JPH06175363A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

感光性樹脂組成物

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JPH06175363A
JPH06175363A JP32954492A JP32954492A JPH06175363A JP H06175363 A JPH06175363 A JP H06175363A JP 32954492 A JP32954492 A JP 32954492A JP 32954492 A JP32954492 A JP 32954492A JP H06175363 A JPH06175363 A JP H06175363A
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JP
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photosensitive resin
weight
compsn
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pts
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Hirofumi Inamura
広文 稻村
Shigetora Kashio
重虎 樫尾
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、完全ケン化または部分ケン化ポリ酢
酸ビニル100重量部、分子中にエチレン性二重結合を
有する光重合性不飽和化合物20〜300重量部、光重
合開始剤0.1〜10重量部およびリン酸金属塩を0.
01〜5重量部を少なくとも含んで成る感光性樹脂組成
物に関するものである。 【効果】本発明によると、耐熱安定性の優れた完全ケン
化または部分ケン化ポリ酢酸ビニル系感光性樹脂組成物
を得る。その耐熱安定性は感光性樹脂組成物の溶液のみ
ならず、版材の耐熱安定性にも大きな効果を発揮する。
したがって、高温成形が可能となり版材成形プロセスの
生産性が向上した。また、版材の高温保存時の感光特性
の劣化を防止することができるようになった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度の画像再現性,す
ぐれた印刷適性および良好な水現像性を有する完全ケン
化または部分ケン化ポリ酢酸ビニル系感光性樹脂印刷用
版材を与えるに好適な感光性樹脂組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】金属またはプラスチックの基材上に光重
合性の感光性樹脂層を設けた構造をもつ凸版、平版およ
び凹版印刷用の感光性樹脂版材が従来の金属版に変わっ
て印刷分野での主流を成している。市場における感光性
樹脂版材に対する性能要求は多岐にわたり、より高度な
品質が要求されている。これらの版材は、透明部分を持
つネガティブ、またはポジティブの原図フィルムを感光
性樹脂層に密着させた後に、活性光線を照射して原図フ
ィルムの透明部分に対応する感光性樹脂層に光重合を起
こし、ついで未重合部分を適当な溶剤に溶出することに
よって基材上にレリーフを形成するものである。
【0003】このように光重合反応を利用した感光性樹
脂組成物は印刷版を初めとして各種の用途に用いられて
いる。なかでも中性水で未重合部分を溶出させて現像で
きるポリマーとして完全ケン化または部分ケン化ポリ酢
酸ビニルを基体樹脂として使用し、これにエチレン性不
飽和結合を有する光重合性架橋剤を配合することによっ
て、感光性を付与したものが実用化されている。
【0004】完全ケン化または部分ケン化ポリ酢酸ビニ
ルを基体ポリマーとする光重合性樹脂組成物の欠点は、
組成物溶液の耐熱安定性が悪く、容易に熱重合すること
である。この機構については、必ずしも明らかではない
が、井本らは、完全ケン化または部分ケン化ポリ酢酸ビ
ニルと水、アルコールおよび光重合性架橋剤が錯体を形
成してラジカルを発生することを報告している(Mak
romolChem.104,244/1967)。こ
のように組成物溶液の耐熱安定性が不良であるために、
プラスチックや金属の基材上に感光層を設ける際の成形
温度を低くする必要がある。成形温度を低くするために
は、感光性樹脂組成物を多量の水または、水とアルコー
ルの混合溶媒に溶解させた溶液の形で基版上に塗布し、
低温で長時間をかけて乾燥するプロセスをとらざるを得
ず(例えばUSP3936254号明細書)、このよう
なプロセスは極めて生産性が低いという問題があった。
【0005】また、そのように耐熱安定性の低い組成物
から得られる感光性樹脂版材は、やはり耐熱安定性に劣
るもので、高温で保存すると感光特性が失われてしまう
という問題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、完全ケン化または部分ケン化ポリ酢酸ビニル系
感光性樹脂組成物溶液およびそれから得られる感光性樹
脂版材の耐熱安定性を飛躍的に向上させ、成形プロセス
の生産性の向上、版材の保存性の向上を図ることにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
以下のA、B、CおよびD成分を少なくとも含んで成る
ことを特徴とする感光性樹脂組成物により達成される。
【0008】 A.ケン化度50〜100モル%の完全ケン化または部分ケン化ポリ酢酸ビ ニル 100重量部 B.分子中にエチレン性二重結合を有する光重合性不飽和化合物 20〜300重量部 C.光重合開始剤 0.1〜10重量部 D.リン酸金属塩 0.001〜5重量部 本発明のA成分として使用される完全ケン化または部分
ケン化ポリ酢酸ビニルとしてはケン化度50〜100モ
ル%のものが使用される。ケン化度が50モル%未満で
は水溶性が著しく低下するので水現像が不可能になる。
逆に、ケン化度100モル%の完全ケン化ポリ酢酸ビニ
ルも常温水に対する溶解性が乏しいことが知られている
が、ジメチルアミノエチルメタクリレートと2ヒドロキ
シエチルメタクリレートの共重合物などの水溶性ポリマ
ーを併用した場合には水現像性が得られるのでケン化度
の上限は100モル%である。以上の理由から、ケン化
度は50〜100モル%の範囲にあることが必要であ
り、水現像速度の面から70〜95モル%のものがより
好ましい。
【0009】また、分子量としては任意のものが使用可
能であるが,水溶解性の面からは低分子量のものが良好
であり、画像再現性とレリーフの強靭性の面からは分子
量の高いものが好ましい。このように水現像性と画像再
現性および印刷適性は、完全ケン化または部分ケン化ポ
リ酢酸ビニルの分子量に関しては相反する選択条件であ
るが、通常重合度300〜3000のものが用いられ、
より好ましくは重合度500〜2000の完全ケン化ま
たは部分ケン化ポリ酢酸ビニルが用いられる。A成分と
して、ケン化度および重合度の異なる2種類以上のもの
を併用することも可能である。
【0010】A成分の完全ケン化または部分ケン化ポリ
酢酸ビニルの末端のカルボキシル基にグリシジルメタク
リレートなどの不飽和エポキシ化合物を反応させて、二
重結合を導入した完全ケン化または部分ケン化ポリ酢酸
ビニル、アリルスルホン酸などの他の架橋剤を1〜10
モル%の範囲で少量共重合した完全ケン化または部分ケ
ン化ポリ酢酸ビニル、および水酸基にエチレンオキサイ
ドを反応させて変性した部分ケン化ポリ酢酸ビニルなど
も、残存する水酸基から計算されるケン化度が50〜1
00モル%の範囲を満足するものであれば使用可能であ
る。特にグリシジルメタクリレートを末端に付加反応さ
せて二重結合を導入した完全ケン化または部分ケン化ポ
リ酢酸ビニルは、B成分の光重合性架橋剤の光重合によ
って形成される架橋構造に完全ケン化または部分ケン化
ポリ酢酸ビニル自体が化学結合で組み込まれる。そのた
め、非常に高度の画像再現性が得られるので特に好まし
く用いられる。
【0011】また、A成分として平均分子量300〜5
0000のポリエチレンオキサイドなどの他のポリマー
を完全ケン化または部分ケン化ポリ酢酸ビニルに対して
1〜20重量%以下の少量範囲で混合して使用すること
も可能である。
【0012】本発明のB成分として使用される光重合性
不飽和化合物としては、A成分と一定程度以上の相溶性
のあるものは全て使用可能である。具体的には、次のよ
うなものが挙げられる。
【0013】すなわち、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル
メタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、
2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2
−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−
ヒドロキシプロピルメタクリレートなどの水酸基を有す
るモノアクリレートおよびモノメタクリレート、エチレ
ングリコールなどの多価アルコールとアクリル酸または
メタクリル酸などの不飽和カルボン酸の反応によって得
られる多価アクリレートおよび多価メタクリレート、エ
チレングリコールジグリシジルエーテルなどの多価グリ
シジルエーテルとアクリル酸、メタクリル酸などの不飽
和カルボン酸の反応によって合成されるところの水酸基
を有する多価アクリレートおよび多価メタクリレート、
グリシジルメタクリレートなどの不飽和エポキシ化合物
とアクリル酸またはメタクリル酸などの不飽和カルボン
酸の反応によって合成されるところの水酸基を有する多
価アクリレートおよび多価メタクリレート、アクリルア
ミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−メチロールメタクリルアミド、ダイアセトンア
クリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、N−メチ
ロールアクリルアミドまたはN−メチロールメタクリル
アミドと多価アルコールの縮合反応によって得られる多
価アクリルアミドおよび多価メタクリルアミドなどアク
リルアミド系の光重合性不飽和化合物などであり、好ま
しくは水酸基を有するアクリルまたはメタクリル酸エス
テル類およびアクリルまたはメタクリルアミド類であ
る。
【0014】B成分の光重合性架橋剤の使用量として
は、A成分の完全ケン化または部分ケン化ポリ酢酸ビニ
ル100重量部に対して20〜300重量部の範囲にあ
ることが必要であり、好ましくは50〜150重量部で
ある。B成分の使用量がA成分100重量部に対して2
0重量部未満であると、光重合によって生成する架橋構
造の密度が不足するために十分な画像再現性が得られな
い。また高品質な画像再現性を得るために架橋性のより
高い光重合性不飽和化合物を使用すると印刷版材の刷版
硬度が高くなり印刷用途によってはインキ着肉性が低下
し良好な印刷物ができなくなる。逆に300重量部を越
えると光重合によって生成する架橋構造の密度が過剰と
なるために、製版されたレリーフが非常に脆くなり、そ
のため印刷中にレリーフにクラックが入るなどの問題が
発生する。
【0015】本発明のC成分の光重合開始剤としては、
従来公知のものが全て使用可能である。具体的には、ア
ントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアン
トラキノンなどのアントラキノン類、ベンゾイン、ベン
ゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルなど
のベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、4,4'ビス(ジメ
チルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導
体、アセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノ
ンなどのアセトフェノン誘導体およびベンジル、ジメチ
ルベンジルケタールなどが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0016】C成分の使用量としては、A成分の完全ケ
ン化または部分ケン化ポリ酢酸ビニル100重量部に対
して0.1〜10重量部である。
【0017】次に本発明で最も重要であるD成分のリン
酸金属塩としては、例えば次亜リン酸のリチウム、ナト
リウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、
カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩、クロム
(II)塩、クロム(III)塩、アンモニウム塩など
が挙げられ、オルトリン酸、亜リン酸およびメタリン酸
についても上記のような各種の金属塩を挙げることがで
きる。
【0018】D成分の使用量としては、A成分の完全ケ
ン化または部分ケン化ポリ酢酸ビニル100重量部に対
して0.01〜5重量部の範囲にあることが必要であ
り、より好ましくは、0.01〜3重量部の範囲であ
る。使用量が0.01重量部未満であるとD成分の熱重
合防止効果が実質的に不足する。また、5重量部より多
く使用してもそれによる効果の増加はないので経済性が
劣る。D成分として2種類以上のものを併用することも
可能である。
【0019】本発明の感光性樹脂組成物には、従来公知
の熱重合禁止剤を感光特性を低下させない範囲で適宜添
加することができる。好ましい熱重合禁止剤としては、
フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類などが
挙げられる。これらの熱重合禁止剤は組成物全量に対し
て0.001〜0.5重量部の範囲で使用することがで
きる。また、染料、顔料、界面活性剤、消泡剤、紫外線
吸収剤、ハレーション防止剤などを添加することもでき
る。
【0020】本発明の感光性樹脂組成物に、A成分の完
全ケン化または部分ケン化ポリ酢酸ビニルとB成分の光
重合性架橋剤との相溶助剤としてエチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリ
セリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ンなどの多価アルコール類を添加することも可能であ
る。これらの多価アルコール類は、光重合部分の柔軟性
をより高めてレリーフクラックの発生を防止する効果が
認められる。このような多価アルコールは、感光性樹脂
組成物に対して40重量%以下の範囲で使用できる。
【0021】本発明の感光性樹脂組成物を製造する方法
としては、A成分の完全ケン化または部分ケン化ポリ酢
酸ビニルを水/アルコールの混合溶媒等に加熱溶解した
後に、B成分の光重合性不飽和化合物、D成分のリン酸
金属塩、およびC成分の光重合開始剤等を添加し、攪拌
して十分に混合し、感光性樹脂組成物溶液を得る方法が
一般的である。上記の混合溶液から感光層を形成せしめ
るには、たとえば溶剤の大部分を留出した後に加熱して
溶融状態にして支持体上に押し出して成形する方法が挙
げられる。また、乾式製膜法で感光性シートを作り、こ
のシートを支持体上に接着して感光層を形成することも
可能である。さらに、支持体上に直接に乾式製膜して感
光層を得ることもできる。
【0022】支持体としては、スチール、ステンレス、
アルミニウム、銅などの金属板、ポリエステルフイルム
などのプラスチックシート、スチレン−ブタジエン共重
合体などの合成ゴムシートなどが使用される。感光層
は、0.01〜10mm程度の厚さに形成することが好
ましい。
【0023】本発明の感光性樹脂組成物を用いて印刷用
レリーフ像を形成するには、上記のようにして作成した
感光層上にネガティブまたはポジティブの原図フイルム
を密着し、通常300〜400nmの波長を中心とする
高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キ
セノン灯、カーボンアーク灯、ケミカル灯からの紫外線
を照射し、光重合によって不溶化を行わせる。次いで未
重合部分を中性水使用のスプレー式現像装置またはブラ
シ式現像装置で水中に溶出させることによりレリーフが
支持体上に形成される。
【0024】本発明の感光性樹脂組成物は、凸版印刷版
材として用いられるときに最もその効果を発揮するが、
平版印刷材、凹版印刷材、孔版印刷材、フォトレジスト
として使用することも可能である。
【0025】
【実施例】以下に実施例で本発明をさらに詳しく説明す
る。
【0026】実施例1 重合度800、ケン化度75モル%の部分ケン化ポリ酢
酸ビニル100重量部をエタノール/水=50/50
(重量比)の混合溶媒150重量部と80℃に加熱して
溶解した。この溶液にグリシジルメタクリレート3重量
部を添加し、80℃で1時間反応させることによってポ
リマに二重結合を導入した。次いで、ジメチルアミノエ
チルメタクリレートと2ヒドロキシエチルメタクリレー
トを60/40(重量比)の組成で共重合したコポリマ
10重量部を添加し、さらに光重合性不飽和化合物とし
て、グリシジルメタクリレートとメタクリル酸の付加反
応物80重量部とペンタエリスリトールトリアクリレー
ト10重量部を加え、リン酸2水素ナトリウムを0.1
重量部、次亜リン酸ナトリウムを0.05重量部、ジエ
チレングリコールを10重量部、光重合開始剤としてジ
メチルベンジルケタールを2重量部を加えて70℃で1
時間攪拌して十分に混合した。上記の操作は全て窒素雰
囲気下で行った。
【0027】このようにして得られた感光性樹脂組成物
の溶液を70℃で減圧系にして溶媒を留出し、溶質濃度
を75重量%まで濃縮した。得られた溶液の粘度は20
0ポイズであった。溶液の温度を70℃に保持して、そ
の後の経過粘度を測定した。その結果、4時間、8時間
および12時間経過した溶液の粘度はそれぞれ210ポ
イズ、220ポイズおよび220ポイズで極めて安定し
ていることが確認できた。
【0028】感光性樹脂組成物の溶液を乾式製膜法によ
りシート化し、ポリエステル/イソシアネート系接着剤
を塗布、キュアしてある厚さ350μmのスチール基版
上に接着することで全体の厚さが1500μmになるよ
うに設定して感光性樹脂版を得た。
【0029】得られた版材の感光層表面に感度測定用グ
レイスケールネガフイルムおよび画像再現性評価用ネガ
フイルム(133線、3%、5%、10%網点、直径2
00μmおよび300μmの独立点、幅50μmおよび
70μmの細線あり)を真空密着させ、高圧水銀灯で2
分間露光した。次いで30℃の中性水を入れたブラシ式
現像装置を使用して、現像を行ったところ4分間で非画
線部が完全に水中に溶出してレリーフ像を得ることがで
きた。得られたレリーフを評価した結果、グレイスケー
ルは17ステップまで残っており高感度であることがわ
かった。画線部は3%網点、300μm独立点、50μ
m細線などの微細な部分まで問題なく再現していること
を確認した。
【0030】また、この版材を50℃3%RHの雰囲気
中に30日間保存したもの、40℃80%RH雰囲気中
に30日間保存したものについて同様のテスト用ネガフ
ィルムを用いて、高圧水銀灯露光、ブラシ式現像を行い
室内保存版と比較評価を行った結果、感度、画像再現
性、および洗いだし性が三者ともに同等であり良好であ
ることを確認した。
【0031】比較例1 実施例1において使用したリン酸2水素ナトリウム、次
亜リン酸ナトリウムを添加しないで、代わりに一般的な
熱重合禁止剤であるハイドロキノンモノメチルエーテル
を0.1重量部添加して感光性樹脂組成物の溶液を得
た。
【0032】この溶液を70℃で減圧系にして溶媒を留
出し、溶質濃度75重量%まで濃縮した。得られた溶液
の粘度は380ポイズであつた,溶液の温度を70℃に
保持して、その後の径時粘度を測定したが、1時間経過
時点で800ポイズに粘度上昇しており、溶液の色相に
も異常が認められた。以上のことから感光性樹脂版材を
得ることができなかった。
【0033】このように高温下、窒素雰囲気下ではリン
酸金属塩の添加なしでは感光性樹脂溶液の調製は極めて
困難であった。
【0034】実施例2 重合度600、ケン化度85モル%の部分鹸化ポリ酢酸
ビニル100重量部をエタノール/水=30/70(重
量比)の混合溶媒150重量部と80℃に加熱して溶解
した。次いで光重合性不飽和化合物としてグリシジルメ
タクリレートとメタクリル酸の付加反応物60重量部と
プロピレングリコールジグリシジルエーテル1モルとア
クリル酸2モルの付加反応物50重量部を添加した。さ
らに亜リン酸カリウムを0.2重量部、リン酸2水素ナ
トリウムを0.2重量部と光重合開始剤としてベンゾイ
ンエチルエーテル3重量部を加え1時間攪拌混合した。
以上の操作は全て窒素雰囲気下で行った。
【0035】この様にして得られた感光性樹脂溶液を減
圧濃縮して溶質濃度90重量%にした。得られた高濃度
溶液の粘度は3000ポイズであった。これを90℃に
保持した二軸押出機に注入しさらに数重量%高濃度化し
たものをギヤポンプで定量化して口金からケミカルエッ
チングで表面をマット化したポリエステルフィルム(厚
さ100μm)上に感光層の厚さが700μmになるよ
うにキャスティングした。このフィルム上にキャスティ
ングされた感光性樹脂層を、あらかじめポリウレタン系
接着剤を塗布したポリエステルフィルム基版(厚さ25
0μm)上に温度80℃でラミネートした。このように
してフィルム基版で裏打ちされ、マット化フィルムをカ
バーフィルムとする感光性樹脂版材がえられた。
【0036】この版材を実施例1で使用した感度測定用
グレイスケールネガフイルムおよび画像再現性評価用ネ
ガフイルムを用いて評価した。感光層表面には、カバー
フィルムのマット形状が転写されているためにネガフィ
ルムの真空密着性は非常に容易であった。次いで、ケミ
カル灯で4分間露光した後に、中性水を入れたスプレー
式現像装置(水温30℃、スプレー圧力4kg/cm2 )で
4分間現像して未重合部分を完全に水中に溶出してレリ
ーフ像を得ることができた。得られたレリーフを評価し
た結果、グレイスケールは16ステップまで残ってお
り、画線部は3%網点、200μm独立点、50μm細
線など高級印刷に必要とされる非常に微細な部分まで問
題なく再現していることを確認した。
【0037】また、この版材についても実施例1と同様
に50℃3%RHの雰囲気中に30日間保存したもの、
40℃80%RH雰囲気中に30日間保存したものの感
度、画像再現性および洗いだし性を評価した結果、室内
保存版と同等の水現像性を示し良好な画像特性が確認で
きた。
【0038】比較例2 実施例2において使用した亜リン酸ナトリウム、リン酸
2水素カリウムの代わりに一般的な熱重合禁止剤である
ハイドロキノンを0.1重量部添加した。その他は全く
同一組成、同一手法で感光性樹脂溶液を調製しようとし
た。しかし、光重合性不飽和化合物とジエチレングリコ
ールおよびベンゾインエチルエーテルとハイドロキノン
を加えて80℃で1時間攪拌している間に、感光性樹脂
組成物溶液に増粘現象がみられ、白濁も認められた。最
終的にゲル状になって流延不可能となった。このように
高温下、窒素雰囲気下ではリン酸金属塩の添加なしでは
感光性樹脂溶液の調製は極めて困難であった。
【0039】
【発明の効果】本発明によると、耐熱安定性のすぐれた
完全ケン化または部分ケン化ポリ酢酸ビニル系感光性樹
脂組成物を得る。すぐれた耐熱安定性はD成分のリン酸
金属塩の添加に由来する。このD成分の添加は感光性樹
脂組成物の溶液のみならず版材の耐熱安定性にも大きな
効果を発揮する。
【0040】完全ケン化または部分ケン化ポリ酢酸ビニ
ルは水分の共存下でラジカルを発生して熱重合しやすい
ために、60℃を超える高温での成形が不可能であった
が、リン酸金属塩を少量添加することで飛躍的に耐熱安
定性が改良されて、90〜100℃の高温での成形も可
能となった。成形温度が高められるようになったので、
感光性樹脂組成物溶液の高濃度でのキャスティングや、
高温での乾燥が可能になり版材成形プロセスの著しい合
理化、生産性の著しい向上が達成することができた。
【0041】また、版材の耐熱安定性が改良されたの
で、高温保存時の感光特性の劣化を確実に防止すること
ができるようになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03F 7/033

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下のA、B、CおよびD成分を少なくと
    も含んで成ることを特徴とする感光性樹脂組成物。 A.ケン化度50〜100モル%の完全ケン化または部分ケン化ポリ酢酸ビ ニル 100重量部 B.分子中にエチレン性二重結合を有する光重合性不飽和化合物 20〜300重量部 C.光重合開始剤 0.1〜10重量部 D.リン酸金属塩 0.01〜5重量部
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