JPH06184638A - 均一なグラス皮膜を有し、磁気特性の著しく優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
均一なグラス皮膜を有し、磁気特性の著しく優れた方向性電磁鋼板の製造方法Info
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Abstract
優れた方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。 【構成】 方向性電磁鋼板の製造に当り、脱炭焼鈍工程
において生成する酸化膜成分が〔(Fe、Mn)O〕a
・〔SiO2 〕b中Fe、Mn分が(FeO+MnO)
/酸化膜中全SiO2 として0.10〜0.50とな
り、且つ酸化膜中全SiO2 が0.60〜1.70g/
m2 となるように脱炭焼鈍する。また、脱炭焼鈍後の酸
化膜中全SiO2 形成量を下記式により制御することか
らなる。 【数1】 (t:板厚(mm)、W:酸化膜中全SiO2量(g/
m2)、0.15≦t≦0.4 )
Description
方法に関わり、グラス皮膜が優れ磁気特性の優れた高磁
束密度方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
て主としてトランスその他の電気機器の鉄心材料として
使用されるもので、磁気特性として励磁特性と鉄損特性
の良好なものが要求される。良好な磁気特性を得るため
には磁化容易軸である<001>軸を圧延方向に高度に
揃えることが重要である。また、板厚、結晶粒度、固有
抵抗、皮膜等も磁気特性に大きい影響を与えるため重要
である。結晶の方向性については、AlN、MnSをイ
ンヒビターとする高圧下最終冷延を特徴とする方法によ
り大幅に向上し、現在では磁束密度がほぼ理論値に近い
ものまで製造されるようになって来た。
への技術が進歩し、鉄損特性もかなりのレベルまで改善
されて来ている。方向性電磁鋼板の需要家における使用
時において、磁気特性と共に重要なのは皮膜特性であ
る。これは、皮膜特性が方向性電磁鋼板を利用したトラ
ンス鉄心において絶縁性のみならず、ビルディングファ
クターや騒音に影響する磁歪、歪敏感度等に対して大き
い影響を与えるからである。この方向性電磁鋼板の皮膜
特性は、このように製品特性に対する多大な影響を与え
ると共に、その皮膜形成過程においては鋼板中のインヒ
ビターの制御の面から重要な役割をもっているため、高
磁束密度、低鉄損の方向性電磁鋼板を得るためにも製造
過程での形成速度、量、質を厳密にコントロールして形
成することが重要である。
で形成するグラス皮膜(一次皮膜:フォルステライト+
スピネル)とヒートフラットニング時に形成される絶縁
皮膜(二次皮膜)の2層皮膜によって表面処理がなされ
ている。グラス皮膜は焼鈍分離剤のMgOと脱炭焼鈍時
に形成したSiO2 主体の酸化膜との反応により形成す
るフォルステライト皮膜を主成分とし、本発明のように
Al鋼成分に利用する場合にはAl2 O3 や他の焼鈍分
離剤添加物等によりもたらされる酸化物成分やこれらに
よるスピネル構造の化合物によって構成されている。こ
のグラス皮膜はその張力効果によって絶縁性、鉄損、磁
歪等を改善する一方、形成状態によっては磁束密度、占
積率、密着性、加工性、製品外観を低下させたり、張力
による鉄損改善効果にも差異を生じる。また、このグラ
ス皮膜は本発明のようにインヒビターとしてAlN、M
nS等を利用する場合には、その形成時期、形成速度、
形成量等が鋼板界面において雰囲気ガスからのNの侵入
をコントロールしたり、逆に鋼中からのインヒビターの
分解挙動に多大な影響を及ぼす。このため、適正量のグ
ラス皮膜を適正時期に形成させることは皮膜特性と磁気
特性を両立した製品を得る上で重要で、このための新技
術開発のニーズは高まっている。
皮膜や磁気特性を改善する技術としては数々の提案がな
されている。特開昭59−185725号公報には本発
明と同様な素材の高磁束密度方向性電磁鋼板の脱炭焼鈍
工程において、脱炭焼鈍後における鋼板の酸素量を、−
2500X+1163≦Y≦−2500+1413(但
しX:鋼板の板厚(mm)、Y:鋼板の酸素量(pp
m))式で与えられる範囲に制御するものである。前記
公報記載の発明は磁気特性の優れる高磁束密度方向性電
磁鋼板の製造方法として、脱炭焼鈍で形成する酸化皮膜
の〔O〕量を特定域にコントロールすることで、高磁束
密度且つ低鉄損の特性が得られるというもので、〔O〕
量と板厚の関係で磁気特性への影響が述べられている。
また、特開昭60−103173号公報には低鉄損を得
るための製造方法として、最終冷延された冷延板に脱炭
焼鈍を施すに際し、冷延鋼板が0.25mm以下の板厚
を有し、該鋼板の表面に脱炭焼鈍で形成される酸化層の
酸素目付量Os(g/m2 )を上記板厚に応じ、次式4
t+1.6≧Os≧−8t+8.1(tは板厚(m
m))の範囲に制御する一方向性珪素鋼板の製造方法が
提案されている。しかし、これらの酸化皮膜によるグラ
ス皮膜、磁性等の制御技術は酸化膜の酸素量に注目して
いるもので、質、反応性等に関する研究には至っていな
い。このため、高磁束密度の方向性電磁鋼板の製造にお
いてグラス皮膜や磁気特性を向上する上で未だ安定した
技術を提供するに至っていない。
皮膜を有し、磁気特性の著しく優れた方向性電磁鋼板の
製造方法を提供することを目的とする。
の製造方法は、鋼成分としてC;0.021〜0.07
5%、Si;2.5〜4.5%、Mn;0.05〜0.
45%、S≦0.014%、Al;0.010〜0.0
40%、N;0.0030〜0.0130%、Sn;
0.03〜0.50%を含有し、残部がFe及び不可避
の不純物からなるスラブを、1280℃未満の温度に加
熱後、熱延し、得られた熱延板を必要に応じて熱延板焼
鈍した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷延に
より最終板厚とし、脱炭焼鈍し、窒化処理の後、焼鈍分
離剤を塗布し、高温仕上焼鈍することを基本工程とす
る。
均一なグラス皮膜を有し、磁気特性の著しく良好な方向
性電磁鋼板の製造方法は、脱炭焼鈍〜仕上焼鈍工程に特
徴がある。最終冷延された素材は連続ラインにおいて脱
炭焼鈍される。この脱炭焼鈍により鋼中のCの除去と一
次再結晶が行われ、同時に鋼板表面にSiO2 を主成分
とする酸化膜の形成が行われる。本発明においてはその
際に脱炭焼鈍雰囲気の酸化度として熱化学平衡上FeO
を生成しないFe2 SiO4 生成領域で行うのが良質の
酸化膜を得る上で重要である。本発明の成分系では、こ
のような雰囲気条件では鋼板最表層部に{(Fe、M
n)O}a ・{SiO2 }b の酸化層を生成し、内層部
にSiO2 主体のヌードル状に発達した酸化層を生成す
るのが特徴である。生成条件としては表層部の{(F
e、Mn)O}a ・{SiO2 }b が(FeO+Mn
O)/酸化膜中全SiO2 として0.10〜0.50、
且つ酸化膜中全SiO2 が0.6〜1.7g/m2 とな
るように脱炭焼鈍される。また、その際のSiO2 量は
板厚に応じて、下記式により制御される。
O2 量(g/m2 )、0.15≦t≦0.4) 本発明ではこのように酸化膜を制御するために脱炭焼鈍
条件としては、好ましくは800〜875℃の温度にお
いて、N2 +H2 雰囲気下で、PH2 O/PH 2 、均熱
時間、加熱速度、ガス量等を調節して焼鈍を行う。
おいて窒化処理が行われる。その際の最適窒化量は一次
再結晶粒にもよるが、好ましくは150〜300ppm
として処理される。次いで、焼鈍分離剤として水和水分
1.5〜5.0%のMgO100重量部に対し、Ti、
Sb、Zr、Sr、Cu、Mn、Na、Kの酸化物、硫
化物、硫酸塩、硼酸塩、塩化物の1種または2種以上を
0.1〜10重量部添加した焼鈍分離剤が塗布され、コ
イルに巻取られる。
焼鈍が行われる。本発明においてはこの仕上焼鈍の昇温
時の雰囲気が重要で、1200℃までの雰囲気ガスとし
てN 2 /(N2 +H2) ≧0.25のガスが用いられ
る。1200℃に到達後の雰囲気ガスはH2 100%と
して焼鈍される。この仕上焼鈍では二次再結晶、純化、
グラス皮膜形成が行われる。
鋼帯は、連続ラインにおいて800〜900℃で絶縁皮
膜処理とヒートフラットニングが行われる。方向性電磁
鋼板においては、前述の如く、グラス皮膜の形成状態と
共に皮膜張力が鉄損特性、磁歪特性の改善に効果的であ
り、このため、例えば特公昭53−28375号公報に
記載されているようなリン酸−コロイダルシリカ系の張
力付与型のコーティング剤を塗布し、焼付処理される。
また、さらに鉄損の改善を行う場合には、ヒートフラッ
トニングの前または後にレーザー、歯形ロール、プレス
ロール、ケガキ、局部エッチング等により、深さ1〜3
0μm、間隔2〜15mmで圧延方向に対し、45〜9
0°の方向に点状または線状の歪あるいは溝が付与され
る。
窒化処理を行い、(Al、Si)N主体のインヒビター
を形成し、焼鈍分離剤と最終仕上焼鈍条件によって良質
のグラス皮膜と優れた磁気特性を得るためには、脱炭酸
化膜の質、量、焼鈍分離剤、仕上焼鈍条件を特定域に制
御することが重要であることを膨大な実験と研究を行い
つきとめた。
うことにより、グラス皮膜の形成が昇温時低温側で開始
し、シール性の良好な皮膜を形成することにより、昇温
時後段の900℃以後における鋼板表面の追加酸化等を
防止して、均一で、磁性に有害な内部皮膜層の少ない良
好な皮膜と優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板の製
造技術の開発に至ったものである。
について述べる。出発材のスラブは、重量でC;0.0
21〜0.075%、Si;2.5〜4.5%、Mn;
0.05〜0.45%、S;≦0.014%、Al;
0.010〜0.040%、N;0.0030〜0.0
130%、Sn;0.03〜0.50%を含有し、残部
はFe及び不可避の不純物からなる。
次再結晶が不安定となり、二次再結晶した場合にも製品
の磁束密度がB8 で1.80Tesla程度と低いもの
になる。一方、0.075%超になると、脱炭焼鈍工程
で長時間を要するため、生産性を阻害する。Siはその
含有量によって製品板の固有抵抗が変化する。2.5%
未満では良好な鉄損値が得られず、一方4.5%超と多
くなりすぎると冷延時に割れ、破断が多発し、安定した
冷延作業を不可能にする。
Sを0.014%以下とすることである。従来の公知技
術の例えば特公昭47−25220号公報に開示されて
いる技術においては、SはMnSとして二次再結晶を生
起させるに必要な析出物を形成する元素で、前記公知技
術において最も効果を発現するS量の範囲があり、それ
は熱延に先立って行われるスラブ加熱段階でMnSを固
溶できる量として規定されていた。しかし、近年の研究
において二次再結晶に必要な析出物として(Al、S
i)Nを用いる一方向性電磁鋼板の製造プロセスにおい
て、素材中のSi量の多いスラブを低温で加熱して熱延
する場合、Sは二次再結晶不良を助長することが見出さ
れた。素材中のSi量が4.5%以下の場合には、Sは
0.014%以下、好ましくは0.0070%以下であ
れば二次再結晶の発生は全く生じない。
して(Al、Si)Nを用いる。従って必要最小限のA
lNを確保するためには酸可溶Alは0.010%以
上、Nは0.0030%以上必要である。しかしなが
ら、酸可溶Alが0.040%を超えると熱延中のAl
N量が不適切となり、二次再結晶が不安定となるため
0.010〜0.040%に制限される。一方、Nの含
有量としては0.0130%を超えるとブリスターと呼
ばれる鋼板表面の割れが発生し、また、一次再結晶の粒
径が調整できないため、0.0030〜0.0130%
に限定する。
安定になる。しかし多くなるとB8値は高くなるが一定
量以上の添加はコスト面で不利となる。このため、0.
05〜0.45%に制限される。本発明において最も特
徴があるのは、次の脱炭焼鈍における酸化膜の形成であ
る。この酸化膜の構成は表層に形成する〔(FeO、M
nO)〕a ・〔SiO2〕b 中のFe、Mn分が(Fe
O+MnO)/酸化膜中全SiO2 として0.10〜
0.50となり、且つ酸化膜中全SiO2 が0.6〜
1.7g/m2 となるようにする。またSiO2 生成量
は下記式
O2 量(g/m2 )、0.15≦t≦0.4)によって
制御される。本発明における成分系素材では、脱炭焼鈍
で形成される酸化膜は表層部の〔(Fe、Mn)O〕a
・ 〔SiO2 〕b の薄膜層と内層のSiO2 主体のヌ
ードル状に発達する酸化膜によって構成される。本発明
者らは膨大な実験と研究により、酸化膜性状のグラス皮
膜形成や磁気特性への影響を検討しこれらの形成条件を
確立するに至った。
〔(Fe、Mn)O〕a・ 〔SiO2 〕 b の形成量によ
ってグラス皮膜の形成反応速度が著しく影響を受け、酸
化膜中全SiO2 量によってグラス皮膜(フォルステラ
イト+スピネル)の形成量、形成状態が支配される。こ
れらを適正化することにより、グラス皮膜の性状の適正
化とグラス皮膜形成過程での鋼中インヒビターの安定化
がもたらされて良好なグラス皮膜と良好な磁気特性の両
立が得られることを発見するに至ったものである。
は(FeO+MnO)/酸化膜中全SiO2 として0.
10〜0.50に制限される。0.10未満ではグラス
皮膜形成時の反応促進効果が弱く、形成反応が遅れると
共に良好なグラス皮膜が得られない。このため、仕上焼
鈍昇温過程での表面のシール効果が得られず、脱インヒ
ビターも早まって、磁気特性の劣化傾向が見られる。逆
に0.50を超えるとグラス皮膜形成時に皮膜の融点が
下がりすぎたり、FeO、MnOリッチなグラス皮膜層
を形成する。このような場合には、ピンホール状の欠陥
が生じたり、極端な場合にはグラス皮膜中のFeO、M
nO等が仕上焼鈍の均熱中で還元され、薄膜化して密着
性、低張力のポーラスな皮膜となる。
1.7g/m2 とする。前述のようにグラス皮膜の主成
分はフォルステライト(Mg2 SiO4 )であり、本発
明の成分系素材では鋼中のAlによりもたらされるAl
2 O3 や焼鈍分離剤のMgO、SiO2 、Al2 O3 、
TiO2 等によりスピネル構造皮膜によって構成され
る。全SiO2 量はこれらの最終的なグラス皮膜の形成
量と形成状態を支配するために重要である。SiO2 量
が0.6g/m2 未満ではグラス皮膜形成量が不足して
良好な密着性が得られず、皮膜張力による鉄損の改善効
果も小さい。また、昇温過程での過剰な追加窒化や脱イ
ンヒビターが早まって磁束密度が低下する。逆に1.7
g/m2 を超えるとグラス皮膜が厚くなりすぎたり、内
部のスピネル構造部の厚みや凹凸が増大して、鉄損特性
や磁束密度の低下をもたらすため好ましくない。0.6
〜1.7g/m2 の範囲では、これらの問題がなく、良
好な皮膜と磁性が得られる。
グラス皮膜量と皮膜の界面状態を決めるため、板厚に応
じて形成するのが好ましい。SiO2 量は下記式
(g/m2)、0.15≦t≦0.4 )によって制御さ
れる。このように制御されれば各板厚において同一の皮
膜張力が得られ、磁性に対するグラス皮膜の悪影響がな
い。また、これによってグラス皮膜下部に存在するスピ
ネルによるサブスケール層も適正に制御され、最終成品
をレーザー等で磁区細分化処理する場合の鉄損改善効果
も顕著に得られる。また、皮膜の密着性も各板厚におい
て良好に保たれる。このような酸化膜成分、性状のコン
トロールは焼鈍温度、雰囲気露点、均熱時間、雰囲気ガ
ス量等によって行われる。
好ましい。他の焼鈍条件は板厚、鋼成分等に応じて選択
される。図1は脱炭焼鈍後の全酸化膜中SiO2 と(F
eO+MnO)の最適領域を示し、図2は酸化膜中全S
iO2 と鋼板板厚の最適領域を示す。次に、焼鈍分離剤
としては水和水分1.5〜5.0%のMgO100重量
部に対し、Ti、Sb、Sr、Zr、Cu、Mn、N
a、Kの酸化物、硫化物、硫酸塩、硼酸塩、塩化物の1
種または2種以上を0.1〜10重量部添加したものが
使用される。
温過程でコイル板間の酸化度が下がり過ぎ、前記〔(F
e、Mn)O〕a・ 〔SiO2 〕b の還元が進行し、
(FeO、MnO)が減少しグラス皮膜形成反応を阻害
するため制限される。一方、5.0%を超えると板間の
酸化度が高くなって表層部の追加酸化現象を生じ、この
ため(FeO+MnO)の増加や、SiO2 量の増加を
もたらし、脱炭焼鈍で形成した酸化膜成分が適正域から
外れるという問題が生じる。このため5.0%以下に制
限される。
n)O〕a・ 〔SiO2 〕b と同様にグラス皮膜特性を
向上し、表面のシール性を高め、インヒビターの安定化
をはかる目的で添加される、これにより、グラス皮膜の
形成時期まで(FeO+MnO)が安定に保たれ、グラ
ス皮膜形成の促進効果とこれによりインヒビターの安定
化効果が得られる。この結果グラス皮膜と磁気特性が安
定向上する。
ような酸化膜の保護、グラス皮膜形成促進効果が弱く、
前記効果が得られ難い。一方、10重量部超になると
(FeO+MnO)量との関係で過酸化現象を起こし易
く、特に酸化物、塩化物系物質の添加の場合にはシモフ
リ、スケール状の皮膜欠陥が生じ、さらに追加酸化等に
よる内部皮膜層の増加により磁性の劣化をもたらす。
特性の著しく優れた方向性電磁鋼板が得られるメカニズ
ムとしては次のように考えられる。本発明では脱炭焼鈍
時に形成した適正量のSiO2 と同時に適正量の{(F
e、Mn)O}a・ {SiO2 }b を形成することによ
り、焼鈍分離剤MgOとの反応性を著しく高めてフォル
ステライト皮膜形成を低温化、均一化し、最終的に適正
量のフォルステライト及びスピネル構造のグラス皮膜を
形成する。その際本発明領域では追加酸化抑制と表面層
均一化効果によって、磁性に有害な内部皮膜層(スピネ
ル主体)が適正な形成状態に制御され、均一緻密で密着
性が良く、磁区細分化効果能に優れるグラス皮膜を形成
する。このグラス皮膜形成過程においては昇温時前段に
おいて前記良質グラス皮膜の表面シール効果によって雰
囲気からのN2 の侵入等によるインヒビターの弱体化を
防止し、さらに昇温時後段においては追加酸化による酸
化膜中のSiO2 の増加を抑え、磁性に有害な内部皮膜
層の増加を防止する。これらにより、良好な磁束密度と
低鉄損が得られる。このようにして得られた製品では、
グラス皮膜界面が比較的スムースで鉄損改善のために行
われる磁区細分化処理において著しい改善効果が得ら
れ、低鉄損化が可能となる。
0.13%、酸可溶Al;0.029%、S;0.00
68%、N;0.0070%、Sn;0.035%、残
部Feと不可避の不純物からなる素材を2.0mmに熱
延し、1120℃で2分間焼鈍し、酸洗、冷延し、板厚
0.225mmとした。
中で露点と均熱時間を変えて脱炭焼鈍を行い、さらにN
2 25%+H2 75%ガス中にNH3 ガス量を変えて添
加し、鋼板窒化量が200ppmになるように窒化処理
し、表1に示すように酸化膜の成分を変更した。この鋼
板に焼鈍分離剤としてMgO100重量部+TiO25
重量部+ホウ酸ソーダ0.3重量部からなるスラリーを
塗布し、乾燥した。この時の水和水分は2.0%であっ
た。この鋼板を昇温時雰囲気としてN2 50%+H2 5
0%、均熱時H2 100%として最終仕上焼鈍を行っ
た。その後、絶縁皮膜剤として30%コロイド状シリカ
70ml+50%リン酸Al50ml+クロム酸5gか
らなる処理剤を乾燥後の重量で5g/m2 になるように
塗布し、850℃×30秒の焼付処理を行って製品とし
た。この試験における皮膜特性と磁気特性の結果を表2
に示す。
中全SiO2 を本発明域に制御した条件では、いずれも
グラス皮膜が均一で、良好な外観を呈し、密着性も良好
な結果が得られた。また、この場合にはいずれも良好な
磁気特性が得られた。一方、(FeO+MnO)/酸化
膜中全SiO2 が0.05と少ない場合にはグラス皮膜
がうすく、不均一で、磁気特性も不良であった。また、
(FeO+MnO)/酸化膜中全SiO2 が0.55と
多すぎる場合はグラス皮膜は厚いが金属光沢状の斑点が
多く、部分的にはスケール状のムラが見られ、この場合
も磁気特性は劣化傾向であった。
0.10%、Al;0.030%、S;0.0070
%、N;0.0075%、Sn;0.030%を含み、
残部Feと不可避不純物からなる高磁束密度素材を実施
例1と同様に処理し、最終板厚0.225mmとした。
この鋼板を連続焼鈍炉内で845℃、N2 25%+H2
75%雰囲気中で露点を変更して脱炭焼鈍し、N2 25
%+H2 75%雰囲気中にNH3 ガス量を変更して添加
し、窒化量220ppmになるように処理した。この時
の鋼板酸化膜成分は表3の如くであった。この鋼板上に
焼鈍分離剤として表3に示すように酸化物、硫化物、硫
酸塩、硼酸塩、塩化物を添加した焼鈍分離剤を塗布し、
乾燥した。この時の水和水分は3.0%であった。次い
で、昇温時の雰囲気ガスをN2 75%+H2 25%、均
熱時H2 100%の雰囲気中で1200℃×20hrの
最終仕上焼鈍を行った。次いで、実施例1と同様にして
絶縁皮膜剤を処理して製品とした。この試験における皮
膜特性と磁気特性の結果を表4に示す。
一で光沢があり、皮膜の密着性が良好で、磁気特性も良
好であった。一方、比較例のものは(FeO+MnO)
/酸化膜中全SiO2 量の少ない場合は皮膜がうすく、
不均一であり、多い場合には厚いが不均一でスケール状
のムラが発生した。これらの場合磁気特性も不良であっ
た。
タイトなグラス質皮膜が早期に形成され、最終製品とし
て、均一で適正な内部皮膜層を有する良好なグラス皮膜
が得られる。また、これにより鋼中のインヒビターが二
次再結晶時期まで安定に保たれ、良好な磁気特性を有す
る方向性電磁鋼板を得ることができる。
2 と〔(Fe、Mn)O〕a・ 〔SiO2 〕b 中の(F
eO+MnO)量/酸化膜中全SiO2 量の最適条件を
示す図である。本発明の条件域は図中の斜線域で示され
る。
図である。本発明では良好な磁気特性と皮膜特性を得る
ため図中の斜線域にSiO2 量が制限される。
Claims (5)
- 【請求項1】 重量でC;0.021〜0.075%、
Si;2.5〜4.5%、Mn;0.05〜0.45
%、S;≦0.014%、酸可溶Al;0.010〜
0.040%、N;0.0030〜0.0130%、S
n;0.03〜0.50%を含有し、残部がFe及び不
可避の不純物からなるスラブを1280℃未満の温度で
加熱した後、熱延し、得られた熱延板を1回または焼鈍
を挟む2回以上の冷延により最終板厚とし、次いで脱炭
焼鈍をした後、または脱炭焼鈍の後半と脱炭焼鈍を行っ
た後の両方で窒化処理をし、焼鈍分離剤を塗布し、高温
仕上焼鈍することからなる方向性電磁鋼板の製造方法に
おいて、脱炭焼鈍工程において生成する酸化膜成分
{(Fe、Mn)O}a ・{SiO2 }b 中のFe、M
n分が(FeO+MnO)/酸化膜中全SiO2 として
0.10〜0.50、且つ酸化膜中全SiO2 が0.6
〜1.7g/m2 となるように脱炭焼鈍し、焼鈍分離剤
を塗布し、最終仕上焼鈍することからなる均一なグラス
皮膜を有し、磁気特性の著しく優れた方向性電磁鋼板の
製造方法。 - 【請求項2】 熱延板焼鈍を行う請求項1記載の均一な
グラス皮膜を有し、磁気特性の著しく優れた方向性電磁
鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 脱炭焼鈍における酸化膜中全SiO2 形
成量を次式により制御することからなる請求項1または
2記載の均一なグラス皮膜を有し、磁気特性の著しく優
れた方向性電磁鋼板の製造方法。 【数1】 (t;板厚(mm)、W;酸化膜中全SiO2 量(g/
m2 )、0.15≦t≦0.4) - 【請求項4】 焼鈍分離剤として水和水分1.5〜5.
0%のMgO100重量部に対し、Ti、Sb、Sr、
Zr、Cu、Mn、Na、Kの酸化物、硫化物、硫酸
塩、硼酸塩、塩化物の1種または2種以上を0.1〜1
0重量部添加することからなる請求項1〜3のいずれか
に記載の均一なグラス皮膜を有し、磁気特性の著しく優
れた方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項5】 高温仕上焼鈍における雰囲気条件とし
て、昇温時1200℃までの雰囲気をN2 +H2 雰囲気
で焼鈍するに際し、N2 分圧を0.25以上とすること
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の均一なグ
ラス皮膜を有し、磁気特性の著しく優れた方向性電磁鋼
板の製造方法。
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