JPH06181045A - 像観察方法及び透過電子顕微鏡装置 - Google Patents

像観察方法及び透過電子顕微鏡装置

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JPH06181045A
JPH06181045A JP5133109A JP13310993A JPH06181045A JP H06181045 A JPH06181045 A JP H06181045A JP 5133109 A JP5133109 A JP 5133109A JP 13310993 A JP13310993 A JP 13310993A JP H06181045 A JPH06181045 A JP H06181045A
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JP5133109A
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由夫 ▲高▼橋
Yoshio Takahashi
Yusuke Yajima
裕介 矢島
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    • H01J37/266Measurement of magnetic- or electric fields in the object; Lorentzmicroscopy
    • H01J37/268Measurement of magnetic- or electric fields in the object; Lorentzmicroscopy with scanning beams
    • GPHYSICS
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    • H01J2237/2802Transmission microscopes

Abstract

(57)【要約】 【目的】磁性薄膜上の磁気記録ビットの磁化成分を観察
可能にする。また、磁化像の中に混入する、結晶粒起源
のコントラストを低減し、磁気的構造を明瞭に観察でき
るようにする。 【構成】電子ビーム1の経路に平行な軸を中心に、試料
5の面を90度以上回転可能とし、かつ試料5の面を磁
気記録のトラック方向に対して面内に回転した軸24と
電子ビーム1の経路に平行な軸とに直交する軸22を中
心に傾斜も可能とする試料ホルダ駆動手段を設けた。観
察にはトラック方向に対しての回転角度の限定を行っ
た。 【効果】磁化に比べて漏洩磁界の影響を相対的に小さく
でき、また、磁気的な構造に影響を与えることなく、結
晶粒起源のコントラストを低減できるため、磁気記録ビ
ット中の磁化状態を明瞭に観察できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、像観察方法及び透過電
子顕微鏡装置、特に、磁性薄膜の磁化像を観察するため
に電子ビームを透過し、透過ビームを処理して磁化像等
の観察を行う方法及びそれに使用する走査型透過電子顕
微鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】走査型透過電子顕微鏡は、電子ビームを
非常に小さく絞ることができるため、電子ビームが試料
を透過するときに受けるローレンツ力による偏向を検出
することにより、薄膜磁性体中のミクロな磁気構造を非
常に分解能高く調べることができる。偏向量と同時に、
電子ビームの透過強度を検出することにより、通常の走
査型透過電子顕微鏡像も得ることができる。この電子ビ
ームの偏向量は試料に入射する電子ビームの開き角より
も小さいため、偏向量の検出には複数に分割された検出
器(位相差コントラスト検出器)を用いている。この分
割部分からの信号の差を演算することにより偏向量の信
号を、和を計算することにより透過強度の信号を得るこ
とができる。
【0003】この方法による磁性体内部の磁気的状態の
観察には、2つの大きな問題点がある。その一つは、磁
性薄膜内部の磁化が漏洩磁界により覆い隠されてしま
い、磁化のコントラストを得ることができないという問
題である。磁気記録デバイスでは、磁気記録ヘッドによ
り、記録媒体である磁性薄膜上にそれぞれ対向する磁化
(記録ビット)を書き込むことによって記録する。ま
た、その磁化された部分と他の部分の境界部分から漏れ
る漏洩磁界の変化を読み取って記録を読みだす。従っ
て、磁気記録デバイスの構造上、図8に示すように記録
ビットの情報が磁化領域81に実線矢印82のように磁
化されていると、漏洩磁界83が磁性薄膜内部の磁化8
2を打ち消すように発生する。この記録ビット部81の
中央部を透過した電子ビーム1は、薄膜内磁化と漏洩磁
界により反対の方向にほぼ同じ大きさで偏向される。す
なわち透過した電子ビーム全体ではほとんど偏向しな
い。先に説明したように電子ビームの偏向量によって磁
場の大きさを検出するため、偏向がなければ磁場を検出
できない。
【0004】他の一つは、磁気的な像の中に結晶粒を起
源とするコントラストが混入するということである。磁
性薄膜を透過した電子ビームは、ローレンツ力による偏
向が無い場合、分割型の位相差コントラスト検出器の中
央部分に到達するように、結像レンズ、及びビームシフ
トコイルにより調整する。そして、その分割部分からの
信号強度の差信号が、0になるように調整する。試料中
に磁場が存在すると、ローレンツ力により電子ビームが
偏向し、検出器の各分割部分に入る信号強度が変化す
る。従って、その差信号を取ることにより、電子ビーム
の偏向方向、及び偏向の大きさが得られる。一般に、磁
性薄膜の中で産業上重要な磁気記録媒体用磁性薄膜は多
結晶体である。この多結晶体の結晶粒はそれぞれ異なっ
た結晶方位を持ち、電子ビームの散乱強度が異なる。従
って、電子ビームが結晶粒境界上にあると、透過した電
子ビームプローブの内部に強度分布ができ、ビームに偏
向がない場合でも位相差コントラスト検出器には信号が
出てくる。また結晶境界には静電ポテンシャルが存在
し、この勾配も電子ビームを偏向させてしまう。これら
結晶粒を起源とする原因のために、磁場以外の要因でも
コントラストが生じる。このコントラストが磁場像中に
混入していると磁場分布像の詳細な様子が分からなくな
り、高精度の像を得ることはできない。
【0005】従来、前者の問題点については解決策がな
かった。後者の問題を解決するためには、磁気的な構造
と結晶粒の構造が異なると仮定し、周波数フィルタによ
り結晶粒のコントラストを低減するという方法が行なわ
れていた。例えば、ジャーナル オブ アプライド フ
ィジックス、第69巻(1991年)6078項−60
83項、(Journal of Applied Physics 69 (1991) 6
078-6083, Mappinginduction distributions by transm
ission electron microscopy)に示されているように、
電子ビームを10nm程度に収束させ、観察試料上を走査
し、透過した電子ビームの偏向を8分割型の偏向検出器
により検出する。このとき、検出器の空間周波数に関す
る応答関数を変化させて(修正位相差コントラスト
法)、結晶粒起源のコントラストを低減させている。こ
の結果、ビーム径ほどの分解能で漏洩磁界のほとんどな
いパーマロイ薄膜の枕木磁壁の観察及びその磁気誘導マ
ッピングを行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】漏洩磁界の存在する多
結晶薄膜の磁気的状態を詳細に観察するためには、先に
説明した2つの問題を解決しなければならない。結晶粒
を起源とするコントラストを低減する上記従来の修正位
相差コントラスト法は、空間周波数に関してフィルタを
掛ける方法であるため、フィルタの掛かった空間周波数
の情報が、磁気的な観察しようとする情報であっても欠
落してしまうという欠点がある。すなわち、必ずしも磁
気的な構造と結晶粒の構造が異なる空間周波数を持つと
は限らないため、結晶粒に起因するコントラストだけを
低減することはできない。特に、結晶粒間の相互作用の
小さい磁気記録媒体の観察においては、媒体内部の磁化
の揺らぎは、結晶粒単位で起こっていると考えられ、空
間周波数フィルタを掛けたのでは、その磁化の揺らぎも
低減してしまい詳細な観察はできない。
【0007】本発明の目的は、被観察試料にビームを透
過して透過ビームの偏向及び強度によって得られる像を
観察しやすくし、像の精度を高める像観察方法及び走査
型透過顕微鏡装置を提供することである。本発明の他の
目的は、磁生薄膜の磁化像を観察するときに、漏洩磁界
の強弱によらず、充分な磁気的コントラストを持つ像を
得ることができる走査型透過電子顕微鏡、及び磁化像観
察方法を提供することである。本発明の更に他の目的
は、位相差コントラスト像の中に現れる、結晶粒に起因
するコントラストを、磁気的コントラストに影響を与え
ずに低減する画像処理方法及び走査型透過電子顕微鏡を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、観察すべき試料にビームを照射し、上記
試料を透過したビームの透過強度と偏向量を検出し、上
記ビームの上記試料上の照射位置を走査状に可変し、ビ
ームが試料を透過した場所に従って並べ、走査像の信号
とする走査透過顕微鏡において、試料が磁気記録媒体等
の磁性薄膜で、上記ビームが電子ビームである走査形透
過電子顕微鏡を構成する場合、磁性薄膜が磁性薄膜の面
が3次元的に任意の角度に可変できるような試料ホルダ
ーを備えた。即ち、磁性薄膜を磁性薄膜の面方向に回転
でき、上記面が電子ビームの経路に対し任意な角度だけ
傾斜可能な試料ホルダー駆動手段を設けた。また、本発
明の他の目的を達成するため、上記透過顕微鏡の透過し
たビームの透過強度と偏向量から上記走査像の信号を得
る信号処理回路を、上記偏向量の信号の偏向を検出した
方向に透過強度の信号を微分した信号の定数倍を差し引
く手段を設けて構成した。更に本発明の像観察方法で
は、透過ビームを分割型の位相差コントラスト検出器に
よってビームの偏向、強度を検出し、試料の像を得る像
観察方法において、分割型の位相差コントラスト検出器
の差信号から得られる位相差コントラスト像から、位相
差コントラスト検出器の和信号像の微分を差し引く処理
を行なう信号処理を行なう。
【0009】
【作用】はじめに、試料の回転傾斜により磁化像のコン
トラストの変化について説明する。図3は、磁性薄膜の
面が電子ビームとなす傾斜角ψを固定して、磁性薄膜の
面の回転角θを変化させたときに、磁気記録像として1
つの記録ビットの周りにできる漏洩磁界と磁化を、電子
ビームがビット中心を透過する経路に沿って積分した値
及びその合成値、すなわち電子ビームが傾斜した試料を
透過するときに感じるローレンツ力の大きさによる角度
分布である。(a)、(b)は、それぞれの積分値を直
交する2成分に分解したもので、検出器の検出方向
(X、Y方向)に対応する。傾斜角ψは60度、記録ビ
ットのトラック幅は10μm、記録密度は20kFCIであ
る。回転角θはトラック方向と平行な方向を0度と定義
する。回転角θが0のとき、すなわちトラック方向と平
行な方向に傾斜している場合は、X方向の漏洩磁界と磁
化によるローレンツ力はほとんど同じである。Y方向
は、試料を傾斜しない場合と同様に0である。ところ
が、回転角θが大きくなるにつれて、X方向の磁化の影
響が漏洩磁界の影響に比べて強くなる。Y方向は磁化、
漏洩磁界ともにその影響が強くなりその方向が一致する
ため強めあう。さらに回転してトラック方向にほぼ垂直
な方向になると、Y方向の成分は消え、X方向の成分だ
けになる。この時、X方向の成分は、磁化の影響が漏洩
磁界の影響に比べ約4倍強くなっている。磁化と漏洩磁
界とのそれぞれの積分値の差が電子ビームの最終的な偏
向量に影響し、その偏向方向はX、Y方向の合成方向に
対応するので、回転角が90度に近い領域で観察するこ
とにより、磁化に比べて相対的に弱い漏洩磁界のもと
で、しかも偏向方向も正しく磁気記録ビットの観察がで
きる。即ち、磁化のコントラストを得ることができる。
【0010】次に、試料を透過した電子ビーム内の透過
強度分布が原因となる差信号強度は、全透過強度(和信
号)の微分形状に強く関係している。透過強度の分布
は、透過する結晶方位に依存し、さらにその境界部分で
は、ビームの広がりによって鈍っている。この透過強度
分布の微分形状は、透過強度により規格化された位相差
コントラスト検出器による差信号と非常に類似してい
る。従って、結晶の透過強度の微分の定数倍を位相差コ
ントラスト像から差し引くことによって、位相差コント
ラスト像から、結晶粒を起源とするコントラストだけを
低減することができる。磁場は電子ビームの透過強度を
変化させないので、全透過強度の微分には、磁場に関す
る情報は含まれない。従って、本発明による信号処理に
より磁気的な情報は影響を受けない。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。図1は、本発明による走査型透過電子顕微鏡の1実
施例の構成を示す。電子ビーム1を発生する電子源10
と、加速、収束及び走査するための静電及び電磁レンズ
(照射レンズ2、偏向器4、対物レンズ6、結像レンズ
7)と、収束した電子ビーム1が試料5である磁性薄膜
を透過するときの偏向量を検出する偏向検出器8とを備
えた走査型透過電子顕微鏡において、磁性薄膜5を保持
する試料ホルダーを磁性薄膜5の薄膜の面内方向に回転
し、かつ薄膜5の面の電子ビームに対する傾斜を可変す
る試料ホルダー駆動手段3を設けている。本実施例は磁
性薄膜5の磁気記録像を観察できるように、磁性薄膜5
を保持する試料ホルダを対物レンズ6の中から外し、照
射レンズ2と対物レンズ6の中間に置いている。
【0012】試料5を透過した電子ビーム1は、結像レ
ンズ7により、適当な大きさのスポットに拡大され、電
子顕微鏡筒11の最下部に設置した螢光体12に到達す
る。ここで発生した光13を、真空外に導き、位置検出
器8内の4分割の検出器14上で電子ビーム1の偏向を
検出する。その後、演算回路15、画像処理装置16に
より信号処理し、表示装置18に付随する計算機17の
記憶装置に蓄える。
【0013】19は電子ビーム1の試料5面上の走査及
び表示装置18の像走査のためのビーム偏向回路であ
る。
【0014】図2は、試料5と検出器14部の位置関係
を拡大して示した図である。なお、図1では、偏向され
た電子ビームを螢光体12に当て、光にして検出器14
に加えるようにした例を示したが、説明を簡明にするた
め、電子ビームを電気信号に変える検出器の例によって
説明する。試料5を保持するホルダー(図示せず)はパ
ーマロイで作られた磁気シールド20で囲まれた弱磁界
(0.1 Oe以下)の試料室内に設置されている。試料5は
電子ビーム1の経路に平行な軸(Z軸)を中心に回転、
即ち磁性薄膜5の面方向に回転できるようになってい
る。さらに磁性薄膜に書き込まれた磁気記録のトラック
方向を基準にして面内に回転した軸24と、電子ビーム
1の経路に平行な軸とに直交する軸22を中心に試料5
を回転させることにより、電子ビーム1に対し試料の面
を3次元的に傾斜させるようになっている。座標系21
は直交座標系で、電子ビーム1はZ軸にそって試料に入
射し、偏向器2により試料5上を走査する。X,Y軸で
作られる平面はZ軸に直交する平面である。
【0015】試料5の磁化像の観察を行うときには、試
料5中の記録トラックの方向を軸22と平行になるよう
に試料5の面を回転させる。次に、軸22を中心に回転
させ、試料5の面を傾斜させる。さらに、軸22に直交
する方向が偏向検出器14の最も感度の強い方向となる
ように偏向検出器14を回転させる。
【0016】図4は、磁性薄膜5の面の傾斜と磁化像の
関係を摸式的に示したものである。特に、磁気記録像と
して情報の1ビットの記録像の端の部分を示す。(a)
は磁性薄膜5の面と電子ビーム1が直交する従来と同じ
場合を示し、(b)は、(a)と同一の場所を磁性薄膜の面を
傾斜させて観察した場合を示している。図において斜線
で示している部分が周りと磁化方向が逆転している記録
ビット40である。斜線の密度がコントラストの強さを
表している。観察した磁性薄膜は、厚さ40nmのCoPt薄膜
で、記録密度は5kFCI、ビット長は約5μmである。
【0017】図4(a)の場合、記録ビット40の端の
部分では漏洩磁界がビットの外側に漏れるために弱くな
り、充分なコントラストでビット形状が見える。しかし
ビット中央部分では漏洩磁界による偏向分が媒体内の磁
化による偏向分を打ち消し、ほとんどコントラストが付
かない。図4(b)の場合は、回転の角度θはトラックに
平行な方向に対して約80度、傾斜ψの角度は約60度
である。傾斜をさせているため記録ビット40の形状は
歪んでしまうが、記録ビット中央までまで磁気的なコン
トラストが付く。すなわち、試料回転と傾斜角度を最適
に選ぶことによって、漏洩磁界の強い磁気記録の観察が
可能になる。
【0018】また、試料の回転角θ、及び傾斜角ψがあ
らかじめ分かっているので、計算機上で画像処理をする
ことによりその歪を取ることも可能である。また、観察
像を表示するときに、はじめから試料の回転角、及び傾
斜角度を考慮して表示できるように信号処理回路を構成
しておけば、充分なコントラストで歪のない観察像が直
接得られる。
【0019】以上の実施例では試料の傾斜角度ψが60
度の場合について説明したが、その角度については特定
の値に限定されるものではない。回転角θが90度に近
い値のときは、傾斜角度ψが90度に近くなるほど磁化
に対する漏洩磁界の影響は相対的に小さくなる。観察試
料の膜厚等によっては回転角度θや傾斜角度ψを任意に
選択できるものとする。
【0020】図5は図1の検出器14から画像表示装置
18までの構成を示すブロック図である。4分割の位相
差コントラスト検出器14に透過電子ビーム1が入射
し、その電子ビーム強度を電気信号に変換し、演算回路
15に導く。演算回路15では、以下に示す演算を行
う。 和信号W = X1+X2+Y1+Y2 差信号Xs= {X1+Y1−(X2+Y2)}/和信号W 差信号Ys= {X1+Y2−(X2+Y1)}/和信号W ここで、X1、X2、Y1、Y2は、検出器分割部分か
らの信号強度を表す。
【0021】これらの和信号W、差信号Xs及びYs
を、走査像として画像処理装置16内の差信号Xsメモ
リ16−1、和信号Wメモリ16−2、差信号Ysメモ
リ16−3に蓄える。その後、和信号Wを、差信号を計
算したX、Y方向に、X方向微分回路16−4、Y方向
微分回路16−5で微分する。この結果を差演算回路1
6−6、16−7により、差信号Xsと差信号Ysより
得られた画像から差し引く。ただし、差信号Xs,Ys
から和信号Wの微分を差し引くときに、その分散が最も
小さくなるように、和信号Wの微分を定数倍する。この
定数は一度決めてしまえば、同じ倍率で観察を行う場合
には、その後の処理において共通である。
【0022】画像処理装置16により処理された信号
は、磁気記憶装置17−2に蓄えられ、表示装置18に
表示される。画像処理装置16は、上述の機能以外に
も、像のスムーズ化、空間周波数処理などの機能を持
ち、最適な画像処理を行うことができる。
【0023】図6は位相差コントラスト検出器14の信
号波形とその微分波形の説明図である。磁性薄膜を透過
した電子ビームの透過強度の分布は磁性薄膜の結晶方位
に依存し、結晶方位の境界部分では、ビームの広がりに
よって鈍っている。この透過強度分布の微分形状は、透
過強度により規格化された位相差コントラスト検出器1
4による差信号Xs,Ysと非常に類似している。従っ
て、結晶の透過強度の微分の定数倍を位相差コントラス
ト像Xs,Ysから差し引くことによって、位相差コン
トラスト像から、結晶粒を起源とするコントラストだけ
を低減することができる。磁場は電子ビームの透過強度
を変化させないので、全透過強度の微分には、磁場に関
する情報は含まれない。従って、本発明による信号処理
により磁気的な情報は影響を受けない。
【0024】図7は、上述の画像処理方法により処理さ
れた画像と処理する前の画像を比較した模式図である。
観察試料はコバルト系の磁性薄膜試料に記録ビットを書
き込んだものである。図6(a)は、和信号の微分を差
し引く前の差信号像、図6(b)は、和信号像、図6
(c)は、和信号の微分像、図6(d)は、和信号の微
分を差し引く前の差信号像(a)から和信号の微分
(c)を差し引いた後の差信号像である。和信号の微分
を差し引く前の差信号像(a)は、記録ビットの像のほ
かに結晶粒を起源とするコントラストが混入しており明
瞭に信号ビットの像が見えない。このビットの像以外の
粒々の構造は、和信号の微分(c)の像に非常に類似し
ており、これを差し引くことにより、記録ビットの像だ
けを明瞭に取りだすことができる。差し引くときに微分
像に乗ずる定数は、和信号像を得たときのアンプのゲイ
ンにより変化する。上記実施例では、和信号の微分操作
について、実空間での微分だけを説明したが、それだけ
に限定されるものではない。例えば、画像を周波数空間
で演算し、実空間に変換してやることにより、実空間で
の微分と同様な効果を与えることができる。このように
一度周波数空間に画像を変換することによって、より細
かな処理が可能となる。
【0025】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明は上記実施例に限定されるものではない。以上の
実施例では、4分割型の位相差コントラスト検出器の場
合について説明したが、2分割やさらに多分割の位相差
コントラスト検出器においても同様な方法で処理でき
る。以上の実施例では、分割型の位相差コントラスト検
出器を用いたが、ビーム強度の重心位置のずれを検出で
きる検出器を用いても、同様な方法で処理できる。
【0026】さらに、以上の実施例では、差信号の微分
を差し引くときに、分散が最も小さくなるように、乗ず
る定数を決めたが、最良の画質が得られるように、任意
に定数を決めてもよい。上記実施例では、走査型透過電
子顕微鏡の場合について説明したが、透過型の光学顕微
鏡などを使った、位相差コントラスト検出においても、
実施できる。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、試料の面内回転と傾斜
を最適値に設定できるため、磁化によるコントラストを
大きくして磁気記録ビットの観察を行うことができる。
また、本発明によれば、磁気的なコントラストに影響を
与えることなく、結晶粒起源のコントラストを低減する
ことができ、多結晶薄膜内の磁気構造を観察することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による走査型透過電子顕微鏡装置の一実
施例の構造を示す図
【図2】本発明による走査型透過電子顕微鏡装置の一実
施例の試料と偏向検出器の関係を示す図
【図3】試料を回転及び傾斜をしたとき、磁気記録ビッ
トの漏洩磁界及び磁化の直交行成分(X、Y)の積分値
の回転角度依存性を表すグラフを示した図
【図4】本発明による走査型透過電子顕微鏡装置による
観察像の摸式図、(a)は磁気記録ビットを通常の方法
で観察した観察像の摸式図、(b)は試料傾斜により観
察した観察像の摸式図
【図5】本発明による走査型透過電子顕微鏡装置の画像
処理部の構成を示すブロックダイアグラムを示した図
【図6】本発明の原理説明のための位相差コントラスト
検出器の信号波形と、その微分波形の説明図
【図7】本発明による走査型透過電子顕微鏡装置による
観察像の摸式図、(a)は和信号の微分を差し引く前の
差信号像を示した図、(b)は和信号像を示した図、
(c)は和信号の微分像を示した図、(d)は和信号の
微分を差し引いた後の差信号像を示した図
【図8】磁性薄膜の断面方向から見た磁化と漏洩磁気の
関係を示す図
【符号の説明】
1:電子ビーム 3:試料ホル
ダー駆動手段 4:偏向器 15:演算回
路 14:偏向検出器 16:画像処
理装置 16−2、16−2、16−3:メモリ 16−4、1
6−5:微分回路 16−6、16−7:差演算回路 20:磁気シ
ールド 22:傾斜軸 23:面内回
転方向 24:回転した軸 40:記録ビ
ット

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子ビームを発生する電子源と、加速、収
    束、及び走査するための静電及び電磁レンズと、収束し
    た電子ビームが磁性薄膜を透過するときの偏向量を検出
    する検出器とを備えた走査型透過電子顕微鏡において、
    上記磁性薄膜を保持する試料ホルダーを上記磁性薄膜の
    面内方向に回転し、かつ上記薄膜の面の電子ビームに対
    する傾斜を可変する試料ホルダー駆動手段を設けたこと
    を特徴とする透過電子顕微鏡装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の透過電子顕微鏡装置におい
    て、上記試料ホルダー駆動手段が上記試料ホルダーを上
    記磁性薄膜の面内方向に90度以上回転可能に構成され
    たことを特徴とする透過電子顕微鏡装置。
  3. 【請求項3】磁気記媒体に収束した電子ビームを透過さ
    せ、透過した電子ビームの偏向量を検出して、上記磁気
    記媒体に記録された磁気記録像を観察する方法におい
    て、上記磁気記録媒体を上記磁気記媒体の面方向に回転
    させ、かつ上記電子ビームの経路に平行な軸と直交する
    軸を中心に傾斜させて上記電子ビームの偏向量の検出を
    行なうことを特徴とする磁気記録像観察方法。
  4. 【請求項4】請求項3記載の磁気記録像観察方法におい
    て、上記磁気記録像は上記磁気記媒体にトラック状に記
    録されたビットの磁気記録像であり、上記ビットの磁気
    記録像の観察を行うときに、上記磁性体薄膜を上記トラ
    ック方向を基準にして面内に回転した軸と、電子ビーム
    の経路に平行な軸とに直交する軸を中心に傾斜させて観
    察することを特徴とする磁気記録像観察方法。
  5. 【請求項5】請求項4記載の磁気記録像観察方法におい
    て、上記ビット像のトラック方向を基準にした回転角が
    70度から90度回転であることを特徴とする磁気記録
    像観察方法。
  6. 【請求項6】試料にビームを照射し、上記試料を透過し
    たビームの透過強度と偏向量を検出し、検出された透過
    強度と偏向量の信号を、ビームが試料を透過した場所に
    従って並べ走査像とした画像の画像処理方法において、
    上記偏向量の信号の偏向を検出した方向に透過強度の信
    号を微分した信号の定数倍を差し引くことを特徴とする
    画像処理方法。
  7. 【請求項7】請求項6記載の画像処理方法において、画
    像の分散が最も小さくなるように、透過強度の走査像の
    微分した像に乗ずる定数を決めることを特徴とする画像
    処理方法。
  8. 【請求項8】試料にビームを照射する手段と、上記試料
    を透過したビームの透過強度と偏向量を検出する検出器
    と、上記ビームの上記試料状の照射位置を走査状に可変
    する手段と、上記検出器からの透過強度と偏向量の信号
    を、ビームが試料を透過した場所に従って並べ、走査像
    の画像信号とする信号処理回路をもち、上記信号処理回
    路が偏向量の信号の偏向を検出した方向に透過強度の信
    号を微分した信号の定数倍を差し引く手段を備えたこと
    を特徴とする走査型顕微鏡装置。
  9. 【請求項9】請求項8記載の走査型顕微鏡装置におい
    て、上記検出器が、複数の検出器から構成された多分割
    型のビーム検出面を持つことを特徴とする走査型顕微鏡
    装置。
  10. 【請求項10】請求項8又は9記載の走査型顕微鏡装置
    において、上記ビームが電子ビームであることを特徴と
    する走査型透過電子顕微鏡装置。
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