JPH06184574A - 摺動部材およびその製造方法 - Google Patents

摺動部材およびその製造方法

Info

Publication number
JPH06184574A
JPH06184574A JP34066392A JP34066392A JPH06184574A JP H06184574 A JPH06184574 A JP H06184574A JP 34066392 A JP34066392 A JP 34066392A JP 34066392 A JP34066392 A JP 34066392A JP H06184574 A JPH06184574 A JP H06184574A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sliding
iron
sliding member
gas
fluoride film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34066392A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Kawahara
克己 河原
Hideki Hara
日出樹 原
Shotaro Mishina
正太郎 三科
Akira Jinno
亮 神▲の▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP34066392A priority Critical patent/JPH06184574A/ja
Publication of JPH06184574A publication Critical patent/JPH06184574A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)
  • Lubricants (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧縮機・ポンプ等の回転摺動機械において、
摺動部の耐焼付き性、耐摩耗性の向上、摩擦係数の低減
のために有効な摺動材料を実現する。 【構成】 摺動材料として摺動部表面に、FeF2・Fe
F3を主とするフッ化鉄皮膜を形成させたものを用い
る。フッ化鉄皮膜の形成方法としては、F2ガス中での
熱処理やフッ素イオン注入等が採用される。また、圧縮
媒体がフッ素を含有する気体(フロンガス等)である場
合、摺動部の摩擦熱により若干のフッ化鉄が形成され
る。そこで、触媒作用等を利用してこのフッ化鉄皮膜の
形成を促進させる。例えばフッ素イオン注入を施した場
合、非処理材に対して焼付き荷重が3倍程度に向上す
る。また、フッ素を含有する気体(HFC系フロン)中で
の摺動特性は不活性ガス(窒素)中よりも優れており、摺
動面にはフッ化鉄皮膜が自然形成される。従って、触媒
作用等を利用してフッ化鉄の形成を促進すれば、摺動特
性がさらに向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、例えば空気調和機の
ロータリー圧縮機用のベーン(ブレード)部材やロータ部
材、同スクロール型圧縮機の可動スクロールなどに適し
た摺動部材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば空気調和機に使用されるロータリ
ー圧縮機は、ロータリーシリンダ、該ロータリーシリン
ダ内に偏心回転可能に支持されたロータ、上記ロータリ
ーシリンダの内周面側のベーン溝内に摺動可能に嵌挿さ
れているとともに常時上記ロータ面に摺接するベーン、
上記シリンダ両側のフロントヘッド及びリアヘッド等に
より構成されている。そして、駆動用モータが回転する
と、カムシャフト部のカムの回転により上記ロータは上
記シリンダ内を偏心回転し、それによって冷媒ガスが吸
入口より上記シリンダ内に流入し圧縮されて吐出口より
吐出される。この時、上記ベーンは、上記ロータの偏心
回転に応じて当該ロータの半径方向に相当な速度で往復
摺動(出没)運動を行う。
【0003】ところで、上記ロータやベーンのような相
互に当接して摺動する相対摺動部材は、従来一般には耐
摩耗性や熱膨張係数の点から共に鋼や鋳鉄によって形成
されていた。鋼や鋳鉄などの鉄系摺動部材は、現行のフ
ロン冷媒(HCFC22)と潤滑油(スニソ油)の混合油中
では、非常に良好な摺動特性を示し、耐摩耗性が低く焼
付き荷重も大きい。これは、現行のフロン冷媒(HCF
C22)中には塩素(Cl)が含まれているために、該塩素
(Cl)が鉄系摺動部材の摺動面に塩化鉄を形成し、それ
によって極圧作用が実現されることによっている。
【0004】ところが、近年地球環境保護に対する関心
が高まる中、成層圏におけるオゾン層破壊に影響を及ぼ
すフロン類の生産及び使用が規制され、各方面で代替品
に関する研究が推し進められている。特に潤滑に関して
はClを含むCFC、HCFC系フロンの規制が進み、
Clを含まないHFC系フロン化が検討されているた
め、フロン分子中のClによる極圧作用がなくなり、潤
滑特性が大きく低下することが問題となっている。
【0005】また、最近の空気調和機では、インバータ
方式の位相制御が主流化しているために、圧縮機も高速
摺動性能の要求が高く、上記代替フロンに対する潤滑性
能の悪化は解決すべき重要なテーマである。
【0006】そこで、本願発明者は、フロンが潤滑特性
に与える影響について代表的なCFC,HCFC,HFC
系フロンを対象して詳細に実験検討した結果、鋳鉄材が
フロン雰囲気中でフッ化鉄を生成し、該フッ化鉄が塩化
鉄に近い潤滑性能を発揮する事実を見出した(例えば
(社)日本トライボロジー学会、トライボロジー会議予稿
集P433〜436「フロン雰囲気における摩擦摩耗特
性」参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記実験にお
いて自然生成されるフッ化鉄皮膜は極めて薄く、実用に
耐えるものではない。従って、何とか該フッ化鉄皮膜層
を積極的に厚く形成し、実用に耐えるレベルの潤滑特性
を実現することが課題となっている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1〜4各項
記載の発明は、それぞれ上記の課題を解決することを目
的としてなされたものであって、各々次のように構成さ
れている。
【0009】(1) 請求項1記載の発明の構成 請求項1記載の発明の摺動部材は、鉄系材料を素材と
し、その摺動面にフッ化鉄皮膜を形成して構成されてい
る。
【0010】(2) 請求項2記載の発明の構成 請求項2記載の発明の摺動部材の製造方法は、鉄系材料
を素材とする摺動部材の摺動面をフッ素ガス中で熱処理
することにより十分な厚さのフッ化鉄皮膜を形成するよ
うにしたものである。
【0011】(3) 請求項3記載の発明の構成 請求項3記載の発明の摺動部材の製造方法は、鉄系材料
を素材とする摺動部材の摺動面にフッ素イオンを注入す
ることにより十分な厚さのフッ化鉄皮膜を形成するよう
にしてたものである。
【0012】(4) 請求項4記載の発明の構成 請求項4記載の発明の摺動部材の製造方法は、摺動部材
の摺動面にフロンガス中で触媒を使用してフッ化鉄を生
成させることによりフッ化鉄皮膜形成作用を促進するよ
うにしたものである。
【0013】
【作用】本願の請求項1〜4各項記載の発明は、各々以
上のように構成されている結果、当該各構成に対応して
各々次のような作用を奏する。
【0014】(1) 請求項1記載の発明の作用 請求項1記載の発明の摺動部材は、上述のように、鉄系
材料を素材とし、その摺動面にフッ化鉄皮膜を形成して
構成されている。
【0015】したがって、フッ化鉄皮膜の極圧作用によ
り摺動面の潤滑特性が向上する。
【0016】(2) 請求項2記載の発明の作用 請求項2記載の発明の摺動部材の製造方法は、鉄系材料
を素材とする摺動部材の摺動面をフッ素ガス中で熱処理
することによりフッ化鉄皮膜を形成するようにしたもの
である。
【0017】したがって、上記熱処理によりフッ化鉄皮
膜が形成され、同フッ化鉄皮膜の極圧作用により摺動面
の潤滑特性が向上する。
【0018】(3) 請求項3記載の発明の作用 請求項3記載の発明の摺動部材の製造方法では、鉄系材
料を素材とする摺動部材の摺動面にフッ素イオンが注入
され、それにより効果的にフッ化鉄皮膜が形成される。
【0019】そして、該フッ化鉄皮膜の極圧作用により
摺動面の潤滑特性が有効に向上する。
【0020】(4) 請求項4記載の発明の作用 請求項4記載の発明の摺動部材の製造方法では、鉄系材
料を素材とする摺動部材の摺動面をフロンガス中で触媒
で触媒を使用してフッ化鉄生成反応を可及的に促進する
ようにしているので、より効果的にフッ化鉄皮膜を形成
することが可能となる。
【0021】
【発明の効果】したがって、本願発明の摺動部材および
摺動部材の製造方法によると、代替フロンを使用した場
合にも摺動部材の摺動面に形成されたフッ化鉄皮膜によ
り、十分に実用に耐え得る有効な極圧作用を実現するこ
とができるようになる。
【0022】
【実施例】以下、本願発明の実施例に係る摺動部材およ
びその製造方法について詳細に説明する。
【0023】すでに述べたように、近年、地球環境保護
に対する関心が高まる中、成層圏におけるオゾン層破壊
に影響を及ぼすフロン類の生産及び使用が規制され、各
方面で代替品に関する研究が推し進められている。特に
潤滑に関してはClを含むCFC、HCFC系フロンの
規制が進み、Clを含まないHFC系フロン化が検討さ
れているため、フロン分子中のClによる極圧作用がな
くなり、潤滑特性が大きく低下することが問題となって
いる。
【0024】そこで、先ず本願発明者は、先ずフロンの
潤滑特性に及ぼす影響をより詳細に調べるために、代表
的なCFC,HCFC,HFC系フロンを用い、乾燥雰囲
気中での摩擦摩耗特性、及び冷凍機油との共存下での潤
滑特性について詳細に実験および研究を行った。
【0025】(1) 実験方法 乾燥摩擦試験 図1に示すように摩擦試験部と荷重・摩擦トルクの計測
部を圧力容器内に収納した高圧雰囲気型摩擦試験機を用
いた。該摩擦試験機は、冷媒が封入される密閉型の圧力
容器1の底部側に所定弾性係数の加圧スプリング2、荷
重用ロードセル3、球体4を備えたバランス支持機構5
を介して3本のテストピース(ピン)TP1,TP2,TP3
を固定し得る固定ディスク6を設ける一方、これに対応
して同圧力容器1の上部側に回転ディスク7を設け、該
回転ディスク7をモータ駆動軸8で回転駆動するように
構成されており、上記固定ディスク6はロッド9を介し
て摩擦トルク用ロードセル10に連係されている。
【0026】試験片形状は、図2に示すように1個の回
転球MP1と3個の固定球MP2〜MP4とからなる4球
試験片で焼付き試験及び摩耗試験を行った。試験片の材
質はSUJ2である。
【0027】焼付き試験は、摩擦速度0.058〜0.518[m/
s]の範囲で、荷重ステップ5[kgf]、保持時間3[min]で
行ない、摩擦係数の急上昇をもって焼付きとした。摩耗
試験は、所定荷重で10[min]保持した後の摩耗痕直径
にて評価を行った。
【0028】雰囲気ガスはCFC12,HCFC22,H
FC32,HFC134a,HFC125、窒素であり、
雰囲気温度は室温である。これらのガスの性質を次の表
1に
【0029】
【表1】
【0030】フロン/潤滑油共存下での焼付き試験 試験機は図1と同様で、図3に示すピン−ディスク式試
験片による焼付き試験を行った。同試験片の材質は、ピ
ン(TP1〜TP3)側が高速度鋼、回転ディスク(7)側が
NiCrMo鋳鉄である。
【0031】焼付き試験の摩擦速度は2〜4[m/s]、荷
重ステップは10[MPa]で保持時間5[min]で行なっ
た。また摩擦係数の急増をもって焼付きとした。
【0032】供試フロンはHCFC22、及びHFC3
2/HFC134aの混合系であり、その性質は上記表
1に示されている。また、試験に用いた潤滑油は、HC
FC22及びHFC134a混合系の各々のフロンに対
して相溶性のある鉱油、及びエステル油である。温度条
件を70[℃]一定とし、フロンガス圧力を1〜30[kgf
/cm2]の範囲で調節することによってフロンの潤滑油へ
の溶解量を変化させた。
【0033】(2) 実験結果および考察 乾燥摩擦試験 a.焼付き試験 乾燥雰囲気中における焼付き試験の結果を図4に示す。
これは全体的な傾向により大別して3グループに分類す
ることができる。つまり、Clを分子中に含むCFC・
HCFC系フロン(CFC12、HCFC22)、Clを
分子中に含まないHFC系フロン(HFC134a、HF
C32、HFC125)、不活性ガスである窒素の3グ
ループである。
【0034】最も焼付き荷重が高いのは、Clを含むC
FC・HCFC系フロンであり、これはClによる極圧
効果が顕著に現れた結果であると考えられる。
【0035】次にはClを含まないHFC系フロン中で
の焼付き荷重が高く、不活性ガスである窒素中での焼付
き荷重とは明らかな相違が認められた。従って、HFC
系フロン中においても何らかの極圧作用が現れたと考え
られるので、X線光電子分光分析装置(XPS)によって
摩擦面の元素分析を行った結果を図5に示す。この図5
より、摩擦面からは明確にフッ素Fが検出されており、
フッ化物皮膜が形成されていると考えられる。このフッ
化物は、XPSピークのケミカルシフトより見て、フッ
化鉄であると考えられる。
【0036】以上の結果より、HFC系フロン中におい
てもフッ化物によると認められる極圧作用により、焼付
き荷重が上昇することが明らかとなった。
【0037】b.摩耗試験結果 摩擦速度0.058[m/s]における摩耗試験結果を図6に示
す、高荷重域ではやはり3グループに分類され、CFC
・HCFC系フロン中での摩耗痕径が最小であり、次に
HFC系フロン中での摩耗が少なく、窒素中での摩耗が
最も多いという焼付き荷重に関してと全く同様の結果が
得られた。しかし、低荷重域ではCFC・HCFC系フ
ロン中とHFC系フロン中での差が殆んど認められなく
なり、HFC125中での摩耗のみが多く、同じHFC
系フロンにおいても若干の違いがあることを示してい
る。
【0038】HFC系フロン分子のC−F結合強度は、
一つの炭素原子に結合しているフッ素原子数が多い程強
くなるが(CF4>CHF3>CH2F2>CH3F)、
この結合の弱い方がより優れた潤滑性を示しているよう
に見受けられる。つまり、本実験におけるHFC系フロ
ンにおいては潤滑性の優れた順にHFC134a、HF
C32、HFC125となり、この差は非常に僅かでは
あるが焼付き荷重、摩耗率、摩擦係数全てにおいて同様
の傾向が得られている。
【0039】c.摩擦特性 摩擦速度0.058[m/s]における乾燥雰囲気中での摩擦特
性を図7に示す。摩擦係数についてもやはり3グループ
に分類され、CFC・HCFC系フロン中で最も低摩擦
であり、次にHFC系フロン中の摩擦係数が低く、窒素
中での摩擦係数が最も大きいという、焼付き荷重に関し
てと同様の結果が得られた。
【0040】CFC・HCFC系フロン中では、接触荷
重にかかわらずほぼ一定の低い摩擦係数を示しており、
やはりClによる極圧作用が現れていると考えられる。
これに対しHFC系フロン中では接触荷重の増加と共に
摩擦係数が増大しており、傾向としては窒素中の摩擦係
数と同様である。摩擦面において塩化物の生成による極
圧作用が現れる場合には、接触荷重の増加に伴って摩擦
係数が低下するといわれているが、フッ化物の極圧作用
によると思われるHFC系フロン中では同様の傾向が見
られなかった。この原因は、フッ化物自体の極圧性が塩
化物よりも劣るか、また生成量が少ないからであると考
えられる。EDXによる面分析及びXPSによる深さが
見られており、これも極圧性の相違に関係があると思わ
れる。
【0041】フロン/潤滑油共存下での焼付き試験 HCFC22/鉱油共存中、HFC32/HFC134
a/エステル油共存中での焼付き荷重結果を図8、図9
に示す。摩擦速度2[m/s]では顕著な差は見られない
が、摩擦速度4[m/s]ではHFC22/鉱油共存中での
焼付き荷重の方が高い。特にフロンガス圧力の高い、つ
まりフロンの溶解量の多い領域での差が大きいことか
ら、HCFC22中のClの極圧効果による差であると
考えられる。
【0042】また、HCFC22の場合と同様に、HF
C系混合冷媒においても、ガス圧の増加に伴って焼付荷
重が若干上昇した。この原因は、フロンの溶解量が増加
するために局部的な蒸発による冷却効果が現れるためで
あるという報告がある。
【0043】しかし、HFC系フロンの乾燥雰囲気中に
おいても、極圧効果が認められていることより、潤滑油
との共存中においてもその極圧効果が現れた可能性が考
えられる。そこで、HFC32/HFC134a/エス
テル油共存中での摩擦面の元素分析を行った結果を図1
0に示す。乾燥雰囲気中と同様に、やはりフッ素Fが検
出されており、フッ化物が生成されて極圧効果が現れた
と考えられる。
【0044】以上の結果より、HFC系フロンは潤滑油
との共存雰囲気中でも潤滑性を示すことが明らかとなっ
た。
【0045】(3) 本願発明実施例の摺動部材の構成 本実施例の摺動部材は、上記実験結果を基にして、例え
ばSKH51などの鉄部材の摺動部材の摺動面に例えば
FeF2又はFeF3を主とするフッ化鉄皮膜を所定の厚さ
に形成して構成されている。
【0046】FeF2,FeF3を主とするフッ化鉄皮膜が
形成されると上述のように潤滑特性が向上するので摺動
部材としての摺動特性も良好となり、耐焼付性、耐摩耗
性も向上し、摩擦係数が低くなる。従って、例えば空気
調和機用ロータリ圧縮機や同スクロール圧縮機などの高
摺速性能が要求される回転ポンプの摺動部材(ベーン、
ロータ、可動スクロールなど)に特に最適となる。
【0047】しかも、上記フッ化鉄皮膜は塩素を有しな
い代替フロンによる生成が可能であるから、上記空気調
和機用圧縮機の摺動部材のように代替フロン冷媒雰囲気
中で使用されるものにとって特に好都合である。
【0048】(4) 本願発明実施例の摺動部材の製造方
法 上記摺動部材は、例えば上記SKH51などの鉄部材の
摺動面に対して例えばフッ素Fイオンを注入することに
より十分な層圧のFeF2又はFeF3を主とするフッ化鉄
皮膜を積極的に形成するようにすることによって製造さ
れる。
【0049】この方法によって製造された摺動部材(サ
ンプルB)の上記摩擦試験機による焼付き試験の結果を
従来の摺動部材(サンプルA)と対比して図11に示す。
この場合、本実施例の摺動部材(サンプルB)はSKH5
1にフッ素イオンを注入してフッ化鉄皮膜を形成したも
の、従来例(サンプルA)はSKH51であり、相手材と
しては共にロータケーシング材として一般的なMo−Ni
−Cr合金鋳鉄を用いた。試験条件は、次の通りであ
る。
【0050】冷媒:HFC134a(2kgf/cm2・C) 油:エステル油 摺動速度:4m/s 温度:室温 相手材:合金鋳鉄(Mo,Ni,Cr鋳鉄) 摩擦形式:ピン−ディスク式 この結果、例えば本実施例のようにフッ素イオン注入を
施した場合、図11に示すように焼付き荷重が約3倍程
度まで大きく向上することが明らかとなった。
【0051】また、フッ素を含有する冷媒ガス(HFC
系フロン)中での摺動特性は図4、図6、図7に示すよ
うに、不活性ガス(窒素)中よりも優れている訳であり、
摺動部の摩擦熱により図5に示すように摺動面には更に
所定量のフッ化鉄が形成される。従って、該冷媒雰囲気
中で触媒作用等を利用して積極的にフッ化鉄の形成を促
進するようにすれば、摺動特性がさらに向上する。この
場合、触媒としては、例えばAu、Al23、ZrO2等が
採用される。
【0052】(5) 他の実施例による摺動部材の製造方
法 上記摺動部材の製造方法としては、上述したフッ素イオ
ンの注入による方法の他にも、例えばF2ガス中で熱処
理することによってフッ化鉄を生成させる方法を採用す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明の実施例において使用される
摩擦試験機の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、同試験機の4球式摩擦試験部の要部の
構造を示す概略図である。
【図3】図3は、同試験機のピン−ディスク式摩擦試験
部の要部の構造を示す概略図である。
【図4】図4は、同実施例における乾燥雰囲気中での焼
付き試験の結果を示すグラフである。
【図5】図5は、同実施例における摩擦面の元素分析結
果を示すグラフである。
【図6】図6は、同実施例における乾燥雰囲気中での摩
耗試験の結果を示すグラフである。
【図7】図7は、同実施例における乾燥雰囲気中での摩
擦特性を示すグラフである。
【図8】図8は、同実施例におけるHCFC/鉱油中で
の焼付き特性を示すグラフである。
【図9】図9は、同実施例におけるHFC32/HFC
134a/エステル油中での焼付き特性を示すグラフで
ある。
【図10】図10は、同実施例における摩擦面の元素分
析結果を示すグラフである。
【図11】図11は、同実施例における摺動部材の焼付
き荷重を従来例と対比して示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:02 50:08 70:00 (72)発明者 三科 正太郎 大阪府堺市金岡町1304番地 ダイキン工業 株式会社堺製作所金岡工場内 (72)発明者 神▲の▼ 亮 大阪府堺市金岡町1304番地 ダイキン工業 株式会社堺製作所金岡工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄系材料を素材とし、その摺動面にフッ
    化鉄皮膜を形成してなる摺動部材。
  2. 【請求項2】 鉄系材料を素材とする摺動部材の摺動面
    をフッ素ガス中で熱処理することによりフッ化鉄皮膜を
    形成するようにしてなる摺動部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 鉄系材料を素材とする摺動部材の摺動面
    にフッ素イオンを注入することによりフッ化鉄皮膜を形
    成するようにしてなる摺動部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 鉄系材料を素材とする摺動部材の摺動面
    にフロンガス中で触媒を使用してフッ化鉄生成作用を生
    ぜしめることによりフッ化鉄皮膜形成作用を促進するよ
    うにしてなる摺動部材の製造方法。
JP34066392A 1992-12-21 1992-12-21 摺動部材およびその製造方法 Pending JPH06184574A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34066392A JPH06184574A (ja) 1992-12-21 1992-12-21 摺動部材およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34066392A JPH06184574A (ja) 1992-12-21 1992-12-21 摺動部材およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06184574A true JPH06184574A (ja) 1994-07-05

Family

ID=18339131

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34066392A Pending JPH06184574A (ja) 1992-12-21 1992-12-21 摺動部材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06184574A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004096473A1 (ja) * 2003-04-28 2004-11-11 Tokyo Metropolitan Government 高速加工工具
JP2011047329A (ja) * 2009-08-27 2011-03-10 Panasonic Corp ロータリ圧縮機

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004096473A1 (ja) * 2003-04-28 2004-11-11 Tokyo Metropolitan Government 高速加工工具
JPWO2004096473A1 (ja) * 2003-04-28 2006-07-13 龍彦 相澤 高速加工工具
JP2011047329A (ja) * 2009-08-27 2011-03-10 Panasonic Corp ロータリ圧縮機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3473776B2 (ja) 密閉形コンプレッサ
CN105765246B (zh) 用基于硫的油添加剂改善使用高能制冷剂的压缩机的轴承性能
KR0147882B1 (ko) 밀폐형 압축기
US6659749B2 (en) Hermetic compressor and open compressor
KR100224325B1 (ko) 스크롤압축기 및 그 제조방법
US8939742B2 (en) Compressor with steel and cast iron sliding materials
US5273410A (en) Compressor exhibiting an iron sulfide wear surface
Akram et al. Tribological performance of environmentally friendly refrigerant HFO-1234 yf under starved lubricated conditions
JPH03281991A (ja) 冷媒圧縮機
KR950000266B1 (ko) 냉매 압축기
JP2001289169A (ja) 圧縮機
JPH06184574A (ja) 摺動部材およびその製造方法
JPH06159242A (ja) 冷媒圧縮機
JP2003028060A (ja) 密閉形コンプレッサ
JPH08135585A (ja) 冷凍機用回転ポンプの摺動部材
JP3708194B2 (ja) 密閉型回転式圧縮機
JP2001099502A (ja) 冷凍装置
JPH06184691A (ja) 空気調和機用回転ポンプの摺動部材
JP4194144B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2002147377A (ja) スクロール圧縮機およびジャーナル軸受部の製造方法
JPH05321837A (ja) 冷媒圧縮機
JP4020554B2 (ja) スクロール圧縮機
JPH0518357A (ja) 冷媒圧縮機
JPH05106581A (ja) 冷媒圧縮機
JP2003003956A (ja) 密閉形コンプレッサ