JPH0617512B2 - 磁束密度の極めて高い一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁束密度の極めて高い一方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH0617512B2
JPH0617512B2 JP6199386A JP6199386A JPH0617512B2 JP H0617512 B2 JPH0617512 B2 JP H0617512B2 JP 6199386 A JP6199386 A JP 6199386A JP 6199386 A JP6199386 A JP 6199386A JP H0617512 B2 JPH0617512 B2 JP H0617512B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はトランス等の鉄芯に用いられる高磁束密度一方
向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
一方向性電磁鋼板は軟磁性材料として主にトランスその
他の電気機器の鉄芯材料に使用されているもので、磁気
特性として励磁特性と鉄損特性が良好でなくてはならな
い。
この励磁特性を表わす数値として通常B8(磁場の強さ80
0A/mにおける磁束密度)を用い、鉄損特性を表わす数値
としてW17/50(50Hzで1.7Tまで磁化させた時の1kg当
りの鉄損)を用いている。
この一方向性電磁鋼板は最終仕上焼鈍工程で2次再結晶
現象を起こさせ、鋼板面に {110} 面、圧延方向に〈00
1〉軸をもったいわゆるゴス組織を発達させることによ
って得られている。良好な磁気特性を得るためには磁化
容易軸である〈001〉軸を圧延方向に高度に揃える事が
重要である。又板厚、結晶粒度、固有抵抗、表面被膜、
鋼板の純度等も磁気特性に大きな影響を及ぼす。
方向性については、MnS 、AlN をインヒビターとして利
用する最終強圧下冷間圧延を特徴とする方法によって大
幅に向上し、それに伴って鉄損特性も著しく向上してき
た。
一方近年エネルギー価格の高騰を背景として、トランス
メーカーは低鉄損トランス用素材への指向を一段と強め
ている。低鉄損素材としてアモルファス合金や 6.5%S
i鋼等の開発も進められているが、トランス用材料とし
て工業的に使用するには解決すべき問題を残している。
他方レーザー等を用いた磁区制御技術が近年開発され、
それによって鉄損特性が大幅に向上した。また製品の磁
束密度が高いほど磁区制御技術の効果が大きいため、磁
束密度の極めて高い製品を開発する必要性が高まってき
た。磁束密度を高める目的で、最終仕上焼鈍の加熱昇温
中2次再結晶が開始するまでの温度領域で焼鈍雰囲気の
分圧を低めとし、2次再結晶が開始し終了するまで
の温度領域で焼鈍雰囲気のN分圧を高めとする方法が
提案されているが(特公昭59-33170号公報)、この方法
では極めて磁束密度の高い製品を安定して得るには十分
でなく、2次再結晶の本質にさらにせまった技術が必要
になってきた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
一方向性電磁鋼板を製造する場合極めて高い磁束密度を
もつ製品を安定して得ることが難しいという問題点を解
決する方法を提供するものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、最終仕上焼鈍工程に於ける2次再結晶開始か
ら完了までの途中段階でN分圧を増加させることによ
って極めて磁束密度の高い含Al一方向性電磁鋼板を製
造する方法を提供するものである。以下本発明を詳細に
説明する。
本発明の対象としている含Al一方向性電磁鋼板の製造
に於ては、従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を
連続鋳造法或は造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程
を挟んでスラブを得、ひき続き熱間圧延し、必要に応じ
て熱延板焼鈍を行ない、ひき続き、1回又は中間焼鈍を
挟む2回以上の冷間圧延により最終ゲージの冷延板を
得、ひき続き脱炭焼鈍を従来の方法で行なう。
熱延板の化学成分は重量%でSi:2.5 〜 4.0%,C:0.03
〜0.10%、酸可溶性 Al:0.010〜0.065 %,N:0.0010〜
0.0150%,Mn: 0.02〜0.30%,S:0.005〜0.040%,その
他インヒビター構成元素として公知であるSn,Sb,Se,Te,
Cu,Nb,Cr, Ni,B,V,As,Bi等を必要に応じて含有させても
よく、その他実質Feからなっている。本発明の成分系に
おける主インヒビターは AlN であり、最終冷延以前の
工程で AlN を析出させる焼鈍を必要に応じて行なう。
脱炭焼鈍後鋼板にMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布
し、最終仕上焼鈍を行なう。本発明の特徴はこの最終仕
上焼鈍工程にある。
即ち最終仕上焼鈍工程において、2次再結晶の開始から
完了までの途中段階で焼鈍雰囲気のN分圧を増加させ
ることによって極めて磁束密度の高い一方向性電磁鋼板
を製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、2次再結晶挙動を詳細に調査した結果次
のような新しい知見を得た。第1図に2次再結晶開始初
期及び2次再結晶完了期の2次再結晶粒の方位の一例を
示す。2次再結晶開始初期の2次再結晶粒の方位は {11
0} 〈001〉に極めて近く、2次再結晶が進行するに従っ
て {110} 〈001〉方位から分散した方位粒が2次再結晶
してくるのがわかる。本発明者らはこの知見に基き、2
次再結晶が進行するに従って {110} 〈001〉方位から分
散した方位粒が2次再結晶してくるのを極力抑制するこ
とによって2次再結晶初期の {110} 〈001〉方位に極め
て近い2次再結晶粒の粒成長を助長でき従って製品の磁
束密度を高めることができると考え、広範な実験を行な
った結果、2次再結晶の開始から完了までの途中段階で
焼鈍雰囲気のN分圧を増加させることが非常に有効で
あるというまったく新しい知見を得た。
第2図に最終仕上焼鈍の加熱昇温中N分圧を増加させ
た温度と製品の磁束密度との関係を示す。この場合Si:
3.27%, C: 0.078%, 酸可溶性 Al: 0.026%, N:0.008
5%, Mn:0.071%, S: 0.025%を含有する 2.3mm厚の熱
延板を出発材とし、かかる熱延板を1100℃2分間の焼鈍
後急冷し、0.225mmの最終厚みまで冷間圧延し、ついで
脱炭焼鈍を行なった後MgO を主成分とする焼鈍分離剤を
塗布し、15℃/hr.の加熱速度で1200℃まで昇温し、1
200℃の温度で20時間の最終仕上焼鈍を行なった。焼
鈍雰囲気は75%H2+25%N2の混合ガスで昇温を開始し、
第2図に示す各温度で 100%N2ガスに切り換え、1200℃
に達した時点で 100%H2ガスに切り換えた。第2図から
明らかなように2次再結晶の開始から完了までの途中段
階で焼鈍雰囲気のN分圧を増加させることによって製
品の磁束密度が向上している。
本発明の特徴である2次再結晶の開始から完了までの途
中段階での焼鈍雰囲気N分圧増加の効果のメカニズム
については必ずしも明らかではないが、本発明者らは以
下のように考えている。最終仕上焼鈍の雰囲気ガス中に
を入れることによって、焼鈍中鋼板にN吸収を生
じさせることができる。吸収されたNは AlN を主と
した窒化物を形成する。そしてこれら窒化物はインヒビ
ターの働きを行なう。つまり、最終仕上焼鈍の雰囲気ガ
ス中にNを添加することによって、焼鈍中に新たなイ
ンヒビターを形成させ、1次再結晶粒の正常粒成長を一
層抑制させることができる。2次再結晶開始から完了ま
での途中段階で焼鈍雰囲気中のN分圧を高めることよ
って、新たなインヒビターの形成を促進させ、 {110}
〈001〉方位から分散した方位粒が2次再結晶してくる
のを抑制したために、2次再結晶初期に発生した {110}
〈001〉方位に極めて近い2次再結晶粒の粒成長が助長
された結果、製品の磁束密度が高まったものと考えられ
る。
本発明において、2次再結晶の開始から完了までの途中
段階で焼鈍雰囲気のN分圧を増加させると規定したの
は、上記の本発明のメカニズムから明らかな様に、2次
再結晶の途中段階で {110} 〈001〉方位から分散した方
位粒が2次再結晶してくるのを抑制するためには、2次
再結晶の途中段階で焼鈍雰囲気のN分圧を増加させる
ことが必要であり、2次再結晶開始以前、及び完了後で
は効果がないためである。
最終仕上焼鈍の方法については特に限定しない。加熱昇
温中に2次再結晶を生じさせる方法、恒温保定中に2次
再結晶を生じさせる方法等いずれの方法でもよい。焼鈍
雰囲気中のN分圧を増加させる温度、焼鈍開始からの
時間については特に限定しない、2次再結晶が開始して
いればよい。好しくは2次再結晶の開始初期段階で焼鈍
雰囲気中のN分圧を増加させるとより効果的である。
分圧の増加量については特に限定しないが、好しく
は25%以上増加させるとより効果的である。昇温中に
2次再結晶を生じさせる場合の2次再結晶開始温度は 8
50〜1200℃の温度範囲にあるが、成分、昇温速度、2次
再結晶開始までの焼鈍雰囲気等の条件によって決まり、
焼鈍前の AlN 等インヒビターが微細均一に析出してい
るほど、昇温速度が早いほど、2次再結晶開始までの焼
鈍雰囲気のN分圧が高いほど、焼鈍分離剤にインヒビ
ター構成元素が添加されているほど、2次再結晶開始温
度は高温側になり、2次再結晶の完了も早くなる傾向が
あるので、N分圧を増加させる温度を適性に選ぶ必要
がある。N吸収は 850〜1100℃の温度範囲で最もすみ
やかに起るので、2次再結晶開始温度がこの範囲になる
ように成分、工程条件等を設定することが、本発明の効
果を一層助長することになる。2次再結晶の開始温度を
850〜1100℃の範囲にするためには、昇温速度を1〜 2
00℃/hr、2次再結晶開始までの焼鈍雰囲気のN分圧
を75%未満にすることが好しい。恒温保定中に2次再結
晶を生じさせる場合、 800〜1100℃に鋼板は保定され、
1秒〜1000時間後に2次再結晶は開始するが、保定温度
が低いほど2次再結晶開始までの時間が長く、開始後完
了までの時間も長くなる傾向があり、上記昇温中に2次
再結晶させる場合に述べた2次再結晶温度を上げる成
分、工程条件等を用いると恒温保定中に2次再結晶させ
る場合には、一般に2次再結晶開始までの時間が長くな
り、開始後完了までの時間は短くなる傾向があるので、
分圧を増加させる時期を適性に選ぶ必要がある。N
吸収を効率的に行なわせ、本発明の効果を一層助長す
るには 850〜1100℃の温度範囲に保定温度を選ぶことが
好しい。恒温保定と昇温とを組み合わせて2次再結晶を
行なわせる方法等でも、本発明の効果を得られることは
本発明のメカニズムから明らかである。2次再結晶完了
後は、N2分圧の低い雰囲気に保ち、1100〜1300℃の温度
で不純物の除去を行なう。
最終仕上焼鈍後に鋼板に張力を付加するコーティングを
行なうと鉄損特性が一層向上する。本発明によって製造
された製品は極めて磁束密度が高いため、レーザー等を
用いた磁区制御を行なうと極めて鉄損特性の優れた製品
となる。
以下実施例について述べる。
〔実施例〕
実施例1 Si:3.25%, C:0.078%, 酸可溶性Al:0.025%,N:0.008
5%, Mn:0.071%, S:0.025%,Sn:0.12%を含む板厚2.3m
mの熱延板に1100℃2分間の焼鈍後 0.225mmの最終厚み
まで冷間圧延し、ついで脱炭焼鈍し、ひき続きMgO を主
成分とする焼鈍分離剤を塗布し、1200℃まで15℃/hrで
昇温し、1200℃の温度で20時間の最終仕上焼鈍を行なっ
た。雰囲気ガスの条件は、(1)昇温過程1200℃まで75%H
2+25%N2で処理、(2)昇温過程 950℃まで75%H2+25%
N2で処理し、950℃から1200℃まで 100%N2で処理の2
通りとし、1200℃になった時点で 100%H2として焼鈍を
行なった。(1)の条件の場合約 925℃で2次再結晶が開
始し、約1025℃で完了しており、(2) の条件は、2次再
結晶の開始から完了までの途中段階でN分圧を増加さ
せたことになる。処理条件と製品の磁束密度との関係を
第1表に示す。
実施例2 Si:3.51%, C:0.084%, 酸可溶性Al:0.025%,N:0.0080
%, Mn:0.075%, S:0.026%,Sn:0.16%,Cu: 0.07%を含
む板厚 2.3mmの熱延板を、焼鈍分離剤塗布工程まで、実
施例1.記載の条件で処理し、1200℃まで15℃/hrで昇温
し、1200℃の温度で20時間の最終仕上焼鈍を行なった。
雰囲気ガスの条件は、(1) 昇温過程1200℃まで75%H2
25%N2で処理、(2)昇温過程1000℃まで75%H2+25%N2
で処理し、1000℃から1200℃まで100%N2で処理の2通
りとし、1200℃になった時点で100%H2として焼鈍を行
なった。(1)の条件の場合約 940℃で2次再結晶が開始
し、約1050℃で完了しており、(2)の条件は、2次再結
晶の開始から完了までの途中段階でN分圧を増加させ
たことになる。処理条件と製品の磁束密度との関係を第
2表に示す。
実施例3 Si:3.25%, C:0.080%, 酸可溶性Al:0.027%,N:0.0082
%, Mn:0.075%, S:0.024%を含む板厚 2.3mmの熱延板
を1120℃に30秒保持しひき続き900℃に1分間保持し
た後急冷し、 0.285mmの最終厚みまで冷間圧延し、つい
で脱炭焼鈍し、ひき続きMgO を主成分とする焼鈍分離剤
を塗布し、1200℃まで10℃/hrで昇温し、1200℃の温度
で20時間の最終仕上焼鈍を行なった。雰囲気ガスの条件
は、(1)昇温過程1200℃まで75%H2+25%N2で処理、(2)
昇温過程 950℃まで75%H2+25%N2で処理し、 950℃か
ら1200℃まで10%H2+90%N2で処理の2通りとし、1200
℃になった時点で 100%H2として焼鈍を行なった。(1)
の条件の場合約910 ℃で2次再結晶が開始し、約1000℃
で完了しており、(2)の条件は2次再結晶の開始から完
了までの途中段階でN分圧を増加させたことになる。
処理条件と製品の磁束密度との関係を第3表に示す。
実施例4 Si:3.30%, C:0.081%, 酸可溶性Al:0.026%, 20N:0.0
082%, Mn:0.078%, S:0.024%,Sn:0.15%,Cu: 0.06%
を含む板厚 2.3mmの熱延板を、1000℃3分間の焼鈍後1.
35mm厚まで冷間圧延し、ついで1100℃2分間の中間焼鈍
後 0.170mmの最終厚みまで冷間圧延し、ついで脱炭焼鈍
し、ひき続きMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
1200℃まで25℃/hrで昇温し、1200℃の温度で20時間の
最終仕上焼鈍を行なった。雰囲気ガスの条件は、(1)昇
温過程1200℃まで85%H2+15%N2で処理、(2)昇温過程1
000℃まで85%H2+15%N2で処理し、1000℃から1200℃
まで25%H2+75%N2で処理の2通りとし、1200℃になっ
た時点で、100%H2として焼鈍を行なった。(1)の条件の
場合約 950℃で2次再結晶が開始し、約1050℃で完了し
ており、(2)の条件は、2次再結晶の開始から完了まで
の途中段階でN分圧を増加させたことになる。処理条
件と製品の磁束密度との関係を第4表に示す。
〔発明の効果〕 以上のとおり、本発明によれば最終仕上焼鈍工程に於
て、2次再結晶の開始から完了までの途中段階で焼鈍雰
囲気のN2分圧を増加させることによって極めて磁束密度
の高い一方向性電磁鋼板を安定して製造することができ
るので、その工業的効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は2次再結晶開始初期と2次再結晶完了期の2次
再結晶粒の方位の比較図であり、第2図は最終仕上焼鈍
の加熱昇温中のN分圧を増加させた温度と製品の磁束
密度との関係図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】含Al一方向性電磁鋼板の製造に於て、通
    常の工程で得られた冷延板を脱炭焼鈍後、最終仕上焼鈍
    を施す工程に於て、2次再結晶の開始から完了までの途
    中段階で焼鈍雰囲気のN分圧を増加させることを特徴
    とする磁束密度の極めて高い一方向性電磁鋼板の製造方
    法。
JP6199386A 1986-03-22 1986-03-22 磁束密度の極めて高い一方向性電磁鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JPH0617512B2 (ja)

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