JPH06180876A - 磁界変調オーバライト型光磁気記録媒体の製法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録・再生特性にすぐれた磁界変調オーバラ
イト型光磁気記録媒体を得る。 【構成】 基体１１上に、磁界変調オーバライト記録が
可能な希土類ー遷移金属非晶質合金より成る垂直磁化記
録層１２を少くとも形成して後の光磁気記録媒体の製造
段階で、その垂直磁化記録層１２を一方向に着磁させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁界変調オーバライト
型光磁気記録媒体の製法に係わる。

【０００２】

【従来の技術】光磁気記録媒体、例えば光磁気ディスク
においては、その製造後の状態すなわち出荷時の状態で
は、図４に模式的に示すように、垂直磁化膜よりなる光
磁気記録層１は、矢印をもってその磁化の向きを示すよ
うに、一様な状態ではなく、ランダムに上下に向いて存
在する迷図状パターンを持つ。

【０００３】通常一般の光磁気ディスクすなわち光磁気
記録媒体での情報記録は、記録に当たって一旦光磁気記
録媒体の消去過程を経てから情報の記録がなされること
から記録部を含む周辺、少なくとも情報の再生に当たっ
ての読み出し光のスポット内での周辺は消去磁界によっ
て一旦記録層を垂直一方向に磁化させることができるの
で、記録された情報の周辺の磁化はほゞ一様な状態とな
る。

【０００４】したがってこの記録態様では、さほど初期
の磁区の迷図パターンの影響によるＳ／Ｎの低下は生じ
ない。

【０００５】ところが、磁界変調オーバライト型光磁気
記録媒体では、その記録は、その記録部にを高パワーの
レーザ光を照射して局部的加熱を行うと同時に、この部
分に記録情報に応じてその磁界の向きが反転する変調記
録磁界を与えて先に記録されている情報すなわち磁化を
打ち消しつつ新しい記録に応じた情報すなわち磁区の形
成を行って情報の書き換えを行うものにあっては、この
ランダムな磁区がノイズとなって著しくＳ／Ｎを低下さ
せる。

【０００６】すなわち、図５にこの磁界変調オーバライ
トを行う場合の記録パターン図を示すように、この方法
によるときは、記録トラック２として、記録情報例えば
“１”、“０”に応じて磁化の向きが反転する記録が成
される。すなわち例えば“１”の記録としての図５で示
す磁区３が形成される。

【０００７】そして、再生時には光ー磁気相互作用によ
ってその記録の読み出しを行うべく、再生光例えばレー
ザ光の照射がなされるが、この場合、記録磁区３の幅
は、図５に符号ａをもって示す再生光のスポットより小
さいことから、このスポットａは、記録部周辺の迷図パ
ターンの磁区が存在する領域４に跨ることになり、この
迷図パターンをも読み出すことになってノイズが大とな
り、Ｓ／Ｎの劣化を来し、良好な再生信号が得難くなる
という不都合がある。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、磁界変調オ
ーバライト型光磁気記録媒体において、上述したような
磁区の迷図パターンによるＳ／Ｎの劣化の問題の解決を
はかる。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、図１にその一
例の断面図を示すように、基体１１上に、磁界変調オー
バライト記録が可能な希土類ー遷移金属非晶質合金より
成る垂直磁化記録層１２を少くとも形成した後の光磁気
記録媒体の製造段階で、その垂直磁化記録層１２を一方
向に着磁させる。

【００１０】

【作用】上述の本発明製法では、各構成材料層の形成後
の光磁気記録媒体の製造段階で、一方向着磁を行うの
で、消去磁界による消去操作を経ることなく磁界変調オ
ーバライトによってそのオーバライト記録をおこなって
も、図５で示した記録部周辺に迷図パターンが存在しな
いことから、これによるノイズを再生光で拾うことによ
るＳ／Ｎの低下を回避できる。

【００１１】

【実施例】本発明製法の一例を詳細に説明する。本発明
においては、例えば図１に、その一例の略線的断面図を
示すように、ポリカーボネート等の透明基体１１例えば
ディスク上に、厚さ例えば１２００ÅのＳｉＮ等よりな
る第１の誘電体層１３、厚さ例えば２３０Åの希土類ー
遷移金属例えばＴｂＦｅＣｏ等よりなる垂直磁化記録層
１２、厚さ例えば３６０ÅのＳｉＮよりなる第２の誘電
体層１４、厚さ例えば６００ÅのＡｌよりなる反射層１
５、紫外線硬化樹脂よりなる保護層１６を順次スパッタ
リング或いは蒸着等によって通常のように形成する。

【００１２】本発明では、このように、基体１１上に、
垂直磁化記録層１２を含めて、各材料層を形成して後
の、この目的とする磁界変調オーバライト型光磁気記録
媒体の製造段階、つまり出荷前の任意の時点で、しかし
ながら、例えばディスクの中心孔（図示せず）に嵌め込
み装着するいわゆるハブ（図示せず）が、例えば磁性を
有する場合は、このハブの装着以前の工程で、例えば２
０ｋＯｅ〜２５ｋＯｅの記録層１２の膜面に対して垂直
一定方向の外部磁界Ｈｉを印加する。

【００１３】このようにして、垂直磁化記録層１２の迷
図パターンの磁区を消失させて、この記録層１２を一方
向同一向きのいわゆる垂直磁化状態に着磁する。

【００１４】このようにすると、図２にその記録パター
ン図を模式的に示すように、記録層にオーバライトされ
て記録された記録トラック２の周辺には、図５における
ような迷図パターンの磁区領域４の存在がないか殆どな
いので、これにに基づくノイズを回避できる。

【００１５】尚、図２において、図５と対応する部分に
は同一符号を付して重複説明を省略する。

【００１６】また、本発明製法による磁界変調オーバラ
イト型光磁気記録媒体（ディスク）と、これと同様の構
成によるものの、図１で説明した外部磁界による着磁処
理を施さない従来通常の方法によって得た磁界変調オー
バライト型光磁気記録媒体（ディスク）について、その
書き込みレーザ光パワーに対するエラーレートの測定結
果を図３に示す。

【００１７】図３中実線曲線は本発明製法による磁界変
調オーバライト型光磁気記録媒体の場合であり、破線曲
線は従来通常の方法によって作製した磁界変調オーバラ
イト型光磁気記録媒体の場合である。両曲線を比較して
明らかなように、本発明によるものにおいては、広い書
き込みパワー範囲で良好な記録・再生特性が得られる。

【００１８】そして、この効果は、オーバライトが繰り
返し行われ、かつ記録光パワーが変動することにより、
オーバライトによる先の記録の消し残りが増大しても、
初期に極端に大きな磁界による記録がなされない限り、
上述の本発明における着磁に基づく効果は、持続でき
た。

【００１９】尚、本発明によって得る磁界変調オーバラ
イト型光磁気記録媒体は、図１で説明した構成に限られ
るものではなく、希土類ー遷移金属の垂直磁化記録層１
２を有する各種磁界変調オーバライト型光磁気記録媒体
を得る場合に適用できる。

【００２０】

【発明の効果】上述したように、本発明製法では、各構
成材料層の形成後の光磁気記録媒体の製造段階で、一方
向着磁を行って迷図パターンを消滅させることにより、
磁界変調オーバライトによって記録をおこなっても、記
録部周辺に迷図パターンが存在しないので、再生光スポ
ット径が記録部より大であっても、再生時迷図パターン
によるノイズの発生を回避できて、Ｓ／Ｎの改善、記録
・再生特性の改善がはかられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明製法によって得る磁界変調オーバライト
型光磁気記録媒体の一例の略線的断面図である。

【図２】本発明の説明に供する記録パターン図である。

【図３】エラーレートの書き込みパワーとの関係の測定
曲線図である。

【図４】従来製法による光磁気記録媒体の迷図パターン
図である。

【図５】従来製法による光磁気記録媒体における記録パ
ターン図である。

【符号の説明】

１１ 基体 １２ 垂直磁化記録層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基体上に、磁界変調オーバライト記録が
   可能な希土類ー遷移金属非晶質合金より成る垂直磁化記
   録層を少くとも形成して後の光磁気記録媒体の製造段階
   で、上記垂直磁化記録層を一方向に着磁させることを特
   徴とする磁界変調オーバライト型光磁気記録媒体の製
   法。