JPH0618430Y2 - コンバインの引越しケース取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、刈刃と掻込オーガを前後に配備した刈取部の
前方に複数の引起しケースを平行に傾斜させて取付ける
ようにしたコンバインの引起しケース取付構造に関す
る。

〔従来の技術〕

従来は、刈刃と掻込オーガを前後に配備する刈取部を脱
穀部の前方にフィーダ室を介し連設して構成するコンバ
インにおいて、低い作物用の搬送ケースを刈取部の前方
に斜設した構造のものが特開昭61-96913号公報に見られ
る。

また、実公昭47-22109号のように機体側方位置に斜め上
方に立ち上げた伝動軸を設け、その伝動軸から引起し装
置前方に横設した軸を介して、引起し装置を駆動するも
のがあった。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、前者の構造では、倒伏している稲麦の穀
稈をスムーズに引き起こすことはできず、また、搬送ケ
ースへの伝動を下部側より行っているので、その伝動部
が後方への穀稈の流れを邪魔することになって、稲麦の
穀稈では搬送不良となるといった問題点を有していた。

また後者の構造では、斜め上方に立ちあげる伝動軸が側
方に突出するため、未刈り稈に当接したりして脱粒が生
じるなどの問題がある。また引起しの角度を変更するた
めには、刈取高さも変更しなければならず、倒伏度にあ
わせることができず、前者と同様の問題が発生する。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、そのような問題点を解決し、稲麦の穀稈を良
好に引起こして取り込むことができるような取付構造に
したものであり、そのため、前記刈取部の前部にはそれ
ぞれタインが出退する複数の引起しケースを斜設し、刈
取部の上部両側方には、それぞれ支持アームを後部の支
点を中心にして昇降機構により上下動自在に設けるとと
もに、この支持アームの間には伝動ケースを前後動可能
に架設し、この伝動ケースから斜め下方に延出する伝動
パイプを各引起しケースにそれぞれ伝動連結すると共に
これらの各引起しケースの下部背面を掻込オーガーの前
部に延設したステーに回動自在に軸架して構成したもの
である。

〔作用〕

したがって、各引起しケースには上方から良好にそれぞ
れ伝動しながら、倒伏している穀稈を良好に引起こすこ
とができることになり、しかも、隣り合う両引起しケー
ス間を通して、引起こされた穀稈の穂先側は伝動部に邪
魔されることなく起立したまま後方へ送り出されて掻込
オーガに取り込まれることになる。

また、支持アームを昇降自在に支持しており、かつ伝動
ケースを前後動可能、かつ引起しケースの下部背面を回
動自在にしたので、倒伏度にあわせて刈高さを維持した
まま、引起しケースの角度を変更することができる。

〔実施例〕

次に、図面に示す実施例について説明する。

第２図は汎用形コンバインの側面図を示し、両クローラ
(10)により支持する機体上にはスクリュー扱胴(11)など
を有する脱穀部(B)を搭載するとともに、該脱穀部(B)の
横側方には上方に排出コンベア筒(12)を有する籾タンク
(13)やエンジン部(14)を配備し、前記脱穀部(B)の前方
には前方に刈取部(A)を連設してフィーダ室(15)を内装
したフィーダ室(C)を連通連設するとともに、油圧シリ
ンダ(16)によりフィーダ室(C)の後部を回動支点とし刈
取部(A)を昇降自在にし、刈取部(A)の後方で前記フィー
ダ(C)の右側方に架設したステップ(17)の前後には操縦
コラム(18)と運転席(E)を立設して従来形構造同様に構
成する。

また、前記刈取部(A)は、後部のデッキ(6)の前後に刈刃
(1)と掻込オーガ(2)をそれぞれ横設し、両側に起立する
両側板(19)の前方には両分草板(20)をそれぞれ着脱自在
にして連設し、両側板(19)の上方には、後部の支点(21)
を中心にして両油圧シリンダ(22)により回動させながら
上下動させることができる両支持アーム(5)をそれぞれ
架設し、両支持アーム(5)には、該両アーム上の油圧シ
リンダ(23)により前後方向に移動させることができると
ともに上部にメタル(24)を有する筒金(25)(25)をそれぞ
れ嵌合し、両メタル(24)には掻込リール(D)の両端軸部
をそれぞれ嵌合するとともに、一方の軸部にはスプロケ
ット(26)を嵌着し、一方の支持アーム(5)にそって掛装
するとともに途中の緊張輪(27)の移動支持により伸縮で
きる駆動チェーン(28)を前記スプロケット(26)に掛合し
て、従来形構造同様に構成するが、前記掻込リール(D)
はその両端軸部を両メタル(24)に着脱自在にして両支持
アーム(5)に着脱できるように構成する。

前記刈取部(A)の前部側横幅内にはいるよう、それぞれ
タイン(3)が出退する４個の引起しケース(4)を、後部が
前記掻込オーガ(2)の前方でそれより高くて前部が前記
刈刃(1)の前方側上方となるように平行に斜設するが、
各ケースの前部から突出して移動しながら後部の側方で
退入することになるタイン(3)のその作用終端部(P)が前
記刈刃(1)の上方側に位置するようにして斜設し、入力
軸(29)を内装して横設した伝動ケース(8)の両端部を前
記両メタル(24)にそれぞれ着脱自在にして回動自由に軸
架し、前記伝動ケース(8)から後方側斜め下方に延出す
る４本の伝動パイプ(9)の下端を各引起しケース(4)の上
部前面に、その前面に対し直交するようにしてそれぞれ
連結し、前記入力軸(29)と各伝動パイプ(9)内の伝動軸
(30)とを両ベベルギヤ(31)を介してそれぞれ伝動連結
し、各伝動軸(30)により各引起しケース(4)の上部の駆
動輪(32)をそれぞれ駆動できるように装設し、前記入力
軸(29)の一端側には前記スプロケット(26)を着脱自在に
嵌着して構成する。

また、前記刈刃(1)の後方に接近するデッキ(6)の前部上
面からは先端側に分草板(33)や分草稈(34)を連設したス
テー(7)をそれぞれ延設するが、各ステー(7)の基部は前
記デッキ(6)の前部上面に取付金(35)を介してそれぞれ
着脱自在に連設し、各ステー(7)の前部上方に横架した
各支軸(36)には各引起しケース(4)の下部背面に固定し
たメタル(37)をそれぞれ回動自由に軸架し、前記運転席
(E)に搭乗するオペレータが、各伝動パイプ(9)の間を通
して各引起しケース(4)の前部から後部にかけてのその
上方を見通すことができるように各引起しケース(4)を
斜設して構成する。

したがって、通常は、第２図および第３図に示すよう
に、刈取部(A)の前部に掻込リール(D)を架設してコンバ
イン作業を従来同様に行うが、稲麦の穀稈が倒伏してい
るような状態では、掻込リール(D)の両端軸部を両メタ
ル(24)から外して取り外し、伝動ケース(8)の両端部を
両メタル(24)にそれぞれ取付けてスプロケット(26)を嵌
着するとともに、各ステー(7)の基部をデッキ(6)の前部
上面にそれぞれ取付金(35)を介して取付けると、刈取部
(A)の前部には、第１図、第４図および第５図に示すよ
うに各引起しケース(4)を取付けることができることに
なって、第１図に示すように、運転席(E)に搭乗するオ
ペレータが矢印(イ)で示す視線でもって、各伝動パイプ
(9)の間を通して各引起しケース(4)の前部から後部にか
けてその上方を監視しながら、倒伏している穀稈を引越
こして刈取ることができることになる。

その場合、倒伏している稲麦の長い穀稈を各引起しケー
ス(4)にそわせながらそれぞれタイン(3)により良好に引
越こすことができることになり、引起こされたのち刈刃
(1)によって刈取られる状態で、穀稈の上部は、刈刃(1)
の上方側となる作用終端部(P)でタイン(3)から押し離さ
れることになり、稈元を刈り取られた穀稈は起立した状
態で各引起しケース(4)の後部より送り出されて直ちに
掻込オーガ(2)に取り込まれることになる。

また、その場合、各引起しケース(4)によって穀稈を引
き起こす状態で、引き起こされた穀稈の穂部側は、傾斜
した各伝動パイプ(9)の間を通過しながら、起立したま
ま後方へ送り出されることになる。

圃場では、穀稈の倒伏状態によって、追い刈りや向かい
刈り、あるいは横刈りを行わなければならなが、その場
合には、第10図に示すように、両支持アーム(5)を上下
動させるとともに、両筒金(25)とともに伝動ケース(8)
を前後動させると、各引起しケース(4)を各支軸(36)中
心に回動させながら傾斜変更させることができることに
なって、穀稈が倒伏している状態に適応する引起しを行
うことができることになる。

〔考案の効果〕

本考案は、以下の効果を奏する。

すなわち、前方に設けた引起しケースに伝動するにあた
り、そのための伝動ケースは、上方の支持アームを経由
して伝動できることになって、倒伏している穀稈でも確
実良好に引き起こすことができることになる。したがっ
て、引き起こした穀稈は起立したそのままで、上下部が
引っ掛かることなく引起しケース間をスムーズに整然と
後方に送り出されて、掻込オーガに良好に取り込まれ
る。また、支持アームは上下昇降自在に支持しており、
かつ伝動ケースを前後動可能、かつ引起しケースの下部
背面を回動自在にしたので、刈高さを変更することなく
引起しケースの角度を変更でき、倒伏度に合わせた幅広
い対応が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例である要部の側面図、第２図はコンバイ
ンの側面図、第３図はその平面図、第４図は要部の外側
面図、第５図は第４図の一部の平面図、第６図は第１図
の一部を示し、第７図は第５図の一部を示し、第８図は
第６図の他の一部を示し、第９図は第７図の一部の断面
図、第10図は第１図の作動説明図を示す。 (1)…刈刃、(2)…掻込オーガ (A)…刈取部、(B)…脱穀部 (C)…フィーダ室、(3)…タイン (4)…引起しケース、(5)…支持アーム (8)…伝動ケース、(9)…伝動パイプ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】刈刃(1)と掻込オーガ(2)を前後に配備する
   刈取部(A)を脱穀部(B)の前方にフィーダ室(C)を介して
   連設して構成するコンバインにおいて、前記刈取部(A)
   の前部にはそれぞれタイン(3)が出退する複数の引起し
   ケース(4)を斜設し、刈取部(A)の上部両側方には、それ
   ぞれ支持アーム(5)を後部の支点(21)を中心にして昇降
   機構(22)により上下動自在に設けるとともに、この支持
   アーム(5)の間には伝動ケース(8)を前後動可能に架設
   し、この伝動ケース(8)から斜め下方に延出する伝動パ
   イプ(9)を各引起しケース(4)にそれぞれ伝動連結すると
   共にこれらの各引起しケース(4)の下部背面を掻込オー
   ガーの前部に延設したステー(7)に回動自在に軸架して
   構成したことを特徴とする引起しケース取付構造。