JPH06192958A - 毛皮調パイル布帛の製造方法 - Google Patents

毛皮調パイル布帛の製造方法

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JPH06192958A
JPH06192958A JP4357941A JP35794192A JPH06192958A JP H06192958 A JPH06192958 A JP H06192958A JP 4357941 A JP4357941 A JP 4357941A JP 35794192 A JP35794192 A JP 35794192A JP H06192958 A JPH06192958 A JP H06192958A
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crimps
pile
napped
fur
fibers
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JP4357941A
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Inventor
Hidenobu Honda
秀信 本田
Seiichi Yamagata
誠一 山形
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】外観、感触、立毛構造等が天然の高級毛皮に非
常に近似している毛皮調パイル布帛を得る製造方法を提
供する。 【構成】立毛繊維に捲縮を有する繊維を使用してパイル
布帛を得た後、バッキング処理を行った該布帛に、染色
加工を施す前に、捲縮を有する立毛繊維の捲縮伸ばし処
理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人工毛皮として用いら
れる新規な毛皮調パイル布帛の製造方法に関する。詳し
くは、立毛構造や感触が天然の高級毛皮に近似し、ま
た、特に従来の同じ目的のものに比べて、立毛層の外観
が良好であって、優れたエアマークやエアバイブレーシ
ュンを得ることができる新規な毛皮調パイル布帛の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】天然のミンク、キツネなどの毛皮は、す
ばらしい感触、光沢および立毛構造などのために、人工
的にそれらを作ろうとしても近寄り難いものの一つであ
る。そのため、これらの天然毛皮の高級品は高価であ
り、超高級ファッション衣料素材としてゆるぎない地位
にあり、ステイタスシンボルでもある。一方、このよう
な天然毛皮に対し、最近は動物愛護や自然保護の観点か
らの運動が高まりつつあり、天然品により近い人工毛皮
の開発が期待されている。
【0003】他方、天然品の入手難に対応して「天然毛
皮調」を目的とした立毛布帛は、毛布のようなものを含
め、従来から数多く提案されている。近年の動物保護運
動の高まり等から、より高級な天然毛皮調を得ようとす
る提案が数多く見られる。たとえば、人工毛皮の製造に
関して、特開昭49ー85361号公報や実公昭48ー
15816号公報等が知られているが、これらの提案は
いずれも総合的には満足する成果を得られるものではな
い。また、米国特許第2737702号明細書には、ス
ライバーニッティングにおいて、両先端が尖鋭化された
さし毛用繊維を用いた人工毛皮の製造に関する発明が記
載されているが、記載された発明による方法で得られる
ものは、さし毛調立毛とわた毛調立毛とのなじみが悪
く、さし毛とわた毛あるいはわた毛どうしがもつれあっ
てしまい、さらにこれらの毛が倒れ易く、立毛層に腰が
ない等の欠点があった。
【0004】また、特開昭57ー61741号公報に
は、特殊な毛皮調パイル布帛とその製造方法について記
載されているが、記載された技術においては、わた毛調
立毛の立毛の長さおよび均一長分布の点での配慮がなさ
れていないため、得られるものは天然ミンク毛皮におけ
る明瞭な立毛層の2層構造を構成せず、見栄えの悪いも
のであった。また、立毛部分が毛筆の筆先と同様に長い
毛や短い毛の集合体であるため、立毛がもつれ合い易い
ものであった。さらにパイル糸を切断してカットパイル
布帛とするので、切断されたパイル糸の先端部はブツ切
り状端面となり、外観上白くボケたようになり、表面感
触もザラついたものになる欠点があった。
【0005】また、パイル糸の紡績性からみた場合、わ
た毛用繊維のステープル長さが短いほど紡績性の低下を
招くので、使用可能範囲は短い方に限界がある。したが
って、所望の短い長さの立毛を得ても、明瞭な2層構造
を得ることは困難である。さらに、わた毛用繊維のステ
ープルの捲縮数の少ないほど絡合性が低下し、紡績性が
低下するという問題がある。このように、この公知例に
示されるものも多くの問題点を抱えていた。
【0006】また、特開昭57ー95342号公報に
は、多重パイル布帛のパイル糸構成繊維の滑脱を生ぜし
めることにより多重パイル布帛を分離する方法が記載さ
れている。該公報に述べられていることは、前述の特開
昭57ー61741号公報に記載された方法を工程的に
改良したものであるが、特開昭57ー61741号公報
に記載されたものと同様に、2層構造の明瞭なものが得
られないとか、立毛がもつれやすいという欠点を持って
いる。
【0007】また、特公昭63ー64536号公報に
は、わた毛調立毛繊維が、地組織からの長さが均一長の
部分を有するパイル布帛が記載されており、この技術
は、前述の特開昭57ー61741号公報に記載された
方法を工程的に改良したものであるが、特開昭57ー6
1741号公報に記載されたものと同様にパイル糸を切
断するため、わた毛繊維の先端がブツ切り状となり、立
毛がもつれ易く、表面見栄え、感触等に問題があり、特
開昭57ー61741号公報記載のものが持っていた欠
点を持っている。
【0008】
【発明が解決しょうとする課題】本発明は、上述のよう
な従来技術の状況に鑑み、立毛構造や感触が天然の高級
毛皮に非常に近似し、従来のものに比べて外観が特に良
好な毛皮調パイル布帛を製造する方法を提供するもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、 1.立毛に捲縮を持つ繊維を使用したパイル布帛を、原
反が染色工程を経る前に、捲縮を持つ立毛繊維の捲縮を
伸ばす処理を施すことを特徴とする毛皮調パイル布帛の
製造方法。 2.捲縮を持つ立毛繊維の捲縮を伸ばす処理が、水分を
付与し、立毛側をブラッシングロールでブラッシング
し、続いて回転熱ロールで加熱処理するものであること
を特徴とする上記1記載の毛皮調パイル布帛の製造方
法。 3.捲縮を持つ立毛繊維の捲縮を伸ばす処理が、該布に
加熱蒸気を吹き付け、立毛側をブラッシングロールでブ
ラッシングするものであることを特徴とする上記1記載
の毛皮調パイル布帛の製造方法。 4.捲縮を持つ立毛繊維の捲縮を伸ばす処理が、該布に
熱風を吹き付け、立毛側をブラッシングロールでブラッ
シングするものであることを特徴とする上記1記載の毛
皮調パイル布帛の製造方法。 5.捲縮を持つ立毛繊維の捲縮を伸ばす処理が、加熱蒸
気雰囲気中で、該布の立毛側をブラッシングロールでブ
ラッシングするものであることを特徴とする上記1記載
の毛皮調パイル布帛の製造方法。 とすることによって目的を達成するものである。
【0010】本発明においてパイル布帛とは、基布が編
織物あるいは不織布であって立毛を有するものの意味で
ある。パイル布帛におけるパイルすなわち立毛は1種類
からなるものであっても複数種類からなるものであって
も良い。すなわち、さし毛調立毛あるいはわた毛調立毛
の何れか一方あるいはその双方をそなえるものであって
良い。また、立毛は、必ずしもさし毛調あるいはわた毛
調に限定されない。狙いとする毛皮の種類あるいは特性
により、各種の立毛が使用できる。さし毛調立毛あるい
はわた毛調立毛を使用する場合、その先端が尖鋭化され
ていることは、得られるパイル布帛を毛皮調にするため
に好ましいことである。しかしながら、特殊な目的のた
めに尖鋭化しないものを使用することもできる。
【0011】一般にパイル布帛は、さし毛調立毛用繊維
又は及びわた毛調立毛用繊維の紡績して得られる糸を用
いるか、あるいは、さし毛調立毛用繊維又は及びわた毛
調立毛用繊維の長繊維からなる糸を用いてパイル編織物
を得た後、裏面にバッキング加工を施し、さらにパイル
面に毛さばき処理を施して得ることができる。特開昭5
7ー61741号公報、あるいは特開昭57ー1674
34号公報等に記載されている方法が採用できる。
【0012】従来、立毛特にわた毛調立毛として、捲縮
加工を施した捲縮を持つ繊維を使用することが知られて
いる。この場合、紡績糸として使用するためには紡績性
を上げるために捲縮数の多いものを用いている。立毛に
捲縮を持つ繊維を使用した場合、立毛がもつれ易く、ま
た光の乱反射により外観にモヤモヤした感が出易く、外
観の美しさを損ないあるいは立毛のなびき性を著しく悪
くして製品の品位を下げる原因となっていた。
【0013】本発明は、立毛に捲縮を持つ繊維を使用し
た場合において、従来発生した各種弊害、たとえば外観
における意図しないモヤモヤ感の発生や、立毛のもつれ
の発生を防止する製造方法を提供するものである。従っ
て、得られる製品は、外観が美しく、立毛のなびき、立
毛に息を吹き付けたとき天然の高級毛皮に生ずるような
エアマーク、エアバイブレーションが得られるものであ
る。さらに、立毛の内深層において色の深みを与えるこ
とができるので高級感や落ち着き感に富んだものとな
る。このような製品の特徴は、立毛がさし毛調のものと
わた毛調のものとで構成されている場合のみでなく、わ
た毛調のみで構成されている場合も発揮される。特に色
調が一段と濃いものとなる特徴がある。
【0014】本発明はこのような優れた製品を得るため
に、立毛に捲縮を持つ繊維を使用した場合において、原
反が染色工程を経る前に、捲縮を持つ繊維の捲縮を伸ば
す処理を施すことにより目的を達成する。すなわち、原
反が染色工程を経るとこのとき加熱処理が行われる。こ
の加熱処理は染色工程の必要から行われるが、同時に捲
縮を持つ繊維の捲縮を固定する結果となる。この結果、
染色処理した後、捲縮を持つ繊維の捲縮を伸ばす処理を
施すと、処理条件が染色処理時の熱処理条件より厳しい
ものとなる。従って、処理が困難であるのみならず、染
色結果に悪影響が出て染色堅牢度の低いものとなったり
する。したがって、染色工程の後で、捲縮を持つ繊維の
捲縮を伸ばす処理を施すことは得策ではなく、ときには
施すことができない。
【0015】本発明を適用するに当たり、使用されるパ
イル布帛は、立毛用糸が捲縮を持つ繊維で構成されてい
ればよく、その材質は立毛用糸を含め特に限定されな
い。しかしながら、一般的には捲縮を与えやすいこと、
製品の色調や光沢を選びやすいこと、尖端の加工が容易
なこと等から、合成繊維を使用することが好適である。
特にポリエステル系繊維を用いることが有利である。こ
の場合、ポリエステル系とは、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレートの単独、あるいはこ
れらを主成分とした共重合体ポリマの意味である。さら
に、ポリエステル系繊維がポリエステル系ポリマと他の
成分とのブレンドしたものを素材として使用することも
好ましいことであり、ポリエステル系繊維という中に包
含される。さらに、立毛用繊維がさし毛調立毛用である
場合3デニール以上100デニール以下の耐アルカリ性
の高いポリエステル系繊維を用いるのが好ましい。さら
に、わた毛調立毛用としては、5デニール以下の耐アル
カリ性の低いポリエステル系繊維を用いるのが好まし
い。
【0016】本発明の実施に当っては、まず通常の方法
により、パイル布帛が形成される。このとき立毛用糸が
捲縮を持つ繊維で構成されていることが必要である。基
布は、織物、編物または不織布等のいずれでもよい。た
とえば、さし毛調立毛用有限長繊維と、捲縮加工を施し
て得られたわた毛調立毛用有限長繊維とを混紡して得た
紡績糸を、パイル糸として使用しパイル編織物を得る。
次いで該パイル編織物のパイル裏面側にバッキング加工
を施し、さらに、パイル面に毛さばき処理を行い、遊び
毛などを除去する。続いて、該パイル編織物のパイル面
側の立毛表面部にアルカリ処理剤を付着させて加熱す
る。かくしてわた毛調立毛をさし毛調立毛に対し短くす
ると共に先端を尖鋭化させることができる。
【0017】かくして得られたものに捲縮伸ばし処理を
施す。立毛先端から数ミリメートルまでの捲縮伸ばしが
特に有効であるが、立毛全体に捲縮が減少し、特に先端
部数ミリメートルまでの部分の捲縮が伸びているのも良
い。立毛全体の捲縮が完全に伸びて直線化してしまうの
は、ボリューム感不足や地割れが発生し問題である。こ
こで地割れとは、パイル布帛を立毛面と反対側に折り曲
げたとき、立毛層が割れたように分かれて基布が露見さ
れる現象のことである。捲縮伸ばし処理を施した後、染
色処理を行い、整理処理を施して製品とするものであ
る。
【0018】これら一連の処理において、さし毛調立毛
は原料段階で先端部を尖鋭化しておき、使用すると製品
がより天然の毛皮に近いものとなる。しかしながら本発
明においては、このような先端を予め尖鋭化したさし毛
調立毛を使用すること、ならびにさし毛調立毛を使用す
ることさえ必須の事項ではない。また、アルカリ処理と
捲縮伸ばし処理とは、どちらが先に行われても差し支え
ない。重要なことは、捲縮伸ばし処理が染色処理の前に
行われることである。この結果、捲縮伸ばし処理におけ
る熱処理条件が染色処理の熱条件に左右されず自由に選
ぶことができる。また、染色処理時の加熱が捲縮伸ばし
処理時の熱セットを補うようになることもある。
【0019】捲縮伸ばし処理は、予め与えられている捲
縮を伸ばしてしまうものであればよく、特にその処理方
法は限定されない。このため多くの捲縮伸ばし処理方法
が考えられる。たとえば、前述の、立毛用糸が捲縮を持
つ繊維で構成されているパイル布帛でバッキング処理、
アルカリ処理を経たものに水分を付与し、ブラッシング
ロールでブラッシングし、続いて回転熱ロールで加熱処
理することが考えられる。あるいは、水分を付与するの
に代えてブラッシングロールの直前でパイル布帛に熱風
あるいは加熱蒸気を吹き付けることが考えられる。さら
に、加熱蒸気雰囲気中でブラッシングロールでブラッシ
ングしてもよい。
【0020】
【実施例1】地糸の経緯にポリエステル・ステープル繊
維1.2d×51mmからなる紡績糸(60s/2)を
使用し、さし毛調立毛用有限長繊維に特開昭54ー38
922号公報記載の方法により両端をテーパー化した捲
縮性を持たないポリブチレンテレフタレート・ステープ
ル18d×18mmの繊維40重量%と、わた毛調立毛
用有限長繊維にポリエチレンテレフタレート・捲縮ステ
ープル2d×24mm、捲縮数13山/インチの繊維6
0重量%とからなる混紡糸15sをパイル糸として用
い、たてパイル織物を織成した。紡績性、製織性とも良
好であった。
【0021】地織密度はタテ×ヨコ:96本×43本/
2.54cm、パイル密度はタテ96本/2.54cm
で16越ファーストパイルである。パイル高さは22m
mに設定した。得られた生機をアクリル樹脂30%水溶
液でバッキングし、次いで乾燥し、その後、レイジング
機で地組織から離脱する立毛用繊維の除去と、毛さばき
を行った。次に、水酸化ナトリウム、澱粉系増粘剤、第
4級アンモニウム系分解促進剤を含む増粘水溶性アルカ
リ処理剤を用い立毛面にコーティングした後、常圧湿熱
処理を行った。得られたパイル布帛は、わた毛調立毛の
先端が尖鋭化され、地組織からの立毛長さが7mmの均
一長さの部分を有するものであった。
【0022】次に、得られたパイル布帛に捲縮伸ばし処
理を施した。捲縮伸ばし処理は以下に説明する4つの方
法を行った。 捲縮伸ばし処理方法1 図1に示す装置を使用した。図1において1は水スプレ
ー機、2はブラッシングロール、3は回転熱ロール、4
はパイル布帛であり、矢印はパイル布帛の進行方向を示
す。水スプレー機による水の付着は、50g/m2にな
るようにした。ブラッシングロールはブラシ部が太さ♯
33、長さ30mmのステンレス製針金で、針金密度は
190本/平方インチのものを、回転熱ロールの回転方
向と同じ方向に回転速度30rpmで回転して使用し
た。
【0023】回転熱ロールは、表面に深さ10mmの溝
が斜めに施されており、表面はメッキ仕上げが施されて
おり、直径500mmのものを使用した。回転熱ロール
は表面温度が170℃、回転速度700rpmに制御さ
れており、パイル布帛と回転熱ロール表面との接触長さ
は10cmとした。パイル布帛の加工速さは5m/分と
し、1回目は、原反の反末から投入することにより、毛
並みを回転熱ロールの回転方向と逆方向に毛の根本から
先端へしごく様に通し、2回目は、原反の反頭から投入
し、毛並みを順目方向になるように通して2回通しを行
った。
【0024】捲縮伸ばし処理方法2 図2に示す装置を使用した。図2において11はダク
ト、12は第1ブラッシングロール、13は第2ブラッ
シングロール、14はパイル布帛であり、15はガイド
ロール、矢印はパイル布帛の進行方向を示す。第1ブラ
ッシングロール12、第2ブラッシングロール13は、
捲縮伸ばし処理方法1で用いたものと同じものを使用し
た。回転速度は第1ブラッシングロール12は800r
pm、第2ブラッシングロール13は1250rpmと
し、回転方向はパイル糸を起す方向とし、ブラッシング
ロールの先端と、パイル布帛の裏側との間隔は3mmと
した。パイル布帛の加工速さは2m/分とした。ダクト
から150℃の過熱蒸気をパイル布帛に吹き付けた。
【0025】捲縮伸ばし処理方法3 捲縮伸ばし処理方法2と同様、図2に示す装置を同じ仕
様で使用した。捲縮伸ばし処理方法2においては、ダク
トから150℃の過熱蒸気をパイル布帛に吹き付けた
が、捲縮伸ばし処理方法3においては、200℃の熱風
をパイル布帛に吹き付けた。
【0026】捲縮伸ばし処理方法4 図3に示す装置を使用した。図3において、21は過熱
蒸気噴出口、22は第1ブラッシングロール、23は第
2ブラッシングロール、24はパイル布帛であり、25
はガイドロールであり、矢印はパイル布帛の進行方向を
示す。図3に示す装置は全体が略密閉された室26の中
にある。27は排気口である。室26はパイル布帛の入
口、出口、ならびに排気口27以外は密閉されている。
従って、過熱蒸気噴出口21から噴出した過熱蒸気は室
内に充満し、室内を過熱蒸気雰囲気とするものである。
【0027】捲縮伸ばし処理方法4においては、第1ブ
ラッシングロール22、第2ブラッシングロール23
は、捲縮伸ばし処理方法2における第1ブラッシングロ
ール12、第2ブラッシングロール13と同様のもの
を、回転速度500rpmで使用した。その他の条件
は、捲縮伸ばし処理方法2と同じ仕様で使用した。過熱
蒸気噴出口からは、捲縮伸ばし処理方法2においてダク
トから噴出されたのと同じ150℃の過熱蒸気を噴出し
た。
【0028】これら、捲縮伸ばし処理方法1ないし4の
方法で処理されたパイル布帛は、捲縮を持っていた立毛
の捲縮は、明瞭に伸ばされていた。捲縮伸ばし処理を施
した後、液流染色機を用いて黒色に染色した。染色機内
の圧力は2.5kg/cm2、温度は130℃で60分
であり、捲縮伸ばし処理をした立毛は捲縮伸ばしの状態
で確保された。染色後、仕上げ剤処理を行い、レイジン
グ機で立毛の毛さばきを行った。
【0029】得られたものは、天然毛皮によく似た形態
を有し、外観、柔軟な感触、光沢、色の深み感、毛のそ
よぎ性、毛の逆なで回復性、立毛層の腰、ボリウム感等
において、総合的にミンクに極めてよく似た優れた高級
毛皮調パイル織物であった。特に、黒色が非常に深く、
鮮明であり、高級感を持つものであり、捲縮伸ばし処理
を行わないもの、あるいは染色後行ったものと明瞭に区
別できる優位性を示した。さらに、得られたものを、抗
ピル試験器を用いて強制立毛もつれ試験を行ったとこ
ろ、わた毛立毛どうし、また、さし毛立毛とわた毛立毛
どしのもつれが少ない好ましい製品特性を持つことが確
認された。
【0030】〔比較例1〕実施例1とわた毛調立毛用繊
維の捲縮数が9山/インチのステープルを用いたほかは
同一の原料を用いて紡績、製織を行った。捲縮数が9山
/インチと実施例1に比べて少ないので繊維の絡合性が
悪く、紡績性の低下をきたした。次いで捲縮伸ばし処理
を行わない以外は実施例1と同様の加工を施した。得ら
れたものは、捲縮数が9山/インチと少ないので見栄
え、感触の点ではまずまずのものであったが、総合し
て、紡績性の悪さはコストを考慮すると実用にならない
致命的な欠点であった。
【0031】〔比較例2〕実施例1と同様の原料を用い
染色前の捲縮伸ばし処理を行わないで製品を得た。ま
た、捲縮伸ばし処理は実施例1と同様な条件で行った
が、実施を染色後にのみ行った。得られた製品は、何れ
も紡績性の点では問題を生じなかったが、捲縮伸ばし処
理を行わないものは、捲縮の存在により、光の乱反射が
あり、このため全体として白っぽくモヤモヤした感のも
のとなった。また、染色後、捲縮伸ばし処理を行なった
ものは、捲縮の伸びが悪く比較例1の製品に比べ見栄
え、もつれ試験等何れも劣っていた。特に染色堅牢度が
不合格であった。
【0032】
【実施例2】さし毛調繊維としてポリブチレンテレフタ
レート75d−24フィラメント糸2本と、わた毛調繊
維としてポリエチレンテレフタレート75d−36フィ
ラメント糸2本を用い、タスラン加工を施して捲縮を与
えたものをパイル糸とした。地糸として実施例1と同じ
紡績糸(60S/2)を使用し、タテパイル織物を織成
した。織上げと同時にナイフでパイルを切断した。製織
性は紡績糸をパイル糸として使用した場合に比べ良好で
あった。 地織密度は経緯:96本×64本/2.54cm、パイ
ル密度はタテ96本/2.54cmで16越ファースト
パイルである。パイル高さはカット後12mmに設定し
た。生機を得た後の処理は、実施例1と同じ処理を行っ
た。
【0033】得られたものは、実施例1の場合と同様に
極めて優れたものであった。すなわち、天然毛皮によく
似た形態を有し、外観、柔軟な感触、光沢、色の深み
感、毛のそよぎ性、毛の逆なで回復性、立毛層の腰、ボ
リウム感等において、総合的にミンクに極めてよく似た
優れた高級毛皮調パイル織物であった。特に、黒色が非
常に深く、鮮明であり、高級感を持つものであり、捲縮
伸ばし処理を行わないもの、あるいは染色後行ったもの
と明瞭に区別できる優位性を示した。さらに、得られた
ものを、抗ピル試験器を用いて強制立毛もつれ試験を行
ったところ、実施例1の場合と同様に立毛間のもつれが
少ない好ましい製品特性を持つことが確認された。
【0034】
【発明の効果】本発明は、立毛用糸が捲縮を持つ繊維で
構成されているパイル布帛の立毛繊維の捲縮を、パイル
布帛の染色加工前において捲縮伸ばし処理を行うことに
より、目的を達成するので、構成が簡単であり、染色工
程の選択が幅広く行えると共に捲縮伸ばし処理工程も幅
広く選択することができる。従って、夫々の工程の成果
を十分に発揮させることができる。
【0035】しかも、このような選択の結果、得られた
製品は、極めて優れたものである。すなわち、外観、柔
軟な感触、光沢、色の深み感、毛のそよぎ性、毛の逆な
で回復性、立毛層の腰、ボリウム感等において、総合的
に天然毛皮に極めてよく似た優れた高級毛皮調パイル織
物である。特に、黒色が非常に深く、鮮明であり、高級
感を持つものであり、立毛間のもつれが少なく、抗ピル
性を備えており、好ましい製品特性を持つものを得るこ
とができる。これらの特性は、捲縮伸ばし処理を行わな
いもの、あるいは染色後行ったものと明瞭に区別できる
優位性を示した。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の捲縮伸ばし処理を行う装置の構成を示
す説明図。
【図2】図1とは別の、本発明の捲縮伸ばし処理を行う
装置の構成を示す説明図。
【図3】図1ならびに図2とは別の、本発明の捲縮伸ば
し処理を行う装置の構成を示す説明図。
【0037】
【符号の説明】
1:水スプレー機、 2:ブラッシングロール 3:回転熱ロール 4:パイル布帛 11:ダクト 12:第1ブラッシングロール 13:第2ブラッシングロール 14:パイル布帛 15:ガイドロール 21:過熱蒸気噴出口 22:第1ブラッシングロール 23:第2ブラッシングロール 24:パイル布帛 25:ガイドロール 26:室 27:排気口

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】立毛に捲縮を持つ繊維を使用したパイル布
    帛を、原反が染色工程を経る前に、捲縮を持つ立毛繊維
    の捲縮を伸ばす処理を施すことを特徴とする毛皮調パイ
    ル布帛の製造方法。
  2. 【請求項2】捲縮を持つ立毛繊維の捲縮を伸ばす処理
    が、水分を付与し、立毛側をブラッシングロールでブラ
    ッシングし、続いて回転熱ロールで加熱処理するもので
    あることを特徴とする請求項1記載の毛皮調パイル布帛
    の製造方法。
  3. 【請求項3】捲縮を持つ立毛繊維の捲縮を伸ばす処理
    が、該布に加熱蒸気を吹き付け、立毛側をブラッシング
    ロールでブラッシングするものであることを特徴とする
    請求項1記載の毛皮調パイル布帛の製造方法。
  4. 【請求項4】捲縮を持つ立毛繊維の捲縮を伸ばす処理
    が、該布に熱風を吹き付け、立毛側をブラッシングロー
    ルでブラッシングするものであることを特徴とする請求
    項1記載の毛皮調パイル布帛の製造方法。
  5. 【請求項5】捲縮を持つ立毛繊維の捲縮を伸ばす処理
    が、加熱蒸気雰囲気中で、該布の立毛側をブラッシング
    ロールでブラッシングするものであることを特徴とする
    請求項1記載の毛皮調パイル布帛の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000044969A1 (en) * 1999-01-15 2000-08-03 Valtion Teknillinen Tutkimuskeskus Artificial fur and method for its manufacture
CN105926234A (zh) * 2016-07-15 2016-09-07 马来伟 一种人造毛皮机高温热风编织装置及其技术工艺方法

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