JPH06207251A - 磁性材料及びその製造方法 - Google Patents
磁性材料及びその製造方法Info
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- JPH06207251A JPH06207251A JP116393A JP116393A JPH06207251A JP H06207251 A JPH06207251 A JP H06207251A JP 116393 A JP116393 A JP 116393A JP 116393 A JP116393 A JP 116393A JP H06207251 A JPH06207251 A JP H06207251A
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- thickness
- alloy
- magnetic material
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、高磁束密度で低磁心損失のFe−
Co薄帯とその製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 5wt%以上、20wt%以下のCoを含有する
Fe−Co合金薄帯にて、(200)面が薄帯板面に平
行な結晶粒の割合を70%以上にすることにより、高磁
束密度で低磁心損失の磁性材料を得ることができる。こ
れは、冷間圧延により薄帯の厚さを100μm以下とな
し、γ/α変態温度以下の温度で再結晶させることによ
り可能である。
Co薄帯とその製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 5wt%以上、20wt%以下のCoを含有する
Fe−Co合金薄帯にて、(200)面が薄帯板面に平
行な結晶粒の割合を70%以上にすることにより、高磁
束密度で低磁心損失の磁性材料を得ることができる。こ
れは、冷間圧延により薄帯の厚さを100μm以下とな
し、γ/α変態温度以下の温度で再結晶させることによ
り可能である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、モータ及び電源用各種
磁性部品の磁心に適した高磁束密度でかつ低磁心損失の
磁性材料とその製造方法に関する。
磁性部品の磁心に適した高磁束密度でかつ低磁心損失の
磁性材料とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気機器の小型化、高効率化、省エネル
ギー化が進むなかで、磁束密度のより高い磁心材料の要
求が高まっている。純Feよりも飽和磁化の高い材料
は、Fe−Co系において実現可能である。理論的にも
実験的にも最も飽和磁化の高いのはFe−30at%Co
の組成であるが、実用化されているのは透磁率の高い5
0at%Co付近の合金(パーメンジュールと呼ばれてい
る合金)である。Feの一部をCoで置換すると、Co
の量が多くなるに従い、磁歪定数は単調に大きくなる。
一方、異方性定数は、Coの量が多くなるに従って減少
し、40at%の組成で零になる。以上のことは、「磁性
体ハンドブック」(朝倉書店、1975、編集者:近角
ら)にて知ることができる。したがって、Coが40at
%以下の合金は、磁歪が大きく異方性も大きいために、
磁心損失が大きく実用にいたっていない。しかるに、パ
ーメンジュールはCo含有量が多く、加工が困難な上に
材料コストが高く、汎用にならないという問題があっ
た。
ギー化が進むなかで、磁束密度のより高い磁心材料の要
求が高まっている。純Feよりも飽和磁化の高い材料
は、Fe−Co系において実現可能である。理論的にも
実験的にも最も飽和磁化の高いのはFe−30at%Co
の組成であるが、実用化されているのは透磁率の高い5
0at%Co付近の合金(パーメンジュールと呼ばれてい
る合金)である。Feの一部をCoで置換すると、Co
の量が多くなるに従い、磁歪定数は単調に大きくなる。
一方、異方性定数は、Coの量が多くなるに従って減少
し、40at%の組成で零になる。以上のことは、「磁性
体ハンドブック」(朝倉書店、1975、編集者:近角
ら)にて知ることができる。したがって、Coが40at
%以下の合金は、磁歪が大きく異方性も大きいために、
磁心損失が大きく実用にいたっていない。しかるに、パ
ーメンジュールはCo含有量が多く、加工が困難な上に
材料コストが高く、汎用にならないという問題があっ
た。
【0003】一方、純Feの飽和磁化は2.15Tであ
るが、透磁率が低いために低磁場下での磁束密度はそれ
ほど高くないのが現状である。本発明者らの測定による
と、直流磁場50Oeにおける磁束密度(B50(D
C))は純Feで1.8Tであり、実用の無方向性珪素
鋼板の値1.6〜1.7Tに比較してそれほど高くな
い。FeにCoを添加すると飽和磁化は上がるが、磁歪
が増えるためにさらに透磁率が下がる。そのために、実
用的に重要な低磁場下での磁束密度は、Co添加により
必ずしも高い値は得られない。また、透磁率の低下によ
り、低Co濃度のFe−Co合金においては磁心損失が
大きくなり、実用に供することができないのが従来予想
される所であった。
るが、透磁率が低いために低磁場下での磁束密度はそれ
ほど高くないのが現状である。本発明者らの測定による
と、直流磁場50Oeにおける磁束密度(B50(D
C))は純Feで1.8Tであり、実用の無方向性珪素
鋼板の値1.6〜1.7Tに比較してそれほど高くな
い。FeにCoを添加すると飽和磁化は上がるが、磁歪
が増えるためにさらに透磁率が下がる。そのために、実
用的に重要な低磁場下での磁束密度は、Co添加により
必ずしも高い値は得られない。また、透磁率の低下によ
り、低Co濃度のFe−Co合金においては磁心損失が
大きくなり、実用に供することができないのが従来予想
される所であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低Co含有
量の成分で、高磁束密度で低磁心損失の磁性材料を提供
することを目的とする。
量の成分で、高磁束密度で低磁心損失の磁性材料を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、FeとCoか
らなる合金薄帯において、Coの含有量が重量百分率で
5wt%以上、20wt%以下であり、薄帯を構成する結晶
粒の70%以上の結晶粒が、その(200)面を薄帯板
面に平行に有することを特徴とする磁性材料である。こ
の材料は、薄帯の厚さが10μm以上、100μm以下
の場合に特に(200)面が薄帯板面に平行に成りやす
く、高磁束密度と低磁心損失を合わせ持つことができ
る。
らなる合金薄帯において、Coの含有量が重量百分率で
5wt%以上、20wt%以下であり、薄帯を構成する結晶
粒の70%以上の結晶粒が、その(200)面を薄帯板
面に平行に有することを特徴とする磁性材料である。こ
の材料は、薄帯の厚さが10μm以上、100μm以下
の場合に特に(200)面が薄帯板面に平行に成りやす
く、高磁束密度と低磁心損失を合わせ持つことができ
る。
【0006】本発明の磁性材料の製造方法は、Coの含
有量が重量百分率で5wt%以上、20wt%以下であるF
e−Co合金板に、圧延率で90%以上の冷間圧延を施
して薄帯となし、γ/α変態点以下の温度で再結晶させ
ることを特徴とする。再結晶により、薄帯板面に平行に
(200)面を持つ結晶粒を得ることができるが、これ
は、薄帯の厚さが10μm以上、100μm以下で、再
結晶のための焼鈍を真空下で行う場合に得られやすい。
有量が重量百分率で5wt%以上、20wt%以下であるF
e−Co合金板に、圧延率で90%以上の冷間圧延を施
して薄帯となし、γ/α変態点以下の温度で再結晶させ
ることを特徴とする。再結晶により、薄帯板面に平行に
(200)面を持つ結晶粒を得ることができるが、これ
は、薄帯の厚さが10μm以上、100μm以下で、再
結晶のための焼鈍を真空下で行う場合に得られやすい。
【0007】
【作用】磁心損失としては、ヒステリシス損失と渦電流
損失がある。渦電流損失は板厚が小さいほど小さい。F
e−Co合金では、渦電流損失がCo量に大きく依存す
ることはない。関係するのはヒステリシス損失である。
Co含有量が多くなると、磁歪が増大し、その結果ヒス
テリシス損失が大きくなる。珪素鋼板の研究で、板厚減
少に伴い、磁歪が低下することが知られている(田口
悟、日本金属学会誌第49巻、(1985)899−9
06)。又、(110)〔001〕Fe−Si単結晶板
を用いた実験では、〔001〕方位が表面に対して傾く
と、磁歪が大きくなることが知られている(山口俊尚、
武田薫、応用磁気学会誌Vol.12、(1988)14−1
8)。これらのことをFe−Co合金に当てはめると、
板厚を薄くして薄帯となし、(200)面が薄帯板面に
平行になるようにすれば、磁歪起因のヒステリシス損失
を下げることができる。本発明は、以上の発想に基づ
き、それを独自の手法により実現したものである。
損失がある。渦電流損失は板厚が小さいほど小さい。F
e−Co合金では、渦電流損失がCo量に大きく依存す
ることはない。関係するのはヒステリシス損失である。
Co含有量が多くなると、磁歪が増大し、その結果ヒス
テリシス損失が大きくなる。珪素鋼板の研究で、板厚減
少に伴い、磁歪が低下することが知られている(田口
悟、日本金属学会誌第49巻、(1985)899−9
06)。又、(110)〔001〕Fe−Si単結晶板
を用いた実験では、〔001〕方位が表面に対して傾く
と、磁歪が大きくなることが知られている(山口俊尚、
武田薫、応用磁気学会誌Vol.12、(1988)14−1
8)。これらのことをFe−Co合金に当てはめると、
板厚を薄くして薄帯となし、(200)面が薄帯板面に
平行になるようにすれば、磁歪起因のヒステリシス損失
を下げることができる。本発明は、以上の発想に基づ
き、それを独自の手法により実現したものである。
【0008】本発明者は、Fe−Co合金の冷間圧延薄
帯をγ/α変態点よりも低い温度で焼鈍することによ
り、(200)面を薄帯板面に平行に持つ結晶粒((2
00)結晶粒)が数多く得られることを見いだしたので
ある。この(200)結晶粒は、純Feにおいては得難
く、Coの添加効果によるところが大きい。本発明者ら
は、全結晶粒に占める(200)結晶粒の割合が増える
ほど磁心損失が小さくなることを確認し、本発明を完成
した。
帯をγ/α変態点よりも低い温度で焼鈍することによ
り、(200)面を薄帯板面に平行に持つ結晶粒((2
00)結晶粒)が数多く得られることを見いだしたので
ある。この(200)結晶粒は、純Feにおいては得難
く、Coの添加効果によるところが大きい。本発明者ら
は、全結晶粒に占める(200)結晶粒の割合が増える
ほど磁心損失が小さくなることを確認し、本発明を完成
した。
【0009】以下、本発明について詳細に述べる。Fe
−Co合金薄帯において、実用珪素鋼板並みの磁心損失
を実現するには、(200)結晶粒の割合を70%以上
にしなければならない。例えば、W15/50(周波数50H
zの交流磁場下、最大磁束密度が1.5Tの時の損失)
で3W/kgが実用の無方向性珪素鋼板の磁心損失であ
る。70%以上の(200)結晶粒を実現するには、C
oの含有量を重量百分率で5wt%以上にする必要があ
る。Coの含有量が20wt%を越えると、磁歪の効果が
大きいために低磁心損失を得ることができない。したが
って、本発明の組成の範囲は5wt%以上、20wt%以下
とした。50Hzの交流磁場下20Oeで測定下した磁束
密度B20(AC)の値は、10wt%Co前後の組成で最
大値を取り、純Feの値よりも5〜10%高い値(1.
62〜1.67T)を示した。直流磁場50Oeにおけ
るB50(DC)は、10wt%Co合金では1.9Tの値
を示した。この値は、純Feの1.8T、実用の無方向
性珪素鋼板の1.6〜1.7Tに比較して格段に高い値
である。
−Co合金薄帯において、実用珪素鋼板並みの磁心損失
を実現するには、(200)結晶粒の割合を70%以上
にしなければならない。例えば、W15/50(周波数50H
zの交流磁場下、最大磁束密度が1.5Tの時の損失)
で3W/kgが実用の無方向性珪素鋼板の磁心損失であ
る。70%以上の(200)結晶粒を実現するには、C
oの含有量を重量百分率で5wt%以上にする必要があ
る。Coの含有量が20wt%を越えると、磁歪の効果が
大きいために低磁心損失を得ることができない。したが
って、本発明の組成の範囲は5wt%以上、20wt%以下
とした。50Hzの交流磁場下20Oeで測定下した磁束
密度B20(AC)の値は、10wt%Co前後の組成で最
大値を取り、純Feの値よりも5〜10%高い値(1.
62〜1.67T)を示した。直流磁場50Oeにおけ
るB50(DC)は、10wt%Co合金では1.9Tの値
を示した。この値は、純Feの1.8T、実用の無方向
性珪素鋼板の1.6〜1.7Tに比較して格段に高い値
である。
【0010】組成としては、この他、Coの効果を損な
わない範囲(3wt%以下)でSi又はAlをさらなる低
損失化のために加えることが可能である。合金薄帯の作
製に際しては、まず、真空溶解等の通常の鋳造法でイン
ゴットを作製し、熱間圧延により厚さ1〜10mmの熱延
板となす。ついで、冷間圧延を行い、所望の厚さの冷延
板となす。ここで、Fe−Co合金薄帯において、再結
晶後に(200)結晶粒を数多く得るためには、冷間で
強圧延しなければならない。その時の圧延率(板厚減少
分/元厚x100)は90%以上である必要がある。ま
た、その(200)結晶粒は、薄帯の厚さが薄いほど出
やすい。本発明では、薄帯の厚さは10μm以上、10
0μm以下に限定する。なぜならば、10μm未満の薄
帯は圧延によっては得難く、100μm超の薄帯では十
分な量の(200)結晶粒を得ることができないからで
ある。
わない範囲(3wt%以下)でSi又はAlをさらなる低
損失化のために加えることが可能である。合金薄帯の作
製に際しては、まず、真空溶解等の通常の鋳造法でイン
ゴットを作製し、熱間圧延により厚さ1〜10mmの熱延
板となす。ついで、冷間圧延を行い、所望の厚さの冷延
板となす。ここで、Fe−Co合金薄帯において、再結
晶後に(200)結晶粒を数多く得るためには、冷間で
強圧延しなければならない。その時の圧延率(板厚減少
分/元厚x100)は90%以上である必要がある。ま
た、その(200)結晶粒は、薄帯の厚さが薄いほど出
やすい。本発明では、薄帯の厚さは10μm以上、10
0μm以下に限定する。なぜならば、10μm未満の薄
帯は圧延によっては得難く、100μm超の薄帯では十
分な量の(200)結晶粒を得ることができないからで
ある。
【0011】さて、純Fe及びFe−Co合金を冷間で
強圧延した状態では、(200)面と(211)面とが
圧延面に平行になる混合方位状態である。この方位の圧
延薄帯を焼鈍すると、純Feでは、(211)、(20
0)及び(110)の二つ又は三つの面が板面に平行に
なる混合方位状態となり、(200)結晶粒のみからな
る薄帯を得ることができない。一方、Fe−Co合金で
は、γ/α変態点直下の温度の焼鈍によりほぼ(20
0)結晶粒のみからなる薄帯を得ることができる。変態
点より高い温度の焼鈍では、Fe−Co合金薄帯におい
ても混合方位状態となる。よって、本発明のFe−Co
合金薄帯の再結晶焼鈍温度はγ/α変態点以下とする。
γ/α変態点はCo含有量の増加に従い上昇し、Fe−
5wt%Coで910℃、Fe−20wt%Coで940℃
である。焼鈍温度の下限は特に限定しないが、再結晶に
要する時間を考慮すると400℃が下限になる。焼鈍時
間は、熱処理温度によって異なるが、800〜900℃
の温度範囲では1〜10時間程度が好適である。昇温速
度と降温速度は特に限定しないが、共に5〜50℃/分
が好適である。焼鈍雰囲気は非酸化性雰囲気で行うが、
10-3から10-6torrの真空下で焼鈍を行うと(20
0)結晶粒を得やすい。
強圧延した状態では、(200)面と(211)面とが
圧延面に平行になる混合方位状態である。この方位の圧
延薄帯を焼鈍すると、純Feでは、(211)、(20
0)及び(110)の二つ又は三つの面が板面に平行に
なる混合方位状態となり、(200)結晶粒のみからな
る薄帯を得ることができない。一方、Fe−Co合金で
は、γ/α変態点直下の温度の焼鈍によりほぼ(20
0)結晶粒のみからなる薄帯を得ることができる。変態
点より高い温度の焼鈍では、Fe−Co合金薄帯におい
ても混合方位状態となる。よって、本発明のFe−Co
合金薄帯の再結晶焼鈍温度はγ/α変態点以下とする。
γ/α変態点はCo含有量の増加に従い上昇し、Fe−
5wt%Coで910℃、Fe−20wt%Coで940℃
である。焼鈍温度の下限は特に限定しないが、再結晶に
要する時間を考慮すると400℃が下限になる。焼鈍時
間は、熱処理温度によって異なるが、800〜900℃
の温度範囲では1〜10時間程度が好適である。昇温速
度と降温速度は特に限定しないが、共に5〜50℃/分
が好適である。焼鈍雰囲気は非酸化性雰囲気で行うが、
10-3から10-6torrの真空下で焼鈍を行うと(20
0)結晶粒を得やすい。
【0012】
実施例1 真空溶解により純FeとCo含有量の異なるFe−Co
合金のインゴットを作製し、熱間圧延により厚さ3mmの
熱延板を得た。熱延板の表面の酸化層を除去後に冷間圧
延を施し、厚さ30μmの薄帯を得た。その薄帯に、8
00〜1000℃の温度範囲にて、各温度で7時間、真
空中にて焼鈍を施した。焼鈍を行った試料について、X
線回折のθ−2θ法により、薄帯板面に平行な面からの
X線回折の強度プロファイルを得た。
合金のインゴットを作製し、熱間圧延により厚さ3mmの
熱延板を得た。熱延板の表面の酸化層を除去後に冷間圧
延を施し、厚さ30μmの薄帯を得た。その薄帯に、8
00〜1000℃の温度範囲にて、各温度で7時間、真
空中にて焼鈍を施した。焼鈍を行った試料について、X
線回折のθ−2θ法により、薄帯板面に平行な面からの
X線回折の強度プロファイルを得た。
【0013】図1に、純FeとFe−10wt%Coにつ
いての結果を示す。図に示すように、純Feでは(20
0)、(211)、(110)反射の二つ又は三つの混
合状態であり、(200)反射のみの状態は得られな
い。一方、Fe−10wt%Coでは、γ/α変態点(9
20℃)より低い温度で熱処理を行うことにより、ほと
んど(200)反射のみからなる状態を得ることができ
た。光学顕微鏡による観察結果から、例えば880℃で
再結晶させたFe−10%Co薄帯の結晶粒の大きさは
50〜100μmで、板厚(30μm)よりも大きく、
結晶粒は板厚を貫通していた。したがって、この薄帯を
構成する結晶粒の(200)面はほとんどすべてが圧延
面に平行になっていると言える。
いての結果を示す。図に示すように、純Feでは(20
0)、(211)、(110)反射の二つ又は三つの混
合状態であり、(200)反射のみの状態は得られな
い。一方、Fe−10wt%Coでは、γ/α変態点(9
20℃)より低い温度で熱処理を行うことにより、ほと
んど(200)反射のみからなる状態を得ることができ
た。光学顕微鏡による観察結果から、例えば880℃で
再結晶させたFe−10%Co薄帯の結晶粒の大きさは
50〜100μmで、板厚(30μm)よりも大きく、
結晶粒は板厚を貫通していた。したがって、この薄帯を
構成する結晶粒の(200)面はほとんどすべてが圧延
面に平行になっていると言える。
【0014】(200)面を薄帯板面に平行に持つ結晶
粒((200)結晶粒)の割合をX線回折強度の比から
算出した。その結果を図2に、純Feと各Co濃度の合
金について、用いた薄帯の厚さに対して示した。70%
以上の(200)結晶粒を得るには、Co含有量を5wt
%以上となし、薄帯の厚さを100μm以下とする必要
がある。
粒((200)結晶粒)の割合をX線回折強度の比から
算出した。その結果を図2に、純Feと各Co濃度の合
金について、用いた薄帯の厚さに対して示した。70%
以上の(200)結晶粒を得るには、Co含有量を5wt
%以上となし、薄帯の厚さを100μm以下とする必要
がある。
【0015】実施例2 実施例1と同様の方法でCo含有量の異なるFe−Co
合金薄帯(厚さ:30μm)を作製した。それぞれの薄
帯につき、真空中で、γ/α変態点より高い温度(98
0℃)と低い温度(880℃)で7時間の熱処理を施し
た後に磁気測定を行った。図3に、50Hzの交流磁場下
で測定した磁場20Oeにおける磁束密度(B20(A
C))、保磁力(HC ) 、最大磁束密度が1.5Tの時
の磁心損失(W15/50 )を示した。B20(AC)は、C
o量が10wt%の時に最大となる。Co濃度を5wt%以
上にすると、880℃焼鈍材の保磁力及び磁心損失は9
80℃焼鈍材のそれよりも低くなる。これは、γ/α変
態点より低い温度(880℃)で再結晶させることによ
り、大部分の結晶粒が(200)結晶粒になるためであ
る。
合金薄帯(厚さ:30μm)を作製した。それぞれの薄
帯につき、真空中で、γ/α変態点より高い温度(98
0℃)と低い温度(880℃)で7時間の熱処理を施し
た後に磁気測定を行った。図3に、50Hzの交流磁場下
で測定した磁場20Oeにおける磁束密度(B20(A
C))、保磁力(HC ) 、最大磁束密度が1.5Tの時
の磁心損失(W15/50 )を示した。B20(AC)は、C
o量が10wt%の時に最大となる。Co濃度を5wt%以
上にすると、880℃焼鈍材の保磁力及び磁心損失は9
80℃焼鈍材のそれよりも低くなる。これは、γ/α変
態点より低い温度(880℃)で再結晶させることによ
り、大部分の結晶粒が(200)結晶粒になるためであ
る。
【0016】表1には、純FeとFe−10wt%Coの
厚さ30μmの薄帯(880℃焼鈍材)について、磁心
損失と磁束密度の値を示した。交流磁場下でのB20(A
C)、直流磁場下でのB20(DC)、B50(DC)のい
づれにても、Fe−10wt%Coの薄帯は純Feより高
い値を示し、磁心損失としても低い値が得られた。
厚さ30μmの薄帯(880℃焼鈍材)について、磁心
損失と磁束密度の値を示した。交流磁場下でのB20(A
C)、直流磁場下でのB20(DC)、B50(DC)のい
づれにても、Fe−10wt%Coの薄帯は純Feより高
い値を示し、磁心損失としても低い値が得られた。
【0017】
【表1】
【0018】実施例3 実施例1と同様の方法でFeとFe−10wt%Co合金
の熱延板を作製し、引き続く冷間圧延で圧延率を変える
ことにより200μmまでの種々の厚さの薄帯を作製し
た。その薄帯に880℃で7時間の熱処理を施した。図
4に、磁気特性の薄帯厚依存性を示す。磁束密度B
20(AC)は、純Feに比べて0.08から0.15T
高く、1.62〜1.67Tが得られている。また、磁
心損失もFe−10wt%Co合金の方が小さいが、板厚
が小さいほど純Feとの差が大きい。
の熱延板を作製し、引き続く冷間圧延で圧延率を変える
ことにより200μmまでの種々の厚さの薄帯を作製し
た。その薄帯に880℃で7時間の熱処理を施した。図
4に、磁気特性の薄帯厚依存性を示す。磁束密度B
20(AC)は、純Feに比べて0.08から0.15T
高く、1.62〜1.67Tが得られている。また、磁
心損失もFe−10wt%Co合金の方が小さいが、板厚
が小さいほど純Feとの差が大きい。
【0019】実施例4 実施例1と同様の方法でFe−10wt%Co合金の熱延
板を作製し、引き続く冷間圧延で厚さ50μmの薄帯を
作製した。その薄帯に700〜900℃で1〜20時間
の熱処理を施し、(200)結晶粒の割合の異なる試料
を作製した。表2に、測定して求めた(200)結晶粒
の割合と磁心損失の関係について示す。(200)結晶
粒の割合が70%以上の時に、W15/50 で3W/kg以下
の磁心損失が得られている。
板を作製し、引き続く冷間圧延で厚さ50μmの薄帯を
作製した。その薄帯に700〜900℃で1〜20時間
の熱処理を施し、(200)結晶粒の割合の異なる試料
を作製した。表2に、測定して求めた(200)結晶粒
の割合と磁心損失の関係について示す。(200)結晶
粒の割合が70%以上の時に、W15/50 で3W/kg以下
の磁心損失が得られている。
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】本発明により、高価な高Co濃度合金
(パーメンジュール)を用いること無く、低コストの低
Co濃度のFe−Co合金で、高磁束密度でかつ低磁心
損失の薄帯の提供が可能になった。本発明の磁性材料
は、Co濃度が低いために延性に富み、容易に薄帯とす
ることができる。パーメンジュールの場合は、硬度が高
いために圧延によって得られる厚さに限界があるばかり
か、通常薄帯を作製するにおいても多大なコストを要す
る。
(パーメンジュール)を用いること無く、低コストの低
Co濃度のFe−Co合金で、高磁束密度でかつ低磁心
損失の薄帯の提供が可能になった。本発明の磁性材料
は、Co濃度が低いために延性に富み、容易に薄帯とす
ることができる。パーメンジュールの場合は、硬度が高
いために圧延によって得られる厚さに限界があるばかり
か、通常薄帯を作製するにおいても多大なコストを要す
る。
【0022】本発明の薄帯は、巻き鉄心となし、各種電
源用部品として使用可能であり、また、積み鉄心として
モータ用のコアとして用いることができる。いずれの場
合にも高磁束密度で低磁心損失の特徴を活かし、機器の
小型化を可能にする。
源用部品として使用可能であり、また、積み鉄心として
モータ用のコアとして用いることができる。いずれの場
合にも高磁束密度で低磁心損失の特徴を活かし、機器の
小型化を可能にする。
【図1】純Fe(a)とFe−10wt%Co(b)の圧
延薄帯(厚さ30μm)の焼鈍材から得たX線回折強度
のプロファイルを示す図である。
延薄帯(厚さ30μm)の焼鈍材から得たX線回折強度
のプロファイルを示す図である。
【図2】X線回折強度から算出した(200)結晶粒の
割合の薄帯厚依存性を示す図である。
割合の薄帯厚依存性を示す図である。
【図3】各Co濃度の合金薄帯(厚さ30μm)の磁気
特性を、γ/α変態点よりも高い温度(980℃)と低
い温度(880℃)で焼鈍した場合について示す図であ
る。
特性を、γ/α変態点よりも高い温度(980℃)と低
い温度(880℃)で焼鈍した場合について示す図であ
る。
【図4】880℃で焼鈍した純FeとFe−10wt%C
oの圧延薄帯の磁気特性の板厚依存性を示す図である。
oの圧延薄帯の磁気特性の板厚依存性を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 FeとCoからなる合金薄帯において、
Coの含有量が重量百分率で5wt%以上、20wt%以下
であり、薄帯を構成する結晶粒の70%以上の結晶粒
が、その(200)面を薄帯板面に平行に有することを
特徴とする磁性材料。 - 【請求項2】 薄帯の厚さが10μm以上、100μm
以下である請求項1記載の磁性材料。 - 【請求項3】 Coの含有量が重量百分率で5wt%以
上、20wt%以下であるFe−Co合金板に、圧延率で
90%以上の冷間圧延を施して薄帯となし、γ/α変態
点以下の温度で再結晶させることを特徴とする磁性材料
の製造方法。 - 【請求項4】 薄帯の厚さが10μm以上、100μm
以下である請求項3記載の磁性材料の製造方法。 - 【請求項5】 真空雰囲気下で再結晶させる請求項3ま
たは4記載の磁性材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP116393A JPH06207251A (ja) | 1993-01-07 | 1993-01-07 | 磁性材料及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP116393A JPH06207251A (ja) | 1993-01-07 | 1993-01-07 | 磁性材料及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06207251A true JPH06207251A (ja) | 1994-07-26 |
Family
ID=11493777
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP116393A Withdrawn JPH06207251A (ja) | 1993-01-07 | 1993-01-07 | 磁性材料及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06207251A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007281017A (ja) * | 2006-04-03 | 2007-10-25 | Jeol Ltd | 軟磁性材料及び軟磁性材料の製造方法 |
EP2495345A4 (en) * | 2009-10-28 | 2017-07-26 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Ferrous metal sheet and manufacturing method therefor |
-
1993
- 1993-01-07 JP JP116393A patent/JPH06207251A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007281017A (ja) * | 2006-04-03 | 2007-10-25 | Jeol Ltd | 軟磁性材料及び軟磁性材料の製造方法 |
EP2495345A4 (en) * | 2009-10-28 | 2017-07-26 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Ferrous metal sheet and manufacturing method therefor |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000307 |