JPH0620247A - 磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 スライダのヘッド挿入溝７に磁気ヘッド素子
５を組み込むに際し、磁気ヘッド素子５の挿入方向前方
面とヘッド挿入溝７の底面を当接させることによってス
ライダと磁気ヘッド素子５の位置関係を調整する。 【効果】 スライダと磁気ヘッド素子の位置関係を容易
かつ正確に調整することができ、ギャップ位置の正確な
浮上型磁気ヘッドを効率良く製造することが可能であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ハードディスク等の磁
気記録媒体に対して記録再生を行う磁気ヘッドの製造方
法に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、ハードディスク等に対して記録
再生を行う磁気ヘッドは、ディスク面に対して微小間隙
を持って浮上走査させる必要があることから、スライダ
と磁気ヘッド素子とが一体構造とされた浮上型とされる
のが一般的である。

【０００３】すなわち、このような浮上型の磁気ヘッド
は、磁気ヘッド素子のギャップがハードディスク面に対
向するようにして、例えば、一端が自由端とされたヘッ
ドアームの先端に弾性変形可能とされたヘッド取付け板
を介して取付けられる。このようにして取付けられた磁
気ヘッドは、ハードディスクが回転すると、発生する空
気流をスライダのハードディスク面と対向する面，すな
わちエア・ベアリング・サーフェスに受けて走行方向前
方部が後方部よりも若干高位置となるような勾配をもっ
て浮上することとなる。

【０００４】この種の浮上型の磁気ヘッドとしては、ス
ライダを含めて全体がフェライト材等により一体形成さ
れたモノリシック型や、スライダにヘッド挿入溝を形成
し、この磁気ヘッド挿入溝に別途作製したバルク型の磁
気ヘッドを埋め込んだコンポジット型等があり、このう
ちコンポジット型の磁気ヘッドは、狭トラック化および
オフトラック特性に適することから汎用されている。

【０００５】ところで、浮上型の磁気ヘッドにおいて
は、上述の如く浮上した状態で若干の勾配を有すること
から、磁気ギャップとハードディスク面との間隔は磁気
ギャップがスライダ上のどの位置に配置されているかで
異なってくる。たとえば磁気ギャップが走行方向後方部
に位置する場合には上記間隔は狭くなり、走行方向前方
部に位置する場合には上記間隔は広くなりスペーシング
ロスが大きくなる。

【０００６】したがって、たとえば上記コンポジット型
の磁気ヘッドを作成するに際しては、磁気ギャップが正
確に規定位置にくるように磁気ヘッド素子とスライダの
位置関係を精密に調整することが重要となってくる。

【０００７】ここで、従来、コンポジット型の磁気ヘッ
ドを作成するに際しては、ヘッド挿入溝に磁気ヘッド素
子を挿入し、ヘッド挿入溝の挿入方向後方面とスライダ
のヘッド挿入溝形成面とが面一となったときに磁気ギャ
ップがスライダ上の規定位置にくるように磁気ヘッド素
子，スライダの各部分の寸法を設定する。そして、スラ
イダに磁気ヘッド素子を組み込むには、以下に示すよう
にヘッド挿入溝形成面を基準面として磁気ヘッド素子の
位置調整をしている。

【０００８】すなわち、まず、図９に示すように走行方
向に沿ってヘッド挿入溝３１とガラスセット溝３２が形
成されたスライダ３３と、磁気ギャップｇがスライダ上
の規定位置に対応して形成された磁気ヘッド素子３４を
準備する。上記磁気ヘッド素子３４はギャップ長方向
（挿入方向）の長さがヘッド挿入溝３１の深さよりも小
となり、トラック幅方向の長さがヘッド挿入溝３１の幅
よりも小となるように作製されている。

【０００９】この磁気ヘッド素子３４をスライダ３３に
組み込むには、トラック幅方向の一端面が挿入方向前方
面となるように磁気ヘッド素子３４を上記ヘッド挿入溝
３１に挿入する。そして、磁気ヘッド素子３４の挿入方
向後方面３４ａとスライダ３３のヘッド挿入溝形成面と
が面一となるように磁気ヘッド素子３４の入出を顕微鏡
下で調節する。この方法では、この磁気ヘッド素子３４
の挿入方向後方面３４ａとスライダ３３のヘッド挿入溝
形成面３３ａが正確に面一となることにより、ギャップ
位置が規定位置と一致することとなる。

【００１０】位置調整後、図１０に示すように磁気ヘッ
ド素子３４と磁気ヘッド挿入溝３１の空隙部にバネ３６
を挿入して磁気ヘッド素子３４とスライダ３３の位置関
係を保持する。そして、低融点ガラス棒をガラスセット
溝３２に載置して加熱することによりヘッド挿入溝壁面
と磁気ヘッド素子３４の空隙部に低融点ガラスが充填さ
れ、磁気ヘッド素子３４とスライダ３３が接合される。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記方法で
は、スライダと磁気ヘッド素子の位置調整に、磁気ヘッ
ド素子の入出調節といった微妙な操作が関与してくるた
め、スライダと磁気ヘッド素子の位置関係に誤差が生じ
易く、ギャップ位置の適正な製品が得難い。

【００１２】しかも、位置調整後に行うバネ固定では、
空隙部に挿入したバネが外れて磁気ヘッド素子等の破損
が生じる場合があり、このことが生産性を低めている。
さらに、空隙部にバネを挿入するといった操作は難し
く、特に近年磁気ヘッドの小型化に伴って部品も微細な
ものとなっていることから習得にかなりの時間を要し、
このことも生産性を低減させる原因となっている。

【００１３】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、簡易な操作でギャップ位
置の適正な磁気ヘッドが均一且つ効率良く製造できる磁
気ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の磁気ヘッドの製造方法は、スライダのヘ
ッド挿入溝に磁気ヘッド素子を組み込むに際し、前記ヘ
ッド挿入溝の底面をスライダと磁気ヘッド素子の位置調
整の基準面とするものである。すなわち、スライダのヘ
ッド挿入溝に挿入方向の長さが挿入溝の深さよりも大と
された磁気ヘッド素子を挿入し、磁気ヘッド素子の挿入
方向前方面とヘッド挿入溝の底面を当接させる工程と、
前記磁気ヘッド素子と前記ヘッド挿入溝とをガラス融着
する工程と、磁気ヘッド素子の挿入方向後方面とスライ
ダのヘッド挿入溝形成面とが面一となるように切削加工
する工程を有するものである。

【００１５】さらに、スライダのヘッド挿入溝に挿入方
向の長さが挿入溝の深さよりも大とされた磁気ヘッド素
子を挿入し、磁気ヘッド素子の挿入方向前方面とヘッド
挿入溝の底面を当接させた後、磁気ヘッド素子のヘッド
挿入溝から突出する部分の上面を屈曲する板状バネで抑
えることにより磁気ヘッド素子とスライダの当接状態を
保持するものである。

【００１６】

【作用】スライダのヘッド挿入溝に磁気ヘッド素子を挿
入するに際し、磁気ヘッド素子の挿入方向前方面とヘッ
ド挿入溝の底面を当接させることによって磁気ヘッド素
子とスライダの位置関係を調整する場合、スライダと磁
気ヘッド素子の位置精度は調整操作自体にはほとんど影
響されずヘッド挿入溝の寸法精度のみに左右される。こ
こで、ヘッド挿入溝は容易且つ高精度に形成されるた
め、このようにヘッド挿入溝の底面を基準面として位置
調整を行うと磁気ヘッド素子とスライダとの位置関係は
正確なものとなる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明を適用した実施例について図面
を参照しながら説明する。なお、本実施例は、スライダ
のヘッド挿入溝にフェライトよりなる磁気ヘッド素子を
挿入し、磁気ヘッドを作成した例である。

【００１８】上記磁気ヘッドを作成するには、まず、図
１及び図２に示すようにフェライトからなる第１のヘッ
ドコアブロック１，第２のヘッドコアブロック２に予め
略コ字状の溝３を巻線溝として形成する。次いで、両ヘ
ッドコアブロック１，２のギャップを形成する面を鏡面
仕上げし、その上にギャップ膜をスパッタリングにより
被着形成する。そして、図３に示すように両ヘッドコア
ブロック同士をギャップ膜が当接面となるように当接し
てギャップｇを形成し、ガラス４融着して接合一体化す
る。

【００１９】しかる後に、図４に示すようにこの接合一
体化したヘッドコアブロック１，２をスライダのヘッド
挿入溝に対応させて予め設定された寸法に切削加工し、
さらにレール加工，テーパ加工を施して記録媒体摺動面
を形成する。なお、切削加工に際して、第２のヘッドコ
アブロック２は、磁気ヘッド素子となる部分とともにヘ
ッド挿入溝より突出させて位置調整，バネ固定に使用す
る部分も残して切削する。そして、図５に示すように磁
気ヘッド素子５を切り出す。

【００２０】次に、磁気ヘッド素子５をスライダのヘッ
ド挿入溝の底面を位置調整の基準面としてスライダに組
み込む。

【００２１】まず、磁気ヘッド素子５を組み込むスライ
ダブロック６には、図６に示すように予め磁気ヘッド素
子を挿入するためのヘッド挿入溝７と、このヘッド挿入
溝７と直交するガラスセット溝８を形成しておく。ここ
で、ヘッド挿入溝７は、ギャップ規定位置から底面まで
の長さが磁気ヘッド素子のギャップｇから第１のヘッド
コアブロックに対応する第１のヘッドコア半体９のトラ
ック幅方向の一端面までの長さと一致するような深さで
精密に形成する。

【００２２】続いて、このヘッド挿入溝７に上記第１の
ヘッドコア半体９のトラック幅方向の一端面を前方面と
して磁気ヘッド素子５を挿入し、挿入方向前方面５ａを
ヘッド挿入溝７の底面７ａに突き当てる。この突き当た
った状態で磁気ヘッド素子５の磁気ギャップはスライダ
ブロック６上のギャップ規定位置と正確に一致するもの
となる。

【００２３】次に、スライダブロック６と磁気ヘッド素
子５のこの位置関係を保持するために、第２のヘッドコ
アブロックに対応する第２のヘッドコア半体１０の溝か
ら突出している部分の上面１０ａに屈曲する板状バネ１
１の一端を当て、磁気ヘッド素子５を突き当て方向に押
さえ付ける。そして、スライダブロック６のガラスセッ
ト溝８に低融点ガラス棒１２をセットし、加熱する。こ
れにより低融点ガラス棒１２は溶融して、図７に示すよ
うに各磁気ヘッド素子５とヘッド挿入溝７の壁面の空隙
部に流れ込みスライダブロック６と磁気ヘッド素子５と
がガラス融着される。

【００２４】最後に、磁気ヘッド素子５のヘッド挿入溝
から突出する部分を切削するとともに、スライダブロッ
ク６の上面を平面研磨して磁気ヘッド素子の記録媒体摺
動面を露出させる。その後、スライダの上面にレール加
工，テーパ加工、ブレンド加工を施して空気流入用の溝
を形成し、スライシング加工して図８に示すような磁気
ヘッドが完成する。

【００２５】このように磁気ヘッド素子とスライダに位
置調整を、ヘッド挿入溝底面を基準面としてこの底面に
磁気ヘッド素子の挿入方向前方面を突き当てることによ
って行うと、磁気ヘッド素子の入出等の微妙な操作が関
与しないので磁気ヘッド素子とスライダの位置関係が常
に均一に正確なものとなる。また、上記方法のように磁
気ヘッド素子とスライダブロックのバネ固定を、磁気ヘ
ッド素子のヘッド挿入溝より突出している部分の上面に
バネを当てることによって行うと、バネが外れて磁気ヘ
ッド素子等が破損することがなく、また操作も容易であ
るため効率よく磁気ヘッド素子を製造することが可能で
ある。

【００２６】

【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の磁気ヘッドの製造方法では、スライダのヘッド挿入
溝に磁気ヘッド素子を挿入するに際し、磁気ヘッド素子
の挿入方向前方面とヘッド挿入溝の底面を当接させるこ
とによって磁気ヘッド素子とスライダの位置関係を調整
するので、位置調整操作が簡易であるとともに位置調整
操作において誤差が生じることがなく、磁気ヘッド素子
とスライダブロックとの位置関係を常に均一に正確なも
のとすることができる。

【００２７】したがって、本発明によれば、ギャップ位
置が規定位置と一致する浮上型の磁気ヘッドを効率良く
製造することが可能であり、浮上型の磁気ヘッド装置の
高性能化，生産性の向上が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】磁気ヘッド製造工程のうち第１のヘッドコアブ
ロック成形工程を示す概略斜視図である。

【図２】磁気ヘッド製造工程のうち第２のヘッドコアブ
ロック成形工程を示す概略斜視図である。

【図３】磁気ヘッド製造工程のうちヘッドコアブロック
接合工程を示す概略斜視図である。

【図４】磁気ヘッド製造工程のうちヘッドコアブロック
切削加工工程を示す概略斜視図である。

【図５】磁気ヘッド製造工程のうちヘッドコアブロック
のスライシング工程を示す概略斜視図である。

【図６】磁気ヘッド製造工程のうち磁気ヘッド素子位置
調整工程を示す概略斜視図である。

【図７】磁気ヘッド製造工程のうちガラス融着工程を示
す概略斜視図である。

【図８】製造された磁気ヘッドを示す概略斜視図であ
る。

【図９】従来の製造工程のうち磁気ヘッド素子位置調整
工程を示す概略斜視図である。

【図１０】従来の製造工程のうちバネ固定工程を示す概
略斜視図である。

【符号の説明】

５ ・・・磁気ヘッド素子 ６ ・・・スライダブロック ７ ・・・ヘッド挿入溝 １１・・・板状バネ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スライダのヘッド挿入溝に挿入方向の長
   さが挿入溝の深さよりも大とされた磁気ヘッド素子を挿
   入し、磁気ヘッド素子の挿入方向前方面とヘッド挿入溝
   の底面を当接させる工程と、 前記磁気ヘッド素子と前記ヘッド挿入溝とをガラス融着
   する工程と、 磁気ヘッド素子の挿入方向後方面とスライダのヘッド挿
   入溝形成面とが面一となるように切削加工する工程を有
   する磁気ヘッドの製造方法。
2. 【請求項２】 スライダのヘッド挿入溝に挿入方向の長
   さが挿入溝の深さよりも大とされた磁気ヘッド素子を挿
   入し、磁気ヘッド素子の挿入方向前方面とヘッド挿入溝
   の底面を当接させた後、磁気ヘッド素子のヘッド挿入溝
   から突出する部分の上面を屈曲する板状バネで抑えるこ
   とにより磁気ヘッド素子とスライダの当接状態を保持す
   る請求項１記載の磁気ヘッドの製造方法。