JPH061875Y2 - 自動車のリヤシ−ト装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車におけるシートクッションが前後方向
にスライドするリヤシート装置に関するものである。

（従来技術） 従来より、リヤシートのシートクッションを前後方向に
スライドするようにした自動車のリヤシートは公知であ
る。そして、シートクッションとシートバックとを連結
している場合には、上記シートクッションのスライドに
対して、シートバックは傾動および上下移動するように
設けないと追随しないものである。

そこで、例えば、実開昭５９−８８３３１号に見られる
ように、シートバックを上下に分割し、両者をヒンジで
連結し、シートクッションの移動に対して下部シートバ
ックが傾動し、上部シートバックが上下移動するように
した構造が提案されている。しかし、その構造は複雑で
部品点数も多く、組付け性が不利となるものである。

また、シートバックにヘッドレストを取付けるようにし
たものにおいては、通常、ヘッドレストはシートバック
フレームに対して固定するようにしており、ヘッドレス
トの堅固な固定を得るためにはシートバックフレームの
剛性を向上することが必要である。

（考案の目的） 本考案は上記事情に鑑み、リヤシートのシートクッショ
ンを前後方向にスライドするについて、シートバックの
上下方向のスライド機構を不要とするとともに、ヘッド
レストを取り付ける構造を単純化した自動車のリヤシー
ト装置を提供することを目的とするものである。

（考案の構成） 本考案のリヤシート装置は、シートバックの上部に位置
する部分の車体に前方に突出する支持部を設ける一方、
シートバックの裏面にはこの支持部が嵌り込む凹部を形
成し、ヘッドレストの下方に延びるステーをシートバッ
クに上方から上記凹部を貫通して挿通して固定する際
に、凹部内で支持部に形成した支持孔に挿通することに
よりシートバックを車体に固定するとともに、上記支持
部の支持孔に挿通されたステーの傾動を許容する許容部
材を設け、さらに、前後移動自在なシートクッションに
対してシートバック下端部を長孔を介して軸支し、シー
トクッション前方移動時にはシートバックが前記ステー
の支持部を支点として傾動するようにしたことを特徴と
するものである。

（考案の効果） 本考案によれば、ヘッドレストのステーをシートバック
の上部から車体支持部に対して差込むだけでシートバッ
クを車体に固定するとともに、このヘッドレストを取付
けることができるものであり、その構造は単純で、堅固
なヘッドレストの取付強度が簡単に得られる。また、シ
ートクッションの前後移動に対して、シートバックが長
孔を介した連係と、支持部を支点として傾動することで
追従でき、シートバックにスライド機構を不要として所
定の動作が簡単な構成で得られ、部品点数も少なく、コ
スト、生産性の点で有利となる。

（実施例） 以下、図面により本考案の実施例を説明する。

第１図はリヤシートの全体側面図、第２図は上部の断面
側面図である。

リヤシート１はシートクッション２とシートバック３と
ヘッドレスト４とからなり、このリヤシート１は車体５
の後部パネルに対して固定されるものである。

上記シートクッション２はレール部材６によって車体５
の床部５ａに前後動自在に支持され、シートバック３は
下端部のブラケット７に形成された長孔７ａがシートク
ッション２の後端部に設けられたピン８と係合して軸支
されている。このシートバック３の上部は車体５のリヤ
パッケージパネル５ｂの前方に突設された支持部９にヘ
ッドレスト４の装着によって固定されるものである。

上記シートバック３は上部裏面にシートフレーム１０が
内側に屈曲形成されて凹部１１が設けられ、一方、前記
車体５のリヤパッケージパネル５ｂの前面部には、シー
トバック３の上部に対応して位置する部分に前方に突出
して支持部９が固着されている。この支持部９は、上記
シートバック３の凹部１１に嵌り込むように設けられて
いる。また、シートバック３の凹部１１の上下面のシー
トフレーム１０には左右に支持孔１２が開口されるとと
もに、この支持孔１２の開口内周にはリング状のブッシ
ュ１３がそれぞれ嵌合されている。一方、車体５の支持
部９はプレート材で形成され、その基部が車体５に固着
されて横方向に延びるとともに、左右には縦方向に貫通
して支持孔９ａが形成され、この支持孔９ａには同様に
プラスチック等によるリング状のブッシュ１４が装着さ
れている。そして、上記支持部９の支持孔９ａに装着さ
れたブッシュ１４は、その弾性変形によりまたは内孔縁
のテーパ形状により、このブッシュ１４内に挿通される
後述のヘッドレスト４のステー１５の傾動を許容する許
容部材に構成されている。

前記ヘッドレスト４は本体部４ａと左右の下方に延びる
ステー１５とからなり、このステー１５が上記シートバ
ック３の支持孔１２および支持部９の支持孔９ａすなわ
ち各ブッシュ１３，１４の内孔に挿通されるものであ
る。このステー１５はシートバック３に対しては、凹部
１１の上下２点のブッシュ１３，１３で支持される一
方、支持部９に対しては１点のブッシュ１４で支持さ
れ、この支持部９による支持点を支点として、該ステー
１５すなわちシートバック３はその下部が揺動自在とな
るように保持されている。

上記構造において、リヤシート１のシートバック３の固
定は、シートバック３を車体５に対して押付け、その裏
面の凹部１１に車体５の支持部９が嵌り込む位置に装着
した後、ヘッドレスト４のステー１５をシートバック３
の上部から凹部１１および支持部９の支持孔１２，９ａ
にそのブッシュ１３，１４に順に挿入し、シートバック
３を車体５に固体するとともに、ヘッドレスト４をシー
トバック３に取付けるものである。また、シートバック
３もしくはヘッドレスト４を外す場合には、ヘッドレス
ト４を持上げて、ステー１５を支持孔１２，９ａから引
き抜くことにより、シートバック３の取外しが可能とな
るものである。

上記構造によれば、シートクッション２が第１図および
第２図に実線で示す後退位置にある時には、シートバッ
ク３下端の長孔７ａの上端部にシートクッション２のピ
ン８は位置している。この状態から、破線で示すように
前方にシートクッション２をスライド移動した場合に
は、シートバック３の下端部はシートクッション２の移
動に対して前方に移動するが、シートクッション２のピ
ン８は長孔７ａを下方に移動して、シートバック３の傾
動に伴う両者の係合位置の変化が吸収される。

一方、シートバック３の上部では、ヘッドレスト４のス
テー１５が、支持部９の支持孔９ａに許容部材としての
ブッシュ１４の装着により、この車体支持部９での支持
点を支点としての傾動が許容され、シートバック３全体
が傾動するものである。その際、シートバック３の傾動
に伴って、ステー１５が支持部９の支持孔９ａを下降す
るように移動してもよいが、長孔７ａによってその移動
が不要なようにされている。

また、シートバック３はヘッドレスト４を装着するだけ
で車体５に固定できて、その固定構造が簡略化されると
ともに、ヘッドレスト４が車体５の支持部９に対して支
持されることにより、その取付強度が向上するものであ
る。

なお、上記実施例においては、シートクッション２後端
部にピン８を、シートバック３下端部に長孔７ａを有す
るブラケット７を設けるようにしているが、シートクッ
ション２側に長孔を有するブラケットを設け、シートバ
ック３側にこれと係合するピンを設けるようにしてもよ
いものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例におけるリヤシート装置を一
部断面にして示す全体側面図、 第２図はリヤシート上部の断面側面図である。 １……リヤシート、２……シートクッション ３……シートバック、４……ヘッドレスト ４ａ……本体部、５……車体 ６……レール部材、７ａ……長孔 ９……支持部、１０……シートフレーム １１……凹部、９ａ，１２……支持孔 １３，１４……ブッシュ １５……ステー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートクッションとシートバックとヘッド
   レストとからなるリヤシートを車体に取付ける自動車の
   リヤシート装置において、シートバックの上部に対応し
   て位置する車体に前方に突出する支持部が形成され、一
   方、上記シートバックの裏面には該支持部が嵌り込む凹
   部が形成され、前記ヘッドレストは本体部と下方に延び
   るステーとからなり、該ステーはシートバックに上方か
   ら上記凹部を貫通して挿通されて該シートバック上部に
   固定されるとともに、凹部内のステーは前記支持部に形
   成された支持孔に挿通されてシートバックが車体に固定
   され、上記支持部の支持孔には挿通されたステーの傾動
   を許容する許容部材が設けられ、前記シートクッション
   はレール部材によって前後移動自在に支持され、シート
   バック下端部は該シートクッションに対して長孔を介し
   て軸支され、このシートバックはシートクッション前方
   移動時には前記ステーの支持部を支点として傾動するよ
   うにしたことを特徴とする自動車のリヤシート装置。