JPH0619919Y2 - フロート弁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はフロートの浮上降下により弁口を開閉するフロ
ート弁、例えば、各種蒸気使用機器や蒸気配管等から自
動的に復水だけを排出するスチームトラップ、あるい
は、液体配管等から不凝縮ガスを排出するエアーベント
等に関し、特にフロートの外表面に付着する鉄粉、スケ
ール等の異物を取除く構造に関する。

従来の技術 フロート弁の一種としてフロート式スチームトラップが
ある。フロート式スチームトラップは、蒸気使用機器に
配管接続され弁室内に自由状態で収容された球形フロー
トで、該弁室内に溜った復水の水位に応じて浮上降下す
ることにより弁座部材に形成された弁口を開閉して復水
を系外に排出し、蒸気は排出しないものである。

本考案が解決しようとする課題 この場合、フロート外表面に鉄粉やスケール等の異物が
付着して、弁座部材とのシール面で確実にシールをする
ことができずに、本来排出すべきでない流体、例えばス
チームトラップの場合は蒸気、を排出してしまう問題が
あった。微少面積からの漏洩であっても差圧が大きく、
また、長時間に渡るとそのエネルギー損失は膨大なもの
となる。従って、スチームトラップにおいては蒸気漏洩
量の大小によりその性能の良否が判断される。一般の配
管材及び蒸気使用機器、フロート弁は鉄系の材料で製作
されるために、これらの内部を流れる流体中には微細な
鉄粉、錆やスケール等の異物が多量に含まれている。こ
れら異物の内形状の大きなものは、フロート弁に内蔵さ
れているスクリーンにより捕捉されるが、微小な異物は
スクリーンを通過してしまい、ケーシング内周及びフロ
ート外表面に付着してしまうのである。

従って本考案の技術的課題は、フロート外表面に付着し
た鉄粉、錆及びスケール等の異物を取除き、フロート外
表面を長期に渡ってなめらかな均一状態に維持すること
により、本来排出すべきでない流体、例えば、蒸気の漏
洩等を防止することである。

課題を解決する為の手段 上記の課題を解決するために講じた本考案の技術的手段
は、弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と
出口を連通する弁口を設け、弁室内にフロートを自由状
態で配し、フロートの浮上降下によりその外表面で弁口
を開閉するようにしたものにおいて、入口と弁室の間に
隔壁を設け、当該隔壁に入口からの流体を弁室に導入す
るノズル状の絞り部を形成して、当該ノズル状の絞り部
の弁室側端部をフロート外表面に対向して設け、上記隔
壁の弁室側部にフロートが上昇するとフロート外表面に
当接するクリーニング部材を取り付けたものである。

作用 入口と弁室の間に絞り部を設けたことにより、入口から
弁室内に導入される流体は、流速を増し勢いよく弁室内
に流れ込む。絞り部の弁室側端部はフロートの外表面に
対向しているために、高速流体はフロート表面にあたり
洗浄作用が発生する。また自由状態のフロートが浮上上
昇してクリーニング部材と回転しながら当接することに
より、フロートの表面は更に洗浄される。

例えばスチームトラップの場合は、弁口が開口すると上
記絞り部の前後に差圧が生じ、絞り部を通過する流体の
流速は更に増し、洗浄効果が向上して、フロート外表面
に付着した鉄粉、スケール等の異物は取除かれる。取除
かれた異物は弁ケーシング底部に溜り、定期的あるいは
適宜に弁ケーシング外にブローされる。

考案の効果 フロートの外表面に付着した異物は、絞り部を通過する
高速流体と、クリーニング部材とにより、洗浄され取除
かれるために、フロート外表面は長期に渡ってなめらか
な均一状態を維持して、本来排出すべきでない流体、例
えば、蒸気の漏洩を防止することができる。

実施例（第１図参照） 本実施例においてはフリーフロート式スチームトラップ
に用いた具体例で説明する。

本体１に蓋２がガスケット４を介してボルト３で取付け
られトラップケーシングを形成する。

蒸気使用機器（図示せず）に配管接続される入口通路５
は、円筒形のスクリーン６及び隔壁としてのフロートカ
バー２０に設けたノズル状の絞り部２３を通してケーシ
ング内の弁室７の上部に連通する。絞り部２３はフロー
ト８の表面に対向して設ける。フロート８は弁室７内に
自由状態で収容し、該弁室７に溜った復水の水位に応じ
て浮上降下する。９はフロート８の表面が接離して開閉
される弁口１０を弁室７内に突出して形成する弁座部材
で、本体１にガスケット１１を介して気密的に挿着され
る。１２は弁座部材９を端部１３で保持する弁座保持部
材で、ガスケット１４を介して外部から本体１に螺着さ
れる。１５は弁口１０から流入した流体が立上がり通路
１６を通って出口通路１７に連通する通孔である。１８
はバイメタルと一体に形成したベント弁で逃し穴１９を
介して立上がり時のエアー等を排出するものである。２
４はフロートカバー２０に取付金具２５を介して取付け
た線状のクリーニング部材で、絞り部２３を通過した流
体によりフロート８が回転して上昇した場合に当接し
て、フロート８表面の洗浄効果を更に高めるものであ
る。

入口通路５から流入した復水は絞り部２３を通って弁室
７内に勢いよく流入する。特にフロート８が浮上して弁
口１０が開口すると、絞り部２３前後に差圧が生じて、
その流速は更に増す。そして、この高速流体により、フ
ロート８の外表面に付着していた鉄粉、スケール等の異
物は取除かれる。

本実施例においてはスチームトラップに用いた例を示し
たが、スチームトラップに限らずその他のフロート弁、
例えば、エアーベント、ガストラップ等にも同様に用い
ることができることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例のフリーフロート式スチーム
トラップの断面図である。 １：本体、２：蓋 ５：入口通路、７：弁室 ８：フロート、９：弁座部材 １０：弁口 、２０：フロートカバー ２３：絞り部、２４：クリーニング部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成
   し、弁室と出口を連通する弁口を設け、弁室内にフロー
   トを自由状態で配し、フロートの浮上降下によりその外
   表面で弁口を開閉するようにしたものにおいて、入口と
   弁室の間に隔壁を設け、当該隔壁に入口からの流体を弁
   室に導入するノズル状の絞り部を形成して、当該ノズル
   状の絞り部の弁室側端部をフロート外表面に対向して設
   け、上記隔壁の弁室側部にフロートが上昇するとフロー
   ト外表面に当接するクリーニング部材を取り付けたフロ
   ート弁。