JPH06179011A - 圧延機の板厚制御装置 - Google Patents

圧延機の板厚制御装置

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JPH06179011A
JPH06179011A JP4330144A JP33014492A JPH06179011A JP H06179011 A JPH06179011 A JP H06179011A JP 4330144 A JP4330144 A JP 4330144A JP 33014492 A JP33014492 A JP 33014492A JP H06179011 A JPH06179011 A JP H06179011A
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功 今井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 板厚制御の応答性を高めて、精度のよい製品
板厚を得ることができる圧延機の板厚制御装置を提供す
る。 【構成】 ロールギャップを設定する油圧圧下装置66
と、圧延荷重Pを検出するロードセル1とを備えた圧延
機の板厚制御装置において、圧延機の入側の圧延材30
の張力を調節する張力制御装置33と、圧延機の入側の
圧延材の板厚tを検出する厚み計22と、圧延機の入側
の圧延材の走行速度Vs1を検出する速度計50とを備
え、更に、ロードセルの信号に基づき油圧圧下装置で圧
延力を一定にする制御を行い、厚み計の信号から圧延機
の出側の板厚変動量を求め、かつ速度計の信号よりロー
ルギャップを変更するタイミングを演算してロールギャ
ップの変更量を油圧圧下装置へ出力するロールギャップ
変更量演算器51を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧延機の板厚制御装置に
係わり、更に詳しくは、油圧圧下方式の圧延機において
高応答の板厚制御を実現する圧延機の板厚制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来の油圧圧下方式の圧延機の一例とし
て、図6に、入側及び出側(入出側)にリール20、2
7を配したシングルスタンドの冷間可逆式圧延機を示
す。この図において、圧延材30は巻戻し用リール20
から送り出され、デフレクタロール21からワークロー
ル3、4間を通り、この間で所定の圧延が行われた後、
デフレクタロール26を通って巻取り用リール27に巻
取られる。巻戻し及び巻取り用リール20、27は各々
モータ19、28で駆動されており、さらに圧延機32
の入出側で圧延材30に働く張力を一定に保つためのリ
ールモータ張力制御装置18、29が設けられている。
張力制御装置18、29は一般にモータ電流を張力に比
例させるように制御している。またラインの圧延速度
は、圧延機32のワークロール駆動用モータ23の速度
を速度制御装置24でコントロールして、所定の値に制
御している。
【0003】図6において、1は圧延荷重を検出するロ
ードセル、2は上バックアップロール、3、4は上下ワ
ークロール、5は下バックアップロール、6はワークロ
ール3、4間のロールギャップを設定する油圧シリン
ダ、7は油圧シリンダ6とサーボ弁8間の配管、9は油
圧シリンダ内に装着された油圧ラム6′の変位を検出す
る変位計である。10はサーボ弁8への開度指令(電流
信号)を送るサーボアンプ、11は加減算器12の出力
信号を増幅する制御ゲインKG を与える係数器で、圧下
ラム6′の圧下位置S′を制御するようになっている。
【0004】従来の油圧圧下方式の圧延機は、基本的な
位置制御ループとして、油圧圧下装置66を備えてい
る。この制御ループは、指令信号Rと変位計9の出力信
号Sとを比較演算し、その偏差信号eに係数器11でゲ
インKG を乗算し、この信号によりサーボアンプ10を
介してサーボ弁8の開度を制御して、配管7から油圧シ
リンダ6に供給する圧油の量を調節することにより、圧
下ラム6′の位置S′を制御する。その結果、下バック
アップロール5、下ワークロール4が移動して上下ワー
クロール3、4間の開度(ロールギャップ)を所定の値
に調節することができる。
【0005】更に、従来の油圧圧下方式の圧延機は、圧
延荷重を受けたミルの伸び分を補正するためのミル常数
制御装置54を備えている。すなわち、圧下ラム6′の
位置S′を上述した油圧圧下装置66により位置制御す
るだけでは上下ワークロール3、4間のロールギャップ
に圧延荷重を受けたミルの伸び分だけの誤差が発生す
る。そのため、通常は圧延開始後のあるタイミングで基
準圧延荷重Pref を記憶し、ロードセル1で検出した圧
延中の圧延荷重を表わす信号Pとの差ΔPを加減算器1
7で求め、それをミル常数制御装置54の係数器16に
おいてミル常数Km (圧延機のバネ常数に当たるもの
で、予め求めておく)で除算してミルの伸びを求め、そ
れに何割り補正するかを決める補正ゲインcを乗算し
て、圧下ラム6′の位置S′を修正する修正信号CP を
求め、これを先の基本位置制御ループの指令として加算
器13に与え、圧下ラム6′の位置S′を補正してい
る。
【0006】更に、従来の油圧圧下方式の圧延機は、圧
延後の実際の板厚をモニターして板厚を制御するモニタ
AGC(Automatic Gauge Control)装置を備えている。
このモニタAGC装置は、圧延機32出側の圧延材30
の絶対板厚を目標値href と一致させるために、圧延機
32の出側に設けた厚み計25(逆方向走行時は厚み計
22を使用する)によって検出された信号hと目標値h
ref とを加減算器31で比較演算して偏差Δhを求め、
それを積分制御器15を通した後、係数器14において
実際の圧下位置に直す補正ゲイン1+(M/Ke )を乗
算して圧下ラム6′の位置S′を修正する修正信号Ch
を求め、これを前述の基本位置制御ループ(油圧圧下装
置66)の指令として加算器13に与え、圧下ラム6′
の位置S′を補正する。ここで、Mは圧延材30の堅さ
を表す定数で予め求めておく。また、Ke は制御された
ミル常数でKe =Km /(1−c)の関係がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の油圧圧
下方式の圧延機(図6)において圧延材30の板厚を制
御するために、圧下ラム6′の位置S′を変えロールギ
ャップを変更すると、圧延材30に作用している入出側
の張力が変化する。例えば、板厚を薄くするためにワー
クロール3、4間のロールギャップを狭くすると、圧延
材30が伸び、入出側の張力が減少する。しかし、入出
側の巻戻し、巻取りリール20、27のモータ19、2
8を制御するリールモータ張力制御装置18、29の応
答は、一般に油圧圧下よりも1桁以上遅いため、ロール
ギャップが変更され、張力が変わっても、油圧圧下並の
速さで張力を設定値に戻せない。このため、入出側の張
力が減少し、その結果、見掛け上圧延材30の変形抵抗
が大きくなったかのような効果が生じ、ロールギャップ
は拡大する方向に向かう(板厚が薄くならない)。すな
わち、高速の油圧圧下で板厚を薄くしようとしても、入
出側のモータ19、28のリールモータ張力制御装置1
8、29の応答速度以上の速さでは板厚を薄くできない
問題点があった。このため、特に2〜3Hz 以上の速い
入側板厚外乱に対しては、先のミル常数制御でミルを硬
くして除去しようとしても板厚制御が応答しないので除
去できない問題点があった。油圧圧下を使って、どんな
に速く圧下ラム6′の位置S′を制御しても、板厚制御
の精度が思った以上に良くならないということを圧延現
場でしばしば耳にするが、それは上述の理由によること
がわかった。
【0008】図7は本発明者による計算機シュミレーシ
ョンの例であり、上述した問題点を明らかにするもので
ある。シュミレーションを行った対象は図4に示したシ
ングルスタンドの冷間可逆式圧延機で、入側設定張力
1.36トン、出側設定張力2.35トン、入側板厚
0.52mm、板厚1800mmの材料を圧延速度18
00m/分で目標板厚0.3mmにするという条件下
で、途中ロールギャップをステップ状に10μm減少さ
せた例である。油圧圧下の応答は周波数応答で90度位
相遅れ20Hz を想定しており、ステップ応答では0.
04秒以下で目標値に到達するという高速なものであ
る。シュミレーション結果を見ると、ロールギャップを
10μm変えると、出側板厚変化Δhはほぼ1秒後に定
常値に到達している。実際の油圧圧下は0.04秒で目
標値に到達するのに、板厚が時間的に25倍も遅くしか
変化しないのは、前述のように、入出側のリールモータ
張力制御装置18、29の応答が遅いからである。すな
わち、一般にリール20、27の張力はモータ電流を一
定にすることにより制御されるが、モータ19、28を
含むリール20、27の慣性はかなり大きく、従って電
流コントロールによって、リール20、27の周速がテ
ンション変動を抑え、次の定常値に達するまでに1秒程
度かかるからである。
【0009】上記問題点に対して本発明者の1人は、特
開平3−155406号公報「圧延機の板厚制御装置」
において、圧延機の入側、もしくは入出側の両方に、圧
延材料に印加されている張力を調節する張力制御装置を
備えた図6に示すような圧延機の板厚制御装置を提案し
た。尚、図8では図6と同一の符号を付した部分は同一
物を示している。図8の装置によればロールギャップを
操作した結果発生する張力の変動を速やかに抑制するこ
とができるので、ロールギャップを動かした結果が板厚
に即座に反映されるようになり、従来のミル常数制御も
十分に機能するようになる。図8における張力制御装置
33、34としては具体的には図9に示すようなものが
一例として考えられる。即ち、図9において、35は圧
延材30を押さえる押えロールで、アーム36に回転自
在に支持されている。37は押えロール35の軸受けに
取り付けられた荷重検出器(ロードセル)で、圧延材3
0からの反力を検出する。アーム36はレバー38と結
合されており、回転主軸39を中心に回転し、その結果
押えロール35を上下させる。レバー38は液圧シリン
ダ40に装着されたピストンロッド41と結合されてお
り、サーボ弁42で液圧シリンダ40への流量を調節す
ることにより、回転主軸39を中心に回動する。その結
果一体となったアーム36が回動し、押えロール35を
上下させる。サーボ弁42の開度調整は、荷重検出器3
7で検出した圧延材30の反力から圧延材30の張力T
を張力演算器46で演算して求め、それを加減算器45
で張力設定値Tref と比較演算して偏差ΔTを求め、こ
の偏差ΔTに係数器44により係数KT を乗算し、サー
ボアンプ43を介してサーボ弁42を制御することによ
り、偏差ΔTを零とするように制御する。
【0010】図9に示した張力制御装置33、34によ
れば、ロールギャップが変わった場合、その結果生じる
張力変化を押えロール35の軸受け部の荷重検出器37
で検出し、これを目標値Tref と一致するように高速の
サーボ弁42で液圧シリンダ40への流体の流入、流出
量を調整し、その結果押えロール35が上下し、圧延材
30の張力が即座に変わる。このため、油圧圧下でロー
ルギャップを変えた結果が即座に出側板厚に反映され、
従来のモータ電流による張力制御装置を使用した場合に
比べて、高応答の板厚制御を実施することができる。
尚、図8の装置においては、リールモータ張力制御装置
18、29は遅い張力変動を抑制し、張力制御装置3
3、34は速い張力変動を吸収するように作用し、全体
として上述した板厚制御の遅れが解決され、高応答の板
厚制御を実施することができる。
【0011】しかし、かかる張力制御装置を備えた圧延
機においても、ミル常数制御で入側板厚外乱を除去する
ためにミルを硬くすると、ミル機械本体のロール偏心な
どの外乱が板厚へ影響を及ぼしやすくなり、板厚精度を
悪化させるという問題点があった。これに対して従来か
ら、ロール偏心を圧延力信号などから抽出して、これを
もとにロールギャップを偏心の動きと逆向きに動かして
補正する、いわゆるロール偏心除去制御装置が実用化さ
れていた。しかし、この方法も圧延速度が速くなると、
ロール偏心の変動周期が速くなり、油圧圧下の応答が間
に合わなくなるので偏心の影響を十分に除去できないと
いう問題点があった。
【0012】図10〜図13は、本発明者がかかる問題
点を検討するために行った計算機シュミレーション結果
である。シュミレーションを行った対象は、図6、図8
に示したシングルスタンドの冷間式圧延機で、入側設定
張力1.42トン、出側設定張力3.04トン、入側板
厚0.28mm、板幅1800mmの材料を圧延速度1
800m/分で目標板厚0.2mmにするという条件下
で、入側板厚外乱として振幅±4μm、変動周波数5H
z 、ロール偏心として振幅±3μm、変動周波数6.5
3Hz を想定して計算した例である。図10、図11は
入側板厚変動の影響のみを検討したものであり、図10
は、張力制御装置のない図6に示した従来の圧延機にお
いて、ミル常数をミル常数制御で10倍に硬くした例で
ある。図10から明らかなように、入側板厚変動8μm
P-P に対して出側板厚変動は5.4μmP-P と大きい変
動幅となっている。図11は、圧延機32入側に張力制
御装置33を備えた図6に示す装置の場合であり、図1
1から分かるように、3.4μmP-P まで板厚変動が減
少している。これは、張力制御装置33で入側張力変動
を抑制できるので、ミル常数制御によりミルを硬くして
十分に入側板厚変動を減らすことができるからである。
【0013】一方、図12、図13はロール偏心の影響
のみを検討した場合であり、図12は張力制御装置のな
い図6に示した従来の圧延機32でやはりミル常数をミ
ル常数制御で10倍に硬くした例で、ロール偏心6μm
P-P は、ほとんど出側板厚変動を引き起こしていない。
すなわち、入側張力変動から分かるように、張力が0.
88トンP-P も変動し、その結果、ロール偏心が板厚に
ほとんど影響を及ぼさないのである。それに対して、圧
延機32入側に張力制御装置33を入れると、図11に
示すように入側張力変動が0.2トンP-P と大幅に減少
するのに伴い、出側板厚変動は3.2μmP-P にまで増
加している。即ち、入側張力変動が抑制されたので、ロ
ール偏心に起因するロールギャップの変化が圧延材の板
厚に影響を及ぼすようになったのである。
【0014】従って、上述した張力制御装置を備えた圧
延機においても、例えば入側板厚外乱等とロール偏心等
の両方がある場合には、応答性の高い高精度の板厚制御
が困難であるという問題点があった。従って、圧延機3
2の入側、もしくは入出側の両方に圧延材30に印加さ
れている張力を調節する張力制御装置33、34を設け
た場合、入側板厚外乱等の材料自体に起因する原因、並
びにロール偏心等の機械に起因する原因の両方を考慮し
た対策を考えることが重要であることがわかった。本発
明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、入側板厚
外乱等とロール偏心等の両方に対する板厚制御の応答性
を高めて、精度のよい製品板厚を得ることができる圧延
機の板厚制御装置を提供しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上下ワークロ
ール間のロールギャップを設定する油圧圧下装置と、圧
延荷重を検出するロードセルとを備えた圧延機の板厚制
御装置において、前記圧延機の入側の圧延材の張力を調
節する張力制御装置と、圧延機の入側の圧延材の板厚を
検出する厚み計と、圧延機の入側の圧延材の走行速度を
検出する速度計とを備え、更に、前記ロードセルの信号
に基づき前記油圧圧下装置で圧延力を一定にする制御を
行い、前記厚み計の信号から圧延機の出側の板厚変動量
を求め、かつ速度計の信号よりロールギャップを変更す
るタイミングを演算してロールギャップの変更量を前記
油圧圧下装置へ出力するロールギャップ変更量演算器を
備える、ことを特徴とするものである。
【0016】
【作用】上記本発明の構成によれば、圧延機の入側に張
力制御装置を設けたので、ロールギャップの変動による
張力の変動を速やかに抑制することができる。また、圧
延機入側の厚み計により入側板厚変動が、速度計により
圧延材の送り速度がそれぞれ測定され、前記厚み計及び
速度計からの信号を基にロールギャップ変更量と、入側
板厚変動が圧延機の上下ワークロール間を通過するタイ
ミングとが演算され、ロールギャップ変更量信号CF が
油圧圧下装置、もしくは張力制御装置へ出力され、圧延
機の上下ワークロール間のロールギャップが調整されて
入側板厚変動が除去されると共に、ロードセルの信号を
基に、ロール偏心などの圧延機自体に起因する外乱成分
の出側板厚への影響を除去するために圧延機は圧延力一
定制御(ミル常数=0)で運転される。これにより、油
圧圧下の高速制御性を最大限に生かして、板厚制御の応
答性が高められ、精度の良い製品板厚が得られる。
【0017】
【実施例】以下、本発明による圧延機の板厚制御装置を
図面を参照して説明する。図1は本発明による圧延機の
板厚制御装置の一実施例であり、図中図6と同一の符号
を付した部分は同一物を示している。図1に示す如く、
本発明による装置は、上下ワークロール3、4間のロー
ルギャップを設定する油圧圧下装置66と、圧延荷重P
を検出するロードセル1とを備えた圧延機において、圧
延機32の入側の圧延材の張力を調節する張力制御装置
33と、圧延機の入側の圧延材の板厚tを検出する厚み
計22と、圧延機の入側の圧延材の走行速度Vを検出す
る速度計50とを備える。更に本発明による圧延機の板
厚制御装置は、ロードセル1の信号に基づき油圧圧下装
置66で圧延力Pを一定にする制御を行い、厚み計22
の信号から圧延機の出側の板厚変動量を求め、かつ速度
計50の信号よりロールギャップを変更するタイミング
を演算してロールギャップの変更量を油圧圧下装置66
へ出力するロールギャップ変更量演算器51を備える。
かかる構成により、入側の厚み計22の信号tより入側
板厚外乱を相殺するロールギャップ変更量を求め且つ速
度計50の信号VS1よりロールギャップを変更するタイ
ミング、即ち入側板厚外乱が圧延機32の上下ワークロ
ール3、4間を通過するタイミングを演算してロールギ
ャップ変更量信号CF を圧延力一定制御のループへの指
令値として加算器13へ加えることができる。上述した
制御システムの作動を以下説明する。張力制御装置33
は、圧延材30の張力変動を測定して、それを減少させ
るように図7に示したような押えロール35を動かすた
め、ロールギャップ変動による張力変動は速やかに抑制
されると共に、ロールギャップ変動が出側板厚に反映さ
れるようになる。更に、圧延機32入側に設けた厚み計
22により入側板厚変動ΔHが測定され、且つ、圧延材
30の送り速度Vが速度計50により測定され、前記厚
み計22及び速度計50からの信号t、VS1を基にロー
ルギャップ変更量演算器51において、ロールギャップ
変更量と、入側板厚変動ΔHが圧延機32の上下ワーク
ロール3、4間を通過するタイミングとが演算され、ロ
ールギャップ変更量信号CF が圧延力一定制御ループの
加算器13へ出力され、圧延機32の上下ワークロール
3、4間のロールギャップが調整されて入側板厚変動Δ
Hが除去される。
【0018】図2は本発明の他の実施例で、本発明によ
れば、圧延機の出側に圧延材の走行速度vを検出する速
度計50bを備え、入側板厚変動ΔHに起因する圧延機
の出側の板厚変動量Δhは厚み計22の信号tと圧延機
の入出側の速度計の信号とVS1、VS2から求めことがで
きる。かかる構成により、厚み計22の信号tと圧延機
の入出側の速度計の信号とVS1、VS2から入側板厚外乱
を相殺するロールギャップ変更量を求め、且つ速度計5
0の信号VS1よりロールギャップを変更するタイミン
グ、即ち入側板厚外乱が圧延機32の上下ワークロール
3、4間を通過するタイミングを演算してロールギャッ
プ変更量信号CF を圧延力一定制御のループへの指令値
として加算器13へ加えることができる。すなわち、ロ
ールギャップ前後の体積流量が一定であることから、Δ
h=(VS1/VS2)×ΔHの関係があり、この関係から
板厚変動量Δhを求めることができる。こうすることに
より、図1の実施例の場合よりも、より正確に入側板厚
変動ΔHによって引き起こされる出側板厚変動Δhを求
めることができるので、さらに制御精度を向上させるこ
とができる。本制御システムの作動は、図1で述べた場
合と同様であり、異なるところは入側板厚変動ΔHより
直接ロールギャップ変更量CF を求めるのではなく、入
出側の速度VS1、VS2より、入側板厚変動ΔHによって
引き起こされるロールギャップ直後の出側板厚変動Δh
を求め、それからロールギャップ変更量CF を演算する
点である。
【0019】ここで、先に図12、図13で示したよう
に、ロール偏心の影響を除去するために、図1、図2に
示す実施例では油圧圧下装置に圧延力を一定にする制御
を実施しているので、圧延機のバネ常数であるミル常数
は零となり、ロール偏心による出側板厚変動の圧下は抑
制される。反面、圧延力を一定にする制御を実施する
と、入側板厚外乱の出側板厚変動へ与える影響が大きく
なる。図1に示す本発明の実施例では、圧延機32入側
に設けた厚み計22で入側板厚変動を測定し、且つ圧延
材30の速度を速度計50で測定し、ロールギャップ変
更量演算器51で入側板厚変動が圧延機32の上下ワー
クロール3、4間を通過するタイミングを求め、それに
合わせてロールギャップを時々刻々変更させているの
で、入側板厚外乱ΔHが除去され、その結果、出側板厚
変動も小さくすることができる。
【0020】図3、図4は本発明の別の実施例で、ロー
ルギャップ変更信号を張力制御装置33へ出力する例で
ある。問題としている入側板厚外乱の変動周波数では、
入側のリールモータによる張力制御の応答が間に合わな
いので、直接張力制御装置33を操作して張力変動によ
り板厚を変えることができる。圧下制御装置60と張力
制御装置66は問題となる外乱(入側板厚外乱等とロー
ル偏心等)に対応してモード選択制御装置65により切
り換えて使用することができる。なお、図3、図4にお
いて、61は油圧シリンダ、62はサーボ弁、63はロ
ードセル、64は変位計である。図3は、図1の構成に
対応し、入側板厚外乱ΔHから直接張力変更量Tref
(図9参照)を求める場合で、図4は図2と同様に、入
出側の圧延材の速度VS1、VS2から一度出側板厚変動Δ
hを求め、それから張力変更量Tref を求める例であ
る。図5は本発明の実施例の効果を示すため行った計算
機シミュレーションの結果であり、外乱として入側板厚
変動及びロール偏心が同時に加わった場合の例である。
条件は上述した図8から図11の場合と同じである。こ
の図から明らかなように、本発明の張力制御装置33を
起動した上で、圧延機を圧延力を一定とする制御を行
い、かつ図1で説明した入側板厚変動ΔHを抑制する制
御を実施しているので、±1.3μm程度まで出側板厚
変動が減少しており、入側板厚変動及びロール偏心に対
する本発明の優れた効果が示されている。
【0021】尚、上記実施例では、本発明をシングルス
タンドの冷間可逆式圧延機に適用した場合についてのみ
述べたが、一方向に圧延する非可逆式の圧延機や2スタ
ンド以上のタンデム圧延機等、前記従来技術で述べた問
題が生ずる全ての圧延機に本発明を適用できること、
又、張力検出は、押えロール、デフレクタロール以外に
圧延材の走行経路中に配されたロールその他の部材にか
かる圧延材からの反力により検出することができること
等、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種
々変更を加え得ることは勿論である。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の圧延機の
板厚制御装置によれば、圧延機の入側に張力制御装置を
設けたので、板厚を制御するために圧延機の圧下位置を
変更した結果生ずる圧延機入側の張力変動を速やかに抑
制することができ、更に、入側板厚外乱を圧延機入側の
厚み計で測定して除去すると共にロール偏心等の影響を
圧延機を圧延力一定制御にして抑制するので、板厚制御
の応答を速めて、精度の良い製品板厚を得ることができ
るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のシステム構成を示すブロック
図である。
【図2】本発明の別の実施例のシステム構成を示すブロ
ック図である。
【図3】本発明の更に別の実施例のシステム構成を示す
ブロック図である。
【図4】本発明の更に別の実施例のシステム構成を示す
ブロック図である。
【図5】図1の実施例における計算機シミュレーション
の例である。
【図6】従来例のシステム構成を示すブロック図であ
る。
【図7】図6の装置における計算機シミュレーション結
果を示す線図である。
【図8】現在提案されている張力制御装置を備えた圧延
機のシステム構成を示すブロック図である。
【図9】図8の装置の張力制御装置の具体例を示すブロ
ック図である。
【図10】図6の装置における入側板厚変動に対する出
側板厚変動並びに入側張力変動の計算機シミュレーショ
ン結果を示す線図である。
【図11】図8の装置における入側板厚変動に対する出
側板厚変動並びに入側張力変動の計算機シミュレーショ
ン結果を示す線図である。
【図12】図6の装置におけるロール偏心に対する出側
板厚変動並びに入側張力変動の計算機シミュレーション
結果を示す線図である。
【図13】図8の装置におけるロール偏心に対する出側
板厚変動並びに入側張力変動の計算機シミュレーション
結果を示す線図である。
【符号の説明】
1 ロードセル 2 上バックアップロール 3 上ワークロール 4 下ワークロール 5 下バックアップロール 6 油圧シリンダ 7 配管 8、42 サーボ弁 9 変位計 10、43 サーボアンプ 11、44 係数器 12、17、31、45 加減算器 13 加算器 14 係数器 15 積分制御器 18、29 リールモータ張力制御装置 19、28 モータ 20 巻戻し用リール 21、26 デフレクタロール 22、25 厚み計 23 ワークロール駆動用モータ 24 速度制御装置 27 巻取り用リール 30 圧延材 32 圧延機 33、34 張力制御装置 35 押えロール 36 アーム 37 荷重検出器 38 レバー 39 回転主軸 40 液圧シリンダ 41 ピストンロッド 46 張力演算器 50、50b 速度計 51 ロールギャップ変更量演算器 52 ミル常数演算器 53 補正ゲイン設定器 54 ミル常数制御装置 60 圧下制御装置 61 油圧シリンダ 62 サーボ弁 63 ロードセル 64 変位計 65 モード選択制御装置 66 油圧圧下装置 67 張力制御演算装置 Pref 基準圧延荷重 P 信号(圧延荷重) R 指令信号 t 信号(入側板厚) Vs 信号(送り速度) CF ロールギャップ変更量信号 h 信号(出側板厚) KB ミル常数信号 c 補正ゲイン信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三国 栄祐 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内 (72)発明者 内田 収 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下ワークロール間のロールギャップを
    設定する油圧圧下装置と、圧延荷重を検出するロードセ
    ルとを備えた圧延機の板厚制御装置において、 前記圧延機の入側の圧延材の張力を調節する張力制御装
    置と、圧延機の入側の圧延材の板厚を検出する厚み計
    と、圧延機の入側の圧延材の走行速度を検出する速度計
    とを備え、 更に、前記ロードセルの信号に基づき前記油圧圧下装置
    で圧延力を一定にする制御を行い、前記厚み計の信号か
    ら圧延機の出側の板厚変動量を求め、かつ速度計の信号
    よりロールギャップを変更するタイミングを演算してロ
    ールギャップの変更量を前記油圧圧下装置へ出力するロ
    ールギャップ変更量演算器を備える、ことを特徴とする
    圧延機の板厚制御装置。
  2. 【請求項2】 更に、圧延機の出側に圧延材の走行速度
    を検出する速度計を備え、前記圧延機の出側の板厚変動
    量は前記厚み計の信号と圧延機の入出側の速度計の信号
    とから求められる、ことを特徴とする請求項1に記載の
    圧延機の板厚制御装置。
  3. 【請求項3】 前記張力制御装置は、荷重検出器と油圧
    シリンダとブライドル・ロールとからなり、サーボ弁で
    制御される、ことを特徴とする請求項1に記載の圧延機
    の板厚制御装置。
  4. 【請求項4】 ロールギャップ変更量を張力制御装置に
    出力することを特徴とする請求項1および2に記載の圧
    延機の板厚制御装置。
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