミニウム電解コンデンサ
JP2019134179A (ja) * 2015-03-11 2019-08-08 三洋化成工業株式会社 アルミニウム電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いたアルミニウム電解コンデンサ
US10607786B2 (en) 2015-03-11 2020-03-31 Sanyo Chemical Industries, Ltd. Electrolytic solution for aluminum electrolytic capacitor and aluminum electrolytic capacitor using same
JP2017069549A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 三洋化成工業株式会社 ハイブリッド型電解コンデンサ用電解液
JP2019091924A (ja) * 2015-09-30 2019-06-13 三洋化成工業株式会社 ハイブリッド型電解コンデンサ用電解液
JP2017103449A (ja) * 2015-11-25 2017-06-08 三洋化成工業株式会社 電解コンデンサ用電解液

Also Published As

Publication number Publication date
JP3070813B2 (ja) 2000-07-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
USRE48905E1 (en) Electrolytes for capacitors
US5507966A (en) Electrolyte for an electrolytic capacitor
US20040218347A1 (en) Flame-retardant electrolyte solution for electrochemical double-layer capacitors
JP3210316B2 (ja) 極高庄アルミニウム電解コンデンサ用長鎖カルボン酸
JP3070813B2 (ja) 電解コンデンサ駆動用電解質
US5485346A (en) Electrolyte for driving electrolytic capacitor and the electrolytic capacitor
EP0538615B1 (en) Method for the production of an electrolytic capacitor
US20050117276A1 (en) Electrolytes for high voltage electrolytic capacitors
EP0696037B1 (en) Solid electrolyte capacitor having conductive polymer compounds as solid electrolyte and method of manufacturing the same
US7485240B1 (en) Electrolyte for high voltage electrolytic capacitors
US4373177A (en) High temperature electrolytic capacitor
JPS60189920A (ja) アルミニウム電解コンデンサ
EP0391333A2 (en) Electrolyte for driving electrolytic capacitors and capacitor using the same
JP3552930B2 (ja) 電解コンデンサ
EP0684619B1 (en) Ion-conductive polymer electrolyte and electrolytic capacitor using the same
JP3269146B2 (ja) イオン伝導性高分子電解質
US7268996B1 (en) Electrolyte for very high voltage electrolytic capacitors
EP0054989B1 (en) Electrolytic capacitor
JPH0347726B2 (ja)
EP0956573B1 (en) Electrolyte for electrolytic capacitor
JP3254702B2 (ja) 電解コンデンサおよびその製造法
US4428028A (en) Electrolytic capacitor
US4381536A (en) Low voltage electrolytic capacitor
JP2730389B2 (ja) 電解コンデンサ
JP2665243B2 (ja) 電解コンデンサ用電解液

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees