JPH0620474Y2 - 便 座 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、便座の改良に関するものである。

（従来技術及びその課題） 従来、便器本体の上面側には開閉可能に便座が設置され
ており、通常この便座と便器本体間には隙間が形成され
ているため、この隙間から小水や洗浄水が外部に飛散す
ることがあり、そのような問題点を解決するために、実
公昭６３−１９１４号公報に記載されているように、便
器本体方向に垂下状の舌部を設けた便座が考案されてい
る。しかし、このような舌部を向けた便座においては形
状が複雑であるため製作が困難であるとともに、見栄え
性が悪い等の問題点があった。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記従来の問題点に鑑み案出したものであっ
て、見栄え性が良好でかつ小水等の外部への飛散を良好
に防止することができ、しかも脱臭効率等を良好に向上
させることのできる便座を提供せんことを目的とし、そ
の要旨は、便器本体の上面側に開閉可能に載置される下
面に脚部を備えた便座であって、該便座は、前記脚部が
便器本体の上面側に当接した状態において、鉢部側の便
座の内縁部と便器本体の上面はほぼ当接状態となり、外
側の外縁部と便器本体の上面間には指が挿入可能な隙間
が形成される傾斜状断面に形成されていることである。

（作用） 本考案の便座は、その断面形状が便器本体の鉢部側へ下
傾した形状とされているため、便座の内縁部が便器本体
とほぼ当接した位置となり、便器本体と便座間に殆ど隙
間がない状態とすることができ、便器本体の鉢部側より
外部に飛散する小水，洗浄水等を良好に防止することが
できるとともに、便器に脱臭機能が備えられている場合
には、便器本体と便座間からの空気の吸引を無くし、良
好に鉢部内の悪臭を脱臭ファン等により吸い出すことが
でき、良好な脱臭機能を発揮させることができる。又、
便座の外縁部と便器本体との間には相当の隙間が形成さ
れるため、この隙間内に手を差し入れて良好に便座を開
閉操作することができる。さらに便座内に水等が侵入し
た時には傾斜面に沿って良好に水等を排出させることが
でき、安全性等を向上させ得ることができ、又、意匠的
にもスッキリとした外観の便座とすることができる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は第２図に外観斜視図で示す便器のＡ−Ａ線要部
断面図であり、便器本体１には汚物が落下する鉢部１ａ
が形成されているとともに、便器本体１の上面側には鉢
部１ａの上端開口の周縁位置に便座２及び便蓋３が配置
され、この便座２及び便蓋３は後方側のボックス４に開
閉可能に支持されている。又、便器本体１の後部には洗
浄水を貯留可能なロータンク５が立設されている。

本例においては、前記便座２が第１図で示すように断面
下傾状に形成されており、便座２の前記鉢部１ａ側の内
縁部２ａが便器本体１の上面に近接した位置に配置さ
れ、便器本体１とこの便座２の内縁部２ａ間の距離ａは
ほぼゼロに近い状態となっている。一方、便座２の外縁
部２ｂは上傾されており、便器本体１とこの外縁部２ｂ
間の距離ｂは相当広く容易に指が挿入可能な寸法となっ
ている。又、本例では便座２の断面形状は中空半円弧形
状に形成されたものである。又、図中２ｃは便座２の底
面部に配置された脚部である。

このように本例においては便座２の内縁部２ａが鉢部１
ａ側に下傾した形状に形成されており、前記脚部２ｃが
便器本体１の上面側に当接した状態にあっては、前記内
縁部２ａと便器本体１間は殆ど隙間がない状態となり、
用便者が便座２上に着座した時に、用便者の尻部の重み
により便座２が僅かに沈み、前記便座２の内縁部２ａは
略便器本体１と当接状態となり、さらに便座２は鉢部１
ａ側に傾斜しているため、用便者の尻部重心は自ずと鉢
部１ａ側に移動し、用便者の体重が便座２の内縁部２ａ
側に集中して掛かるため、内縁部２ａは便器本体１の上
面と強く当接し、便器本体１の上面周縁部は便座２と用
便者の尻等により密閉された状態となる。そのため、小
水等は便器本体１と便座２に隙間がないため外部に飛散
することがなく便器周辺が汚されることがない。同様に
便器本体内の洗浄水が外部に飛散することも良好に防止
される。

又、例えば第３図のように前記ボックス４内に吸引ファ
ン６とダクト７が配設された脱臭機能を備えた便器にお
いて、第４図に示すように用便時には用便者は足を広げ
て用を足す場合が多く、この時に両脚の股間が広がり両
脚間に股間空間Ｓが形成されて、この股間空間Ｓと鉢部
１ａが連通状態となり、この股間空間Ｓのみが外部に開
放された状態となるが、従来の便器においては、便器本
体と便座間に隙間が生じているため、吸引ファンが作動
した時に側方側より鉢部１ａ内に空気が吸い込まれて脱
臭効率が低下し、結局悪臭がこの股間空間Ｓから上方に
立ち上り、用便者に不快感を生じさせていたが、本例に
おいては便座２の内縁部２ａが便器本体１に当接状とな
るため側方からの空気の吸引はなく、吸引ファン６の作
動時には股間空間Ｓのみから外気が鉢部１ａ内に吸引さ
れることとなり、この吸引作用により鉢部１ａ内の悪臭
が上方に立ち上がることが防がれて、用便者の顔面方向
に悪臭が立ち上がることがない。しかも第３図に示すよ
うに、股間空間Ｓから吸い込まれた空気は鉢部１ａ内で
空気の流れを発生させ、鉢部１ａ内の悪臭を良好に吸引
ファン６方向に導くため、脱臭効率が極めて良好化され
る。

このように本考案の便座２は内縁部２ａを下傾状に形成
させた構造により、小水等の飛散防止機能及び脱臭効率
の向上を良好に果たすことができ、しかも意匠的にシン
プルな形状を呈するため便器全体の美観の向上をも図る
ことができる。しかも、便座２の外縁部２ｂと便器本体
１間には相当の隙間が形成されるため、この隙間内に外
方より指を挿入して容易に便座２を持ち上げることがで
き、便座２の開閉操作を極めて容易に行ない得る効果が
ある。

さらに第５図に示すように、便座２の内部にヒータ８が
配線された暖房便座である場合等において、便座２の内
部に誤って水等が侵入した時にも、水等は便座２の底面
が下傾状に形成されているため、この傾斜面に沿って外
部に良好に排出され、便座内で水滴等によりヒータ８の
ショート等の事故が生ずることがない。

（考案の効果） 本考案の便座では、脚部が便器本体の上面側に当接した
状態にあっては、便座の内縁部と便器本体上面は当接状
態となり、用便者が便座上に着座した時に、用便者の重
みにより便座は僅かに沈み、さらに便座は便鉢側に傾斜
しているため、用便者の尻部重心は自ずと鉢部側に移動
し、用便者の体重が便座の内縁部側に集中して掛かり、
内縁部は便器本体の上面と強く当接して、便器本体の上
面周縁部は便座と用便者の尻により密閉された状態とな
り、このため小水等は便鉢側から外部に飛散することが
なく、便器周辺が汚されることがない。又、便器本体内
の洗浄水が外部に飛散することも良好に防止される。

又、脱臭機能を備えた便器においても、便器本体と便座
間に隙間が生じないため、吸引ファンが作動した時に便
器本体と便座間の側方より便鉢内に空気が吸い込まれて
脱臭効率が低下することがなく、側方側からの空気の吸
引はなく、空気は用便者の股空間からのみ吸引されて、
用便者の顔面方向に悪臭が立ち上がることがない。

又、便座の外縁部と便器本体間には指を挿入可能な隙間
が形成されるため、この隙間内に外方より指を挿入して
容易に便座を持ち上げて便座の開閉操作を容易に行なう
ことができる効果があり、さらに便座は傾斜状に形成さ
れており、意匠的にシンプルな形状を呈するため便器全
体の美観の向上をも図ることができる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示し、第１図は便器本体と便座と
の配置状態の要部断面図、第２図は便器の斜視構成図、
第３図は脱臭状態の側断面図、第４図は第３図の前方側
からの斜視図、第５図は暖房便座の平面断面図である。 １……便器本体、１ａ……鉢部 ２……便座、２ａ……内縁部 ２ｂ……外縁部、３……便蓋 ４……ボックス、Ｓ……股間空間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】便器本体１の上面側に開閉可能に載置され
   る下面に脚部２ｃを備えた便座２であって、該便座２
   は、前記脚部２ｃが便器本体１の上面側に当接した状態
   において、鉢部１ａ側の便座２の内縁部２ａと便器本体
   １の上面はほぼ当接状態となり、外側の外縁部２ｂと便
   器本体１の上面間には指が挿入可能な隙間が形成される
   傾斜状断面に形成されていることを特徴とする便座。