JPH0619876Y2 - 走行作業車の変速制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は，変速装置の変速操作を電気的制御によって
自動的に行う走行作業車の変速制御装置に関するもので
ある。

〔従来の技術〕

コンバインを始めとする各種の走行作業車において，最
近では，操縦の簡略さを図るため，変速を遠隔操作する
装置を備えたものが多い。このような場合，変速装置そ
のものも，ギア等の噛合せによらない，いわゆる，無段
変速式のものを用い，その操作を油圧シリンダや電動モ
ータ等を介して行っている。

ところで，このような場合，車輌を停止させるには，エ
ンジンの停止か，変速作動装置を零位置に操作するかで
行っていた。前者のエンジン停止の場合，キースイッチ
を切断することによるが，従来であれば，このキースイ
ッチに連動して燃料をカットする燃料カットモータを自
動的に停止させ，エンジンも同時に停止させていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし，小型の走行作業車等にあっては，価格を安くす
るため等もあって燃料カットモータを備えていないもの
もある（燃料カットは手動のワイヤを引いたりすること
で対処している）。したがって，単にキースイッチをオ
フにしただけではエンジンは停止しないが，反面，キー
スイッチオフによって変速作動装置の制御電源は遮断す
ることから，この状態のときは変速操作ができないとい
った事態が生じ，車輌は操縦者の意に反して暴走するこ
とになる。

この考案は，このような課題を解決するものであって，
その目的とする処は，キースイッチがオフで，しかも，
エンジンが回転している状態を検出し，このとき，減速
作動を自動的に行うようにしたものである。

〔課題を解決するための手段〕

すなわち，この考案は，変速作動装置を，キースイッチ
に接続した変速コントローラによって電気的制御する走
行作業車の変速制御装置において，前記変速コントロー
ラに，前記キースイッチがオフ，かつ，エンジン回転状
態を検出するキースイッチオフ検出機能と，このキース
イッチオフ検出機能が働いたとき，前記変速作動装置を
減速側に優先して作動させる減速機能とを持たせてなる
走行作業車の変速制御装置を提供したのである。

〔作用〕

以上の手段をとることにより，減速操作を行わなければ
ならない状態，すなわち，キースイッチがオフで，しか
も，エンジンが回転している状態を変速コントローラが
検出するとともに，変速コントローラがこの状態を検出
する限り，減速操作を優先して行うのである。

〔実施例〕

以下，この考案の実施例を図面を参照して説明する。

第２図は変速装置および変速作動装置を示すものである
が，変速装置１として，円錐形の遊星コーン２を入力円
板３と出力円板４とで挟圧した作動遊星機構型無段変速
装置を例示した。遊星コーン２の円錐面に変速リング５
を摺接し，この変速リング５を円錐面の裾部から頂部に
移動させることで，入力円板３に対する出力円板４の回
転数が高くなるようにしたものである。変速リング５を
移動させる変速作動装置６として，この変速リング５を
油圧シリンダ７に連結し，油圧シリンダ７に油圧ポンプ
８で供給される圧油をソレノイドバルブ９で切り換える
ものを例示した。

第１図は変速作動装置６を制御するための電気回路図で
あるが，ソレノイドバルブ９のソレノイド９ａ，９ｂ
（９ａは増速側ソレノイド，９ｂは減速側ソレノイド９
ｂ）の励磁，非励磁の制御を変速コントローラ10で行
う。変速コントローラ10はキースイッチ11に接続されて
おり，このキースイッチ11にはスタート，オン，オフの
切り換え接点があって，これがオンの場合，電源回線12
と以下のオン回線13を接続し，オフの場合，アース回線
14と以下のオフ回線15を接続する（スタート回線の説明
についてはここでは省略する）。オン回線13は前記した
ソレノイド９ａ，９ｂから変速操作の自動，手動を切り
換える変速スイッチ16を経てアースに至る回線と，エン
ジン回転と直結している油圧ポンプ８が作動していると
きにオープンで，この油圧ポンプ８が停止していると
き，すなわち，エンジンが停止しているときにクローズ
ドとなる圧力スイッチ17を備え，キースイッチ11がオン
状態で，かつ，エンジンおよび油圧ポンプ８が停止し，
この圧力スイッチ17がクローズドのときに点灯するモニ
ターランプ18とを直列に接続してアース線に至る回線を
形成している。なお，圧力スイッチ17は変速コントロー
ラ10に接続している。その他，オフ回線15は変速コント
ローラ10からアースに至っている。なお，オン回線13中
の各機器は変速コントローラ10で制御，管理されること
から，すべて変速コントローラ10に接続されている。

以上の構成の下，変速コントローラ10にさらに以下の機
能を持たせるのである。まずは，キースイッチ11がオフ
で，かつ，エンジンが回転している状態を検出するキー
スイッチオフ検出機能を付与する。これは，オフ回線15
がアース回線14と接続して電位が零になったことでキー
スイッチ11がオフになったことを識別し，圧力スイッチ
17がオープンのままであることでエンジンが回転してい
ることを識別するようにしたのである。次に，このキー
スイッチオフ検出機能が働いたとき，減速側ソレノイド
９ｂに優先した通電するような減速機能を付与するので
ある。ここで，優先的としたのは，変速スイッチ16を切
り換えて増速側ソレノイド９ａに通電していたとして
も，このキースイッチオフ検出機能が働く限り，それを
遮断するように作用するからである。なお，19はアラー
ムであり，キースイッチオフ機能または減速機能が働い
たときに作動し，その旨を操縦者等に知らせるのであ
る。

これにより，キースイッチ11をオフにする車輌停止があ
れば，変速コントローラ10の減速機能が働き，減速側ソ
レノイド９ｂを励磁して油圧シリンダ７によって変速リ
ング５を低速側に移動させる（エンジンは停止していな
いのであるから，油圧ポンプ８は駆動されており，この
作動が可能である）。なお，変速リング５の両ストロー
クエンドにはその位置を検出する検出スイッチ20ａ，20
ｂが設けられているから，減速機能が働いたときには，
変速リング５を最低速の出力零である一方のストローク
エンドまで移動させればよい。

第３図は他の実施例を示す電気回路図であるが（モニタ
ーランプ18や圧力スイッチ17の回路は省略してある），
変速コントローラ10に，キースイッチ11がオフになった
ときは一定時間，すなわち，高速設定であっても最低速
の出力零になるまでの時間であり，具体的には数分間，
減速側ソレノイド９ｂを励磁するタイマー機能を持たせ
たものである。

〔考案の効果〕

以上，この考案は前記したものであるから，燃料カット
モータ等を装備していなくても，キースイッチ11がオフ
で，かつ，エンジンが回転中であれば，変速コントロー
ラ10がこの状態を検出し，減速機能を優先的に働かせて
変速作動装置６の速度設定を自動的に零にするから，そ
のまま暴走し続けるといった事態はなくなる。さらに，
この状態をアラームさせることにより，操縦者に燃料カ
ット操作等を促すことになって安全である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の電気回路図，第２図は同じく油圧回
路図，第３図は他の実施例の電気回路図である。 （符号） ６……変速作動装置 10……変速コントローラ 11……キースイッチ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】変速作動装置（６）を，キースイッチ（1
   1）に接続した変速コントローラ（10）によって電気的
   制御する走行作業車の変速制御装置において，前記変速
   コントローラ（10）に，前記キースイッチ（11）がオ
   フ，かつ，エンジン回転状態を検出するキースイッチオ
   フ検出機能と，このキースイッチオフ検出機能が働いた
   とき，前記変速作動装置（６）を減速側に優先して作動
   させる減速機能とを持たせてなる走行作業車の変速制御
   装置。