JPH0617512B2 - 磁束密度の極めて高い一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁束密度の極めて高い一方向性電磁鋼板の製造方法Info
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- JPH0617512B2 JPH0617512B2 JP6199386A JP6199386A JPH0617512B2 JP H0617512 B2 JPH0617512 B2 JP H0617512B2 JP 6199386 A JP6199386 A JP 6199386A JP 6199386 A JP6199386 A JP 6199386A JP H0617512 B2 JPH0617512 B2 JP H0617512B2
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- annealing
- magnetic flux
- flux density
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はトランス等の鉄芯に用いられる高磁束密度一方
向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
一方向性電磁鋼板は軟磁性材料として主にトランスその
他の電気機器の鉄芯材料に使用されているもので、磁気
特性として励磁特性と鉄損特性が良好でなくてはならな
い。
他の電気機器の鉄芯材料に使用されているもので、磁気
特性として励磁特性と鉄損特性が良好でなくてはならな
い。
この励磁特性を表わす数値として通常B8(磁場の強さ80
0A/mにおける磁束密度)を用い、鉄損特性を表わす数値
としてW17/50(50Hzで1.7Tまで磁化させた時の1kg当
りの鉄損)を用いている。
0A/mにおける磁束密度)を用い、鉄損特性を表わす数値
としてW17/50(50Hzで1.7Tまで磁化させた時の1kg当
りの鉄損)を用いている。
この一方向性電磁鋼板は最終仕上焼鈍工程で2次再結晶
現象を起こさせ、鋼板面に {110} 面、圧延方向に〈00
1〉軸をもったいわゆるゴス組織を発達させることによ
って得られている。良好な磁気特性を得るためには磁化
容易軸である〈001〉軸を圧延方向に高度に揃える事が
重要である。又板厚、結晶粒度、固有抵抗、表面被膜、
鋼板の純度等も磁気特性に大きな影響を及ぼす。
現象を起こさせ、鋼板面に {110} 面、圧延方向に〈00
1〉軸をもったいわゆるゴス組織を発達させることによ
って得られている。良好な磁気特性を得るためには磁化
容易軸である〈001〉軸を圧延方向に高度に揃える事が
重要である。又板厚、結晶粒度、固有抵抗、表面被膜、
鋼板の純度等も磁気特性に大きな影響を及ぼす。
方向性については、MnS 、AlN をインヒビターとして利
用する最終強圧下冷間圧延を特徴とする方法によって大
幅に向上し、それに伴って鉄損特性も著しく向上してき
た。
用する最終強圧下冷間圧延を特徴とする方法によって大
幅に向上し、それに伴って鉄損特性も著しく向上してき
た。
一方近年エネルギー価格の高騰を背景として、トランス
メーカーは低鉄損トランス用素材への指向を一段と強め
ている。低鉄損素材としてアモルファス合金や 6.5%S
i鋼等の開発も進められているが、トランス用材料とし
て工業的に使用するには解決すべき問題を残している。
他方レーザー等を用いた磁区制御技術が近年開発され、
それによって鉄損特性が大幅に向上した。また製品の磁
束密度が高いほど磁区制御技術の効果が大きいため、磁
束密度の極めて高い製品を開発する必要性が高まってき
た。磁束密度を高める目的で、最終仕上焼鈍の加熱昇温
中2次再結晶が開始するまでの温度領域で焼鈍雰囲気の
N2分圧を低めとし、2次再結晶が開始し終了するまで
の温度領域で焼鈍雰囲気のN2分圧を高めとする方法が
提案されているが(特公昭59-33170号公報)、この方法
では極めて磁束密度の高い製品を安定して得るには十分
でなく、2次再結晶の本質にさらにせまった技術が必要
になってきた。
メーカーは低鉄損トランス用素材への指向を一段と強め
ている。低鉄損素材としてアモルファス合金や 6.5%S
i鋼等の開発も進められているが、トランス用材料とし
て工業的に使用するには解決すべき問題を残している。
他方レーザー等を用いた磁区制御技術が近年開発され、
それによって鉄損特性が大幅に向上した。また製品の磁
束密度が高いほど磁区制御技術の効果が大きいため、磁
束密度の極めて高い製品を開発する必要性が高まってき
た。磁束密度を高める目的で、最終仕上焼鈍の加熱昇温
中2次再結晶が開始するまでの温度領域で焼鈍雰囲気の
N2分圧を低めとし、2次再結晶が開始し終了するまで
の温度領域で焼鈍雰囲気のN2分圧を高めとする方法が
提案されているが(特公昭59-33170号公報)、この方法
では極めて磁束密度の高い製品を安定して得るには十分
でなく、2次再結晶の本質にさらにせまった技術が必要
になってきた。
一方向性電磁鋼板を製造する場合極めて高い磁束密度を
もつ製品を安定して得ることが難しいという問題点を解
決する方法を提供するものである。
もつ製品を安定して得ることが難しいという問題点を解
決する方法を提供するものである。
本発明は、最終仕上焼鈍工程に於ける2次再結晶開始か
ら完了までの途中段階でN2分圧を増加させることによ
って極めて磁束密度の高い含Al一方向性電磁鋼板を製
造する方法を提供するものである。以下本発明を詳細に
説明する。
ら完了までの途中段階でN2分圧を増加させることによ
って極めて磁束密度の高い含Al一方向性電磁鋼板を製
造する方法を提供するものである。以下本発明を詳細に
説明する。
本発明の対象としている含Al一方向性電磁鋼板の製造
に於ては、従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を
連続鋳造法或は造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程
を挟んでスラブを得、ひき続き熱間圧延し、必要に応じ
て熱延板焼鈍を行ない、ひき続き、1回又は中間焼鈍を
挟む2回以上の冷間圧延により最終ゲージの冷延板を
得、ひき続き脱炭焼鈍を従来の方法で行なう。
に於ては、従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を
連続鋳造法或は造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程
を挟んでスラブを得、ひき続き熱間圧延し、必要に応じ
て熱延板焼鈍を行ない、ひき続き、1回又は中間焼鈍を
挟む2回以上の冷間圧延により最終ゲージの冷延板を
得、ひき続き脱炭焼鈍を従来の方法で行なう。
熱延板の化学成分は重量%でSi:2.5 〜 4.0%,C:0.03
〜0.10%、酸可溶性 Al:0.010〜0.065 %,N:0.0010〜
0.0150%,Mn: 0.02〜0.30%,S:0.005〜0.040%,その
他インヒビター構成元素として公知であるSn,Sb,Se,Te,
Cu,Nb,Cr, Ni,B,V,As,Bi等を必要に応じて含有させても
よく、その他実質Feからなっている。本発明の成分系に
おける主インヒビターは AlN であり、最終冷延以前の
工程で AlN を析出させる焼鈍を必要に応じて行なう。
脱炭焼鈍後鋼板にMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布
し、最終仕上焼鈍を行なう。本発明の特徴はこの最終仕
上焼鈍工程にある。
〜0.10%、酸可溶性 Al:0.010〜0.065 %,N:0.0010〜
0.0150%,Mn: 0.02〜0.30%,S:0.005〜0.040%,その
他インヒビター構成元素として公知であるSn,Sb,Se,Te,
Cu,Nb,Cr, Ni,B,V,As,Bi等を必要に応じて含有させても
よく、その他実質Feからなっている。本発明の成分系に
おける主インヒビターは AlN であり、最終冷延以前の
工程で AlN を析出させる焼鈍を必要に応じて行なう。
脱炭焼鈍後鋼板にMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布
し、最終仕上焼鈍を行なう。本発明の特徴はこの最終仕
上焼鈍工程にある。
即ち最終仕上焼鈍工程において、2次再結晶の開始から
完了までの途中段階で焼鈍雰囲気のN2分圧を増加させ
ることによって極めて磁束密度の高い一方向性電磁鋼板
を製造する方法を提供するものである。
完了までの途中段階で焼鈍雰囲気のN2分圧を増加させ
ることによって極めて磁束密度の高い一方向性電磁鋼板
を製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、2次再結晶挙動を詳細に調査した結果次
のような新しい知見を得た。第1図に2次再結晶開始初
期及び2次再結晶完了期の2次再結晶粒の方位の一例を
示す。2次再結晶開始初期の2次再結晶粒の方位は {11
0} 〈001〉に極めて近く、2次再結晶が進行するに従っ
て {110} 〈001〉方位から分散した方位粒が2次再結晶
してくるのがわかる。本発明者らはこの知見に基き、2
次再結晶が進行するに従って {110} 〈001〉方位から分
散した方位粒が2次再結晶してくるのを極力抑制するこ
とによって2次再結晶初期の {110} 〈001〉方位に極め
て近い2次再結晶粒の粒成長を助長でき従って製品の磁
束密度を高めることができると考え、広範な実験を行な
った結果、2次再結晶の開始から完了までの途中段階で
焼鈍雰囲気のN2分圧を増加させることが非常に有効で
あるというまったく新しい知見を得た。
のような新しい知見を得た。第1図に2次再結晶開始初
期及び2次再結晶完了期の2次再結晶粒の方位の一例を
示す。2次再結晶開始初期の2次再結晶粒の方位は {11
0} 〈001〉に極めて近く、2次再結晶が進行するに従っ
て {110} 〈001〉方位から分散した方位粒が2次再結晶
してくるのがわかる。本発明者らはこの知見に基き、2
次再結晶が進行するに従って {110} 〈001〉方位から分
散した方位粒が2次再結晶してくるのを極力抑制するこ
とによって2次再結晶初期の {110} 〈001〉方位に極め
て近い2次再結晶粒の粒成長を助長でき従って製品の磁
束密度を高めることができると考え、広範な実験を行な
った結果、2次再結晶の開始から完了までの途中段階で
焼鈍雰囲気のN2分圧を増加させることが非常に有効で
あるというまったく新しい知見を得た。
第2図に最終仕上焼鈍の加熱昇温中N2分圧を増加させ
た温度と製品の磁束密度との関係を示す。この場合Si:
3.27%, C: 0.078%, 酸可溶性 Al: 0.026%, N:0.008
5%, Mn:0.071%, S: 0.025%を含有する 2.3mm厚の熱
延板を出発材とし、かかる熱延板を1100℃2分間の焼鈍
後急冷し、0.225mmの最終厚みまで冷間圧延し、ついで
脱炭焼鈍を行なった後MgO を主成分とする焼鈍分離剤を
塗布し、15℃/hr.の加熱速度で1200℃まで昇温し、1
200℃の温度で20時間の最終仕上焼鈍を行なった。焼
鈍雰囲気は75%H2+25%N2の混合ガスで昇温を開始し、
第2図に示す各温度で 100%N2ガスに切り換え、1200℃
に達した時点で 100%H2ガスに切り換えた。第2図から
明らかなように2次再結晶の開始から完了までの途中段
階で焼鈍雰囲気のN2分圧を増加させることによって製
品の磁束密度が向上している。
た温度と製品の磁束密度との関係を示す。この場合Si:
3.27%, C: 0.078%, 酸可溶性 Al: 0.026%, N:0.008
5%, Mn:0.071%, S: 0.025%を含有する 2.3mm厚の熱
延板を出発材とし、かかる熱延板を1100℃2分間の焼鈍
後急冷し、0.225mmの最終厚みまで冷間圧延し、ついで
脱炭焼鈍を行なった後MgO を主成分とする焼鈍分離剤を
塗布し、15℃/hr.の加熱速度で1200℃まで昇温し、1
200℃の温度で20時間の最終仕上焼鈍を行なった。焼
鈍雰囲気は75%H2+25%N2の混合ガスで昇温を開始し、
第2図に示す各温度で 100%N2ガスに切り換え、1200℃
に達した時点で 100%H2ガスに切り換えた。第2図から
明らかなように2次再結晶の開始から完了までの途中段
階で焼鈍雰囲気のN2分圧を増加させることによって製
品の磁束密度が向上している。
本発明の特徴である2次再結晶の開始から完了までの途
中段階での焼鈍雰囲気N2分圧増加の効果のメカニズム
については必ずしも明らかではないが、本発明者らは以
下のように考えている。最終仕上焼鈍の雰囲気ガス中に
N2を入れることによって、焼鈍中鋼板にN2吸収を生
じさせることができる。吸収されたN2は AlN を主と
した窒化物を形成する。そしてこれら窒化物はインヒビ
ターの働きを行なう。つまり、最終仕上焼鈍の雰囲気ガ
ス中にN2を添加することによって、焼鈍中に新たなイ
ンヒビターを形成させ、1次再結晶粒の正常粒成長を一
層抑制させることができる。2次再結晶開始から完了ま
での途中段階で焼鈍雰囲気中のN2分圧を高めることよ
って、新たなインヒビターの形成を促進させ、 {110}
〈001〉方位から分散した方位粒が2次再結晶してくる
のを抑制したために、2次再結晶初期に発生した {110}
〈001〉方位に極めて近い2次再結晶粒の粒成長が助長
された結果、製品の磁束密度が高まったものと考えられ
る。
中段階での焼鈍雰囲気N2分圧増加の効果のメカニズム
については必ずしも明らかではないが、本発明者らは以
下のように考えている。最終仕上焼鈍の雰囲気ガス中に
N2を入れることによって、焼鈍中鋼板にN2吸収を生
じさせることができる。吸収されたN2は AlN を主と
した窒化物を形成する。そしてこれら窒化物はインヒビ
ターの働きを行なう。つまり、最終仕上焼鈍の雰囲気ガ
ス中にN2を添加することによって、焼鈍中に新たなイ
ンヒビターを形成させ、1次再結晶粒の正常粒成長を一
層抑制させることができる。2次再結晶開始から完了ま
での途中段階で焼鈍雰囲気中のN2分圧を高めることよ
って、新たなインヒビターの形成を促進させ、 {110}
〈001〉方位から分散した方位粒が2次再結晶してくる
のを抑制したために、2次再結晶初期に発生した {110}
〈001〉方位に極めて近い2次再結晶粒の粒成長が助長
された結果、製品の磁束密度が高まったものと考えられ
る。
本発明において、2次再結晶の開始から完了までの途中
段階で焼鈍雰囲気のN2分圧を増加させると規定したの
は、上記の本発明のメカニズムから明らかな様に、2次
再結晶の途中段階で {110} 〈001〉方位から分散した方
位粒が2次再結晶してくるのを抑制するためには、2次
再結晶の途中段階で焼鈍雰囲気のN2分圧を増加させる
ことが必要であり、2次再結晶開始以前、及び完了後で
は効果がないためである。
段階で焼鈍雰囲気のN2分圧を増加させると規定したの
は、上記の本発明のメカニズムから明らかな様に、2次
再結晶の途中段階で {110} 〈001〉方位から分散した方
位粒が2次再結晶してくるのを抑制するためには、2次
再結晶の途中段階で焼鈍雰囲気のN2分圧を増加させる
ことが必要であり、2次再結晶開始以前、及び完了後で
は効果がないためである。
最終仕上焼鈍の方法については特に限定しない。加熱昇
温中に2次再結晶を生じさせる方法、恒温保定中に2次
再結晶を生じさせる方法等いずれの方法でもよい。焼鈍
雰囲気中のN2分圧を増加させる温度、焼鈍開始からの
時間については特に限定しない、2次再結晶が開始して
いればよい。好しくは2次再結晶の開始初期段階で焼鈍
雰囲気中のN2分圧を増加させるとより効果的である。
N2分圧の増加量については特に限定しないが、好しく
は25%以上増加させるとより効果的である。昇温中に
2次再結晶を生じさせる場合の2次再結晶開始温度は 8
50〜1200℃の温度範囲にあるが、成分、昇温速度、2次
再結晶開始までの焼鈍雰囲気等の条件によって決まり、
焼鈍前の AlN 等インヒビターが微細均一に析出してい
るほど、昇温速度が早いほど、2次再結晶開始までの焼
鈍雰囲気のN2分圧が高いほど、焼鈍分離剤にインヒビ
ター構成元素が添加されているほど、2次再結晶開始温
度は高温側になり、2次再結晶の完了も早くなる傾向が
あるので、N2分圧を増加させる温度を適性に選ぶ必要
がある。N2吸収は 850〜1100℃の温度範囲で最もすみ
やかに起るので、2次再結晶開始温度がこの範囲になる
ように成分、工程条件等を設定することが、本発明の効
果を一層助長することになる。2次再結晶の開始温度を
850〜1100℃の範囲にするためには、昇温速度を1〜 2
00℃/hr、2次再結晶開始までの焼鈍雰囲気のN2分圧
を75%未満にすることが好しい。恒温保定中に2次再結
晶を生じさせる場合、 800〜1100℃に鋼板は保定され、
1秒〜1000時間後に2次再結晶は開始するが、保定温度
が低いほど2次再結晶開始までの時間が長く、開始後完
了までの時間も長くなる傾向があり、上記昇温中に2次
再結晶させる場合に述べた2次再結晶温度を上げる成
分、工程条件等を用いると恒温保定中に2次再結晶させ
る場合には、一般に2次再結晶開始までの時間が長くな
り、開始後完了までの時間は短くなる傾向があるので、
N2分圧を増加させる時期を適性に選ぶ必要がある。N
2吸収を効率的に行なわせ、本発明の効果を一層助長す
るには 850〜1100℃の温度範囲に保定温度を選ぶことが
好しい。恒温保定と昇温とを組み合わせて2次再結晶を
行なわせる方法等でも、本発明の効果を得られることは
本発明のメカニズムから明らかである。2次再結晶完了
後は、N2分圧の低い雰囲気に保ち、1100〜1300℃の温度
で不純物の除去を行なう。
温中に2次再結晶を生じさせる方法、恒温保定中に2次
再結晶を生じさせる方法等いずれの方法でもよい。焼鈍
雰囲気中のN2分圧を増加させる温度、焼鈍開始からの
時間については特に限定しない、2次再結晶が開始して
いればよい。好しくは2次再結晶の開始初期段階で焼鈍
雰囲気中のN2分圧を増加させるとより効果的である。
N2分圧の増加量については特に限定しないが、好しく
は25%以上増加させるとより効果的である。昇温中に
2次再結晶を生じさせる場合の2次再結晶開始温度は 8
50〜1200℃の温度範囲にあるが、成分、昇温速度、2次
再結晶開始までの焼鈍雰囲気等の条件によって決まり、
焼鈍前の AlN 等インヒビターが微細均一に析出してい
るほど、昇温速度が早いほど、2次再結晶開始までの焼
鈍雰囲気のN2分圧が高いほど、焼鈍分離剤にインヒビ
ター構成元素が添加されているほど、2次再結晶開始温
度は高温側になり、2次再結晶の完了も早くなる傾向が
あるので、N2分圧を増加させる温度を適性に選ぶ必要
がある。N2吸収は 850〜1100℃の温度範囲で最もすみ
やかに起るので、2次再結晶開始温度がこの範囲になる
ように成分、工程条件等を設定することが、本発明の効
果を一層助長することになる。2次再結晶の開始温度を
850〜1100℃の範囲にするためには、昇温速度を1〜 2
00℃/hr、2次再結晶開始までの焼鈍雰囲気のN2分圧
を75%未満にすることが好しい。恒温保定中に2次再結
晶を生じさせる場合、 800〜1100℃に鋼板は保定され、
1秒〜1000時間後に2次再結晶は開始するが、保定温度
が低いほど2次再結晶開始までの時間が長く、開始後完
了までの時間も長くなる傾向があり、上記昇温中に2次
再結晶させる場合に述べた2次再結晶温度を上げる成
分、工程条件等を用いると恒温保定中に2次再結晶させ
る場合には、一般に2次再結晶開始までの時間が長くな
り、開始後完了までの時間は短くなる傾向があるので、
N2分圧を増加させる時期を適性に選ぶ必要がある。N
2吸収を効率的に行なわせ、本発明の効果を一層助長す
るには 850〜1100℃の温度範囲に保定温度を選ぶことが
好しい。恒温保定と昇温とを組み合わせて2次再結晶を
行なわせる方法等でも、本発明の効果を得られることは
本発明のメカニズムから明らかである。2次再結晶完了
後は、N2分圧の低い雰囲気に保ち、1100〜1300℃の温度
で不純物の除去を行なう。
最終仕上焼鈍後に鋼板に張力を付加するコーティングを
行なうと鉄損特性が一層向上する。本発明によって製造
された製品は極めて磁束密度が高いため、レーザー等を
用いた磁区制御を行なうと極めて鉄損特性の優れた製品
となる。
行なうと鉄損特性が一層向上する。本発明によって製造
された製品は極めて磁束密度が高いため、レーザー等を
用いた磁区制御を行なうと極めて鉄損特性の優れた製品
となる。
以下実施例について述べる。
実施例1 Si:3.25%, C:0.078%, 酸可溶性Al:0.025%,N:0.008
5%, Mn:0.071%, S:0.025%,Sn:0.12%を含む板厚2.3m
mの熱延板に1100℃2分間の焼鈍後 0.225mmの最終厚み
まで冷間圧延し、ついで脱炭焼鈍し、ひき続きMgO を主
成分とする焼鈍分離剤を塗布し、1200℃まで15℃/hrで
昇温し、1200℃の温度で20時間の最終仕上焼鈍を行なっ
た。雰囲気ガスの条件は、(1)昇温過程1200℃まで75%H
2+25%N2で処理、(2)昇温過程 950℃まで75%H2+25%
N2で処理し、950℃から1200℃まで 100%N2で処理の2
通りとし、1200℃になった時点で 100%H2として焼鈍を
行なった。(1)の条件の場合約 925℃で2次再結晶が開
始し、約1025℃で完了しており、(2) の条件は、2次再
結晶の開始から完了までの途中段階でN2分圧を増加さ
せたことになる。処理条件と製品の磁束密度との関係を
第1表に示す。
5%, Mn:0.071%, S:0.025%,Sn:0.12%を含む板厚2.3m
mの熱延板に1100℃2分間の焼鈍後 0.225mmの最終厚み
まで冷間圧延し、ついで脱炭焼鈍し、ひき続きMgO を主
成分とする焼鈍分離剤を塗布し、1200℃まで15℃/hrで
昇温し、1200℃の温度で20時間の最終仕上焼鈍を行なっ
た。雰囲気ガスの条件は、(1)昇温過程1200℃まで75%H
2+25%N2で処理、(2)昇温過程 950℃まで75%H2+25%
N2で処理し、950℃から1200℃まで 100%N2で処理の2
通りとし、1200℃になった時点で 100%H2として焼鈍を
行なった。(1)の条件の場合約 925℃で2次再結晶が開
始し、約1025℃で完了しており、(2) の条件は、2次再
結晶の開始から完了までの途中段階でN2分圧を増加さ
せたことになる。処理条件と製品の磁束密度との関係を
第1表に示す。
実施例2 Si:3.51%, C:0.084%, 酸可溶性Al:0.025%,N:0.0080
%, Mn:0.075%, S:0.026%,Sn:0.16%,Cu: 0.07%を含
む板厚 2.3mmの熱延板を、焼鈍分離剤塗布工程まで、実
施例1.記載の条件で処理し、1200℃まで15℃/hrで昇温
し、1200℃の温度で20時間の最終仕上焼鈍を行なった。
雰囲気ガスの条件は、(1) 昇温過程1200℃まで75%H2+
25%N2で処理、(2)昇温過程1000℃まで75%H2+25%N2
で処理し、1000℃から1200℃まで100%N2で処理の2通
りとし、1200℃になった時点で100%H2として焼鈍を行
なった。(1)の条件の場合約 940℃で2次再結晶が開始
し、約1050℃で完了しており、(2)の条件は、2次再結
晶の開始から完了までの途中段階でN2分圧を増加させ
たことになる。処理条件と製品の磁束密度との関係を第
2表に示す。
%, Mn:0.075%, S:0.026%,Sn:0.16%,Cu: 0.07%を含
む板厚 2.3mmの熱延板を、焼鈍分離剤塗布工程まで、実
施例1.記載の条件で処理し、1200℃まで15℃/hrで昇温
し、1200℃の温度で20時間の最終仕上焼鈍を行なった。
雰囲気ガスの条件は、(1) 昇温過程1200℃まで75%H2+
25%N2で処理、(2)昇温過程1000℃まで75%H2+25%N2
で処理し、1000℃から1200℃まで100%N2で処理の2通
りとし、1200℃になった時点で100%H2として焼鈍を行
なった。(1)の条件の場合約 940℃で2次再結晶が開始
し、約1050℃で完了しており、(2)の条件は、2次再結
晶の開始から完了までの途中段階でN2分圧を増加させ
たことになる。処理条件と製品の磁束密度との関係を第
2表に示す。
実施例3 Si:3.25%, C:0.080%, 酸可溶性Al:0.027%,N:0.0082
%, Mn:0.075%, S:0.024%を含む板厚 2.3mmの熱延板
を1120℃に30秒保持しひき続き900℃に1分間保持し
た後急冷し、 0.285mmの最終厚みまで冷間圧延し、つい
で脱炭焼鈍し、ひき続きMgO を主成分とする焼鈍分離剤
を塗布し、1200℃まで10℃/hrで昇温し、1200℃の温度
で20時間の最終仕上焼鈍を行なった。雰囲気ガスの条件
は、(1)昇温過程1200℃まで75%H2+25%N2で処理、(2)
昇温過程 950℃まで75%H2+25%N2で処理し、 950℃か
ら1200℃まで10%H2+90%N2で処理の2通りとし、1200
℃になった時点で 100%H2として焼鈍を行なった。(1)
の条件の場合約910 ℃で2次再結晶が開始し、約1000℃
で完了しており、(2)の条件は2次再結晶の開始から完
了までの途中段階でN2分圧を増加させたことになる。
処理条件と製品の磁束密度との関係を第3表に示す。
%, Mn:0.075%, S:0.024%を含む板厚 2.3mmの熱延板
を1120℃に30秒保持しひき続き900℃に1分間保持し
た後急冷し、 0.285mmの最終厚みまで冷間圧延し、つい
で脱炭焼鈍し、ひき続きMgO を主成分とする焼鈍分離剤
を塗布し、1200℃まで10℃/hrで昇温し、1200℃の温度
で20時間の最終仕上焼鈍を行なった。雰囲気ガスの条件
は、(1)昇温過程1200℃まで75%H2+25%N2で処理、(2)
昇温過程 950℃まで75%H2+25%N2で処理し、 950℃か
ら1200℃まで10%H2+90%N2で処理の2通りとし、1200
℃になった時点で 100%H2として焼鈍を行なった。(1)
の条件の場合約910 ℃で2次再結晶が開始し、約1000℃
で完了しており、(2)の条件は2次再結晶の開始から完
了までの途中段階でN2分圧を増加させたことになる。
処理条件と製品の磁束密度との関係を第3表に示す。
実施例4 Si:3.30%, C:0.081%, 酸可溶性Al:0.026%, 20N:0.0
082%, Mn:0.078%, S:0.024%,Sn:0.15%,Cu: 0.06%
を含む板厚 2.3mmの熱延板を、1000℃3分間の焼鈍後1.
35mm厚まで冷間圧延し、ついで1100℃2分間の中間焼鈍
後 0.170mmの最終厚みまで冷間圧延し、ついで脱炭焼鈍
し、ひき続きMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
1200℃まで25℃/hrで昇温し、1200℃の温度で20時間の
最終仕上焼鈍を行なった。雰囲気ガスの条件は、(1)昇
温過程1200℃まで85%H2+15%N2で処理、(2)昇温過程1
000℃まで85%H2+15%N2で処理し、1000℃から1200℃
まで25%H2+75%N2で処理の2通りとし、1200℃になっ
た時点で、100%H2として焼鈍を行なった。(1)の条件の
場合約 950℃で2次再結晶が開始し、約1050℃で完了し
ており、(2)の条件は、2次再結晶の開始から完了まで
の途中段階でN2分圧を増加させたことになる。処理条
件と製品の磁束密度との関係を第4表に示す。
082%, Mn:0.078%, S:0.024%,Sn:0.15%,Cu: 0.06%
を含む板厚 2.3mmの熱延板を、1000℃3分間の焼鈍後1.
35mm厚まで冷間圧延し、ついで1100℃2分間の中間焼鈍
後 0.170mmの最終厚みまで冷間圧延し、ついで脱炭焼鈍
し、ひき続きMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
1200℃まで25℃/hrで昇温し、1200℃の温度で20時間の
最終仕上焼鈍を行なった。雰囲気ガスの条件は、(1)昇
温過程1200℃まで85%H2+15%N2で処理、(2)昇温過程1
000℃まで85%H2+15%N2で処理し、1000℃から1200℃
まで25%H2+75%N2で処理の2通りとし、1200℃になっ
た時点で、100%H2として焼鈍を行なった。(1)の条件の
場合約 950℃で2次再結晶が開始し、約1050℃で完了し
ており、(2)の条件は、2次再結晶の開始から完了まで
の途中段階でN2分圧を増加させたことになる。処理条
件と製品の磁束密度との関係を第4表に示す。
〔発明の効果〕 以上のとおり、本発明によれば最終仕上焼鈍工程に於
て、2次再結晶の開始から完了までの途中段階で焼鈍雰
囲気のN2分圧を増加させることによって極めて磁束密度
の高い一方向性電磁鋼板を安定して製造することができ
るので、その工業的効果は大きい。
て、2次再結晶の開始から完了までの途中段階で焼鈍雰
囲気のN2分圧を増加させることによって極めて磁束密度
の高い一方向性電磁鋼板を安定して製造することができ
るので、その工業的効果は大きい。
第1図は2次再結晶開始初期と2次再結晶完了期の2次
再結晶粒の方位の比較図であり、第2図は最終仕上焼鈍
の加熱昇温中のN2分圧を増加させた温度と製品の磁束
密度との関係図である。
再結晶粒の方位の比較図であり、第2図は最終仕上焼鈍
の加熱昇温中のN2分圧を増加させた温度と製品の磁束
密度との関係図である。
Claims (1)
- 【請求項1】含Al一方向性電磁鋼板の製造に於て、通
常の工程で得られた冷延板を脱炭焼鈍後、最終仕上焼鈍
を施す工程に於て、2次再結晶の開始から完了までの途
中段階で焼鈍雰囲気のN2分圧を増加させることを特徴
とする磁束密度の極めて高い一方向性電磁鋼板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6199386A JPH0617512B2 (ja) | 1986-03-22 | 1986-03-22 | 磁束密度の極めて高い一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6199386A JPH0617512B2 (ja) | 1986-03-22 | 1986-03-22 | 磁束密度の極めて高い一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62222024A JPS62222024A (ja) | 1987-09-30 |
JPH0617512B2 true JPH0617512B2 (ja) | 1994-03-09 |
Family
ID=13187233
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6199386A Expired - Lifetime JPH0617512B2 (ja) | 1986-03-22 | 1986-03-22 | 磁束密度の極めて高い一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0617512B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6475627A (en) * | 1987-09-18 | 1989-03-22 | Nippon Steel Corp | Production of grain oriented electrical steel sheet having extremely high magnetic flux density |
EP0390142B2 (en) * | 1989-03-30 | 1999-04-28 | Nippon Steel Corporation | Process for producing grain-oriented electrical steel sheet having high magnetic flux density |
-
1986
- 1986-03-22 JP JP6199386A patent/JPH0617512B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62222024A (ja) | 1987-09-30 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |