JPH06188500A - Ld励起第二高調波発生固体レーザ装置とその製造方法 - Google Patents

Ld励起第二高調波発生固体レーザ装置とその製造方法

Info

Publication number
JPH06188500A
JPH06188500A JP34184092A JP34184092A JPH06188500A JP H06188500 A JPH06188500 A JP H06188500A JP 34184092 A JP34184092 A JP 34184092A JP 34184092 A JP34184092 A JP 34184092A JP H06188500 A JPH06188500 A JP H06188500A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
material layer
thin film
index material
refractive index
state laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34184092A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideharu Ogami
秀晴 大上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP34184092A priority Critical patent/JPH06188500A/ja
Publication of JPH06188500A publication Critical patent/JPH06188500A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lasers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 基本波のレーザ発振効率が高められSH波の
出力増大が図れるLD励起第二高調波発生固体レーザ装
置とその製造方法を提供すること。 【構成】 LD1、集光レンズ2、固体レーザ素子3、
SHG素子4及び反射鏡5で構成され、固体レーザ素子
3にレーザ共振器の一方を構成する光学薄膜31を備え
るLD励起グリーンレーザ装置に係り、光学薄膜31が
{A・(L/2)B・H A・(L/2)}(Lは光
学的膜厚nL・dLが1/4・λ0の低屈折率物質層、H
は光学的膜厚がnH・dHが1/4・λ0の高屈折率物質
層、nLとnHは低屈折率物質層と高屈折率物質層の屈折
率、dLとdHは低屈折率物質層と高屈折率物質層の物理
的膜厚、λ0は基本波の発振波長、Pは整数で上記{}
で構成される薄膜がP回繰返し積層されることを意味
し、A+B=2)で表現されるP=20〜30の多層薄
膜により構成され、この多層薄膜の主要部がA=0.5
〜0.7、B=1.3〜1.5に設定されていることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体レーザ(以下、
LDという)励起第二高調波発生固体レーザ装置とその
製造方法に係り、特に、基本波のレーザ発振効率が高め
られて第二高調波の出力増大を図れるLD励起第二高調
波発生固体レーザ装置とその製造方法の改良に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】LD励起第二高調波発生固体レーザ(以
下、グリーンレーザという)装置は、高密度記録媒体で
ある光ディスク等の記録及び再生、アルゴンレーザの代
替品として利用できると考えられている。
【0003】図4は、代表的な端面励起型LD励起グリ
ーンレーザ装置の概略構成図、及び、LDからの励起光
(λLD)、基本波(λ0)、第二高調波(λSH、以下S
H波という)の光路をそれぞれ示しており、上記励起型
LD励起グリーンレーザ装置は、LDaと、その両端面
に光学薄膜b1、b2が設けられた集光レンズbと、そ
の両端面に光学薄膜c1、c2が設けられた固体レーザ
素子cと、同じくその両端面に光学薄膜d1、d2が設
けられた第二高調波発生(以下SHGという)素子d
と、このSHG素子d側の端面に光学薄膜e1が設けら
れた出力鏡eとでその主要部が構成されている。
【0004】尚、上記固体レーザ素子cは、その発振波
長が1.06μm付近であるNdドープYVO4、Nd
ドープYAG等のNdドープ固体レーザ結晶から作製さ
れており、また、NdドープYAGに代表される固体レ
ーザ素子から発振する基本波が直線偏光でない場合に
は、ブリュースタ板等の偏光制御素子が固体レーザ素子
cとSHG素子dに配置されることがある。
【0005】以下、SH波の発生機構について説明す
る。
【0006】まず、集光レンズbにより集光されたLD
aの励起光(λLD=0.809μm)は固体レーザ素子
cの光学薄膜c1を通過して固体レーザ素子cを励起
し、そこで発生した基本波(λ0)は固体レーザ素子c
に設けられた光学薄膜c1と出力鏡eに設けられた光学
薄膜e1との間を共振し増幅される。この光学薄膜c1
と光学薄膜e1で構成されるファブリペロー干渉計がレ
ーザ共振器である。
【0007】上記基本波(λ0)はレーザ共振器内に閉
込められ増幅を繰返し、かつ、上記SHG素子dを通過
した基本波の一部はSH波に変換されこのSH波のみが
出力鏡eから出射する。従って、上記光学薄膜c1と光
学薄膜e1については基本波に対して反射率が高く、こ
の基本波をレーザ共振器内に閉込める機能を備えている
ことが要請される。もし、光学薄膜c1と光学薄膜e1
の基本波に対する反射率が僅かに低い場合には、基本波
に対して損失となりレーザ共振器内の基本波エネルギー
が極端に減少してしまうからである。
【0008】ここで、上記SHG素子dで変換されたS
H波は、SHG素子dの出力鏡e側へ出射するだけでな
くSHG素子dの固体レーザ素子c側へも出射するた
め、この固体レーザ素子c側へ出射したSH波がLDa
側へ漏れないように上記レーザ共振器内のいずれかの部
位で反射させなければならない。そこで、SHG素子d
の固体レーザ素子c側(光学薄膜d1に対応する部位)
若しくは固体レーザ素子cのSHG素子d側(光学薄膜
c2に対応する部位)のようなレーザ共振器内にSH波
の反射膜が配置された場合、基本波に対してレーザエネ
ルギーの損失となり基本波のレーザ発振効率を極端に低
下させ、かつ、SH波出力も大幅に低下する弊害が生ず
る。このため、一般的にはSH波の反射膜は固体レーザ
素子cの集光レンズb側(光学薄膜c1に対応する部
位)に設けられている。
【0009】ところで、上記固体レーザ素子cの集光レ
ンズb側に設けられる光学薄膜c1は、SH波に対する
高反射機能に加えて上述したようにレーザ共振器内の基
本波に対しても高反射機能を備えていることが要請さ
れ、更に、LDaの励起光に対し反射防止機能を有して
いることが必要となる。
【0010】そこで、従来においては、固体レーザ素子
cの集光レンズb側に設けられる上記光学薄膜c1につ
いてこれをSiO2等の低屈折率物質層とTa25等の
高屈折率物質層の多層薄膜で構成し、かつ、各薄膜の光
学的膜厚を適宜調整して基本波とSH波に対する高反射
機能とLDaからの励起光に対する反射防止機能を具備
させる方法が採られていた。例えば、図5に示すように
固体レーザ素子cから順にSiO2等の低屈折率物質層
と、Ta25等の高屈折率物質層を交互に39層積層さ
せた多層薄膜(但し、低屈折率物質層の光学的膜厚nL
・dLを1/4・λ0、高屈折率物質物質層の光学的膜厚
H・dHを1/4・λ0にそれぞれ設定している)にて
基本波(λ0)に対する高反射機能を具備させると共
に、この多層薄膜上に更に上記低屈折率物質層と高屈折
率物質層を交互に16層積層させた多層薄膜(但し、低
屈折率物質層の光学的膜厚nL・dLを1/4・λSH、高
屈折率物質物質層の光学的膜厚nH・dHを1/4・λSH
にそれぞれ設定している)にてSH波(λSH)に対する
高反射機能を具備させ、かつ、上記39層の多層薄膜の
一部と16層の多層薄膜の一部の薄膜についてその光学
的膜厚を適宜調整してLDaからの励起光に対する反射
防止機能を具備させていた。
【0011】また、光学薄膜の膜総数がこのように20
層以上になると膜界面からの散乱に起因したレーザエネ
ルギーの損失が大きな問題となる。
【0012】そこで、従来法においては、真空中におい
て酸素ガス又は酸素とアルゴンとの混合ガスに対し低エ
ネルギーを照射しながら蒸着を行うイオンアシスト真空
蒸着法を適用して上記低屈折率物質層と高屈折率物質層
を製膜し、そのグレイン(粒径)を細かくすることによ
り上記エネルギー損失の防止を図っていた。
【0013】尚、上記低屈折率物質層と高屈折率物質層
を上述したような酸化物系の蒸着物質で構成した場合、
蒸着中に酸素ガスを導入しているにも拘らず膜の酸素不
足に伴う着色現象が生ずるため、上記低屈折率物質層と
高屈折率物質層とで構成される光学薄膜を製膜後、この
光学薄膜に対し大気中あるいは酸素中でアニール処理を
施してその脱色を図っている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、固体レーザ
素子cの集光レンズb側に設けられた従来の光学薄膜c
1においては、上述したように低屈折率物質層の光学的
膜厚nL・dLが1/4・λ0、高屈折率物質物質層の光
学的膜厚nH・dHが1/4・λ0に設定された例えば3
9層の多層薄膜にて基本波(λ0)に対する高反射機能
を具備させる一方、SH波(λSH)に対しては低屈折率
物質層の光学的膜厚nL・dLが1/4・λSH、高屈折率
物質物質層の光学的膜厚nH・dHが1/4・λSHに設定
された例えば16層の多層薄膜にて個々に機能させてい
るため、39層と16層とで構成された55層の多層薄
膜についてその全ての薄膜を上記基本波(λ0)の反射
膜として機能させることは困難であった。
【0015】このため、基本波に対する反射率が不十分
となり基本波がLDa側へ僅かに漏れてレーザ発振効率
を低下させる問題点があった。
【0016】ここで、基本波とSH波に対する反射率を
同時に高めるためには上述した基本波に対する多層薄膜
とSH波に対する多層薄膜の膜総数を、例えば上記55
層より増やせばよいが、膜総数を増やすと膜界面で発生
する散乱による損失を増加させてしまう。そして、散乱
による基本波に対する損失が増加すればレーザ共振器内
の基本波エネルギーは減少し、上記出力鏡eから出射す
るSH波出力(すなわちグリーン出力)も低下してしま
う問題点があった。
【0017】また、従来においては上述したように低屈
折率物質層と高屈折率物質層とで構成される光学薄膜を
イオンアシスト真空蒸着法により製膜した後、この光学
薄膜に対し大気中あるいは酸素中でアニール処理を施し
てその脱色を図っているがこの脱色が十分になされない
ことがあった。
【0018】そして、この脱色が不十分で光学薄膜が着
色されていると上記基本波が吸収されてしまい、レーザ
共振器内の基本波エネルギーが減少して上記出力鏡eか
ら出射するSH波出力が更に低下する問題点があった。
【0019】本発明はこのような問題点に着目してなさ
れたもので、その課題とするところは、基本波のレーザ
発振効率が高められて第二高調波の出力増大を図れるL
D励起第二高調波発生固体レーザ装置とその製造方法を
提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上述したように基本波と
SH波に対する反射率を同時に高める手法として基本波
に対する多層薄膜とSH波に対する多層薄膜の膜総数を
増やす方法は膜界面で発生する散乱による損失を増加さ
せてしまうため好ましい手段ではなかった。
【0021】そこで、本発明者は以下に述べるような技
術的検討を経ることにより上記多層薄膜の膜総数を従来
方式より増やすことなく基本波とSH波に対する反射率
を同時に高める手法を考案し本発明を完成するに至っ
た。
【0022】すなわち、固体レーザ素子cの集光レンズ
b側に設けられる光学薄膜c1のSH波に対する反射は
SHG素子dで変換されたSH波を単に折り返す機能で
あるため、上記光学薄膜c1に僅かな透過損失があった
としてもその透過率に応じたグリーン出力しか低下しな
い。
【0023】これに対し、上記光学薄膜c1の基本波に
対する反射は基本波をレーザ共振器内に閉じ込め繰り返
し共振させる機能であるため、この光学薄膜c1に僅か
な透過損失があると基本波はこの透過損失の影響を繰り
返し受けることになり、レーザ共振器内の基本波エネル
ギーは極端に減少し、かつ、グリーン出力も極端に減少
してしまう。
【0024】従って、固体レーザ素子cの集光レンズb
側に設けられる光学薄膜c1については、SH波に対す
る反射率よりも基本波に対する反射率を高めることを重
視しなければならないことが分かった。
【0025】そこで、低屈折率物質層と高屈折率物質層
の多層薄膜で構成され、各薄膜の光学的膜厚を上述した
ように適宜調整して基本波とSH波に対する高反射機能
とLDaからの励起光に対する反射防止機能を具備させ
た従来の光学薄膜c1についてその見直しを行い、従来
の多層薄膜とその膜総数が略同一でより基本波に対する
反射率を向上させる手法として、ALFRED THE
LEN,JOURNAL OF THE OPTICA
L SOCIETY OF AMERICA,vol.
61,365(1971)に記載され、かつ、以下の概
念式、すなわち{A・(L/2) B・H A・(L/
2)}に基づき最適膜厚を決定するマイナスフィルタ
ー(Minus Filter)の設計の応用を試み
た。
【0026】ここで、Lは光学的膜厚nL・dLが1/4
・λ0の低屈折率物質層、Hは光学的膜厚がnH・dH
1/4・λ0の高屈折率物質層、nLとnHはそれぞれ低
屈折率物質層と高屈折率物質層の屈折率、dLとdHはそ
れぞれ低屈折率物質層と高屈折率物質層の物理的膜厚、
λ0は上記基本波の発振波長1.06μmであり、また
Pは整数で{A・(L/2) B・H A・(L/
2)}で構成される薄膜がP回繰返し積層されることを
意味すると定義すると、{A・(L/2) B・H A
・(L/2)}の膜構成で、A+B=2を条件にAと
Bの値を変化させると、P=20〜30の場合、A=
0.5〜0.7,B=1.3〜1.5のとき、SH波に
対する反射率が99.9%以上の波長範囲が約0.04
μm以上に、また、基本波に対する反射率が99.99
%以上の波長範囲が約0.12μm以上になることが確
認された。
【0027】尚、この波長範囲が狭いと、各層の光学的
膜厚が設計値よりも薄くなったり厚くなったりした場
合、上記光学薄膜c1の反射率が最も高い波長が基本波
の波長からずれて、基本波が反射率99.99%以上の
波長範囲からはずれてしまうことになる。従って、波長
範囲が広いことはこの光学薄膜作製時の各層の光学的膜
厚の誤差の許容範囲が広いことを意味する。
【0028】本発明はこのような技術的検討を経て完成
されたものである。
【0029】すなわち、請求項1に係る発明は、半導体
レーザと、半導体レーザからの励起光を集光する集光レ
ンズと、Ndドープ固体レーザ結晶から成り集光された
励起光が照射されて基本波を発生する固体レーザ素子
と、上記基本波が入射されこれを第二高調波に変換する
第二高調波発生素子を備え、かつ、低屈折率物質層と高
屈折率物質層の多層薄膜で構成され半導体レーザからの
励起光に対し反射防止機能を有すると共に上記基本波と
第二高調波に対し高反射機能を有する光学薄膜が上記固
体レーザ素子の集光レンズ側に設けられたLD励起第二
高調波発生固体レーザ装置を前提とし、上記光学薄膜
が、 空気 /{A・(L/2) B・H A・(L/2)}
/ 固体レーザ素子 (但し、Lは光学的膜厚nL・dLが1/4・λ0の低屈
折率物質層、Hは光学的膜厚がnH・dHが1/4・λ0
の高屈折率物質層、nLとnHはそれぞれ低屈折率物質層
と高屈折率物質層の屈折率、dLとdHはそれぞれ低屈折
率物質層と高屈折率物質層の物理的膜厚、λ0は上記基
本波の発振波長1.06μmである。
【0030】また、Pは整数で{A・(L/2) B・
H A・(L/2)}で構成される薄膜がP回繰返し積
層されることを意味し、かつ、A+B=2とする)で表
現されるP=20〜30の多層薄膜により構成され、か
つ、この多層薄膜の主要部がA=0.5〜0.7、B=
1.3〜1.5に設定されていることを特徴とするもの
である。
【0031】そして、この技術的手段においては上記マ
イナスフィルターの設計を応用してP=20〜30の多
層薄膜(固体レーザ素子の集光レンズ側に設けられた光
学薄膜)についてその主要部を構成する各薄膜が上記基
本波とSH波に対して高反射膜を構成するため、従来の
多層薄膜とその膜総数が略同一にも拘らず基本波とSH
波に対する反射率を同時に高めることが可能となる。
【0032】ここで、本発明において{A・(L/2)
B・H A・(L/2)}のPの値は、基本波にお
ける理論反射率を約99.999%以上にするため20
〜30に設定されている。そして、P=20のときは4
1層であり、P=30のときは61層である。尚、Pを
30を越える値に設定しない理由は、上記多層薄膜の反
射率をこれ以上向上させても、結晶の散乱、吸収あるい
は反射防止膜の散乱、吸収、反射による損失の方が大き
くなり、これ以上グリーン出力の向上が望めないからで
ある。
【0033】尚、この多層薄膜については、従来と同
様、その一部薄膜についてその光学的膜厚を適宜調整し
て半導体レーザからの励起光に対する反射防止機能を具
備させている。すなわち、上記LDからの励起光を固体
レーザ素子に効率よく入射させるため、空気側から2層
以上8層以内と固体レーザ素子から2層以上8層以内の
各層の光学的膜厚について、LDからの励起光の波長
0.809μmを中心とした±0.02μm以上の範囲
でその反射率が0.5%以下になるように調整されてい
る。
【0034】そして、この光学的膜厚の調整には、波長
による反射率を条件にして膜厚を変化させその最適値を
求めるシンプレックス法を用いている。すなわち、コン
ピュータを用いて空気側から2層以上8層以内と固体レ
ーザ素子側から2層以上8層以内の各層の光学的膜厚を
少しずつ増減させて、LDからの励起光の波長0.80
9μmを中心とした±0.02μm以上の範囲でその反
射率が0.5%以下になるような光学的膜厚を見つけ出
した。尚、光学的膜厚を調整する層数を空気側から2層
以上8層以内、かつ、固体レーザ素子から2層以上8層
以内に設定した理由は以下の通りである。すなわち、光
学的膜厚を調整する層数は少なければ少ないほど一定の
高屈折率物質層と高屈折率物質層の繰り返しになるので
膜厚制御が容易になるが、波長0.809μmを中心と
した±0.02μm以上の範囲でその反射率が0.5%
以下になるようにするには少なくとも各2層以上は調整
しなければならず、一方、各8層調整すると反射率は
0.1%以下になるがこれ以上反射率を低減させる必要
がない。従って、光学的膜厚を調整する層数を空気側か
ら2層以上8層以内、かつ、固体レーザ素子から2層以
上8層以内に設定している。
【0035】次に、請求項2に係る発明は、Ta25
HfO2、及び、ZrO2より選択された高屈折率物質層
が酸素ガス又は酸素とアルゴンとの混合ガスを用いたイ
オンアシスト真空蒸着法にて製膜される請求項1記載の
LD励起第二高調波発生固体レーザ装置を製造する方法
を前提とし、上記高屈折率物質層の製膜初期段階のみイ
オンアシストを停止した条件でイオンアシスト真空蒸着
法により所定の光学的膜厚の高屈折率物質層を製膜し、
かつ、これを繰返して低屈折率物質層と高屈折率物質層
とで構成される所定の多層薄膜を製膜した後、この多層
薄膜を大気中あるいは酸素中で200〜400度の温度
条件で10時間以上アニール処理することを特徴とする
ものである。
【0036】そして、上記高屈折率物質層の製膜初期段
階のみイオンアシストを停止した条件でイオンアシスト
真空蒸着法によりTa25、HfO2、及び、ZrO2
り選択された高屈折率物質層を製膜すると、従来法に反
してその後の大気中あるいは酸素中でのアニール処理に
より光学薄膜の脱色をより完全に行うことが可能とな
る。
【0037】このような脱色が図れる理由として本発明
者は以下のように推論している。すなわち、従来法のよ
うに連続してイオンアシストを行いながら上記高屈折率
物質層を連続製膜した場合、イオンアシストにより下地
の層とその上の成長初期段階の層が反応してアニールで
は脱色され難い被膜が膜界面に形成されていると思われ
る。これに対し、製膜初期段階のみイオンアシストを停
止した条件でイオンアシスト真空蒸着法により高屈折率
物質層を製膜すると上記被膜が形成されないためアニー
ル処理による脱色が改善されるものと推論している。
【0038】尚、低屈折率物質層であるSiO2膜につ
いては、イオンアシストを行ってもグレインサイズが小
さくなる効果は確認されなかった。そして、イオン加速
電圧が約500V以上であるとSiO2膜が僅かに着色
することがあるが、低エネルギーであればSiO2膜の
蒸着時にイオンアシストを行っても何等差し支えないこ
とも確認している。
【0039】
【作用】請求項1に係る発明によれば、固体レーザ素子
の集光レンズ側に設けられた光学薄膜が、 空気 /{A・(L/2) B・H A・(L/2)}
/ 固体レーザ素子 (但し、Lは光学的膜厚nL・dLが1/4・λ0の低屈
折率物質層、Hは光学的膜厚がnH・dHが1/4・λ0
の高屈折率物質層、nLとnHはそれぞれ低屈折率物質層
と高屈折率物質層の屈折率、dLとdHはそれぞれ低屈折
率物質層と高屈折率物質層の物理的膜厚、λ0は上記基
本波の発振波長1.06μmである。
【0040】また、Pは整数で{A・(L/2) B・
H A・(L/2)}で構成される薄膜がP回繰返し積
層されることを意味し、かつ、A+B=2とする)で表
現されるP=20〜30の多層薄膜により構成され、か
つ、この多層薄膜の主要部がA=0.5〜0.7、B=
1.3〜1.5に設定されており、これ等の設定に基づ
きP=20〜30の多層薄膜についてその主要部を構成
する各薄膜が上記基本波とSH波に対して高反射膜を構
成するようになるため、従来の多層薄膜とその膜総数が
略同一にも拘らず基本波とSH波に対する反射率を同時
に高めることが可能となる。
【0041】また、請求項2に係る発明によれば、Ta
25、HfO2、及び、ZrO2より選択された高屈折率
物質層の製膜初期段階のみイオンアシストを停止した条
件でイオンアシスト真空蒸着法により所定の光学的膜厚
の高屈折率物質層を製膜し、かつ、これを繰返して低屈
折率物質層と高屈折率物質層とで構成される所定の多層
薄膜を製膜しているため、製膜後において上記多層薄膜
を大気中あるいは酸素中で200〜400度の温度条件
で10時間以上アニール処理することにより光学薄膜の
脱色をより完全に行うことが可能となる。
【0042】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照して詳細
に説明する。
【0043】まず、この実施例に係るLD励起グリーン
レーザ装置は、従来の装置と同様、図1に示すようにL
D1と、その両端面に光学薄膜21、22が設けられた
集光レンズ2と、両端面に光学薄膜31、32が設けら
れその屈折率nsが2.17のNdドープYVO4 結晶
から成る固体レーザ素子3と、両端面に光学薄膜41、
42が設けられたKTP結晶から成るSHG素子4と、
SHG素子4側の端面に光学薄膜51が設けられた出力
鏡5とでその主要部が構成されている。
【0044】そして、固体レーザ素子3の集光レンズ2
側に設けられた光学薄膜31は、図2に示すように屈折
率nLのSiO2(低屈折率物質)と、屈折率nHのTa2
5(高屈折率物質)による55層の多層薄膜にて構成
されている。
【0045】以下、{A・(L/2) B・H A・
(L/2)}の概念式を用いて上記光学薄膜31を構
成する各層の光学的膜厚を求める。
【0046】ここで、Lは光学的膜厚nL・dLが1/4
・λ0の低屈折率物質層、Hは光学的膜厚がnH・dH
1/4・λ0の高屈折率物質層、nLとnHはそれぞれ低
屈折率物質層と高屈折率物質層の屈折率、dLとdHはそ
れぞれ低屈折率物質層と高屈折率物質層の物理的膜厚、
λ0は上記基本波の発振波長1.06μmであり、また
Pは整数で{A・(L/2) B・H A・(L/
2)}で構成される薄膜がP回繰返し積層されることを
意味すると定義すると、{A・(L/2) B・H A
・(L/2)}の膜構成で、P=27(膜総数が55
層に対応する)のとき、A=0.6、B=1.4に設定
すると、SH波に対する反射率が99.9%以上の波長
範囲が約0.04μm以上に、また、基本波に対する反
射率が99.99%以上の波長範囲が約0.12μm以
上になった。
【0047】更に、上記光学薄膜31の空気側から6層
以内と固体レーザ素子3側から6層の各層の光学的膜厚
をLD1からの励起光の波長0.809μmを中心とし
た±0.02μm以上の範囲でその反射率が0.5%以
下になるようにシンプレックス法を用いてコンピュータ
により求めた。
【0048】そして、最終的に決定した上記光学薄膜3
1の膜構成を以下の表1に、また、この分光反射特性を
図3に示す。
【0049】
【表1】 次に、上記光学薄膜31の製膜方法について説明する。
【0050】まず、NdドープYVO4 結晶から成る固
体レーザ素子3を洗剤、有機溶剤等を用いて音波洗浄を
行った。次いで、イオンアシスト真空蒸着装置内に上記
試料(すなわち、固体レーザ素子3)をセットした後、
300℃に加熱しながら1×10-6Torrまで排気し
た。Ta25膜の蒸着時には、酸素ガス1×10-4To
rrまで導入した。イオンアシスト(イオン化ガス:酸
素、加速電圧:150V、加速電流:10mA)はTa
25膜の蒸着時のみ行い、Ta25膜の蒸着開始30秒
後からイオンアシストを行った。蒸着速度は、SiO2
膜は0.5nm/sec、Ta25膜は0.3nm/s
ecで行った。光学的膜厚の制御には光学的干渉モニタ
ーを用いた。
【0051】尚、比較例として、従来技術において詳述
したSiO2とTa25を用いて構成した55層の多層
薄膜を上記NdドープYVO4 結晶から成る固体レーザ
素子に製膜して求めた。
【0052】そして、実施例において作製した光学薄膜
が形成された固体レーザ素子と比較例に係る固体レーザ
素子についてその基本波の透過率を測定すると共に、こ
れ等固体レーザ素子を500mW励起グリーンレーザ装
置に各々組込んでそのグリーン出力を測定した。
【0053】この測定結果を以下の表2に示す。
【0054】
【表2】 『確認』表2に示された基本波の透過率とSH波出力
(グリーン出力)の値から、実施例に係る500mW励
起グリーンレーザ装置は従来例に係る装置に較べて基本
波を閉じ込める機能が高いため、そのグリーン出力が約
20%向上していることが確認できる。
【0055】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、従来の多
層薄膜とその膜総数が略同一にも拘らず基本波とSH波
に対する反射率を同時に高めることが可能となる。
【0056】従って、基本波のレーザ発振効率が高めら
れるためLD励起第二高調波発生固体レーザ装置におけ
る第二高調波の出力増大が図れる効果を有している。
【0057】また、請求項2に係る発明によれば、固体
レーザ素子の集光レンズ側に設けられる光学薄膜の脱色
を従来法と較べてより完全に行えるため、基本波の吸収
が避けられて上記第二高調波の出力をより増大できる効
果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るLD励起グリーンレーザ装置の概
略構成図。
【図2】実施例に係る光学薄膜31の膜構成を示す概略
概念図。
【図3】実施例に係る光学薄膜の分光反射特性を示すグ
ラフ図。
【図4】従来のLD励起グリーンレーザ装置の概略構成
図。
【図5】従来例に係る光学薄膜の膜構成を示す概念図。
【符号の説明】
1 半導体レーザ(LD) 2 集光レンズ 3 固体レーザ素子 4 SHG素子 5 出力鏡 21、22 光学薄膜 31、32 光学薄膜 41、42 光学薄膜 51 光学薄膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体レーザと、半導体レーザからの励起
    光を集光する集光レンズと、Ndドープ固体レーザ結晶
    から成り集光された励起光が照射されて基本波を発生す
    る固体レーザ素子と、上記基本波が入射されこれを第二
    高調波に変換する第二高調波発生素子を備え、かつ、低
    屈折率物質層と高屈折率物質層の多層薄膜で構成され半
    導体レーザからの励起光に対し反射防止機能を有すると
    共に上記基本波と第二高調波に対し高反射機能を有する
    光学薄膜が上記固体レーザ素子の集光レンズ側に設けら
    れたLD励起第二高調波発生固体レーザ装置において、 上記光学薄膜が、 空気 /{A・(L/2) B・H A・(L/2)}
    / 固体レーザ素子 (但し、Lは光学的膜厚nL・dLが1/4・λ0の低屈
    折率物質層、Hは光学的膜厚がnH・dHが1/4・λ0
    の高屈折率物質層、nLとnHはそれぞれ低屈折率物質層
    と高屈折率物質層の屈折率、dLとdHはそれぞれ低屈折
    率物質層と高屈折率物質層の物理的膜厚、λ0は上記基
    本波の発振波長1.06μmである。また、Pは整数で
    {A・(L/2) B・H A・(L/2)}で構成さ
    れる薄膜がP回繰返し積層されることを意味し、かつ、
    A+B=2とする)で表現されるP=20〜30の多層
    薄膜により構成され、かつ、この多層薄膜の主要部がA
    =0.5〜0.7、B=1.3〜1.5に設定されてい
    ることを特徴とするLD励起第二高調波発生固体レーザ
    装置。
  2. 【請求項2】Ta25、HfO2、及び、ZrO2より選
    択された高屈折率物質層が酸素ガス又は酸素とアルゴン
    との混合ガスを用いたイオンアシスト真空蒸着法にて製
    膜される請求項1記載のLD励起第二高調波発生固体レ
    ーザ装置を製造する方法において、 上記高屈折率物質層の製膜初期段階のみイオンアシスト
    を停止した条件でイオンアシスト真空蒸着法により所定
    の光学的膜厚の高屈折率物質層を製膜し、かつ、これを
    繰返して低屈折率物質層と高屈折率物質層とで構成され
    る所定の多層薄膜を製膜した後、この多層薄膜を大気中
    あるいは酸素中で200〜400度の温度条件で10時
    間以上アニール処理することを特徴とするLD励起第二
    高調波発生固体レーザ装置を製造する方法。
JP34184092A 1992-12-22 1992-12-22 Ld励起第二高調波発生固体レーザ装置とその製造方法 Pending JPH06188500A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34184092A JPH06188500A (ja) 1992-12-22 1992-12-22 Ld励起第二高調波発生固体レーザ装置とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34184092A JPH06188500A (ja) 1992-12-22 1992-12-22 Ld励起第二高調波発生固体レーザ装置とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06188500A true JPH06188500A (ja) 1994-07-08

Family

ID=18349156

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34184092A Pending JPH06188500A (ja) 1992-12-22 1992-12-22 Ld励起第二高調波発生固体レーザ装置とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06188500A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011132414A1 (ja) * 2010-04-23 2011-10-27 パナソニック株式会社 波長変換レーザ光源及び画像表示装置
US20220043196A1 (en) * 2020-08-07 2022-02-10 Optical Coatings Japan Ultraviolet ray transmissive filter and method for producing same

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011132414A1 (ja) * 2010-04-23 2011-10-27 パナソニック株式会社 波長変換レーザ光源及び画像表示装置
US8456734B2 (en) 2010-04-23 2013-06-04 Panasonic Corporation Wavelength conversion laser light source and image display device
US20220043196A1 (en) * 2020-08-07 2022-02-10 Optical Coatings Japan Ultraviolet ray transmissive filter and method for producing same
US11762139B2 (en) * 2020-08-07 2023-09-19 Optical Coatings Japan Ultraviolet ray transmissive filter and method for producing same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5513039A (en) Ultraviolet resistive coated mirror and method of fabrication
JPS6315757B2 (ja)
JPH06188500A (ja) Ld励起第二高調波発生固体レーザ装置とその製造方法
JPH0716038B2 (ja) 気体レーザー
JP3979814B2 (ja) 光学薄膜の製造方法
JP3509543B2 (ja) 半導体レーザ素子の製造方法
JPH07221383A (ja) Ld励起第二高調波発生固体レーザ装置
JPH0682862A (ja) 半導体レーザ励起固体レーザ装置
JPH0777601A (ja) 二波長反射防止膜
JP3646158B2 (ja) 誘電体多層膜分散補償反射鏡
JPH07154033A (ja) 半導体レーザ励起第2高調波発生固体レーザ装置
JPH02247601A (ja) レーザ素子の反射防止膜
KR100397599B1 (ko) 비선형단결정레이저소자
JP3084784B2 (ja) アルゴンガスレーザミラー
JPH10150238A (ja) 光パラメトリック発振器とその設計方法
JPH04333834A (ja) 誘電体多層反射防止膜
US20080160329A1 (en) Multilayer coating for quasi-phase-matching element
KR100266539B1 (ko) 제2고조파발생용케이티피반사방지막
KR100287114B1 (ko) 제2고조파발진기용니오듐:이트륨바나데이트결정의반사방지막제조방법
KR100287113B1 (ko) 제2고조파발진기용니오듐;이트륨바나데이트결정의반사방지막
JPH0792515A (ja) 光パラメトリック発振による波長変換装置
JP2004281595A (ja) 固体レーザ装置
JPH07135367A (ja) 反射鏡およびこれを用いた波長可変レーザ装置
Rymzhina et al. Interference coating calculation for DPSS laser cavity end mirror
KR100287112B1 (ko) 제2고조파발진기용니오듐:이트륨알루미늄가네트결정의반사방지막