JPH06179294A - 印刷版処理液用防腐防かび剤、印刷版用処理液および防腐防かび方法 - Google Patents

印刷版処理液用防腐防かび剤、印刷版用処理液および防腐防かび方法

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JPH06179294A
JPH06179294A JP35326192A JP35326192A JPH06179294A JP H06179294 A JPH06179294 A JP H06179294A JP 35326192 A JP35326192 A JP 35326192A JP 35326192 A JP35326192 A JP 35326192A JP H06179294 A JPH06179294 A JP H06179294A
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JP
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antiseptic
printing plate
solution
weight
triazine
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JP35326192A
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English (en)
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Koji Kameda
康二 亀田
Shiro Kitai
史郎 北井
Daiki Kusaka
大器 日下
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 少量の薬剤の添加により、印刷版処理液の腐
敗やかびの増殖を抑制する。 【構成】 2−メルカプトピリジン−N−オキサイドの
アルカリ金属塩1重量部に対して、ヘキサヒドロ−1,
3,5−トリ置換−S−トリアジン1〜30重量部を含
有する防腐防かび剤を、エッチ液、湿し水などの印刷版
処理液に添加する。前記アルカリ金属塩にはナトリウム
塩が含まれ、前記トリアジン化合物には、ヘキサヒドロ
−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−
トリアジンなどが含まれる。前記防腐防かび剤は、印刷
版処理液に0.001〜0.5重量%添加される。少量
の前記防腐防かび剤を添加すると、沈澱物の生成、着色
やpHの変動がなく、印刷版用処理液の防腐防かび性を
長期間維持できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平版印刷に使用される
エッチ液、中和液、湿し水などの印刷版処理液の防腐防
かび剤、印刷版用処理液および防腐防かび方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】平版印刷においては、プレゼンシタイズ
ド版(PS版)、電子写真法による印刷版、銀塩を用い
た写真版材などの種々の印刷版が使用されている。これ
らの印刷版は、親水性の非画像部と親油性の画像部とで
構成されている。そして、平版印刷においては、版面に
水と印刷インキとを供給し、非画像部には水を、画像部
には印刷インキを選択的に受理させ、画像部上の印刷イ
ンキを、必要に応じてブランケットを介して、紙などの
基材に転写している。
【0003】また、非画像部を不感脂化するとともに、
画像部での印刷インキの受理性を高めるため、前記印刷
版の作製時には、高いpHのエッチ液(現像液)が使用
され、エッチ液で現像した後、中和液により中和されて
いる。また、印刷時には湿し水が使用されている。
【0004】このような印刷版処理液には、例えば、鉄
やステンレスなどの金属に対する腐食性がないこと、印
刷インキを乳化しないこと、印刷版の耐刷力を低下させ
ないこと、画像部へのインキの着肉性を維持しつつ、非
画像部を不感脂化することなどの種々の特性が要求され
る。特に、平版印刷においては、他の印刷方式と異な
り、印刷インキの乳化や流動性の変化などを含めて多く
の要因が複雑に絡み合い、かつ微妙なバランスの下で印
刷されるという特殊性がある。そのため、印刷インキの
乳化を防止し、非画像部の不感脂化を維持するために
は、処理液、特に湿し水のpHが変化しないのが好まし
い。
【0005】一方、印刷版処理液を保存すると、微生物
が増殖し腐敗する。そのため、腐敗臭を発するだけでな
く、印刷版の作製時に腐敗したエッチ液や中和液を用い
ると、かびの付着により印刷版の品質が低下する。ま
た、腐敗した湿し水を平版印刷に供すると、ブランケッ
トや紙などの基材にかびが転写され、印刷物の品質を低
下させる。
【0006】印刷版用処理液の腐敗を防止するために
は、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オ
ン、オルトフェニルフェノール、P−クロロ−m−キシ
レノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−
ジオール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメ
ート、メチレンビスチオシアネートなどの種々の殺菌剤
を添加することが有効であると考えられる。しかし、印
刷版処理液に前記殺菌剤を添加すると、pHが大きく変
化したり、沈澱物が生成したり着色する。しかも、抗菌
スペクトル幅が狭く、殺菌および菌の増殖抑制効果が小
さい。
【0007】特公平1−26051号公報には、4−イ
ソチアゾリン−3−オン化合物を含む印刷版用処理液が
開示されている。この処理液は、銀又はハロゲン化銀に
よる画像部をインキの受理に利用する平版印刷版の処理
に有用である。
【0008】しかし、このような薬剤を添加しても抗菌
スペクトル幅が狭く、広範囲の微生物やかびの増殖を防
止できない。しかも、前記薬剤は処理液中の安定性が小
さく、析出する。そのため、長期間に亘り防腐防かび効
果を維持できない。また、処理液が着色するので、紙な
どの基材を汚染して印刷物の品質を低下させる。さらに
は、前記薬剤の添加により湿し水のpHが低下するの
で、微妙なバランスの下で印刷される平版印刷において
は、高品質の印刷物を連続的に得るのが困難となる。特
に新聞印刷などのオフセット輪転印刷においては、高速
印刷が困難となる場合がある。また、前記薬剤の添加に
より、処理液のpHが4〜8程度の範囲では防腐防かび
効果が認められるものの、pHが高くなるにつれて、防
腐防かび効果が低下する。そのため、高いpHを示すエ
ッチ液の腐敗やかびの増殖を抑制できない。
【0009】このように、一般的に防腐防かび効果の高
い防腐剤や殺菌剤を用いても、印刷版処理液に要求され
る全ての特性を充足することは極めて困難である。
【0010】なお、特開昭64−68304号公報に
は、澱粉スラリー、糊液、切削油などの防腐剤として、
2−メルカプトピリジン−N−オキサイドの塩と、ヘキ
サヒドロ−1,3,5−トリエチル−S−トリアジン、
ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエ
チル)−S−トリアジンなどのホルムアルデヒドドナー
系抗菌剤とを含む防腐剤が開示されている。しかし、こ
の先行文献には印刷版処理液に関しては何ら記載されて
いない。
【0011】また、国際公開番号WO/86/0640
3号公報には、クエン酸銅などの多官能有機配位子の金
属錯体と、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチル−S
−トリアジンやヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2
−ヒドロキシエチル)−S−トリアジンなどのアルデヒ
ド放出性殺菌剤とを含む組成物が開示されている。ま
た、前記殺菌剤として、2−メルカプトピリジン−N−
オキサイドのナトリウム塩を併用した組成物も開示され
ている。これらの組成物は金属切削油の抗菌剤として有
用である。しかし、前記組成物を印刷版処理液に適用す
ると、錯体の金属が析出したり、処理液が着色する虞が
ある。
【0012】さらに、英国特許第1505069号明細
書には、金属切削油として有用な抗菌剤として、ヘキサ
ヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)
−S−トリアジンと、2−メルカプトピリジン−N−オ
キサイドのナトリウム塩と、鉱物油とを含むエマルジョ
ンが開示されている。しかし、このエマルジョンは、9
5重量%以上という多量の鉱物油を含むので、印刷版処
理液には適用し難い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、沈澱物の生成や着色がなく、少量であっても防腐防
かび効果の高い印刷版処理液用防腐防かび剤および印刷
版用処理液を提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、pHの変動を抑制し
て、高品質の印刷物を得る上で有用な印刷版処理液用防
腐防かび剤および印刷版用処理液を提供することにあ
る。
【0015】本発明のさらに他の目的は、沈澱物の生成
や着色を抑制し、少量の添加で印刷版処理液の腐敗やか
びの増殖を長期に亘り防止できる防腐防かび方法を提供
することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、特定の薬剤を組合せて
使用すると、沈澱物の生成、着色やpHの低下を防止で
き、少量であっても印刷版処理液の腐敗やかびの増殖を
長期に亘り防止できることを見いだし、本発明を完成し
た。
【0017】すなわち、本発明の印刷版処理液用防腐防
かび剤および印刷版用処理液は、2−メルカプトピリジ
ン−N−オキサイドのアルカリ金属塩とヘキサヒドロ−
1,3,5−トリ置換−S−トリアジンとを含有する。
【0018】さらに本発明の防腐防かび方法では、2−
メルカプトピリジン−N−オキサイドのアルカリ金属塩
とヘキサヒドロ−1,3,5−トリ置換−S−トリアジ
ンとの総量濃度が0.001〜0.5重量%となるよう
に印刷版処理液に添加する。
【0019】2−メルカプトピリジン−N−オキサイド
のアルカリ金属塩には、リチウム塩、カリウム塩、ナト
リウム塩などが含まれる。好ましいアルカリ金属塩は、
ナトリウム塩である。
【0020】ヘキサヒドロ−1,3,5−トリ置換−S
−トリアジンにおいて、1,3,5−位の置換基には、
アルキル基、ヒドロキシアルキル基が含まれる。アルキ
ル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル
基などの炭素数1〜6程度の低級アルキル基が挙げられ
る。好ましい低級アルキル基には、炭素数1〜4程度の
アルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基が含
まれる。
【0021】ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキ
シメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロ
ピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル
基などの炭素数1〜6程度のヒドロキシ低級アルキル基
が挙げられる。好ましいヒドロキシアルキル基には、炭
素数1〜4程度のヒドロキシアルキル基、特に、ヒドロ
キシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピ
ル基が含まれる。
【0022】前記トリアジン骨格の1,3,5−位の置
換基は、同一であってもよく異なっていてもよい。
【0023】好ましいヘキサヒドロ−1,3,5−トリ
置換−S−トリアジンには、ヘキサヒドロ−1,3,5
−トリメチル−S−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,
3,5−トリエチル−S−トリアジン、ヘキサヒドロ−
1,3,5−トリス(ヒドロキシメチル)−S−トリア
ジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロ
キシエチル)−S−トリアジンなどが含まれる。
【0024】前記化合物は適当に組合せて使用できる
が、2−メルカプトピリジン−N−オキサイドのナトリ
ウム塩とヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(ヒドロキ
シ低級アルキル)−S−トリアジンとを組合せて印刷版
処理液に添加すると、沈澱物の生成、着色やpHの低下
を著しく抑制できるだけでなく、少量の添加であっても
印刷版処理液の高い防腐防かび性を長期間維持できる。
2−メルカプトピリジン−N−オキサイドのナトリウム
塩は、好ましくはヘキサヒドロ−1,3,5−トリス
(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジンと組合せて
使用される。
【0025】2−メルカプトピリジン−N−オキサイド
のアルカリ金属塩とヘキサヒドロ−1,3,5−トリ置
換−S−トリアジンとの割合は、広い範囲で選択できる
が、通常、2−メルカプトピリジン−N−オキサイドの
アルカリ金属塩1重量部に対して、ヘキサヒドロ−1,
3,5−トリ置換−S−トリアジン1〜30重量部、好
ましくは3〜10重量部、さらに好ましくは5〜10重
量部程度である。トリアジン化合物の割合が前記範囲を
外れると、抗菌スペクトルの幅が狭くなり防腐防かび効
果が低下し易くなる。特にトリアジン化合物の割合が前
記範囲を越えると速効性に欠けるようになり、またトリ
アジン化合物の割合が前記範囲未満となると持続性が低
下するようになる。
【0026】本発明の防腐防かび剤は、前記化合物を有
効成分として含有していればよく、粉末、粒状や固体状
であってもよいが、水を含有していてもよい。水の含有
量は、印刷版処理液の種類などに応じて選択でき、通
常、50重量%以下、好ましくは15〜50重量%、さ
らに好ましくは25〜50重量%程度である。
【0027】防腐防かび剤は、必要に応じて、不感脂化
促進剤、緩衝剤、保存剤、湿潤剤などの種々の添加剤を
含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、アラビア
ゴム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、
アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニル
ピロリドン、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共
重合体、ポリアクリル酸、カルボキシメチルスターチ、
硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムな
ど)、リン酸ナトリウムなどのリん酸塩、硝酸ナトリウ
ムや硝酸ニッケルなどの硝酸塩、亜硝酸ナトリウムなど
の亜硝酸塩、重クロム酸アンモニウム、タンニン酸、多
価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンな
ど)、有機酸(例えば、クエン酸、コハク酸、酒石酸、
アスコルビン酸、プロピオン酸など)、無機微粒子(例
えば、コロイダルシリカ、アルミナなど)、エチレンジ
アミン四酢酸ナトリウムなどのアミノポリカルボン酸
塩、界面活性剤などが例示できる。
【0028】さらに、前記防腐防かび剤は、必要に応じ
て、メタノール、エタノールなどのアルコール類、セロ
ソルブ類、カルビトール類などの親水性有機溶媒、着色
剤などを含んでいてもよい。
【0029】防腐防かび剤において、前記化合物の総含
有量は、特に制限されないが、例えば、50〜85重量
%、好ましくは50〜75重量%程度である。
【0030】なお、本発明の防腐防かび剤には、必要に
応じて、他の殺菌剤、殺虫剤、防かび剤などの薬剤を添
加してもよい。
【0031】このような防腐防かび剤は印刷版処理液に
要求される種々の特性を充足する。特に、本発明の防腐
防かび剤は、高い防腐防かび性を備えていることに加え
て、印刷版処理液との相溶性や安定性が高く、沈澱物の
生成や着色がなく、pHの変化が極めて小さいという特
色がある。また、薬効の持続性が大きく、pH11以上
の強アルカリ領域の印刷版処理液であっても、薬剤の効
果が有効に発現する。
【0032】本発明の印刷版用処理液は、前記2−メル
カプトピリジン−N−オキサイドのアルカリ金属塩とヘ
キサヒドロ−1,3,5−トリ置換−S−トリアジンと
を含んでいる。なお、「印刷版用処理液」には、前記エ
ッチ液、中和液、湿し水などのように、印刷版に適用さ
れる水性処理液が含まれる。
【0033】印刷版用処理液における前記化合物の割合
は、前記防腐防かび剤における割合と同様である。印刷
版用処理液中の前記化合物の濃度は、処理液の種類や使
用の態様に応じて適当に選択でき、通常、0.001〜
25重量%程度の範囲内で選択できる。例えば、エッチ
液、中和液や湿し水においては、前記化合物の総量濃度
は0.001〜0.5重量%、好ましくは0.01〜
0.1重量%程度であるが、湿し水に添加するエッチ液
や湿し水用原液においては、前記化合物の総量濃度を
0.01〜25重量%、好ましくは0.05〜10重量
%程度とすることもできる。
【0034】前記防腐防かび剤を添加しても処理液のp
Hの変動が少ないため、印刷版用処理液のpHは特に制
限されない。エッチ液のpHは通常12〜14程度であ
り、中和液や湿し水のpHは6〜8程度である。また、
湿し水用原液などの印刷版用処理液のpHは適当に選択
でき、例えば、7〜13程度である。
【0035】なお、枚葉印刷、オフセット輪転印刷など
の一般的な平版印刷においては、pH6〜7程度の湿し
水が汎用され、新聞印刷においては、pH7〜8程度の
湿し水が汎用されている。
【0036】前記印刷版処理液は、前記防腐防かび剤と
同様に、種々の添加剤、有機溶媒や着色剤などを含んで
いてもよい。
【0037】本発明の防腐防かび方法では、前記割合の
防腐防かび剤、すなわち2−メルカプトピリジン−N−
オキサイドのアルカリ金属塩とヘキサヒドロ−1,3,
5−トリ置換−S−トリアジンとを、総量濃度が0.0
01〜0.5重量%、好ましくは0.0051〜0.2
重量%、さらに好ましくは0.01〜0.1重量%とな
るように印刷版処理液に添加する。本発明の方法におい
ては、処理液の組成やpHなどの如何に拘らず、少量の
添加によっても、広い範囲の微生物の増殖を長期間に亘
り防止できるという特色がある。
【0038】なお、印刷版処理液との相溶性が高いの
で、防腐防かび剤の添加方法は特に制限されず、印刷版
処理液に当初から添加してもよく、印刷版作製時や印刷
過程、印刷終了後の処理液に添加してもよい。また、防
腐防かび剤は複数回に別けて印刷版処理液に添加するこ
ともできる。
【0039】本発明は、エッチングなどにより凹凸画像
やパターンを形成するエッチング液、中和液などにも適
用できるが、好ましくは印刷版処理液、特に水性処理液
に好適に適用される。
【0040】
【発明の効果】本発明の防腐防かび剤は、印刷版処理液
に添加しても、沈澱物の生成や着色がなく、少量であっ
ても広い範囲の微生物の増殖を防止でき、防腐防かび効
果が高い。また、添加によるpHの変動が小さいので、
高品質の印刷物を得ることができる。
【0041】本発明の印刷版用処理液は、沈澱物の生成
や着色がなく、広い範囲の微生物の増殖を防止できると
ともに、pHの変動が小さいので、高品質の印刷物を得
る上で有用である。
【0042】本発明の方法によれば、印刷版処理液沈澱
物の生成や着色がなく、少量であっても印刷版処理液の
腐敗やかびの増殖を長期に亘り防止できる。
【0043】
【実施例】以下に、実施例および比較例に基づいて本発
明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に
より限定されるものではない。
【0044】実施例1 2−メルカプトピリジン−N−オキサイドのナトリウム
塩の水溶液[吉富製薬(株)製、トミサイドS、有効成
分濃度40重量%]20重量部と、ヘキサヒドロ−1,
3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリア
ジンの水溶液[アンガス(株)製、バイオバンGK、有
効成分濃度80.0重量%]60重量部とを混合し、前
記化合物の総量濃度が56重量%の防腐防かび剤を調製
した。防腐防かび剤は淡黄色透明であった。
【0045】実施例2 2−メルカプトピリジン−N−オキサイドのナトリウム
塩の水溶液[吉富製薬(株)製、トミサイドS、有効成
分濃度40重量%]25重量部と、ヘキサヒドロ−1,
3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリア
ジンの水溶液[アンガス(株)製、バイオバンGK、有
効成分濃度80.0重量%]75重量部とを撹拌し、前
記化合物の総量濃度が70重量%の防腐防かび剤を調製
した。防腐防かび剤は淡黄色透明であった。
【0046】比較例1 水50重量部と水酸化ナトリウム3重量部とを混合し、
ジエチレングリコール35重量部と、1,2−ベンズイ
ソチアゾリン−3−オンのペースト(ICI社製、プロ
クセルプレスペースト)とを添加して混合し、前記化合
物の濃度10重量%の防腐防かび剤を調製した。防腐防
かび剤は褐色透明であった。
【0047】比較例2 2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール2
0重量%、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒ
ドロキシエチル)−S−トリアジン20重量%を含む水
性防腐防かび剤を調製した。
【0048】なお、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−
1,3−ジオールだけを、新聞印刷用湿し水の原液(p
H12.3)に対して5重量%で添加したとき、相溶性
は良好であった。しかし、前記湿し水の原液に前記防腐
防かび剤を、前記化合物の総量が5重量%となるように
添加した印刷版用処理液を、室温で4日保存したとこ
ろ、処理液が褐変し、1週間保存したところ沈澱物が生
成した。
【0049】比較例3〜9 ヨードアセトアミド(比較例3)、o−フェニルフェノ
ールナトリウム(比較例4)、メチレンビスチオシアネ
ート(比較例5)、ジブロモニトリロプロピオンアミド
(比較例6)、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン
−3−オン(比較例7)、3−ヨード−2−プロピニル
ブチルカーバメート(比較例8)、3,3,4,4−
テトラクロロテトラヒドロチオフェン 1,1−ジオキ
シド(比較例9)を、それぞれ、新聞印刷用湿し水の原
液(pH12.3)に対して5重量%となるように添加
し、印刷版用処理液を調製した。
【0050】そして、各処理液を室温で2週間保存した
ところ、いずれの原液も、黄色ないし褐色に着色すると
ともに、沈澱物や浮遊物が生成した。なお、調製当初、
比較例3の原液は均一であり、比較例4および比較例5
の原液は、着色し僅に沈澱物が生成した。また、比較例
6〜9の原液は、調製当初、着色し、比較例4及び5の
原液よりも多くの沈澱物や浮遊物が生成した。
【0051】沈澱物の生成がない実施例1,2及び比較
例1の防腐防かび剤について、安定性、抗菌性などを調
べるため、次のような試験を行なった。
【0052】試験例1 新聞印刷用湿し水の原液(pH12.3)に、実施例
1,2および比較例1の防腐防かび剤を、前記化合物の
総量が5重量%となるように添加し、印刷版用処理液を
調製した。得られた処理液を、室温(約25℃)で所定
期間保存し、外観、沈澱物の有無を観察するとともに、
pHを測定した。結果を表1に示す。
【0053】沈澱物の生成量は、次のような基準で評価
した。
【0054】−:沈澱物の生成がない ±:沈澱物が僅かに生成する ++:沈澱物がかなり多く生成する なお、実施例1及び2で用いた各化合物、比較例1で用
いた1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンを、それ
ぞれ単独で、新聞印刷用湿し水の原液(pH12.3)
に対して5重量%となるように添加しても相溶性が良好
であり、調製当初の溶液はいずれの均一であった。
【0055】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1および実施例2の防
腐防かび剤を用いた印刷版用処理液は、外観上の変化が
なく、沈澱物の生成量も僅かであるとともに、pHの低
下が少ない。これに対して、比較例1の防腐防かび剤を
用いた印刷版用処理液は、著しく着色し、多量の沈澱物
が生成するとともに、pHが大きく低下する。
【0056】試験例2 実施例2の防腐防かび剤を、40℃および60℃で所定
期間保存し、防腐防かび剤に含まれる前記化合物の残存
量を高速液体クロマトグラフィー及び電位差滴定法によ
り測定し、各化合物の残存率を算出した。結果を表2に
示す。
【0057】なお、表2中、ピリジン化合物は2−メル
カプトピリジン−N−オキサイドのナトリウム塩を示
し、トリアジン化合物は、ヘキサヒドロ−1,3,5−
トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジンを示
す。
【0058】
【表2】 表2より明らかなように、前記ピリジン化合物及びトリ
アジン化合物は、高いpH(pH11以上)の条件下、
高温で保存しても安定性が高い。
【0059】試験例3 実施例2および比較例1の防腐防かび剤について、グル
コースブイヨン寒天培地(pH=6.0)を用い、培数
希釈法により、最小発育阻止濃度[MIC(μg/m
l)]を求めた。なお、最小発育阻止濃度は、細菌では
33℃で18時間、かびおよび酵母では28℃で3日間
培養した後、微生物の生育の有無を調べることにより求
めた。結果を表3に示す。
【0060】
【表3】 表3から明らかなように、比較例1の防腐防かび剤に比
べて、実施例2の防腐防かび剤は、細菌、かび、酵母に
対して広い抗菌スペクトルを示す。
【0061】試験例4 エッチ液に、実施例2および比較例1の防腐防かび剤
を、それぞれ、前記化合物が総量5重量%となるように
添加し、水で125倍(前記化合物の総量濃度0.04
重量%)、250倍(前記化合物の総量濃度0.02重
量%)に希釈し、試験液1(pH12.4)を調製し
た。
【0062】また、エッチ液に、実施例2および比較例
1の防腐防かび剤を、前記化合物が総量5重量%となる
ように添加して、室温で1ケ月間保存し、水で125
倍、250倍に希釈し、試験液2(pH12.4)を調
製した。
【0063】100重量部の試験液1および試験液2
に、それぞれ3重量部の腐敗した湿し水を添加し、33
℃で所定期間保存し、試験液1および試験液2中の生菌
数(CFU/ml)をブイヨン寒天培地を用い、倍数希
釈法により測定した。
【0064】なお、対照として、薬剤無添加の試験液に
ついても同様にして試験した。結果を表4および表5に
示す。
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】 表4及び表5から明らかなように、比較例1の防腐防か
び剤を用いた印刷版用処理液では、薬剤無添加の場合に
比べて細菌数が増加しているのに対して、実施例2の防
腐防かび剤を用いた印刷版用処理液では、低濃度であっ
ても長期間に亘り、細菌、かび及び酵母の増殖を著しく
防止できる。また、長期間保存しても、薬効が低下しな
い。
【0067】なお、100重量部の試験液1および試験
液2に、それぞれ1重量部の胞子懸濁液(Paecilomyces
sp.、Aspergillus niger およびPenicillium citrinum
を105 〜106 CFU/ml含む)を添加し、33℃
で2週間保存した。そして、試験液1および試験液2中
のかび及び酵母数(CFU/ml)をグルコースブイヨ
ン寒天培地を用い、倍数希釈法により測定したところ、
いずれもかび及び酵母が生育していなかった。
【0068】試験例5 実施例1,2および比較例1の防腐防かび剤を、それぞ
れ、前記化合物が総量5重量%となるように新聞印刷用
湿し水原液に添加し、印刷版用処理液を調製した。
【0069】そして、前記処理液に、鉄およびステンレ
ススチール(SUS304)の試験片を12週間に亘り
浸漬したところ、試験片はいずれも腐蝕していなかっ
た。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2−メルカプトピリジン−N−オキサイ
    ドのアルカリ金属塩とヘキサヒドロ−1,3,5−トリ
    置換−S−トリアジンとを含有する印刷版処理液用防腐
    防かび剤。
  2. 【請求項2】 2−メルカプトピリジン−N−オキサイ
    ドのナトリウム塩とヘキサヒドロ−1,3,5−トリス
    (2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジンとを含有す
    る請求項1記載の印刷版処理液用防腐防かび剤。
  3. 【請求項3】 2−メルカプトピリジン−N−オキサイ
    ドのアルカリ金属塩1重量部に対して、ヘキサヒドロ−
    1,3,5−トリ置換−S−トリアジン1〜30重量部
    を含む請求項1記載の印刷版処理液用防腐防かび剤。
  4. 【請求項4】 水を含有する請求項1記載の印刷版処理
    液用防腐防かび剤。
  5. 【請求項5】 含水量が50重量%以下である請求項1
    又は4記載の印刷版処理液用防腐防かび剤。
  6. 【請求項6】 2−メルカプトピリジン−N−オキサイ
    ドのアルカリ金属塩とヘキサヒドロ−1,3,5−トリ
    置換−S−トリアジンとを含有する印刷版用処理液。
  7. 【請求項7】 2−メルカプトピリジン−N−オキサイ
    ドのアルカリ金属塩とヘキサヒドロ−1,3,5−トリ
    置換−S−トリアジンとの総量濃度が0.001〜0.
    5重量%となるように印刷版処理液に添加する防腐防か
    び方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000022930A1 (fr) * 1998-10-16 2000-04-27 Somar Corporation Procede de prevention de la putrefaction d'une pate aqueuse contenant un epaississant a base de polysaccharide
JP2007070634A (ja) * 2005-09-06 2007-03-22 Samsung Electronics Co Ltd インク組成物、これを含むインクカートリッジ及びインクジェット記録装置

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